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慶應義塾大学大学院理工学研究科『6月・8月入学試験』の傾向と対策|出願資格・試験科目まで

慶應義塾大学大学院理工学研究科の修士課程(前期博士課程)入試には、「6月入学試験」「8月入学試験」という2つの入試区分がある。「慶應義塾大学院 理工学研究科 6月入学試験 8月入学試験」で調べている方の多くは、この2つが何を意味し、どちらを受けるべきなのかを知りたいはずだ。結論から言うと、6月入学試験・8月入学試験は季節限定のブランド入試ではなく、正式な入試区分の名称であり、いずれも書類審査に加えて口述試問(6月)、または記述試問と口述試問(8月)を課す選考方式である。
6月入学試験とは、慶應義塾大学で学ぶことを強く希望する志願者を対象に、書類審査と口述試問のみで早期に合否を決める入試区分である。これに対し8月入学試験は、基礎・専門分野の学力を確認する記述試問を含む、より本格的な学力試験を課す区分だ。理工学研究科は2026年度から専攻を改組しており、先端数物科学専攻・化学生命情報科学専攻・総合デザイン工学専攻・人間社会システム情報科学専攻という4専攻体制に生まれ変わっている。
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本記事では、2027年度(2026年実施)の理工学研究科前期博士課程(修士課程)入学試験要項にもとづき、6月入学試験と8月入学試験の違い、募集人員・出願資格、試験科目、出願スケジュール、そして過去の入試統計から見える倍率の傾向までを整理する。研究計画書という独立書類が存在しない理工学研究科ならではの出願準備の進め方も併せて確認してほしい。
なお、募集要項の内容は年度ごとに変更される可能性があるため、本記事の情報を土台にしつつ、出願時には必ず慶應義塾大学大学院理工学研究科の入学案内ページで最新の要項を確認してほしい。特に2026年度は専攻改組の直後にあたるため、志望する研究テーマが新体制のどの専攻・教育研究分野に位置づけられるのかを、早い段階で正確に把握しておくことが対策の第一歩になる。
理工学研究科の修士課程には、6月入学試験・8月入学試験のほかに、大学3年次在学者を対象とした飛び級入学試験や、日本以外の大学出身者向けの留学生入学試験もある。本記事では外部からの進学者が主に検討する6月入学試験・8月入学試験を中心に扱うが、飛び級入学試験の概要にも触れているので、該当する可能性がある人は参考にしてほしい。
慶應義塾大学大学院理工学研究科とは|2026年度からの4専攻体制
なぜ改組されたのか
要項では改組の具体的な経緯までは説明されていないが、旧来の基礎理工学専攻・総合デザイン工学専攻・開放環境科学専攻という3専攻体制から、学問領域をより明確に区分した4専攻体制へと再編されたことが公式に案内されている。志望する研究テーマが旧専攻のどこに位置づけられていたかにかかわらず、2026年度以降に出願する場合は新しい4専攻とそれぞれのアドミッション・ポリシーを基準に志望先を検討する必要がある。
4専攻の学問領域
理工学研究科は2026年度より専攻を改組し、それまでの基礎理工学専攻・総合デザイン工学専攻・開放環境科学専攻の3専攻体制から、先端数物科学専攻・化学生命情報科学専攻・総合デザイン工学専攻・人間社会システム情報科学専攻の4専攻体制へと再編された。先端数物科学専攻は数理科学・物理学を基盤とした分野、化学生命情報科学専攻は化学・生命科学とそれに関連する物理学・情報科学を基盤とした分野、総合デザイン工学専攻は機械工学・電気情報工学・システムデザイン工学などの基盤工学、人間社会システム情報科学専攻は人間や社会を取り巻く科学技術を扱う分野を、それぞれのアドミッション・ポリシーとして掲げている。
修士課程の入試制度全体
理工学研究科修士課程の入学試験には、6月入学試験・8月入学試験・飛び級入学試験の3種類がある。6月入学試験と8月入学試験は、慶應義塾大学の在学生・卒業生だけでなく、外国の大学を含む他大学の在学生・卒業生にも広く門戸が開かれている。飛び級入学試験は他大学を含む大学3年生に限定された制度で、合格すると学部を中退して1年早く大学院に進学する形になる(学部卒業資格は得られない)。このほか、日本以外の大学を卒業した志願者向けの留学生入学試験も別途用意されている。
各専攻のアドミッション・ポリシー
4専攻はそれぞれ独自のアドミッション・ポリシー(入学者受入れ方針)を掲げている。先端数物科学専攻は数理科学または物理学を基盤とした分野における高い基礎学力を持ち、基礎科学の発展や最先端の科学技術への展開に強い意欲を持つ人材を求めている。化学・生命情報科学専攻は化学・生命科学とそれに関連する物理学・情報科学の基礎学力、総合デザイン工学専攻は機械工学・電気情報工学・システムデザイン工学などの基盤工学の学力に加えて国際社会での活躍や新技術の社会実装への関心、人間・社会システム情報科学専攻は人間や社会を取り巻く科学技術を自然・人間・文化・社会と結びつけて理解しようとする姿勢を、それぞれ重視している。出願前にこのアドミッション・ポリシーを読み込み、自分の志望動機がどの専攻の方針と合致するかを確認しておくことは、入学志願者調書や口述試問での回答の一貫性を高めることにつながる。
専攻別の募集人員
