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大学院の奨学金制度を徹底解説

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大学院進学を考えるとき、学費の負担をどう乗り越えるかは避けて通れないテーマです。大学院の奨学金制度は、日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金を中心に、大学独自の授業料減免、民間財団の給付型奨学金、社会人向けの教育訓練給付制度まで、複数の制度を組み合わせて活用するのが基本です。大学院の奨学金とは、進学後の学費・生活費の負担を国・大学・民間団体が支援する制度の総称であり、返済が必要な「貸与型」と返済不要の「給付型」に大きく分かれます。

本記事では、JASSO第一種(無利子)・第二種(有利子)奨学金の貸与月額から、優れた成果を挙げた学生の返還が免除される「特に優れた業績による返還免除制度」、大学独自の授業料減免、民間財団の給付型奨学金、そして社会人が使える教育訓練給付制度との違いまで、公式情報に基づいて整理します。学部の奨学金と混同されがちな制度も多いため、大学院ならではの注意点にも触れていきます。

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どの制度をどう組み合わせるかによって、大学院2年間で数十万円から100万円以上の差が生まれることもあります。制度ごとの特徴を理解し、出願前の準備段階から計画的に情報収集を進めることが、経済的な負担を抑えながら希望の大学院に進学するための近道です。奨学金の申込みは進学後ではなく進学前から動き始めるものも多く、出願先を決めるタイミングと並行して検討する必要があります。

特にJASSOの奨学金は「借りたら終わり」ではなく、在学中の学業・研究等の成果次第で返還が免除される仕組みも用意されています。制度を知らずに一般的な貸与型だけを選んでしまうと、活用できたはずの給付型の恩恵を見逃してしまうこともあるため、進学前の早い段階で全体像を押さえておきましょう。本記事を読めば、自分がどの制度の対象になり得るか、何をいつまでに準備すればよいかの見通しが立てられるはずです。

なお、本記事で紹介する貸与月額・支給率・免除実績などの数値は、日本学生支援機構(JASSO)・文部科学省・厚生労働省の公式サイトで確認できる情報を基にしています。制度の詳細や年度ごとの変更点は、必ず出願時点の最新の募集要項・公式サイトでご確認ください。

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目次

大学院の奨学金制度にはどんな種類がある?全体像を整理

大学院生が利用できる奨学金・経済支援制度は、実施主体によって大きく4つに分けられます。日本学生支援機構(JASSO)による貸与型奨学金、大学が独自に実施する授業料減免・給付型奨学金、地方公共団体や民間財団による給付型奨学金、そして雇用保険の教育訓練給付制度です。給付型は返済が不要な一方で選考が厳しく、貸与型は選考基準が比較的緩やかな代わりに卒業後の返済義務が生じます。

大学院の奨学金は、学部生向けの奨学金と比べて情報がまとまりにくいという特徴もあります。学部生向けの奨学金は大学案内やオープンキャンパスで積極的に紹介される一方、大学院向けの制度は研究科ごとの学生支援ページや、入学後に配布される資料に分散していることが多く、自分から情報を取りにいく姿勢が求められます。

特に他大学の大学院に進学する場合は、出身大学で当たり前だった制度が進学先には無かったり、逆に進学先だけの独自制度があったりするため、「前の大学と同じだろう」という思い込みは禁物です。志望する大学院が決まったら、その大学院固有の制度を一から調べ直すつもりで情報収集を始めましょう。

給付型と貸与型の違い

給付型奨学金は、大学独自の授業料減免や民間財団の奨学金に多く、返済不要という大きなメリットがあります。ただし募集人数が限られ、成績基準や研究テーマの適合性などの選考があるのが一般的です。貸与型奨学金は、JASSOの第一種(無利子)・第二種(有利子)が代表例で、家計基準・学力基準を満たせば比較的採用されやすい一方、卒業後に返還する義務を負います。

実施主体別の分類

大学院生向けの経済支援は「誰が実施しているか」で性質が変わります。JASSOは全国共通の基準で運営される最大規模の制度、大学独自制度は在籍大学でしか使えない代わりに手続きが身近、民間財団は財団ごとに対象分野や条件が大きく異なります。まずは全体像を比較表で押さえておきましょう。

実施主体代表的な制度返済特徴
JASSO第一種(無利子)・第二種(有利子)必要(貸与型)全国共通の家計・学力基準、返還免除制度あり
大学独自授業料減免・給付型奨学金不要な場合が多い在籍大学限定、予算の範囲内で選考
地方公共団体・民間財団各財団の給付型奨学金不要な場合が多い分野・出身地等の条件あり、募集時期が財団ごとに異なる
雇用保険(社会人向け)専門実践教育訓練給付金等給付(返済不要)雇用保険の被保険者期間等の要件あり

この4つの制度は併用できる組み合わせも多く、たとえばJASSOの貸与型奨学金と大学独自の授業料減免を同時に利用したり、社会人であれば教育訓練給付制度とJASSO奨学金を組み合わせたりすることも可能です。ただし、財団や大学によっては他制度との併用に制限を設けている場合があるため、複数の制度を組み合わせたい場合は必ず各制度の募集要項で併給規定を確認してください。

