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名古屋大学大学院情報学研究科「冬入試」の傾向と対策

名古屋大学大学院情報学研究科を目指している人の中には、「8月の入試には間に合わなかった」「秋になってから受験を決めた」という人も少なくないはずです。実は情報学研究科の博士前期課程には、例年8月に行われる入試とは別に、毎年2月に実施されるもう一つの入学試験があります。募集要項上は「2月実施」、大学が公表する統計資料の上では「第2次募集」と表記される回で、本記事ではこれを通称の「冬入試」として解説します。
冬入試とは、数理情報学・複雑系科学・社会情報学・心理・認知科学・情報システム学・知能システム学の6専攻それぞれで実施される、8月実施(第1次募集)に続く年2回目の博士前期課程入学試験のことです。出願は例年12月中旬から下旬、試験は2月上旬、合格発表は2月中旬というスケジュールで進み、全専攻で筆記試験を行わず口述試験(面接形式の試験)のみで合否が決まる点が最大の特徴です。少なくとも令和7年度・令和8年度と連続して実施されており、単発の特別措置ではなく毎年継続している入試機会だと考えてよいでしょう。
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本記事では、直近(令和8年度、2026年4月入学分)に実施された冬入試の学生募集要項をもとに、出願資格・出願手続き・英語外部試験の扱い・専攻別の口述試験の内容・過去2年分の倍率データまでを、名古屋大学情報学研究科が公式サイトで公表している一次情報に基づいて整理します。令和9年度(2027年4月入学)分の募集要項は本記事執筆時点(2026年8月)で未公表であるため、実際に出願する際は必ず研究科公式サイトで最新の募集要項を確認してください。
情報学研究科は名古屋大学の中でも専攻ごとに研究テーマと試験内容が大きく異なる研究科です。数理情報学のように数学的な理論を扱う専攻もあれば、心理・認知科学のように人間の心を扱う専攻もあり、同じ「情報学研究科」という名前からは想像しにくいほど幅の広い学問領域を内包しています。この記事を読めば、自分が志望する専攻の冬入試がどのような形式で行われ、いつまでに何を準備すればよいかの全体像がつかめるはずです。まずは冬入試がどのような位置づけの入試なのかから見ていきましょう。
特に、他大学の学部に在籍していて名古屋大学大学院への進学を検討している人、社会人になってから情報学分野を学び直したいと考えている人、あるいは名古屋大学の学部に在籍していて8月実施での受験を予定している人が「もしものときの選択肢」として冬入試の存在を知っておきたい場合など、読者として想定される立場はさまざまです。専攻によって出願前の準備や試験当日の形式が異なるため、自分の状況に近い部分を中心に読み進めてもらえればと思います。
名古屋大学大学院情報学研究科「冬入試」とは何か
名古屋大学大学院情報学研究科の博士前期課程入試には、年に2回の実施時期が設けられています。1回目は例年6月下旬から7月上旬に出願し、8月に筆記試験と口頭試問を行う回(募集要項上「8月実施」、統計上「第1次募集」)、2回目が本記事のテーマである、例年12月中旬から下旬に出願し、2月に口述試験を行う回(募集要項上「2月実施」、統計上「第2次募集」)です。世間では後者が2月という時期の印象から「冬入試」と呼ばれることがありますが、これは研究科が正式に定めた名称ではなく通称である点に注意してください。募集要項では「2月実施」、大学が公表する志願者数の統計資料では「第2次募集」という表記が使われています。
冬入試が設けられている趣旨そのものについて、研究科が明文で説明した資料は確認できませんでしたが、実施時期から考えると、8月実施で不合格だった人や、学部の卒業研究が本格化する秋以降にじっくり進路を検討して出願を決めた人にとっての、年度内2度目の受験機会として機能していることは間違いありません。社会人や他大学在学中の学生が、夏よりも準備期間を確保しやすいという意味でも選択肢になり得ます。また、同じ2月には博士後期課程の入試(令和8年4月入学の場合は2月13日に口述試験)も実施されており、修士課程・博士課程のいずれも年度末に近い時期に受験機会が設けられているのが情報学研究科の入試カレンダーの特徴です。
直近では、令和8年度(2026年4月入学)分の冬入試はすでに募集を終了しており、令和8年2月12日に試験、同月17日に合格発表が行われています。次回にあたる令和9年度(2027年4月入学予定)分の募集要項は、本記事執筆時点で研究科公式サイトに「後日掲載予定」と案内されているのみで、まだ公表されていません。したがって本記事で示す出願資格・日程・専攻別の試験内容は、いずれも直近(令和8年度)に実施された回の制度を「型」として提示するものであり、次回の詳細は必ず情報学研究科の入学試験総合案内ページで確認する必要があります。募集人員・出願期間・試験内容は年度ごとに見直される可能性があるため、「去年こうだったから今年も同じ」と思い込まないことが大切です。実際に、研究科の告知ページのタイトルを確認すると、令和7年度分・令和8年度分と、それぞれの年度ごとに個別の「募集要項掲載のお知らせ」が出されており、内容が毎年見直されたうえで公開されていることがうかがえます。過去の年度の内容をそのまま参考にするのではなく、あくまで制度の大枠を理解するための材料として活用し、詳細は必ずその年度の募集要項で確認するという姿勢が大切です。
