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社会人の大学院進学にかかる費用を解説

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社会人が大学院に進学する費用は、国公立か私立か、一般の研究科(修士課程)か専門職大学院かによって大きく変わり、学費だけを見ても年間数十万円から、専門職大学院の初年度納入金300万円超まで大きな幅があります。社会人 大学院 費用とは、入学料・検定料・授業料に加えて、教材費や通学のための交通費まで含めた在学中の総コストのことを指し、単純な「平均額」だけを見て予算を組むと、実際に必要な自己負担額を大きく見誤ることになります。

幸い、社会人の大学院進学には学費そのものを下げる方法だけでなく、いったん支払った費用の一部があとから戻ってくる公的制度や、勤務先・奨学金による負担軽減の手段が複数用意されています。代表的なものが、厚生労働省が所管する教育訓練給付制度、日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金、日本政策金融公庫の教育一般貸付(いわゆる国の教育ローン)、そして勤務先企業の教育支援制度の4つです。これらは併用できる組み合わせも多く、うまく活用すれば額面上の学費よりもかなり少ない自己負担で進学できるケースも珍しくありません。

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一方で、こうした制度は「対象になるかどうか」「いつ・いくら支給されるか」の条件が細かく定められており、志望する大学院・専攻によって適用の有無が変わります。制度を知らないまま学費だけを見て進学をあきらめてしまうのも、逆に制度の対象になると思い込んで資金計画を立て、あとから対象外だと判明して慌てるのも、どちらも避けたい失敗パターンです。

この記事では、国公立大学院・私立大学院・専門職大学院(MBAなど)それぞれの学費相場を公式情報に基づいて整理したうえで、教育訓練給付金の仕組みと対象講座の調べ方、企業の教育支援制度の実態、奨学金・教育ローンの活用法、そして最終的に「自分がいくら自己負担すれば進学できるのか」を試算するためのワークシートまで、順を追って解説します。すでに社会人の大学院受験そのものの進め方について知りたい方は、社会人 大学院入試を徹底解説|出願資格・研究計画書・英語・面接対策もあわせてご覧ください。まずは費用の全体像から見ていきましょう。

本記事は、MBA・法科大学院・教職大学院・心理系や教育系の専門職大学院、あるいは一般の研究科の修士課程への進学を検討している社会人の方を主な読者として想定しています。「学費が高そうだから」という理由だけで検討をやめてしまう前に、実際にどの制度が使えて、最終的にどの程度の自己負担で済みそうなのかを、公的機関の一次情報にもとづいた具体的な数字とともに確認していきましょう。対象となる課程は国公立・私立を問わず、一般の研究科(修士課程)から専門職大学院まで幅広く含みます。

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目次

社会人が大学院に進学するとき、まず押さえるべき費用の全体像

大学院進学の費用を考えるとき、多くの人はまず「学費はいくらか」という一点だけを調べがちです。しかし実際に在学中に発生する支出は、入学料・検定料・授業料の3つに加えて、教科書代や学会参加費、社会人向けプログラムであれば通学のための交通費や宿泊費まで含まれます。特に地方在住のまま首都圏の大学院に週末だけ通う場合、交通費が年間数十万円に達することもあり、学費だけを見て予算を組むと後から資金不足に気づくことになりかねません。

学費だけでなく検定料・教材費・通学費も忘れずに

検定料は出願時に一度だけ発生する費用で、国公立大学院は30,000円前後、私立大学院・専門職大学院は35,000円前後が目安になることが多いです。入学料は入学時の一度きりの費用、授業料は在学中毎年発生する費用という違いも押さえておく必要があります。2年制の課程であれば授業料は基本的に2回分発生するため、パンフレットに大きく書かれている「初年度納入金」だけを学費の全体像だと誤解しないようにしましょう。専門職大学院の中には、演習用のノートPCやケーススタディ用の教材購入が実質的に必須になっているプログラムもあり、こうした付帯費用も事前に確認しておくと安心です。また、複数の大学院を併願する場合は検定料が出願校の数だけ重なる点も忘れずに計算に入れておきましょう。多くの専門職大学院では授業料を前期・後期の分納に対応しているため、一括納付が難しい場合は分納制度の有無を出願前に確認することをおすすめします。

「平均費用」で判断すると失敗する理由

大学院の学費は、国公立か私立か、一般の研究科か専門職大学院か、文系か理系かによって数十万円から数百万円まで大きく変動します。これらをひとくくりにした「大学院の平均費用は◯◯万円」という数字は、実際には自分の志望校に当てはまらないことがほとんどです。むしろ大切なのは、平均値を探すことではなく、志望候補に挙がっている大学院を2〜3校ピックアップし、それぞれの公式サイトで最新の学費を個別に確認することです。次の章から、国公立・私立・専門職大学院のそれぞれについて、公式情報に基づいた具体的な金額を確認していきます。

働きながら通う前提で資金計画を立てる

社会人の大学院進学では、収入が継続する前提で資金計画を立てられる点が学部からのストレート進学とは大きく異なります。在学中も給与収入が続くのであれば、学費全額を入学前に用意する必要はなく、月々の給与や賞与から支払う計画を立てることも可能です。ただし夜間主コースであっても授業と課題の負荷は軽くないため、残業を減らす、休職制度を利用するなど、時間面の調整とあわせて資金計画を検討することをおすすめします。給与収入がある期間に無理のない範囲で積み立てておけば、在学中に急な出費が重なっても慌てずに対応しやすくなります。

