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大学院進学率は本当に低い?学部別・大学別データで見る進学の実態

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大学院進学率とは、大学(学部)を卒業した人のうち、大学院(修士課程・専門職学位課程など)へ進学した人の割合を指す言葉です。文部科学省の学校基本調査によれば、令和7年度の大学院進学率は12.7%で、学部卒業生のおよそ8人に1人が大学院に進んでいる計算になります。「大学院進学率は低い」というイメージを持つ方は多いものの、この12.7%という数字は全学部・全大学を平均した値にすぎません。

実際には、理学部や工学部では大学院進学率が70〜80%台に達する大学もある一方、人文科学系・社会科学系の学部では数%程度にとどまるケースが珍しくなく、学部・学科によって数字は大きく異なります。旧帝大をはじめとする難関国立大学と私立大学の間にも傾向差があり、「大学院進学率」という一つの言葉の中に、実はかなり幅のある実態が隠れているのです。

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この記事では、学校基本調査など公的な統計データをもとに、大学院進学率の全体の水準と推移、学部系統別の進学率の目安、大学別に見られる傾向、文系と理系で差が生まれる理由、そして日本の大学院進学率が国際的に見て本当に低いのかどうかを整理します。あわせて、大学院進学率という数字をどう読み解き、自分自身の進学判断にどう活かすかについても解説します。

大学院進学を検討している大学生・高校生はもちろん、お子さまの進路を考えている保護者の方にとっても、進学率という数字の裏側にある構造を知ることは、後悔のない進路選択につながります。「うちの子は大学院に進むべきなのか」「自分の学部からだと進学は珍しいのか」といった疑問は、全国平均の数字だけを見ていても解消しません。

特に、同じ大学の中でも学部によって進学率が数十ポイント単位で異なることや、進学先が自大学の大学院(内部進学)なのか他大学の大学院(外部進学)なのかによって数字の意味が変わってくることは、あまり知られていません。まずは全体の水準から順番に見ていきましょう。

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目次

大学院進学率とは|全体の水準とここ数年の推移

大学院には修士課程・博士課程・専門職学位課程がある

大学院進学率を正しく理解するには、大学院にいくつかの課程が存在することも押さえておく必要があります。一般的な大学院は、2年制の修士課程と、その後に続く博士課程(多くは3年制)から構成され、法科大学院・教職大学院・MBAなどは専門職学位課程と呼ばれる別枠の制度です。学部卒業者の大学院進学率という場合、通常は修士課程・専門職学位課程への進学者数をもとに算出されており、「大学院に進学した」といっても、目指す課程によって修学年数も選考方法も異なる点に注意が必要です。

学部卒業者の大学院進学率は12%台で推移

文部科学省が毎年実施している学校基本調査では、大学(学部)卒業者のうち大学院等へ進学した人の割合を「大学院進学率」として公表しています。この調査によると、令和6年度(2024年度)の大学院進学率は12.6%で前年度より0.1ポイント上昇し、令和7年度(2025年度)は12.7%と、さらに0.1ポイント上昇しました。ここ数年は12%台後半でほぼ横ばいの水準が続いていると見てよいでしょう。

この数値の意味を正しく捉えるには、大学院進学率が「全学部・全大学の学部卒業者数」を分母にした全国平均であることを理解しておく必要があります。理系学部の在籍者が多い大学ほど分子側の進学者が増えやすく、逆に文系学部中心の大学では数値が全体平均を押し下げる方向に働きます。つまり12.7%という数字だけを見て「大学院に進む人は少数派だ」と結論づけるのは早計です。

年度学部卒業者の大学院進学率修士課程修了者の大学院等進学率
令和6年度(2024年度)12.6%10.9%
令和7年度(2025年度)12.7%11.2%

修士課程修了者のさらなる進学率も上昇傾向

学校基本調査では、修士課程を修了した人がさらに大学院等(博士課程を含む)へ進学した割合も公表されており、令和7年度は11.2%で前年度から0.3ポイント上昇しています。学部から大学院への進学、大学院内でのさらなる進学のいずれも、ここ数年はわずかながら上昇基調にあることが読み取れます。

一方で、平成期の推移を振り返ると、大学院進学率は平成21年度(2009年度)頃まで上昇を続けた後、平成22年度(2010年度)以降は緩やかに低下し、その後は横ばいで推移してきたという指摘もあります。長期的な視点で見れば、大学院進学率は右肩上がりで伸び続けているわけではなく、社会的なニーズと表裏一体で緩やかに変動してきた指標だと理解しておくと、単年度の増減に一喜一憂せずに済みます。年度ごとの正確な数値は、最新の学校基本調査でご確認ください。

大学院在学者数から見た全体像

進学率という「割合」だけでなく、実際に大学院に在籍している人数からも全体像を把握しておくと理解が深まります。学校基本調査によれば、令和7年度(2025年度)の大学院在学者数は約277,000人で、前年度から約5,500人増加し過去最多となりました。同年度の大学全体の在学者数は約2,972,000人、うち学部の在学者数は約2,646,000人であり、大学院生は大学に在籍する学生全体の約1割弱を占める規模になっています。