名古屋大学大学院入試全体の仕組みや、情報学研究科以外の研究科を含めた基本ルールについては、名古屋大学 大学院入試を徹底解説で研究科横断の全体像を解説しています。情報学研究科は名古屋大学の大学院入試の中でも、修士課程の入試機会が年2回あり、かつ2回目が口述試験のみという独自の設計になっている点で、他の研究科と比べても特徴的な制度だといえます。
出願資格と募集対象となる6専攻
冬入試(2月実施)の出願資格は、大学院入試として一般的な内容です。直近(令和8年度)の募集要項では、次のいずれかに該当する者が出願できるとされていました。
- 日本の大学を卒業した者、または卒業見込みの者
- 学校教育法の規定により学士の学位を授与された者、または授与される見込みの者
- 外国において学校教育における16年の課程を修了した者、または修了見込みの者
- 外国の学校が行う通信教育を我が国で履修し、外国の16年課程を修了したと認められる者
- 大学に3年以上在学し、研究科において所定の単位を優れた成績で修得したと認められた者(いわゆる飛び入学に近い枠)
- 研究科の個別の入学資格審査により、大学卒業者と同等以上の学力があると認められた者で、一定の年齢要件を満たす者
いずれも大学院入試における標準的な出願資格の号立てで、出身学部が情報系でなくても出願資格そのものは満たせる構成になっています。ただし出願資格を満たすことと、専攻が求める専門性を満たすことは別問題です。特に飛び入学に近い枠や個別の入学資格審査による出願を検討する場合は、募集要項内の該当ページを個別に確認し、早めに研究科教務学生係へ問い合わせておくと安心です。
募集対象となるのは、次の6専攻です。専攻名からも分かる通り、同じ「情報学研究科」でも扱う分野の幅は非常に広く、数学的な理論から人間の認知・社会システムまでを横断しています。
| 専攻名 | 研究分野のイメージ | 直近(令和8年度)冬入試の募集人員 |
|---|---|---|
| 数理情報学専攻 | 数学・数理科学を基盤とした情報学 | 若干名 |
| 複雑系科学専攻 | 複雑なシステム・現象のモデル化と解析 | 若干名 |
| 社会情報学専攻 | 情報と社会・メディア・コミュニケーション | 若干名 |
| 心理・認知科学専攻 | 人間の心理・認知のメカニズム | 若干名 |
| 情報システム学専攻 | 情報理論・アルゴリズム・ソフトウェア設計 | 若干名 |
| 知能システム学専攻 | 知能・システム制御・数理解析 | 若干名 |
6専攻すべてで募集人員は「若干名」とされており、専攻ごとの明確な定員数は公表されていません。ただし博士前期課程全体の年間定員(8月実施と2月実施の合計)は専攻ごとに設定されており、直近の統計では複雑系科学専攻・知能システム学専攻が44名・40名と比較的規模が大きく、社会情報学専攻・心理認知科学専攻は18名・15名と小さめであることが分かります。専攻ごとの規模の違いは、そのまま冬入試での受け入れ人数の目安にもなります。冬入試単独の合格者数の目安は、この記事の後半で2年分のデータとして紹介します。
専攻名から研究内容を推測する際は、いくつかの補助線があります。数理情報学専攻は数学的な理論やモデルそのものを深く扱う専攻、複雑系科学専攻は自然や社会に見られる複雑な現象をシステムとして解析する専攻、社会情報学専攻は情報とメディア・コミュニケーション・社会の関わりを扱う専攻、心理・認知科学専攻は人間の心理や認知のメカニズムを情報学的な手法で解明する専攻、情報システム学専攻はコンピュータサイエンスの基礎理論からソフトウェア設計までを扱う専攻、知能システム学専攻は知能やシステム制御に関わる数理的な研究を行う専攻、というのが名称から読み取れる大まかなイメージです。同じ「情報学」という言葉から連想する内容と、実際の研究テーマにはギャップがあることも多いため、専攻名だけで判断せず、研究科サイトで教員一覧や研究室の紹介を確認し、自分の興味と近い研究室があるかを早い段階で調べておくことをおすすめします。特に、複数の専攻にまたがって研究できそうなテーマを持っている場合は、専攻を一つに絞り込む前に複数の研究室の教員に話を聞いてみるのも有効です。同じテーマでも、数理的なアプローチを重視する専攻と、社会的・応用的な側面を重視する専攻とでは、指導方針や研究の進め方が大きく異なることがあります。
出願スケジュールと出願書類・検定料
直近(令和8年度)の冬入試のスケジュールは、願書受付期間が令和7年12月17日(水)から12月23日(火)16時まで(郵送のみ受付、必着)でした。これとは別に、インターネット出願サイトでの出願登録と入学検定料の支払いは、願書受付開始の2週間前にあたる令和7年12月3日から可能になっており、オンライン登録と郵送提出の両方を期間内に完了させる必要がある点に注意が必要です。オンラインで登録・支払いを済ませただけでは出願は完了せず、印刷した出願書類一式を郵送して初めて手続きが完了する2段階の仕組みになっています。インターネット出願サイトはマイページ登録から始まり、志願者情報の入力、検定料の支払い、出願書類のPDF出力という流れで進みます。サイトは日本語ページと英語ページに分かれており、出願登録は「日本語」を選択したページからのみ可能とされている点にも注意してください。
