【大学編入】これでわかる!理工学系大学編入
大学院進学2023.04.23
目次
はじめに
理工学系の編入試験について、なんとなくイメージがわかない、あまりわからない…という方に向けて、筆者の体験も交えながらあまり詳しくなりすぎない程度にざっくりとした概要をまとめました。この記事が編入試験を受ける方の一助となれば嬉しく思います。
筆者のプロフィール
公立の中学から、進学に力を入れている高専の機械科に入学、電気学科への転学科を行い、その後、編入試験を経て地方国立大の数学科に進学しました。
その後、大学院に進み博士号を取得後、研究員をしながらスプリング・オンラインで講師を務めています。
博士課程在籍時には後輩の院試の指導等もおこない、旧帝大の合格者も複数出すことができました。
編入試験を数学の専門家の視点からも解説したいと思っています。
理工学系編入試験の基本情報
各教科の対策
編入試験の試験科目は各大学の学部学科によって異なりますが、基本情報でも述べたように「専門科目+数学+物理+英語+面接」といった形式が多いです。
勉強を始める前に
①志望校を大雑把に決めて、情報を集め、試験科目と勉強の範囲をイメージすることが大事です。
また、効率よく勉強するために
②似た試験科目・範囲の多い組み合わせで受験するのもおすすめです。
各大学の学部学科・年度にもよりますが、専門科目はおおむね5割~6割程度が合格ラインであることが多いと思われます。そのことを踏まえると、全体の方針としては基本的な問題を落とさないように良い問題集を繰り返し解いていくのが大事です。以下では各科目に対して、詳細を述べていきます。
英語
英語は前述したようにTOEICやTOEFLのスコア提出の場合も多いです。
編入試験は同じレベルの大学を複数回受けられるので、一発勝負に弱い人にもおすすめとすでに述べましたが、これも同様の理由でそのような人には嬉しいポイントです。TOEICやTOEFLは満点を取るためのテストではない性質上、努力で点数を伸ばしやすく、勉強をしていない人との差をつけやすいです。また、TOEICのIPテストのスコア提出を認めている場合もあるので、その場合は実施回数も多くスコアを稼ぎやすいです。
以下では、TOEICのスコア提出に絞って述べようと思います。筆記試験でも大体同程度の実力を求められていると思って差し支えないと思います(ライティングが入ってくる可能性はあるのでその場合は個別に対策が必要ですが)。
ここまで、英語試験の概要について述べてきましたが、ここからは実際の対策について述べたいと思います。
といってもTOEICのスコアアップについては各所で語りつくされていますし、よく知られた順当な方法だと思います。
編入試験特有の心がけとしては、何回も受けるチャンスがあるからといって、TOEICを後回しにせずに早めに倒して、満点を確保し精神安定剤とするのが大事です。
人間次があると思うと手も抜きがちですので、比較的精神の余裕がある一年前くらいに、
「今回で確実に終わらすぞ!」
と短期間(1~2か月)にTOEICだけに集中してやるのがおすすめです。
1. 公式問題集を1冊しっかりと解く
学生さんでたくさんの範囲(複数の問題集)に目を通すことに始終している方が良くいます。しかしながら、TOEICは学校の試験と違い、大量の問題を解かなくてはなりませんし、一つ二つ見たことがある問題があっても大きな差にはなりません。また、やってみればわかりますが、一つの公式問題集をやるだけで、頻出の型は網羅できます。
ですので、問題集を一つに絞り、解説をしっかり理解し、確実に定着させることが大事になってきます。
しかしながら、解説を理解するには最低限の単語・イディオム・フレーズと文法を抑えておく必要があります(次で述べます)。
『公式TOEIC Listening & Reading 問題集 8』
2. 基礎的な文法と単語を身に着ける
文法だけを勉強しようと思うと、大抵はあまりの退屈さに挫折しがちなので、問題演習や単語等の暗記にかこつけてちょっとずつ確認していくのがおすすめです。
たとえば、公式問題集の解説を読んでもわからなかったときに、ある程度定評のある文法書を使って、納得できるまで考えるのが大事です。時間はかかりますが、自分でちゃんと考えた記憶は定着します。
また、TOEICの単語帳としては『TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ』がおすすめです。筆者はこれと併せて『DUO 3.0』で勉強しました。
単語帳は自分に合う/合わないもありますので、ある程度有名なものから自分に合ったものを選べばよいと思います。例文暗記のついでに該当の文法事項もさらっていきました。
定評のある文法書は『Forest』や『Evergreen』の流れをくむ『SKY WORD』が人気があります。
筆者は当時『Forest』を使っていました。
また、TOEICに対する直接の対策としては迂遠かもしれませんが、英語力をつけるという意味では、『表現のための実践ロイヤル英文法』はかなりおすすめの文法書です。特に、付属の『英作文のための暗記用例文』は文法事項との対応もわかりやすく、英語特有の頭の使い方をしないといけない例文も多く、ハッとすることが多く大学院在学時に非常に重宝しました。
3. リスニング対策の手を抜かない
公式問題集を繰り返しやるにしろ、単語の暗記をするにしろ、リスニングを甘く見ないで、発音等も意識して勉強するのが大事です。
