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【大学編入】鳥羽商船とは!?商専の特色、大学編入の状況

鳥羽商船高等専門学校(通称・鳥羽商船)は、三重県鳥羽市池上町にある国立の高等専門学校で、商船学科をもつ全国5校の商船系高専のうちの1校です。この記事では、鳥羽商船高等専門学校の特色と、そこからの大学編入の実像を、学校および各大学が公表している一次情報だけを使って整理します。結論を先にお伝えすると、鳥羽商船の卒業後の進学ルートは専攻科と大学編入の二本立てで、令和4年度から令和7年度までの4年間の実績は、大学への編入が延べ47名、校内の専攻科への進学が延べ39名でした。
高等専門学校からの大学編入とは、高専の本科(商船学科は5年6ヶ月、工学系の学科は5年)を修了した学生が、大学の第3年次あるいは第2年次に編入学し、残りの在学期間で学士の学位を取得する進学ルートのことです。高校生が受ける一般選抜とは完全に別枠の入試で、試験科目も数学・英語・専門科目・面接などに絞られるのが通例です。鳥羽商船の場合は、高専生の受け皿として設計された豊橋技術科学大学と長岡技術科学大学に加え、東京海洋大学や神戸大学海洋政策科学部といった海事系の進学先が実績に並ぶ点が、ほかの高専とは違う特徴になっています。
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そしてもう一つ、鳥羽商船の商船学科を選んだ人が最初に知っておきたい事情があります。商船学科は5年6ヶ月課程で、卒業が9月になるということです。このため豊橋技術科学大学・長岡技術科学大学・東京海洋大学・神戸大学のいずれも、商船学科の卒業見込者だけは1年後ろ倒しの枠で受け入れる仕組みを募集要項に明記しています。この構造を知らないまま準備を進めると、受験する年度そのものを取り違えてしまいます。
以下では、学校の概要・学科構成・商船学科の中身といった基礎情報から、公式PDFに基づく編入実績、主要な編入先大学の試験科目と配点、専攻科との比較、準備スケジュールまでを順にたどります。なお入試情報は年度ごとに変わりますので、出願にあたっては最新の募集要項でご確認ください。2027年度(令和9年度)以降の受験を考えている方は、本文中に示した各大学の公式ページを起点に、ご自身の卒業年度に対応する要項を必ず取り寄せてください。
鳥羽商船高等専門学校とは?三重県鳥羽市にある商船系高専の概要
鳥羽商船高等専門学校とは、独立行政法人国立高等専門学校機構が設置する国立高専のうち、商船学科を有する5校の商船系高専の一つで、三重県鳥羽市に本校を置く学校です。所在地は〒517-8501 三重県鳥羽市池上町1番1号で、伊勢志摩の海に面した立地にあります。学校公式サイトの商船学科紹介では、歩いてすぐ行ける場所に練習船があり、外航客船も立ち寄る鳥羽湾で海や船を身近に感じられる環境だと説明されています。
全国に5校しかない商船系高専の1つ
商船学科を置く国立高専は、富山・鳥羽・広島・大島・弓削の5校だけです。日本船主協会が公開している5校合同進学ガイダンスの案内によれば、商船学科は航海士を養成する航海コースと機関士を養成する機関コースで構成され、5年半の一貫教育で専門知識を身につける課程とされています。全国で5校という希少性が、鳥羽商船という学校の位置づけを理解するうえでの出発点になります。
ここで先に整理しておきたいのは、鳥羽商船は「船の学校」だけではないという点です。本科には商船学科と情報機械システム工学科の2学科があり、在籍者数で見れば情報機械システム工学科のほうが多数派です。工学系の高専として進学・就職を考えている中学生にとっても選択肢になりますし、大学編入の実績を見ても、工学系4年制大学への編入は情報機械システム工学科からの進学が中心になっています。
創基150年に及ぶ沿革
鳥羽商船の沿革は明治期にさかのぼります。公式の沿革ページによれば、明治8年9月に校祖・近藤真琴が航海測量習練所を開設したことを創基とし、明治14年8月20日に東京攻玉社分校として鳥羽商船黌が開校しました。以後、鳥羽町立鳥羽商船学校、三重県立鳥羽商船学校、官立鳥羽商船学校と設置主体を変えながら続き、昭和42年6月1日に鳥羽商船高等専門学校となりました。高専化した当初は航海学科40名・機関学科40名の計80名という規模でした。
その後、昭和44年に機関学科の1学級増で入学定員が120名になり、昭和60年に機関学科を分離改組して電子機械工学科が誕生、昭和63年には航海学科と機関学科を改組して商船学科と制御情報工学科が置かれました。この時点で商船学科・電子機械工学科・制御情報工学科の3学科120名という体制が完成しています。平成3年4月には留学生と編入学生の受け入れが始まり、平成17年4月には専攻科が設置されました。学校公式サイトには創基150周年・高専創立60周年記念事業基金の案内が掲載されており、明治8年からの歴史が現在も学校のアイデンティティとして語られていることがわかります。
教育理念と教育目標
鳥羽商船の教育理念は「進取・礼譲・質実剛健」です。公式の教育理念ページでは、この理念のもとに3つの教育目標が示されています。(A)人間性豊かな教養人となること、(B)創造性豊かな技術者となること、(C)国際性豊かな社会人となること、の3つです。それぞれに「幅広い教養と知性を身につけ、判断力があり、礼儀正しく、かつ思いやりのある人間を目指す」「確かな基礎学力と専門知識を身につけ、進取の気性と不屈の精神を備えた技術者を目指す」「国際感覚とコミュニケーション能力を身につけ、広い視野と行動力を備えた社会人を目指す」という説明が付されています。