提出書類は、名古屋大学大学院志願票・写真票のほか、志願理由書、履歴書、卒業(見込)証明書、成績証明書、英語外部試験の成績通知書、オンライン口述試験・口頭試問に関する誓約書、類型該当性の自己申告書などです。卒業論文などの研究能力を示す資料がある場合は、それを添付することが「望ましい」とされています。なお、名古屋大学情報学部・情報文化学部の卒業者は卒業(見込)証明書・成績証明書の提出が不要とされており、他大学出身者よりも準備する書類がやや少なくなります。外部の大学から受験する場合は、これらの証明書を出身大学に発行してもらう手続きに一定の時間がかかることもあるため、早めに申請しておくと安心です。出願書類は「出願用宛名用紙」を封筒に貼り付けたうえで、簡易書留・速達郵便で郵送することが求められ、持参や電子メールでの出願は認められません。出願手続きが完了した後は、書類の変更・差し替え・返却も受け付けられないため、記入内容や添付書類に不備がないか、郵送前に入念に確認しておく必要があります。
入学検定料は30,000円で、これとは別にオンライン決済の手数料が800円程度かかります。出願書類を受理した後は、原則として検定料は返還されません。検定料を納入したのに結局出願しなかった場合や、出願が受理されなかった場合、あるいは誤って二重に払い込んでしまった場合に限り返還されますが、その際も振込手数料が差し引かれます。検定料の支払いは慎重に、出願する意思が固まってから行うのが安全です。
ここで他大学院・他研究科の外部院試を検討したことがある人ほど意外に感じるかもしれませんが、情報学研究科の冬入試では「研究計画書」が必須書類に含まれていません。名古屋大学の他の研究科(人文学・法学・経済学など)の外部院試では研究計画書の提出と、それに基づく面接が中心になるケースが多いのに対し、情報学研究科は「志願理由書」と「これまでの研究内容(卒業研究など)についての発表・口頭試問」という組み合わせで、志望動機と研究遂行能力の両方を口述試験の場で直接確認する設計になっています。書類作成の負担という意味では軽くなりますが、その分、口述試験当日のプレゼンテーションと質疑応答の比重が大きくなるということでもあります。
出願書類の中でも見落としやすいのが「オンライン口述試験・口頭試問に関する誓約書」です。対面実施を予定していても、災害や感染症の流行などでオンラインに切り替わる可能性に備えて、全員が提出を求められます。試験形式が急に変わっても対応できるよう、事前に自分の受験環境(カメラ付きパソコンやタブレット、安定した通信環境)を確認しておくと安心です。あわせて、安全保障輸出管理制度に基づく「類型該当性の自己申告書」も全員提出が求められる書類で、留学生の受け入れや技術情報の扱いに関する国の制度に対応するためのものです。内容に不明点がある場合は、提出前に研究科教務学生係へ確認しておくとよいでしょう。なお、日本在住の外国人出願者は在留カードのコピーや住民票の写しなど在留資格を確認できる書類、国外在住の外国人出願者はパスポートの国籍が確認できるページのコピーなど、該当者のみ追加で提出が必要な書類も定められています。国費外国人留学生として入学予定の者は検定料が不要になる制度もあるため、該当する可能性がある人は募集要項の該当箇所を必ず確認してください。
提出書類の一つである顔写真データにも細かい規定があります。出願前3か月以内に撮影した正面向き・上半身・無帽・背景なしのものをインターネット出願サイトからアップロードする必要があり、受験時に本人照合が行われるため、加工や修正を加えた写真は使用できません。本人と確認できない場合、受験を続けられなくなる可能性もあるため、証明写真は早めに準備しておきましょう。また、受験票は試験の1週間前までに印刷可能になった旨がメールで通知され、A4用紙に片面印刷して持参する仕組みです。試験当日にスマートフォンなどの画面表示で受験票を提示することは認められていないため、印刷を忘れないよう注意してください。
英語はTOEIC・TOEFL等のスコア提出のみ―英語外部試験の扱い
冬入試のもう一つの大きな特徴が、英語の扱いです。情報学研究科では研究科独自の英語筆記試験を実施せず、TOEIC L&R公開テスト・TOEFL-iBT・IELTS・Duolingo English Testのいずれかの成績通知書提出をもって英語の評価とします。「TOEFL-iBT Home Edition」も有効な受験形式として認められています。「英語の勉強をどう対策すればよいか」という発想ではなく、「いつまでにどの試験を受けてスコアを確保するか」というスケジュール管理の問題になる点が、一般的な大学院入試の英語対策とは異なります。
成績通知書は2023年4月1日以降に受験したものが有効とされ、提出期限は出願期間そのものとは別に、直近の回では令和8年1月22日(木)16時必着と設定されていました。この期限までに成績通知書が到着しなかった場合、英語は「欠席」として扱われます。出願書類一式は12月下旬までに提出できても、外部試験のスコア確保が間に合わなければ英語が欠席扱いになってしまうため、冬入試を検討する場合は出願の数か月前から外部試験の受験を計画しておく必要があります。TOEICの公開テストは月に1回程度、TOEFL-iBTやIELTSも会場や時期によって実施頻度が限られるため、「出願直前に慌てて申し込む」というスケジュールは避けたいところです。
直近の募集要項には、各外部試験のスコアをどの程度の水準として扱うかの目安として、次のような換算表が示されていました。
| TOEIC L&R | TOEFL-iBT | IELTS | Duolingo |