進学しない学部卒業者の多くは就職している

大学院進学率が12%台ということは、残り9割近くの学部卒業者はどうしているのかというと、その大半は就職しています。学校基本調査によれば、令和7年度の学部卒業者のうち就職者の割合は77.0%(前年度比+0.5pt)で、大学院進学率と就職率を合わせると、卒業者の9割近くが進学か就職のいずれかに進んでいる計算になります。大学院修士課程修了者についても、就職者の割合は78.2%(前年度比-0.3pt)と、修士修了後も多くの人が就職を選んでいます。

区分(令和7年度)進学率就職者の割合
大学(学部)卒業者12.7%77.0%
修士課程修了者11.2%78.2%

大学院進学は学部卒業者にとって少数派の選択である一方、修士修了者にとってもさらなる進学は少数派であり、多くの人が修士課程を終えた段階で就職するという構図が見えてきます。

設置者別(国立・公立・私立)でも水準は異なる

学校基本調査では、大学院進学率を国立・公立・私立といった設置者別に見ることもできます。一般的には、国立大学の進学率が最も高く、公立大学がこれに続き、私立大学は在籍者数が多い分、全体平均としては相対的に低い水準にとどまるとされています。これは私立大学に理系学部が少ないというより、国立大学に占める理系学部の学生比率が高いことや、大学院の定員・研究設備の規模が影響していると考えられます。設置者別の違いも、学部構成の違いを映した結果と捉えると理解しやすくなります。

また、大学院進学率は男女別に見ても差があると報告されています。理系学部そのものに男子学生の割合が高い分野が多いことも影響し、大学院進学率も男女で開きが出やすい傾向があります。もっとも、これは「性別によって進学しやすさが変わる」というより、進学率の高い理系学部の男女比が影響している面が大きく、学部系統の違いを踏まえて数字を読む必要がある点は、他の切り口と共通しています。

次の章では、この全国平均の内側にある「学部系統ごとの差」を具体的に見ていきます。

学部別に見る大学院進学率|理学・工学・農学と人文科学・社会科学の差

理系学部は進学率が突出して高い

大学院進学率を学部系統別に見ると、理系と文系のあいだには非常に大きな開きがあります。中央教育審議会大学分科会大学院部会の参考資料や内閣府の関連資料などでは、学士課程修了者が修士課程へ進学する割合が、理学系で40%台、工学系で35〜40%程度、農学系で20%台後半に達する一方、人文科学系・社会科学系では数%程度にとどまるとされています。数値は調査年度によって変動するため、最新の正確な値は学校基本調査の原典でご確認ください。

学部系統大学院(修士課程等)進学率の目安
理学系40%台前半
工学系35〜40%程度
農学系20%台後半
人文科学系数%程度
社会科学系数%程度

さらに注意したいのは、同じ「理学系」「工学系」という大きなくくりの中にも、学科単位ではばらつきがある点です。工学系の中でも、大学院での研究経験が就職に直結しやすい機械工学・電気電子工学・化学工学といった分野は進学率が高くなりやすく、建築学やデザイン系など実務志向の強い学科ではやや低めに出ることもあります。学部系統の目安はあくまで大枠であり、学科単位ではさらに差が広がることを踏まえておくと、志望する学科の実態により近づけます。

人文科学・社会科学の内部でも差がある

「人文科学系・社会科学系は進学率が低い」とひとくくりにされがちですが、この系統の中でも学問領域によって傾向は一様ではありません。法学・経済学・商学のように、学部卒業段階での実務就職(公務員・金融・商社など)が明確なキャリアパスとして確立している分野は、大学院進学率が特に低くなりやすい一方、心理学・教育学・社会学のように、研究者や公認心理師・学校心理士などの専門職を志望する場合に大学院進学が前提となる分野では、同じ「文系」でも進学率がやや高めに出ることがあります。「文系だから低い」ではなく、学問領域ごとの専門職・資格との結びつきを見ることが、より実態に近い理解につながります。

博士課程への進学率も理系・人文系で高い傾向

修士課程修了者が博士課程へ進学する割合についても、学部系統ごとの差がはっきり表れています。文部科学省の資料では、人文学系で10%台後半、理学系で10%台後半、保健系で15%前後という水準が報告されており、「文系だから博士に進まない」と一概には言えない点も押さえておきたいポイントです。人文系は修士から学部への進学率自体は低いものの、いったん修士課程に進んだ人が博士課程まで進む割合は決して低くありません。

この学部系統差が生まれる背景には、それぞれの学問分野で求められる専門性のレベルと、就職市場での学位の評価のされ方の違いがあります。理系、特に基礎研究に近い分野では、研究職や技術職に就くために大学院での専門教育がほぼ前提とされることが多く、学部卒業だけでは希望する職種に就きにくい構造があります。一方、人文科学・社会科学系では、学部卒業の段階で一般企業の総合職として就職する道が主流であり、大学院進学が就職活動上の必須要件になりにくいという事情が数値の差につながっています。

専門職大学院・医学系分野は別の枠組みで考える

ここまで紹介した学部系統別の進学率は、主に修士課程・博士課程への進学を対象にした集計です。法科大学院(ロースクール)・教職大学院・MBA(経営学修士)といった専門職大学院は、法曹・教員・経営専門職といった特定のキャリアを目指す人が進学する枠組みであり、一般の修士課程とは進学の動機・選抜方法が異なります。専門職大学院への進学は「進学率」という数字だけでなく、目指す資格・職種から逆算して検討するのが実態に即した考え方です。