入学前と在学中で発生するタイミングが違う

検定料は出願時、入学料は合格発表後の指定期日まで、授業料は入学後に前期・後期の年2回に分けて納付するのが一般的な流れです。社会人の場合、賞与の支給タイミングと納付期限がずれることもあるため、募集要項に記載された納付スケジュールを早めに確認し、必要であれば分納制度の有無もあわせて問い合わせておくと安心です。入学が決まってから慌てて資金を用意するのではなく、出願を検討し始めた段階から、いつ・いくら必要になるかを大まかに把握しておくことをおすすめします。

学費以外の見落としがちな支出としては、学会発表や研究会参加のための旅費、修士論文・課題研究の印刷製本費、専門書の購入費などがあります。これらは大学院や研究テーマによって金額差が大きいため、可能であれば在学中の先輩や修了生に、学費以外にどの程度の出費があったかを聞いておくと、より現実的な資金計画を立てられます。オンライン説明会や個別相談会で在学生に質問できる機会があれば、積極的に活用するとよいでしょう。

地方在住のまま首都圏の大学院に通う場合の追加費用

社会人向けの専門職大学院は東京・大阪などの大都市圏に集中している傾向があり、地方在住のまま週末だけ通学するケースも珍しくありません。交通費・宿泊費は在学期間全体で見ると学費に匹敵する負担になることもあるため、通学圏内の大学院に絞って探すか、オンライン受講に対応したプログラムがあるかどうかも、費用面では重要な比較ポイントになります。オンライン・対面のハイブリッド開講に対応している大学院であれば、通学回数そのものを減らせる可能性もあるため、募集要項でカリキュラムの開講形式を確認しておくとよいでしょう。新幹線や飛行機を使った長距離通学を検討している場合は、回数券や早期購入割引の活用、あるいは在学期間中だけ大学院近くに拠点を借りる選択肢まで含めて、学費以外の生活コストも合わせて試算しておくことをおすすめします。

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国公立大学院の学費相場(標準額と専門職大学院の違い)

国立大学の大学院にかかる学費は、「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」によって標準額が定められています。法科大学院を除く一般の研究科は、検定料30,000円・入学料282,000円・授業料年額535,800円が標準額です。国立大学法人はこの標準額を基準に学費を設定するため、多くの国立大学院はこの金額とほぼ同じ水準になっています。

課程検定料入学料授業料(年額)
研究科(法科大学院を除く)30,000円282,000円535,800円
法科大学院30,000円282,000円804,000円

法科大学院だけは授業料の標準額が年額804,000円と、一般の研究科より高く設定されている点は見落とされがちです。修士課程・博士課程前期が標準2年であることを踏まえると、一般の研究科であれば入学料282,000円+授業料535,800円×2年分=1,353,600円程度、法科大学院であれば入学料282,000円+授業料804,000円×2年分=1,890,000円程度が、標準額ベースの在学中の学費総額の目安になります。

標準額の20%増まで大学が独自に設定できる

国立大学法人には学費の設定について一定の裁量があり、標準額の20%を上限に独自の授業料を設定することが認められています。そのため志望する大学院が必ずしも標準額どおりとは限らず、出願前に募集要項で最新の金額を確認することが欠かせません。年度によって改定される可能性もあるため、「数年前に調べた金額」や「知人から聞いた金額」を鵜呑みにせず、自分で公式情報にあたる習慣をつけましょう。

在学期間が延びた場合の追加費用も考慮する

修士課程は標準2年で修了するのが一般的ですが、仕事との両立や研究の進み具合によっては、在学期間が延びる可能性もゼロではありません。標準期間を超えて在学する場合は、その分の授業料が追加で発生することになるため、ぎりぎりの資金計画ではなく、多少の余裕を持たせておくと安心です。特に働きながら研究を進める社会人の場合、繁忙期に研究時間が確保しづらくなることもあるため、余裕を持ったスケジュールと予算の両方を意識しておくとよいでしょう。指導教員との事前の面談で、標準期間内での修了見込みについて相談しておくことも、資金計画のブレを減らすうえで役立ちます。

国立大学院を選ぶメリットと確認しておきたい注意点

国立大学院は標準額という共通の物差しがあるため、私立大学院と比べて学費の見通しを立てやすいというメリットがあります。一方で募集人員が少ない専攻も多く、出願資格や研究テーマとの相性、指導を希望する教員の在籍状況などを学費以上に重視して検討する必要があります。学費の安さだけで志望校を選ぶのではなく、自分の研究テーマやキャリア目標に合った研究科・専攻かどうかをまず優先し、そのうえで学費や制度の使いやすさを比較検討する順番を意識しましょう。この標準額は文部科学省令によって定められており、全国の国立大学法人が学費を設定する際の共通の目安として使われています。学部の授業料改定が話題になった年度は、大学院の学費にも変更がないかあわせて確認しておくと、思わぬ増額に驚かずに済みます。