|---|---|---|---|
| 580 | 61 | 5 | 80 |
| 649 | 69 | 5.5 | 95 |
| 729 | 79 | 6 | 105 |
| 807 | 90 | 6.5 | 120 |
| 867 | 100 | 7 | 130 |
| 956 | 109 | 7.5 | 140 |
| 986 | 111 | 8~9 | 150 |
この表はあくまで各試験のスコアをそろえて比較するための換算目安であり、合格に必要な最低スコアを示したものではありません。募集要項自体にも「足切りライン」に相当する明確な基準の記載は見当たりませんでした。とはいえ、専門分野の口述試験に集中するためにも、英語のスコアは出願前の早い段階で確保しておくに越したことはありません。すでに社会人として英語を業務で使っている人であれば、手元のスコアをそのまま活用できる場合もあるので、まずは自分が保有しているスコアの有効期限(2023年4月1日以降の受験分)を確認するところから始めるとよいでしょう。逆に、これから初めて外部試験を受ける場合は、TOEIC L&Rの公開テストであれば申込から受験、スコア到着までに1~2か月程度を要することも珍しくありません。1月22日という提出期限から逆算すると、遅くとも前年11月頃には受験の申し込みを済ませておきたいところです。
選抜方法―専攻別の口述試験の内容
冬入試の選抜方法は、専門及び口頭試問の成績と、提出された書類による総合評価です。8月実施(第1次募集)では専攻によって筆記試験が課されますが、冬入試(2月実施)は6専攻すべてで筆記試験がなく、口述試験(面接形式の試験)のみで実施されるのが最大の特徴です。直近(令和8年度)の募集要項をもとに、専攻ごとの試験内容を整理すると次のようになります。
| 専攻名 | 実施形式 | 試験内容の概要 |
|---|---|---|
| 数理情報学専攻 | オンライン | 数学、数理情報、または志望する分野の基礎についての口述試験 |
| 複雑系科学専攻 | 対面(オンラインに変更の可能性あり) | 一人30分程度。卒業研究等の発表(10分)+質疑応答(20分) |
| 社会情報学専攻 | 対面(受験者多数の場合は2日に分けて実施) | 一人30分程度。卒業研究・セミナー内容の発表(10分)+質疑応答(20分) |
| 心理・認知科学専攻 | 対面(オンラインに変更の可能性あり) | 一人30分程度。卒業研究等の発表(10分)+質疑応答(20分) |
| 情報システム学専攻 | 対面 | 12科目から出題される6問のうち3問を選んで解答する口述試験+研究内容の口頭試問 |
| 知能システム学専攻 | 対面 | 解析・線形代数、確率・統計の2科目に関する口述試験+研究内容の口頭試問 |
複雑系科学専攻・社会情報学専攻・心理認知科学専攻は、いずれも「卒業研究(またはそれに代わる学部時代の学習内容)の発表10分+質疑応答20分」という共通の型で実施されます。発表内容は卒業研究そのものでなくても、大学院入学後に取り組みたい具体的な研究テーマで代替できるとされており、研究計画そのものよりも、自分の研究の方向性を口頭で説明しきる力が問われる試験だといえます。卒業研究やセミナーを履修していない場合でも、本研究科で希望する研究の内容で代えることができるとされており、これまで研究活動の経験がない社会人や他分野出身の受験者にも門戸が開かれた設計になっています。
一方で情報システム学専攻と知能システム学専攻は、出題科目が明確に決められている点で他の4専攻と性格が異なります。情報システム学専攻は情報系の主要12科目から出題される6問のうち3問を選択して解答する形式です。対象となる12科目は次の通りです。
- 情報理論
- プログラミング
- 離散数学
- オートマトン・形式言語
- アルゴリズム
- 論理学
- 論理設計
- 計算機アーキテクチャ
- オペレーティングシステム
- コンパイラ
- 情報ネットワーク
- ソフトウェア設計論
6問のうち3問を選んで解答できる方式のため、12科目すべてを均等に仕上げる必要はなく、得意な分野に絞って重点的に対策する戦略も成立します。ただしどの3問が出題されるかは当日まで分からないため、最低でも半数程度の科目には目を通しておくのが現実的でしょう。知能システム学専攻は解析・線形代数、確率・統計という理系基礎科目2科目についての口述試験が課されます。いずれの専攻も、これまでの研究内容(卒業研究など)についての口頭試問が別途あり、研究概要をA4用紙1頁程度にまとめて持参することが求められています。
なお、情報システム学専攻・知能システム学専攻の口述試験・口頭試問は日本語で実施されますが、英語での回答も認められています。留学生や、英語での議論に慣れている受験者にとっては選択肢が広がる仕組みです。志望専攻によって準備の方向性がまったく異なるため、自分が受ける専攻の試験形式を早い段階で正確に把握しておくことが重要です。同じ「口述試験」という言葉でも、その中身は専攻によって研究発表型・出題科目型のいずれかに大きく分かれるため、志望専攻の過去の説明会資料や教員への問い合わせを通じて、実際にどちらの型に近いのかを具体的にイメージしておくと当日の不安を減らせます。
