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東京高専の偏差値と進路|学科・生徒数・大学編入の実績

東京工業高等専門学校(通称:東京高専)は、東京都八王子市にある国立の高等専門学校で、卒業生のおよそ4割前後が大学編入または専攻科進学という進路を選んでいる学校です。この記事では、東京高専という学校そのものの特色と、大学編入の状況を公式資料の数値で確認できる形に整理してお届けします。学校公式サイトが公表している進路状況の資料をもとに、どの大学へ何名が編入しているのか、どの学科の学生が進学を選びやすいのか、そして進学者の中で専攻科と大学編入がどのような比率になっているのかまで、順を追って見ていきます。
高等専門学校(高専)とは、中学校卒業後の5年間で技術者を養成する高等教育機関のことです。高校と大学の前半をひとつながりにしたような課程で、1年生のうちから専門科目に触れ、5年生では卒業研究に取り組みます。そして卒業時には大学3年次への編入学資格が与えられるため、高専生にとって大学編入は「特別な裏ルート」ではなく、就職と並ぶ標準的な進路のひとつになっています。東京高専もその例外ではなく、毎年およそ50〜70名前後が専攻科または大学へ進学しています。
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本記事でとくに強調しておきたいのが、東京高専が令和9年度(2027年度)入学生から改組を予定している点です。公式サイトの案内によれば、現在の5学科体制を見直し、本科は「総合工学科」(定員200名)、専攻科は「総合工学専攻」(定員25名)へと再編される計画が示されています。学科改組は文部科学省への認可申請を経て確定するため変更の可能性が残りますが、これから東京高専を受験する中学生にとっても、在学中に制度の移行期を迎える現役生にとっても、無視できない情報です。この記事では改組の中身を独立した章で解説します。改組後は入学時に学科を選ばず、1年目に全コースを体験してから2年生でコースを決める仕組みが示されており、高専の入口の設計そのものが変わります。
加えて、令和7年度(令和8年3月卒業)の最新の進路データを軸に、令和3年度・令和4年度・令和6年度と比較しながら傾向の変化も追いかけます。東京高専からの進学先には長岡技術科学大学や豊橋技術科学大学といった高専生を主対象とする大学に加え、筑波大学・東京農工大学・電気通信大学・東京都立大学、さらに北海道大学や東北大学といった難関国立大学も並びます。数値は毎年変動するため、志望校選びの際は必ず最新の公表資料と各大学の学生募集要項をあわせてご確認ください。それでは、東京高専という学校の全体像から確認していきましょう。なお本記事の数値は、東京高専が公表している進路状況の資料や入試関連データを一次情報として参照し、年度を明記したうえで掲載しています。出典が確認できない推計値は、その旨を明記して区別していますので、情報の性質を見極めながらお読みいただければ幸いです。
東京高専(東京工業高等専門学校)とは|所在地・沿革・5学科の基本情報
まずは東京高専がどのような学校なのか、所在地・沿革・学科構成・学生数という基本情報から押さえます。大学編入を考えるうえでも、どの学科でどんな専門を学んでいるかが編入先の選択肢を大きく左右するため、学校の骨格を理解しておくことは遠回りではありません。
所在地は東京都八王子市|キャンパスは緑豊かな丘陵地
東京高専の所在地は、〒193-0997 東京都八王子市椚田町1220-2です(代表電話042-668-5111)。八王子市は日本遺産にも認定された歴史のある地域で、キャンパスは市街地から少し離れた緑の多い環境にあります。都心から一定の距離はあるものの、京王線やJR中央線を使った通学圏は広く、東京都内だけでなく神奈川県・埼玉県・山梨県方面からも学生が集まります。学生寮も設置されているため、遠方からの進学も選択肢に入ります。
なお、以前の本記事では所在地を誤って表記していましたが、公式サイトのフッターに掲載されている正式な住所表記は上記のとおりです。訪問やオープンキャンパス参加の際は、公式サイトの交通アクセス案内をご確認ください。
1965年開校の国立高専|2025年に創立60周年
東京高専は1965年(昭和40年)に設立された国立の工業高等専門学校で、国立高専のなかでは第4期に開校したグループにあたります。設立以来、多くの技術者・研究者を育て、産業界や国・地方自治体、教育機関などへ人材を送り出してきました。2025年には創立60周年を迎えており、卒業生ネットワークの厚みは進路指導や就職支援の面でも強みになっています。
高専の教育課程の特徴は、5年間を通じて実験・実習の時間が非常に多いことです。座学で理論を学んだ直後に手を動かして確かめる往復が繰り返されるため、大学2年生までの一般的な理工系カリキュラムと比べると、実践的な技術に触れる機会は圧倒的に多くなります。この「手が動く」という経験値が、大学編入後の研究室配属で高く評価される場面は少なくありません。
本科は5学科|機械・電気・電子・情報・物質
東京高専の本科には、機械工学科・電気工学科・電子工学科・情報工学科・物質工学科の5学科が設置されています。それぞれの学科で学ぶ内容の概要は次のとおりです。
| 学科 | 学びの概要 | 編入で相性のよい分野 |
|---|---|---|
| 機械工学科 | 創造性豊かな発想で機械を設計・製作できる技術者の養成を目指す。材料力学・流体力学・熱力学・機械力学のいわゆる四力を軸に、設計製図やCAD、加工実習を重ねる | 機械工学系・航空宇宙系・エネルギー系 |
| 電気工学科 | 電気に関する総合学科。電気回路・電磁気学・電気機器・電力システムなど、電気エネルギーを扱う分野を体系的に学ぶ | 電気電子工学系・エネルギー系 |
| 電子工学科 | 21世紀を支えるエレクトロニクス技術者の育成を目指す。半導体・回路設計・計測・通信など、電子デバイスと信号を扱う領域が中心 | 電子情報工学系・通信系・半導体系 |