国立大学の専門職大学院(MBA等)の学費

国立大学の中にも、社会人向けのMBA(経営学修士)課程を設置している専門職大学院があります。たとえば神戸大学大学院経営学研究科(現代経営学専攻)は、土曜日を中心に通学できる社会人向けのMBAプログラムを提供しており、厚生労働省の専門実践教育訓練給付金の対象講座として指定を受けています。国立大学の専門職大学院であっても、私立大学のMBAと同様に専門実践教育訓練給付金の対象になり得るという点は、費用を考えるうえで重要なポイントです。学費の詳細や出願資格については、神戸大学のMBA(経営学研究科)を徹底解説|出願資格・入試科目・学費・難易度で個別に解説していますので、志望校の一つとして検討している方はあわせてご確認ください。このように、国立大学だからといって専門職大学院の学費が必ずしも一般の研究科と同水準になるとは限らないため、課程ごとに公式情報を確認する姿勢が欠かせません。

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私立大学院・専門職大学院(MBA等)の学費相場

私立大学院、特に社会人向けのMBAプログラムを持つ専門職大学院は、国公立大学院と比べて学費が大きく上がる傾向があります。ここでは、社会人向けMBAとして知名度の高い早稲田大学大学院経営管理研究科(WBS)の学費を具体例として見てみましょう。

プログラム入学金授業料等合計
全日制MBA(初年度)300,000円2,978,000円+43,000円3,321,000円
夜間主MBA(2年間)300,000円3,400,000円+100,000円3,800,000円
International MBA・MSc in Finance(2年間)300,000円3,780,000円+96,000円4,176,000円

全日制MBAは1年間で初年度合計3,321,000円、働きながら通う夜間主MBAは2年間の合計で3,800,000円というのが公式サイトで公表されている金額です。海外提携校との交流プログラムを含むInternational MBA・MSc in Financeは2年間で4,176,000円とさらに高く、プログラムの内容によって同じ大学院内でも学費が数十万円単位で変わる点も押さえておきましょう。志望するコースが決まっていない段階では、複数のプログラムの学費を一覧にして比較しておくと、出願先を絞り込む際の判断材料になります。専門職大学院の学費は数百万円規模になるため、国公立大学院の一般的な研究科とは一桁違う予算感で計画を立てる必要があります。なお、こうした社会人向けMBAプログラムは、後述する専門実践教育訓練給付金の対象講座に指定されているケースがあり、額面どおりの金額をすべて自己負担するとは限らない点もあわせて押さえておきたいところです。

初年度納入金が大きい理由

専門職大学院、特にMBAプログラムの学費が高額になる背景には、少人数制での実践的なケーススタディ演習や、現役の経営者・実務家を招いた講義、海外提携校との交流プログラムなど、通常の研究科とは異なるカリキュラム構成があります。こうした付加価値が学費に反映されているため、単純に「学費が高い=割高」と判断するのではなく、自分のキャリア目標に対してどこまで投資対効果があるかという視点で検討することが大切です。実務家教員によるネットワーキングの機会や、修了生コミュニティへのアクセスなど、金額換算しにくい価値が含まれている点も考慮しましょう。オープンキャンパスや説明会に参加し、実際の授業の雰囲気や在学生・修了生の声に触れてから最終判断をすることも、高額な投資になるからこそおすすめしたいステップです。

私立文系・理系の一般的な研究科との違い

専門職大学院ではない、一般的な私立大学院の修士課程(文学研究科・理工学研究科など)は、専門職大学院ほど高額にはならないケースが多いものの、大学・研究科によって金額差が大きく、全体を一つの平均値で語ることは適切ではありません。理系の研究科では実験実習費が別途かかることもあり、文系の研究科でも大学によって授業料水準は異なります。同じ「文学研究科」「経済学研究科」といった名称であっても、大学ごとに授業料の設定は独立しているため、名称の近さだけで学費も近いだろうと推測するのは避けたほうが無難です。志望する研究科の公式サイトで、入学料・授業料に加えて施設費や実験実習費などの諸経費が別途かかるかどうかも必ず確認しましょう。同じ大学の中でも学部・研究科によって学費体系が異なることもあるため、志望する研究科のページを直接確認することが遠回りに見えて一番確実な方法です。

専門職大学院を選ぶ際の判断軸

専門職大学院への進学を検討する際は、学費の金額だけでなく、修了後にどのようなキャリアを描きたいかという視点で投資対効果を考えることが大切です。昇進・転職・独立といった目的によって、必要なプログラムの内容は変わります。全日制で集中して学ぶか、働きながら通える夜間主・土曜開講のプログラムを選ぶかによっても、学費だけでなく在学中の収入の途切れ方が変わってくるため、学費とキャリアプランをあわせて検討することをおすすめします。全日制は在学中に収入が途切れる可能性がある一方で短期間で修了できるメリットがあり、夜間主・土曜開講は収入を維持しながら学べる一方で在学期間が長くなる傾向があります。どちらが自分の状況に合っているかは、学費の総額だけでなく、在学中の収入をどこまで確保したいかという観点も含めて検討するとよいでしょう。私立大学院の中には、独自の給付型奨学金や入学金免除制度を用意している大学院もあります。こうした大学独自の支援制度は募集要項に記載されていることが多いため、教育訓練給付金や国の制度だけでなく、志望校自体が用意している経済支援も忘れずにチェックしておきましょう。