進学前に押さえておきたい優先順位

制度を比較検討する際は、まず「返済不要かどうか」を軸に優先順位をつけると判断しやすくなります。大学独自の給付型奨学金・民間財団の給付型奨学金は返済不要な分、経済的なメリットが最も大きい選択肢です。次に検討したいのがJASSO第一種(無利子)で、在学中の業績次第では返還免除の可能性もあります。第二種(有利子)は、それでも資金が不足する場合に検討する、という順番で考えると、卒業後の返還負担を抑えながら必要な資金を確保しやすくなります。

まず何から調べればよいか

制度の種類が多いために、どこから手をつければよいか迷う方は少なくありません。最初のステップとしては、志望する大学院の学生支援ページでJASSOの申込窓口と大学独自の授業料減免制度の有無を確認することをおすすめします。そのうえで、民間財団の奨学金を追加候補として探し、社会人であれば教育訓練給付制度の対象講座かどうかをハローワークで確認するという順番で進めると、無理なく全体を把握できます。

進学までのスケジュールが長い方ほど、複数の制度を並行して調べる時間の余裕があります。逆に出願直前になってから動き始めると、応募期間が過ぎてしまっている財団も出てくるため、進学を意識し始めた時点で情報収集をスタートするのが理想的です。

学部の奨学金との違いに注意する

大学院の奨学金は、学部で利用していた制度がそのまま引き継がれるわけではありません。学部在学中にJASSO奨学金を利用していた場合でも、大学院進学時にはあらためて申込みが必要です。また、学部と大学院で貸与月額の選択肢や家計基準の考え方が異なる場合もあるため、「学部と同じだろう」と思い込まず、大学院用の募集要項を必ず確認しましょう。

特に、学部の奨学金を返還中のまま大学院に進学する場合は、在学猶予の手続きを行うことで、大学院在学中は返還を一時的に猶予してもらえる制度があります。手続きを忘れると返還が始まってしまうことがあるため、大学院への進学が決まった時点で早めに手続きを行うことが大切です。

JASSO第一種奨学金(無利子)の仕組みと貸与月額

JASSO第一種奨学金は、利息が発生しない貸与型奨学金です。家計基準(世帯の収入・資産)と学力基準を満たした学生が対象で、大学院での学業・研究に専念できるよう設計されています。無利子である分、第二種奨学金より選考基準はやや厳しめに設定されています。

貸与月額の選択肢

大学院第一種奨学金の月額貸与額(平成30年度以降入学者)は、修士課程・専門職学位課程では50,000円または88,000円のいずれかを、博士課程では80,000円または122,000円のいずれかを選択する仕組みです。複数の金額が設定されている場合はどちらか一方を選び、進学後に生活状況が変わった場合は月額の変更を申請できる場合があります。

課程選択できる月額
修士課程・専門職学位課程50,000円 または 88,000円
博士課程80,000円 または 122,000円

予約採用と在学採用

JASSO奨学金の申込には、大学院進学前に手続きを行う方法と、進学後の在学中に大学経由で申し込む方法があります。進学前から準備しておくと採用の可否が入学前に判明しやすく、資金計画を立てやすいというメリットがあります。申込時期や必要書類は年度により変わるため、最新の募集要項は必ず在籍(予定)大学の奨学金窓口またはJASSO公式サイトで確認してください。

第一種奨学金は無利子である分、次章で説明する「特に優れた業績による返還免除制度」の対象にもなっており、在学中の成果によっては返還そのものが免除される可能性がある点も大きな特徴です。返還が必要になった場合でも無利子なので、総返還額は貸与総額そのものにとどまります。

家計基準を満たさない場合の考え方

第一種奨学金は家計基準がやや厳しく、世帯の収入・資産状況によっては対象外になることもあります。その場合は、次章で紹介する第二種奨学金や、大学独自の授業料減免、民間財団の給付型奨学金を優先的に検討するとよいでしょう。家計基準は世帯構成や扶養人数によっても変わるため、実際に対象になるかどうかは進学予定の大学の奨学金窓口、またはJASSO公式サイトのシミュレーションで確認するのが確実です。

なお、社会人として一定期間就労してから大学院に進学する場合は、本人の所得を基準に判定される場合もあり、学部からストレートで進学する学生とは基準の考え方が異なることがあります。自身の状況が家計基準にどう当てはまるかは、必ず最新の募集要項で確認してください。

保証制度の選択も忘れずに

JASSO奨学金を利用する際は、返還を保証する仕組みとして「人的保証」(連帯保証人・保証人を立てる方式)と「機関保証」(保証機関に一定の保証料を支払う方式)のいずれかを選ぶ必要があります。人的保証は保証料がかからない一方で親族に保証人を依頼する必要があり、機関保証は保証人を立てずに済む代わりに毎月の貸与額から保証料が差し引かれる仕組みです。どちらを選ぶかによって毎月手元に届く金額や家族への依頼内容が変わるため、申込み前に両方の仕組みを理解しておきましょう。

在学採用に切り替える場合の注意

予約採用に間に合わなかった場合でも、進学後の在学採用であらためて申し込むことができます。在学採用は毎年決まった時期に大学を通じて募集されるため、進学後すぐに大学の奨学金窓口やポータルサイトで募集時期を確認しておくと申込み漏れを防げます。予約採用で不採用だった場合や、予約採用の申込み自体を逃してしまった場合も、在学採用であらためてチャンスがある点は覚えておきましょう。

