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神戸大学法科大学院の入試を徹底解説|2027年度の難易度・倍率・合格者の出身大学

神戸大学法科大学院は、神戸市灘区の六甲台第1キャンパスに設置された大学院法学研究科・実務法律専攻の専門職大学院で、法学既修者コース(2年)と法学未修者コース(3年)の2つの入り口を備えています。実務法律専攻全体の募集人員は80名で、既修者コースが60名、未修者コースが20名程度という構成です。直近の2026(令和8)年度入試では志願者662名に対して最終合格者159名、単純倍率は約4.2倍でした。令和7年司法試験では受験者136人に対し最終合格者56人・最終合格率41.2%で、最終合格者10名以上の法科大学院の中で全国8位という実績を公表しています。
神戸大学法科大学院の入試は、既修者コースだけでも「既修者一般入試」「3年次生特別入試」「法曹コース生特別入試(5年一貫型・開放型)」という4種類の選抜区分に細分化されているのが最大の特徴です。2026年度の入試結果を見ると、既修者コース全体は志願者509名・最終合格者135名で単純倍率およそ3.8倍、未修者コース全体は志願者153名・最終合格者24名でおよそ6.4倍と、コースによって数字の見え方が大きく異なります。さらに区分ごとに見れば、3年次生特別入試は志願者32名に対して合格者3名(約10.7倍)、法曹コース生特別入試の5年一貫型・地方枠は志願者5名に対して合格者3名と、同じ大学の中で倍率が10倍近く開く年度もあります。
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そもそも法科大学院とは、法曹(裁判官・検察官・弁護士)の養成を目的とした専門職大学院であり、修了することで司法試験の受験資格を得られる主要な進路の一つです。法学部出身者などを対象とする法学既修者コースは2年、法学部以外の出身者や社会人を主な対象とする法学未修者コースは3年の課程を経て修了し、いずれも法律基本科目を中心とした体系的な学修を通じて実務家としての基礎力を養成します。神戸大学法科大学院は、関西圏の旧帝国大学系ロースクールとして、京都大学・大阪大学と並ぶ選択肢の一つに位置づけられています。
本記事では、神戸大学法科大学院の募集人員・出願資格、既修者コース4区分・未修者コース2区分それぞれの入試科目と配点、出願から合格発表までの日程、2024〜2026年度の倍率推移、合格者の出身大学、科目別の対策方法、口頭試問・出願書類対策、司法試験合格率と学費までを整理して解説します。数値はすべて、大学院法学研究科が公開する2027(令和9)年度学生募集要項(令和8年6月発行)と公式サイトの入試結果PDFに基づいています。出願前には最新の募集要項で必ずご確認ください。
神戸大学法科大学院の概要と既修・未修コース
神戸大学法科大学院は、大学院法学研究科の中に設置された実務法律専攻という専門職学位課程で、神戸市灘区六甲台町の六甲台第1キャンパスにキャンパスを構えています。阪急六甲駅・JR六甲道駅・阪神御影駅からバスでアクセスする立地で、神戸市中心部からもほど近い環境にあります。教育目標として、すべての法曹に必要な基本的知識と応用能力を備えた職業法曹の養成、ビジネス・ローと呼ばれる企業取引関連の先端分野に強い法曹の養成、国際性・専門性に富んだ法曹の養成という3つの柱を掲げているのが、募集要項冒頭に掲載された入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)の特徴です。
法学既修者コースは、第1年次の授業科目の履修を免除するのに十分な実定法の基礎的な知識と能力を有する者を対象とし、標準修業年限は2年です。法学未修者コースは、実定法学以外の分野での専門知識や社会経験を積んだ人材を積極的に受け入れる方針が明確で、標準修業年限は3年となっています。入学者受入方針では、法学未修者コースについて「国際化の進展に対応しうる能力や意欲」「実定法学以外の分野の社会科学についての知識・能力」「豊かな社会経験」を持つ学生を求めると明記されており、法学部出身者以外や社会人経験者にも門戸が開かれた制度設計になっています。
神戸大学法科大学院の既修者コースは、単純な「一般入試」だけでなく、法学部3年次に在学したまま出願できる3年次生特別入試や、連携協定を結ぶ大学の法曹コース修了(見込)者を対象とした法曹コース生特別入試(5年一貫型・開放型)まで、合計4つの選抜区分から出願先を選べる点が神戸大学に固有の設計です。法曹コース生特別入試はさらに、神戸大学と法曹養成連携協定を結ぶ協定校の法曹コース修了見込み者を対象とした「5年一貫型」と、協定校を含むすべての大学の法曹コース修了見込み者が対象となる「開放型」に分かれます。5年一貫型は書類審査と口頭試問のみで選考されるのに対し、開放型は書類審査に加えて4科目の筆記試験が課されるという違いがあります。
実務法律専攻全体の定員は80名と、旧帝国大学系の法科大学院の中では比較的コンパクトな規模です。合格者の総数について、大学院法学研究科は「一定程度以上が他学部卒業者か社会人に該当する者であることが望ましい」という方針を書類審査の項目で明記しており、法学部出身者だけに偏らない多様な学生構成を重視していることがうかがえます。実際、既修者一般入試の中には社会人・他学部卒業者向けの集計区分が独立して設けられており、2026年度は志願者108名に対して26名が最終合格しています。法学部以外の出身者にも既修者コースへの現実的な進学ルートが用意されている点は見逃せません。