| 情報工学科 | コンピュータ・通信ネットワークにとどまらず、産業や日常生活のあらゆる分野に浸透した情報技術を扱う。プログラミング、アルゴリズム、ソフトウェア工学などを学ぶ | 情報工学系・知能情報系・データサイエンス系 |
| 物質工学科 | バイオテクノロジー、環境・エネルギー問題、新規材料開発からナノテクノロジー、IT分野まで、化学の力が必要となる領域を横断的に学ぶ | 応用化学系・材料工学系・生物工学系 |
学科ごとの詳しいカリキュラムは、東京高専公式サイトの各学科ページで公開されています。編入先を考えるときは、自分の学科の専門科目が編入試験の出題範囲とどれだけ重なるかを早い段階で確認しておくと、対策の優先順位を決めやすくなります。専門科目の重なりが大きい大学ほど、対策コストは小さくなります。
入学定員は各学科40名・1学年200名|学生数と女子学生の割合
本科の入学定員は各学科40名、1学年で200名、5学年あわせた総定員は1,000名です。実際の在籍者数は年度によって前後しますが、公式サイト系の紹介ではキャンパスにはおよそ1,100名の学生が学び、そのうち女子学生は約2割とされています。以前の本記事では令和4年時点の数値として、5学年で1,025人が在籍し、そのうち女子学生が201名、マレーシア・モンゴル・ラオス・トルコなどからの留学生も10名ほど在籍していると紹介していました。いずれも年度によって変わる数値ですので、最新の在籍者数は公式サイトの学校案内でご確認ください。
工業系の高専としては女子学生の比率が比較的高く、とくに物質工学科は女子学生が多い傾向があります。後述する令和7年度の進路データでも、物質工学科は卒業者40名のうち13名が女子学生で、進学者21名のうち6名が女子学生でした。技術系の進路を考える女子中学生・女子高校生にとっても、選択肢に入りやすい環境と言えるでしょう。
ロボコンをはじめとする課外活動の実績
東京高専は全国高等専門学校ロボットコンテスト(高専ロボコン)の常連校としても知られています。以前の本記事で紹介していた地区大会の成績に、最新年度の結果を加えると次のようになります。
| 年度 | 関東甲信越地区大会での主な成績 |
|---|---|
| 2025年 | Bチーム「明修羅」が技術賞を受賞し、審査員推薦で全国大会出場が決定。Aチーム「建蔵」が特別賞 |
| 2024年(第37回) | Aチーム「Astarium」が特別賞(ローム株式会社)。Bチーム「BeeKeeper」が予選を勝ち抜き決勝トーナメント進出 |
| 2022年度 | Bチーム(∞∞∞)が準優勝 |
| 2021年度 | Aチーム(TRICKSTER)が優勝、Bチーム(Mt.高尾)がデザイン賞 |
| 2020年度 | Aチーム(NIT東響楽団)が特別賞(マブチモーター株式会社) |
| 2018年度 | Bチーム(CLΘCKWISE)が優勝 |
ロボコンやプログラミングコンテストへの参加経験は、編入試験の面接や志望理由書で語れる具体的な材料になります。課外活動で何を考え、どう工夫したかを言語化できる学生は、面接で強い説得力を持ちます。5年間という長い在学期間を、専門の勉強だけで終わらせないことが編入対策の観点でも有利に働きます。
令和9年度(2027年度)入学生から「総合工学科」へ改組|1学科5コース制の中身
東京高専を語るうえで、いま最も押さえておくべきなのが学科改組の計画です。公式サイトで公表されている案内によれば、東京高専は令和9年度(2027年度)入学生から組織を大きく改める予定です。ここでは公表されている内容を整理します。なお学科改組の計画は文部科学省に認可申請予定のため、変更になる可能性があると公式に明記されています。最終的な内容は公式サイトの最新情報をご確認ください。
本科は「総合工学科」(定員200名)、専攻科は「総合工学専攻」(定員25名)へ
公表されている改組案では、現在の機械・電気・電子・情報・物質という5学科体制を改め、本科を「総合工学科」(定員200名)の1学科に、専攻科を「総合工学専攻」(定員25名)に再編するとされています。入学定員そのものは現行の200名から変わらない一方で、専攻科は現行の3専攻から総合工学専攻へまとめられ、定員も25名として示されています。
改組の背景として公式資料が挙げているのは、デジタル化とAIの急速な進展による社会の変革です。仮想(サイバー)空間が広がり、現実(フィジカル)世界でもAIが組み込まれたモノが日常の対話相手になりつつある。こうした未来を見据えて、これまで培ってきた強みを活かしながら組織を作り替える、という趣旨が説明されています。
1年目に全コースを体験し、2年生でコースを選択
改組後の大きな特徴は「1学科制」です。全員がまず総合工学科に入学し、1年目に全コースを体験したうえで2年生からコースを選択する仕組みが示されています。用意されるコースは機械系コース・情報系コース・電子系コース・電気系コース・物質系コースの5つで、現行の5学科におおむね対応する形です。
学科の壁をなくすことで社会の変化に柔軟に対応し、学科を問わず情報基礎やAIを含む「システム」を学ぶ科目を強化するとされています。中学生の段階で専門分野をひとつに決めきる必要がなくなるのは、進路選択に迷いがある受験生にとって大きなメリットでしょう。一方で、コース配属の方法や定員の扱いは今後公表される募集要項で確認する必要があります。
4年生から専攻科までを貫く「協創工学一貫教育プログラム」を新設
もうひとつの目玉が、4年生から専攻科までを一貫した「協創工学一貫教育プログラム」(定員20名程度)の新設です。サイバー・フィジカル両空間が統合されたシステムを見通せる人材、公式資料の言葉では「先駆ける人」を養成する狙いが説明されています。本科と専攻科をつなぐ7年間の設計が制度として用意されるわけです。
専攻科側では、機械情報システム工学プログラム・電気電子工学プログラム・物質工学プログラムという枠組みが示されており、本科のコースからの接続が図に描かれています。5年間の教育に加え、ものづくり実践教育、社会実装教育、卒業研究を含むプロジェクト活動科目を全学年に配置する方針も示されました。異学年が混ざり合い、刺激を受け合う環境を築くという記述もあり、学年をまたいだ協働が制度化される見込みです。