入学した後にアルバイト収入や家族の収入状況が変わり、家計基準の判定結果が変わることもあります。一度不採用になったからといって諦めず、状況が変わったタイミングで在学採用に再チャレンジできることも知っておくと、経済状況の変化に柔軟に対応できます。

申込みにあたっては、マイナンバーの提出や家族構成の申告など、事前に準備しておく書類が複数あります。予約採用・在学採用のいずれの場合も、申込み開始から締切までの期間は限られているため、募集が始まってから書類を集め始めるのではなく、事前に必要書類の一覧を確認し、揃えられるものから準備しておくとスムーズです。

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JASSO第二種奨学金(有利子)の仕組みと貸与月額

JASSO第二種奨学金は、卒業後に利息付きで返還する貸与型奨学金です。第一種より家計基準が緩やかに設定されており、より多くの学生が対象になりやすい制度といえます。大学院では月額50,000円・80,000円・100,000円・130,000円・150,000円の中から選択する仕組みです。

貸与月額と法科大学院の増額制度

法科大学院に在学する学生は、150,000円にさらに40,000円または70,000円を増額できる制度が用意されています。生活費や教材費の負担が大きくなりやすい法科大学院進学者にとって、選択肢が広いことは資金計画を立てるうえでの利点です。第一種と第二種は要件を満たせば併用でき、生活状況に応じて貸与額を調整できます。

区分選択できる月額
大学院(一般)50,000円・80,000円・100,000円・130,000円・150,000円
法科大学院(増額)150,000円+40,000円 または 150,000円+70,000円

利率の仕組みと上限

第二種奨学金の利率は「利率固定方式」(貸与終了時に決定した利率が返還完了まで適用される方式)と「利率見直し方式」(貸与終了時に決定した利率をおおむね5年ごとに見直す方式)のいずれかを選択できます。どちらの方式でも利率の上限は年3.0%と定められており、市場金利が変動しても上限を超えて負担が増えることはありません。返還方式(利率固定方式・利率見直し方式)は貸与終了後の一定期間内であれば変更を申請できる場合があるため、市場金利の動向をふまえて検討するとよいでしょう。

第一種と比較して選考のハードルが低い分、返還負担も考慮した借入計画が重要です。大学院の学費・入学金の総額を事前に把握したうえで、必要最小限の貸与額を選ぶ視点も欠かせません。

返還のイメージをつかんでおく

第二種奨学金は在学中は無利息で、返還が始まるのは貸与終了後です。卒業後の返還は毎月一定額を口座振替で納付する形が基本で、貸与総額や返還方式によって毎月の返還額・返還期間が変わります。修士課程2年間で月額10万円を借りた場合、貸与総額は240万円になる、といった具合に、貸与月額×貸与期間で総額のおおよそのイメージをつかんでおくと、卒業後の家計への影響を具体的に想像しやすくなります。

返還が困難になった場合には、返還期限の猶予や減額返還といった救済制度も用意されています。借りる段階で無理のない金額を選ぶことが基本ですが、就職状況の変化などで返還が難しくなった場合は、早めにJASSOへ相談することが延滞を防ぐポイントです。

第一種と第二種を併用する場合の考え方

第一種と第二種は要件を満たせば同時に借りることができ、これを「併用貸与」と呼びます。併用貸与では第一種・第二種それぞれに家計基準が設定されており、単独で借りる場合よりも基準がやや厳しくなる傾向があります。生活費や研究活動費が多くかかる分野に進学する場合は、併用貸与によって月々の貸与額を厚くできる可能性がありますが、その分卒業後の返還負担も大きくなる点は忘れないようにしましょう。

他の貸与型奨学金との違いを知っておく

民間の教育ローンや金融機関の学資ローンと比較すると、JASSO第二種奨学金は利率の上限が年3.0%と定められている点が大きな特徴です。在学中は無利息で、返還が始まるのは貸与終了後という点も一般のローンとは異なります。借入先を比較する際は、利率だけでなく返還開始のタイミングや返還猶予・減額返還といった救済制度の有無もあわせて確認すると、総合的な負担感を正しく比較できます。

また、保護者名義で契約する教育ローンとは異なり、JASSO奨学金は学生本人名義の貸与であるという点も特徴のひとつです。卒業後に返還するのは学生自身になるため、借りる段階から「自分が返す借入」であることを意識し、月々の返還額が将来の家計にどの程度の負担になるかを具体的にイメージしておくことが大切です。

貸与月額を選ぶ際は、在学中に得られるアルバイト収入やティーチングアシスタント等の謝金、家族からの援助の見込みもあわせて考慮すると、必要以上に高い金額を借りずに済む場合があります。貸与額は途中で増額することが難しい制度設計になっていることが多いため、余裕を持たせすぎず、かといって不足しないよう、生活費の見積もりは複数のシナリオで検討しておくと安心です。

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特に優れた業績による返還免除制度とは

「特に優れた業績による返還免除制度」は、大学院で第一種奨学金の貸与を受けた学生を対象に、在学中の学業・研究等の業績に応じて奨学金の全額または半額の返還が免除される制度です。貸与が終了する年度に、所属する大学からの推薦を受けて審査が行われます。学業成績だけでなく、学術的な発見・発明、文化・芸術・スポーツにおける顕著な活動、社会貢献活動なども評価対象に含まれます。

