法学(国際法・国際機構論) 問題と模範解答

法学(国際法・国際機構論) オリジナル問題と模範解答

はじめに

某大学院・研究科での試験問題で出題された国際法、国際機構論に関する問題とその解答例です。
国際法、国際機構論についての勉強は、下記の書籍を使用することをお勧めします。

法学研究科・政治学研究科への進学を希望とされる方や京都大学や北海道大学、名古屋大学などへの大学編入を希望とされる方は、論述の仕方を参考にして頂ければと思います。

問題

地域統合における、超国家性概念と機能主義の相互連関について論ぜよ。


 本稿では、まず、連邦主義と新機能主義との比較を通じて機能主義の特色を概観し、その上で、超国家性概念と機能主義の相互連関について論じてく。
 国際統合理論である連邦主義、機能主義、新機能主義はいずれも、認識よりも処方に重きをおき、国際機構はいかなる存在であるべきか、いかなる役割を果たすべきかを論じる。国家間協力全般を論じる代わりに、より緊密な関係である「統合」現象に特化して議論じる。どの理論も根本的な目的は平和達成にあり、今のままの国家システムではそのような目的達成が困難であるとの認識から出発している。

まず、連邦主義は、主権国家の存在自体が平和を除外する要因と考える。従って、国家の主権を委譲することで超国家的な組織体を作ることを目指す。それが平和達成のための手立てである。また問題処理のための制度構造を予め固定しようとすることから始めようとする立憲的アプローチを取る。
 次に機能主義は、ある特定の問題領域で国家間協力を強力に推進することにより国際平和を確実なものにする、という理論である。機能主義の場合、主権の委譲による連邦形成を目指さない。確かに、前述のとおり国家というシステムは問題であるが、より問題であるのは国家及び問題処理のための権限が、領域という偶発的な要素と結びついていることである。その結果、このシステムの下で充足されない人々のニーズが多々ある。機能の遂行能力が権限と結びつくべきであり、それによって、そのように機能主義が最も重視する社会のニーズを満たされうるのである。機能主義は、連邦主義と異なり立憲的アプローチは取らない。統治形態を固定すると、変化する民衆の欲求や期待に応答しきれないか、逆に権力体から(欲求充足のための)規制が増すことになって民主主義を窒息させかねないからである。また機能主義は、統治の形態をまず決めてそれに機能を充足させるのではなく、協力によって機能が充足されればそれに応じた統治形態が現れると考える。もっとも、最終的にどのような統治形態が現れるのかについては明らかにしていない。そして、どのように平和が達成されるのかについても問題になる。機能主義によれば、国家間の協力が進み、それぞれが抱える物質的な欠落が解消されれば、相互の猜疑心も減り、欠落を埋めるために国々が戦争に訴えることもなくなり、「平和的変更」が慣行化するという。その際特定分野での協力が隣接分野にも波及し、協力による結びつきが進化することにより平和の基盤が固まるといえる。
 最後に新機能主義である。機能主義と同様に本理論も特定の機能分野における国家間の協力を進めることで、平和という最終目的が達成されるものと考える。また、機能主義同様、波及効果を重視する。しかし新機能主義に特徴的なのは、取引や通商、運輸といった低度に政治的な分野から外交や安全保障といった高度に政治的な分野へ統合が波及するという点である。これは主権の核心に触れる重要な分野への波及を意味するゆえに、主権の委譲を伴うものといえる。新機能主義は機能主義と異なり、主権の委譲を通じて、連邦形成を目指すものである。
 では、以上を踏まえて、機能主義と超国家性とはどのような相互連関があると言えるのであろうか。この点、超国家性とは、何らかの形で国家を超える権力ないし権威が存在することを指す。政府間主義に立脚する国際機構と連邦制の中間形態というようにも言い換えられる。主権国家群が、文字通り国家主権の発動として国家間協力を行う政府間主義でもなく、同時に、国家の上位体に対して主権を委譲する連邦制でもない、という状態を指す。超国家性とは変成構想の産物であるといえる。機能主義との対比から連邦主義や新機能主義をみてみると、それらは、主権国家間の国際機構から出発しつつも、主権委譲を通じて連邦化を目指す、いわば組織の変成を志向する理論であるといえる。その意味で超国家性が問題となるといえる。では機能主義はどうであろう。上記で論じたように機能主義は、主権の委譲を前提とせずに平和を達成しようとするべきであるとの理論である。であるならば、機能主義とは超国家性を問題とせずに統合を通じた平和を目指す理論として位置づけられると言える。


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終わりに

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