前期博士課程(修士課程)の専攻別募集人員は、先端数物科学専攻100名、化学生命情報科学専攻130名、総合デザイン工学専攻220名、人間社会システム情報科学専攻150名である。4専攻合計で600名という規模は、慶應義塾大学の大学院の中でも大きな部類に入る。志望する研究テーマがどの専攻・教育研究分野に属するかは、後述する試験科目(記述試問)の分野構成とあわせて早めに確認しておきたい。
留学生入学試験との違い
日本以外の大学を卒業した志願者向けには、6月入学試験・8月入学試験とは別に「留学生入学試験」という制度も用意されている。本記事で解説する6月入学試験・8月入学試験は、外国の大学の在学生・卒業生であっても出願資格を満たせば受験できる制度だが、留学生向けの選考ルートを別途利用したい場合は、理工学研究科ウェブサイトの留学生向けページで詳細を確認する必要がある。どちらの制度で出願するかによって必要書類や選考の流れが異なるため、混同しないよう注意したい。理工学研究科は受験生向けページ・在学生向けページ・教員プロフィール検索ページなど、公式サイト上に複数の情報源を用意している。出願前にこれらのページを一通り確認しておくと、志望する教育研究分野の詳細や指導教員の連絡先を効率よく調べられる。
「6月入学試験」「8月入学試験」とは|2つの入試の違いと使い分け
2つの入試の全体像を比較する
6月入学試験と8月入学試験は、選考方法・出願時期・課される試験の重さが大きく異なる。6月入学試験は書類審査と口述試問のみで、記述試問(いわゆる学力試験の答案形式の試験)は課されない。一方、8月入学試験は記述試問(分野別の専門試験)と口述試問の両方を課す、より本格的な選考になる。
| 項目 | 6月入学試験 | 8月入学試験 |
|---|---|---|
| 選考方法 | 書類審査+口述試問(記述試問なし) | 記述試問(分野別)+口述試問 |
| 出願期間 | 4月24日〜5月7日 | 7月21日〜7月30日 |
| 試験日 | 6月14日(口述試問のみ) | 8月26日(記述)・8月28日(口述) |
| 合格発表 | 6月19日 | 9月3日 |
| 語学スコア | 要項上の必須提出書類には含まれない | TOEFL iBT/TOEIC(L&R・S&W)のいずれか必須 |
| 入学検定料 | 35,000円 | 35,000円(6月試験からの再出願は不要) |
6月入学試験の3つの振り分けパターン
6月入学試験の書類審査では、志願者は次の3つのいずれかに振り分けられる。1つ目は書類審査のみで入学が許可されるパターン、2つ目は書類審査に加えて口述試問を課され、その結果で入学が許可されるパターン、3つ目は6月の時点では合否を決めず、8月入学試験を改めて受験する必要があるパターンだ。3つ目に振り分けられた場合は「再出願」という手続きが必要になるが、6月入学試験で一度検定料を納めていれば、同じ専攻に再出願する限り8月入学試験の検定料は不要という扱いになる。
どちらを選ぶべきかの判断基準
慶應義塾大学理工学部からの進学者で、早期に進路を確定させたい場合は、まず6月入学試験に出願する意味が大きい。6月入学試験の要項自体が「慶應義塾大学大学院理工学研究科で学ぶことを強く希望する方々に早期に進路を決め、卒業研究等に安心して励んでいただきたい」という趣旨で設計されているためだ。他大学出身者や、じっくり専門知識を積み上げてから受験したい場合は、記述試問を通じて実力を示せる8月入学試験から挑む、あるいは6月入学試験に出願しつつ結果次第で8月入学試験に回るという段階的な戦略も選択肢になる。
検定料の考え方から見る2つの入試の関係
入学検定料は6月入学試験・8月入学試験のいずれも35,000円で同額である。ただし、6月入学試験で「8月入学試験を改めて受験する必要がある」と判定された志願者が、同じ専攻のまま再出願する場合は、検定料の二重負担が生じない仕組みになっている。志望専攻を変更して8月入学試験に出願する場合は「新規出願」の扱いになり、改めて検定料が必要になるという違いがあるため、専攻選びの段階でどの分野を志望するかをできるだけ早く固めておくと、余計な費用負担を避けられる。
募集人員・出願資格
出願資格(6区分)
6月入学試験・8月入学試験の出願資格はいずれも共通で、次のいずれかに該当することが条件になる。
- 大学を卒業した者、または卒業見込みの者
- 大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者(見込み含む)
- 外国において学校教育16年の課程を修了した者(見込み含む)
- 文部科学大臣の指定した者
- 外国の大学等で修業年限3年以上の課程を修了し、学士相当の学位を授与された者(見込み含む)
- 大学卒業者と同等以上の学力があると理工学研究科が認める、入学時に22歳に達する者
このうち6号(同等学力)に該当する場合は、出願前に「出願資格認定申請」という事前審査が必要になる。6月入学試験は4月9日〜15日、8月入学試験は6月22日〜25日という短い期間に申請を行う必要があるため、該当する可能性がある人は早めに理工学研究科AO(Admissions Office)へ相談しておきたい。
出願資格認定申請の流れ
出願資格認定申請では、①出願資格認定申請書、②出願資格認定申請用履歴書(中学卒業からの学歴を記入)、③最終学歴を証明する書類、④出願資格認定申請理由書(研究歴・業績を含め、大学卒業者と同等以上の学力があると考える理由を自由書式で記述)の4点をメールでAOに提出する。審査結果は2週間を目処にメールで通知され、審査完了後に出願期間内の出願手続きへ進む流れになる。書類に不備があると内容審査に進めず不受理となる可能性があるため、申請締切直前ではなく余裕を持った提出が推奨されている。「資格認定締切」は必要書類の確認が完了した時点を指すとされており、書類の不備を修正するやり取りに時間がかかった結果、内容審査そのものに進めないまま締切を迎えてしまうケースも起こりうる。該当する可能性がある人は、出願を検討し始めた時点で早めにAOへ問い合わせておくことをおすすめする。