大学編入を考える人が改組をどう受け止めるべきか
ここで冷静に整理しておきたいのは、改組が適用されるのは令和9年度(2027年度)の入学生からだという点です。現在在学中の学生は現行の5学科のまま卒業するため、直近数年の編入試験対策そのものが今すぐ変わるわけではありません。
ただし中期的には、次の3点が編入志望者に影響します。第一に、編入先の大学が出願資格や推薦枠を判断する際の「出身学科」の見え方が変わります。総合工学科◯◯コース修了という肩書きが、大学側にどう評価されるかは今後の運用次第です。第二に、専攻科が総合工学専攻に一本化されることで、専攻科進学と大学編入を天秤にかけるときの比較軸が変わります。第三に、協創工学一貫教育プログラムという選択肢が加わることで、「大学編入せずに東京高専で7年間学ぶ」という進路の魅力が相対的に高まる可能性があります。いずれにしても、改組の詳細は認可を経て確定するため、公式発表を随時追いかけるのが確実です。
東京高専の入試難易度|偏差値の目安と令和8年度の志願倍率
大学編入の話に入る前に、東京高専に入学する段階の難易度も確認しておきましょう。中学生とその保護者にとっては受験校選びの判断材料になりますし、在学生にとっては「自分たちが置かれている母集団のレベル感」を把握する手がかりになります。
偏差値は民間推計で64前後|公式発表ではない点に注意
高専の入試難易度としてよく参照されるのが偏差値ですが、はじめに重要な前提を共有します。偏差値は各学校が公式に発表している数値ではありません。模擬試験を実施する民間事業者が、受験者データをもとに算出している推計値です。したがって、参照する媒体によって数値が異なるのは自然なことです。
民間の進学情報サイトが公表している2026年度版の推計では、東京高専の偏差値は機械工学科・電気工学科・電子工学科・情報工学科・物質工学科のいずれも64とされています。以前の本記事でも偏差値64という数値を紹介していましたが、これも同種の民間推計にもとづくものです。都内の高校全体のなかでも上位に位置づけられる水準ではあるものの、高専は普通科高校と受験者層が異なるため、同じ偏差値の高校と単純に難易度を比較することには限界があります。実際の合否は、内申点や適性、当日の学力検査の出来で決まります。
令和8年度入試の学科別志願者数と倍率
より実態に近い難易度の指標になるのが、実際の志願者数と倍率です。東京高専が公表している入試関連データによれば、令和8年度入試の学科別の状況は次のとおりでした。定員は各学科40名、合計200名です。
| 学科 | 定員 | 志願者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 機械工学科 | 40名 | 73名 | 1.8倍 |
| 電気工学科 | 40名 | 49名 | 1.2倍 |
| 電子工学科 | 40名 | 51名 | 1.3倍 |
| 情報工学科 | 40名 | 104名 | 2.6倍 |
| 物質工学科 | 40名 | 57名 | 1.4倍 |
| 合計 | 200名 | 334名 | 1.7倍 |
この表からはっきり読み取れるのは、情報工学科の人気が突出していることです。志願者104名で倍率2.6倍と、他学科の2倍前後の競争率になっています。情報系人材への社会的需要の高まりが、中学生の志望動機にまで及んでいることがうかがえます。逆に電気工学科は1.2倍と、学科間で大きな差があります。
興味深いのは、この学科ごとの人気の偏りが、令和9年度からの1学科制への改組でどう変化するかです。全員が総合工学科に入学し、1年目に全コースを体験してから選ぶ仕組みになれば、入口の倍率は学科単位ではなく学校単位に一本化されます。コース選択の競争が入学後に移る可能性がある点は、受験生も在学生も意識しておきたいところです。
推薦選抜の実績と学力選抜
東京高専の入試には推薦による選抜と学力検査による選抜があります。公表データによれば、令和8年度の推薦選抜では志願者135名に対して合格者120名という結果でした。推薦の合格者数が多いことは、募集人員の相当部分が推薦段階で埋まることを意味しますので、学力選抜だけを見て「倍率が低い」と判断するのは早計です。出願要件や選抜方法は年度ごとに更新されるため、受験を検討する場合は最新の学生募集要項を必ず確認してください。
高校在学者向けの4年次編入学という入口もある
意外と知られていないのが、高校生が東京高専の本科4年次に編入学する制度です。公式サイトの案内によれば、令和9年度の編入学は令和8年7月2日に学力試験と面接を実施する日程で、願書受付は令和8年6月1日から6月12日16時必着、合格発表は令和8年7月10日、検定料は16,500円と示されています。出願はmirai-compassによるWeb出願で、過去問題は出願者に対して数学のみダウンロード先が案内されるとされています。
この制度を使えば、普通科高校で2年間学んだあとに高専の専門教育へ移り、そこから大学編入を目指すという進路も設計できます。募集学科や募集人員は年度によって変わりますので、詳細は東京高専公式サイトの編入学募集要項をご確認ください。なお、大学編入という言葉の全体像を先に押さえたい方は、大学編入とは?仕組み・難易度・費用・スケジュールを徹底解説【完全ガイド】もあわせてお読みいただくと理解が早くなります。
東京高専の大学編入状況|令和7年度卒業生176名の進路データ
ここからが本題です。東京高専の学生が実際にどのような進路を選んでいるのかを、公式が公表している進路状況の資料にもとづいて確認します。最新の数値は令和7年度(令和8年3月卒業、令和8年4月1日現在)のものです。
卒業176名の内訳|就職104名・進学70名
令和7年度の東京高専本科の卒業者は176名で、その内訳は就職104名、進学70名、その他2名でした。卒業生のおよそ4割が進学を選んでいる計算になります。学科別に見ると次のとおりです。
| 学科 | 卒業者数 | 就職者数 | 進学者数 | その他 |