複雑系科学専攻・社会情報学専攻・心理認知科学専攻のように「発表10分+質疑応答20分」という形式が明確になっている場合、対策の中心は発表内容そのものよりも時間内に研究内容を過不足なく伝えきる練習になります。10分という時間は決して長くないため、卒業研究の背景・目的・方法・結果・大学院での発展の方向性を、要点を絞って話す構成をあらかじめ準備しておくとよいでしょう。あわせて、発表後の質疑応答では研究内容の妥当性だけでなく、志望動機や勉学意欲についても問われるため、想定される質問を書き出し、口頭で説明する練習を繰り返しておくことをおすすめします。教員への事前連絡や研究室訪問で得た情報も、この準備に直接活かせます。
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8月実施(夏入試)との違い
同じ情報学研究科の博士前期課程入試でも、8月実施(第1次募集)と2月実施(冬入試/第2次募集)では出願時期・試験内容が大きく異なります。直近の年間予定をもとに整理すると、次のような違いがあります。
| 比較項目 | 8月実施(第1次募集) | 2月実施(冬入試/第2次募集) |
|---|---|---|
| 出願期間の目安 | 6月下旬~7月上旬 | 12月中旬~下旬 |
| 試験日の目安 | 8月上旬 | 2月上旬~中旬 |
| 試験内容 | 専攻により筆記試験+口頭試問 | 全専攻で口述試験のみ |
| 過去問の公開 | 直近3年度分がネット上でダウンロード可能 | ネット上には非公開(窓口での事前予約閲覧のみ) |
特に重要なのが試験内容の違いです。8月実施では専攻によって専門科目の筆記試験が課されますが、冬入試は前章で見た通り全専攻が口述試験中心で、情報システム学専攻・知能システム学専攻を除けば決まった出題科目もありません。「筆記試験の対策に時間をかけるより、研究内容を人に説明する練習をしたい」というタイプの人には、冬入試のほうが向いている可能性があります。逆に、情報システム学専攻や知能システム学専攻のように出題科目が明確な専攻を志望する場合は、口述試験とはいえ相応の専門知識の準備が必要です。
過去問の公開状況にも明確な違いがあります。8月実施は筆記試験を伴う回のため、直近3年度分の過去問がネット上でダウンロードできる状態になっています。一方で冬入試は口述試験のみのため、「過去に出題された問題そのもの」をネット上で確認する手段は用意されていません。研究科教務学生係の窓口で、身分証を提示のうえ事前予約して閲覧する形式に限られています。過去問を材料に対策を組み立てたい人にとっては、この違いは進路選択に影響する情報だといえるでしょう。
どちらの回を受けるべきかは、準備状況と志望専攻によって変わってきます。8月実施で不合格だった場合の再挑戦の場として冬入試を位置づけるだけでなく、そもそも準備期間を長く取れる冬入試から先に検討するという選択肢もあり得ます。いずれにしても、両方の回の募集要項を早めに確認し、自分にとって現実的なスケジュールを見極めることが大切です。検定料や出願書類の細部は年度・実施回によって変更される可能性があるため、両方に出願する可能性がある場合は、それぞれの募集要項を個別に確認するようにしてください。
学部4年生であれば、卒業研究と並行して受験準備を進めることになります。8月実施は卒業研究がまだ十分に進んでいない時期にあたるため、研究の進捗が発表できる形にまとまるのを待ってから冬入試で勝負するという考え方も選択肢の一つです。一方で、卒業研究のテーマが早い段階から固まっている人や、他大学の学部で研究活動にすでに取り組んできた人であれば、8月実施の時点で十分な発表内容を用意できる可能性もあります。自分の研究の進み具合と、志望専攻の試験形式を照らし合わせて、どちらの回で受験するのが現実的かを判断するとよいでしょう。
判断に迷う場合の考え方を簡単に整理すると、次のようになります。
- 卒業研究のテーマがまだ固まっていない、または研究成果が発表できる段階にない → 準備期間を長く取れる冬入試を軸に検討する
- すでに研究内容がまとまっており、早く進路を確定させたい → まず8月実施に挑戦し、結果次第で冬入試も視野に入れる
- 情報システム学専攻・知能システム学専攻など出題科目が決まっている専攻を志望している → 出題科目の学習を早めに始め、どちらの回でも対応できる状態を目指す
- 社会人で、業務との両立や英語外部試験のスコア確保に時間がかかる → スケジュールに余裕のある回を選び、逆算して準備を始める
いずれの場合も、志望専攻の教員へ早めに連絡を取り、研究室側の受け入れ状況や、その年度の実施方針について直接確認しておくことが、回を選ぶ判断材料としても有効です。
名古屋大学の他の大学院研究科(外部院試シリーズ)との違い
名古屋大学の大学院入試を検討する過程で、経済学研究科・教育発達科学研究科・人文学研究科・国際開発研究科・法学研究科など、他の研究科の外部院試について調べたことがある人もいるかもしれません。これらの研究科の多くは、出願時に「研究計画書」の提出を求め、その内容に基づいて面接試験が行われるという制度設計が一般的です。志望する研究テーマを事前に文章としてまとめ、指導予定教員とすり合わせたうえで出願するという流れが標準的だといえます。
これに対して情報学研究科の冬入試は、研究計画書という形式張った書類を課さず、口述試験当日の発表と質疑応答で研究内容と志望動機を確認するという、やや異なる設計になっています。志願理由書は提出しますが、これは研究計画そのものというより「なぜこの研究科・専攻で学びたいか」を説明する書類で、研究の詳細な方法論や先行研究の整理までは求められません。文系の研究科でよく見られる「研究計画書を書いてから出願する」という準備の流れに慣れている人ほど、この違いに戸惑うことがあるかもしれません。
