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名古屋大学工学部の編入試験を徹底解説|出願資格・試験科目・過去問対策・志望理由書・面接まで

名古屋大学工学部の編入学試験は、日本国内の高等専門学校(高専)を卒業した者、または卒業見込みの者だけを対象に、3年次への編入学生を選抜する試験です。化学生命工学科、物理工学科、マテリアル工学科、電気電子情報工学科、機械・航空宇宙工学科、エネルギー理工学科、環境土木・建築学科の7学科がそれぞれ若干名を募集しており、英語は筆記試験を行わずTOEFL・TOEICのスコアで評価し、数学・物理・化学は筆記試験、そして志望学科ごとの面接(専門試験)によって選抜されます。本記事では、令和9年度(2027年4月入学)の公式募集要項と、工学部が公開している令和7年度・令和8年度の過去問「出題意図」、直近の志願者・受験者・合格者数をもとに、名古屋大学工学部の編入試験に固有の情報として出願資格から試験科目、日程、倍率、面接内容の傾向まで整理します。
名古屋大学工学部の編入学試験は、7学科それぞれの募集人員が「若干名」という非常に小さな枠であるにもかかわらず、高専生の間での認知度が高く、出願を検討する受験生が少なくありません。令和8年度実績では7学科合計で25名が志願し、20名が受験して10名が合格しており、受験者8名に対して合格者3名と倍率が高い学科もあれば、環境土木・建築学科のように受験者がいても合格者が0名だった学科もあります。願書受付期間は令和8年6月29日(月)から7月3日(金)午後4時までのわずか5日間に設定されており、TOEFL・TOEICのスコアシートは受験からスコア到着まで数週間から8週間を要するため、出願直前になって英語スコアの準備を始めると間に合わなくなるおそれがあります。
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本記事を読むことで、化学生命工学科から環境土木・建築学科まで7学科に共通する募集人員・出願資格の枠組み、英語をTOEFL・TOEICのスコアで評価する仕組みとスコア提出の注意点、数学・物理・化学の筆記試験に見られる出題傾向、そして学科ごとに公表内容が異なる面接の傾向まで、名古屋大学工学部の編入試験に固有の情報を順番に把握できます。過去問の出題意図(令和7・8年度分)を科目別に分析したパートと、学科別に公表されている面接の質問内容例も取り上げているため、対策の優先順位をつけやすくなります。併願を検討する際に比較しやすい他大学工学部の情報や、大学編入全体の準備の流れについても後半で取り上げます。
名古屋大学工学部の編入学試験の概要
名古屋大学工学部の編入学試験でまず押さえておきたいのは、出願できるのが高等専門学校の卒業者(または卒業見込み者)に限られるという点です。募集要項には「高等専門学校(日本国内に限る)を卒業した者又は令和9年3月卒業見込みの者」と明記されており、四年制大学の在学者や短期大学・専門学校の卒業者は出願資格の対象外です。この点は一般的な学士編入・大学編入とは出願資格の枠組みが異なります。編入学年次は3年次で、卒業までに2年以上在学し、所定の単位を修得したうえで卒業研究の審査に合格することが卒業要件です。
募集学科は7学科あり、化学生命工学科、物理工学科、マテリアル工学科、電気電子情報工学科、機械・航空宇宙工学科、エネルギー理工学科、環境土木・建築学科(環境土木工学プログラム・建築学プログラムの2プログラム制)で構成されます。志望できる学科は1つのみで、環境土木・建築学科を志望する場合はさらに2つのプログラムのうちどちらか一方を選ぶ必要があります。学科をまたいだ併願は名古屋大学工学部の編入試験では認められていません。
工学部のアドミッション・ポリシーでは、自然科学への強い興味と社会への幅広い関心、工学を学ぶための基礎学力を備え、現代社会の課題に挑戦してグローバルなリーダーとして社会に貢献し続ける意欲を持つ人材を求めるとされています。編入学試験においても、この方針にもとづいて基礎学力試験・専門試験(面接)・調査書を組み合わせた総合判定が行われます。
大学院への進学を見据える場合、名古屋大学大学院工学研究科には18の専攻(有機・高分子化学、応用物質化学、生命分子工学、応用物理学、物質科学、材料デザイン工学、物質プロセス工学、化学システム工学、電気工学、電子工学、情報・通信工学、機械システム工学、マイクロ・ナノ機械理工学、航空宇宙工学、エネルギー理工学、総合エネルギー工学、土木工学、国際連携サステイナブル材料工学(博士後期課程))が置かれ、修業年限は博士前期課程が2年、博士後期課程が3年を標準としています。また工学部と関連の深い研究科として情報学研究科、環境学研究科都市環境学専攻も挙げられており、学科によっては編入後の進路が工学研究科の枠にとどまらない場合もあります。編入後にどの分野へ進みたいかを、学科選びの段階からある程度意識しておくと、面接での受け答えにも一貫性が出ます。
既修得単位の認定にも学科ごとの違いがあります。全学教育科目は卒業に必要な単位数を修得したものとみなされますが、高専での履修状況によっては個別の履修指導が入ることがあります。工学部専門系科目の単位認定は30単位以内という上限が定められており、高専で履修したカリキュラムと編入後の学科(履修プログラム)のカリキュラムが大きく異なる場合は、十分な単位振替ができないこともあると案内されています。学費面では、入学料282,000円(予定額)、授業料は年額535,800円(予定額)です。
学科別の入学定員・学生数(令和7年4月1日現在)は次のとおりです。これは各学年・各学科の一般入試を含めた定員であり、編入学の募集人員(若干名)とは別枠である点に注意してください。7学科合計の入学定員は700名、在籍学生数は2,936名にのぼります。
| 学科 | 入学定員 | 1年生 | 2年生 | 3年生 | 4年生 | 計 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 化学生命工学科 | 99名 | 99名 | 103名 | 100名 | 116名 | 418名 |
| 物理工学科 | 83名 | 85名 | 95名 | 83名 | 106名 | 369名 |
| マテリアル工学科 | 110名 | 110名 | 120名 | 105名 | 136名 | 471名 |