編入試験の志望理由書や面接では、出身校でどんな教育を受けてきたかを自分の言葉で語る場面が出てきます。学校が掲げている理念と教育目標は、そうしたときに自分の経験を整理するための足場になります。単に暗記するのではなく、5年間(商船学科は5年半)で自分が実際に取り組んだことのうち、どれがこの3つの目標に対応するのかを棚卸ししておくと、書類も面接も具体性が増します。
寮と国際交流の歴史
沿革をたどると、学生生活の形も時代とともに変わってきたことがわかります。昭和60年には開学以来はじめて女子学生の入学が許可され、航海学科3名・電子機械工学科3名の計6名が入学しました。当時は全寮制を基本としており、平成2年に全学全寮制を廃止して1・2年生の全寮制に、平成6年には商船学科1・2年生の全寮制に縮小し、平成18年4月に商船学科の全寮制も廃止して任意寮となりました。現在は寮に入るかどうかを選べる形です。
国際交流にも早くから取り組んできました。平成20年8月にシンガポールポリテクニックおよびシンガポールマリタイムアカデミーと、平成22年11月にハワイ大学カウアイコミュニティーカレッジと、平成26年3月にイスタンブル工科大学と、それぞれ教育・学術に関する国際交流協定を締結しています。在籍学生数のデータにも留学生の内数が示されており、令和7年5月1日現在で本科に8名の留学生が在籍しています。編入試験の面接で国際性について問われたとき、こうした学内の環境は語る材料になります。
入学の入り口はどうなっているか
大学編入の話に入る前に、鳥羽商船そのものへの入り口も確認しておきます。公式の合格発表ページによれば、本科入試には高度情報エンジニア育成特別選抜、体験学習選抜、特別推薦選抜、一般推薦選抜、学力検査選抜、帰国生徒特別選抜という区分があります。学校の説明では、推薦系の選抜であわせて定員の85%までを合格とし、残り15%が学力検査選抜という配分になっています。
令和8年度入試の志願者・合格者・入学者数のページを見ると、本科全体の入学者は141名でした。区分別の内訳は高度情報エンジニア育成特別選抜20名、体験学習選抜1名、特別推薦選抜32名、一般推薦選抜53名、学力検査選抜25名、追加募集10名です。推薦系の比重が高いという学校の説明が、実際の数字にもそのまま表れていることがわかります。なお民間の受験情報サイトには鳥羽商船の偏差値が掲載されていますが、これらは各社の推計値であって学校の公式発表ではありません。学力の目安を測るなら、公式が出しているこうした志願者数・合格者数のほうが確かな材料になります。
鳥羽商船の学科構成|商船学科と情報機械システム工学科の2学科体制
大学編入を考えるうえで最初に押さえるべきなのが、鳥羽商船の現在の学科構成です。ここは古い情報がインターネット上に残りやすい部分なので、公式の沿革ページと在籍学生数ページで確認しておきます。
2019年(平成31年)の改組で2学科体制になった
鳥羽商船の本科は、かつて商船学科・電子機械工学科・制御情報工学科の3学科体制でした。しかし公式の沿革によれば、平成31年4月1日に電子機械工学科と制御情報工学科を改組し、情報機械システム工学科80名となりました。つまり現在の本科は商船学科と情報機械システム工学科の2学科です。「電子機械工学科」「制御情報工学科」という名称で説明している情報源は、2019年より前の状態を書いたものだと判断できます。
この改組の理由について、学校は情報機械システム工学科の紹介ページのQ&Aで説明しています。近年のAIやIoTの発展により、両学科の基盤である機械・電気電子・情報の各分野は共通して学ぶべき内容が多くなり、別々の学科として教育課程を組むことが学生にとって有益とは言えない状況になった、というのが公式の説明です。実際、令和4年度の大学編入学先一覧には電子機械工学科・制御情報工学科の欄がまだ残っていますが、これは改組前に入学した学生が卒業していたためで、令和5年度以降の一覧は情報機械システム工学科に一本化されています。
情報機械システム工学科のユニット制と高度情報工学コース
情報機械システム工学科の特徴は、高学年で自分の進路に合わせて科目を組み合わせる「ユニット制」です。専門性ユニットにはデータアナライズ、モバイルアプリケーション、スマートセンシング、パワーエレクトロニクス、エアロスペース、ロボティクスの6つがあり、志向性ユニットには開発・設計、生産技術、顧客対応、ビジネス基礎、国際性の5つが用意されています。学校の説明では、コース制と違い選択科目を自由に選べるのがユニット制だとされています。1年生から地域連携PBLチームに所属し、漁業・農業・観光業といった地域産業の課題を工学で解こうとする実践型のカリキュラムも組まれています。
さらに令和7年4月1日には、情報機械システム工学科に高度情報工学コースが開設されました。これにより第1学年は総合工学コース定員60名と高度情報工学コース定員40名の計100名という編成になっています。編入学の観点では、このユニット制の履修設計が、そのまま志望する大学の課程選びと直結します。たとえば豊橋技術科学大学や長岡技術科学大学は志望分野ごとに専門科目の試験内容が変わるため、どのユニットを選ぶかが受験科目の得意不得意に影響してくるという構造です。
入学定員と在籍学生数(令和7年5月1日現在)
公式の在籍学生数ページに基づく現状は次のとおりです。数字は令和7年5月1日現在のもので、括弧内は女子学生の内数です。
| 学科 | 入学定員 | 在籍者数(うち女子) |
|---|---|---|
| 商船学科(航海コース・機関コース) | 40名 | 234名(41名) |
| 情報機械システム工学科 | 80名(第1学年のみ100名) | 423名(89名) |