令和7年度の認定実績

実際にどの程度の学生が対象になっているのかを知るために、令和7年度(2025年度)の実績を見てみましょう。貸与が終了した学生24,354人のうち、大学から推薦されたのは8,441人、実際に返還免除が認定されたのは8,383人(全額免除2,576人・半額免除5,807人)でした。貸与終了者全体の3割強が何らかの免除を受けている計算になります。

課程貸与終了者数推薦者数
修士課程21,381人7,043人
専門職学位課程1,670人894人
博士課程1,303人504人
合計24,354人8,441人

認定結果は貸与終了年度の翌年度にスカラネット・パーソナルや郵送のはがきで通知される流れです。推薦の可否は各大学の学内選考によって決まるため、対象になり得る学生は在学中の早い段階から研究業績や学会発表の実績を積み重ね、所属研究科の奨学金窓口に相談しておくことが現実的な対策になります。

免除を狙ううえでの注意点

返還免除は「申請すれば誰でも通る」制度ではなく、大学ごとに推薦できる人数や基準が設定されている点に注意が必要です。推薦されなかった学生は通常どおり返還義務が生じるため、免除ありきで返還計画を立てるのは避け、免除されなかった場合の返還シミュレーションもあわせて行っておくと安心です。

大学からの推薦を得るには、日頃の研究活動を記録・整理しておくことが役立ちます。学会発表の実績、投稿論文、研究会での活動などは、あとからまとめて振り返るよりも、進めながら記録しておくほうが、推薦申請の書類作成の負担を減らせます。指導教員との定期的な面談の機会に、返還免除制度の対象になり得るかを相談してみるのもよい方法です。

推薦の可否は最終学年になってから急に決まるものではなく、入学直後からの積み重ねが評価されます。在学初期から学会発表や論文執筆に積極的に取り組む姿勢そのものが、結果的に推薦・免除の可能性を高めることにつながります。目先の返還免除だけを目的化せず、研究活動そのものに真摯に取り組む延長線上に免除の可能性があると捉えておくとよいでしょう。

対象は第一種奨学金のみである点に注意

この返還免除制度の対象になるのは、大学院で第一種(無利子)奨学金の貸与を受けた学生に限られます。第二種(有利子)奨学金には同様の返還免除制度は用意されていません。返還免除の可能性を重視するのであれば、家計基準を満たす範囲でまず第一種奨学金を優先的に検討し、不足分を第二種で補うという考え方が合理的です。

また、免除の審査は在学中の学業成績だけでなく、学会発表や論文の実績、研究の社会的インパクトなど多面的に評価されます。指導教員や研究科の奨学金担当窓口に、自分の研究業績が推薦の対象になり得るかを在学中から相談しておくことも、実践的な準備のひとつです。

博士課程進学者にとっての意味

博士課程は修士課程より貸与月額が高く設定されている分、返還免除による経済的なインパクトも大きくなります。研究者を志す学生にとって、返還免除は研究に専念できる環境を整えるうえでも重要な制度です。博士課程在学中は学振(日本学術振興会)特別研究員などの別制度と組み合わせて検討する学生も多く、進学先の研究科でどのような経済支援の実績があるかを事前に調べておくと、進路選択の判断材料が増えます。

免除にならなかった場合の心構え

返還免除の対象にならなかった場合でも、学業・研究に真剣に取り組んだ経験そのものは無駄になりません。免除されなかった場合は通常の返還スケジュールに従って返還していくことになりますが、無利子の第一種であれば返還総額は貸与総額のままです。免除を最優先の目標にしすぎるのではなく、まずは学業・研究に集中し、その結果として免除の可能性が生まれるという順序で捉えておくと、過度なプレッシャーを避けられます。

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大学独自の奨学金・授業料減免制度

学部生向けには国の「高等教育の修学支援新制度」(給付型奨学金と授業料等減免をセットにした制度)がありますが、この制度の対象は大学・短期大学・高等専門学校・専門学校の学生に限られ、大学院生は対象外です。大学院生が授業料の減免を受けるには、各大学が独自に実施している制度を利用する必要があります。

大学独自制度の考え方

大学独自の授業料減免は、大学ごとに基準・予算枠が異なるため一律の金額は存在しませんが、多くの大学に共通する考え方として「経済的な理由により納付が困難であること」と「学業成績が優秀であると認められること」の両方が求められます。たとえば東京大学では、経済的理由により授業料の納付が困難で学業優秀と認められる学生等を対象に、家計基準・学力基準を満たす学生の授業料を予算の範囲内で全額または一部免除する仕組みを設けています。

「予算の範囲内」という表現からもわかるとおり、基準を満たしていても予算の都合で全員が免除を受けられるわけではない点は理解しておく必要があります。出願を検討している大学院の授業料減免制度の有無・実績は、募集要項や公式サイトの学生支援ページで事前に確認しておくことをおすすめします。

申請には家計状況を示す書類(源泉徴収票・所得証明書等)の提出が求められるのが一般的で、審査結果が出るまでには一定の時間がかかります。入学後すぐに免除が確定するとは限らないため、審査結果が出るまでの間は授業料を一旦納付できるだけの資金をあらかじめ用意しておくと安心です。申請時期・必要書類は大学ごとに異なるため、詳細は必ず志望大学院の学生支援窓口で確認してください。