| 電気電子情報工学科 | 128名 | 130名 | 123名 | 123名 | 140名 | 516名 |
| 機械・航空宇宙工学科 | 160名 | 163名 | 152名 | 156名 | 180名 | 651名 |
| エネルギー理工学科 | 40名 | 42名 | 47名 | 39名 | 44名 | 172名 |
| 環境土木・建築学科 | 80名 | 81名 | 88名 | 83名 | 87名 | 339名 |
| 合計 | 700名 | 710名 | 728名 | 689名 | 809名 | 2,936名 |
編入学生は3年次に入るため、上表の「3年生」の人数には編入学生も含まれています。編入学のみの人数は別掲されていないため、在籍者数と募集人員を単純に比較することはできません。あくまで学部全体の規模感を把握する参考情報として捉えてください。
また、工学部を紹介する冊子「工学への道」は、令和9年度の募集要項時点では冊子としての配付を行っておらず、希望者は工学部公式サイトからWeb版をダウンロードする形式に切り替わっています。学科ごとのカリキュラムや教員の研究分野をより詳しく知りたい場合は、このWeb版と各学科のホームページをあわせて確認すると、志望動機や面接での受け答えに具体性を持たせやすくなります。
本記事は、名古屋大学工学部が公開している令和9年度編入学学生募集要項(PDF)、工学部公式サイトの「過去の試験問題」ページで公開されている令和7年度・令和8年度の出題意図・解答例・専門試験の公表情報、および同ページに掲載されている学科別の志願者・受験者・合格者数の一覧にもとづいて構成しています。数値や日程が確認できない箇所は創作せず、最新の募集要項で確認するよう案内する形で記載しています。
募集人員・出願資格
名古屋大学工学部の編入学試験における出願資格は、前述のとおり日本国内の高等専門学校の卒業者、または当該年度3月の卒業見込み者のみです。募集人員は7学科いずれも「若干名」とされ、学科ごとの具体的な定員数は公表されていません。志望学科(環境土木・建築学科は志望プログラム)は出願時に1つだけ選択する仕組みです。なお、出願資格には卒業からの経過年数に関する制限は記載されておらず、高専を卒業して一定期間が経っている場合でも、出願資格そのものは満たせる可能性があります。ただし既修得単位の認定や調査書の準備方法など、在学中に出願する場合と異なる点が生じることもあるため、該当する場合は出願前に工学部内編入学試験事務室へ確認しておくと安心です。
| 学科 | 履修プログラム | 募集人員 |
|---|---|---|
| 化学生命工学科 | – | 若干名 |
| 物理工学科 | – | 若干名 |
| マテリアル工学科 | – | 若干名 |
| 電気電子情報工学科 | – | 若干名 |
| 機械・航空宇宙工学科 | – | 若干名 |
| エネルギー理工学科 | – | 若干名 |
| 環境土木・建築学科 | 環境土木工学プログラム/建築学プログラム | 若干名 |
環境土木・建築学科を志望する場合は、出願時点で環境土木工学プログラムと建築学プログラムのどちらか一方を選ぶ必要があります。工学部が公表している専門試験の内容例を見ると、環境土木工学プログラムは「環境土木工学の基本的な概念」について、建築学プログラムは「計画・歴史、環境・設備、構造・材料」という建築学の3分野についてそれぞれ問われており、面接で確認される専門知識の範囲がプログラムごとに明確に異なります。高専でどちらの分野を重点的に学んできたか、編入後にどちらの専門性を伸ばしたいかを、出願前の段階で整理しておく必要があります。
出願手続きでは、志願票・受験票・写真票、調査書(厳封)、成績証明書、卒業(見込)証明書、TOEFLまたはTOEICのスコアシート、返信用封筒2通(長形3号に410円切手)を角形2号の封筒にまとめ、必ず簡易書留速達郵便で提出することが求められます。志望理由書は名古屋大学工学部の提出書類には含まれていません。この点は、志望理由書の提出が必須となっている大学も多いなかで名古屋大学工学部の特徴といえます。ただし、後述する面接では志望動機を口頭で問われるため、書類として出さない場合でも内容は文章の形で整理しておくことをおすすめします。
| 提出書類 | 内容・注意点 |
|---|---|
| 志願票・受験票・写真票 | 工学部ホームページ掲載の所定用紙をA4判・片面印刷で使用 |
| 調査書 | 工学部所定様式を使用し、作成後は厳封する |
| 成績証明書 | 出身高専の学校長が発行したもの |
| 卒業(見込)証明書 | 出身高専の学校長が発行したもの |
| TOEFL/TOEICスコアシート | 所定用紙を使用して貼付。提出方法・有効期限は次項参照 |
| 返信用封筒2通 | 長形3号(23.5cm×12cm)に410円切手(速達料金込み)を貼付 |
| 受験承諾書 | 官公署・会社・団体等に在職のまま受験する場合のみ追加提出 |
TOEFL・TOEICスコアの提出条件
英語のスコア提出は、名古屋大学工学部の編入試験でとりわけ確認漏れが起きやすいポイントです。TOEICを提出する場合は、TOEIC Listening&Reading Testの公式認定証(Official Score Certificate)の原本が必要で、団体特別受験制度(IP)のスコアや顔写真のないスコアシートは原則として受け付けられません。デジタル公式認定証を使う場合は、各自で印刷したものを郵送する必要があります。TOEFLを提出する場合は、iBT(Home Editionを含む)のスコアが有効で、団体向けのITPスコアは不可です。加えて、公式スコアである「Institutional Score Report」または「Official Score Report」と、受験者本人に届く「Test Taker(Examinee)Score Report」のコピーの両方を提出しなければならず、片方でも届かなければスコアシートの提出はなかったものとして扱われます。
| 項目 | TOEIC | TOEFL |
|---|---|---|
| 有効な形式 | 公開テストのL&R Testスコア(公式認定証原本、IPスコア不可) | iBT(Home Edition可)、ITP不可 |