飛び級入学試験の位置づけ
飛び級入学試験は、大学3年次在学中の成績が非常に優れている者や、理工学の特定分野で優れた能力を持つ少数の者を対象にした別枠の入試だ。出願の目安は、3年次春学期修了時点での自然科学系科目の成績が極めて優秀で、取得単位数と卒業要件単位数の差が概ね30単位以下であることとされている。合格すると学部を中退扱いとなり学士の学位は得られないため、各種国家資格等で学部卒業が要件になっているものは受験資格を失う点に十分注意する必要がある。2027年度入学分は出願資格認定申請が11月25日〜27日、出願が1月27日〜28日、口述試問が2月19日というスケジュールで、6月・8月入学試験とは別の年間サイクルで実施される。出願書類として、出願時より2年以内に受験したTOEFL iBTまたはTOEICのいずれかの公式認定スコアシートの提出も必要になる。飛び級入学試験は6月・8月入学試験と違い、事前の課題提出や口述試問でのプレゼンテーションを課される場合があり、その場合は出願受付後に個別で案内される点も、通常の入試とは異なる特徴だ。
6月入学試験の選考方法|書類審査と口述試問
書類審査のポイント
6月入学試験の第一段階は書類審査である。提出書類にはA入学志願票・B履歴書・C入学志願者調書のほか、出身大学の成績証明書、単位修得証明書、大学卒業(見込)証明書などがある。B履歴書はカラーで印刷し、顔写真データをアップロードする必要があり、最近3ヶ月以内に撮影した鮮明なカラー写真(白黒不可、背景は白・青・グレーの無地)という条件が定められている。書類審査では、これらの提出書類の内容にもとづいて、書類審査のみで合格とするか、口述試問を課すか、8月入学試験へ回すかが判断される。
書類作成上の実務的な注意点
成績証明書・単位修得証明書・大学卒業(見込)証明書は、いずれも原本の提出が必須でコピーは認められない。複数の大学に在籍した経験がある場合や、編入学を経て現在の大学に在籍している場合は、それぞれの在籍先の証明書を提出する必要がある。現在他大学院に在籍中、または他大学院を修了している場合は、大学院の成績証明書もあわせて提出する。日本語または英語以外で記載された証明書は、和訳または英訳したうえで、翻訳内容が原本と相違ないことについて出身大学等の証明を受ける必要がある。本大学理工学部に在籍していない受験者は、成績証明書・単位修得証明書ともに提出が必須という点は、外部生であれば全員に関わる実務的なポイントだ。
口述試問の内容と当日の注意
書類審査の結果、口述試問が必要と判断された志願者は、6月14日に矢上キャンパスで口述試問を受ける。試問は原則として日本語で行われ、板書での回答を求められる場合もある。総合デザイン工学専攻システムデザイン工学分野を希望する志願者は、口述試問時にA1サイズ以内の建築図面等を持参してもよいとされている。集合時刻に遅れた場合は原則として欠席扱いとなり受験できないため、矢上キャンパスまでのアクセスと所要時間を事前に確認しておくことが欠かせない。矢上キャンパスは東急東横線・目黒線の日吉駅から徒歩約15分、横浜市営地下鉄グリーンラインの日吉駅からも徒歩約15分の立地にある。特急電車は日吉駅に停車しないため、乗車する路線・種別にも注意が必要だ。
合否判定と結果の3区分
合否判定は、入学志願者調書・口述試問等の内容を大学院理工学研究科委員会が総合的に評価して決定される。評価項目の重要度は教育研究分野の特性に応じて設定され、学問的適性・研究遂行能力・志望動機の妥当性等が多面的に判断される。前述のとおり結果は「合格」「不合格(8月入学試験へ)」の実質的に2種類に分かれ、既に大学を卒業している場合や9月卒業見込みの場合は、6月入学試験合格者でも9月入学を選ぶことができる。
入学手続案内が届く時期
入学手続の案内は、Webエントリー時に登録したメールアドレス宛に送付される。6月入学試験合格者の場合、2026年9月入学者には7月下旬、2027年4月入学者には2月中旬に案内が届く。8月入学試験合格者の場合は、2026年9月入学者には9月上旬、2027年4月入学者には2月中旬に案内が届く仕組みだ。6月入学試験と8月入学試験とでは、同じ9月入学でも案内の届く時期が異なるため、合格後は自分がどちらの入試区分・入学時期に該当するかを踏まえてスケジュールを確認しておきたい。奨学金の申請等で合格証明書が必要な場合は、学生課総合受付に問い合わせることで対応してもらえる。入学手続そのものは、入学に必要な費用の振込み・入学手続画面での必要事項の入力・対象者のみ手続書類の提出という3つの手続きを、指定期間内にすべて完了することで成立する。期間内に手続きを部分的にしか行っていない場合は、入学意思を放棄したものとみなされ入学資格を失うと要項に明記されているため、締切日には十分な注意が必要だ。
受験票の管理と当日の心構え
出願手続きが完了すると、所定の日からWebエントリーページで受験票のPDFをダウンロードできるようになる。受験票は入学手続き時まで必要になるためPDFで保管しつつ、口述試問の当日はA4サイズの紙に印刷したものを持参する必要がある。集合時刻に遅れた場合は原則として欠席扱いとなり受験自体ができなくなるため、矢上キャンパスの立地や当日の交通状況を踏まえ、余裕を持った行動計画を立てておきたい。携帯電話やノートパソコン、タブレット、スマートウォッチなどの電子機器・通信機器は、集合時刻以降は電源をオフにしてかばん等にしまうことが求められている。
