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【大学院入試 研究計画書の書き方】ー問題意識、研究テーマ、研究上の問いー

大学院入試・院試の研究計画書における問題意識とは、志願者が「何を、なぜ問題だと感じているのか」という研究の出発点を指し、採点者は研究計画書の中でもこの問題意識の深さ・明確さを最初に見ています。今回の記事では、研究計画書を構成する要素のうち、問題意識、研究テーマ、研究目的、研究上の問い(リサーチクエスチョン)の4つについて、具体例を交えながら解説します。
研究計画書の基本的なレイアウトや位置づけについては研究計画書の基本事項を、先行研究への向き合い方や研究の独自性・意義・研究の方法については先行研究・研究の独自性の書き方を合わせて確認しておくと、研究計画書全体の構成が理解しやすくなります。研究計画書の書き方全体を俯瞰したい方は研究計画書の書き方も参考にしてください。
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問題意識が浅くあやふやなままだと、研究テーマや研究目的、研究上の問いも定まらず、たとえ形だけ整えたとしても、採点者である研究者からの評価は高くなりません。逆に、問題意識を深くはっきりさせることができれば、研究テーマや研究上の問いも自ずと定まり、研究計画書全体の説得力が高まります。問題意識は研究計画書全体の土台になる部分だと考えてください。
研究計画書の作成では、問題意識をどう言語化するか、研究テーマをどう決めるか、研究上の問いをどう立てるかという一つひとつの工程で悩む受験生が少なくありません。大学院入試・院試の対策を、研究計画書の添削から専門科目・英語・面接まで専門講師とマンツーマンで進めたい方は、大学院入試対策コース(無料相談あり)もご覧ください。
問題意識・研究テーマ・研究上の問いという3つの要素は、社会科学分野を中心に、文系の大学院入試・院試ではほぼ必ず研究計画書に反映することが求められる部分です。とりわけ社会人受験生の場合は、実務上の関心をそのまま「問題意識」として書いてしまい、学術的な問いへと転換できていないケースが目立ちます。本記事では、なぜこの3つの要素が重要なのか、どのような順序で言語化していけばよいのかを、具体例とともに一つずつ整理していきます。
研究計画書における「問題意識」とは何か
社会科学(一部、人文科学)の分野の研究計画書を作成する場合、問題意識が非常に重要になってきます。なぜならば、採点者である教員は、まず志願者の問題意識がどれだけ深くはっきりしているのかを見ているからです。問題意識が浅くあやふやであると、研究テーマや研究目的、研究上の問いも定まらず、定まったとしても、採点者からの評価は低いものになってしまいます。
裏を返せば、問題意識を深くはっきりさせることができれば、自ずと研究テーマや研究目的、研究上の問いもしっかりと定まります。その結果、研究の内容全体が質の高いものになり、教員からも良い評価を得られる可能性が高まります。問題意識は良質な研究の土台と言っても言い過ぎではありません。
問題意識は研究計画書全体をどうつなぐか
研究計画書の基本構成には、研究テーマ、問題意識、先行研究、研究目的、研究方法、意義、スケジュール、参考文献といった要素が含まれるのが一般的です。この中で問題意識は最も上流に位置する要素で、ここが曖昧なまま先行研究や研究方法を書き進めてしまうと、各要素の間に論理の飛躍が生まれやすくなります。まず問題意識を明確にし、そこから研究テーマ、研究目的、研究上の問いへと具体化していく順序を意識してください。
問題意識を深めるための実践方法
明確で深い問題意識を持つためには、以下の2つのことを行うとよいでしょう。
- 普段から自分の研究テーマに関連する新聞を読んだりニュースを見たりすること
- 自分の研究テーマに関連する論文や専門書などの最初の部分(序章など)を読むこと
論文や専門書の序章を読む理由
後者について、なぜ論文や専門書の最初の部分を読む必要があるかというと、その部分に筆者の問題意識が書かれていることが多いからです。裏を返せば、問題意識が書かれていない研究書は、良質な研究をしているとは言い難いと言えます。できる限り複数の研究書の問題意識に触れることは、自分の問題意識を先鋭化させることに役立ちます。
日々の情報収集を問題意識につなげるコツ
新聞やニュースに触れる際は、ただ読み流すのではなく、「なぜこの出来事が起きたのか」「誰にとって何が問題なのか」という視点を持ちながら接することが重要です。気になった記事はメモに残しておき、後で自分の関心領域とどうつながっているかを振り返ると、断片的だった問題意識が徐々に一つの軸として整理されていきます。