また、他の研究科の外部院試の多くが年1回の実施であるのに対し、情報学研究科は8月実施・2月実施の年2回という受験機会の多さも独自の特徴です。ある年度に他研究科を受験して不合格になった場合、翌年度まで待つのが一般的ですが、情報学研究科であれば同一年度内に2度目の挑戦ができる可能性があります。名古屋大学大学院入試全体の比較検討をしたい場合は、名古屋大学 大学院入試を徹底解説で研究科ごとの制度の違いを俯瞰しておくと、志望研究科を絞り込みやすくなるでしょう。
もう一つの違いは、検定料の返還や書類の取り扱いといった実務面の厳格さです。情報学研究科の冬入試では、出願書類を受理した後の変更・差替・返却は一切認められず、検定料も原則として返還されません。「とりあえず出願してから内容を調整する」という進め方ができない点は、研究計画書ベースで面接内容をすり合わせながら進める他研究科の外部院試とは異なる緊張感があります。出願前の準備段階で、志望専攻・志望研究室・提出書類の内容を固めておく必要性が、情報学研究科ではより強く求められるといえるでしょう。
出願前に必ずやるべきこと―教員への事前連絡と研究室訪問
情報学研究科の入学試験の年間予定表には、「受験を考えている人は、研究指導を希望する教員に、出願前に連絡を取ること」と明記されています。これは冬入試に限った案内ではありませんが、口述試験の中心が卒業研究や希望する研究テーマの発表である以上、出願前に指導を希望する教員へ連絡を取っておくことは事実上必須の準備だと考えたほうがよいでしょう。教員側にとっても、指導可能な研究テーマかどうか、受け入れ可能な人数かどうかを事前に把握しておきたいという事情があります。
特に数理情報学専攻のように口述試験がオンラインで完結する専攻や、社会情報学専攻のように出願前の個別手続きが設けられる場合がある専攻では、出願そのものより前の段階で教員とのやり取りが発生することがあります。直近の年間予定でも、8月実施の回について「数理情報学専攻の口述試験志願者」「社会情報学専攻の筆記試験免除志願者」に対して、通常の出願期間より前に個別の事前手続き期間が設けられていた例があります。冬入試を検討する場合も、専攻の入試説明会や教員への問い合わせを通じて、自分の志望専攻に個別の手続きがないかを早めに確認しておくと安心です。数理情報学専攻・社会情報学専攻(グローバルメディア論講座)では入試説明会も開催されているため、そうした機会も積極的に活用したいところです。
教員への連絡は、メール一本で完結するものではなく、その後の研究室訪問や面談につながっていくのが一般的です。初めて教員にコンタクトを取る際のメールの書き方や、訪問当日の流れ・質問の準備の仕方については、研究室訪問の完全ガイドで進め方や当日の流れ、質問リストまで詳しく解説しています。また、依頼メールの文面に悩む場合は研究室訪問のメール例文集も参考になります。口述試験で聞かれる「大学院での希望研究テーマ」を言語化する作業は、実は教員への事前連絡の文面を考える段階からすでに始まっているといえます。
研究室訪問や事前連絡を経て志望専攻・志望研究室の解像度が上がれば、志願理由書の内容にも一貫性が生まれます。冬入試は研究計画書の提出こそ求められませんが、口述試験の発表と質疑応答で「なぜこの研究室で、何を研究したいのか」を自分の言葉で説明できるかどうかが評価される以上、出願書類の準備と教員への事前連絡は並行して進めるべき作業だと考えておきましょう。在職中で入学後も継続して働く予定の受験者は、勤務先の受験承認書の提出が必要になる場合もあるため、職場との調整もあわせて早めに進めておくと安心です。
教員へのメールは、いきなり研究内容の詳細を尋ねるのではなく、まず自己紹介と志望動機、そして「オンラインまたは対面で一度お話を伺えないか」という趣旨で送るのが基本です。返信までに時間がかかることもあるため、出願直前に初めて連絡するのではなく、できれば夏から秋にかけての早い時期にコンタクトを取っておくと、その後のやり取りにも余裕が生まれます。教員によっては、研究室訪問やオンライン面談を通じて、口述試験で聞かれる可能性のある質問の傾向についてヒントを得られることもあります。事前連絡を怠ったまま出願だけを済ませてしまうと、口述試験で「なぜこの研究室なのか」を説得力を持って説明しづらくなるリスクがある点も意識しておきましょう。
倍率の実態と合格までの逆算スケジュール
冬入試の難易度を考える上で参考になるのが、研究科が公表している過去の志願者数・受験者数・合格者数のデータです。直近2年分の第2次募集(2月実施)の専攻別データを見ると、次のようになっています。
| 専攻名 | 令和8年度(2026年4月入学)志願・受験・合格 | 令和7年度(2025年4月入学)志願・受験・合格 |
|---|---|---|
| 数理情報学専攻 | 6名・6名・2名 | 5名・2名・0名 |
| 複雑系科学専攻 | 34名・33名・18名 | 19名・15名・13名 |
| 社会情報学専攻 | 9名・9名・7名 | 8名・8名・7名 |
| 心理・認知科学専攻 | 4名・3名・1名 | 4名・4名・3名 |
| 情報システム学専攻 | 8名・4名・3名 | 9名・9名・4名 |
| 知能システム学専攻 | 35名・29名・8名 | 24名・22名・8名 |
| 合計 | 96名・84名・39名 | 69名・60名・35名 |