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8月入学試験の試験科目|記述試問(分野別)・口述試問・語学スコア
8月入学試験だけを受験することもできる
8月入学試験は、6月入学試験を経由せずに、はじめから8月入学試験だけを受験することもできる制度になっている。6月入学試験の準備期間が十分に取れない場合や、専門分野の学習をより長い期間かけて積み上げてから受験したい場合は、8月入学試験からの出願を選んでも不利益はない。6月入学試験を経由するかどうかは志願者の選択に委ねられているため、自分の準備状況にあわせて出願のタイミングを判断すればよい。
記述試問は教育研究分野ごとに内容が異なる
8月入学試験の記述試問は、出願時に選択した希望指導教員が所属する教育研究分野の試験を受ける仕組みになっている。4専攻の中に合計11の教育研究分野があり、分野ごとに出題科目・出題範囲がまったく異なる。出願時に選んだ教育研究分野以外の科目で受験することはできないため、志望分野の確定は出願準備の最初の関門になる。教員によっては複数の教育研究分野に所属しているケースもあり、その場合でも実際に受験できる分野は1つだけに限られる点を踏まえて選ぶ必要がある。専攻と教育研究分野の対応関係を整理すると次のようになる。
| 専攻 | 教育研究分野 |
|---|---|
| 先端数物科学専攻 | A数理科学、B物理学、C物理情報工学 |
| 化学・生命情報科学専攻 | D分子・生物化学、E創発理化学、F生命システム情報 |
| 総合デザイン工学専攻 | G機械工学、H電気情報工学、Iシステムデザイン工学 |
| 人間・社会システム情報科学専攻 | Jオープンサイエンス、K管理工学 |
志望する専攻を決める段階では、専攻名だけでなくその専攻に含まれる教育研究分野の出題範囲まで具体的に確認することが欠かせない。同じ専攻の中でも分野によって出題科目がまったく異なるため、専攻選びと分野選び、さらには指導教員選びを一体で進める必要がある。
| 教育研究分野 | 出題範囲の概要 |
|---|---|
| A 数理科学 | 微分積分、線形代数、集合と位相の基礎、代数学の基礎 |
| B 物理学 | 力学・解析力学・電磁気学、熱力学・統計力学、量子力学 |
| C 物理情報工学 | 電気・電子回路、電磁気学・量子力学、物理情報数学 |
| D 分子・生物化学 | 物理化学・無機化学・有機化学の基礎、卒業研究関連の小論文 |
| E 創発理化学 | 物理化学・無機化学・有機化学の基礎、卒業研究関連の論理的説明力を問う問題 |
| F 生命システム情報 | 分子細胞生物学、生物有機化学・生化学、生物物理化学、バイオインフォマティクス |
| G 機械工学 | 機械力学・材料力学、または熱力学・流体力学(選択)、卒業研究関連論述 |
| H 電気情報工学 | 電気回路、情報工学、物性工学(量子力学の基礎含む)、数学 |
| I システムデザイン工学 | 材料力学・構造力学、熱・環境工学、電気回路、電磁気工学、建築計画から選択、卒業研究関連論述 |
| J オープンサイエンス | 専門分野・領域の経験と入学後の学修研究の展望に関する記述(英語出題の場合あり) |
| K 管理工学 | 数学(線形代数・微積分・確率・凸解析等)必須2問+統計・OR・経営・経済・情報等7分野から選択 |
教員によっては複数の教育研究分野に所属している場合があるが、受験できるのは1分野のみである。試験問題は原則として日本語で出題される(J オープンサイエンスはこれまでの専門分野・領域における経験および入学後の学修・研究の展望に関する記述問題が中心で、英語で出題される場合がある)。記述試問当日は、筆記用具を除き筆箱・電卓・辞書を含めすべて持ち込み不可という厳格なルールが定められている。時計を持参する場合も、通信機能を持たず時刻表示機能のみを備えたものに限られ、携帯電話やスマートウォッチを時計代わりに使うことは認められていない。試験時間中の途中退出も原則として認められておらず、記述試問を未受験の場合は口述試問を受けることもできない。試験当日のルールは通常の資格試験よりも厳格な部分が多いため、受験票が発行されたタイミングで注意事項全体に必ず目を通しておきたい。
口述試問の内容
口述試問は、①記述試問の範囲に関する試問、②志望する専門分野に関する試問、③適性・意欲に関する試問、の3つの観点で構成される。板書での回答を求められる場合があるほか、記述試問を受験していない者は口述試問を受けることができない点にも注意したい。8月26日の記述試問と8月28日の口述試問はいずれも矢上キャンパスで実施される。
英語スコアの提出要件
8月入学試験の出願者は、TOEFL iBT・TOEIC Listening and Reading Test・TOEIC Speaking and Writing Testのいずれかのスコアシート(オリジナル)を提出する必要がある。出願時より2年以内(2026年実施分は2024年7月21日以降)に受験したものが有効とされ、出願書類にスコアシートの同封がない場合は書類不備として扱われる。TOEFLはETSアカウントからダウンロードできるTest Taker Score Reportの提出、またはOfficial Score Reportの大学直送手配のいずれかで対応する。慶應義塾内で実施された特定のTOEIC L&Rの団体特別受験(IP)スコアシートを公式認定スコアシートの代わりに使える制度もある。語学対策の考え方は大学院入試のTOEICスコアは何点必要かも参考になる。