| 本科 計 | 120名(第1学年のみ140名) | 657名(130名) |
| 専攻科 海事システム学専攻 | 4名 | 5名(0名) |
| 専攻科 生産システム工学専攻 | 8名 | 17名(1名) |
| 専攻科 計 | 12名 | 22名(1名) |
本科657名のうち女子学生は130名で、およそ5人に1人という比率です。商船学科の在籍者234名には、5年6ヶ月課程のうち最後の期間にあたる実習課程の36名が含まれています。この実習課程という区分が存在すること自体が、商船学科が5年ではなく5年半の課程であることの現れです。在籍者数の内訳を見れば学科の実態がつかめますので、学校選びの段階でも一度は目を通しておく価値があります。
卒業・修了者数のページもあわせて確認しておくと、令和6年度の卒業者は商船学科航海コース18名、機関コース13名、情報機械システム工学科71名の計102名、専攻科の修了者は海事システム学専攻3名と生産システム工学専攻10名の計13名でした。学校全体の累計卒業者数は8,164名に達しています。
鳥羽商船に「編入学」で入る道もある
あわせて触れておくと、鳥羽商船は自校への編入学生も受け入れています。公式の編入学生募集案内には第4学年編入と、第3学年編入学試験(外国人対象)の2区分が掲載されており、令和9年度の編入学生募集要項が公開されています。沿革によれば編入学生の受け入れが始まったのは平成3年4月で、電子機械工学科3年に留学生1名、同4年に編入学生2名を受け入れたのが最初でした。高校からの進路変更として高専4年次に入る選択肢もあるということです。詳細は学生課教務係へ問い合わせるよう案内されています。
商船学科の特色|5年6ヶ月課程・乗船実習・三級海技士
鳥羽商船を語るうえで欠かせないのが商船学科です。ここは工業系高専の学科とは制度そのものが違っており、大学編入のスケジュールにも直接影響します。
航海コースと機関コースに分かれる
商船学科は第3学年から航海コースと機関コースに分かれます。航海コースは船長・航海士を養成するコースで、船と積荷を安全かつ経済的に目的地へ届けるための知識と技術を学びます。機関コースは機関長・機関士を養成するコースで、エンジンの運転と保守をはじめ、補助機関やその他の船内機器に精通した技術者を育てます。学校公式サイトの商船学科ページでは、練習船「鳥羽丸」のほか、航海シミュレータ、内燃機関、蒸気タービンといった実習設備が紹介されています。
なお練習船については、公式の沿革に令和7年3月14日に練習船鳥羽丸(四代目)が竣工したと記載されています。初代の建造が昭和35年ですから、鳥羽商船は60年以上にわたって自前の練習船で実習を続けてきたことになります。
5年6ヶ月課程と1年間の大型練習船実習
商船学科がほかの学科と決定的に違うのが修業年限です。学校の専攻科紹介ページには、高専の専攻科は「学科5年ないし5年半に渡る教育の上に」設置されていると書かれており、商船学科が5年半課程であることが示されています。5年半ということは、入学した年の4月から数えて卒業は6年目の9月です。商船学科の卒業は3月ではなく9月という点が、大学編入を考えるうえでの前提になります。
この半年分の差を生んでいるのが乗船実習です。専攻科の海事システム学専攻の説明には、「本科席上課程(商船学科航海コースおよび機関コース)および1年間の大型練習船実習で習得した海技技術を基礎に」という記述があります。日本船主協会の合同進学ガイダンス案内でも、校内の練習船での実習に加えて海技教育機構の大型練習船での長期実習を経験すると説明されています。つまり教室での座学と学内実習に、1年間規模の乗船実習が積み上がる構造です。
この乗船実習は、大学編入を目指す学生にとって二重の意味を持ちます。ひとつは、志望理由書や面接で語れる経験が他の受験生と大きく異なるという強みです。もうひとつは、実習期間中は編入試験の勉強時間を確保しにくいという現実的な制約です。どちらも早めに認識しておくほど、対策の立て方に差が出ます。
三級海技士(航海・機関)第一種養成施設という位置づけ
鳥羽商船の商船学科は、公式サイト上で「三級海技士(航海・機関)第一種養成施設」と明示されています。日本船主協会の案内によれば、商船学科の卒業時には準学士の称号が与えられ、卒業後は三級海技士の国家試験を筆記試験免除で受験できます。海技士という国家資格に直結した課程であることが、商船学科の最大の特色です。
この資格ルートは、大学編入を選んだ場合の判断材料にもなります。たとえば東京海洋大学の編入学募集要項には、商船学科航海コースの卒業見込者が海事システム工学科へ編入する場合はすべて第3年次編入となり、乗船実習科(航海課程)へは進学できないと明記されています。機関コースの卒業見込者が海洋電子機械工学科へ編入する場合も同様の扱いです。すでに高専側で海技士の養成課程を修了している学生と、そうでない学生とで、大学側の受け入れ方が変わるという設計になっているわけです。
いっぽう情報機械システム工学科は船に乗りません。学校の公式Q&Aにも「船には乗りません。船に関する仕事をしたい場合、商船学科がおすすめです」と明快に書かれています。同じ鳥羽商船の学生でも、所属学科によって卒業時期も資格も編入の受け方も変わるという点は、記事や口コミを読むときに取り違えやすいポイントです。
鳥羽商船の大学編入状況|令和4〜7年度の進学先と人数
ここからが本題です。鳥羽商船は「就職・大学編入学先」のページで、年度ごとの進路先一覧をPDFで公開しています。以下は、その公式PDFから進学部分だけを抜き出して整理したものです。学校が公表している一次データですので、口コミサイトの伝聞よりも確度の高い材料になります。
年度別の進学先と人数