教育訓練給付制度とは|3つの区分と給付率を整理

教育訓練給付制度は、雇用保険の被保険者(在職者)または被保険者であった方(離職者)が、厚生労働大臣の指定を受けた講座を受講・修了した場合に、支払った費用の一部がハローワークから支給される制度です。大学院の学費であっても、指定講座であれば給付の対象になります。制度は目的や講座の専門性に応じて3つの区分に分かれており、それぞれ給付率と上限額が異なります。

区分給付率年間上限額
一般教育訓練給付金20%10万円
特定一般教育訓練給付金40%20万円
専門実践教育訓練給付金最大70%56万円(最長3年)

大学院の専門職大学院(MBA・法科大学院・教職大学院等)や一部の修士課程は、このうち最も給付率の高い専門実践教育訓練給付金の対象になり得ます。ただし全ての大学院・全ての専攻が対象というわけではなく、講座ごとに厚生労働大臣の個別指定を受けているかどうかで決まる点に注意してください。一般教育訓練給付金・特定一般教育訓練給付金は主に短期の資格講座を想定した区分であるため、大学院の学費で実際に活用されるのは専門実践教育訓練給付金であるケースがほとんどです。3区分とも、支給されるのは受講費用の一部であり全額ではない点は誤解しないよう注意しましょう。学費の何割が戻ってくるかを正確に把握しておくことが、資金計画のずれを防ぐ第一歩になります。

専門実践教育訓練給付金の仕組み

専門実践教育訓練給付金は、訓練期間中に6か月ごとの支給申請を行うことで、受講費用の50%(年間上限40万円)がまず支給されます。さらに修了後1年以内に資格を取得し、雇用保険の被保険者として就職した場合は追加で20%(年間上限16万円)が上乗せされ、合計で最大70%・年間上限56万円までが支給される仕組みです。最長3年間の課程まで対象になるため、単純計算では最大168万円程度の給付を受けられる可能性があります。訓練期間中から6か月ごとに支給されるため、学費を一括で立て替える必要がある点にも注意しつつ、資金繰りの計画に組み込んでおくとよいでしょう。

大学院・専門職大学院が対象になるケース

専門職大学院が専門実践教育訓練の指定を受けるためには、修了後の就職率・在学継続率が80%以上であること(法科大学院の場合は司法試験合格率が全国平均以上であること)など、一定の基準を満たしている必要があります。この基準を満たした専攻だけが指定講座になるため、同じ大学院でも専攻や入学年度によって対象・非対象が分かれることがあります。次の章では、自分の志望大学院が対象かどうかを実際に調べる方法を解説します。

一般・特定一般教育訓練給付金が使われる場面

一般教育訓練給付金・特定一般教育訓練給付金は、比較的短期間で取得を目指す資格講座を主な対象とした区分です。大学院の学費そのものに使われる場面は限られますが、大学院進学前に取得しておきたい実務資格の講座や、大学院と並行して受講する短期講座を検討している場合には、これらの区分もあわせて確認しておく価値があります。いずれの区分も、講座ごとに指定の有無が個別に決まっている点は専門実践教育訓練給付金と共通です。専門実践教育訓練給付金は最長3年間にわたって申請できる制度であるため、修士課程・専門職大学院の標準的な在学期間である2年間はもちろん、博士課程前期などより長い在学期間を想定している場合も、年ごとの上限額を踏まえて複数年分の給付を見込んだ資金計画を立てられます。逆にいえば、1年目・2年目それぞれで上限額まで申請できるかどうかによって、トータルの給付見込み額が変わってきます。年度をまたぐ申請の仕組みを理解しておくと、資金繰りの見通しを立てやすくなります。

専門実践教育訓練給付金を受給するには、雇用保険の被保険者期間など一定の要件を満たしている必要があります。要件の詳細は受講開始時点の状況によって変わるため、「以前調べたときは対象だった」といった過去の情報だけで判断せず、出願前にハローワークで自分自身が受給要件を満たしているかを個別に確認しておくことが確実です。転職直後や離職期間がある場合は、被保険者期間の通算がどう扱われるかも含めて相談しておくと安心です。

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自分の志望大学院が対象講座か調べる方法

教育訓練給付金の対象講座かどうかは、大学院の知名度やブランドイメージでは判断できません。必ず受講開始前に、厚生労働省の教育訓練給付制度検索システムかハローワークで個別に確認する必要があります。志望している専攻・コース・入学年度が変われば指定状況も変わるため、パンフレットの情報だけで判断せず、最新の指定状況を自分で確認する習慣をつけましょう。

教育訓練給付制度検索システムでの確認方法

厚生労働省が公開している教育訓練給付制度の検索システムでは、大学院名や制度区分(一般・特定一般・専門実践)を指定して対象講座を検索できます。多くの大学院は募集要項や公式サイトの学費ページにも「専門実践教育訓練給付金の指定講座です」といった記載を掲載しているため、志望校の公式サイトを確認することも有効な手段です。ただし指定は年度ごとに見直されることがあるため、出願前には必ず最新の情報を確認してください。志望校が複数ある場合は、比較表を自作して指定状況・給付率をまとめておくと、出願先を最終決定する際の判断材料にもなります。