また、医学部医学科のように、そもそも学部6年間で医師国家試験の受験資格が得られる分野は、大学院(医学系研究科)への進学が「学部卒業後すぐ」ではなく、臨床研修を経てから、あるいは研究者を志す段階で検討されることが多く、他の学部系統と単純に比較しにくい構造を持っています。分野ごとに大学院との関わり方が異なる点は、進学率の数字を読むうえで見落としやすいポイントです。

もちろん、社会学・心理学・教育学など社会科学・人文科学の中でも、研究者や専門職を志す場合は大学院進学がキャリアの前提になる分野もあります。社会科学系の大学院を検討している場合は、社会学系大学院の入試対策のように、志望する研究科ごとの入試傾向を早めに把握しておくと、限られた準備期間を効率的に使えます。

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大学別に見る大学院進学率|旧帝大・難関国立と私立大学の傾向

旧帝大・難関国立大学は理系学部で進学率が非常に高い

大学別に大学院進学率を見ると、東京大学・京都大学・東京工業大学(現・東京科学大学)といった旧帝大クラスの難関国立大学では、理学部・工学部・薬学部といった理系学部の大学院進学率が80%前後に達する年度もあると報告されています。同じ大学の中でも学部によって進学率は大きく異なり、例えば理学部・工学部・薬学部が70〜80%台である一方、法学部・経済学部といった社会科学系学部は1桁%から30%台にとどまる傾向が見られます。

学部の系統(例)大学院進学率の傾向
理学部70〜80%台
工学部70〜80%台
薬学部80%台
農学部60%台
教養学部・国際系学部40%台
教育学部30%台
法学部30%台前半
文学部20%台後半
経済学部1桁%台

上記はあくまで公表データをもとにした傾向の目安であり、年度や大学によって数値は変動します。正確な最新値を知りたい場合は、志望する大学の公式サイトが公開している学生数・進路状況のデータを直接確認することをおすすめします。

他の旧帝大・難関国立大学でも理系学部の進学率は高水準

東京大学・京都大学以外の旧帝大(大阪大学・東北大学・名古屋大学・九州大学・北海道大学)や、一橋大学・東京工業大学(現・東京科学大学)といった難関国立大学でも、理学部・工学部・農学部を中心に大学院進学率が高い水準にある大学が多いと報告されています。難関国立大学の理系学部では、学部卒業=就職ではなく、大学院修了を前提としたキャリア設計が主流になっている点は共通しています。研究室によっては、学部生の指導そのものが大学院進学を前提に組まれていることも珍しくありません。

一方で、同じ難関国立大学でも法学部・経済学部・文学部といった社会科学系・人文科学系の学部では、進学率が理系学部ほど高くならない傾向は変わりません。大学のブランド力や難易度と、学部単位の大学院進学率は必ずしも比例しないという点は、大学選びにおいても意識しておきたいポイントです。

地方の国立大学・中堅私立大学の傾向

大学院進学率のデータは旧帝大や難関私立大学が話題になりやすいものの、地方の国立大学(単科大学・総合大学を問わず)でも、理系学部の大学院進学率は総じて高めに出る傾向があります。地方国立大学の工学部・農学部は、地域の産業界と連携した研究室が多く、大学院修了を前提とした人材育成が行われていることが背景にあると考えられます。一方、MARCH・関関同立クラスの中堅私立大学では、理系学部でも大学院進学率が難関国立大学ほど高くならないケースが多いと報告されており、学部の難易度と進学率が単純に比例するわけではない点は、大学選びの際に押さえておきたいポイントです。

大学院進学率は「国高私低」の傾向がある

大学院進学率は、国立大学の方が私立大学よりも高くなる「国高私低」の状況が常態化していると指摘されています。理学部・工学部で大学院進学率が高い大学を順位づけると、上位の大半を国立・公立大学が占め、私立大学は一部の理系学部を除いて相対的に低い水準にとどまる傾向があります。背景には、国立大学の研究設備・教員体制の充実度や、学費・奨学金面での進学しやすさがあると分析されています。

ただし、早稲田大学・慶應義塾大学のような難関私立大学でも、理学部の物理学科・化学科など基礎研究系の学科では、年度によって進学率が40%を超えることもあると報告されており、私立大学だから一律に進学率が低いわけではありません。学部・学科単位で見ることが、大学院進学率を正しく理解する第一歩になります。志望校を検討する際は、大学全体の平均値ではなく、自分が進みたい学部・学科の実績を個別に確認するようにしましょう。

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なぜ理系は進学率が高く文系は低いのか|文理差が生まれる構造的な理由

研究職・技術職の採用要件が理系の進学率を押し上げる

理系学部で大学院進学率が高い最大の理由は、研究開発職・技術職の多くが、採用の実質的な前提として修士号を求めていることにあります。特にメーカーや製薬・化学関連企業の研究開発部門では、学部卒よりも大学院修了者を対象とした採用枠の方が手厚いケースが多く、専門性を評価されて就職するには大学院での研究経験が実質的に必須とされる場面が少なくありません。理系の学生にとって大学院進学は、就職を有利にするための「戦略的な選択」という側面が強いのです。