| 進学先 | 令和4年度 | 令和5年度 | 令和6年度 | 令和7年度 |
|---|---|---|---|---|
| 豊橋技術科学大学 | 6名 | 8名 | 4名 | 7名 |
| 長岡技術科学大学 | 2名 | 3名 | ― | 3名 |
| 東京海洋大学 | 1名 | 1名 | 2名 | 2名 |
| 神戸大学 | 1名 | 1名 | 2名 | ― |
| 千葉大学 | ― | 2名 | ― | ― |
| 島根大学 | ― | 1名 | ― | ― |
| 鹿児島大学 | ― | ― | ― | 1名 |
| 鳥羽商船高専 専攻科 | 11名 | 11名 | 10名 | 7名 |
| 進学 合計 | 21名 | 27名 | 18名 | 20名 |
令和7年度の数字は令和8年5月21日現在の集計、令和6年度は令和7年3月31日現在の集計です。商船学科は9月卒業のため、年度の集計時点によって数字が動く可能性がある点にはご注意ください。令和7年度についてはこのほかに、本校研究生1名、専門学校1名、マレーシアのUniversiti Teknologi Malaysiaへの進学予定1名、通信制大学への進学予定1名が「その他」として計上されています。海外大学への進学者が出ているのも、国際交流協定を複数結んできた鳥羽商船らしい記録です。
4年間を合計すると見えてくる傾向
上の表を大学別に足し合わせると、令和4年度から令和7年度までの4年間で、大学への編入学は延べ47名、専攻科への進学は延べ39名になります。大学別の内訳は次のとおりです。
| 編入先大学 | 令和4〜7年度の合計 | 大学編入47名に占める割合 |
|---|---|---|
| 豊橋技術科学大学 | 25名 | 約53% |
| 長岡技術科学大学 | 8名 | 約17% |
| 東京海洋大学 | 6名 | 約13% |
| 神戸大学 | 4名 | 約9% |
| 千葉大学 | 2名 | 約4% |
| 島根大学 | 1名 | 約2% |
| 鹿児島大学 | 1名 | 約2% |
ここから読み取れる傾向は明確です。編入者の半数以上が豊橋技術科学大学に進んでいます。豊橋技術科学大学と長岡技術科学大学の2校を合わせると33名で、全体の約7割を占めます。この2校は高専卒業生を主たる入学者として想定して設立された技術科学大学で、第3年次の募集人員が桁違いに大きいという事情があります。鳥羽商船に限らず、全国の高専で同じ傾向が見られます。
いっぽうで、東京海洋大学6名と神戸大学4名という数字も見逃せません。この2校は海事系の学部を持つ大学で、商船学科で学んだ内容が直接つながる進学先です。編入者47名のうち10名、およそ5人に1人が海事系の大学に進んでいる計算になります。これは工業系の高専にはない、商船系高専ならではの進路の広がりです。千葉大学・島根大学・鹿児島大学のように単年度の実績もあり、技科大2校以外の国立大学にも道は開かれていることがわかります。
専攻科と大学編入はほぼ拮抗している
4年間の合計で見ると、大学編入47名に対して専攻科進学39名で、進学者のうち専攻科を選ぶ人が45%前後を占めます。年度別に見ると令和4年度と令和5年度は専攻科が11名で、大学編入の10名・16名と競り合う水準でした。令和7年度は専攻科7名に対して大学編入13名と、大学編入側に振れています。どちらか一方が圧倒的という構図ではないというのが実情です。
なお、進学者の実数は卒業生全体から見れば多数派ではありません。令和6年度の本科卒業者は102名で、そのうち進学は18名でした。残りは就職しており、公式PDFには海運会社、電機・機械メーカー、情報通信、電力、鉄道など幅広い企業名が並んでいます。高専からの進学は「全員が進む道」ではなく、意志を持って選び取る進路だという前提を押さえたうえで対策を組み立てる必要があります。大学編入という制度そのものの全体像については、大学編入とは?仕組み・難易度・費用・スケジュールを徹底解説【完全ガイド】もあわせてご覧ください。
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商船学科からの大学編入は1年ずれる|募集要項に書かれた仕組み
ここが本記事でもっともお伝えしたい論点です。鳥羽商船の商船学科は9月卒業のため、大学編入の受験年度と入学年度が、工学系の学科とは1年ずれます。これは各大学が募集要項に明記している制度上の扱いで、解釈の余地はありません。
4大学の募集要項に何が書かれているか
実際の記述を確認していきます。豊橋技術科学大学の第3年次学生募集要項は、表紙からして「令和9年度 第3年次学生募集要項」と「(令和9年度商船高等専門学校及び高等専門学校の商船学科卒業見込者)令和10年度 第3年次学生募集要項」の二本立てになっています。推薦入試の出願資格には「令和8年度に日本国内の高等専門学校(商船学科を除く)を卒業見込みの者又は高等専門学校の商船学科を令和9年度に卒業見込みの者」と書かれ、入学手続の詳細通知の時期も「令和8年11月中旬(商船学科については令和9年11月中旬)」と分けられています。
長岡技術科学大学も同じ構造です。募集要項の表紙は「令和9年度 第3学年(高等専門学校の商船学科を令和9年9月卒業見込みの者は、令和10年度 第3学年)学生募集要項」と記されています。学力入試の出願資格でも「令和8年度高等専門学校(商船学科を除く)卒業見込みの者及び高等専門学校の商船学科を令和9年9月卒業見込みの者」と、商船学科だけ別扱いになっています。