語学スコア提出の実務的な注意点
提出するスコアシートはオリジナル1枚のみで、コピーの提出は認められない。スコアシートの再発行が必要な場合は、実施機関に問い合わせたうえで出願期間までに取得しておく必要がある。一度提出したスコアシートは差し替えができず、返却やコピー、点数照会にも一切応じてもらえないため、提出前に有効期限(受験日が2年以内であること)を必ず確認しておきたい。TOEFL iBTの場合はOfficial Score Reportを大学へ直送する手配と、対応するTest Taker Score Reportの同封という2つの手続きが必要になる点も見落としやすいポイントだ。
出願スケジュールと出願書類
年間の出願機会の整理
2027年度入学(2026年実施分)の6月入学試験・8月入学試験のスケジュールは次の通りである。
| 入試区分 | 出願期間 | 試験日 | 合格発表 |
|---|---|---|---|
| 6月入学試験 | 4月24日〜5月7日 | 6月14日(口述試問) | 6月19日 |
| 8月入学試験 | 7月21日〜7月30日 | 8月26日(記述)・8月28日(口述) | 9月3日 |
9月入学を選ぶ場合の入学手続は、6月入学試験合格者が8月18日〜19日、8月入学試験合格者が9月3日〜6日に設定されている。4月入学を選ぶ場合は、いずれの試験の合格者も2027年3月1日〜5日に手続期間が統一される。6月入学試験の出願資格認定申請はわずか1週間(4月9日〜15日)と短いため、同等学力での出願を検討している人は年度が明けたらすぐに準備を始めたい。
Webエントリーの仕組み
出願はWebエントリーシステム(web-entry.st.keio.ac.jp)への登録から始まる。エントリー後にA入学志願票・B履歴書・C入学志願者調書などを「郵送用に印刷する」機能でA4用紙に印刷し、他の証明書類とあわせて郵送することで出願が完了する仕組みだ。Webエントリーに登録した受付番号・メールアドレス・パスワード・受験番号は、入学手続きまで大切に保管しておく必要がある。出願後に住所・電話番号・メールアドレス等の登録情報を変更した場合は、速やかにAOへ連絡することが求められており、連絡を怠って大学からの連絡が届かなかった場合でも、大学側は責任を負わないとされている。
出願書類一覧
6月・8月入学試験に共通する主な提出書類は次のとおりである。
| 書類 | 概要 |
|---|---|
| A入学志願票 | Webエントリー後に印刷。検定料の支払い証明を貼付 |
| B履歴書 | カラー印刷。顔写真データの添付が必要 |
| C入学志願者調書 | 希望指導教員・志望分野・研究計画等を記入 |
| 成績証明書 | 出身大学発行の原本(コピー不可) |
| 単位修得証明書 | 本学理工学部在籍者以外は提出必要 |
| 大学卒業(見込)証明書 | 出身大学発行の原本 |
| 英語スコアシート | 8月入学試験のみ必須(TOEFL/TOEICのオリジナル) |
| 提出書類チェックリスト | Webからダウンロードし記入 |
中国大陸の大学を卒業・修了した場合は、卒業証明書に加えて中国教育部発行の「教育部学歴証書電子注冊備案表」(英文)の追加提出が必要になるなど、出身国・地域による細かい追加要件もある。一度提出した書類は原則として返還・変更ができないため、封入前にチェックリストと照合する作業を怠らないようにしたい。ただし、再発行が不可能な書類に限っては、出願時に返還希望理由を明記したメモと返信用封筒(簡易書留分の切手貼付)を同封することで返却してもらえる制度があるが、成績証明書や公証書、推薦状等の再発行可能な書類は対象外とされている。出願期間終了後に返還を申し出ても一切受け付けられないため、返却を希望する書類がある場合は出願時点で忘れずに手続きしておく必要がある。
8月入学試験特有の提出書類
8月入学試験では、6月入学試験の提出書類に加えてP写真カードの提出が必要になる。履歴書でアップロードした顔写真データがそのまま使用される仕組みで、カラー印刷したうえで切り取らずA4サイズのまま提出する。また、6月入学試験の結果を受けて再出願する場合と、8月入学試験から新たに出願する場合とで、Webエントリーの入口(再出願か新規出願か)が異なる点にも注意が必要だ。再出願の場合は入学検定料の支払いに関する項目そのものが不要になるため、A入学志願票の記入内容も新規出願時とは一部異なる。
郵送方法と入学検定料
出願書類の郵送先は「〒223-8522 神奈川県横浜市港北区日吉3-14-1 慶應義塾大学大学院理工学研究科AO宛」(矢上キャンパス)である。角形2号封筒に所定の宛名用紙を貼付し、簡易書留・速達(文字は朱色指定)で、郵便局の窓口から郵送する必要がある。ポストやコンビニエンスストアからの投函はできない点に注意したい。入学検定料は35,000円で、6月入学試験の結果を受けて同じ専攻のまま8月入学試験に再出願する場合は不要だが、志望専攻を変更して新規出願扱いになる場合は改めて必要になる。
