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大学院の入学金・受験料・学費まとめ|国公立と私立の違い・免除制度・総額シミュレーション

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大学院進学を検討する際、多くの人がまず気になるのが「入学金はいくらかかるのか」という点です。結論から言うと、国立大学院の入学金は標準額で282,000円と学部と同額で、これに検定料(受験料)30,000円、年額535,800円の授業料が加わります。修士2年間の総額は標準額ベースで約135万円が目安です。一方、私立大学院は大学・研究科によって金額が異なり、文部科学省の調査によると修士(博士前期課程)の初年度納付金は平均約115.6万円となっています。

大学院の入学金をめぐっては「同じ大学の大学院に進学すれば入学金は不要になるのでは」という疑問を持つ方も少なくありません。実際には大学や課程によって扱いが分かれ、国立大学では学部から同じ大学の修士課程に進む場合でも原則として入学料が必要です。一方で、修士から博士後期課程へ進む内部進学では入学料を徴収しない大学もあります。この記事では、こうした内部進学時の入学金の扱いを含め、国公立・私立それぞれの費用相場、免除・徴収猶予制度、JASSO奨学金、社会人向けの教育訓練給付金まで、大学院進学にかかるお金の全体像を整理します。

なお、高等教育の修学支援新制度(いわゆる「大学無償化」)は大学院生を対象としていないため、学部時代に利用できていた方も院では別の支援制度を検討する必要があります。本記事で示す金額は国の標準額や文部科学省・JASSO・厚生労働省の公表データに基づく概算であり、実際の金額は志望校の最新の募集要項で必ず確認してください。

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目次

大学院の入学金・受験料・学費の全体像|かかる費用の内訳

大学院進学にかかる費用は、大きく分けて4つの区分で整理すると理解しやすくなります。1つ目は出願時に納める「受験料(検定料)」、2つ目は合格後の入学手続き時に納める「入学金(入学料)」、3つ目は入学後にかかる「授業料・施設設備費」、4つ目はそれ以外の「教材費・学会参加費・研究費・引っ越しや通学にかかる費用」です。お金の流れとしては、出願時に検定料を支払い、合格発表後の入学手続き期間内に入学金を納付し、入学後は授業料を前期・後期の2回に分けて納めるのが一般的な流れになります。

大学院進学にかかる費用は大きく4つ

  • 受験料(検定料): 出願ごとに必要。国立は標準額30,000円
  • 入学金(入学料): 合格後の入学手続き時に一度だけ納付。国立は標準額282,000円
  • 授業料・施設設備費: 入学後、年単位・学期単位で納付
  • その他費用: 教材費、学会費、研究費、引っ越し・通学費用など

学部と大学院で費用はどう違う?

国立大学の場合、大学院の入学料標準額は282,000円で、これは学部の入学料標準額と同額です。授業料についても大学院の標準額は年額535,800円と、学部とほぼ同水準に設定されています。つまり国立大学院では、学部と大学院で費用の枠組みが大きく変わるわけではありません。一方、私立大学院は大学・研究科ごとに金額が異なるという構造で、国立のような全国共通の標準額は存在しません。この「国立は標準額方式、私立は大学ごとに異なる」という構造の違いを最初に押さえておくと、後述する費用の比較がわかりやすくなります。

費用の目安としては、国立大学院の修士2年間は標準額ベースで約135万円(入学料282,000円+授業料535,800円×2年=1,353,600円)、私立大学院の修士は文部科学省の調査による初年度納付金の平均が約115.6万円です。ここで注意したいのが、高等教育の修学支援新制度、いわゆる「大学無償化」は大学院生を対象としていないという点です。学部在学中にこの制度を利用していた方でも、大学院進学後は別の支援制度に切り替える必要があります。この記事では、免除・徴収猶予制度やJASSO奨学金の返還免除、社会人向けの教育訓練給付など、実質的な負担を下げられる制度もあわせて解説していきます。