研究テーマの決め方
まずは、何についての研究をしたいのか、すなわち研究テーマを決めなければいけません。研究テーマとは、たとえば「EUとNATOの東方拡大」、「日本の老舗企業の事業継承」、「日本における#MeToo運動」のように、特定の研究領域で研究対象となっているテーマのことです。ご自身が関心を持っている問題が、どの研究領域でいかなる形で研究対象となっているのかを把握する必要があります。
研究テーマに新規性を持たせる考え方
研究テーマに完全にオリジナルな新規性を求める必要はありません。先行研究をベースにしたうえで、対象・方法・理論・データ・結果のいずれかを変えることでも新規性を出すことができるという考え方が、大学院入試向けの解説記事でも紹介されています。重要なのは「なぜその変更が必要だと考えたのか」を論理的に説明できることです。
研究テーマが決まらないときの対処法
研究テーマがなかなか決まらない場合は、次のような方法を試してみるとよいでしょう。
| 対処法 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 研究トレンドを参考にする | 自分の分野で近年注目されているテーマ・キーワードを調べ、関心と重なる部分がないか探す |
| 自身の強み・所属予定の研究室のリソースを活用する | 自分の得意分野や、志望する研究室が持つデータ・設備・指導実績と相性の良いテーマを検討する |
| 学会や研究会に参加して課題を発見する | 学会・研究会・シンポジウムに足を運び、現場で議論されている未解決の論点から着想を得る |
興味があるテーマを研究できる問いに変えるという発想を持つと、漠然とした関心が具体的な研究テーマへとつながりやすくなります。志望する研究科・指導教員の専門分野と研究テーマが大きくずれていないかも、あわせて確認しておきましょう。
研究目的と研究上の問い(リサーチクエスチョン)の関係
研究テーマを具体化したものが研究目的であり、研究目的を問いの形式で表したものが研究上の問い(リサーチクエスチョン)です。たとえば「冷戦史」という政治学・歴史学の研究領域があり、そこでは「冷戦の終結」が研究テーマの1つとして存在します。
その場合、研究目的は「冷戦が終結した要因を、東欧における市民運動の役割に焦点をあてて明らかにすること」です。一方、研究上の問いは、「冷戦の終結に際して、東欧における市民運動はどのような役割を果たしたのか?」というものになります。もっともこの研究目的や研究上の問いは、修士論文にしては大きすぎます。研究対象や分析時期などを絞るなどして、それらを具体化する必要があります。
研究上の問いを立てる意義
研究上の問いを立てることで、何を明らかにしたいのかを自分でも理解できることに加えて、読み手に即座に理解させることができます。よく「日本におけるジェンダーの問題について研究したい」、「開発途上国における環境保全と経済発展の関係性について研究したい」というようなことを言う学生がいますが、それでは具体的に何を明らかにしたいのか相手は理解できません。研究上の問いを立て、自分の研究内容をはっきりさせましょう。
書き上げた研究計画書、そのまま出して大丈夫ですか?
研究職キャリアを持つ講師が、テーマ設定・先行研究の位置づけ・研究方法まで、出願レベルに届いているかを個別に確認します。
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リサーチクエスチョンの立て方の基本手順
研究上の問い(リサーチクエスチョン)は、思いつきでいきなり文章化するのではなく、段階を踏んで練り上げていくと精度が上がります。一般的には、テーマの選択、先行研究のレビュー、想定する読み手の設定、候補となる問いの作成、基準に沿った評価・見直し、という流れで整理していく手順が紹介されています。
良い問いの条件
良いリサーチクエスチョンの条件としては、読み手が研究の目的を理解できるほど明確であること、焦点が絞られていて研究が空回りしないこと、研究の方向性と目標を示せることなどが挙げられます。候補を複数作った後は、これらの条件を満たしているかを見直し、必要に応じて対象や範囲を絞り込んでいく作業を繰り返してください。
立てるべき問いの3類型
研究テーマを具体化したものが研究目的であり、研究目的を問いの形式で表したものが研究上の問い(リサーチクエスチョン)です。研究上の問いには、大きく分けて次の3つの型があります。
| 問いの型 | 主に使われる分野 |
|---|---|
| 「なぜ〜なのか?」型 | どの分野でも好まれて立てられる問い |