また、理系の研究室では、学部4年間だけでは研究テーマを完結させるのが難しく、指導教員側も学生に大学院進学を前提とした研究計画を組むことが一般的です。学部生の段階から研究室に所属し、実験・データ収集・論文執筆といった一連の研究活動を継続する文化が根付いていることも、理系の進学率の高さを支える要因になっています。

文系は学部卒業時点での就職市場が主流

一方、人文科学・社会科学系の学部では、学部卒業の段階で一般企業の総合職として就職するのが主流のキャリアパスです。日本の新卒一括採用の仕組みでは、大学院で学んだ専門知識が採用選考で直接的に評価されにくいという実情があり、文系の大学院修了者が「専門性を評価されて有利に就職できる」とは限らない現状が指摘されています。むしろ、就職活動のタイミングが学部卒業より2年遅れることを不利に感じる学生も少なくありません。

企業側が大学院卒(文系)の能力や活躍できる領域を十分に把握できていないという指摘もあり、大学院教育の成果が採用市場に十分に伝わっていないことが、文系の進学率を押し下げる構造的な要因の一つになっています。研究者・専門職(公認会計士・臨床心理士・学校教員など資格取得が必要な職種)を目指す場合を除くと、文系学部生にとって大学院進学の経済的なメリットが見えにくいのが実情です。

雇用慣行の変化が今後の文理差に影響する可能性

近年、日本企業の一部では、職務内容を明確に定義して専門性を評価する「ジョブ型雇用」への移行が話題になっています。従来のメンバーシップ型雇用(職種を限定せず、入社後に配属・育成する仕組み)のもとでは、大学院での専門性が採用時に評価されにくい構造がありましたが、ジョブ型雇用が広がれば、文系分野でも大学院での専門知識が採用選考で評価されやすくなる可能性があります。ただし、こうした雇用慣行の変化が実際に大学院進学率の文理差にどこまで影響するかは、今後の推移を見守る必要がある段階です。

文系でも大学院進学が有利に働くケース

文系分野の中にも、大学院進学がキャリア上明確な意味を持つケースはあります。公認会計士・臨床心理士・学校教員(専修免許)・国家公務員総合職の一部区分など、資格取得や特定の職種への就職に大学院での学びが直結する分野では、大学院進学が有力な選択肢になります。「文系だから進学しても意味がない」のではなく、目指す職種によって進学の意味合いが変わると考えるのが実態に近いでしょう。

法科大学院(法曹を目指すルート)や教職大学院(教員としての専門性を高めるルート)のように、進路と大学院進学が制度的に結びついている分野もあります。こうした分野を志望する場合は、学部系統全体の進学率の高低にかかわらず、大学院進学を前提としたキャリア設計を早めに検討しておくとよいでしょう。

もっとも、教育学・心理学・社会学など、資格や専門職と結びついた分野では話が別です。教育学研究科(教職を目的としない研究者・専門職コース)を志望する場合は、教育学研究科の大学院入試対策のように、研究科ごとの入試の特徴を早めに調べておくことが、限られた対策期間を有効に使うポイントになります。

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大学院進学率の国際比較|日本は本当に低いのか

高等教育進学率でOECD平均を下回るという指摘

「日本の大学院進学率は諸外国と比べて低い」という言説は各所で見られますが、この点については比較の前提を丁寧に確認する必要があります。文部科学省が過去に公表した資料では、大学院を含む高等教育全体への進学率について、2012年時点で日本が約52%であったのに対し、OECD平均は約58%だったとされ、ドイツ・イギリス・韓国などとの差はむしろ拡大傾向にあると分析されています。この比較は2012年時点のデータであり、最新の状況は変化している可能性がある点には注意してください。

比較対象高等教育進学率(2012年時点、文科省資料)
日本約52%
OECD平均約58%

最新の国際比較データを確認したい場合は、OECDが毎年公表している「Education at a Glance」などの一次資料を参照するのが確実です。この記事で紹介した数値はあくまで参考値としてとらえ、比較年次が古い点を踏まえたうえで活用してください。

国際比較を行う際にもう一つ注意したいのが、国によって大学院の制度設計そのものが異なる点です。修士課程を経ずに学部から博士課程に進む制度がある国や、社会人になってから大学院に戻る「リカレント教育」が一般的な国もあり、単純に「進学率」という指標だけで教育水準や学問への熱意を比較するのは難しい面があります。進学率の高低は制度・雇用慣行の違いを反映した結果であって、優劣を直接示すものではないと捉えるのが妥当です。

アメリカ・ドイツ・韓国など各国との違い

国別の詳細な比較を行う際は、それぞれの国の大学院制度や雇用慣行を踏まえる必要があります。例えば、研究職・専門職への就職において修士号・博士号がより明確な要件とされる国では、大学院進学が就職活動の一部として組み込まれやすく、結果的に進学率も高く出やすい傾向があるとされます。一方、日本のように新卒一括採用と学部卒業時点での就職が主流の国では、大学院進学が「就職を有利にするための必須ルート」として位置づけられにくく、進学率が相対的に低く出やすい構造があると考えられます。国ごとの数字の差は、教育制度そのものの違いに加えて雇用慣行の違いを色濃く反映している点を踏まえて読むことが大切です。国別の詳細な最新データは、OECDや各国の教育統計機関が公表する一次資料でご確認ください。