|---|---|---|---|---|
| 機械工学科 | 32名 | 14名 | 17名 | 1名 |
| 電気工学科 | 39名 | 25名 | 14名 | 0名 |
| 電子工学科 | 27名 | 19名 | 8名 | 0名 |
| 情報工学科 | 38名 | 28名 | 10名 | 0名 |
| 物質工学科 | 40名 | 18名 | 21名 | 1名 |
| 合計 | 176名 | 104名 | 70名 | 2名 |
学科によって進路の傾向がはっきり分かれているのが分かります。物質工学科は卒業者40名のうち21名が進学と半数以上が進学を選ぶ一方、情報工学科は38名中28名が就職を選んでいます。化学・材料系は大学院まで進んで研究職を目指す道が一般的であるのに対し、情報系は高専卒の時点で企業からの需要が非常に大きいという業界構造の差が、そのまま数字に表れていると読めます。
求人倍率は37.5倍|就職が強いからこそ進学の意思決定が問われる
同じ資料には求人の状況も掲載されています。令和7年度は求人企業数1,763社、求人数3,902件で、就職者104名に対する求人倍率は37.5倍でした。学科別では機械工学科59.9倍、電気工学科34.6倍、電子工学科43.9倍、情報工学科27.9倍、物質工学科32.4倍となっています。1人あたり30〜60件の求人があるという、大学生の就職環境とは比べものにならない売り手市場です。
これは東京高専の強みであると同時に、進学を考える学生にとっては悩みどころでもあります。目の前に好条件の就職先が並んでいるなかで、あえて編入試験の勉強に時間を投じるのですから、「何のために大学へ行くのか」を自分の言葉で説明できることが重要になります。研究をしたい、より高度な理論を身につけたい、大学院まで進みたい、専門分野を変えたい。理由は人それぞれですが、この問いは編入試験の面接でも高い確率で問われます。
進学70名の内訳|専攻科22名・国公立大学編入46名・私立大学編入2名
進学した70名をさらに細かく見ると、進路は大きく3つに分かれます。
| 進学先の区分 | 人数 | 進学者70名に占める割合の目安 |
|---|---|---|
| 専攻科入学(東京高専専攻科21名+富山高専専攻科1名) | 22名 | 約31% |
| 国公立大学への編入学(2年次または3年次) | 46名 | 約66% |
| 私立大学への編入学 | 2名 | 約3% |
注目すべきは、大学編入した48名のうち46名が国公立大学だという点です。高専からの編入は国公立大学に強い、という一般論が東京高専でもはっきり裏づけられています。理由はいくつかあります。国公立大学の多くが高専卒業者を対象とした編入学試験を実施していること、試験日程が大学ごとに分散していて併願が組みやすいこと、そして学費面のメリットが大きいことです。私立大学へ編入する人が少ないのは、私立側の編入枠が限られていることに加え、国公立を目指す学生が多いという志向の反映でもあるでしょう。
過去4年の推移|進学者数は年によって70〜91名の幅で変動
単年度の数字だけを見て傾向を断じるのは危険ですので、公表されている過去の資料もあわせて並べます。
| 年度(卒業年月) | 卒業者数 | 就職者数 | 進学者数 | うち専攻科 | うち国公立編入 | うち私立編入 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 令和3年度(令和4年3月) | 187名 | 86名 | 91名 | 22名 | 53名 | 16名 |
| 令和4年度(令和5年3月) | 191名 | 95名 | 87名 | 23名 | 57名 | 7名 |
| 令和6年度(令和7年3月) | 188名 | 93名 | 87名 | 19名 | 58名 | 10名 |
| 令和7年度(令和8年3月) | 176名 | 104名 | 70名 | 22名 | 46名 | 2名 |
この推移から読み取れることは2つあります。ひとつは、進学者数が令和7年度に大きく減り、就職者数が増えたことです。求人倍率が令和3年度の22.0倍から令和7年度の37.5倍へと上昇していることを踏まえると、就職環境の好転が学生の選択に影響した可能性が考えられます。もうひとつは、専攻科進学者が毎年19〜23名の範囲でおおむね安定していることです。専攻科は定員が定まっているため、外部要因の影響を受けにくいと考えられます。
なお令和5年度(令和6年3月卒業)の本科進路一覧は、本記事の執筆時点で同じ公表ページ上に見当たらなかったため、この表からは除外しています。最新の年度別データは東京高専の入試関連データのページで公開されていますので、志望校選びの際はそちらで最新の数値をご確認ください。
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東京高専生はどの大学へ編入しているか|令和7年度の編入先一覧
進学者の内訳が分かったところで、いよいよ具体的な編入先を見ていきます。令和7年度に東京高専から2年次または3年次編入学で進学した48名の内訳は次のとおりです。
令和7年度の編入先大学と人数(全24大学)
| 編入先大学 | 人数 | 区分 |
|---|---|---|
| 長岡技術科学大学 | 6名 | 国立 |
| 豊橋技術科学大学 | 4名 | 国立 |
| 電気通信大学 | 4名 | 国立 |
| 東京都立大学 | 3名 | 公立 |
| 山梨大学 | 3名 | 国立 |
| 筑波大学 | 3名 | 国立 |
| 東京科学大学 | 3名 | 国立 |
| 東北大学 | 2名 | 国立 |
| 金沢大学 | 2名 | 国立 |
| 千葉大学 | 2名 | 国立 |
| 東京農工大学 | 2名 | 国立 |
| 京都工芸繊維大学 | 2名 | 国立 |
| 北海道大学 | 1名 | 国立 |
| 室蘭工業大学 | 1名 | 国立 |
| 信州大学 | 1名 | 国立 |
| 宇都宮大学 | 1名 | 国立 |
| 横浜国立大学 | 1名 | 国立 |
| お茶の水女子大学 | 1名 | 国立 |