神戸大学海洋政策科学部は、この構造をさらに明快な表にしています。2026年度実施の第3年次編入学学生募集要項では、2027年4月入学の枠と2028年4月入学の枠が並記され、前者は「高等専門学校(商船学科以外)を2027年3月卒業見込みの者」、後者は「高等専門学校(商船学科)を2027年9月卒業見込みの者」と出願資格が振り分けられています。同じ試験日に受けて入学時期だけが1年違うという設計です。東京海洋大学海洋工学部の要項も同様で、商船学科を令和9年9月に卒業見込みの者は令和10年4月の編入学と定められています。
| 大学 | 工学系学科(3月卒業) | 商船学科(9月卒業) |
|---|---|---|
| 豊橋技術科学大学 | 令和9年度 第3年次 | 令和10年度 第3年次 |
| 長岡技術科学大学 | 令和9年度 第3学年 | 令和10年度 第3学年 |
| 神戸大学 海洋政策科学部 | 2027年4月入学 | 2028年4月入学 |
| 東京海洋大学 海洋工学部 | 令和9年4月編入学 | 令和10年4月編入学 |
1年ずれることの実務的な影響
この仕組みは、商船学科の学生にとって不利にも有利にもなり得ます。まず不利な面から挙げると、同学年の工学系学科の友人が先に受験を終えて進路を決めるため、受験の空気感を共有しにくいという状況が生まれます。校内で情報を交換する相手が少なく、対策の進捗を測る基準を自分で作らなければなりません。加えて、乗船実習の期間と受験勉強の時期が重なると、まとまった学習時間の確保が難しくなります。
いっぽう有利な面もあります。工学系の学生より準備期間が実質的に長く取れるという点です。同学年が受験する年に自分はまだ在学しているので、先に受けた先輩や同期の受験報告を材料にしながら、自分の受験までに対策を積み増すことができます。英語資格試験のスコア取得についても、受験のチャンスが1年分多いということになります。この時間差をどう使うかで結果は変わります。
もう一つ実務的に重要なのが、募集要項を取り違えないことです。商船学科の学生が「令和9年度 第3年次学生募集要項」だけを見て準備すると、そもそも自分が出願できない要項を読んでいることになります。要項の表紙にある年度表記を必ず確認するところから始めてください。学校の進路指導担当や学科の先生に、自分の卒業年月と対応する要項を一緒に確認してもらうのが確実です。
鳥羽商船から編入実績が多い大学の入試方式と試験科目
実績のある編入先について、各大学が公開している募集要項をもとに入試方式と試験科目を整理します。以下は令和8年(2026年)に実施される入試の内容です。入試内容は年度ごとに変わりますので、出願前に最新版の要項でご確認ください。
豊橋技術科学大学(工学部・第3年次)
鳥羽商船からの編入者がもっとも多い大学です。第3年次の入学者選抜は推薦入試・学力入試・外国人留学生入試・社会人入試の4方式で、募集人員は工学部全体で360名にのぼります。内訳は機械工学課程95名、電気・電子情報工学課程80名、情報・知能工学課程80名、応用化学・生命工学課程55名、建築・都市システム学課程50名で、このうち推薦が179名、学力が181名です。推薦だけで179名という規模は、高専生の受け皿として設計された大学ならではです。
推薦入試の選抜方法は書類選考のみで、出身学校長から提出された推薦書と調査書等により総合判定されます。学科試験はありません。そのぶん出願資格は「在学中の成績が上位に属し、人物、学力が優秀で、出身学校長の推薦を受けられる者」とされ、さらに合格した場合の入学確約が求められます。合格後に辞退することはできず、他の国公立大学の推薦入試を重複して受験することもできません。推薦を選ぶ時点で進路が確定するという重い選択になります。
学力入試は令和8年6月27日(土)に実施され、配点は英語150点・国語100点・応用数学100点・志望課程別専門科目150点の計500点です。英語はリスニングを含む90分、国語60分、応用数学60分、志望課程別専門科目90分という時間配分になっています。応用化学・生命工学課程だけは志望課程別専門科目の筆記に代えて面接が実施されます。志望課程は第2志望まで選べますが、出身学科によって志望できる課程に制限がある点は要項の対応学科表で確認が必要です。
長岡技術科学大学(工学部工学課程・第3学年)
もう1校の技術科学大学です。工学課程全体の募集人員は340名で、機械工学分野83名、電気電子情報工学分野94名、情報・経営システム工学分野45名、物質生物工学分野71名、環境社会基盤工学分野47名という配分になっています。このうち日本の高専卒業見込者向けの推薦が168名、学力入試(一般入試)が172名です。
推薦入試の選抜は書類審査のみで、調査書・推薦書・志望調書の内容を総合的に評価し、配点は130点です。合格発表は令和8年6月11日で、豊橋技術科学大学の6月8日と近い時期になります。ここでも同一人を他の国公立大学と重複して推薦することはできません。志望調書は志願者自身が作成する書類であり、書類審査のみの選抜では、この1枚が合否を左右する重みを持ちます。
学力入試は令和8年6月27日(土)実施で、配点は国語(日本語)100点・英語200点・数学および応用数学200点・志望分野別科目300点・面接200点の計1,000点です。志望分野別科目は「力学基礎」「電気電子情報工学」「情報・経営システム工学」「化学・生物系分野」「建設工学」に関する基本的専門科目から、志望分野に応じて選択します。ここで注意したいのが試験日です。豊橋と長岡の学力入試はいずれも6月27日(土)で、学力入試での併願はできません。推薦で不合格になった場合に学力入試へ回る導線も両校に用意されていますが、最終的にはどちらか一方を選ぶことになります。
東京海洋大学(海洋工学部)