ハローワークでの受給資格確認・訓練前キャリアコンサルティング

専門実践教育訓練給付金と特定一般教育訓練給付金を利用する場合は、受講開始前にハローワークで受給資格の確認を行う必要があり、専門実践教育訓練給付金についてはさらに訓練前キャリアコンサルティングの受講が必須になります。一般教育訓練給付金にはこうした事前手続きは不要ですが、いずれの区分でも支給要件(雇用保険の被保険者期間など)を満たしているかを事前にハローワークで確認しておくと安心です。社会人の大学院入試対策を進める際は、出願準備と並行して給付金の手続きスケジュールも早めに確認しておくとよいでしょう。手続きには一定の日数がかかることもあるため、入学が決まってから慌てて動くのではなく、出願前の情報収集段階からスケジュールに組み込んでおくことをおすすめします。特に転職や退職を伴うタイミングで進学を検討している場合は、雇用保険の被保険者資格に空白期間ができないよう、手続きの順序にも注意が必要です。

出願前に確認しておきたいスケジュールの目安

教育訓練給付金の手続きは、出願・受験そのものとは別のスケジュールで進める必要があります。受給資格の確認や訓練前キャリアコンサルティングには一定の日数がかかるため、志望校の出願準備を始めた段階で、あわせてハローワークへの相談も予約しておくと二度手間になりません。合格発表を待ってから動き始めると入学までの期間が短くなりがちなので、可能であれば出願前後の早い時期に一度ハローワークへ相談しておくことをおすすめします。もし訓練前キャリアコンサルティングの受講が間に合わないまま入学時期を迎えてしまうと、専門実践教育訓練給付金の申請ができなくなる可能性があります。「後で手続きすればいい」と先延ばしにせず、出願準備のToDoリストにハローワーク関連の手続きも組み込んでおくことを強くおすすめします。

不明な点があれば、電話やオンラインだけでなく、最寄りのハローワークの窓口で直接相談することもできます。担当者によって案内の詳しさに差が出ることもあるため、疑問点はその場でメモを取り、必要であれば後日改めて確認するくらいの慎重さがあってもよいでしょう。制度の詳細は毎年見直される可能性があるため、出願年度の最新情報を基準に判断することを心がけてください。相談内容は日付とあわせて簡単な記録を残しておくと、後日の手続きでも役立ちます。

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企業の教育支援制度を確認する

公的制度に加えて、勤務先の教育支援制度も確認しておきたい選択肢の一つです。厚生労働省の令和6年度「能力開発基本調査」によると、労働者の自己啓発を支援するために企業が支出した費用は労働者一人当たり平均0.4万円/年にとどまっており、制度の整備状況にも企業間で差があります。この金額は全労働者の平均であるため、実際に大学院進学のような高額な学び直しを支援している企業では、対象者一人あたりの支給額はこれよりも大きくなっているのが実情です。裏を返せば、そもそも支援対象になる制度自体を設けていない企業が多いことの表れでもあります。

制度導入している企業の割合
教育訓練休暇制度7.5%
教育訓練短時間勤務制度6.2%
教育訓練所定外労働時間免除制度6.1%

自己啓発支援制度・教育訓練休暇制度の実施率

上記のとおり、いずれの制度も導入企業は1割未満にとどまっており、「会社に制度があるはず」と思い込むのは危険です。まずは自社の就業規則や人事部への確認を通じて、受講料補助・教育訓練休暇・短時間勤務など、どのような支援が実際に利用できるのかを具体的に把握することから始めましょう。制度がない場合でも、業務との関連性を丁寧に説明することで、上司や人事に相談して個別に配慮してもらえるケースもあります。

活用時に確認すべき注意点

企業の教育支援制度を利用する際は、支給額や対象講座の条件だけでなく、一定期間内に退職した場合に費用の返還を求められる規定がないかも必ず確認してください。大学院進学を機にキャリアチェンジを考えている場合、返還義務の内容によっては想定していたメリットが薄れることもあります。制度を使う前に、就業規則や誓約書の内容を人事担当者としっかりすり合わせておくことをおすすめします。上司の理解を得ておくことは、通学のための勤務調整や、修士論文の執筆時期に業務量を調整してもらう際にも役立ちます。

社内公募制度・派遣留学制度との違い

企業によっては、個人が任意で申し込む自己啓発支援とは別に、会社側が対象者を選抜して学費を全額負担する社費派遣・社内公募制度を設けている場合があります。この2つは学費負担の主体も、修了後の拘束条件も大きく異なるため、混同しないよう注意が必要です。社費派遣は学費の自己負担がない一方で、修了後一定期間の勤務継続を求められることが多く、自己啓発支援は学費の一部補助にとどまる代わりに、進路の自由度が高いという違いがあります。自社にどちらの制度があるか、あるいは両方あるのかを人事部に確認しておきましょう。制度の名称は会社によってさまざまなので、「大学院」「MBA」といった単語だけで検索せず、「自己啓発支援」「リカレント教育」「学び直し支援」など複数のキーワードで社内規程を確認してみることをおすすめします。

人事部に相談する際は、単に「学費を補助してほしい」と伝えるのではなく、進学によって業務にどう還元できるかを具体的に説明すると話が進みやすくなります。通学スケジュールが業務にどう影響するかを事前に整理しておくと、上司や人事担当者も勤務調整の相談に応じやすくなります。制度の有無にかかわらず、早めに相談しておくこと自体が、その後の在学中の働き方を調整するうえでも役立ちます。