| 東京海洋大学 | 1名 | 国立 |
| 山口大学 | 1名 | 国立 |
| 神戸大学 | 1名 | 国立 |
| 九州工業大学 | 1名 | 国立 |
| 工学院大学 | 1名 | 私立 |
| 関西大学 | 1名 | 私立 |
長岡・豊橋の両技術科学大学が最大の受け皿
編入先として最も多いのが長岡技術科学大学(6名)と豊橋技術科学大学(4名)で、2校あわせて10名。編入者48名の2割強を技術科学大学が占める形です。この2校は高専卒業生の受け入れを主目的として設置された経緯があり、カリキュラムも高専で学んだ内容の続きから始まる設計になっています。編入後のギャップが小さく、実験・実習中心の学び方も高専生に馴染みやすいことから、毎年安定した進学者を出しています。
過去のデータを見ても、令和3年度は長岡9名・豊橋11名、令和4年度は長岡8名・豊橋9名、令和6年度は長岡6名・豊橋8名と、常に上位を占めてきました。東京高専から長岡技術科学大学へ編入した先輩の具体的な体験は、【大学編入合格体験記】東京高専から長岡技術科学大学工学部へ3年次編入で紹介しています。卒業研究と受験勉強をどう両立させたのか、1年間の進め方が本人の言葉で語られていますので、同じ立場の方には参考になるはずです。
首都圏の国公立大学へのアクセスのよさ
東京高専の立地を反映して、首都圏の国公立大学への編入も目立ちます。令和7年度は電気通信大学4名、東京都立大学3名、筑波大学3名、千葉大学2名、東京農工大学2名、横浜国立大学1名、東京海洋大学1名、お茶の水女子大学1名という内訳でした。自宅から通える範囲で国立大学に編入できるのは、地方の高専にはない立地上の強みです。
年度によって上位校は入れ替わります。令和6年度は東京農工大学が13名と突出しており、令和3年度も東京農工大学7名、電気通信大学3名という結果でした。特定の大学に毎年決まった人数が進むわけではなく、その年の学生の志向や各大学の募集状況によって分布が動く点は理解しておくとよいでしょう。志望校を決める際は、直近数年分の実績をまとめて眺めることをおすすめします。
難関国立大学への編入実績|東京科学大学への名称変更にも注意
令和7年度は北海道大学1名、東北大学2名、神戸大学1名、筑波大学3名、東京科学大学3名という結果でした。過去に遡ると、令和4年度には東京大学1名・九州大学2名・大阪大学1名、令和3年度には東京工業大学2名・東北大学1名・大阪大学1名という実績もあります。旧帝大クラスへの編入も現実的な選択肢として存在していることが分かります。
ここで一点、情報の更新が必要な箇所があります。以前の本記事では編入先として「東京工業大学」を挙げていましたが、東京工業大学は2024年10月に東京医科歯科大学と統合し、現在は東京科学大学となっています。東京高専の令和6年度・令和7年度の公式進路資料でも、進学先は「東京科学大学」と表記されています。数年前の合格体験記や進学実績を参照する際は、大学名の変更を踏まえて読み替える必要があります。募集要項の入手や出願手続きの際も、現在の名称で情報を探してください。
私立大学への編入は少数派
令和7年度の私立大学編入は工学院大学1名、関西大学1名の計2名でした。令和3年度は16名、令和4年度は7名、令和6年度は10名と、年度によって幅がありますが、国公立編入と比べれば少数です。私立大学の編入枠は募集人員が「若干名」とされることが多く、そもそも受け入れ規模が小さいという事情もあります。私立を志望する場合は、募集の有無自体が年度で変わることがあるため、早い段階で各大学の入試情報を確認しておくと安心です。
専攻科という選択肢|大学編入とどちらを選ぶか
東京高専の進学者70名のうち22名が選んだのが専攻科への進学です。大学編入を考えるとき、この専攻科という選択肢を正しく理解しておかないと比較ができません。ここでは専攻科の仕組みと、実際の進路実績を確認します。
専攻科は3専攻・2年間|修了すると学士の学位が得られる
東京高専の専攻科には、機械情報システム工学専攻・電気電子工学専攻・物質工学専攻の3専攻が設置されています。修業年限は2年で、本科5年と合わせると7年間の学びになります。専攻科を修了すると学士の学位を取得できる点が、大学編入との比較で最も重要なポイントです。
学位授与の仕組みについて、公式サイトは次のように説明しています。東京高専の専攻科は特例適用専攻科の認定を受けており、対象者は大学改革支援・学位授与機構から専攻ごとに一括した申請・審査を経て学位が授与されます。つまり、個人が単独で申請手続きを行うのではなく、専攻単位でまとめて手続きが進む形です。専攻科の入学定員は、公開情報によれば機械情報システム工学専攻8名、電気電子工学専攻8名、物質工学専攻4名の計20名程度とされていますが、募集人員は年度により変わりうるため最新の学生募集要項でご確認ください。
なお前章で触れたとおり、令和9年度(2027年度)入学生からの改組案では専攻科も「総合工学専攻」(定員25名)へ再編される計画が示されています。加えて4年生から専攻科までを一貫する協創工学一貫教育プログラム(定員20名程度)の新設も示されており、専攻科ルートの位置づけは今後変わる可能性があります。
令和7年度の専攻科修了生21名の進路
専攻科を修了した学生がその後どうなるのかは、進路を比較するうえで欠かせない情報です。令和7年度(令和8年3月修了)の専攻科の進路状況は次のとおりでした。
| 専攻 | 修了者数 | 就職者数 | 進学者数 | その他 |
|---|---|---|---|---|
| 機械情報システム工学専攻 | 8名 | 6名 | 1名 | 1名 |
| 電気電子工学専攻 | 9名 | 2名 | 7名 | 0名 |
| 物質工学専攻 | 4名 | 0名 | 4名 | 0名 |
| 合計 | 21名 | 8名 | 12名 | 1名 |
修了者21名のうち12名が大学院へ進学し、8名が就職しています。求人企業数は1,607社、求人数3,073件で、就職者8名に対する求人倍率は384.1倍という数字が公表されています。専攻科修了者に対する企業側の需要は極めて大きいことが読み取れます。