| 提出物 | Official Score Certificate原本、またはデジタル公式認定証の印刷物 | Institutional/Official Score Report+Test Taker Score Reportコピーの2点 |
| 有効なスコア | 令和6年7月以降実施分のみ | 令和6年7月以降実施分のみ |
| 到着の目安 | 受験後の発送に時間を要するため早めの受験が必要 | ETSからの到着まで6〜8週間、Institution Code 0312・Department Code 00指定が必要 |
スコアシートを提出しない場合でも出願自体は可能ですが、その場合は英語の得点を0点として合否判定されます。期限までにスコアシートが届かない場合も同様の扱いです。TOEFL・TOEICはどちらか一方でも両方でも提出できますが、一度提出したスコアシートの返却や、同一種類のスコアシートの差し替えには応じてもらえません。TOEFLのスコア到着には6〜8週間かかるとされているため、令和9年度の願書受付期間(令和8年6月29日〜7月3日)に間に合わせるには、遅くとも受付開始の2か月前を目安に受験しておく必要があります。
TOEFLのスコアシートについては、「Institutional Score Report」に記載されるスコアのうち「Test Date Scores」のみが採用され、複数回の受験結果からよいスコアを組み合わせる「MyBest Scores」は活用されない点にも注意してください。名古屋大学工学部が採用するのは1回の受験結果そのものであり、複数回受験して平均的に高い項目を組み合わせる戦略は評価に反映されません。単発の受験で目標スコアに届くよう、TOEFL・TOEICいずれも準備期間を十分に確保しておくことが重要です。
検定料は30,000円で、コンビニエンスストアで支払う仕組みです。セブン-イレブンのマルチコピー機、ローソン・ミニストップのLoppiが利用できます。手順としては、端末で「名古屋大学(編入学試験)」を選択して申込情報を入力し、発券された払込票・申込券をレジで支払ったうえで、受け取った取扱明細書・払込受領証の「収納証明書」部分を切り取り、志願票の所定欄に貼付して郵送する、という流れになります。国費外国人留学生は検定料が不要です。出願書類を受理した後は、いかなる事情があっても検定料は返還されません。返還されるのは、検定料納入後に出願しなかった場合、出願が受理されなかった場合、または二重に払い込んだ場合に限られ、その際の返還は銀行振込で行われ、返還にかかる振込手数料は志願者本人の負担となります。海外の銀行口座への返還は、金額が大きく減額されるうえ日数もかかるとされているため、検定料の納入自体を慎重に行う必要があります。
出願手続き後は、いかなる事情があっても書類の変更や検定料の払い戻しはできません。出願資格そのものに不安がある場合は、出願前に工学部内編入学試験事務室へ照会することができます。照会の際は、照会者本人の郵便番号・受信場所・氏名を記入し、110円切手を貼った返信用封筒を同封する必要があります。障害等により受験上・修学上の配慮を必要とする場合も、願書提出前に同事務室へ相談する案内がされています。出願資格や配慮の要否は自己判断せず、早めに事務室へ確認するのが安全です。
試験科目と評価方法
名古屋大学工学部の編入学試験は、基礎学力試験(英語はTOEFL/TOEICのスコア、数学・物理・化学は筆記試験)、専門試験(面接)、調査書の3つを組み合わせて、アドミッション・ポリシーにもとづき総合的に選抜すると募集要項に記載されています。各要素の配点比率は公式には公表されていません。科目ごとの得点をどの比率で合計しているかは分からないため、特定の科目だけに偏った対策ではなく、数学・物理・化学・英語・面接のすべてで一定の水準を確保する準備が安全です。
| 区分 | 科目 | 実施方法 |
|---|---|---|
| 基礎学力試験 | 英語 | 筆記試験なし。TOEFLまたはTOEICのスコアで評価 |
| 数学 | 筆記試験 | |
| 物理 | 筆記試験 | |
| 化学 | 筆記試験 | |
| 専門試験 | 面接(学科ごと) | 志望学科における専門教育を受けるための基礎的能力等を評価 |
| 調査書 | – | 出身高専が作成した調査書を選抜資料として使用 |
基礎学力試験は、高等専門学校で学ぶ教科を十分に修得してきたかどうかを問う内容とされています。数学・物理・化学はいずれも筆記試験で、1日でまとめて実施されます。専門試験は学科ごとに面接形式で行われ、志望する学科(環境土木・建築学科は志望プログラム)の専門教育についていけるだけの基礎的能力があるかを確認するものです。
名古屋大学工学部の編入学試験を特徴づけているのは、「専門試験」という名称でありながら、募集要項上は面接のみで実施される点です。学科・専攻によっては専門科目そのものを筆記で課す編入試験も少なくないなかで、名古屋大学工学部は専門知識の確認を口頭試問・面接に一本化しています。後述する学科別の面接内容の公表例を見ると、環境土木・建築学科の建築学プログラムのように専門分野の基礎事項を複数問にわたって口頭で問う学科もあれば、志望動機や学習意欲を中心に聞く学科もあり、面接の重さ・専門性の比重は学科によって差があります。志望学科の面接がどちらの傾向に近いかを把握したうえで対策の配分を決めることが重要です。
受験当日に持ち込めるものにも細かい規定があります。答案作成に使えるのは黒色鉛筆(シャープペンシルも可)、消しゴム、鉛筆削り(電動式を除く)、計時機能だけの時計で、これ以外の用具を机上に置くことは認められません。数学の試験に限り、定規(分度器つき定規・三角定規は除く)とコンパスの使用が許可されています。携帯電話やスマートフォンは電源を切る必要があり、時計代わりに使うこともできません。試験開始20分前までに指定の試験室へ入室することが求められており、やむを得ず遅刻した場合でも試験開始時刻後30分以内であれば受験が認められます。30分を超えて遅刻した場合は試験場事務室へ申し出るよう案内されており、時間に余裕を持った行動計画を立てておく必要があります。
