文系学部からどのように医学部学士編入試験に合格したのか

医学部学士編入2024.06.06

はじめに

皆様はじめまして。スプリング・オンライン家庭教師で講師を務めさせていただいております島貫と申します。この記事では私立大学文系学部出身の私がどのように受験を決意してから1年間で合格したかの体験談をお伝えできればと思います。

経歴

まず、簡単に私の経歴をご紹介いたします。

中学受験で中高大一貫校に入学し、大学では経済学部に内部進学しました。そのため大学受験を経験しておらず、共通テスト・センター試験の経験もありませんでした。

大学卒業後は製薬会社に就職しました。父が医療機器系の仕事をしていたため、ライフサイエンス系の業界に興味があり、就活の結果ご縁があった会社に入社させていただきました。その会社で2年半勤務したのち退職し、河合塾KALSの通信講座を受講しつつ1年間の勉強期間を経て金沢大学に入学しました。

受験のきっかけ

製薬会社では2年間営業職(MR職)として働き、その後半年間バックオフィス系の仕事をしました。MRの時は日々勉強した医学薬学の知識が患者さんのお役に立っていることや、臨床医とディスカッションすることに非常にやりがいを感じていましたが、バックオフィス系の仕事ではビジネスに特化したスキル・知識が求められ、私の興味関心がある分野とズレが生じてきてしまいました。そこで、ビジネスよりも医学を深く体系的に勉強したいと考え、可能な限り早い方が良いと思いこのタイミングでの受験を決意しました。

医学部受験を決意してからは、一般受験(所謂再受験)と学士編入受験で悩みました。当初は募集定員の多さから一般受験の方が確実かと考えて一般受験に傾いていましたが、勉強のスタートラインにおける数学・物理・化学・生物の完成度が低すぎたため、より短い期間で合格する可能性のある学士編入受験に切り替えました。また、2年生から入学できるため、一般受験よりも早い段階で患者さんのお役に立てるという点も併せて学士編入受験の魅力でした。私の場合は社会人経験に医学部受験のきっかけがあったことも学士編入試験を選択した理由の1つです。

一般的に、一般受験は学力重視(特に数学)、面接は配点低め。学士編入受験は面接配点高め、数学が基本的に不要です。直近で理系大学一般受験の経験がある方などは一般受験の方が適しているかと思いますが、私の場合は該当しませんでしたので学士編入受験を選択しました。1年目で合格するとは思っていませんでしたので、まずは生命科学と英語のみで受験し、全て不合格だったら高校レベルの物理化学を勉強して2年目の受験に備えようと考えていましたが、結果として1年目で合格をいただくことができました。

具体的な取り組み

学習計画

勉強を始めるにあたりまずは合格までの道筋のオリエンテーションをつけることだと感じ、有識者(KALSの講師・チューター)にカウンセリングを申し込み、私のバックグラウンドに対して適切な志望校を選定しました。私の場合は物理・化学の勉強経験がありませんでしたので、学科試験に物理・化学を必要としない大学群(2科目受験校)を志望校として選定しました。同時に、1か月単位でのざっくりとした勉強計画を立てました。勉強時間の目標は1日10時間でしたが、結果的に1日8時間程度が平均となりました。受験勉強のために退職しておりました(あまりおすすめしません)ので土日も関係なく勉強し、月のうち勉強をしない日はほぼありませんでした。加えて、月に1回チューターカウンセリングを利用し、今行っている勉強は適切かのアセスメントを行いました。それにより勉強の効率が最適化されたと共に、日々の勉強で生じた細々とした悩みも解消することができました。週に1回ほどカウンセリングを受けられたら理想的だったのですが、予約が大変混みあっており月1回が頻度としては限界でした。

生命科学

2科目校を受験することに決めた私の1日の勉強時間のうち、7割を占めるのが生命科学でした。生命科学はその配点の大きさと難しさから学士編入受験において最重要科目と言われていましたので、最も力を入れて勉強しました。まずはKALSの動画講義を視聴し、テキストの問題演習をこなしました。受験する年の1月から勉強を開始したため、動画を視聴する際は1.5倍速で視聴してタイムパフォーマンスを重視しました。1講義視聴するごとに毎回の確認テストを解くことで、復習しました。全ての動画を視聴し、全てのKALSでは基礎シリーズ・完成シリーズ・実戦シリーズの3つのカリキュラムがありますが、各シリーズに2回ずつほど定期テストがあったため、そこで受験者集団内の客観的な自分の立ち位置を把握し、「今実践している勉強法は適切か」のチェックを行いました。校内模試では偏差値60以上が合格ライン(上位16%)とされており、偏差値60を目指して勉強をしました。最初は偏差値60を達成できませんでしたが、最後の模試までに偏差値60を達成できるようになりました。実際にその状態で挑んだ筆記試験は全て通過することができました。