専攻科から大学院への進学実績
令和7年度の専攻科修了生12名の大学院進学先は次のとおりです。
| 進学先大学院 | 人数 |
|---|---|
| 東京科学大学大学院 | 4名 |
| 長岡技術科学大学大学院 | 2名 |
| 東京大学大学院 | 2名 |
| 豊橋技術科学大学大学院 | 1名 |
| 早稲田大学大学院 | 1名 |
| 横浜国立大学大学院 | 1名 |
| 秋田県立大学大学院 | 1名 |
東京大学大学院2名、東京科学大学大学院4名という結果は注目に値します。専攻科経由でも難関大学院に到達できることを示しており、「大学編入しなければ学歴の上限が決まる」という思い込みは、少なくともこのデータからは支持されません。専攻科で2年間じっくり研究に取り組み、その研究実績を武器に大学院入試に臨むというルートは、十分に合理的な選択です。
編入と専攻科の比較|判断軸は「環境を変えたいか」
両者を比較すると、次のように整理できます。
| 比較項目 | 大学編入(3年次) | 専攻科進学 |
|---|---|---|
| 在籍年数 | 大学で2年間(その後大学院へ進む人が多い) | 専攻科で2年間(その後大学院へ進む人が多い) |
| 取得できるもの | 大学の学士 | 学位授与機構による学士 |
| 学ぶ環境 | 新しい大学・新しい人間関係・幅広い専門分野 | 慣れた環境で研究を継続できる |
| 入試の負担 | 数学・専門・英語の対策と併願日程の管理が必要 | 校内推薦や学力選抜。本科の成績が重視される場合がある |
| 単位認定のリスク | 大学によっては不足単位の追加履修が必要 | 本科からの接続が前提のため小さい |
結局のところ、判断軸は「環境を変えたいかどうか」に集約されます。より広い分野に触れたい、特定の研究室で学びたい、専門を変えたいという動機があるなら大学編入が向いています。逆に、いまの研究テーマを深めたい、指導教員との関係が良好で継続したいという場合は専攻科が合理的です。どちらが上という話ではなく、目的に応じた使い分けだと考えてください。
高専から大学編入する試験の仕組み|推薦・学力・英語(TOEIC)
ここからは、東京高専生が実際に受験することになる大学編入試験の仕組みを整理します。制度の詳細は大学ごとに異なり、年度によっても変更されますので、志望校が決まったら必ずその大学の最新の学生募集要項を確認してください。ここでは全体像を掴むための共通の枠組みを扱います。
推薦編入と学力(一般)編入という2つのルート
高専から大学へ編入する方法は、大きく推薦による選抜と学力試験による選抜に分かれます。推薦編入は、高専の校内選考を通過した学生が学校長の推薦を受けて出願する方式で、多くの場合は面接や口頭試問、書類審査が中心になります。校内選考では本科の成績が重視されることが一般的なので、低学年からの定期試験の積み重ねがそのまま出願資格に直結します。
一方の学力編入は、大学が実施する筆記試験で合否が決まる方式です。推薦の枠に入れなかった場合や、推薦の対象になっていない大学を志望する場合は、こちらで勝負することになります。推薦は原則として専願扱いになることが多く、併願の自由度は学力編入のほうが高いという違いもあります。どちらのルートを主軸に据えるかで準備の仕方が変わるため、4年生のうちに方針を決めておきたいところです。推薦を狙うなら日々の定期試験と課題提出の精度が、学力編入を狙うなら過去問に対応できる演習量が、それぞれ合否を左右します。両にらみで走らせる場合も軸は片方に置くほうが、限られた時間を配分しやすくなります。
出題科目は数学・専門科目・英語が基本
学力編入で課される科目は、多くの大学で数学・専門科目・英語という構成になります。数学は微分積分と線形代数が中心で、大学によっては微分方程式や確率統計、複素関数まで範囲に含まれます。数学はほぼ全ての大学で課される最重要科目ですので、対策の優先順位は自然と高くなります。
専門科目は志望する学科によって内容が変わります。機械系であれば材料力学・流体力学・熱力学・機械力学、電気電子系であれば電気回路・電磁気学・電子回路、情報系であればプログラミング・アルゴリズム・論理回路、化学系であれば有機化学・無機化学・物理化学といった具合です。高専で学んだ内容と重なる部分が大きい反面、大学が独自に設定する出題範囲があるため、過去問での確認は欠かせません。物理を独立した科目として課す大学もあります。
英語はTOEICなど外部試験のスコア提出型が増加
近年の傾向として、英語を独自の筆記試験で課すのではなく、TOEICなどの外部英語試験のスコア提出に切り替える大学が増えています。この方式には利点と注意点の両方があります。利点は、試験当日の英語の出来に左右されず、事前に確定したスコアで勝負できること。注意点は、受験日当日には英語の点数を1点も動かせないことです。
提出できるスコアの有効期限や、出願時点で必要となる受験時期の条件が設けられている場合もあります。そのため英語は最も早く着手すべき科目になります。4年生の前半から計画的に受験機会を確保し、5年生になる前に目標スコアを確保しておくのが理想的な進め方です。必要なスコアの水準は大学・学科によって大きく異なりますので、志望校の募集要項で換算方法や提出条件を必ずご確認ください。
日程が分散するからこそ併願設計が効く
大学編入試験の大きな特徴は、実施時期が大学ごとにばらついていることです。一般入試のように同一日程に集中しないため、複数校を併願する設計が組みやすいのが編入の強みになります。実際、東京高専の進路データを見ても、進学先が20校以上に分散していることが分かります。
ただし併願にはコストもあります。大学ごとに専門科目の出題範囲が違えば、その分だけ準備する内容が増えます。志望度の高い大学を軸に据え、出題範囲が近い大学を併願先に選ぶという発想で組み立てると、負担を抑えながら合格可能性を高められます。編入全体の仕組みや費用感を整理したい方は、大学編入とは?仕組み・難易度・費用・スケジュールを徹底解説【完全ガイド】もご覧ください。
東京高専生の大学編入対策スケジュール|卒業研究と両立させる1年