入試前に確認すべきポイント

大学独自の授業料減免は入学後に申請するのが基本ですが、大学によっては入試の成績上位者に対して独自の給付型奨学金(入学時特待生制度など)を用意している場合もあります。志望する大学院を選ぶ段階で、学費の総額だけでなく減免制度の充実度も比較材料に入れておくと、進学後の資金計画にゆとりが生まれます。学費が安い大学院の探し方もあわせて確認しておくと、進学先選びの視野が広がります。

国公立と私立で異なる負担感

国立大学院の授業料は各大学で標準額に近い水準に設定されていることが多い一方、私立大学院は分野・大学によって学費の幅が大きくなります。私立大学院を検討する場合ほど、独自の授業料減免制度の充実度が総費用に与える影響が大きくなるため、複数の大学院を比較する際は学費だけでなく減免実績もあわせて確認することをおすすめします。

研究科によっては、外部資金(科研費等)を財源にした研究奨励金やティーチングアシスタント・リサーチアシスタントとしての謝金支給制度を設けている場合もあります。これらは奨学金とは性質が異なりますが、大学院在学中の生活費を補う手段として、志望研究科の制度を合わせて調べておくとよいでしょう。

複数の大学院を比較検討するときの視点

併願を検討している場合は、各大学院の授業料減免の申請時期・審査頻度(年1回か複数回か)・過去の免除実績の有無を可能な範囲で問い合わせておくことをおすすめします。同じ分野でも大学によって減免制度の運用実態は大きく異なるため、パンフレットやWebサイトの情報だけで判断せず、オープンキャンパスや個別相談の機会に直接質問してみるとよいでしょう。

特に地方在住から都市部の大学院、あるいはその逆へ進学する場合は、授業料以外に転居費用や家賃差額といった追加コストも発生します。授業料減免だけでなく、住居費への補助制度(学生寮の有無・家賃補助等)も含めて総費用を比較する視点を持っておくと、進学後の資金計画により現実的な見通しが立てられます。

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民間財団・地方公共団体の奨学金

JASSOや大学独自の制度に加えて、民間財団や地方公共団体が独自に運営する給付型奨学金も選択肢のひとつです。民間財団の奨学金は返済不要の給付型が中心で、財団ごとに対象分野・出身地・研究テーマなどの条件が細かく設定されているのが特徴です。

探し方の基本

民間財団の奨学金情報は、大学の学生課・奨学金窓口の掲示やWebサイトにまとまっているケースが多く、まずは在籍(予定)大学の窓口で確認するのが近道です。財団ごとに応募時期・書類・選考方法が異なるため、志望分野に近い財団を複数リストアップし、応募スケジュールを一覧化しておくと申込み漏れを防げます。

実例:キーエンス財団の給付型奨学金

民間財団の給付型奨学金の実例として、キーエンス財団の制度が挙げられます。大学院修士課程への進学予定者を対象に、月額12万円を修士課程の2年間にわたって給付し、返済は不要という内容で、卒業後の進路にも制限がありません。募集人数は100名程度で、一次選考では進学予定の大学院や成績、所得情報等をWeb登録し、二次選考で小論文や成績証明書などの提出が求められます。応募期間は例年秋(2026年度は10月1日から11月13日)に設定されており、進学前年の早い段階からの準備が必要です。

このように条件の良い民間財団奨学金は応募期間が短く競争率も高い傾向があるため、進学を検討し始めた時点で候補財団をリストアップし、早期に情報収集を始める姿勢が重要です。JASSOの奨学金と民間財団の給付型奨学金は基本的に併用可能ですが、財団によっては他の奨学金との併用を制限している場合もあるため、募集要項の併給規定を必ず確認しましょう。

地方公共団体の奨学金という選択肢

都道府県・市区町村が独自に運営する奨学金制度も、進学先や出身地によっては候補になります。地方公共団体の奨学金は、その自治体の出身者やUターン就職を条件にしている場合が多いのが特徴で、卒業後に地元で一定期間就業すると返還が免除される仕組みを採用している自治体もあります。出身地の自治体の奨学金制度は見落とされがちなので、進学準備の過程で一度確認しておくと選択肢が広がります。

財団や自治体の奨学金は、募集要項に「大学が推薦する学生に限る」といった条件が付いている場合もあります。この場合は財団に直接応募するのではなく、大学の奨学金窓口を経由した学内選考が必要になるため、応募を検討する段階で大学側の窓口にも早めに相談しておくとスムーズです。

応募書類の準備は早めに

民間財団の奨学金は、志望理由書や研究計画書、成績証明書、所得証明書など複数の書類を短期間で揃える必要があるケースが多く見られます。出願手続きと奨学金の応募書類が同時期に重なることも多いため、それぞれに必要な書類を早めにリスト化し、大学の証明書発行にかかる日数も見込んで逆算しておくと、締切間際にあわてずに済みます。

給付型奨学金と税金の関係

返済不要の給付型奨学金を受け取ると「所得とみなされて課税されるのでは」と心配する方もいますが、学資に充てるための給付型奨学金は原則として所得税の課税対象になりません。個々の制度で取り扱いが異なる場合もあるため、確定申告の要否など税務上の疑問がある場合は、税理士や最寄りの税務署に確認すると安心です。

複数の財団に同時応募してもよいか

民間財団の奨学金は、応募条件を満たしていれば複数の財団に同時に応募すること自体は問題ないケースが一般的です。ただし採用後の他制度との併用については財団ごとに規定が異なるため、複数の財団から採用の連絡を受けた場合にどちらを選ぶか、あるいは併用が可能かどうかを、内定時点で必ず確認しましょう。応募書類を使い回せる部分と、財団ごとに書き分ける必要がある部分(志望理由・研究計画の力点等)を整理しておくと、複数応募の負担を減らせます。