入学検定料の支払い方法は、金融機関窓口(ゆうちょ銀行・ATMは不可)またはコンビニエンスストア(ローソン・ミニストップ・ファミリーマート・セブンイレブン)のいずれかを選べる。コンビニエンスストアで支払う場合は、事前にスマートフォンやパソコンから登録して支払い用の番号を取得したうえで、店頭のレジで支払う必要がある。一度支払った入学検定料は、出願しなかった場合や二重納入の場合を除いて返還されないため、支払いの前に出願する意思を固めておくことが望ましい。返還が認められるのは、検定料を支払ったが出願書類を郵送しなかった場合と、誤って二重に支払ってしまった場合の2つに限られ、該当する場合は出願期日から1ヶ月以内にAOへ連絡する必要がある。国外から出願する場合は、配達状況を確認できる国際宅配便(EMS・FedEx・DHL等)で出願期間内必着で発送する必要があり、国内郵送とは条件が異なる点にも注意したい。
試験当日に持参できるもの
すべての入学試験に共通する受験上の注意として、試験時間中に机の上へ置けるものは受験票・鉛筆・シャープペンシル・ペン・消しゴム・鉛筆削り(電動式大型やナイフ類を除く)・時計(通信機能や計算機能のないもの)・眼鏡・マスクに限られている。携帯電話やスマートフォン、タブレット、スマートウォッチなどの通信機器は身につけることさえ禁止されており、電源を切ってかばん等にしまう必要がある。試験時間中は原則として途中退室ができず、体調不良等やむを得ない場合は挙手して試験監督者の指示を仰ぐ形になる。事件・事故に巻き込まれて集合時刻に間に合わなくなった場合は、理工学研究科AOへの連絡が案内されている。
入学手続に必要な書類
合格後の入学手続では、慶應義塾大学を除く他大学を卒業見込みで受験した者は卒業(修了)証明書・成績証明書の提出が必要になる。飛び級制度を利用した場合は退学証明書・成績証明書、外国籍の場合はパスポート・在留カードのコピーがそれぞれ必要になるなど、合格後の手続きにも属性に応じた書類が求められる。入学手続を指定期間内に完了しなかった場合は入学意思を放棄したものとみなされ、入学資格を失うため、合格発表後のスケジュールも事前に把握しておきたい。
倍率・難易度をどう読むか
2025年度(新4専攻体系)の入試結果
2025年度は新しい4専攻体系での入試結果が公表されている。
| 専攻 | 志願者 | 合格者 |
|---|---|---|
| 先端数物科学 | 167名 | 143名 |
| 化学・生命情報科学 | 174名 | 162名 |
| 総合デザイン工学 | 283名 | 264名 |
| 人間・社会システム情報科学 | 205名 | 187名 |
| 合計 | 829名 | 756名 |
2021〜2024年度(旧3専攻体系)の入試結果
2026年度の改組前は基礎理工学専攻・総合デザイン工学専攻・開放環境科学専攻の3専攻体制だった。専攻の統合・再編があったため、新旧の専攻を単純に対応させて倍率を比較することはできない点に注意してほしい。
| 年度 | 基礎理工学 | 総合デザイン工学 | 開放環境科学 | 合計(志願/合格) |
|---|---|---|---|---|
| 2021年度 | 257/231 | 230/207 | 285/253 | 772/691 |
| 2022年度 | 254/221 | 263/246 | 305/265 | 822/732 |
| 2023年度 | 284/244 | 287/263 | 342/289 | 913/796 |
| 2024年度 | 270/229 | 244/223 | 339/286 | 853/738 |
いずれの年度も合格率(合格者÷志願者)はおおむね8割前後で推移しており、他の文系研究科と比べると数字上の倍率は低めに見える。ただし理工学研究科の入試は記述試問・口述試問を通じて基礎学力と専門性を厳密に審査する方式であり、出願段階で一定の基礎学力を備えた志願者が集まりやすい母集団構成になっていることも踏まえておきたい。過去の倍率データについては大学院入試の難易度ランキングもあわせて参考にしてほしい。
専攻別の倍率差をどう捉えるか
2025年度のデータを専攻別に見ると、先端数物科学専攻は志願者167名に対し合格者143名(合格率約86%)、化学・生命情報科学専攻は志願者174名に対し合格者162名(約93%)、総合デザイン工学専攻は志願者283名に対し合格者264名(約93%)、人間・社会システム情報科学専攻は志願者205名に対し合格者187名(約91%)となっている。専攻間で合格率に大きな差があるわけではないが、志願者数そのものは総合デザイン工学専攻が突出して多く、募集人員(220名)も4専攻中最大である。逆に先端数物科学専攻は募集人員100名と4専攻中最も小さく、志願者数も167名と相対的に少ない水準にとどまっている。志願者数・合格者数そのものの多さだけでなく、募集人員とのバランスも含めて各専攻の状況を捉えることが、実態に近い難易度把握につながる。
学費
2026年度の入学に必要な諸費用は、4月入学の場合、在籍基本料70,000円・授業料1,160,000円・学生健康保険互助組合費2,600円の合計1,232,600円である。9月入学の場合はこの半期分にあたる616,350円が必要になる。学費は春学期・秋学期に分けて分納することもできる。所定の期日までに入学辞退の手続きを完了した場合は、納入済みの費用が全額返還される制度もある。理工学研究科を紹介するハンドブック『Emerging』には奨学金・研究助成に関するページも用意されており、経済的な負担を軽減する制度が複数整備されている点も出願検討時に確認しておきたい。日本学生支援機構の「特に優れた業績による奨学金返還免除」修士課程内定制度は4月入学者を対象としており、対象となるかどうかは公式サイトの案内で確認できる。