高専生の編入対策で最大の障壁になるのが、卒業研究との両立です。5年生は研究室に配属され、実験やゼミ、学会発表の準備に時間を取られます。そのうえで編入試験に臨むわけですから、時間の使い方の設計が合否を分けます。ここでは学年ごとにやるべきことを整理します。
3年生〜4年生前半|数学と英語の土台をつくる時期
この時期にやるべきことは明確で、数学と英語の2つです。数学は微分積分と線形代数を、定期試験のためではなく編入試験のために解ける水準まで引き上げます。高専のカリキュラムでは3〜4年生でこれらを学びますので、授業と編入対策を同じ流れに乗せられるのがこの時期の利点です。
英語は、外部試験のスコアが必要になる可能性を前提に早めに動きます。単語と文法の基礎を固め、まずは一度受験して現在地を把握してください。スコアは短期間では動きにくいため、受験機会を複数回確保しておく計画が有効です。大学編入の勉強はいつから始めるべき?でも触れているとおり、試験本番の1年前を目安に始めるのが理想とされています。高専生の場合、英語だけはさらに前倒しで着手する価値があります。
4年生後半〜5年生前半|志望校の決定と過去問演習
4年生の後半は、志望校を具体的に絞り込む時期です。東京高専の進路データを見ながら、先輩がどの大学へ進んでいるかを参考にしつつ、自分の専門と大学の学科の対応関係を確認します。過去問を入手できるかどうかが志望校選びの前提になる場合もありますので、研究室の先輩や進路指導の先生に早めに相談してください。
過去問演習は、解けるかどうかを試すためではなく、出題の癖と要求水準を測るために行います。同じ「材料力学」でも、公式の適用を問う大学と、導出過程まで書かせる大学では対策の方向が変わります。5年生の前半には、志望校の過去問を数年分は通しで解いておきたいところです。あわせて志望理由書の下書きにも着手します。研究テーマや将来像を言語化する作業には時間がかかるため、締切直前に始めると必ず薄い内容になります。
5年生の直前期|卒業研究と試験の優先順位を決める
編入試験の多くは夏に集中します。この時期は卒業研究の中間発表とも重なりやすく、両立の難易度が一気に上がります。現実的な対処は、研究の負荷が高まる時期を指導教員と共有しておくことです。受験を控えていることを早めに伝えておけば、実験の割り振りやゼミの日程で配慮を得られる場合があります。
直前期は新しい参考書に手を出さず、これまで解いた問題の再演習に絞ります。複数校を併願する場合は、試験日順に対策を並べ替え、直近の1校に集中する切り替えが有効です。面接対策も忘れずに。志望理由、卒業研究の内容、編入後に学びたいこと、将来の進路という4点は高い確率で問われます。自分の研究を専門外の人にも伝わる言葉で説明する練習を、声に出して行っておいてください。合格発表後も、単位の読み替えや履修相談、住居の手配など事務的な作業が続きます。編入生は3年次から専門科目が本格化するため、入学後に不足単位の追加履修を求められる場合もあります。入学後の履修負担まで見越して志望校を選ぶと、編入後の学生生活に無理が出にくくなります。
独学の壁と、外部の指導をどう使うか
高専生の編入対策には、独学では埋めにくい壁がいくつかあります。第一に、志望校の出題傾向に関する情報が校内に蓄積されているとは限らないこと。第二に、記述式の答案が「合格水準に達しているか」を自分では判定できないこと。第三に、卒業研究と並行するなかで学習計画を維持する仕組みがないことです。添削と計画管理は独学では代替しにくい領域だといえます。
スプリング・オンライン家庭教師では、志望校別の対策を専門の講師とマンツーマンで進める大学編入対策コースをご用意しています。高専から難関大学へ編入した講師も在籍しており、卒業研究と両立させる学習計画の立て方から、記述答案の添削、面接や志望理由書の準備まで対応しています。独学での対策に不安がある場合は、専門の指導を活用するのもひとつの方法です。
よくある質問(FAQ)
東京高専と大学編入について、受験生や在学生、保護者の方からよく寄せられる質問をまとめました。数値はいずれも公表資料にもとづく特定年度のものですので、最新の状況は公式サイトでご確認ください。
東京高専から大学編入する人はどのくらいいますか?
令和7年度(令和8年3月卒業)は、卒業者176名のうち進学が70名で、そのうち大学編入が48名(国公立46名・私立2名)、専攻科進学が22名でした。卒業生のおよそ4分の1が大学編入という計算になります。過去の年度では進学者が87〜91名と多い年もあり、令和3年度は91名、令和4年度と令和6年度はいずれも87名でした。年度による変動があるため、直近数年分をまとめて確認することをおすすめします。学科別に見ると物質工学科は卒業者40名中21名が進学と進学志向が強く、情報工学科は38名中28名が就職を選んでいます。所属学科によって進路の常識が異なる点は押さえておきたいところです。
東京高専から難関大学へ編入することはできますか?
公表されている実績を見る限り、可能性は十分にあります。令和7年度は北海道大学1名、東北大学2名、神戸大学1名、筑波大学3名、東京科学大学3名という結果でした。過去には東京大学(令和4年度1名)、九州大学(令和4年度2名)、大阪大学(令和3年度・令和4年度に各1名)への編入実績もあります。ただし難関大学の編入枠は若干名であることが多いため、募集人員と出願要件を早い段階で確認し、併願設計まで含めて準備する必要があります。年度によって募集の有無や試験科目が変わることもありますので、志望校が決まったら各大学の学生募集要項を毎年確認する習慣を持ってください。
令和9年度からの改組は、いま在学中の学生の編入に影響しますか?
公表されている案内では、改組は令和9年度(2027年度)の入学生から適用される予定とされています。したがって現在在学中の学生は現行の5学科のまま卒業する見込みで、直近の編入試験対策が今すぐ変わるわけではありません。ただし学科改組の計画は文部科学省に認可申請予定のため変更の可能性があると公式に明記されています。最新の情報を公式サイトでご確認ください。
大学編入と専攻科進学、どちらを選ぶべきですか?