人口あたりの大学院進学者数でも低位という分析がある

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)等の分析では、人口千人あたりの大学院(修士課程相当)進学者数について、日本がOECD加盟国の中でも低い水準にあるとする指摘があります。日本は大学進学率そのものは決して低くない一方、大学院という「もう一段上」への進学の規模が国際的に見て小さいというのが、複数の分析に共通する見立てです。

海外の大学院に進学するという選択肢

国際比較のデータを踏まえたうえで、そもそも日本国内ではなく海外の大学院への進学を選択肢に入れる学生も一定数存在します。研究分野によっては、特定のテーマで世界的に評価の高い研究室が海外にある場合や、英語で学位を取得すること自体がキャリア上のメリットになる場合もあります。大学院進学率という国内基準の数字にとらわれず、進学先を国内外まで広げて検討するのも一つの考え方です。ただし、出願要件・言語要件・費用面のハードルは国内進学より高くなることが一般的なため、検討する場合は早い段階から情報収集を始める必要があります。

この差が生まれる背景として、海外では高収入が見込める上級職に就くために修士号・博士号が事実上の要件とされる国が多いのに対し、日本では学位と収入・職位が必ずしも直結していない点が挙げられています。世界的に見れば、大学院での専門教育がキャリアの土台として組み込まれている国が多く、日本のようにキャリアの初期段階から実務経験を重視する採用文化はむしろ少数派だという見方もあります。国際比較の数値だけを見て一喜一憂するのではなく、自分が目指す業界・職種で大学院での学びがどう評価されるのかを個別に調べることが大切です。研究者を目指す場合や、海外の大学院・研究機関との連携が多い分野を志望する場合は、国際的な大学院進学の水準や評価のされ方を知っておくことが、将来の進路選択の幅を広げることにもつながります。

大学院進学率が低いことは「悪いこと」なのか|進学のメリットとキャリアへの影響

大学院進学率の低さは必ずしもデメリットではない

大学院進学率が全体として低い水準にあること自体は、日本の教育・雇用のあり方を映す一つの指標にすぎず、個人にとって進学しないことが不利益になるとは限りません。学部卒業段階で就職市場に出て実務経験を積み、若いうちから専門性を実践の中で磨いていくキャリアパスにも、相応のメリットがあります。大学院進学率という数字は「進学すべきかどうか」を判断する材料の一つであって、唯一の正解を示すものではありません。

一方で、研究職・技術職を志望する場合、あるいは公認会計士・臨床心理士・学校教員(専修免許)など、大学院修了が実質的に有利に働く、または必須となる資格・職種を目指す場合は話が変わります。こうした進路では、大学院での研究経験や専門教育が採用・資格取得の前提条件になっていることが多く、進学しないことでスタートラインに立てない可能性もあります。

進学後に後悔しないための判断軸

大学院進学率の高い学部・大学に在籍しているからといって、周囲に流されるように進学を決めるのは避けたいところです。進学後に「なぜ大学院に進んだのか」を自分の言葉で説明できないと、研究計画書や面接での受け答えにも一貫性が出にくくなります。「研究を続けたいテーマがあるか」「大学院での学びが目指す職種に直結するか」という2つの軸で自分の状況を整理しておくと、進学するかどうかの判断がしやすくなります。逆に、大学院進学率が低い環境にいるからといって進学をためらう必要もなく、自分自身の目的意識が伴っていれば、周囲の進学率は判断材料の一つにすぎません。

進学率の数字より「自分の志望分野での相場」を見る

大学院進学率を進路選択の判断材料にするなら、全国平均の12%台という数字よりも、自分が所属する(あるいは志望する)学部系統・大学における進学率の相場を確認する方が実用的です。理系学部で研究職を志望しているのに周囲の大半が学部卒で就職している状況であれば、その分野の研究職市場では珍しいキャリアを歩むことになりますし、逆に文系学部で大学院進学を検討している場合は、周囲に進学者が少ない分、情報収集そのものを自分で行う必要が出てきます。「自分の学部・志望業界での進学率」を基準に考えることが、全国平均の数字に振り回されないための一番のポイントです。

大学院進学のメリット・デメリットを整理すると、次のような点が挙げられます。

  • 専門性を深め、研究職・技術職への門戸を広げられる
  • 修士号が採用条件になっている職種・企業に応募できるようになる
  • 研究活動を通じて、課題設定力や論理的な文章力といった汎用的な力を伸ばせる
  • 学部だけでは深められなかったテーマにじっくり取り組める
  • 学費・生活費の負担が2年程度(修士課程の場合)増える
  • 就職活動の開始・収入を得始める年齢が学部卒より遅れる
  • 研究内容と就職先の仕事内容が必ずしも一致するとは限らない

進学率という数字だけでなく、こうした個別のメリット・デメリットを併せて検討することをおすすめします。特に学費・生活費の負担は、奨学金や授業料免除制度、リサーチアシスタント(RA)・ティーチングアシスタント(TA)の報酬によって軽減できる場合があるため、進学を検討する段階で志望先の支援制度も併せて調べておくとよいでしょう。