これらの受験上の注意は、名古屋大学工学部の編入学試験を受ける全受験者に共通する実務的なルールです。用具や服装の準備よりも見落としやすいのが時計の扱いで、腕時計を計時機能のみのものに揃えておく必要があります。試験室では受験番号と同じ番号の席に着き、受験票を机上の番号札のわきに置くこと、発言の必要があるときは挙手して監督者の許可を受けることも定められています。試験室で不都合な行為があった場合は監督者が退室を命じることがあり、試験時間中の退室は原則として認められません。試験当日は自動車・バイク等の試験場構内への乗り入れが禁止されており、宿泊施設のあっせんも行われないため、遠方から受験する場合は前日の移動・宿泊を自分で手配しておきましょう。
選抜方法の考え方について、名古屋大学のアドミッション・ポリシーでは、高等専門学校からの編入学は「工学を学ぶための基礎学力と素養をもった意欲のある人材」を、基礎学力試験・専門試験・調査書の総合評価によって選抜するとされています。学力試験の得点だけでなく、調査書に記載される高専在学中の成績や学習態度も選抜材料に含まれるため、直前の試験対策だけでなく、日頃の授業・実験・レポートへの取り組み方も評価の土台になっていると捉えておく必要があります。
出願から入学手続きまでの日程
令和9年度(2027年4月入学)の名古屋大学工学部編入学試験は、本記事執筆時点(2026年7月)ではまさに直前期にあたります。願書受付は令和8年6月29日(月)から7月3日(金)午後4時までです。締切当日必着ではなく郵送必着である点に注意してください。試験は7月30日(木)と31日(金)の2日間、名古屋大学工学部構内で行われます。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 令和8年6月1日〜 | 入学検定料の払込が可能になる(出願期間に限らず支払い可) |
| 令和8年6月29日(月)〜7月3日(金)16時 | 願書受付期間(簡易書留速達郵便で郵送必着) |
| 令和8年7月21日(火)頃 | 受験票を本人あてに郵送 |
| 令和8年7月30日(木) | 基礎学力試験(数学10:00〜12:00、物理13:20〜14:20、化学14:50〜15:50) |
| 令和8年7月31日(金) | 専門試験(面接)。学科ごとの日時・場所は受験票送付時に通知 |
| 令和8年8月20日(木)11時 | 合格者発表(工学部ホームページに掲示、本人へも通知) |
| 令和8年9月7日(月)まで | 合格者は「編入学届」または「辞退届」を出身学校経由で提出 |
| 令和8年9月中旬頃〜 | 入学意志確認後、欠員が生じた場合に追加合格を決定することがある |
| 令和9年3月下旬 | 編入学手続き(詳細は3月上旬に本人へ別途通知) |
この日程で特に注意したいのは、基礎学力試験の3科目が1日のうちに詰め込まれている点です。数学(10:00〜12:00の2時間)、昼をはさんで物理(13:20〜14:20の1時間)、化学(14:50〜15:50の1時間)と続くため、科目間の休憩時間は物理から化学まで30分しかありません。本番同様のスケジュールで模擬演習をしておくと、当日の集中力の配分がつかみやすくなります。
合格発表から編入学届の提出まではおよそ2週間半しかありません。そこから実際の編入学手続き(3月下旬)までは半年以上の期間が空きます。この間に、高専卒業に必要な残りの単位を確実に修得しておくこと、また入学料・授業料の準備を進めておくことが必要です。なお、合格者発表に関する問い合わせには一切応じないと明記されているため、発表日時(8月20日11時)を自分で確認できるよう予定を空けておきましょう。
受験票は例年7月21日頃に本人あてに郵送されます。試験日が近づいてもこの時期を過ぎて届かない場合は、自己判断で待ち続けず、早めに工学部内編入学試験事務室(電話052-789-3177、3975)へ連絡して状況を確認することをおすすめします。願書の記載住所に誤りがあると受験票が届かない原因になるため、出願時点で郵便番号・住所の記入内容を見直しておくことも有効です。受験票は試験期間中は常に携帯し、試験終了後も編入学手続きの際に必要になるため、当日を終えたあとも大切に保管しておく必要があります。また、募集要項には入学意志の確認(9月中旬頃)後に募集人員へ欠員が生じた場合、合格者の追加を行うことがあると記載されていますが、これは欠員が生じたときに限られる措置であり、必ず行われるものではありません。
願書受付期間が7月3日午後4時までの短い期間に設定されている一方で、成績証明書・卒業(見込)証明書は出身高専に発行を依頼してから手元に届くまで日数がかかること、TOEFL・TOEICのスコアシートは受験からスコア到着までさらに時間がかかることを踏まえると、出願準備は願書受付開始のかなり前から逆算して動き出す必要があります。次の順序で準備を進めると、書類の抜け漏れを防ぎやすくなります。
- TOEFLまたはTOEICを受験する(令和6年7月以降実施分のみ有効。到着まで数週間〜8週間を見込む)
- 出身高専に成績証明書・卒業(見込)証明書・調査書の発行を依頼する
- 工学部ホームページから志願票・受験票・写真票・調査書様式をダウンロードして記入する
- 検定料30,000円をコンビニエンスストアで払い込み、収納証明書を志願票に貼付する
- 返信用封筒2通(長形3号・410円切手)を用意し、角形2号の封筒に全書類をまとめる
- 簡易書留速達郵便で、願書受付期間内(郵送必着)に発送する
募集要項の冒頭には、自然災害等により試験日程や選抜内容に変更が生じた場合は工学部ホームページ等で周知するという案内も明記されています。出願前・受験前に台風や大雪などで交通機関に影響が出そうな時期は、直前まで工学部公式サイトを確認する習慣をつけておくと安心です。
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倍率・難易度
名古屋大学工学部は編入学試験の学科別志願者数・受験者数・合格者数を公表しています。直近公表分である令和8年度(2026年4月入学者を選抜した試験)の実績は次のとおりです。
| 学科 | 志願者 | 受験者 | 合格者 | 実質倍率(受験者÷合格者) |
|---|---|---|---|---|
| 化学生命工学科 | 3 | 2 | 2 | 1.0倍 |
| 物理工学科 | 1 | 0 | 0 | 算出不可(受験者0名) |
| マテリアル工学科 | 1 | 1 | 1 | 1.0倍 |
| 電気電子情報工学科 | 9 | 8 | 3 | 約2.7倍 |