指導教員の選び方と面接(口述試問)対策・併願戦略
指導教員の選び方と事前相談の重要性
理工学研究科の出願では、教員リストに掲載された教員の中から希望指導教員を選び、入学志願者調書に記入する。教員によっては複数の教育研究分野に所属していることがあるが、受験できる分野は1つだけだ。要項では受験する教育研究分野・入学後の研究計画・必要な基礎学力について、事前に希望指導教員へ相談することが強く推奨されており、「事前に相談をしていない場合は、選考において不利になる場合がある」と明記されている。志望する教員のメールアドレスは教員プロフィールページから調べられるため、出願を検討し始めた段階で早めに連絡を取ることが対策の第一歩になる。他大学の大学院入試で一般的な研究室訪問・事前相談メールのマナーは研究室訪問のメール例文集でも解説しているので、初めて指導教員に連絡を取る際の参考にしてほしい。
教育研究分野選びで注意したいこと
希望指導教員が複数の教育研究分野に所属している場合、志願者はそのうち1分野だけを選んで受験することになる。自分の研究テーマがどの教育研究分野に最も近いのかを、出願前に教員リストや各分野の出題範囲(記述試問の内容)と照らし合わせて確認しておくことが重要だ。分野を誤って選んでしまうと、記述試問の出題内容と自分が積み上げてきた専門知識とのミスマッチが生じ、実力を発揮しにくくなる可能性がある。教員リストには各教員が所属する教育研究分野が明記されているため、志望テーマに近い研究をしている教員を複数リストアップし、それぞれの分野の出題範囲を比較したうえで最終的な志望分野を絞り込む進め方が現実的だ。
他大学出身者が意識したい準備の進め方
他大学の理工系学部出身者にとって、慶應義塾大学理工学部の授業で扱われる内容と、志望する教育研究分野の出題範囲がどこまで重なっているかを把握することは容易ではない。記述試問の出題範囲は要項に明記されているため、まずはこの範囲に沿って学部レベルの標準的な教科書を通読し、過去に受けた授業内容とのギャップを洗い出すことから始めるとよい。卒業研究の内容に関連する論述問題が課される分野も多いため、自分の卒業研究テーマを、志望する教育研究分野の言葉で説明し直す練習をしておくと、記述試問・口述試問の両方で役立つ。過去問が公式に公開されているわけではないため、出題範囲の記述をもとに、自分の大学で使っていた教科書や演習書の該当範囲を洗い出し、記述式の解答を書く練習を積み重ねることが現実的な対策になる。
口述試問対策の考え方
口述試問では、記述試問の内容に関する質問、志望する専門分野に関する質問、適性・意欲に関する質問という3つの観点から行われる。6月入学試験・8月入学試験のいずれも、志望分野の基礎知識を自分の言葉で説明できるようにしておくこと、そして事前に相談した指導教員の研究内容と自分の関心がどう結びつくのかを一貫して語れるようにしておくことが基本になる。板書での回答を求められる場合もあるため、口頭だけでなく図や式を使って説明する練習もしておくと安心だ。合否判定は入学志願者調書や試験結果等を大学院理工学研究科委員会が総合的に評価して決定するとされており、記述試問(8月入学試験の場合)の点数だけでなく、学問的適性・研究遂行能力・志望動機の妥当性が多面的に判断される。口述試問は単なる知識確認の場ではなく、研究への意欲や姿勢を見られる場だと捉え、準備を進めるとよい。
併願戦略
理工学研究科と併せて検討されることが多いのが、同じ慶應義塾大学の他の理系研究科や、他大学の工学系・理学系大学院である。慶應義塾大学大学院全体の実施研究科の概要は慶應義塾大学大学院入試を徹底解説で整理しているので、併願候補を広げたい場合の参考にしてほしい。6月入学試験で「8月入学試験へ回す」と判定された場合でも再出願で挑戦を続けられる制度になっているため、他大学との併願日程を組む際は、6月・8月それぞれの合格発表日を軸にスケジュールを立てるとよい。理工学研究科と他大学の工学系・理学系大学院とでは、募集単位の呼び方(専攻・専修・コース等)や出願書類の様式も異なるため、志望校ごとに要項を取り寄せて出願資格・試験科目・スケジュールを一覧化しておくと、限られた準備期間を効率よく配分できる。
不合格だった場合の次の一手
6月入学試験で「8月入学試験へ回す」と判定された場合は、まずは再出願の手続きを忘れずに行うことが最優先になる。志望専攻を変更しない限り検定料は不要だが、手続き自体は自動で行われるわけではないため、案内を見落とさないようにしたい。一方、8月入学試験でも不合格だった場合、その年度内に理工学研究科修士課程へ再挑戦する道は基本的に閉ざされる。記述試問の出来に不安が残った場合は、次年度に向けて基礎学力を立て直すか、他大学の理工系大学院を含めて出願先の選択肢を広げるか、早い段階で方針を決めておくことが望ましい。
よくある質問(FAQ)
慶應義塾大学大学院理工学研究科の「6月入学試験」「8月入学試験」とは何ですか
季節限定の特別入試ではなく、理工学研究科修士課程の正式な入試区分の名称である。6月入学試験は書類審査と口述試問のみで選考する早期型の入試、8月入学試験は記述試問(分野別の専門試験)と口述試問を課す入試で、実施時期にちなんでこう呼ばれている。「秋期」「春期」のような季節ブランドとは異なり、あくまで試験が実施される月を示す名称である点を理解しておくと混乱しにくい。
6月入学試験と8月入学試験はどちらを受けるべきですか