海事系の代表的な進学先です。令和9年度の編入学試験は、出願期間が令和8年5月18日から22日、試験日が令和8年6月12日(金)、合格発表が令和8年7月10日(金)という日程で実施されます。推薦試験の募集人員は海事システム工学科5名、海洋電子機械工学科5名、流通情報工学科若干名で、学力試験は各学科とも若干名です。
推薦試験は小論文(10時から12時)と面接(13時15分から)で、調査書・小論文・面接の評価の合計が原則24以上の者を対象に総合判定されます。学力試験は数学と外国語の2教科で、数学は線形代数(行列、行列式、連立一次方程式、固有値、固有ベクトル)と微分積分学(微分、積分、級数、偏微分、重積分)から出題されます。外国語は読解・総合問題(辞書使用可、辞書は大学が用意)と英作文(辞書使用不可)の2部構成で、英作文には動詞の時制・態の理解を問う問題が含まれると明記されています。配点は数学100点・外国語100点で、原則として合計120点程度以上が判定の対象とされています。合格ラインの目安が要項に書かれている例は多くないので、対策の指標として有用です。
もう一つ、東京海洋大学で見落とせないのが出願要件です。出願資格に加えて、ケンブリッジ英語検定、実用英語技能検定、GTEC(4技能)、IELTS、TEAP、TEAP CBT、TOEFL iBT、TOEIC L&RとTOEIC S&WのいずれかでCEFR A1以上のスコア提出が必須です。TOEICを使う場合はL&RとS&Wの両方の受検が必要とされています。スコアの取得には申込から結果到着まで時間がかかりますので、出願期間から逆算した準備が要ります。
神戸大学(海洋政策科学部)
神戸大学は2021年4月に海事科学部を改組して海洋政策科学部を設置しました。古い情報源では「海事科学部」と書かれていることがありますが、現在の学部名は海洋政策科学部です。2026年度実施の第3年次編入学は、募集人員10人、Web出願登録が2026年6月2日から8日、試験日が2026年7月4日(土)、合格発表が7月10日(金)という日程です。
募集する領域は海洋基礎科学領域、海洋応用科学領域、海洋ガバナンス領域、海技ライセンスコース航海学領域、海技ライセンスコース機関学領域の5つです。学力試験による選抜は数学100点・物理学100点に、TOEICまたはTOEFLの成績を100点満点に換算して加える方式で、数学は微分積分学と線形代数学から出題されます。推薦による選抜は成績証明書100点・小論文100点・面接口述試験100点の計300点で、各高専から推薦できるのは1校あたり2人以内という枠が設けられています。校内選考の競争が発生する構造なので、低学年からの成績が直接効いてきます。
| 大学 | 推薦の選抜方法 | 学力試験の科目 | 試験日(令和8年実施) |
|---|---|---|---|
| 豊橋技術科学大学 | 書類選考のみ | 英語150・国語100・応用数学100・専門150 | 6月27日(土) |
| 長岡技術科学大学 | 書類審査のみ(130点) | 国語100・英語200・数学200・専門300・面接200 | 6月27日(土) |
| 東京海洋大学 海洋工学部 | 小論文+面接 | 数学100・外国語100 | 6月12日(金) |
| 神戸大学 海洋政策科学部 | 成績証明書+小論文+面接口述(300点) | 数学100・物理学100・英語外部試験100 | 7月4日(土) |
4校を並べると、必要な力の重心が違うことがわかります。豊橋と長岡は推薦が書類のみで、日頃の成績がそのまま合否になります。東京海洋大学と神戸大学は推薦でも小論文と面接が課され、英語の外部試験スコアが直接得点や出願要件になります。どの大学を狙うかで低学年からの動き方が変わるということです。
専攻科進学と大学編入の比較|鳥羽商船生の2つの進路
鳥羽商船から進学する場合、大学編入と並ぶもう一つの選択肢が校内の専攻科です。4年間の実績で39名が選んでいる進路ですので、比較の視点を持っておく価値があります。
専攻科の2専攻と定員
鳥羽商船の専攻科には、商船学科を基礎とする海事システム学専攻と、情報機械システム工学科を基礎とする生産システム工学専攻の2専攻があります。入学定員は海事システム学専攻4名、生産システム工学専攻8名で、修業年限はいずれも2年です。設置は平成17年4月1日でした。専攻科は本科5年ないし5年半の上に積む高度な専門教育という位置づけだと学校は説明しています。
海事システム学専攻は、本科の席上課程と1年間の大型練習船実習で習得した海技技術を基礎に、国際的に通用する海事技術者としての能力、リーダーシップ、問題解決能力、環境問題への見識、地域社会の課題に参画する社会人としての資質を育てることを掲げています。生産システム工学専攻は、機械システム、電子・物性、計測制御、情報・通信の各分野の知識を修得し、研究開発能力・創造的製作能力・英語コミュニケーション能力の3本柱で教育すると説明されています。
学士の学位と大学院進学
専攻科を選ぶ最大の理由は、学士の学位が取得できることです。学校の説明では、専攻科を修了した学生は4年制大学卒業と同等と認められ、学士の学位取得が可能とされています。修了後は企業への就職だけでなく大学院修士課程への進学もでき、その先の博士課程への道も開かれます。学位は大学改革支援・学位授与機構への申請で授与される仕組みで、所定の単位修得と審査が条件になります。
つまり「学士を取って大学院に行く」というゴールだけを見れば、大学編入と専攻科は同じ地点に到達します。違うのは経路です。大学編入は環境を変え、新しい研究室や設備、同級生の層に触れることができます。専攻科は住み慣れた環境で、本科から連続した指導のもとに研究を深められます。編入試験という受験を挟むかどうかも大きな違いです。
どちらを選ぶかの判断軸