大学院の受験料(検定料)の相場|出願時にかかる費用

大学院受験でまず発生する費用が、出願時に納める受験料(検定料)です。国立大学院の検定料は標準額で30,000円と定められています。学部入試の大学入学共通テストや個別試験の検定料と比べるとやや高めに感じる方もいるかもしれませんが、これは大学院入試特有の水準として認識しておくとよいでしょう。

国公立大学院の検定料は30,000円が標準

国立大学の大学院入試における検定料の標準額は30,000円です。この金額は国立大学等の授業料その他の費用に関する省令で定められており、全国の国立大学院でおおむね共通した水準になっています。ただし大学によっては標準額と異なる設定をしている場合もあるため、出願前には必ず志望する研究科の募集要項で確認してください。

私立大学院の受験料は大学により異なる

私立大学院の検定料については、国立のような横断的な標準額は存在せず、大学・研究科ごとに個別に設定されています。3万円前後に設定している大学が多いとされますが、これはあくまで一般的な傾向であり、正確な金額は必ず各大学の最新の募集要項で確認する必要があります。研究科によって検定料の設定が異なるケースもあるため、複数の研究科を検討している場合は個別にチェックしておくと安心です。

併願するといくらかかる?出願時の注意点

大学院入試は学部入試と同様に併願が可能ですが、検定料は出願1回ごとに発生します。2〜3校を併願する場合、検定料だけで6万円〜10万円程度を見込んでおくとよいでしょう。さらに検定料以外にも、出願時には次のような費用がかかります。

  • 成績証明書・卒業(見込み)証明書などの発行手数料
  • TOEIC・TOEFLなど外部英語試験のスコア取得費用
  • 出願書類の郵送費(書留・簡易書留等)
  • 遠方の大学を受験する場合の交通費・宿泊費

検定料の支払い方法は、銀行振込やコンビニ決済、クレジットカード決済など大学によって異なり、近年はオンライン出願システムの導入も進んでいます。いずれの方法でも、一度納付した検定料は原則として返金されない点に注意してください。志望校選びの段階から、併願パターンごとの総費用を試算しておくと、出願直前になって慌てずに済みます。志望校の選び方について詳しく知りたい方は、大学院入試の全体像と志望校の選び方を解説した記事もあわせて参考にしてください。

国公立大学院の入学金・授業料|標準額と2年間の総額

国立大学院の費用は、国立大学等の授業料その他の費用に関する省令によって「標準額」という形で定められています。この標準額は全国の国立大学でおおむね共通しており、費用の見通しを立てやすいのが特徴です。

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国立大学院の入学金は282,000円(学部と同額)

国立大学の大学院における入学料の標準額は282,000円です。これは学部の入学料標準額と同じ金額であり、大学院に進学したからといって入学金が特別に高くなるわけではありません。ただし、大学によっては省令上認められた範囲内で標準額と異なる金額を設定している場合があるため、正確な金額は志望する大学の最新の募集要項で確認してください。

授業料は年額535,800円が標準

国立大学院の授業料標準額は年額535,800円です。多くの大学ではこの金額を前期・後期の2回に分けて納付する形を取っています。国立大学は省令に基づき標準額から一定の範囲内で授業料を改定できる仕組みがあるため、大学によっては標準額と異なる授業料を設定しているケースも存在します。この点も含めて、正確な金額は必ず公式サイトや募集要項で確認するようにしてください。

標準額をもとに計算すると、修士課程2年間の総額は次のようになります。

課程入学料授業料総額(標準額ベース)
修士課程(2年間)282,000円535,800円×2年1,353,600円
博士後期課程(3年間)内部進学の場合は不徴収の大学もあり535,800円×3年1,607,400円(入学料が別途かかる場合は加算)