同じ部署や社内に大学院に通った経験のある先輩がいれば、実際にどのような手続きで支援を受けたのか、あるいは支援がなくどう工夫して両立したのかを聞いてみるのも有効です。社内の前例を知っておくと、人事への相談もスムーズに進みやすくなります。前例がない場合でも、他社の事例や公的制度の情報を材料にしながら、自社で新たに相談してみる価値は十分にあります。人事担当者にとっても新しい前例を作ることは前向きな話題になり得るため、遠慮しすぎずに相談してみることをおすすめします。

奨学金・教育ローンを活用する

教育訓練給付金や企業の支援制度だけでは学費を賄いきれない場合、奨学金や教育ローンの活用も検討する価値があります。社会人でも利用できる代表的な制度として、日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金と、日本政策金融公庫の教育一般貸付(国の教育ローン)の2つが挙げられます。

制度運営元貸与・融資の目安
第一種奨学金(無利子)日本学生支援機構(JASSO)月額50,000円または88,000円(修士課程相当)
教育一般貸付(国の教育ローン)日本政策金融公庫学生一人につき350万円以内(要件により450万円以内)

JASSO第一種奨学金(無利子)

日本学生支援機構の大学院予約採用では、無利子の第一種奨学金を利用できます。修士課程相当の場合、貸与月額は50,000円または88,000円から選択する仕組みです。在学中は毎月定額が振り込まれ、卒業後に無利子で返還していく制度のため、まとまった学費を一括で用意する必要がない点がメリットです。出願手続きは進学前の在学中(予約採用)または進学後(在学採用)のいずれかで行うため、志望校のスケジュールに合わせて早めに情報を確認しておきましょう。家計基準や学力基準など審査要件もあるため、対象になるかどうかは公式の案内資料で確認することをおすすめします。申し込み方法には、進学前の在学中に手続きを行う予約採用と、進学後に手続きを行う在学採用の2種類があります。予約採用のほうが早い時期から準備が必要になるため、大学院進学を決めたタイミングでスケジュールを確認しておくとよいでしょう。なお、無利子の第一種奨学金だけでは学費に届かない場合、有利子の第二種奨学金を追加で借りられる制度もあります。具体的な貸与月額の選択肢は年度によって変わるため、志望校が固まった段階でJASSOの公式案内資料を確認し、第一種・第二種をどう組み合わせるか検討するとよいでしょう。

国の教育ローン(日本政策金融公庫)

日本政策金融公庫の教育一般貸付、いわゆる国の教育ローンは、大学院(法科大学院などの専門職大学院を含む)も対象となる公的なローン制度です。融資限度額は学生一人につき350万円以内(自宅外通学や海外留学など一定の要件に該当する場合は450万円以内)で、金利は固定金利年4.05%(令和8年7月時点)となっています。奨学金と異なり本人以外(主に家族)が契約者になることが多い制度のため、家計全体でどちらを使うか、あるいは併用するかを話し合っておくとよいでしょう。契約者の要件や必要書類は個々の状況によって異なる場合があるため、自分のケースで申し込めるかどうかは、日本政策金融公庫の窓口や公式サイトで事前に確認しておくことをおすすめします。学費だけでなく、通学のための交通費や教材費など幅広い使途に充てられる点も、教育訓練給付金や奨学金との組み合わせを考えるうえで押さえておきたいポイントです。

返済シミュレーションを事前に立てる重要性

奨学金や教育ローンは、在学中の資金繰りを助けてくれる一方で、卒業後には返済(返還)が発生する点を忘れてはいけません。借入額が大きくなるほど、修了後の月々の返済負担も大きくなります。借りられる上限額まで借りるのではなく、教育訓練給付金でどこまで戻ってくるかを見込んだうえで、無理のない借入額に抑える計画を立てることが大切です。在学中に収入が継続する社会人であれば、在学中から一部を繰上返済用に積み立てておくという選択肢も検討できます。奨学金は「借りたお金」であり、教育訓練給付金のような「戻ってくるお金」とは性質が異なる点も、資金計画を立てるうえで意識しておきたいポイントです。給付金・企業支援・奨学金・教育ローンの4つを同列に並べるのではなく、返済が不要なものから優先的に活用し、不足分だけを借入で補うという順番で検討すると、卒業後の負担を抑えやすくなります。教育ローンを検討する際は、日本政策金融公庫だけでなく民間の金融機関が扱う教育ローンとも金利や条件を比較したうえで、最終的にどこから借りるかを決めるとよいでしょう。

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費用の自己負担額を試算するワークシート

ここまで見てきた学費・給付金・奨学金の情報を組み合わせると、「学費総額 − 教育訓練給付金 − 奨学金・企業支援でまかなえる分 = 自己負担額」という式で、自分が実際に用意すべき金額を試算できます。ここでは早稲田大学WBSの夜間主MBA(2年間合計380万円)を例に、シミュレーションの考え方を示します。

