元高専生の大学編入体験記~東京大学での大学生活~
大学編入2021.06.06
はじめに
こんにちは。
私は令和2年度に高専から大学の編入学試験を受験して,現在東京大学の工学部に在籍しています。
高専の出身学科:電気工学科
現在:東京大学 物理工学科3年生
今回は私の経験をもとに、「編入を志したきっかけ」「どのようなスケジュールをもって対策していたか」「大学入学後の生活」などを語りたいと思います。
編入を志したきっかけ
編入を意識し始めたのは、高専2年生の時。
一般入試と比べると試験科目が少なく、比較的パスしやすい(?)と思われる編入学試験の存在は入学前から知っていました。そして1年生の時の成績もよかったので、自分も難関大に入れちゃうんだろうか…と考え始めました。
最初はただただ高学歴への憧れみたいなものが先行していたので、あまり勉強に集中できていませんでした。しかし、3年後期あたりに幸運にも物理学の魅力に気付き始め、真剣に編入を考えるようになりました。
それに、私は薄い動機で高専に入学したため、電気工学の内容に全く興味を持てず、このまま就職したら一生やりたくない仕事をやらされるのではという危機感を抱いていたことも大きな要因でした。
2年次編入を行っている東京大学ならば、他大学と比べて1年のゆとりがあるので、転学科を希望している自分に合っていると思い、第一志望としました。
編入学は専攻を簡単に変えられる最後のチャンスであるような気がしますので、転学科を考えている人はぜひ色々な大学を調べてみてください。他学科の学生を受け入れているところは意外に多いです。
編入対策スケジュール①
2年の冬からTOEICの勉強だけは始めて、3年の冬にようやく満足するスコアを得ることができました。私は意識し始めた時期が早かったので何とかなりましたが、TOEIC対策に1年はさすがに時間をかけ過ぎなので、短時間で集中してやることをお勧めします。。
英語が苦手で独学の仕方が分からないという人は、編入予備校やスプリング・オンライン家庭教師に頼ることが一番だと思います。少なくとも高専には英語が苦手な学生が多く、差がつきやすい科目ですので、英語が得意な人の知恵を借りて確実な勉強法を知っておくと大きなアドバンテージとなるでしょう。
TOEICを終わらせて、4年生になってからは、いくつか本を購入して物理の勉強に専念していました。「〇〇大学 編入 体験記」などと検索すれば、その大学の編入学試験に合格した人が使っていたテキストなどが紹介されている記事が出てきますので、参考にすることをお勧めです。
これは自分のレベルがどの程度にあるのかということを理解するためにもぜひやっていただきたいです。情報戦になりがちな編入試験対策において、先輩方の編入体験談は超貴重!!!です。隅から隅まで読みつくしましょう.
また、情報を得るにはtwitterやstudyplusを用いて同年代の編入志望の学生と交流するのも手です。自分が持っていない過去問題集をいただけたり、分からない問題があれば気軽に相談したりすることもできますので,私はよく活用していました(ただし,SNS中毒にはお気を付けて)。
編入対策スケジュール②
4年の後期からは数学の勉強も開始しました。皆さんは編入学試験の数学に対してはどのような印象を抱いていらっしゃいますか?「大学数学が編入試験範囲に含まれるんだから、きっとすごく難しいんだ…」と思っている方もいらっしゃる方もいるかもしれません。
たしかに、やっている内容自体は高尚で高校数学と比べると少し難しいのですが、問題として問われるのは極めて基本的なことばかりだったりします.東京大学の試験でさえ、「教科書の例題問1」みたいな問題が出題されることが多々あります。
編入試験対策において第一に重視されるのは,理論をしっかり理解して応用問題を解けるようになるだけの思考力を得ることではなく、基礎公式の使い方を確実にマスターして,簡単な問題を絶対に落とさない!!!ことにあると私は思います。これだけでも意外に難関大の問題にも手がつけられたりします。
意外と忘れがちなのが、願書の作成についてです。編入試験の募集要項は大体4-5月に発表されますので、春休み中に志望理由書に書くことを考えておくことをお勧めいたします。高専の授業、編入試験対策と並行しながらの願書作成はなかなか難しいので、時間のあるうちに済ませましょう。
過去問演習を開始したのは5年になってからです。20年分くらいの過去問題をSNSを通じて知り合った他高専の学生から貰い、ひたすら解いては高専の先生に添削してもらってました。信用できる人を何人か見つけて、この添削の作業をお願いしてみてください。
5年にもなると応用問題も少しずつ解けるようになってきていると思いますので、メインとなる対策は細かい理解のミスなどを見つけることになります。この作業は自分だけではできないので、ぜひ高専の先生や、私たちに頼っていただければと思います。
編入後の生活①
編入を考えている人はやっぱり、「入学後に友人ができるかどうか…」と不安に思うこともあるのではないでしょうか? 大学内ではすでにコミュニティができているので、輪に入りづらいと感じる場面もあるでしょうが、勇気を出して自分から接してみてくださいね。編入生の知り合いで、友人ができないと言っている人は一人も見かけませんので、皆さんとても暖かく迎えてくれると思いますよ。
例えば機械、電気、電子系の高専生ならば,ロボコンサークルに入ってみるのはいかがでしょうか?高専生は即戦力になるのでちやほやされているという話をよく聴きます(笑)また僕の場合、物理、数学の自主ゼミを開いたりしてみました。同じ趣味嗜好を持つ学生がたくさん存在する大学という好環境を最大限利用してやりましょう!
編入後の生活②
ほとんどの大学には3年次に編入することになるのですが、東京大学など一部の大学では2年次編入を採用しています。ですので、私は最初の1年は第2外国語などの一般教養科目も履修することになりました.この機会に自分の専門にとどまらず,生物学や経済学の講義も聴いてみたりして知見を広げることができたので,1年遅れることになりましたが一切後悔はありません。
3年生に進級してからは専門科目が盛りだくさん。日本どころか世界をけん引する教授陣によって行われる実験の授業と座学はどちらも非常に質がよく、本当に勉強になることばかりです。
ただし、量も半端ないです(笑)私の高専では1年半かけてやる数学の内容をさらに濃くしたものを,半年で終わらせちゃいます….高専ですら授業進度が早いと言われていますが、その比ではないことだけは覚悟しておいてください!
非情なまでの超高速授業に加えて、毎週3本くらい実験と演習授業のためのレポート提出が課されますので本当に忙しいんですが、やっと本当に勉強したいことが学べてすごく充実していると感じられています。僕だけに限らず、編入試験を受けようと思う変わり者にはきっとこの忙しさは楽しめると思いますよ。
おどかすような言い種になってしまったかもしれませんが、僕の周りの編入生もみんな上手くやっていますので、これは間違いないと思います。やる気があって血気盛んな高専生、大学生の方はぜひ編入試験にチャレンジしてみてください!
終わりに
いかがでしたか!?
本記事を寄稿してくれた講師は、これまでにスプリングイン・オンライン家庭教師で数多くの指導経験があります。数学や物理の指導を大変得意としており、面倒見がよいことから生徒様からの信頼が厚く、大変人気がある講師です。
高専生で編入を検討しているからはもちろん、それ以外の方もぜひご気軽にお問い合わせください。
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