博士後期課程に内部進学する場合の入学料の扱いについては、後述する内部進学時の入学金セクションで詳しく解説します。

公立大学院は大学・居住地域で異なる

公立大学院の入学料については、設置している自治体の住民かどうかによって金額が異なる場合が多いとされています。ただし、これを裏付ける横断的な統計は確認できていないため、公立大学院への進学を検討している方は、必ず各大学の公式サイトで最新の入学料を確認してください。

納付のタイミングとしては、入学金は合格発表後の入学手続き期間中に一括で納付し、授業料は入学後に前期・後期の2回に分けて納付するのが一般的な流れです。資金計画を立てる際は、このタイミングのズレを踏まえて準備しておくことが大切です。

私立大学院の入学金・学費|修士・博士・専門職課程の平均額

私立大学院の費用は大学・研究科によって幅がありますが、文部科学省が実施した「私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果」から、課程ごとの平均的な水準を把握することができます。

私立大学院の初年度納付金の平均額(文科省調査)

課程授業料入学料施設設備費初年度納付金合計
博士前期課程(修士)811,006円208,987円70,721円1,155,603円
博士後期課程610,798円191,055円53,125円901,443円
専門職学位課程1,059,878円208,724円47,494円1,420,257円

文系と理系で異なる学費水準

上記の金額はあくまで全体の平均値であり、分野によって水準は大きく異なります。理工系や医療系の研究科は実験・実習にかかる費用が上乗せされるため平均を上回る傾向があり、逆に文系の研究科は平均を下回ることも珍しくありません。志望する研究科の分野によって、この平均値から上下にどの程度ぶれる可能性があるかを意識しておくとよいでしょう。

専門職大学院(MBA・法科等)は授業料が高め

専門職学位課程は、修士課程・博士後期課程と比べて授業料が高く設定されている傾向があり、平均の初年度納付金は約142万円です。MBA(経営学修士)や法科大学院などの専門職大学院を検討している場合は、一般的な修士課程より学費水準が高くなることを前提に資金計画を立てる必要があります。

ここで興味深いのが、入学料と授業料の関係が国立と私立で逆転している点です。私立の入学料平均は約20.9万円で国立の282,000円より安い一方、私立の授業料平均は811,006円と国立の535,800円より高くなっています。つまり私立大学院は「入学時の負担は国立よりやや軽いが、年間の授業料負担は国立より重い」という構造になっているのです。また授業料以外にも施設設備費や実験実習料など別途かかる納付金がある点も見落とせません。

私立大学院・修士課程2年間の総額を試算すると、初年度の約115.6万円に、2年目の授業料等(入学料を除く)約94.7万円を加えて、おおよそ210万円前後が目安になります。国立の修士2年間・約135万円と比較すると、私立は70万円以上高くなる計算です。もちろんこれは平均値に基づく概算であり、実際の金額は大学・研究科ごとに大きく異なるため、志望校の募集要項で必ず確認してください。

大学院の入学金は同じ大学でも必要?内部進学時の扱いを解説

「大学院 入学金 同じ大学」という疑問は、大学院進学を検討する方の多くが抱く代表的な疑問です。結論から言うと、この扱いは大学・課程によって分かれます。学部から同じ大学の大学院修士課程に進学する場合は原則として入学料が必要になりますが、修士から博士後期課程へ進む内部進学では入学料を徴収しない大学もあります。

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国立大学は同じ大学でも原則入学料が必要

国立大学では、学部から同じ大学の大学院修士課程に進学する場合でも、原則として入学料282,000円が必要です。学部から大学院までずっと同じ大学に在籍する「内部進学」であっても、大学院は学部とは別の課程として扱われるため、入学料が発生する仕組みになっています。ただし大学ごとに独自の規定を設けている場合もあるため、例外の有無は志望校に直接確認することをおすすめします。

修士→博士の内部進学では入学料不要の大学もある(東京大学の例)