| 機械・航空宇宙工学科 | 7 | 7 | 4 | 1.75倍 |
| エネルギー理工学科 | 2 | 0 | 0 | 算出不可(受験者0名) |
| 環境土木・建築学科 | 2 | 2 | 0 | 合格者0名 |
| 合計 | 25 | 20 | 10 | 約2.0倍 |
この表から読み取れるのは、7学科合計では志願者25名に対して合格者10名という水準ですが、学科によって状況が大きく異なるという点です。電気電子情報工学科は受験者8名に対して合格者3名と、7学科のなかで最も倍率が高くなっています。一方で物理工学科・エネルギー理工学科は志願者がいても受験者が0名だった年度もあり、環境土木・建築学科は受験者2名に対して合格者0名という結果でした。募集人員がいずれも「若干名」で年度ごとの変動要因が大きいため、この数字はあくまで令和8年度単年度のデータとして参考にし、出願を検討する年度の最新の公表情報も必ず確認してください。
環境土木・建築学科のように受験者がいても合格者が0名になった学科がある点は、名古屋大学工学部の編入学試験の水準の高さを示す一つの材料といえます。「若干名」という募集人員は、条件を満たす受験者が現れなければ合格者を出さないという運用を意味しており、出願資格や試験科目を満たしているだけでは合格が保証されないことがこの結果からうかがえます。とりわけ建築学プログラムは、前述のとおり専門3分野の口頭試問という他学科より専門性の高い面接が課されるため、基礎学力試験だけでなく専門知識の面でも高い水準の準備が求められると考えられます。
難易度を考えるうえでは、倍率の数字だけでなく、志望学科の一般選抜における入学定員(化学生命工学科99名、物理工学科83名、マテリアル工学科110名、電気電子情報工学科128名、機械・航空宇宙工学科160名、エネルギー理工学科40名、環境土木・建築学科80名)と、編入学の募集人員が「若干名」という非常に小さな枠であることの落差も踏まえておく必要があります。名古屋大学工学部の編入学試験は、高専生の間で認知度が高く出願者が集まりやすい一方で、各学科の合格者は例年一桁にとどまる狭き門です。受験者数自体が少ない学科では、母数が小さいため倍率の数字だけで難易度を単純比較しないことが大切です。
もう一点、名古屋大学工学部の編入学試験の難易度を押し上げている要因として、情報量そのものの少なさが挙げられます。全学科合計でも受験者は年間20名前後、学科によっては受験者が0〜数名という規模のため、SNSや個人ブログで見つかる体験談の数も限られます。母集団が小さい試験ほど、公式に公表されている一次情報の比重が相対的に大きくなります。過年度の体験談を探すことに時間を使うよりも、工学部公式サイトが公開している情報を繰り返し読み込み、そこに書かれていないことは「最新の募集要項で確認する」という姿勢で臨む方が、結果的に効率のよい準備につながります。
科目別対策
名古屋大学工学部は、令和7年度・令和8年度に実施した編入学試験の基礎学力試験について、出題意図をホームページで公開しています。実際の問題文までは転載できませんが、出題意図から読み取れる分野の傾向を科目別に整理します。
| 科目 | 令和7年度(2024年夏実施) | 令和8年度(2025年夏実施) |
|---|---|---|
| 数学 | ベクトル場(回転・ストークスの定理)/行列(固有値・対角化)/平面上の曲線/確率 | 平面上の曲線/行列(固有値・対角化)/微分積分(極限・不定積分・常微分方程式)/確率 |
| 物理 | 質点の力学(単振動・減衰振動)/電磁気(電界・電位)/電磁気(同軸線路の磁界) | 剛体の力学/電磁気学(電荷と電場)/電磁気学(電流と磁場) |
| 化学 | 固体の化学結合/金属の結晶構造と充填率/有機合成反応/水の状態図 | 物理化学(熱力学・化学平衡)/有機化学・高分子化学の基礎 |
この2年分の一覧を並べると、数学の「行列(固有値・対角化)」と「確率」が2年連続で出題されている一方、物理の力学分野は質点(単振動・減衰振動)と剛体(剛体の運動)で入れ替わり、化学は出題範囲・設問数ともに年度で変化していることが分かります。公開されているのは2年度分に限られるため、この傾向だけで出題範囲を確定的に絞り込まず、高専の授業で扱う数学・物理・化学の教科書範囲全体を土台にしたうえで、出題頻度の高い単元から優先的に演習量を増やすという考え方で臨むのが現実的です。以下、科目ごとにもう少し踏み込んで対策の方向性を整理します。
数学の対策
令和8年度(2025年夏実施、2026年4月入学者向け)の数学は、平面上の曲線(接線・直線の式・三角関数)、行列(固有値と対角化)、微分積分(極限・不定積分・常微分方程式)、確率(場合分け・余事象)の4問構成でした。令和7年度(2024年夏実施)は、三次元直交座標系のベクトル場(回転・ストークスの定理)、行列(固有値・固有ベクトル・対角化)、平面上の曲線(接線・直線と点の距離・微分方程式)、確率の4問構成です。2年連続で「行列の固有値・対角化」と「平面上の曲線」「確率」が出題されている点は、名古屋大学工学部の数学対策における優先順位を考えるうえで参考になります。
出題意図にはいずれも「理解と考察力、ならびに論証力を問う」という表現が繰り返し使われています。公式に数値を当てはめて計算するだけでなく、なぜその手順で解けるのかを答案上で説明できるかどうかが評価対象になっていると考えられます。固有値・固有ベクトル・対角化、常微分方程式、ベクトル場といった単元は、高専のカリキュラムでも学年や学科によって扱う深さが異なるため、自分の高専で未履修・浅い扱いだった単元がないかを早い段階で確認しておきましょう。
物理の対策
令和8年度の物理は、剛体の力学(剛体の運動)、電磁気学(電荷と電場)、電磁気学(電流と磁場)の3問構成でした。令和7年度は、質点の力学(単振動・減衰振動)、電磁気(電荷が作る電界及び電位)、電磁気(同軸線路に流れる電流が作る磁界)の3問構成です。2年度とも「力学1問+電磁気学2問」という構成が共通しており、電磁気学の比重が高いことが分かります。
力学の出題は年度によって質点(単振動・減衰振動)と剛体(剛体の運動)のどちらも扱われているため、どちらか一方に絞らず、力学の基本法則を剛体・質点の両方のケースで運用できるようにしておくことが重要です。電磁気学は、電荷・電場・電位という静電気の基礎と、電流が作る磁場という電磁気の基礎の両方が連続して出題される傾向にあるため、電磁気学全般を体系的に復習しておく必要があります。