研究者を目指す場合は博士課程まで見据える

大学教員や公的研究機関の研究職など、アカデミアでのキャリアを志望する場合、大学院進学は修士課程だけで完結しないことがほとんどです。多くの分野で、研究者としてのキャリアは修士課程修了後に博士課程へ進み、学位取得後もポスドク(博士研究員)として研究経験を積むという段階を経ます。研究者を目指すのであれば、大学院進学率という入り口の数字だけでなく、修士から博士、その先のキャリアパスまで見通しておくことが欠かせません。博士課程まで見据える場合は、研究テーマの専門性だけでなく、指導教員の下でどのような研究実績を積めるかも、進学先を選ぶ重要な基準になります。

研究室とのミスマッチを避ける視点も持つ

大学院進学のメリット・デメリットを検討する際、意外と見落とされがちなのが指導教員・研究室とのミスマッチのリスクです。大学院での2年間(修士課程の場合)は、多くの時間を特定の研究室・指導教員のもとで過ごすことになるため、研究テーマ・指導スタイルが自分に合っているかを進学前に確認しておくことが、進学後の満足度を大きく左右します。オープンラボや研究室訪問の機会があれば積極的に活用し、在籍する学生の様子や研究の進め方を実際に見ておくとよいでしょう。

大学院修了者の年収は本当に高いのか

「大学院を出れば生涯年収が上がる」という話を耳にすることもありますが、この点は分野・職種によって差が大きく、一概には言えません。研究開発職・専門職など、修士号・博士号が採用条件や昇進要件に直結する職種では、大学院修了が収入に反映されやすい一方、そうした要件がない職種では、学部卒業からの2年間を実務経験に充てた人と比べて、必ずしも大学院修了者の方が高収入になるとは限りません。年収面のメリットは志望する業界・職種の実情を個別に確認する必要がある点は、進学率の数字と同様に注意したいところです。

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自分の進学率を上げるには|内部進学・外部進学・学部選びの視点

内部進学と外部進学で「進学率」の意味が変わる

大学院進学率を語るうえで見落とされがちなのが、進学先が「同じ大学の大学院(内部進学)」なのか「他大学の大学院(外部進学)」なのかという違いです。学校基本調査の進学率は進学先を問わず合算した数値のため、内部進学が多い大学ほど数字が高く出やすい一方、外部進学は入試の難易度や情報収集の手間が内部進学より大きくなる傾向があります。同じ「進学率80%」でも、内部進学中心の大学と外部進学が多い大学とでは実態が異なる点は理解しておくべきです。

内部進学は在籍する大学の推薦制度や成績優秀者向けの選考枠を利用できる場合があり、外部進学に比べて準備の負担が軽いことが多いとされます。一方で外部進学は、より専門性の高い研究室・研究科を選べる、就職や研究のフィールドを広げられるといったメリットがあります。大学院の内部進学と外部進学の違いを事前に理解しておくと、自分がどちらのルートを選ぶべきかを判断しやすくなります。

内部進学でも対策が不要というわけではない

内部進学は外部進学に比べて選考の負担が軽いと言われることが多いものの、まったく対策が不要というわけではありません。大学によっては、内部進学であっても学部の成績(GPA)が一定水準以上であることや、面接・小論文といった選考が課される場合があります。「内部進学だから安心」と油断せず、募集要項に定められた出願要件を早めに確認しておくことが、思わぬつまずきを防ぐポイントです。特に人気のある研究室では、内部進学であっても定員を超える志望者が集まり、選考が実質的に機能することもあります。

学部選びの段階から大学院進学を見据える

これから大学進学先・学部を選ぶ段階にある高校生であれば、大学院進学率の高い学部系統(理学・工学・農学など)を選ぶこと自体が、将来の大学院進学を後押しする一つの選択になります。研究室配属のタイミングや、大学院進学者が多いカリキュラムかどうかは、オープンキャンパスや学部案内で確認できるポイントです。

すでに大学に在籍していて大学院進学を検討している場合は、内部進学か外部進学か、修士のみで就職するか博士まで進むかによって、必要な準備の内容とスケジュールが大きく変わります。特に外部の大学院を受験する場合は、志望する研究科の入試科目・出願書類・研究計画書の作り方など、内部進学では発生しない準備が必要になります。研究科ごとに入試の傾向が大きく異なるため、志望研究科が決まった段階で早めに情報収集を始めることが、合格可能性を左右します。

社会人からの大学院進学は「進学率」に表れにくい

学校基本調査の大学院進学率は、あくまで大学(学部)を卒業したばかりの人を対象にした統計です。そのため、社会人になってから数年〜数十年を経て大学院に戻る「社会人大学院生」の存在は、この進学率にはほとんど反映されません。社会人としての学び直しは、学部卒業直後の進学率とは別の文脈で増えているとされ、社会人特別選抜(社会人入試)という選考枠を設ける大学院も少なくありません。

大学在学中に将来のキャリアで大学院での学び直しを想定している場合、新卒段階での進学率の高低にかかわらず、社会人になってからのルートも選択肢に入れておくと、進路の視野が広がります。

大学3年次からの一般的な準備の流れ

大学院入試(特に外部進学)を目指す場合、一般的には大学3年次のうちから志望研究科の情報収集を始め、3年次後半から4年次前半にかけて専門科目・英語外部試験のスコアメイクを進め、4年次前半から夏にかけて出願書類・研究計画書を仕上げ、夏から秋にかけて実施される入試本番に臨む、という流れになることが多いです。内部進学であっても、研究室配属や卒業研究のテーマ選びが大学院での研究テーマに直結するため、早い段階から関心のある分野を意識しておくことに意味があります。募集要項・出願スケジュールは大学・研究科ごとに異なるため、必ず最新の募集要項でご確認ください。

