志望理由書の書き方についてー大手編入予備校の講師が解説!

大学編入2023.03.27

はじめに

大学編入学試験では、ほぼどの大学でも志望理由書の提出が義務付けられています。

今回の記事では、そもそも志望理由書とは何かという点とそれをどのように書けばよいのかという点について解説したいと思います。

志望理由書とは何か!?

志望理由書とは、その名の通り、なぜその大学への進学(編入学)を希望するのかについて、大学側の所定の様式にしたがってまとめたものです。

志望理由書は願書の中で、志願票、成績証明書、TOEIC/TOEFLのスコア証明書と一緒に提出することを求められます。2次試験である面接試験は、この志望理由書に基づいて行われます。

そのため、志望理由書の出来は2次試験である面接試験の結果、ひいては最終的な合否をも左右します。

では、そもそもなぜ大学は志望理由書の提出を求めるのでしょうか

それは、筆記試験を通じてのみでは知り得ない学生に関するさまざな情報を得ることで、その学生が大学に編入するにふさわしい人物であるかを見定めるためです。

それらの情報は以下の4点です。

志望理由書に書くべきこと

①編入後に勉強したいことが明確か?

②なぜ/どれだけその大学への編入学を希望しているのか? 

③大学卒業後の将来ビジョンが明確か?

④文章作成能力を備えているか

以下、それぞれ詳しく見ていきましょう。

編入後に勉強したいことは明確か?

志望理由書を読む大学教員が、もっとも気にしていることは、その学生が何に対して知的探求心を持っているのかという点です。

したがって、編入先の大学で具体的にどのような勉強をしたいのかということを書く必要があります。

その際、具体的に勉強したい専門分野や勉強テーマやなぜその専門分野や勉強テーマを学びたいと思うようになったのか、そのきっかけ問題意識を示すことが求められます。

専門分野や勉強テーマ

政治学を勉強したい」と漫然と書くよりも、

政治学、特にその中でも国際関係論を勉強したい

というように具体的に興味がある専門分野も書いたほうが良いです。


また、「ウクライナの危機について勉強したい」と書くよりも、

ウクライナ危機について、国際政治学や国際政治史、国際法、地政学など多角的観点から、危機の発生要因や危機の克服方法について考えたい

というように、どのような観点から、具体的に何を勉強したいのかを書いたほうが、読み手に好印象を与えることができるといます。

きっかけや問題意識

たとえば、文学部/社会学部に編入し、社会学、特にジェンダー研究の分野で

日本におけるジェンダー不平等の問題について、その歴史や現状について勉強したい

という場合を考えてみましょう。

この場合

大学で受けた〇〇という授業で、世界経済フォーラムが公表する『ジェンダー・ギャップ指数』で日本の順位が156か国中120位という事実を知って衝撃を受けた

ということをきっかけとすることができます。また、

2017年に世界規模で広がりを見せた#MeToo運動が、日本ではそれほど盛り上がりを見せなかったという事実に問題を感じた

というように問題意識を設定することも可能でしょう。


他にも「行動経済学の視点から、医療現場で生じる様々な問題について学びたい

という経済学部への編入を希望する学生の場合、

『〇〇〇〇』という書籍を読んだこと」がきっかけということもできます。そして

医療の現場で、患者は合理的な意思決定主体であるとことが自明視されていることに疑問を感じている

というように問題意識を書くこともできます。

なぜ/どれだけその大学への編入学を希望しているのか?

なぜ数ある編入先の選択肢の中で、その大学への編入学を希望しているのか

別の言い方をすれば、どれだけその大学への編入学を希望しているのか、という熱意を必ず志望理由書の中に書き込まなければいけません

その際、当然ですが、

A大学への編入を希望するのは、社会学を学びたいから

というのは理由としてはふさわしくありません。なぜB大学でもなく、C大学でもなくA大学で社会学を学びたいのかが分からないからです。

では、A大学を希望する最も説得力がある理由として、もっとも適切な書き方はどのようなものでしょうか?1つは、

自分が学びたい専門分野や勉強テーマに近いことを研究している教員が在籍しているから

という書き方です。その教員の下で勉強したいからという書き方をすれば、その大学への編入を希望する理由としては大変説得力があります。その教員はその大学、その学部にしかいないからです。もう1つは、