早期に進路を確定させたい志願者は6月入学試験から挑む意味が大きい。記述試問を通じて専門知識をしっかり示したい志願者や、6月入学試験の準備が間に合わない志願者は8月入学試験から出願する、あるいは6月に出願しつつ結果次第で8月へ回るという進め方も可能だ。8月入学試験だけを最初から受験することもできるため、自分の準備状況にあわせて柔軟に選べる制度になっている。
6月入学試験に落ちたら8月入学試験は受けられますか
受けられる。6月入学試験で「8月入学試験を改めて受験する必要がある」と判定された場合は、再出願の手続きを行えば、同じ専攻であれば新たに入学検定料を納めることなく8月入学試験を受験できる。志望専攻を変更する場合は新規出願扱いとなり、検定料が改めて必要になる。
理工学研究科の入試に研究計画書は必要ですか
「研究計画書」という独立した名称の提出書類はない。出願時に提出する入学志願者調書の中で、希望指導教員・志望分野・研究への取り組み方を記載する形になっている。
8月入学試験にTOEICやTOEFLは必須ですか
必須である。TOEFL iBT・TOEIC(Listening and Reading Test)・TOEIC(Speaking and Writing Test)のいずれかのスコアシート(オリジナル)を出願時より2年以内に受験したもので提出する必要があり、同封がない場合は書類不備扱いになる。6月入学試験では要項上の必須提出書類には含まれていない。
他大学出身でも理工学研究科を受験できますか
受験できる。6月入学試験・8月入学試験は、外国の大学を含む他大学の在学生・卒業生にも広く開かれている。出願資格を満たしていれば、慶應義塾大学理工学部出身者でなくても出願可能だ。ただし記述試問は志望する教育研究分野に応じた専門的な内容になるため、他大学出身者は志望分野の基礎学力を早い段階から積み上げておく必要がある。また、飛び級入学試験のように学部3年生に限定された制度もあるため、自分がどの時点でどの入試区分に出願できるのかを、学年や卒業見込み時期にあわせて確認しておくことも大切だ。
2026年度の専攻改組で何が変わりましたか
従来の基礎理工学専攻・総合デザイン工学専攻・開放環境科学専攻の3専攻体制から、先端数物科学専攻・化学生命情報科学専攻・総合デザイン工学専攻・人間社会システム情報科学専攻の4専攻体制に再編された。募集人員や教育研究分野の区分もこの改組にあわせて更新されている。
理工学研究科の倍率はどれくらいですか
2025年度(新4専攻体系)は合計志願者829名に対し合格者756名で、専攻ごとの合格率はおおむね8割前後である。2021〜2024年度(旧3専攻体系)も同程度の水準で推移していた。専攻の統合・再編があったため新旧の専攻を単純に対応させて比較することはできない点に留意してほしい。数字だけを見ると合格率が高く感じられるが、記述試問・口述試問による厳密な学力審査を経た結果であることも踏まえて捉える必要がある。
まとめ|慶應義塾大学大学院理工学研究科の入試対策
慶應義塾大学大学院理工学研究科の修士課程入試は、6月入学試験と8月入学試験という2つの正式な入試区分から成り立っており、選考方法・出願時期・課される試験の重さが大きく異なる。2026年度からの4専攻改組もあわせて理解しておくことが、出願準備の出発点になる。他大学出身者にとっては、志望する教育研究分野の出題範囲を早期に把握し、指導教員への事前相談を計画的に進めることが合否を左右する実務的なポイントになるだろう。要点を整理すると次のとおりだ。
- 2026年度より先端数物科学・化学生命情報科学・総合デザイン工学・人間社会システム情報科学の4専攻体制に改組(旧3専攻から再編)
- 6月入学試験は書類審査+口述試問のみ(記述試問なし)。早期に進路を決めたい志願者向け
- 8月入学試験は記述試問(11の教育研究分野別)+口述試問。TOEFL/TOEICのスコア提出が必須
- 6月入学試験で不合格でも、同じ専攻なら検定料不要で8月入学試験に再出願できる
- 研究計画書という独立書類はなく、入学志願者調書に志望内容を記載する
- 出願前の指導教員への事前相談は選考上重要と要項に明記されている
- 2021〜2025年度の合格率はおおむね8割前後で推移しているが、専攻再編により新旧比較はできない
出願資格や試験科目、専攻構成は年度ごとに変更される可能性があるため、実際の出願にあたっては必ず最新の募集要項でご確認いただきたい。また、慶應義塾大学院理工学研究科の入試対策を独学だけで進めることに不安がある場合は、専門の指導を活用するのも一つの方法である。分野別の記述試問対策や指導教員への事前相談の進め方、口述試問の想定質問への準備まで、外部生ならではのつまずきやすいポイントを踏まえた個別サポートを受けられる体制を検討してみてほしい。6月入学試験・8月入学試験のどちらを軸にするにせよ、出願資格の確認から指導教員への事前相談、記述試問対策までにはまとまった準備期間が必要になる。出願期間から逆算して、半年から1年程度を見込んだ計画を立てておくことをおすすめする。
本記事で紹介した出願資格・試験科目・出願スケジュール・倍率データは、2027年度(2026年実施分)の入学試験要項にもとづく情報である。理工学研究科の入試制度は年度によって細部が変更されることもあるため、実際に出願する年度の要項を必ず理工学研究科の公式ページで確認したうえで、募集人員・出願資格・提出書類に過不足がないかをチェックリストと照らし合わせてから出願を進めてほしい。
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