大学院進学を決める前に確認したいこと|情報収集と入試対策の進め方

進学率の数字だけで判断しない

ここまで見てきたように、大学院進学率は学部系統・大学・内部進学か外部進学かによって大きく変わる、幅のある指標です。全国平均の12%台という数字や、理系学部の70〜80%台という数字だけを見て「自分も進学すべきか」「進学しないと不利なのか」を判断するのは避けたいところです。大切なのは、自分が目指す研究分野・職種において大学院での学びがどう評価されるかを具体的に調べることです。

情報収集の方法としては、志望する研究科の公式サイトで入学者数・出身大学の内訳を確認する、OB・OGや在学中の大学院生に話を聞く、大学院進学を経て就職した先輩の進路実績を調べる、といった手段が有効です。研究室単位で進学状況が大きく異なる分野もあるため、可能であれば指導を希望する教員の研究室が過去にどのような進路実績を持つかまで確認できると、より実態に即した判断ができます。

特にオープンキャンパスや研究科説明会は、公式サイトだけでは分からない研究室の雰囲気や、実際の大学院生の声を聞ける貴重な機会です。大学院進学率という数字の背景にある「なぜその数字になるのか」を、自分の目と耳で確かめることも、進路選択の精度を高める一つの方法です。オンラインで説明会を開催する大学院も増えているため、遠方の場合でも参加しやすくなっています。

確認したい項目確認先の例
研究科全体・専攻ごとの進学率、出身大学の内訳志望大学院の公式サイト(学生数・進路データ)
研究室ごとの過去の進路実績研究室のウェブサイト、指導教員への問い合わせ
入試科目・出願書類・過去の出題傾向研究科の入試要項、過去問(公開されている範囲)
学費・奨学金・授業料免除制度大学の学生支援・奨学金窓口のページ

研究計画書は大学院進学率にかかわらず全員が向き合う課題

大学院入試において、専門科目の筆記試験以上に受験生を悩ませやすいのが研究計画書です。研究計画書は、進学率が高い学部・低い学部にかかわらず、外部進学を目指す受験生の多くが提出を求められる書類であり、志望する研究科・指導教員の専門分野と自分の関心をどう接続するかを、限られた字数で説得力を持って示す必要があります。大学院進学率の高低は入試の難易度そのものを保証するものではなく、進学率が低い分野であっても、研究計画書や面接での準備不足が不合格につながるケースは珍しくありません。

無料相談などを活用して不安を解消する

大学院進学率のデータを調べれば調べるほど、「自分の場合はどうなのか」という個別の疑問が新たに出てくることも少なくありません。学部系統・志望校・内部進学か外部進学かによって状況が大きく異なるテーマだからこそ、独力での判断に迷いを感じたら、大学院入試の指導実績がある専門家に相談し、自分の状況に即したアドバイスを受けるという選択肢もあります。進学率という一般論と、自分自身の志望研究科での実態の両方を押さえることが、後悔のない進路選択につながります。

外部進学を目指すなら早めの入試対策が鍵になる

大学院進学率のデータを見て、自分の所属学部・大学よりも進学率が高い(あるいは自分の志望分野に強い)大学院を外部進学で目指したいと考える場合、入試対策は内部進学よりも早い段階から始める必要があります。外部進学の大学院入試では、専門科目の筆記試験・英語外部試験のスコア・研究計画書・面接など、内部進学では省略されることもある選考プロセスが課される場合が多いためです。

特に研究計画書は、志望する研究科・指導教員の専門分野と自分の研究したいテーマとの接続を説得力を持って説明する必要があり、独学だけで仕上げるのが難しい書類の一つです。志望校の過去の出題傾向や研究計画書の評価ポイントを早期に把握し、計画的に対策を進めることが、大学院進学率という数字に関係なく、自分自身の合格可能性を高める最も現実的な方法になります。大学院入試の対策を専門的にサポートする大学院入試対策コースのようなサービスを活用し、志望研究科に特化した準備を進めるのも一つの選択肢です。

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よくある質問(FAQ)

大学院進学率は文系と理系でどれくらい違いますか。

公表資料では、理学系で40%台、工学系で35〜40%程度、農学系で20%台後半とされる一方、人文科学系・社会科学系は数%程度にとどまるとされています。理系と文系では数倍から十倍以上の開きがあると考えてよいでしょう。背景には、研究職・技術職の採用要件として大学院修了が事実上求められる理系分野と、学部卒業段階での就職が主流の文系分野という進路構造の違いがあります。数値は調査年度により変動するため、最新の値は学校基本調査でご確認ください。

大学院進学率が高い大学・学部にはどんな特徴がありますか。

旧帝大をはじめとする難関国立大学の理学部・工学部・薬学部で進学率が高い傾向があります。研究職・技術職への就職に大学院での研究経験が実質的に求められる分野であること、研究設備や指導体制が充実していることなどが背景にあると考えられます。同じ大学の中でも学部によって進学率は大きく異なるため、大学単位ではなく学部・学科単位で確認することが重要です。