自分が学びたい専門分野や勉強テーマを追究するうえで、その大学の学習環境が優れているから

という書き方です。

たとえば、理工学部への編入を希望しており、取り組みたい勉強テーマが都市工学に関するものであったとしましょう。

テーマの性質上、環境学や経済学に関する知見も必要な場合、他学部の授業を受けられる制度があれば、その事実は、その大学への編入を希望する十分な理由になります。他にも、大学卒業後の海外留学を目指している場合、その編入先に英語で行われる授業が多くあれば、それは大変、魅力的なものになるでしょう。

いずれにせよ、志望先の大学・学部に存在する各種制度を、ホームページなどを通じて調べることが肝要です。

志望理由書の中には、①のみを書けば十分ですが、もし紙幅に余裕があれば②も併せて書くとより説得力が増します

ちなみに下記の点については、打算的な理由としてマイナス評価につながりかねないので書くことは控えるようにして下さい。

書いてはいけないこと

①大学の知名度が高いから

②就職率が良いから

③立地が良いから(例えば、家から通いやすいからetc.)

0-0t – 0-0t, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=97634153による

大学卒業後の将来ビジョンは明確か?

大学卒業後の将来ビジョンについても、書く必要があります

もちろん、まだ将来のことについては分からないという人も多いかもしれません。しかし、この点について具体的に書くことができれば、人生計画が明確であることを読み手に伝えることができ、高評価に繋がりやすくなります

将来ビジョンを書く際に注意するべきことは3点です。

将来ビジョンとして書くべきこと

①希望進路を書く

②仕事を通じて実現したい夢を書く

③学びたい専門分野や勉強テーマとの繋がりがある希望進路や夢を書く

①希望進路ですが、就職を希望する業界や就きたい職種や職業などを書きます。

②仕事を通じて実現したい夢とは、「金持ちになりたい」や「海外に移住したい」というように個人的な夢ではありません。仕事を通じて、どのように社会に貢献したいかというものです。

③希望進路や夢が学びたい専門分野や勉強テーマとズレていてはいけません。

教育学部への編入を希望しておきながら「将来は総合ディベロッパーとして街づくりに携わりたいです」と書くことはNGです。

たとえば、法学部への編入を希望し、法教育に関する国内外の最新の理論と実践について学びたい学生の将来ビジョンならば、

将来は、法務省または文部科学省にて、国民が法を身近なものと感じ、紛争に対して能動的に向かい合いながら解決していくための制度の構築に携わりたい

というようになります。

文章作成能力を備えているか?

志望理由書の中に書くべき要素は以上の点ですが、志望理由書を読む教員は、作成された志望理由書を通じて、その学生の文章作成能力も査定しています

論理的且つ明快な文章で書かれているか使われている言葉や表現が稚拙ではなく洗練されているか誤字脱字がないかなどといった点です。

大学教員は、文章作成におけるプロ中のプロです。

皆さんの想像以上に文章の書き方にはうるさい方が多いです。

自分は日本人だから、文章については問題ないだろう

と高を括る学生の方も一定数いらっしゃいます。

しかし、初稿の提出段階において、文中の日本語に問題がないケースは、ほぼ皆無に等しいのが現実です。

志望理由書の作成に当たっては、一言一句に細心の注意を払って、文章を書く必要があると言えます。

おわりに

このように一口に志望理由書と言っても、書き方にはいくつかのルールがあります。

また、本記事を読んで理屈を押さえても、では実際にかけるかと言えばそれほど甘いものではありません

さらに、よく志望理由書を数日~1~2週間で仕上げようとする方がいらっしゃいますが、本来、良質な志望理由書を作成するためには、2~3か月が必要です。短期間で執筆した志望理由書の質は低いものにならざるを得ませんし、プロである大学教員は必ずその点を見破るはずです。

スプリング・オンライン家庭教師には、志望理由書の作成の仕方を心得えているうえ、これまでに何百人単位で志望理由書の作成指導を行ってきた講師も在籍しております。

志望理由書の作成でお困りの方は、ぜひお問い合わせ下さい。

運営会社:株式会社Spring Knowledge

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