一方で、修士課程や専門職学位課程を修了し、引き続き同じ大学の博士後期課程に進学する場合は、入学料を徴収しない大学が存在します。東京大学では、同大学院の修士課程・専門職学位課程を修了して博士後期課程に進む内部進学者からは入学料を徴収しない扱いになっています。これは「学部→修士」の内部進学とは異なり、「修士→博士後期」という同一大学院内での連続進学という位置づけによるものと考えられます。同様の制度がある大学もあるため、博士後期課程への進学を予定している方は、志望する大学院の規定を確認しておくとよいでしょう。

私立は学内出身者の入学金免除がある(早稲田大学の例)

私立大学の中には、学内出身者(自大学の学部・大学院出身者)が大学院に入学する際に入学金を免除する研究科もあります。早稲田大学では、商学研究科・理工学術院・教職大学院などで学内出身者の入学金免除が確認できます。他の私立大学にも同様の制度を設けている研究科がある可能性があるため、内部進学を予定している方は、志望する研究科の募集要項で入学金免除の有無を確認してください。早稲田大学大学院への進学を検討している方は、早稲田大学大学院入試を徹底解説した記事もあわせてご覧ください。

入学金の二重払い問題と回避策

内部進学であっても、出願時の検定料は別途必要になるのが一般的です。免除の対象になるのはあくまで入学金のみというケースが多いため、この点は混同しないよう注意しましょう。また、外部の大学院を併願していて複数校に合格した場合、手続き期限の関係で結果的に入学金を捨てることになるケースもあります。これを避けるためには、志望する各大学院の合格発表日と入学手続き締切日を事前に一覧化し、資金と手続きのスケジュールを早めに把握しておくことが重要です。

大学院の入学金免除・徴収猶予制度|対象条件と申請の流れ

入学金の負担を軽減する代表的な制度が、国立大学に設けられている入学料免除・徴収猶予制度です。経済的な事情を抱える受験生にとって、知っておく価値のある制度といえます。

入学料免除の対象になる人

国立大学の入学料免除・徴収猶予制度は、主に次のような要件を満たす学生を対象としています。

  • 経済的理由により入学料の納付が困難で、かつ学業優秀と認められる者
  • 入学前1年以内に学資を主として負担している人が死亡した者
  • 入学前1年以内に風水害等の災害を受け、入学料の納付が著しく困難と認められる者

これらの基準・運用は大学ごとに異なり、島根大学・神戸大学・千葉大学・東京学芸大学などで制度の存在が確認できます。志望校がこの一覧にない場合でも、多くの国立大学が同様の制度を設けているため、学生支援課のページを確認してみてください。

全額免除・半額免除と徴収猶予の違い

この制度には大きく分けて「免除」と「徴収猶予」の2種類があります。免除は入学料の全額または半額の納付が不要になる制度で、徴収猶予は納付期限そのものを先延ばしにできる制度です。免除は経済的負担そのものを軽くする仕組みであるのに対し、徴収猶予はあくまで支払いのタイミングを遅らせる仕組みという違いを理解しておきましょう。なお、審査の結果、不許可となった場合は後日あらためて納付が必要になるため、資金計画には余裕を持たせておくことが大切です。

申請のタイミングと必要書類

入学料免除・徴収猶予の申請は、入学手続き期間内に行うのが基本です。申請中は納付が保留される仕組みになっていますが、この申請期限を過ぎてしまうと原則として受け付けてもらえません。必要書類としては、所得証明書、家計状況に関する申立書、災害を理由とする場合は罹災証明書などが一般的ですが、大学によって求められる書類は異なります。東京大学では2026年度も大学院生向けの入学料・授業料免除を実施しており、専用ページで詳細を確認できます。志望校が決まったら、早い段階で学生支援担当の窓口に相談し、申請に必要な書類と締切を確認しておくことをおすすめします。私立大学にも独自の減免制度を設けているケースがあるため、国公立・私立を問わず、募集要項や学生支援ページを必ずチェックしてください。