社会人が使える教育訓練給付制度とJASSO奨学金の違い

社会人として働きながら大学院進学を目指す場合、JASSO奨学金に加えて雇用保険の「教育訓練給付制度」も選択肢に入ります。教育訓練給付制度は雇用保険の被保険者を対象にした国の制度で、JASSO奨学金とは実施主体も判定要件もまったく異なります。会社員・公務員として一定期間働いてきた方ほど利用できる可能性が高い制度といえます。

専門実践教育訓練給付金の支給内容

大学院関連では、専門職大学院(MBA等)や職業実践力育成プログラム(BP)に認定された講座などが専門実践教育訓練給付金の対象講座になり得ます。支給率は受講費用の50%(年間上限40万円)で、6か月ごとに支給されます。修了後1年以内に資格取得等をして雇用保険の被保険者として就職した場合はさらに20%が追加され、合計70%(年間上限56万円)になります。令和6年10月以降開講の講座では、賃金が受講前より5%以上上昇した場合にさらに10%が加算され、最大80%(年間上限64万円)まで支給されます。

条件支給率年間上限額
受講中(基本)50%40万円
資格取得+雇用保険加入で就職合計70%56万円
さらに賃金5%以上上昇(令和6年10月以降開講講座)合計80%64万円

JASSO奨学金との違いと併用の考え方

JASSO奨学金は学生本人の家計・学力を基準にした「貸与型」が中心で、大学院に在籍する全ての学年の学生が対象になり得ます。一方、教育訓練給付制度は雇用保険の被保険者期間などの要件を満たす社会人が対象で、受講費用の一部が返済不要で支給される点が異なります。両者は対象者の属性が異なるため、要件を満たせば同時に利用できる可能性がある点も押さえておきたいポイントです。ただし対象講座の指定状況は大学院・専攻によって異なるため、志望する大学院が指定講座に該当するかは事前にハローワークや大学の窓口で確認してください。

働きながら大学院受験の準備を進める場合は、学習時間の確保と出願書類の準備を並行して進める必要があります。働きながら大学院入試を受ける方法も参考に、資金計画とあわせて学習計画を立てておくと安心です。

一般教育訓練給付金・特定一般教育訓練給付金との違い

教育訓練給付制度には、専門実践教育訓練給付金のほかに「一般教育訓練給付金」「特定一般教育訓練給付金」という区分もあります。一般教育訓練給付金は支給率が受講費用の20%(上限10万円)にとどまり、専門実践教育訓練給付金と比べると支給額は小さくなります。特定一般教育訓練給付金は基本支給率40%(上限20万円)で、資格取得等の条件を満たすと支給率50%相当まで引き上げられる仕組みです。大学院の学位課程が対象になるのは主に専門実践教育訓練給付金であるため、社会人が大学院進学を検討する際はまずこの区分の対象講座かどうかを確認するのが近道です。

教育訓練給付金を受けるには、雇用保険の被保険者期間など一定の要件を満たす必要があります。要件や対象講座の指定状況は年度によって変わるため、受講を検討している大学院の課程が現時点で指定講座になっているかは、必ずハローワークまたは厚生労働省の最新の公表情報で確認してください。

会社の制度と組み合わせる視点も

社会人が大学院に進学する場合、勤務先が独自に設けている自己啓発支援制度や休職・時短勤務制度を利用できることもあります。教育訓練給付制度・JASSO奨学金・勤務先の支援制度は互いに矛盾しない範囲で組み合わせられることが多いため、進学を検討し始めた段階で人事担当者に相談し、利用できる制度を洗い出しておくと、学費面・時間面の両方で無理のない計画を立てやすくなります。

受講開始前の手続きが必須

教育訓練給付金は、原則として受講を開始する前にハローワークで受給資格の確認手続きを行う必要があります。入学後に「対象だと知らずに手続きをしていなかった」というケースは給付を受けられないため、社会人として大学院進学を検討している方は、出願準備と同時にハローワークへの相談も進めておくことが重要です。

指定講座に該当するかどうかは、志望する大学院・専攻単位で個別に判定されます。同じ大学院でも専攻によって指定の有無が異なることもあるため、パンフレットの記載だけで判断せず、志望専攻が現時点で指定講座になっているかを大学の窓口とハローワークの両方に確認しておくと確実です。

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奨学金制度の比較表と選び方

ここまで紹介してきた制度を整理すると、大学院生が使える主な奨学金・経済支援制度は次の5つに集約されます。それぞれ返済の要否・対象者・申込のタイミングが異なるため、自分の状況に合わせて組み合わせを検討することが大切です。

制度返済主な対象申込のタイミング
JASSO第一種(無利子)必要(免除の可能性あり)家計・学力基準を満たす学生進学前(予約採用)・在学中(在学採用)
JASSO第二種(有利子)必要第一種より緩やかな基準の学生進学前(予約採用)・在学中(在学採用)
大学独自の授業料減免原則不要経済的理由+学業優秀と認められる学生入学後、大学の定める時期
民間財団・地方公共団体原則不要財団ごとの条件を満たす学生財団ごとに異なる(進学前が多い)
教育訓練給付制度不要(給付)雇用保険の被保険者(社会人)受講開始前にハローワークで確認