化学の対策
令和8年度の化学は物理化学と有機化学・高分子化学の基礎の2問構成でした。令和7年度は、固体中の化学結合(塩化ナトリウム・ダイヤモンド・氷を題材とした結合の種類)、金属の結晶構造と充填率(銅・鉄などの金属元素)、有機合成反応(ベンゼンとプロピレンを用いた反応、物質収支・立体異性体)、水の状態図(物質の三態・超臨界状態・相律)の4問構成でした。
令和7年度から令和8年度にかけて設問数が4問から2問に変わっている点は見逃せません。出題範囲が固体化学・無機化学寄りから物理化学・有機化学寄りに変化しており、今後も出題構成が変わる可能性を踏まえると、特定分野に絞り込みすぎず、無機化学(結晶構造・化学結合)、物理化学(熱力学・化学平衡)、有機化学・高分子化学(基本反応)を高専の教科書レベルで満遍なく復習しておくことが安全な対策方針です。
英語(TOEFL・TOEIC)の対策
名古屋大学工学部の編入学試験では英語の筆記試験自体が存在せず、対策の内容は「専門科目の英語力を伸ばすこと」ではなく「TOEFLまたはTOEICで一定のスコアを取得し、期限内に正しい書類を提出すること」に集約されます。目標スコアの公表はありませんが、未提出の場合は英語が0点として扱われ、総合評価に影響することを踏まえると、早期からスコアメイクに着手する価値は大きいといえます。有効なのは令和6年7月以降に実施された回のスコアに限られます。直近に受験した古いスコアがある場合は、有効期限を必ず確認してください。
TOEFL iBTを提出する場合は、Institution Code 0312・Department Code 00の指定が必要です。ETSからのスコア到着に6〜8週間を要するとされているため、逆算すると出願締切の2〜3か月前には受験しておく必要があります。TOEICを提出する場合は、公開テストのL&R Testの公式認定証原本(またはデジタル公式認定証の印刷物)を用意し、団体特別受験制度(IP)のスコアは使えない点に注意してください。
令和9年度の願書受付期間(令和8年6月29日〜7月3日)を基準にすると、TOEFLを提出する場合は遅くとも令和8年5月上旬までに受験しておかないと、書類到着が締切に間に合わないおそれがあります。TOEICも発行・郵送に一定の期間を要するため、春先の時点で一度TOEFL・TOEICを受験し、スコアに余裕がなければ夏前にもう一度受け直すという2段構えの計画を立てておくと安全です。数学・物理・化学の筆記対策と並行してスコアメイクを進める必要があるため、英語の対策は他の科目よりも早いタイミングで着手することをおすすめします。
学習計画の目安
名古屋大学工学部の編入学試験は、願書受付期間が6月末から7月上旬の5日間、試験本番が7月30日・31日という例年の日程を踏まえると、出願前年の秋から逆算した準備が現実的です。基礎学力試験・英語スコア・面接という3系統の準備を並行させるため、時期ごとにやるべきことを整理しておきましょう。
| 時期の目安 | やること |
|---|---|
| 出願前年の秋(10〜11月頃) | 工学部公式サイトで最新の募集要項と過去問(令和7・8年度分の出題意図)を確認し、志望学科(環境土木・建築学科は志望プログラム)を仮決定する |
| 出願前年の冬(12〜1月頃) | 数学(行列・微分積分・確率など)、物理(力学・電磁気学)、化学(無機・物理化学・有機化学)を高専の教科書レベルで復習する |
| 出願年の春(3〜4月頃) | TOEFLまたはTOEICを受験する。目標スコアに届かない場合は5月にもう一度受験する |
| 出願年の5〜6月頃 | 過去問(令和7・8年度分)を時間を計って解き、出題意図・解答例と突き合わせて弱点を洗い出す。並行して出身高専へ成績証明書・卒業(見込)証明書・調査書の発行を依頼する |
| 出願年の6月末〜7月上旬(願書受付期間) | 検定料を払い込み、収納証明書・スコアシートを含む書類一式を角形2号封筒にまとめ、簡易書留速達郵便で郵送する |
| 出願年の7月中旬〜下旬 | 受験票の到着を確認し、志望学科の公表内容に沿って面接想定問答(志望動機・入学後の希望・専門分野の基礎知識)を準備する |
| 出願年の7月末(試験当日) | 基礎学力試験(数学・物理・化学)と専門試験(面接)を受験する |
面接・志望理由書・過去問分析
名古屋大学工学部の編入学試験では、専門試験として学科ごとに面接が実施されます。工学部は令和8年度実施分の面接の質問内容例を、受験者がいた学科について公表しています。志望動機や入学後の希望といった共通項目に加えて、学科ごとに専門分野の基礎学力を確認する質問が組み合わされている点が特徴です。
| 学科(プログラム) | 形式 | 質問内容の例(令和8年度公表分) |
|---|---|---|
| 化学生命工学科 | 複数人の面接者による面接 | 志望動機、入学後の希望、化学・生化学に関する質問(基礎学力確認) |
| マテリアル工学科 | 複数人の面接者による面接 | 学習・研究意欲、マテリアル工学に関する基礎学力等 |
| 電気電子情報工学科 | 複数人の面接者による面接 | 高専での学習について、志望動機、専門分野に関する質問(基礎学力確認)、入学後の希望 |
| 機械・航空宇宙工学科 | 面接 | 志望動機、入学後の希望、必要な学力・適性等(専門教育を受けるための基礎的能力) |
| 環境土木・建築学科(環境土木工学プログラム) | 複数人の面接者による面接 | 志望動機、興味のある専門分野、環境土木工学の基本的な概念 |
| 環境土木・建築学科(建築学プログラム) | 複数人の面接者による面接 | 建築学の3分野(計画・歴史、環境・設備、構造・材料)の基礎事項について、それぞれ2問ずつの口頭試問 |
この一覧に物理工学科とエネルギー理工学科が含まれていないのは、令和8年度の受験者が0名だったためです。両学科を志望する場合、面接内容の公表事例が現時点ではないため、募集要項の選抜方法欄にある「志望学科における専門教育を受けるための基礎的能力等について試験を行う」という記述と、他学科の傾向から推測すると、志望動機・入学後の学習計画に加えて物理工学・エネルギー理工学の基礎的な理解を問う口頭試問が行われる可能性が高いと考えられます。ただし、これは他学科の傾向にもとづく推測であり、断定はできません。出願前に最新の公表情報を確認してください。