大学院の授業料免除・減免制度|国立・私立それぞれの支援

入学金だけでなく、在学中に継続的に発生する授業料についても、負担を軽減する制度が用意されています。

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授業料免除の仕組みと選考基準

授業料免除は、入学料免除とセットで語られることが多い制度です。多くの国立大学では前期・後期の学期ごとに申請を受け付けており、経済状況や学業成績などをもとに全額免除・半額免除といった区分で審査されます。免除区分の呼び方や基準は大学によって異なるため、詳細は志望校の学生支援ページで確認してください。

修学支援新制度は大学院生対象外という注意点

ここで特に注意したいのが、高等教育の修学支援新制度、いわゆる「大学無償化」は大学院生を対象としていないという点です。学部在学中にこの制度を利用して授業料等の減免や給付型奨学金を受けていた方でも、大学院に進学した時点でこの制度は使えなくなります。「大学無償化があるから大学院も安心」という誤解をしないよう、早めに認識しておくことが大切です。

大学独自の給付奨学金・特待生制度

修学支援新制度が使えない代わりに、大学院には次のような独自の支援策が用意されている場合があります。

  • 大学独自の授業料免除枠(大学ごとに基準・人数枠が異なる)
  • TA(ティーチングアシスタント)・RA(リサーチアシスタント)としての雇用による収入
  • 博士課程学生向けのフェローシップ・研究奨励金
  • 私立大学の成績優秀者特待制度、入試成績による授業料減免

これらの制度名や内容、対象人数は大学によって大きく異なるため、志望する大学院の公式サイトや募集要項で必ず確認してください。また、免除は「申請すれば必ず通る」というものではなく、審査を経て採否が決まる点も理解しておく必要があります。申請スケジュールは入学手続き時や各学期の初めなど複数のタイミングに分かれているため、締切を見落とさないよう管理することが重要です。

大学院で使える奨学金|JASSO第一種・第二種と返還免除制度

大学院生が利用できる代表的な奨学金が、日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金です。学部生向けの制度と異なる点も多いため、大学院ならではの特徴を押さえておきましょう。

第一種奨学金(無利子)の月額と家計基準

JASSOの第一種奨学金(無利子)の大学院生向け貸与月額は、修士課程で50,000円または88,000円、博士課程で80,000円または122,000円から選択する仕組みです。大学院生の場合、家計基準の判定は本人(および配偶者がいる場合は配偶者)の収入で行われるのが原則で、学部生の奨学金審査で重視される親の収入は基本的に問われません。これは経済的に自立して進学を目指す社会人経験者や、親からの援助が見込めない学生にとって大きなメリットといえます。

第二種奨学金(有利子)の月額

第二種奨学金(有利子)は、50,000円・80,000円・100,000円・130,000円・150,000円の中から貸与月額を選択できます。法科大学院に進学する場合は、150,000円に加えて40,000円または70,000円を増額できる仕組みも用意されています。第一種・第二種いずれも、進学前に申し込む「予約採用」と、入学後に申し込む「在学採用」の2つのルートがあります。

「特に優れた業績による返還免除」で全額・半額免除の可能性

大学院生向けの奨学金制度で特に注目したいのが、「特に優れた業績による返還免除」です。この制度は大学院で第一種奨学金の貸与を受けた学生が対象で、在学中の研究業績や学会発表、論文などが特に優れていると認定された場合、貸与を受けた奨学金の全額または半額の返還が免除されます。2024年度の実績を見ると、貸与終了者22,736名のうち7,786名が免除認定を受けており、これはおよそ3人に1人にあたる割合です。第一種奨学金を借りる際は、こうした返還免除の可能性も視野に入れた選択肢として検討する価値がありますが、免除が保証されているわけではない点には留意してください。

JASSO以外にも、民間財団による給付型奨学金や大学独自の奨学金、博士課程学生を対象とした日本学術振興会特別研究員(DC)制度など、大学院生向けの経済支援は複数存在します。これらは対象分野や採用人数が限られていることが多いため、詳細は各制度の公式情報で確認してください。