このデータから分かる通り、冬入試の倍率(志願者数÷合格者数で単純計算した場合)は専攻・年度によって大きくばらつきます。数理情報学専攻は令和7年度に合格者ゼロという年もあれば、複雑系科学専攻や知能システム学専攻のように毎年一定数の合格者が出ている専攻もあります。全専攻・全体の合計で見ると、令和8年度は志願96名に対し合格39名、令和7年度は志願69名に対し合格35名で、年度によって志願者数自体が3割前後変動していることも見て取れます。「冬入試は◯倍」という一律の数字で語れるものではなく、志望専攻ごとの実績を確認したうえで準備することが重要です。とりわけ知能システム学専攻は志願者数が多い一方で合格者数は8名前後にとどまっており、専攻内での競争がある程度発生していることがうかがえます。
最後に、冬入試の出願を検討する場合の逆算スケジュールを整理します。試験が2月上旬、出願が12月中旬~下旬という日程から考えると、おおむね次のような流れで準備を進めるのが現実的です。
- 出願の5~6か月前(夏頃):志望専攻・志望研究室を検討し、情報収集を始める
- 出願の3~4か月前(8月~9月頃):志望研究室の教員へ事前連絡を行い、可能であれば研究室訪問・面談を実施する
- 出願の2~3か月前(9月~10月頃):TOEIC・TOEFL-iBT・IELTS・Duolingo English Testなど英語外部試験を受験し、スコアを確保する
- 出願の1~2か月前(11月頃):志願理由書・履歴書の下書きを進め、卒業(見込)証明書・成績証明書など必要書類の取り寄せを始める
- 出願期間(12月中旬~下旬):インターネット出願サイトで登録・検定料支払いを行い、出願書類一式を簡易書留・速達で郵送する
- 英語外部試験の成績提出期限(1月下旬):出願とは別に設定された期限までに成績通知書を郵送する
- 試験1週間前:受験票印刷可能の通知メールを確認し、A4用紙に片面印刷して当日に持参する準備をする
- 試験当日(2月上旬~中旬):専攻ごとに指定された時間・形式で口述試験・口頭試問に臨む
- 合格発表(2月中旬):研究科棟での掲示およびホームページでの発表を確認する
万が一、不合格だった場合でも次に活かせる仕組みがあります。不合格者のうち希望する者は、科目ごとの試験成績の開示を請求できます。直近の回では合格発表翌日から2週間程度の期間、所定の様式で申し込む形になっていました。口述試験は自分の手応えと実際の評価にずれが生じやすい試験形式でもあるため、次年度以降の再挑戦を考えている場合は、開示請求を通じて自分の課題を客観的に把握しておくのも一つの方法です。特に情報システム学専攻・知能システム学専攻のように出題科目が明確な専攻では、開示された科目別の成績が、次回に向けてどの分野を重点的に復習すべきかを判断する具体的な材料になります。
英語外部試験のスコアも出願期間とは別に提出期限が設定されているため、受験機会が限られる試験ほど早めに申し込む必要があります。志願理由書や履歴書は出願登録が始まる12月上旬までに下書きを終えておくと、直前になって慌てずに済みます。
合格発表は例年2月中旬、入学手続きは3月上旬から中旬にかけて行われ、直近の例では入学料282,000円、授業料は年額535,800円(春学期267,900円)でした。職業を有している等の事情で標準修業年限内の修了が難しい人には「長期履修学生制度」も用意されており、計画的に修業年限を延ばして学位取得を目指すことができます。社会人として働きながらの受験・進学を検討している人にとっては、こうした制度の存在も進路選択の材料になるはずです。準備から入学手続きまでの流れを早い段階で把握しておくことで、直前になって慌てることを防げます。
入学後のカリキュラムや研究室配属の詳細は専攻によって異なるため、本記事では立ち入りませんが、冬入試(2月実施)で合格した場合も、4月入学の8月実施合格者と同じ時期に入学する点は押さえておきたいポイントです。入学時期がずれるわけではなく、あくまで「入試の実施タイミング」が異なるだけなので、入学後の授業スケジュールや研究室配属の流れについて特別な違いを心配する必要はありません。不明点があれば、入学手続きの案内や研究科教務学生係への問い合わせで確認しておくと安心です。
名古屋大学大学院情報学研究科の受験を具体的に検討している場合は、大学院入試対策コースで、出願書類の作成から口述試験対策まで、個別の状況に合わせた相談が可能です。
よくある質問(FAQ)
名古屋大学情報学研究科の「冬入試」(2月実施)はいつ実施されますか?
直近(令和8年度、2026年4月入学分)は、出願が令和7年12月17日~12月23日16時、試験が令和8年2月12日、合格発表が令和8年2月17日というスケジュールで実施されました。次回(令和9年度、2027年4月入学予定分)の日程は本記事執筆時点で未公表のため、実際の出願を検討する際は必ず研究科公式サイトの最新情報を確認してください。
冬入試(2月実施)と夏入試(8月実施)の違いは何ですか?
最大の違いは試験内容です。8月実施は専攻によって筆記試験と口頭試問が課されますが、2月実施(冬入試)は全専攻で筆記試験がなく口述試験のみで選抜が行われます。出願時期も8月実施が6月下旬~7月上旬であるのに対し、冬入試は12月中旬~下旬と半年ほどずれています。過去問の公開状況も異なり、8月実施は直近3年度分がネット上で確認できますが、冬入試は窓口での閲覧に限られます。
出願前に必ず志望専攻の教員に連絡する必要がありますか?