| 「どのように〜するべきか?」型 | 政策提言をするような分野(MBAや公共政策)で立てられることが多い |
| 「どのように〜なっているか?」型 | 自然科学の分野でよく立てられる |
自分の研究テーマがどの分野に近いのかを踏まえて、どの型の問いが適しているかを検討するとよいでしょう。分野によっては複数の型を組み合わせて問いを構成することも可能です。
立てるべきではない問いとNG例からの改善
問いを立てる際、以下のような問いは立てないようにしましょう。
- 大きすぎる・抽象的な問い
- 実証困難な問い
大きすぎる・抽象的な問いの例
大きすぎる問いについては、たとえば「なぜ日本は第二次世界大戦後、奇跡的な経済復興を遂げたのか?」という問いです。これは、論文のテーマとしては大きすぎです。また「日本のアニメはヨーロッパの若者の対日イメージに対してどのような役割を果たしているのか?」という問いは抽象的です。これでは、いつの時点のことを研究したいのか分かりませんし、ヨーロッパの若者という部分についても、どこの国の若者を対象にしているのか分かりません。アニメについても対象が広すぎるため、絞ったほうがよいでしょう。たとえばこの問いは、「2000年代以降、日本の宮崎アニメはフランスの若者の対日イメージに対してどのような役割を果たしてきたのか?」というもっと具体的な問いにすることができます。
実証困難な問いの例
実証が困難な問いについては、たとえば「なぜ国際世論の反対があるにもかかわらず、プーチン大統領は、ウクライナ侵攻をやめないのか」という問いです。この問いは、取り組むべき問いとしては大変興味深いものですが、現在進行形の出来事であり実証が困難であるため、研究の問いとしてはふさわしくありません。この真相に迫るのは、ジャーナリストの仕事か、何十年か先の歴史家の仕事だと考えられます。
審査する側が指摘する「困った計画書」の特徴
研究計画書は面接担当者とのコミュニケーションの素材であり、自分の優秀さを誇示するためのものではなく、研究の面白さを伝えるためのものだという指摘があります。評価されにくい「困った計画書」の例として、具体的な方法を欠いたまま「〇〇を研究する」とだけ述べているもの、実践的な問題解決と学術研究を混同しているもの、データや事実の裏付けがなく情緒的な表現に頼っているものが挙げられています。問いを立てる段階から具体性を意識することが、こうした失敗を避ける第一歩になります。
メインクエッションとサブクエッションズを決める
メインクエッション(Main Question)とは中心的な問いのことです。サブクエッションズ(Sub Questions)はメインクエッションを解き明かすために、立てなければならない複数の小さな問いのことです。
単純な例を挙げると、「2000年代以降、中国の自動車市場にて、日本の自動車メーカーは電気自動車のマーケティング戦略をどのように立てて実践してきたか?」というメインクエッションは、以下のようにサブクエッションズへと分けることが可能です。
- トヨタは、どのようなマーケティング戦略を立てて実践してきたか?
- ホンダは、どのようなマーケティング戦略を立てて実践してきたか?
- 日産は、どのようなマーケティング戦略を立てて実践してきたか?
このようにメインクエッションに加えてサブクエッションズを立てることで、研究内容がより精緻化されます。研究計画書には、サブクエッションズまで書き入れるスペースはないかもしれません。しかし面接試験の際、サブクエッションズについても詳しく説明をすることができれば、面接官から高い評価を得られる可能性も高くなります。研究計画書の書き方の全体的な構成や例文を確認したい方は研究計画書の例文もあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
研究計画書の問題意識とは何を書けばよいですか?
問題意識とは、自分がどのような事態・事象を、なぜ問題だと感じているのかを言語化したものです。採点者はまず問題意識の深さ・明確さを見ているため、単に関心のある分野を述べるだけでなく、「なぜそれが問題だと考えるのか」まで踏み込んで書くことが重要です。新聞・ニュースや専門書の序章に触れることで、問題意識を深めていくことができます。
問題意識と研究テーマの違いは何ですか?
問題意識は「何をなぜ問題だと感じているか」という出発点であり、研究テーマはその問題意識をもとに特定の研究領域の中で研究対象として設定したものです。問題意識が漠然とした関心だとすれば、研究テーマはそれを研究できる形に絞り込んだものだとイメージすると分かりやすいでしょう。
研究テーマが決まらないときはどうすればよいですか?