社会人大学院生は教育訓練給付制度で学費負担を軽減できる

社会人として大学院への進学を検討している方にとって、見逃せないのが厚生労働省が実施する教育訓練給付制度です。特に専門実践教育訓練給付金は、対象講座であれば学費の大部分を給付でカバーできる可能性があります。

専門実践教育訓練給付金とは(最大80%・年間上限64万円)

専門実践教育訓練給付金は、2024年10月以降に受講を開始した講座から給付率が最大80%(年間上限64万円)に拡充されました。内訳は、受講中に支給される50%(年間上限40万円)、資格取得や就職等の要件を満たした場合に追加される20%(同16万円)、さらに修了後に賃金が5%以上上昇した場合に追加される10%(同8万円)の3段階で構成されています。対象となるのは厚生労働大臣が指定する講座で、MBAなどの専門職大学院を含む一部の大学院講座もこの指定を受けています。

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給付を受ける条件と対象講座の探し方

この給付金を受け取るには、まず志望する研究科の講座が厚生労働大臣指定講座になっているかを確認する必要があります。「教育訓練講座検索システム」で講座名や大学名から検索できるので、進学を検討している研究科が対象かどうかを早めにチェックしておきましょう。

申請の流れと注意点

受給には雇用保険の被保険者期間などの要件があり、受講開始前にハローワークでの訓練前キャリアコンサルティングや事前の申請手続きが必要になります。これらの手続きには期限が設けられているため、進学を決めてから慌てて動くのではなく、出願準備と並行して早めにハローワークへ相談することが重要です。自分が受給要件を満たしているかどうかは、必ずハローワークの窓口で個別に確認してください。

試算例として、学費が高額になりやすい専門職大学院であっても、年間上限64万円×2年間で最大128万円までという上限の仕組みがあることを正しく理解しておく必要があります。給付は「かかった費用の80%」ではなく「年間上限額の範囲内で」支給される点に注意してください。教育訓練給付制度以外にも、教育訓練支援給付金や勤務先の社内留学制度、自治体独自の学び直し支援など、社会人が活用できる制度は複数あります。社会人からの大学院進学を検討している方は、社会人の大学院入試対策を解説した記事もあわせてご確認ください。

大学院の学費総額シミュレーション|修士2年・博士5年のモデルケース

ここまで解説してきた費用や制度をもとに、具体的なモデルケースで総額をシミュレーションしてみます。いずれも標準額・平均額に基づく概算であり、実際の金額は大学・研究科によって異なる点をあらかじめご了承ください。

モデルケース内訳(概算)総額の目安
国立修士2年検定料3万円+入学料28.2万円+授業料53.58万円×2年約138.4万円
私立修士2年検定料(大学により異なる)+初年度約115.6万円+2年目約94.7万円約215万円前後
国立・修士→博士後期(計5年)修士約135.4万円+博士入学料(内部進学で不徴収の大学もあり)+授業料53.58万円×3年約296万円(大学により異なる)
私立専門職(MBA等2年)初年度平均約142万円をベースに教育訓練給付(最大80%・年間上限64万円)適用制度適用で実質負担を圧縮可能

国立大学院・修士2年のモデルケース

国立大学院で修士課程に進学する場合、検定料3万円、入学料28.2万円、授業料53.58万円を2年分納めると、総額はおよそ138.4万円になります。標準額に基づく計算のため、実際にはこれより多少前後する可能性がある点に留意してください。

私立大学院・修士2年のモデルケース

私立大学院の修士課程では、初年度に平均約115.6万円、2年目に入学料を除いた約94.7万円がかかり、合計でおよそ215万円前後が目安になります。これに出願時の検定料が加わりますが、私立の検定料は大学ごとに異なるため、正確な金額は募集要項で確認してください。