進学ルート別のおすすめの組み合わせ

学部からストレートで大学院に進学する場合は、JASSO第一種・第二種を軸にしつつ、志望大学院の独自減免制度と民間財団の給付型奨学金を並行して探すのが基本です。社会人として大学院進学を目指す場合は、教育訓練給付制度の対象講座かどうかをまず確認し、対象外であればJASSO奨学金や大学独自の制度を中心に検討するとよいでしょう。

申請スケジュールの立て方

JASSO奨学金の予約採用は進学前年度に手続きが始まり、民間財団の奨学金も進学前年の秋ごろから応募が始まるものが少なくありません。出願準備と並行して、奨学金の情報収集・書類準備も同じタイミングで動かすことが、機会損失を防ぐポイントです。志望大学院が固まったら、早めに募集要項一式を取り寄せ、利用できそうな制度をリストアップしておきましょう。

制度を組み合わせる際に確認すべきこと

複数の制度を組み合わせる場合は、①それぞれの制度の対象者要件を満たしているか、②他制度との併用が認められているか、③申込みのタイミングが重ならず対応できるか、の3点を順に確認すると整理しやすくなります。特に給付型の制度は「他の給付型奨学金と併用不可」という条件が付いていることがあるため、複数の給付型に同時応募する場合は各制度の募集要項を必ず読み比べてください。

情報を整理する際は、制度名・対象要件・貸与額または支給額・返済の要否・申込時期・必要書類を一覧表にまとめておくと、比較や進捗管理がしやすくなります。表計算ソフトなどで簡単な一覧を作っておけば、複数の制度を並行して進める中で申込み漏れを防ぎやすくなり、家族と情報を共有する際にも役立ちます。

迷ったときは、まず在籍(予定)大学の奨学金窓口に相談するのが最も確実です。大学の窓口は学内の推薦が必要な制度の情報を持っているだけでなく、他の学生の利用実績から現実的な組み合わせ方をアドバイスしてくれることもあります。ひとりで抱え込まず、早めに相談する姿勢が結果的に選択肢を広げます。

費用シミュレーションの立て方

奨学金を検討する前に、まず大学院進学にかかる費用の総額を把握しておくことが出発点になります。入学金・授業料に加えて、教材費や学会参加費、生活費までを含めた総額を洗い出すことで、どの制度をどれだけ使えば不足分を賄えるかが具体的に見えてきます。総額が把握できたら、まず給付型(返済不要)の制度で埋められる部分を優先し、残りを貸与型で補うという順番で組み立てると、卒業後の返還負担を最小限に抑えられます。

費用の総額を把握する際は、学費だけでなく、研究活動に伴う実験材料費・学会参加費・フィールドワークの交通費なども見落としがちな支出です。分野によって必要になる費用は大きく異なるため、志望する研究科の先輩や指導予定の教員に、実際にどの程度の費用がかかるかを在学中の生活も含めて聞いておくと、より現実的な資金計画を立てられます。

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よくある質問(FAQ)

大学院の奨学金は誰でも借りられますか?

いいえ、制度ごとに家計基準・学力基準等の条件があります。JASSOの貸与型奨学金は世帯の収入・資産の基準と学力基準の両方を満たす必要があり、大学独自の減免制度や民間財団の給付型奨学金はさらに独自の選考が加わります。一方で、複数の制度を組み合わせれば対象になる可能性を広げられるのも事実です。まずは志望大学院の奨学金窓口で、自分が対象になり得る制度を確認するところから始めましょう。

JASSO第一種奨学金と第二種奨学金はどちらを選ぶべきですか?

無利子で返還負担を抑えたい場合は第一種が有利ですが、家計基準がやや厳しく設定されています。第一種の基準に届かない場合や、より多くの貸与額が必要な場合は第二種を検討し、要件を満たせば両方を併用することも可能です。第一種は在学中の業績次第で返還免除の対象にもなり得るため、家計基準を満たすのであれば第一種を優先し、不足する分だけ第二種で補うという考え方がおすすめです。将来の返還額を試算したうえで、必要最小限の貸与額を選ぶ視点が大切です。

特に優れた業績による返還免除はどのくらいの人が対象になりますか?

令和7年度の実績では、第一種奨学金の貸与が終了した24,354人のうち8,441人が大学から推薦され、8,383人(全額2,576人・半額5,807人)が返還免除の認定を受けています。課程別に見ると、修士課程は貸与終了21,381人中7,043人が推薦、専門職学位課程は1,670人中894人が推薦、博士課程は1,303人中504人が推薦されました。貸与終了者全体で見ると一定割合が免除の対象になっていますが、推薦枠は大学ごとに限られるため、在学中から研究業績を積み重ねておくことが重要です。

大学院生は国の修学支援新制度(高等教育の無償化)を使えますか?

使えません。国の高等教育の修学支援新制度は大学(学部)・短期大学・高等専門学校・専門学校の学生が対象で、大学院生は制度の対象外です。「大学無償化」と呼ばれることもあるため大学院にも適用されると誤解されがちですが、大学院生が授業料の減免を受けるには、各大学が独自に実施している授業料減免制度を利用する必要があります。志望する大学院にどのような独自制度があるかは、必ず個別に確認しましょう。

社会人が大学院に通う場合、教育訓練給付金とJASSO奨学金は併用できますか?