目的次第です。専攻科を修了すると学士の学位を取得でき、令和7年度の専攻科修了生21名のうち12名が大学院へ進学しています。進学先には東京大学大学院2名、東京科学大学大学院4名も含まれており、専攻科経由でも難関大学院に到達できることが分かります。一方、学ぶ環境や専門分野を変えたいなら大学編入が向いています。研究テーマを継続したい、いまの指導環境が合っているという場合は専攻科が合理的な選択になります。なお専攻科は令和9年度からの改組案で「総合工学専攻」(定員25名)に再編される計画が示されており、4年生から専攻科までを一貫する協創工学一貫教育プログラムの新設も予定されています。比較の前提そのものが変わる可能性がある点に留意してください。
東京高専の偏差値はどのくらいですか?
民間の進学情報サイトが公表している2026年度版の推計では、5学科いずれも64とされています。ただしこれは各学校が公式に発表している数値ではなく、模擬試験の受験者データにもとづく推計値です。より実態に近い指標としては、令和8年度入試の学科別倍率が参考になります。全体の倍率は1.7倍、情報工学科は2.6倍と、学科によって競争率に差がありました。加えて令和8年度の推薦選抜では志願者135名に対し合格者120名という結果が公表されています。募集人員の相当部分が推薦段階で決まるため、学力選抜だけを見て難易度を判断しないほうが安全です。
編入試験の勉強はいつから始めればよいですか?
試験本番の1年前を目安に始めるのが理想とされています。高専生の場合は、英語の外部試験スコアが必要になる可能性を踏まえ、英語だけはさらに前倒しで着手する価値があります。数学(微分積分・線形代数)は高専のカリキュラムと重なるため、3〜4年生の授業を編入対策と同じ流れに乗せると効率的です。5年生は卒業研究と重なり時間が取りにくいため、4年生のうちにどこまで進められるかが鍵になります。専門科目は志望校が固まってから範囲を絞るほうが効率的ですので、まずは全大学で共通して問われる数学と英語に資源を集中させるのが定石です。
東京高専は就職と進学のどちらが有利ですか?
どちらも強い、というのが公表データから読み取れる結論です。令和7年度の求人倍率は37.5倍(求人企業数1,763社・求人数3,902件)で、学科によっては60倍近い数字が出ています。一方で進学面でも、国公立大学への編入が46名という実績があります。選択肢が両方とも開かれているからこそ、なぜ進学するのかという理由を自分の言葉で持っておくことが、編入試験の面接でも進路の納得感でも重要になります。就職を選んだ場合でも、社会人として働きながら学び直す道は残ります。逆に進学を選べば、専門を深めたうえで職種の選択肢を広げられます。どちらが正解かではなく、自分が何を優先したいのかで決める問題です。
まとめ|東京高専からの大学編入で押さえたい要点
東京工業高等専門学校(東京高専)の特色と、大学編入の状況を公式資料にもとづいて整理してきました。要点を振り返ります。
- 東京高専は東京都八王子市椚田町にある1965年開校の国立高専で、本科は機械・電気・電子・情報・物質の5学科、入学定員は各学科40名の計200名。2025年に創立60周年を迎えた
- 令和9年度(2027年度)入学生から、本科「総合工学科」(定員200名)・専攻科「総合工学専攻」(定員25名)への改組が予定されている。1年目に全コースを体験し2年生でコースを選ぶ1学科5コース制で、文部科学省への認可申請を経て確定する
- 令和7年度(令和8年3月卒業)は卒業者176名のうち就職104名・進学70名。進学70名の内訳は専攻科22名、国公立大学編入46名、私立大学編入2名だった
- 編入先は長岡技術科学大学6名・豊橋技術科学大学4名・電気通信大学4名が上位。東京都立大学・山梨大学・筑波大学・東京科学大学が各3名で続き、北海道大学や東北大学、神戸大学への編入実績もある
- かつて編入先として挙げていた東京工業大学は、2024年10月の統合により現在は東京科学大学。過去の実績を参照する際は名称の読み替えが必要
- 専攻科は3専攻・2年間で学士の学位を取得でき、令和7年度の修了生21名のうち12名が大学院へ進学。進学先には東京大学大学院2名、東京科学大学大学院4名が含まれる
- 就職の求人倍率は37.5倍と極めて高い。進学を選ぶなら「なぜ大学へ行くのか」を言語化しておくことが、面接でも進路の納得感でも効いてくる
数字を並べてきましたが、進路データはあくまで先輩たちの結果であって、自分の合否を保証するものではありません。むしろ大切なのは、どの大学の実績が毎年安定して出ているかという傾向を読み、自分の学科の専門と出題範囲が重なる大学を見つけることです。東京高専は首都圏に立地しているため、自宅から通える国公立大学の選択肢が豊富で、技術科学大学という高専生向けの受け皿もあります。この恵まれた条件を活かせるかどうかは、4年生までにどれだけ土台を作れるかにかかっています。
一方で、5年生は卒業研究と受験勉強が真正面からぶつかる時期です。研究室の予定は自分の都合では動かせませんし、記述式答案の出来を自分で採点するのも簡単ではありません。情報・添削・計画管理の3つが独学の壁になりやすいという点は、多くの高専生に共通しています。
スプリング・オンライン家庭教師では、高専から難関大学へ編入した講師をはじめ、各専門分野の大学院生や研究者が在籍し、志望校別の対策をマンツーマンで進めています。独学での対策に不安がある場合は、専門の指導を活用するのもひとつの方法です。まずは大学編入対策コースの内容をご覧いただき、無料相談で現在の状況と志望校をお聞かせください。東京高専から長岡技術科学大学へ編入した先輩の実例は合格体験記の記事で紹介しています。
なお、本記事で引用した進路データや入試日程は、東京工業高等専門学校が公表している資料にもとづく特定年度の数値です。募集人員・日程・選抜方法は年度によって変更されますので、出願にあたっては必ず最新の学生募集要項および公式サイトの情報をご確認ください。
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