実績の数字を見るかぎり、鳥羽商船ではどちらか一方が圧倒的という状況ではありません。判断の軸として考えたいのは次のような点です。
- 行きたい研究室や学びたい分野が校外にあるか、校内で完結するか
- 編入試験の準備に充てられる時間を、在学中に確保できるか
- 推薦を狙える成績を低学年から積み上げてきたか
- 大学院までを見据えたとき、どちらの経路のほうが希望する研究に近づけるか
- 学費や生活環境の変化を許容できるか
とくに商船学科の学生の場合は、専攻科の海事システム学専攻の定員が4名と小さいことも考慮に入れる必要があります。定員4名という枠の小ささは、専攻科なら安全という前提が必ずしも成り立たないことを意味します。大学編入と専攻科の両方を視野に入れて、早い段階から成績と受験準備の両輪を回しておくのが現実的な戦略です。
鳥羽商船から大学編入を目指す準備とスケジュール
ここまで見てきた入試情報を、実際の準備に落とし込みます。鳥羽商船からの編入で押さえるべき要素は、成績・英語・数学と専門・書類と面接の4つです。順に整理します。
低学年からの成績が最大の資産になる
豊橋技術科学大学と長岡技術科学大学の推薦は、いずれも書類のみで合否が決まります。神戸大学の推薦も成績証明書に100点が配分され、そもそも1校あたり2人以内という推薦枠を校内で争うことになります。推薦ルートの実質的な試験は1年生からの定期試験だと考えたほうが実態に合っています。3年生や4年生になってから慌てて成績を上げようとしても、それまでの評定は変えられません。
ここで意識したいのは、成績を上げること自体より「どの科目の成績が効くか」を早めに知っておくことです。志望する課程や分野によって重視される専門科目は変わりますし、対応学科表によって志望できる課程が制限される場合もあります。2年生のうちに志望候補を3校程度に絞り、それぞれの募集要項に目を通しておくと、日々の勉強に優先順位がつきます。
英語資格は出願要件になり得る
英語の扱いは大学によってかなり違います。東京海洋大学は出願要件としてCEFR A1以上のスコア提出を求めており、スコアがなければそもそも出願できません。神戸大学はTOEICまたはTOEFLの成績を100点満点に換算して総得点に加えます。いっぽう豊橋技術科学大学と長岡技術科学大学の学力入試は、大学が作成する英語の筆記試験を課す方式です。
外部試験のスコアが要る大学を1校でも志望に含めるなら、受検の申込と結果到着までのリードタイムを織り込んだ計画が必要です。とくに商船学科の学生は乗船実習の期間があるため、受検できる時期が限られます。実習の日程が確定した段階で受検日を先に押さえるという順序で動くと、直前に受検機会がないという事態を避けられます。TOEICを使う場合、東京海洋大学ではL&RとS&Wの両方が必要とされている点にも注意してください。
数学と専門科目は出題範囲から逆算する
学力入試の中核は数学です。東京海洋大学は線形代数と微分積分学、神戸大学も微分積分学と線形代数学と、範囲が要項に明示されています。長岡技術科学大学は数学・応用数学に200点、豊橋技術科学大学は応用数学に100点を配分しています。高専で学ぶ応用数学の範囲がそのまま出題範囲になるため、授業を土台にできるのが高専生の強みです。
専門科目は志望分野で内容が変わります。長岡技術科学大学は「力学基礎」「電気電子情報工学」「情報・経営システム工学」「化学・生物系分野」「建設工学」の区分から選択する方式で、配点は300点と最大です。豊橋技術科学大学の志望課程別専門科目は150点。神戸大学は専門科目ではなく物理学100点という構成です。過去問が公開されている大学もありますので、志望校を決めたら早めに実物を見て、必要な演習量を測ってください。
志望理由書と面接は経験の棚卸しから
書類と面接では、鳥羽商船で何を学び、なぜその大学で続きを学びたいのかが問われます。神戸大学の面接・口述試験の評価基準には、志望理由、勉学意欲、課外活動、英語・理数系の基礎知識と明記されています。東京海洋大学の面接も、協調性、理解力、就学意欲などを評価すると書かれています。商船学科であれば乗船実習、情報機械システム工学科であれば地域連携PBLやユニットで選んだ専門というように、高専でしか積めない経験を具体的に語れるかが勝負どころです。
準備の順序としては、次のような流れが取り組みやすいはずです。
- 1〜2年次: 定期試験で評定を積み上げ、志望候補を広く見ておく
- 3年次: 志望校を3校程度に絞り、各校の募集要項と過去問を確認する
- 3年次後半〜4年次前半: 英語外部試験のスコアを取得し、数学の総復習に入る
- 4年次: 専門科目の演習と過去問演習を並行させ、推薦の可否を担任と相談する
- 受験年次: 出願書類の作成、小論文と面接の練習、直前期の総仕上げ
商船学科の場合は、この流れ全体が1年後ろにずれます。いつから何を始めるかの一般的な考え方は大学編入の勉強はいつから始めるべき?で詳しく整理していますので、自分の卒業年月に合わせて読み替えてみてください。志望校ごとの科目バランスや書類の作り込みまで個別に設計したい場合は、大学編入対策コースのように志望校別で伴走する指導を利用するのも一つの方法です。
よくある質問(FAQ)
鳥羽商船高等専門学校から大学編入はできますか?
できます。学校が公開している進路先一覧によれば、令和4年度から令和7年度までの4年間で延べ47名が大学へ編入学しています。編入先は豊橋技術科学大学、長岡技術科学大学、東京海洋大学、神戸大学、千葉大学、島根大学、鹿児島大学です。ただし卒業生の多くは就職しており、令和6年度は本科卒業者102名のうち進学が18名でした。進学は選び取る進路であることを前提に、早めの準備をおすすめします。
鳥羽商船からの編入先で最も多い大学はどこですか?