博士後期まで進む場合(5年間)の総額

国立大学で修士から博士後期課程まで進学する場合、修士2年間で約135.4万円、博士後期3年間の授業料で約160.7万円がかかります。博士後期課程への入学料については、東京大学のように内部進学者から徴収しない大学もあるため、その場合は入学料を0円として計算できます。合計するとおよそ296万円という試算になりますが、これはあくまで一例であり、入学料の扱いは大学によって異なるため、進学を検討する大学院の規定を個別に確認してください。

免除・奨学金・給付を使った実質負担の試算

私立専門職大学院(MBA等)に社会人として進学する場合、初年度の学費が平均約142万円かかりますが、対象講座であれば教育訓練給付制度により年間上限64万円まで給付を受けられる可能性があります。2年間で最大128万円の給付が受けられれば、支払総額に対して実質負担を大きく圧縮できる計算です。ただし、これらはすべて標準額・平均額をもとにした概算であり、生活費や研究関連費(学会参加費・書籍代・パソコン購入費等)は別途かかります。一人暮らしをしながら通学する場合は、住居費も追加で見込んでおく必要があります。

大学院の費用で失敗しないための準備スケジュールと注意点

大学院進学にかかる費用は、出願から入学までの間に段階的に発生します。資金計画で失敗しないためには、時系列でお金の流れを把握しておくことが欠かせません。

出願〜入学までのお金のスケジュール

大まかな流れとしては、出願時に検定料を納付し、合格発表後の入学手続き期間内に入学金を納付し、入学前後に前期授業料を納付するという順序になります。秋入試・春入試など入試の実施時期によって納付のタイミングが前後する場合があるため、志望する研究科の入試日程にあわせて、いつ・いくら必要になるかを月単位で整理しておくとよいでしょう。

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入学金が払えないときに取るべき行動

入学金の準備が難しい場合は、次のような選択肢を検討してください。

  • 入学料免除・徴収猶予制度への申請(最優先で検討し、期限を厳守する)
  • JASSOの入学時特別増額貸与奨学金や、国の教育ローンなどの活用(制度の詳細は執筆時点の情報であり、最新の内容は必ず各機関の公式情報で確認してください)

いずれの制度も申請には期限が設けられているため、「入学金が足りないかもしれない」と気づいた時点で、できるだけ早く志望校の学生支援窓口に相談することが重要です。

費用計画と入試対策を両立させる進め方

一度納付した入学金は、入学を辞退しても原則として返金されません。授業料については、所定の期日までに辞退手続きを行えば返還される場合がありますが、この扱いも大学によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。この記事で紹介した金額は、いずれも国が定める標準額や文部科学省・JASSO・厚生労働省が公表する平均額に基づくものであり、実際の金額は必ず志望校の最新の募集要項・公式サイトで確認する習慣をつけてください。

費用面の準備と並行して、研究計画書の作成や筆記試験対策も早期に始めることが、大学院入試を乗り切るうえで大切なポイントです。研究計画書の書き方に不安がある方は、研究計画書の書き方を解説した記事も参考にしてみてください。独学での対策に不安がある場合は、専門の指導を活用するのも一つの方法です。

よくある質問(FAQ)

大学院の入学金はいくらですか?

国立大学院の入学金は標準額で282,000円と、学部の入学料と同額です。私立大学院は文部科学省の令和7年度入学者調査によると、修士課程の入学料平均は208,987円で、国立よりやや低い水準になっています。ただし私立は大学・研究科によって金額が異なるため、正確な金額は志望校の募集要項で確認してください。

同じ大学の大学院に進学する場合、入学金は不要になりますか?

大学・課程によって扱いが分かれます。国立大学では、学部から同じ大学の修士課程に進学する場合は原則として入学料が必要です。一方、東京大学のように修士課程・専門職学位課程から博士後期課程へ内部進学する場合に入学料を徴収しない大学や、早稲田大学のように学内出身者の入学金を免除する研究科を持つ私立大学もあります。志望校の募集要項で個別に確認することをおすすめします。

大学院の受験料(検定料)はいくらですか?