また、暗記するという意味でも音声を繰り返し聞きながら発音するのも有効です。とくに、音声を聴きながら追いかけるように自分も読み上げていくシャドーイングという勉強法はただ聞き流すよりも学習効果が高かったです。
数学
編入試験の数学は微分積分と線形代数が主となります。工学部ではこれに加えて、応用数学(複素解析, 確率統計, フーリエ変換, ラプラス変換等)を含むことが多いです。理学部ではより理論的な理解を要求されます。
ですので、理学部では深く、工学部では広く勉強することが求められます。
理学部/工学部のいずれにしろ、基礎的な問題を取りこぼさないための良い問題集を用いて、繰り返し問題演習を行うことが大事です。当たり前ですが、問題演習をするときに、解説をしっかり理解していきましょう。
採点者は大学の数学教員であり、数学の専門家は、誤魔化しや曖昧な言い回しを嫌いますし、そのような微妙な言い回しから何を理解していないのかを特定するのが得意です。ですので、自分が何をしているのかをしっかりわかるように採点者に読みやすい解答を作ることを心がけましょう。
例として、実際に自分が指導した際に作成した模範解答を挙げておきます(走り書きで字が汚いですが…)。
学生さんの指導をしていると数式が書き散らされていることもあり、説明が一言もないことも少なくありません。試験で時間制限があり忙しいのはわかりますが、こういった解答は非常に印象が悪いので、避けましょう。また、読みやすい答案を作成するためには、自分の中で曖昧なことを無くす必要もあるため、理解を確かめるのにも有効です。
また、試験特有のテクニックとして、各分野の基本的な問題に対して「この問題が出たらこう解く」という解法集を自分で作ってみることをおすすめします。こういった早く解くための準備をしておくと、本番で見直しをする時間が生まれ、ミスを減らしやすくなり、精度を上げるのに役立ちます。
また、筆者がやって有効だった方法として、普段から「自分がやりやすいミス」を意識しておき、それをチェックリスト的に書きだすという方法があります。筆者は、「計算をするときに暗算した結果と目に入った数式が混ざってしまい、符号を二回かけてしまう」というミスをよくやるので計算を点検するときには特に気を付けてます。
おすすめの問題集
→範囲も広く、問題数も豊富で編入試験に特化している
→院試向けだが、良問が多く一段上から見渡せるので力のある学生にはおすすめ
物理
編入試験の物理は力学や波動が主で、高校物理全般としていることもあります。
加えて、学科によっては電磁気学や熱力学を課されることもよくあります。理学部、工学部における傾向は基本的に数学と同じです。電磁気学や熱力学は初修だと勉強にかなりの時間がかかるので注意が必要です。
対策は基本的に数学と同じです。ですので、以下にはおすすめの問題集と参考書を挙げておきます。
おすすめの問題集/参考書
→高校向けの参考書ではあるが, 物理の基本的な考え方を復習するのに最適
→理論の説明後の問題の解説が丁寧。理論の述べ方は少しふわっとしている
→解説が丁寧で網羅性が高い。この一冊がきちんと解ければ編入試験には十分
数学科の数学/物理学科の物理
基本的な方針は前述の数学物理と同じなのですが、より理論的なことを求められます。
数学ならば、該当範囲の基本的な定理の証明や実例/反例を抑えておく必要があります。
物理でも同様に、該当範囲の基本的な原理や公式の導出/説明を行える必要があります。これらの能力は数学科や物理学科に行くと常に求められるものなので、その練習としてもしっかりと身に着けておくをお勧めします。
数学では、イプシロンデルタ論法や集合位相の基本的なことを求められることがあるので場合によっては特別に勉強が必要です。
おすすめの問題集/参考書
数学
- 志賀 浩二,『数学への30講』シリ-ズ, 森北出版
- 小林 昭七, 『微分積分読本 1変数』, 『続 微分積分読本 多変数』, 裳華房
- 笠原 皓司, 『線形代数学』, サイエンス社
- 田島 一郎, 『イプシロン-デルタ』(数学ワンポイント双書), 共立出版
物理
- 『物理入門コース』シリ-ズ, 岩波書店
- 『詳解 力学演習』,『詳解 電磁気学演習』, 共立出版
そのほかの専門科目
各学科ごとに求められものも違い、筆者の専門外なので解説ができません…自分の所属の専門家に聞くのが早いと思います。
スプリング・オンライン家庭教師の活用の仕方
スプリング・オンライン家庭教師では、以下のサービスを提供しています。
1. 各専門科目/数学/物理/英語の指導
2. 志望理由書添削サービス
3. 過去問解答販売
編入試験は複数回の受験ができ、受験校のレベルを下げることも容易にできるため、だらだらしているうちに準備が間に合わなくなり
「まあレベルを下げればいいか…」
ということになりがちです。つまり、編入試験の大きな問題はモチベーションの維持です。
家庭教師を頼むことで、客観的かつ定期的に進捗を管理することができるのは大きなアドバンテージです。
また、過去問などにはほとんどの場合、模範解答はなく、やはり自分一人では解けない問題も出てくるので、そこで頼れる相手がいるというのは非常に便利だと思います。
受験は時間との勝負です。自分の負担やストレスをうまくアウトソーシングして、時間とやる気を捻出する一助となれば良いと思っています。
おわりに
いかがでしたか?
本記事が、理工学系大学編入についての皆さんの理解に少しでも役立ってくれれば幸いです。
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