項目金額の目安
学費総額(2年間)3,800,000円
専門実践教育訓練給付金(仮に対象講座で最大70%・年間上限56万円が適用される場合)最大で年間560,000円程度
JASSO第一種奨学金(月額88,000円×24か月・要返還)2,112,000円を別途借入
自己負担の目安(給付金差し引き後・奨学金返還は別途発生)志望校ごとの個別試算が必要

この表はあくまで計算の枠組みを示す例であり、給付金の実際の支給額は年間上限額(56万円)や在学年数、対象講座かどうかによって変わります。重要なのは金額そのものより、この4項目を必ず自分の志望校の数字で埋めてみることです。教育訓練給付金は「支払った費用の一部があとから戻ってくる」仕組みであるため、入学時や在学中の立て替え原資として、教育ローンや奨学金を一時的に活用する組み合わせも選択肢になります。

計算式で押さえる自己負担額

自己負担額を試算する際は、(1)志望校の学費総額を公式サイトで確認する、(2)教育訓練給付制度検索システムで対象講座かを確認し、対象なら区分ごとの給付率・上限額を当てはめる、(3)企業の教育支援制度で使える金額を確認する、(4)残った差額をJASSOの奨学金や国の教育ローンでどこまで賄うかを検討する、という順番で進めると整理しやすくなります。この4ステップを紙やスプレッドシートに書き出しておくと、複数の志望校を比較する際にも役立ちます。

志望校ごとに数字を入れ替えて使う

国公立大学院の標準額であれば年間授業料は535,800円程度ですが、私立の専門職大学院では初年度だけで300万円を超えることもあります。学費が比較的抑えられる大学院を探したい場合は、学費が安い大学院の探し方|国公立・通信・社会人入試もあわせて参考にしながら、複数の志望校で同じワークシートを埋めて比較検討することをおすすめします。数字を入れ替えるだけで同じ枠組みを繰り返し使えるようにしておくと、出願先を絞り込む段階での意思決定がスムーズになります。

同じ枠組みを、学費水準が異なる国公立の研究科(標準額ベースで2年間約135万円)に当てはめてみると、専門実践教育訓練給付金の対象講座でなくても自己負担額そのものは私立の専門職大学院より小さくなる傾向があります。給付金の有無だけでなく学費総額そのものの水準も含めて比較することで、「給付金があるから私立の方がお得」といった短絡的な判断を避けられます。

複数の候補校を横並びで比較する

志望校が1校に絞り込めていない段階では、2〜3校分のワークシートを並べて比較することをおすすめします。学費総額だけでなく、給付金の対象有無や在学期間の違いも一緒に並べると、単純な学費の高低だけでは見えなかった総合的な費用感がつかみやすくなります。国公立大学院の標準額に近い学費の候補と、専門実践教育訓練給付金の対象になる私立の専門職大学院とでは、自己負担額の差が想定より縮まることもあるため、思い込みで候補を絞り込む前に一度は横並びで数字を確認してみましょう。

よくある質問

社会人が大学院に進学する費用は平均いくらですか?

国公立の一般的な研究科であれば標準額ベースで初年度は約82万円が目安ですが、私立の専門職大学院(MBA等)では初年度だけで300万円を超えるケースもあります。国公立か私立か、研究科か専門職大学院かによって数倍の差があるため、単一の平均額ではなく志望校ごとの金額を個別に確認することが重要です。志望校を1〜2校に絞り込む前の段階では、まず候補になりそうな数校の公式サイトで学費のページを確認し、自分の中でおおまかな相場観を作っておくと、その後の資金計画が立てやすくなります。

教育訓練給付金は大学院の学費にも使えますか?

使える場合があります。専門職大学院(MBA・法科大学院・教職大学院等)を中心に指定講座が存在するため、厚生労働省の教育訓練給付制度を確認する価値があります。ただし全ての大学院・専攻が対象ではないため、志望する専攻が指定を受けているかを教育訓練給付制度検索システムやハローワークで個別に確認する必要があります。指定の有無は大学単位ではなく専攻・課程単位で決まるため、同じ大学院でも専攻によって対象・非対象が分かれる場合がある点にも注意しましょう。

専門実践教育訓練給付金はいつ・いくらもらえますか?

訓練期間中は6か月ごとに支給申請を行い、受講費用の50%(年間上限40万円)が支給されます。修了後1年以内の資格取得・就職で追加20%が上乗せされ、合計で最大70%・年間上限56万円が最長3年間支給される仕組みです。支給は一括ではなく在学中から段階的に行われるため、入学時にまとまった学費を立て替える必要がある点はあらかじめ資金計画に織り込んでおきましょう。

教育訓練給付金の対象講座かどうかはどこで確認できますか?

厚生労働省の教育訓練給付制度検索システムで大学院名や講座名から検索できるほか、志望校の公式サイトの学費・入試情報ページに指定講座である旨の記載があることも多いです。最終的な確認は、受講開始前にハローワークの窓口で行うことをおすすめします。指定状況は年度ごとに見直される可能性があるため、過去に対象だったという情報だけで判断せず、自分が入学する年度の最新情報を確認するようにしましょう。

大学院の奨学金は社会人でも借りられますか?