建築学プログラムの「3分野×2問ずつの口頭試問」という形式は、他学科の一般的な面接と比べて専門知識を問う比重が明確に高い点が特徴です。計画・歴史、環境・設備、構造・材料という建築学の主要3分野をまんべんなく復習し、各分野の基礎事項を口頭で説明できるようにしておく準備が欠かせません。
公表されている質問内容例を学科ごとに見比べると、化学生命工学科・マテリアル工学科・電気電子情報工学科は志望動機・入学後の希望に加えて専門分野の基礎学力を問う質問が明記されており、口頭試問への備えが欠かせません。一方、機械・航空宇宙工学科は「必要な学力・適性等」という表現にとどまり、公表内容だけでは専門知識をどこまで深く問われるかが読み取りにくいため、志望動機・学習意欲を軸にしつつ専門分野の基礎も一通り説明できるように準備しておくと安心です。倍率が高い電気電子情報工学科(令和8年度は受験者8名・合格者3名)を志望する場合は、面接と基礎学力試験の両方で手を抜けない水準の準備が求められると考えられます。
面接練習では、公表されている質問例をそのまま丸暗記するのではなく、「志望動機」「入学後の希望」「専門分野の基礎学力」という3つの軸それぞれについて、短く端的に答える内容と、深掘りされた場合に詳しく話せる内容の両方を用意しておくと安定します。マテリアル工学科のように「学習・研究意欲」がそのまま質問項目に挙がっている学科もあれば、電気電子情報工学科のように「高専での学習について」という形で経歴そのものを尋ねる学科もあり、聞かれ方は学科によって異なっても、根底にあるのは高専での学びと志望学科での学びのつながりを確認したいという意図です。この軸を外さずに、自分の言葉で説明できるよう準備しておきましょう。
志望理由書について、名古屋大学工学部の編入学試験では提出書類として明示されていません。多くの大学編入試験で必須とされる志望理由書が不要という点は、名古屋大学工学部ならではの特徴です。ただし、面接では「志望動機」「入学後の希望」がほぼ全学科で共通して問われているため、書類として提出しない場合でも、なぜ名古屋大学工学部のその学科を志望するのか、入学後に何を学びたいのかを、自分の高専での学習内容と結びつけて口頭で説明できるように準備しておく必要があります。高専の授業・実験・卒業研究テーマの内容を具体的に振り返っておくことが、面接での説得力につながります。
過去問は、工学部公式サイトの「過去の試験問題」ページで、直近2年度分(令和7年度・令和8年度)の基礎学力試験問題と出題意図がPDF形式で公開されています。令和8年度分については解答例と専門試験の公表情報も追加で掲載されています。過去問演習では、単に解答できたかどうかだけでなく、出題意図に書かれている「理解と考察力」「論証力」といった評価軸を意識して、答案にどこまで根拠や過程を書き込めているかを確認する使い方をおすすめします。
令和8年度分に限って解答例が公開されているのは、過去問対策を進めるうえで大きな利点です。自己採点だけに頼らず、公式の解答例と自分の答案の書き方(途中式・論証の展開)を突き合わせて確認することで、単元の理解不足だけでなく、答案としての説明の仕方が評価基準に沿っているかどうかも点検できます。令和7年度分は出題意図のみの公開ですが、出題テーマの傾向をつかむ資料としては十分に活用できます。
面接の準備では、募集要項に記載された調査書の役割も意識しておく必要があります。調査書は出身高専が作成する書類で、選抜方法の説明では基礎学力試験・専門試験と並ぶ総合評価の一要素とされています。面接で語る学習歴や志望動機の内容は、調査書に記載される高専での成績や活動と矛盾しないようにしておくことが望ましく、面接直前になって初めて話す内容を考えるのではなく、調査書に何が書かれるかを担任教員などに確認したうえで、一貫した説明を準備しておくと安心です。
併願戦略と関連する情報の確認先
名古屋大学工学部の編入学試験は、出願資格が高専卒業者に限定され、募集人員も各学科「若干名」という狭い枠であるため、第一志望であっても併願先を検討しておく受験生が多い試験です。願書受付期間(令和8年6月29日〜7月3日)と試験日(7月30日・31日)は他大学の編入試験日程と重なる可能性があるため、併願を考える場合は早い段階で候補校の募集要項を集め、出願書類の準備期間と試験日が競合しないかを確認してください。
高専からの編入で科目構成が近い工学系の大学としては、東北大学工学部の編入学試験や兵庫県立大学工学部の編入学試験も、数学・物理・化学の基礎学力試験と学科別の専門試験・面接を組み合わせる選抜方法を採用しており、対策の方向性を比較しやすい併願先です。英語外部試験と小論文・口述試験を組み合わせる方式に関心がある場合は、金沢大学融合学域の編入学試験のように専門筆記試験を課さない大学も選択肢に入ります。志望校ごとに出願資格・試験科目・配点の仕組みが異なるため、名古屋大学工学部の対策だけに時間を使い切らず、併願校の情報収集にも早めに着手しておくと安心です。
併願を実務面から考えると、成績証明書・卒業(見込)証明書・調査書は大学ごとに個別の発行依頼が必要になることが多く、出願校が増えるほど出身高専への発行依頼と受け取りのスケジュール管理が煩雑になります。一方でTOEFL・TOEICのスコアは、有効期限内であれば複数の大学の出願に使い回せる場合があるため、英語のスコアメイクを先に済ませておくことは、併願校を増やす際の負担軽減にもつながります。名古屋大学工学部の願書受付期間(7月上旬)と試験日(7月30日・31日)を軸に、他大学の出願期間・試験日を年間カレンダーに落とし込み、証明書の発行依頼が重ならないよう調整しておきましょう。
大学編入(3年次編入)全体の準備の流れを確認したい場合は、大学編入(3年次編入)の基礎知識をまとめた記事もあわせて確認してください。出願資格の考え方や年間スケジュールの立て方など、名古屋大学工学部に限らない編入試験全般の準備手順を整理しています。数学・物理・化学の基礎固めから英語スコアメイク、面接対策までを自分だけで計画するのが難しいと感じる場合は、大学編入対策コースで、現在の学力や残り期間に合わせた優先順位の整理を相談することもできます。
よくある質問(FAQ)
名古屋大学工学部の編入試験は誰でも出願できますか?