豊橋技術科学大学です。令和4年度から令和7年度の4年間で25名が編入しており、大学編入者47名の半数以上を占めます。次いで長岡技術科学大学が8名、東京海洋大学が6名、神戸大学が4名と続きます。技術科学大学2校で全体の約7割です。両校は高専卒業生を主たる入学者として想定した大学で、第3年次の募集人員が豊橋360名、長岡340名と大きいことが背景にあります。
商船学科は9月卒業だと聞きましたが、大学編入の時期はどうなりますか?
入学が1年後ろ倒しになります。商船学科は5年6ヶ月課程で9月に卒業するため、豊橋技術科学大学・長岡技術科学大学・神戸大学・東京海洋大学はいずれも、商船学科の卒業見込者向けに1年後の入学枠を設けています。たとえば長岡技術科学大学の要項は「令和9年度 第3学年(高等専門学校の商船学科を令和9年9月卒業見込みの者は、令和10年度 第3学年)」という表記です。自分の卒業年月に対応する要項かどうかを確認してから読み進めてください。
情報機械システム工学科からでも海事系の大学に編入できますか?
大学によります。東京海洋大学の海洋工学部は、高等専門学校(商船学科を除く)の卒業見込者にも第3年次および第2年次の編入枠を用意しています。神戸大学海洋政策科学部も商船学科以外の高専生を対象とした枠があります。ただし三級海技士の資格取得を目指す場合は、履修すべき海技科目や乗船実習科への進学要件が学科ごとに異なりますので、志望校の要項と学科の説明を確認してください。
鳥羽商船の偏差値はどれくらいですか?
民間の受験情報サイトには数値が掲載されていますが、これらは各社の推計であり学校の公式発表ではありません。学力の目安を知りたい場合は、学校が公表している志願者・合格者・入学者数を見るほうが確かです。令和8年度は本科全体で141名が入学しており、区分別では一般推薦選抜53名、特別推薦選抜32名、学力検査選抜25名などとなっています。推薦系の選抜で定員の85%まで、残り15%が学力検査選抜という配分も公表されています。
専攻科と大学編入はどちらが有利ですか?
一概には言えません。どちらも学士の学位を取得でき、大学院修士課程への進学が可能です。鳥羽商船の実績でも、令和4〜7年度で大学編入47名に対して専攻科39名とほぼ拮抗しています。判断軸は、学びたい分野が校外にあるか校内で完結するか、編入試験の準備時間を確保できるか、推薦を狙える成績を積んできたか、といった点です。専攻科の海事システム学専攻は定員4名と小さいため、商船学科の学生は両方を視野に入れておくと安全です。
大学編入の対策はいつから始めればよいですか?
推薦を狙うなら1年次からです。豊橋技術科学大学と長岡技術科学大学の推薦は書類選考のみで、日頃の成績がそのまま合否を決めます。神戸大学の推薦も1校あたり2人以内という枠を校内で争います。学力入試中心で考える場合でも、数学の応用数学範囲と英語外部試験のスコア取得には相応の時間がかかります。商船学科の学生は乗船実習で受検機会が限られるため、実習日程が決まった段階で逆算した計画を立ててください。
まとめ|鳥羽商船高等専門学校からの大学編入で押さえるべきこと
鳥羽商船高等専門学校と、そこからの大学編入について確認してきた要点を整理します。
- 鳥羽商船は三重県鳥羽市にある国立高専で、商船学科を持つ全国5校の商船系高専の1つ。明治8年の航海測量習練所を創基とし、昭和42年に高専となった
- 本科は平成31年4月の改組で商船学科と情報機械システム工学科の2学科体制。入学定員は計120名(令和7年度以降の第1学年のみ高度情報工学コース新設で140名)
- 令和7年5月1日現在の在籍者は本科657名(うち女子130名)、専攻科22名。教育理念は「進取・礼譲・質実剛健」
- 商船学科は5年6ヶ月課程で9月卒業。1年間の大型練習船実習を含み、三級海技士(航海・機関)第一種養成施設に指定されている
- 令和4〜7年度の4年間の大学編入は延べ47名。豊橋技術科学大学25名、長岡技術科学大学8名、東京海洋大学6名、神戸大学4名など
- 商船学科の卒業見込者は、豊橋・長岡・神戸・東京海洋のいずれでも1年後ろ倒しの入学枠で受け入れられる
- 技科大2校の推薦は書類選考のみ、東京海洋大学は英語外部試験CEFR A1以上が出願要件、神戸大学の推薦は1校2人以内。低学年からの成績と英語が要になる
鳥羽商船からの大学編入は、豊橋技術科学大学と長岡技術科学大学という大きな受け皿があり、そこに東京海洋大学と神戸大学海洋政策科学部という海事系の進路が重なるという、他の高専にはない構造を持っています。選択肢は確かに広がっていますが、その広さを活かせるかは準備の早さ次第です。とくに推薦を軸に据えるなら、勝負は1年次からの定期試験で始まっています。
そして商船学科の学生にとっては、受験年度が1年ずれるという構造の理解が出発点になります。募集要項の表紙にある年度表記を取り違えないこと、乗船実習の期間を織り込んで英語外部試験の受検時期を先に決めること、この2つを外さなければ、準備期間が長いという利点をそのまま得点に変えられます。本記事で挙げた数値はいずれも学校および各大学の公表資料に基づくものですが、入試情報は年度によって変わりますので、出願前には必ず最新の募集要項でご確認ください。
志望校が固まらない段階では、どの科目にどれだけ時間を配分すべきかの判断そのものが難しいと感じるかもしれません。過去問の入手や出題傾向の読み取り、志望理由書の組み立てまで独学で進めることに不安がある場合は、大学編入対策コースのように志望校別で専門講師と進める選択肢もあります。ご自身の卒業年月と志望校の要項を突き合わせるところから、一歩ずつ進めていってください。
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