【大学院進学】研究計画書の書き方② 研究内容(研究領域、問い)

はじめに

本記事では、研究計画書の研究内容のうち、研究テーマ、研究上の問いの書き方に絞って解説をしていきたいと思います。研究計画書のレイアウトについては、特に指定がない場合は、以下のものを参考にすることをお勧めします。

 

研究テーマ

まず自らが取り組みたい研究内容は、どの研究領域で行うものになるのかを把握しましょう。その際「社会学」のような大きな研究領域ではなく、その下位領域まで把握しなければなりません。例えば、社会学の下位分野としては「メディア研究」や「ジェンダー研究」、「法社会学」、「家族社会学」、「都市社会学」など実に様々です。

そのうえで、その研究領域の中で研究テーマになっていることを調べます。

例えば、政治学の下位分野に国際関係論という下位領域があり、さらにその下に国際関係史や冷戦史という下位領域があります。ここでは、冷戦史という研究領域を例にとって考えてみましょう

冷戦史研究の中では「冷戦はなぜ始まったのか?」という研究テーマや「冷戦はなぜ終わったのか?」、「冷戦史の中で非政府アクターはどのような役割を果たしたのか?」など様々な研究テーマがあります。そして研究者たちは各研究テーマについて異なる意見を戦わせています。

例えば、最初の「冷戦はなぜ始まったのか?」という研究テーマについて、伝統学派/正統学派と呼ばれる学派は、安全保障要因を重視してソ連にその責任を課す一方、修正主義学派と呼ばれる学派は、経済的要因(アメリカの資本主義の拡張主義的政策)を重視してアメリカにその責任を課しています。他方でポスト修正主義学派と呼ばれる学派は、アメリカとソ連のどちらか一方に責任を貸すのでなく、冷戦は様々な要因が重なって始まったものであるという説明をしています。

 

問い(リサーチクエッション)

様々な研究テーマを押さえ、その中で自分はどの研究テーマに取り組むのかを決めた後、今度は、研究上の問いを立てます。なぜ問いを立てるのかと言いますと、問いを立てることで、何を明らかにしたいのかを自分でも理解できることに加えて、読み手に即座に理解させることができるからです。

よく「日米の経済関係について研究したい」、「日本におけるジェンダーの問題について研究したい」、「開発途上国における環境保全と経済発展の関係性について研究したい」というようなことを言う学生がいますが、それでは具体的に何を明らかにしたいのか、読み手は理解できません。問いを立て、自分の研究内容をはっきりさせましょう。

問いには、以下のような形があります

  • 「なぜ~なのか?」
  • 「どのように~するべきか?」
  • 「どのように~なっているか?」

「なぜ~なのか?」型の問いは、どの分野でも好まれて立てられる問いと言えます。一方、「どのように~するべきか?」型の問いは、政策提言をするような分野(MBAや公共政策)で立てられることが多く「どのように~なっているか?」型の問いは自然科学の分野でよく立てられます。

問いを立てる際、以下のような問いは立てないようにしましょう

  • 大きすぎる問い
  • 実証困難な問い

 

前者の大きすぎる問いについては、例えば「なぜ日本は第二次世界大戦後、奇跡的な経済復興を遂げたのか?」という問いです。これは、論文のテーマとしては大き過ぎです。

また「日本のアニメはヨーロッパの若者の対日イメージに対してどのような役割を果たしているのか?という問いについても、問題があります。これでは、いつの時点のことを研究したいのか分かりませんし、ヨーロッパの若者という部分についても、どこの国の若者を対象にしているのか分かりません。またアニメについても広すぎるため、対象を絞ったほうがよいかもしれません。例えば、この問いは「2000年代以降、日本の宮崎アニメはフランスの若者の対日イメージに対してどのような役割を果たしてきたのか?」というもっと具体的な問いにすることができます。

後者の実証が困難な問いについては、例えばなぜ世論の反対があるにもかかわらず、日本政府は2020年東京オリンピック・パラリンピックを開催しようとするのか」という問いです。

この問いは、取り組むべき問いとしては、大変興味深いものですが、現在進行形の出来事であり実証が困難であるため、研究の問いとしてはふさわしくありません(この真相に迫るのは、ジャーナリストの仕事か、何十年後かの歴史家の仕事でしょう)。

メインクエッションとサブクエッションズを決めると、研究内容が精緻化されます

メインクエッション(Main Question)とは中心的な問いのことであり、サブクエッションズ(Sub Questions)はメインクエッションを解き明かすために、立てなければならない複数の小さな問いのことです。例えば、非常に簡単な例になりますが、「2000年代以降中国の自動車市場にて、日本の自動車メーカーは電気自動車のマーケティング戦略をどのように立てて実践してきたか?」というメインクエッションは、以下のようにサブクエッションズへと分けることが可能です。

  • トヨタは、どのようなマーケティング戦略を立てて実践してきたか?
  • ホンダは、どのようなマーケティング戦略を立てて実践してきたか?
  • 日産は、どのようなマーケティング戦略を立てて実践してきたか?

 

終わりに

今回は、研究計画書の書き方②研究内容(研究領域、問い)という内容で解説をしてきました。

次回は、先行研究の状況とその批判的な検討および研究の独自性(オリジナリティ)と意義という2つの点に絞って、研究計画書の書き方について解説していきたいと思います。