国立大学院の検定料は標準額で30,000円です。私立大学院は大学・研究科により金額が異なり、3万円前後が一つの目安とされていますが、必ず募集要項で確認してください。複数校を併願する場合は出願した校数分の検定料がかかるほか、証明書発行手数料や外部英語試験のスコア取得費用なども別途必要になります。

入学金が払えない場合はどうすればいいですか?

まずは入学手続き期間内に、志望校の入学料免除・徴収猶予制度への申請を検討してください。経済的理由に加えて学業優秀と認められること、あるいは入学前1年以内に学資負担者が死亡した場合や災害を受けた場合などが主な要件です。申請には期限があり、これを過ぎると原則として受け付けてもらえないため、早めに大学の学生支援担当窓口へ相談することが大切です。

大学無償化(修学支援新制度)は大学院でも使えますか?

使えません。高等教育の修学支援新制度は学部生等を主な対象としており、大学院生は対象外とされています。大学院に進学する場合は、代わりに大学独自の授業料免除制度、JASSOの奨学金、TA・RAとしての雇用、博士課程向けのフェローシップなど、別の支援制度を検討する必要があります。

大学院の奨学金は親の収入で審査されますか?

JASSOの大学院向け奨学金は、本人(および配偶者がいる場合は配偶者)の収入をもとに家計基準を判定するのが原則で、学部生の審査で重視される親の収入は基本的に問われません。第一種奨学金(無利子)の貸与月額は、修士課程で50,000円または88,000円、博士課程で80,000円または122,000円から選択できます。

まとめ|大学院の入学金・学費は制度活用で実質負担を抑えられる

大学院の入学金・受験料・学費についてここまで解説してきた内容を整理します。

  • 国立大学院の入学金は標準額282,000円(学部と同額)、検定料は標準額30,000円、授業料は年額535,800円が標準額
  • 国立大学院・修士2年間の総額は標準額ベースで約135万円〜138万円が目安
  • 私立大学院は文部科学省調査によると修士の初年度納付金平均が約115.6万円、専門職学位課程は約142万円と課程によって水準が異なる
  • 私立は入学料が国立より安い一方、授業料は国立より高いという逆転構造がある
  • 「大学院 入学金 同じ大学」への回答は大学・課程による。学部→修士は原則入学料が必要だが、修士→博士後期の内部進学や私立の学内出身者向け制度では免除されるケースもある
  • 国立大学には経済的理由や災害等を要件とする入学料免除・徴収猶予制度がある(申請期限厳守)
  • 高等教育の修学支援新制度(大学無償化)は大学院生は対象外という点に注意
  • JASSO第一種奨学金は本人の収入で審査され、特に優れた業績による返還免除制度もある(2024年度は約3人に1人が認定)
  • 社会人は専門実践教育訓練給付金により、対象講座であれば最大80%(年間上限64万円)の給付を受けられる可能性がある

大学院の費用は、受験料・入学金・授業料という基本の3本柱に加えて、免除制度や奨学金、社会人向けの給付制度をどう組み合わせるかによって、実質的な負担額が大きく変わってきます。本記事で紹介した金額はいずれも国の標準額や文部科学省・JASSO・厚生労働省などの公表データに基づく概算であり、実際の金額・制度の詳細は必ず志望校の最新の募集要項や各機関の公式情報で確認してください。費用面の見通しを立てながら、研究計画書の作成や筆記試験・面接対策にも早めに着手することが、大学院入試を計画的に進めるための鍵になります。独学での対策に不安がある場合は、専門の指導を活用するのも一つの方法です。

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この記事を書いた人

千葉大学 法政経学部を首席で卒業後、都内国公立大学の法科大学院(ロースクール)を修了し、司法試験に合格。法律・政治・経済分野の専門知識をもとに、スプリング・オンライン家庭教師の大学編入・大学院入試分野の指導および記事監修を担当。

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