要件を満たせば併用できる可能性があります。両制度は実施主体も判定基準もまったく異なり、教育訓練給付金は雇用保険の被保険者期間等の要件、JASSO奨学金は家計・学力基準で判定されるためです。専門実践教育訓練給付金は受講費用の50%(年間上限40万円)から始まり、資格取得・就職状況に応じて最大80%(年間上限64万円)まで支給率が上がる仕組みで、JASSO奨学金の貸与額とは別枠で計算されます。ただし対象講座の指定状況は大学院・専攻ごとに異なるため、志望大学院が指定講座に該当するかをハローワークや大学窓口で事前に確認してください。

民間財団の奨学金はどうやって探せばよいですか?

まずは在籍(予定)大学の学生課・奨学金窓口の掲示やWebサイトを確認するのが近道です。財団によって対象分野・出身地・研究テーマなどの条件が異なるため、志望分野に近い財団を複数リストアップし、応募時期を一覧化しておくと申込み漏れを防げます。たとえばキーエンス財団のように、修士課程進学者を対象に月額12万円を2年間給付する返済不要の制度もあるため、分野を問わず利用できる財団から確認していくのもひとつの方法です。

奨学金の申込みはいつまでに準備すればよいですか?

JASSO奨学金の予約採用や民間財団の奨学金は、進学前年の秋ごろから募集が始まるものが少なくありません。出願準備と並行して、志望大学院が固まった段階で募集要項を取り寄せ、利用できる制度をリストアップしておくことをおすすめします。奨学金の応募締切は出願締切よりも早く設定されていることが多いため、「出願が終わってから奨学金を探す」という順番では間に合わない制度もある点に注意しましょう。

奨学金を借りすぎて返済が苦しくならないか心配です。目安はありますか?

大学院の学費総額と生活費の不足分を洗い出したうえで、必要最小限の貸与額を選ぶことが基本です。返還免除制度が使える可能性がある第一種を優先し、第二種を利用する場合も卒業後の見込み収入から無理のない返還額を事前にシミュレーションしておくと安心です。給付型の大学独自減免や民間財団の奨学金を先に確保できれば、貸与型で借りる金額そのものを減らすこともできるため、返済不要の制度から順に検討する習慣をつけておくとよいでしょう。

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まとめ|大学院の奨学金は複数制度の組み合わせで検討する

大学院の奨学金制度は、JASSOの貸与型奨学金だけでなく、大学独自の授業料減免、民間財団の給付型奨学金、社会人向けの教育訓練給付制度まで幅広く存在します。最後に、本記事のポイントを整理します。

  • JASSO第一種(無利子)は修士課程で月額5万円・8.8万円、博士課程で8万円・12.2万円から選択
  • JASSO第二種(有利子)は月額5万〜15万円から選択でき、利率の上限は年3.0%
  • 特に優れた業績による返還免除制度は、第一種奨学金の貸与終了年度に大学推薦を受けて審査され、全額または半額が免除される
  • 国の修学支援新制度は大学院生が対象外。授業料減免は各大学独自の制度で申請する
  • 民間財団の給付型奨学金は返済不要が中心で、応募時期が早いものが多い
  • 社会人は教育訓練給付制度(専門実践教育訓練給付金など)とJASSO奨学金を状況に応じて併用できる可能性がある
  • 制度ごとに申込のタイミングが異なるため、志望大学院が固まった段階で早めに情報収集を始める

奨学金の制度は複雑に見えますが、返済の要否・対象者・申込時期という3つの軸で整理すれば、自分に合った組み合わせが見えてきます。大切なのは、進学が決まってから慌てて調べるのではなく、志望大学院を検討し始めた段階から少しずつ情報を集めておくことです。JASSOの貸与型奨学金を軸にしつつ、大学独自の減免制度や民間財団の給付型奨学金も候補に入れておけば、経済的な負担を大きく抑えられる可能性があります。

社会人であれば、教育訓練給付制度という選択肢も加わります。JASSO奨学金とは実施主体も判定基準も異なるため、自分がどちらの、あるいは両方の対象になり得るのかを早めに整理しておくと、進学後の資金繰りに慌てずに済みます。制度の詳細や年度ごとの改定内容は変わることがあるため、実際に申込む際は必ず各制度の公式サイト・募集要項で最新情報を確認してください。

奨学金の準備は、出願準備や試験対策と並行して進めることになります。どちらも情報収集から始まり、締切から逆算してスケジュールを立てるという点で進め方は共通しています。まずは志望大学院を固め、その大学院で使える制度を一つずつ確認していくところから始めてみましょう。

大学院入試の対策と並行して奨学金の準備を進め、経済的な不安を減らしたうえで受験に臨みましょう。出願書類の準備や小論文・面接対策など、独学での対策に不安がある場合は、大学院入試対策の個別指導のような専門の指導を活用するのも一つの方法です。奨学金の選考では学業成績や研究計画の内容が評価される場面も多いため、経済面の準備と学力面の準備は切り離さず、両方を並行して進めていきましょう。

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この記事を書いた人

千葉大学 法政経学部を首席で卒業後、都内国公立大学の法科大学院(ロースクール)を修了し、司法試験に合格。法律・政治・経済分野の専門知識をもとに、スプリング・オンライン家庭教師の大学編入・大学院入試分野の指導および記事監修を担当。

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