研究科の年間予定表には「受験を考えている人は、研究指導を希望する教員に、出願前に連絡を取ること」と明記されています。必須の手続きとして募集要項に定められているわけではありませんが、口述試験の中心が研究内容の発表・質疑応答であることを踏まえると、実質的に必須の準備と考えたほうがよいでしょう。専攻によっては出願前に個別の手続きが必要になる場合もあるため、早めの問い合わせが安全です。
TOEICは何点くらい必要ですか?
募集要項には最低スコア(足切りライン)の記載はなく、TOEIC L&R・TOEFL-iBT・IELTS・Duolingo English Testのいずれかの成績通知書提出が必須とされているのみです。研究科が示す換算表では、TOEIC580点前後からTOEFL-iBT61点前後が対応する水準として例示されていますが、これは各試験のスコアを比較するための目安であり、合格ラインを示すものではありません。
冬入試の倍率はどのくらいですか?
専攻・年度によって大きく異なり、一律の倍率では語れません。直近2年分のデータでは、志願者数ベースの倍率が1倍台の専攻もあれば、数理情報学専攻のように合格者ゼロの年もありました。全専攻合計では、直近の回で志願96名に対し合格39名という実績です。志望専攻ごとの過去の実績を確認したうえで準備することをおすすめします。
冬入試には研究計画書が必要ですか?
直近の募集要項では、必須書類に研究計画書は含まれていませんでした。代わりに志願理由書と履歴書の提出、そして口述試験の中での卒業研究や希望する研究テーマの発表・質疑応答によって、志望動機と研究遂行能力が評価されます。
冬入試の過去問は入手できますか?
冬入試(2月実施)は全専攻が口述試験中心のため、8月実施のような筆記試験の過去問はネット上には公開されておらず、研究科教務学生係の窓口で事前予約のうえ閲覧する形式に限られています。ただし募集要項自体に専攻別の出題科目・試験形式が明記されているため、それを一次情報として対策の指針にすることができます。
働きながら受験・進学することはできますか?
情報学研究科には「長期履修学生制度」があり、職業を有している等の事情で標準修業年限内の修了が難しい学生が、修業年限を超えて計画的に教育課程を履修し学位取得を目指せる仕組みが用意されています。在職中で入学後も継続して働く予定の場合は、出願時に勤務先の受験承認書の提出が必要になることがあるため、あわせて確認しておきましょう。冬入試(2月実施)は口述試験がオンラインで実施される専攻もあり、遠方に住んでいる社会人にとっても比較的挑戦しやすい形式だといえます。
まとめ|名古屋大学大学院情報学研究科の冬入試に向けて
- 冬入試(2月実施/第2次募集)は、8月実施に続く年2回目の博士前期課程入試で、6専攻すべてが対象
- 出願は例年12月中旬~下旬、試験は2月上旬、合格発表は2月中旬というスケジュール
- 全専攻で筆記試験がなく、口述試験(面接形式の試験)のみで選抜される
- 英語は独自の筆記試験を行わず、TOEIC・TOEFL-iBT・IELTS・Duolingo English Testいずれかのスコア提出で代替する
- 研究計画書は必須書類ではなく、志願理由書と口述試験での研究発表・質疑応答で志望動機と研究力を示す
- 倍率は専攻・年度によって大きく異なり、一律の「◯倍」では語れない
- 出願前に志望専攻の教員へ連絡を取ることが、実質的に必須の準備になる
- 冬入試で合格しても入学時期は8月実施合格者と同じで、入学後の扱いに違いはない
- 職業を有している等の事情がある場合は「長期履修学生制度」も選択肢になる
名古屋大学大学院情報学研究科の冬入試は、8月実施と比べて選抜方法もスケジュールも大きく異なる、独自の入試制度です。研究計画書が不要な一方で、口述試験の当日に自分の研究内容と志望動機を説明しきる力が問われるため、書類作成よりも教員への事前連絡や発表練習に時間をかける準備が求められます。募集人員が「若干名」にとどまる専攻が多く、年度によって倍率も合格者数も変動する以上、直前になって出願資格や日程を確認するのではなく、志望専攻を決めた時点から逆算してスケジュールを組んでおくことが合格への近道になります。
8月実施で思うような結果が出なかった人にとって、冬入試は同じ年度内にもう一度チャンスを得られる貴重な制度です。反対に、8月実施をまだ受けていない人であっても、準備期間を長く確保できる冬入試を最初の目標に据えるという考え方も十分に成立します。どちらを選ぶにしても、まずは志望する専攻の教員に連絡を取り、研究室訪問を通じて自分の研究したい内容と研究室の方向性がかみ合っているかを確かめることが、出願書類や口述試験の準備を実のあるものにする第一歩になるはずです。
情報学研究科の冬入試は、募集要項を正確に読み解き、専攻ごとの試験形式に合わせて準備さえできれば、決して手が届かない入試ではありません。研究計画書という重い書類がない分、口述試験当日までにどれだけ研究内容と志望動機を言語化できているかが合否を分けるといっても過言ではないでしょう。8月実施か冬入試か、あるいは他の研究科を含めて総合的に検討したい場合は、早い段階で情報を整理し、専攻ごとの教員や研究科の窓口に直接問い合わせながら準備を進めていくことをおすすめします。募集要項の内容は年度により変わるため、実際に出願する際は必ず最新の募集要項を研究科公式サイトで確認してください。独学での対策に不安がある場合は、志願理由書の作成から口述試験の想定問答まで、専門の指導を活用するのも一つの方法です。
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