英語

英語の対策は、外部スコア対策(TOEIC, TOEFL)と大学オリジナル試験対策に大別して行いました。外部スコア対策ではTOEFLの勉強に苦慮しました。そもそものTOEFL英単語が難しいこと、当初は4時間弱の試験であったこと、スピーキングとライティングはほぼ経験がなかったことが勉強を難渋させる要因でした。TOEFLの勉強はモチベーションがあまり上がらず、1か月程度の勉強に留まりました。受験する年の4月に71点を取得し、そのスコアを金沢大学に提出しました。TOEICは2月に875点を取得しましたが、スコアを提出した大学はありませんでした。大学オリジナル試験に関しては、医学英単語の暗記と医学論文の読解力が肝要です。闇雲に医学論文を読み漁るのは対策として不適切だと思いましたので、過去に出際された長文を精読する作業をひたすら行いました。英語に関しては下線部和訳や内容説明問題がメインとなるので、答えが必ず文章中にあります。そのため、正確に本文を和訳できる能力があればほぼほぼ正解できると考えました。実際に大学オリジナル英語試験を課す大学の英語は高得点を取得することができました。

小論文

小論文はある程度書き方の型を押さえて、医学部小論文で頻出のトピックについてKALSの動画講義で学習しました。勉強時間としては多くないです。息抜きがてら、生命科学や英語の勉強の合間に小論文の勉強をするようにしていました。いかに尖った意見を書きすぎないようにしつつも自分の意見を主張していくかというバランス感覚が問われますので、その点に留意して学習しました。安楽死などは過激な意見を書くとマッドサイエンティスト認定されかねないので、注意が必要です。

志望理由書

志望理由書の準備にはかなり時間がかかりました。3月から書き始めて4月下旬に大分大学に提出するという急ピッチなタイムラインでしたので、それに伴い3, 4月の勉強時間が低下しました。志望理由書も一定の型や作法があるため、KALSの添削サービスや合格者に見てもらいながら作成しました。就活の経験がある人はあまり苦労しないかもしれませんが、念のため12月までには着手することがおすすめです。

推薦書

私の場合は前職の上司に推薦書を書いていただきました。2月、4月と推薦書作成のためのミーティングを行い、どういったアクションがいつ必要になるかなどのプレゼンを推薦者に対して行いました。推薦書は非常に面倒かつここがネックで学士編入をためらう人もいらっしゃるかもしれないですが、逆に言うと用意さえしてしまえば沢山の大学を受けられますので、なんとか用意していただきたいと思います。募集要項には「大学の指導教員から原則もらうこと」と書いてあるかと思いますが、大学の指導教員以外でも問題ありません

息抜き

ずっと家に籠りきりで勉強していると気が滅入ってくるので、週に1回は友人と食事をしたりしていました。また、月に1回はスポーツをするようにして心身の健康を維持するようにしていました。充分に勉強したと思えた日の夜はYouTubeを見るなどしていました。なんにせよ受験は長期戦ですので、心身の健康を害してしまっては元も子もありません。持続可能な勉強をすることが大切です。ただ、私の場合は実家に転がり込んで勉強をさせていただいておりましたので、「こいつ全然勉強してないな」と思われないように「常に勉強していますアピール」はするようにしていました。

不安だったこと

私は最後の受験勉強が中学受験でしたので、受験勉強のノウハウが自分の中に蓄積されていないことが最大の不安でした。しかし、合格者や有識者にしっかりとヒアリングをすることで合格への道筋が見え、不安が軽減されモチベーションが上昇すると共にやるべきことがその都度明確になりました。

金銭面

私の場合は貯金の300万円を切り崩して受験生活をしていましたが、たいぶカツカツで余裕がありませんでした。なるべく退職はせずに受験勉強することができればベストです。しかしながらそれができるかどうかは完全に仕事に依存するため、最悪の場合退職というオプションを選択しないと合格可能性が0の場合もあるかと思います。私は退職しないと合格可能性が0になるような働きぶりをしていましたので、断腸の思いで退職しました。

その他

振り返ってみると医学部学士編入試験受験は1人で乗り切るのは中々厳しかったなと感じています。実家で勉強することを許してくれた家族や、相談に乗ってくれた友人の医師、推薦書を快く引き受けて下さった前職の上司、各方面で学習サポートをして下さった予備校のスタッフさん方のお力添えあってこそだったと痛感しています。受験はチーム戦です。受験に対する熱意が伝われば、自ずとサポートしてくれるはずです。いい感じに周囲を巻き込みつつ、受験を有利に進めていくことも重要になるでしょう。

さいごに

医学部学士編入試験受験にあたっての私の体験談をお読みくださりありがとうございます。少しでも受験を検討されている皆様のお役に立つ部分がありましたら幸いです。

ご不明な点がございましたらいつでも無料相談からお問い合わせをお願い申し上げます。

いかがでしたか?

本記事が、医学部学士編入を目指される皆さんの理解に少しでも役立ってくれれば幸いです。

スプリング・オンライン家庭教師には、医学部学士編入試験の指導が可能な指導者が多数在籍しています。

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