自分の分野の研究トレンドを調べる、自身の強みや志望する研究室のリソースと相性の良いテーマを検討する、学会・研究会に参加して現場の課題に触れる、といった方法が有効です。関心のある問題が、どの研究領域でどのような形で扱われているのかを調べることも、研究テーマを絞り込む助けになります。
リサーチクエスチョン(研究上の問い)はどう立てればよいですか?
研究テーマを具体化した研究目的を、問いの形式に言い換えることでリサーチクエスチョンになります。テーマの選択、先行研究のレビュー、候補の作成、基準に沿った評価・見直しという手順で段階的に練り上げると、明確で焦点の絞られた問いに近づきます。「なぜ〜なのか?」「どのように〜すべきか?」「どのように〜なっているか?」という3つの型を参考にしてみてください。
研究計画書で避けるべき問いにはどのようなものがありますか?
大きすぎる・抽象的な問いと、実証が困難な問いの2つは避けるべきとされています。対象・時期・地域などが特定されていない問いは、範囲を絞り込んで具体化しましょう。また、現在進行形の出来事で結論が出ていない事柄も、研究の問いとしては扱いにくいため注意が必要です。
メインクエッションとサブクエッションズとは何ですか?
メインクエッションは研究全体を貫く中心的な問いであり、サブクエッションズはそれを解き明かすために立てる複数の小さな問いです。サブクエッションズまで用意しておくと、研究内容がより精緻になるだけでなく、面接試験で深掘りされた際にも詳しく説明しやすくなります。
研究計画書の書き方は文系と理系で違いますか?
問題意識・研究テーマ・研究上の問いという基本的な考え方の枠組みは文系・理系で共通していますが、問いの型の使われ方には分野ごとの傾向があります。政策提言に関わる分野では「どのように〜すべきか?」型、自然科学系では「どのように〜なっているか?」型が使われやすいなど、志望する分野で好まれる問いの型を意識すると書きやすくなります。
問題意識や研究テーマの書き方に不安がある場合、どこに相談すればよいですか?
まずは研究計画書の全体構成を解説した研究計画書の書き方や、指導実績のある専門家への相談を活用するのがおすすめです。スプリング・オンライン家庭教師では、研究計画書の作成指導を数多く手がけてきた講師による無料相談を実施しており、問題意識の言語化から研究上の問いの立て方まで一つひとつ伴走して確認することができます。
まとめ|問題意識・研究テーマ・研究上の問いの整理
研究計画書における問題意識、研究テーマ、研究目的、研究上の問い(リサーチクエスチョン)は、それぞれ独立したパーツではなく、問題意識を出発点として一直線につながっていく要素です。多くの受験生が漠然とした関心のまま書き始めてしまいますが、問題意識を深く掘り下げてから研究テーマ・研究上の問いへと具体化していく順序を意識するだけで、研究計画書全体の説得力は大きく変わります。本記事のポイントを振り返ります。
- 問題意識とは何を、なぜ問題だと感じているかを言語化したものであり、研究計画書全体の土台になる
- 問題意識は、関連ニュース・新聞に触れることと、論文・専門書の序章を読むことで深めることができる
- 研究テーマは、関心のある問題がどの研究領域で研究対象となっているかを把握したうえで決める
- 研究テーマが決まらないときは、研究トレンド・自身の強みや研究室のリソース・学会参加から着想を得る
- 研究目的を問いの形式で表したものが研究上の問い(リサーチクエスチョン)であり、段階を踏んで練り上げる
- 問いには「なぜ〜なのか?」「どのように〜すべきか?」「どのように〜なっているか?」の3類型がある
- 大きすぎる・抽象的な問いと実証困難な問いは避け、メインクエッションとサブクエッションズで内容を精緻化する
問題意識の言語化や研究テーマの絞り込み、リサーチクエスチョンの立て方は、一人で取り組むと方向性に迷いやすい部分でもあります。独学での対策に不安がある場合は、専門の指導を活用するのも一つの方法です。スプリング・オンライン家庭教師には、研究計画書の作成の仕方を心得ているうえ、これまでに何百人単位で研究計画書の作成指導を行ってきた講師も在籍しております。研究計画書の作成でお困りの方は、ぜひ無料相談よりお問い合わせください。
書き上げた研究計画書、そのまま出して大丈夫ですか?
研究職キャリアを持つ講師が、テーマ設定・先行研究の位置づけ・研究方法まで、出願レベルに届いているかを個別に確認します。
- 研究職の講師が研究計画書を添削し、改善点を明確化
- 相談後に、志望校の出題傾向と学習ロードマップをまとめた個別フィードバックレポートをお渡し
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