私立大学は国立大学より大学院進学率が低いのですか。

全体としては国立大学の方が私立大学より進学率が高い「国高私低」の傾向が指摘されています。背景には、国立大学の研究設備・教員体制の充実度や、学費・奨学金面での進学しやすさがあると分析されています。ただし、早稲田大学・慶應義塾大学など難関私立大学の理系学部では、年度によって進学率が40%を超えることもあり、私立大学だから一律に低いわけではありません。学部・学科単位で確認することをおすすめします。

大学院進学率は年々下がっているのですか、上がっているのですか。

直近の学校基本調査では、令和6年度12.6%、令和7年度12.7%と、わずかながら上昇しています。修士課程修了者のさらなる進学率も、令和6年度10.9%から令和7年度11.2%へと上昇しました。ただし長期的に見ると、平成21年度頃までの上昇局面のあと横ばいに近い推移が続いているという指摘もあり、単年度の増減だけで大きなトレンドを判断するのは避けた方がよいでしょう。

日本の大学院進学率は海外と比べて本当に低いのですか。

高等教育進学率でOECD平均を下回る、人口あたりの大学院進学者数がOECD加盟国の中で低位にあるといった分析がありますが、比較に用いられているデータの年次が古い場合もあるため、最新の状況を知りたい場合はOECDの最新資料を確認することをおすすめします。大学進学率自体は低くない一方、大学院への進学規模が国際的に小さいという傾向は複数の分析で共通しています。

大学院進学率が低い学部から大学院を目指すのは不利ですか。

進学率の低さは、その学部で大学院進学が主流でないことを示すだけで、個人の合否に直結するものではありません。人文科学・社会科学系からでも、志望する研究科の入試傾向に沿って計画的に対策すれば合格は可能です。周囲に進学者が少ない分、自分自身で情報収集を積極的に行う姿勢が重要になります。教育学・心理学・社会学など、資格や専門職につながる分野では大学院進学が有力な選択肢になるケースもあります。

内部進学と外部進学で進学率の数字の意味は変わりますか。

学校基本調査の進学率は進学先を問わず合算されているため、内部進学が多い大学ほど数値が高く出やすい傾向があります。内部進学は推薦制度などを利用できる場合がある一方、外部進学は専門科目の筆記試験や研究計画書など、より本格的な入試対策が必要になることが多いです。

大学院進学率のデータはどこで確認できますか。

最も基本的な一次資料は、文部科学省が毎年公表している学校基本調査です。学部系統別・都道府県別など詳細な集計はe-Statの政府統計ポータルで確認できます。大学別の詳細な数値を知りたい場合は、各大学が公式サイトで公開している学生数・進路状況のデータを直接参照するのが確実です。国際比較についてはOECDの「Education at a Glance」など、各国政府・国際機関が公表する統計を参照すると、より正確な最新情報が得られます。

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まとめ|大学院進学率は「平均」ではなく自分の分野で見る

大学院進学率は、学校基本調査によれば令和7年度で12.7%と、全国平均で見れば学部卒業生のおよそ8人に1人が進学する水準です。しかしこの記事で見てきたとおり、この数字はあくまで全学部・全大学の平均であり、実態は学部系統・大学・内部進学か外部進学かによって大きく異なります。理学部・工学部で70〜80%台に達する大学がある一方、人文科学系・社会科学系では数%程度にとどまる学部も少なくありません。

  • 学部卒業者の大学院進学率は令和7年度で12.7%、修士課程修了者のさらなる進学率は11.2%
  • 理学・工学・農学系の理系学部は進学率が高く、人文科学・社会科学系は低い傾向がある
  • 旧帝大などの難関国立大学の理系学部では進学率が70〜80%台に達する年度もある
  • 大学院進学率は総じて「国高私低」だが、私立大学の理系学科でも高水準の年度がある
  • 文理差の背景には、研究職・技術職の採用要件と、学位が評価されにくい採用市場の構造がある
  • 国際比較では日本の大学院進学が相対的に小規模という分析があるが、比較年次には注意が必要
  • 進学率という平均値ではなく、自分の志望分野・研究科での実態を個別に確認することが重要

大学院進学率という数字は、進学すべきかどうかを直接教えてくれるものではありません。むしろ大切なのは、自分が目指す研究分野や職種において大学院での学びがどのように評価されるのかを具体的に調べ、内部進学か外部進学かを含めて自分に合った進路を選ぶことです。特に外部進学で志望する研究科の入試対策を進める場合、専門科目・研究計画書・面接など準備すべき内容は多岐にわたります。

大学院進学率の高い学部・大学に在籍していても、志望する研究科の入試傾向を把握していなければ合格は近づきません。逆に進学率の低い学部・分野からでも、早い段階から情報収集と対策を積み重ねれば、外部進学を含めた進路の選択肢は十分に開けます。独学での情報収集や対策に不安がある場合は、志望研究科に精通した専門の指導を活用するのも一つの方法です。

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この記事を書いた人

千葉大学 法政経学部を首席で卒業後、都内国公立大学の法科大学院(ロースクール)を修了し、司法試験に合格。法律・政治・経済分野の専門知識をもとに、スプリング・オンライン家庭教師の大学編入・大学院入試分野の指導および記事監修を担当。

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