出願できるのは日本国内の高等専門学校を卒業した者、または当該年度3月の卒業見込み者に限られます。令和9年度募集要項では「高等専門学校(日本国内に限る)を卒業した者又は令和9年3月卒業見込みの者」と明記されており、四年制大学の在学者や短期大学・専門学校の卒業者は対象になりません。出願資格そのものに疑問がある場合は、自己判断せず工学部内編入学試験事務室へ照会することができます。
募集人員は何名ですか?
7学科(環境土木・建築学科は2プログラム)いずれも「若干名」とされ、具体的な人数は公表されていません。参考として、令和8年度の編入学試験では7学科合計で25名が志願し、20名が受験、10名が合格しています。学科別の内訳は本文「倍率・難易度」の章に掲載した表を確認してください。
倍率はどれくらいですか?
令和8年度の実績では、7学科合計で受験者20名に対して合格者10名(約2.0倍)でした。学科別では電気電子情報工学科が受験者8名・合格者3名(約2.7倍)と最も高く、環境土木・建築学科は受験者2名に対して合格者0名でした。募集人員が少なく年度ごとの変動が大きいため、出願を検討する年度の最新の公表情報も確認してください。
英語の試験はありますか?
英語の筆記試験は実施されません。基礎学力試験の英語は、TOEFLまたはTOEICのスコアシート提出によって評価されます。スコアシートを提出しない場合や期限までに届かない場合は、英語の得点は0点として合否判定されます。有効なのは令和6年7月以降実施分のスコアに限られる点にも注意してください。
面接ではどのようなことを聞かれますか?
ほぼ全学科に共通して志望動機と入学後の希望が問われ、これに加えて学科ごとの専門分野に関する質問が行われます。たとえば環境土木・建築学科の建築学プログラムでは、建築学の3分野(計画・歴史、環境・設備、構造・材料)について各2問ずつの口頭試問が行われたことが公表されています。物理工学科・エネルギー理工学科は令和8年度の受験者が0名だったため、面接内容の公表事例が現時点でありません。
過去問はどこで確認できますか?
工学部公式サイトの「過去の試験問題」ページで、令和7年度・令和8年度の基礎学力試験問題と出題意図がPDF形式で公開されています。令和8年度分については解答例と専門試験(面接)の公表情報も追加で掲載されています。過去問だけに頼らず、募集要項本体もあわせて確認しておきましょう。
志望理由書の提出は必要ですか?
名古屋大学工学部の編入学試験では、志望理由書は提出書類として指定されていません。ただし面接では志望動機や入学後の希望を問われるため、書類として提出しない場合でも、内容は事前に文章として整理しておくことをおすすめします。
名古屋大学工学部と名古屋工業大学の編入試験は同じですか?
別の大学です。名古屋大学工学部は本記事で扱っている国立大学法人名古屋大学の学部で、編入学試験の出願資格は高等専門学校卒業者(見込み含む)に限られます。一方、名古屋市内にはもう一つの国立大学である名古屋工業大学があり、こちらも独自に工学部の編入学・転入学試験を実施しています。学校名や所在地が近く検索結果でも混在しやすいため、参照している募集要項がどちらの大学のものかを必ず確認してください。
まとめ
名古屋大学工学部の編入学試験は、高専卒業者(見込み含む)のみを対象に、7学科それぞれ若干名を選抜する試験です。英語はTOEFL・TOEICのスコア提出、数学・物理・化学は筆記試験、専門試験は学科ごとの面接という組み合わせで、令和8年度実績では7学科合計25名の志願者に対して10名が合格しています。出題意図を見る限り、数学は行列や平面上の曲線、物理は力学と電磁気学、化学は年度によって出題範囲の重心が変わっており、過去2年度分の傾向を踏まえた準備が欠かせません。志望理由書の提出が不要な一方で面接では志望動機を必ず問われるため、書類がなくても話す内容は整理しておく必要があります。
願書受付期間はわずか5日間、TOEFL・TOEICのスコア到着には数週間から8週間を要するなど、名古屋大学工学部の編入学試験は準備の逆算が合否以前の前提条件になる試験でもあります。数学・物理・化学の筆記対策、英語スコアメイク、面接準備の3つを同時並行で進めるスケジュール管理そのものが最初の関門といえます。募集人員・日程・提出書類の詳細は年度によって変更される可能性があるため、出願前には必ず工学部公式サイトの最新の募集要項を確認してください。
7学科という選択肢の広さと、学科ごとに専門試験(面接)の比重が異なる点は、名古屋大学工学部の編入学試験ならではの特徴です。環境土木・建築学科のように受験者がいても合格者が0名だった学科がある一方で、化学生命工学科やマテリアル工学科のように受験者と合格者がほぼ一致した学科もあり、学科によって難易度の出方は一様ではありません。志望学科の過去2年度分の出題意図・志願者数の推移を自分の目で確認し、工学部内編入学試験事務室への問い合わせも活用しながら、出願資格から面接対策までを早い段階で逆算しておくことが、名古屋大学工学部の編入学試験を突破する第一歩になります。
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