借りられます。JASSOの貸与型奨学金は年齢制限がなく、社会人であっても大学院予約採用や在学採用を通じて申し込むことができます。無利子の第一種奨学金であれば、修士課程相当で月額50,000円または88,000円を選択して借りることが可能です。在学中は無利子で振り込まれ、卒業後に長期で返還していく仕組みです。ただし家計基準・学力基準など一定の審査要件があるため、申し込みを検討する場合は早めに公式の案内資料で自分が対象になるかを確認しておきましょう。

国の教育ローンと日本学生支援機構の奨学金はどちらを使うべきですか?

どちらか一方に限定する必要はなく、併用も可能です。奨学金は学生本人、国の教育ローンは主に家族が契約者になるケースが多い制度です。家計の状況や希望する返済スケジュールに合わせて、どちらを軸にするか、あるいは組み合わせるかを検討するとよいでしょう。金利や返済期間など条件が異なるため、借入前に双方の公式情報を比較し、月々の返済額のイメージを具体的に持っておくことをおすすめします。

会社の教育支援制度は誰でも使えますか?

企業によって制度の有無や利用条件は大きく異なります。教育訓練休暇制度を導入している企業は7.5%にとどまり、多くの企業ではそもそも制度自体が整備されていません。自社に制度があるかどうかは、就業規則の確認や人事部への問い合わせで個別に確認する必要があります。制度がない場合でも、業務との関連性を具体的に説明することで個別に配慮してもらえることもあるため、まずは相談してみる価値はあります。

国公立大学院と私立大学院・専門職大学院では費用はどれくらい違いますか?

国公立大学院の一般的な研究科は標準額ベースで年間授業料535,800円程度ですが、私立の専門職大学院(MBA等)では初年度納入金だけで300万円を超えることもあり、単純比較でも数倍の差があります。志望する課程の種類によって必要な資金計画が大きく変わるため、早い段階で公式サイトの学費情報を確認しておくことが大切です。なお、専門実践教育訓練給付金の対象になれば私立の専門職大学院でも自己負担額は変わってくるため、学費の額面だけで国公立・私立を比較するのではなく、制度活用後の見込み額で比較することをおすすめします。国公立大学院であっても専門職大学院であれば専門実践教育訓練給付金の対象になり得るため、「国公立だから給付金は関係ない」と思い込まず、双方の可能性をあわせて確認しておくとよいでしょう。

まとめ|社会人の大学院進学費用は制度活用込みで計画する

  • 大学院の学費は国公立か私立か、一般の研究科か専門職大学院かで大きく異なり、単一の「平均費用」で判断するのは危険
  • 国立大学の研究科(法科大学院を除く)の標準額は入学料282,000円・授業料年額535,800円、法科大学院は授業料年額804,000円
  • 私立の専門職大学院(MBA等)は初年度納入金だけで300万円を超えるケースがあり、桁違いの予算感が必要
  • 教育訓練給付制度には一般(20%・上限10万円)・特定一般(40%・上限20万円)・専門実践(最大70%・年間上限56万円)の3区分があり、専門職大学院が対象になることがある
  • 対象講座かどうかは教育訓練給付制度検索システムやハローワークで個別に確認する必要がある
  • 企業の教育支援制度・JASSOの奨学金・国の教育ローンを組み合わせることで自己負担額を抑えられる可能性がある
  • 企業の教育訓練休暇制度等の導入企業は1割未満にとどまるため、自社の制度は思い込みで判断せず必ず個別に確認する
  • 教育訓練給付金・奨学金・教育ローンにはそれぞれ手続きの締め切りやスケジュールがあり、出願準備と並行して早めに動く必要がある
  • 最終的には「学費総額−給付金−支援でまかなえる分=自己負担額」の式で、志望校ごとに数字を当てはめて試算することが重要

社会人が大学院に進学する費用は、額面の学費だけを見ると尻込みしてしまう金額に感じられるかもしれません。しかし教育訓練給付金・企業の支援制度・奨学金・教育ローンを組み合わせて考えれば、実際の自己負担額は思っているより抑えられる場合があります。それぞれの制度は対象講座の指定状況や審査要件、手続きの締め切りが個別に定められているため、「大学院にかかる学費」という漠然とした不安のまま検討を止めるのではなく、志望校ごとに一つずつ数字を確認していくことが結果的に一番の近道になります。

まずは候補校の学費を公式サイトで確認し、対象講座かどうかを調べることから始めましょう。あわせて勤務先の教育支援制度を人事部に問い合わせるところから始めてみてください。そのうえで、この記事のワークシートを使って自分なりの自己負担額を試算してみましょう。費用面の不安から出願そのものをためらっている方も、まずは志望校の学費と対象制度を調べるところまでは費用をかけずに進められます。行動してみることで見えてくる選択肢もあるはずです。学費・給付金・奨学金・企業支援のいずれも情報の鮮度が重要な分野であるため、年度が変わるタイミングでは特に、最新の公式情報を確認する習慣を持っておきましょう。出願準備や研究計画書の作成、志望理由書のブラッシュアップなど、大学院入試そのものの対策に不安がある場合は、専門の指導を活用するのも一つの方法です。

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この記事を書いた人

千葉大学 法政経学部を首席で卒業後、都内国公立大学の法科大学院(ロースクール)を修了し、司法試験に合格。法律・政治・経済分野の専門知識をもとに、スプリング・オンライン家庭教師の大学編入・大学院入試分野の指導および記事監修を担当。

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