既修者コースと未修者コースでは、求める学生像自体が明確に書き分けられている点も入学者受入方針の特徴です。既修者コースでは「実定法学についての基礎的な知識と能力」が第一に掲げられているのに対し、未修者コースでは実定法学以外の分野の知識・社会経験を重視する記述が先に置かれています。どちらのコースを目指すか検討する際は、単に法学部出身かどうかだけでなく、自分がどちらの求める学生像に近いキャリア・学習歴を持っているかを踏まえて判断することが望ましいといえます。なお募集要項は、どちらのコースに出願するかは出願者の自由であり、いかなる経歴であってもいずれか一方を選択して、あるいは併願により出願できると明記しています。
教育内容の面では、神戸大学法科大学院は法学未修者向けに「未修者スタートアップ・プログラム」を継続的に実施しているのが特徴です。前期には法解釈基礎演習や法律文書作成演習で法律基本科目の基礎固めを行い、後期には修了生弁護士がチューターを務める自主ゼミなどを通じて既修者との学力差を埋めることを目的としたプログラムが組まれています。法学部出身でない受験生にとっては、入学後にこうした支援体制があることを踏まえて、入試段階では小論文・口頭試問で問われる読解力・論理的思考力の土台づくりに専念する戦略が現実的です。
入学者選抜における第一次選抜(書類審査)は、既修者一般入試だけでも2025年度に志願者379名から251名が通過するにとどまっており、書類だけで足切りが行われる選抜が実際に機能しています。第一次選抜を突破できなければ筆記試験や口頭試問に進めないため、成績等申告書・成績証明書といった書類の完成度も、法律科目の実力と並んで合否を左右する要素です。もっとも2026年度の既修者一般入試は志願者361名のうち334名が第一次選抜を通過しており、通過率は年度によって大きく変動します。
もう一つの特色として、修了後にグローバルに活躍する法曹の養成を掲げる「グローバル・ビジネスロー教育」があります。英米法・ヨーロッパ法・アジア法といった外国法科目や、ビジネスローを体系的に学べる応用・先端科目群が用意されており、企業法務や国際的な法律実務を志向する受験生にとっては、成績等申告書でこうした学修内容への関心を具体的に記述できるかどうかが書類審査での説得力につながります。法科大学院という進路そのものの全体像を確認したい場合は、法科大学院入試を徹底解説した総合ガイドもあわせてご覧ください。
募集人員と出願資格(GPA基準・法曹コース連携等)
2027(令和9)年度学生募集要項によると、実務法律専攻全体の募集人員は80名です。内訳は、法学未修者コースが20名程度(このうち5名程度を社会人・他学部生特別入試で選抜)、法学既修者コースが60名で、既修者コースの内訳はさらに既修者一般入試と3年次生特別入試で30名程度(3年次生特別入試は若干名)、法曹コース生特別入試が合計30名(5年一貫型・一般枠17名、5年一貫型・地方枠3名、開放型10名)となっています。募集人員のうち法曹コース生特別入試に30名が割り当てられている点は、連携型の法曹コースを経由した進学ルートを重視する近年の法科大学院全体の傾向を色濃く反映しています。
| コース | 入試区分 | 募集人員 | 選考方法 |
|---|---|---|---|
| 法学未修者コース | 未修者一般入試 | 20名程度(下記を含む) | 書類審査・筆記試験(小論文)・口頭試問 |
| 法学未修者コース | 社会人・他学部生特別入試 | 5名程度 | 書類審査・口頭試問 |
| 法学既修者コース | 既修者一般入試 | 30名程度(3年次生特別入試を含む) | 書類審査・7科目の筆記試験 |
| 法学既修者コース | 3年次生特別入試 | 若干名 | 書類審査・4科目の筆記試験 |
| 法学既修者コース | 法曹コース生特別入試(5年一貫型・一般枠) | 17名 | 書類審査・口頭試問 |
| 法学既修者コース | 法曹コース生特別入試(5年一貫型・地方枠) | 3名 | 書類審査・4科目の筆記試験 |
| 法学既修者コース | 法曹コース生特別入試(開放型) | 10名 | 書類審査・4科目の筆記試験 |
出願資格は募集要項の中で13区分に整理されており、代表的なものとして、日本の大学を卒業した者・令和9年3月までに卒業見込みの者、学校教育法第104条第7項の規定による学士の学位を授与された者、大学院への早期入学者などが挙げられます。大学を卒業していなくても、令和9年3月31日までに22歳に達している者で大学卒業者と同等以上の学力があると認められれば出願できる区分(短期大学・高等専門学校卒業者などを想定)も用意されています。この区分で出願する場合は、個別出願資格審査を事前に受ける必要があります。
3年次生特別入試(既修)に出願するための独自要件も明確に定められています。具体的には、令和9年3月末時点で大学に3年以上4年未満在籍することとなる者であること、そして出願時点で卒業に必要な単位のうち90単位以上を修得しており、そのうち60単位以上が「優(80点)」以上の評価であることの2点をいずれも満たす必要があります。編入学者の場合は、編入前後の大学における修得単位数を合算して判定される仕組みです。GPAの数値そのものを出願要件として掲げてはいないものの、実質的には成績上位層を対象とした選抜になっている点は、他大学の法科大学院の成績要件と比較する際の重要なポイントです。
もっとも、成績等申告書の第2表では「優」の単位数を「優・良・可」の総単位数で割った比率を小数点以下第2位まで記入させる欄が設けられており、事実上のGPA相当指標が書類審査の材料になっています。成績が点数で示される場合の換算基準も、満点の80%以上を優、70%以上80%未満を良、60%以上70%未満を可と明示されています。在籍大学の成績評価が「秀・優・良・可」の4段階なら、秀と優を合算して「優」欄に記入する扱いです。
開放型選抜(法曹コース生特別入試)に出願する場合は、令和9年3月までに法曹コースを修了見込みで同コースを設置する学部を同年月に卒業見込みであること、そして令和9年3月末時点で大学在籍期間が4年を超えないことという2要件を満たす必要があります。開放型の出願者は成績等申告書の第6表で、法曹コースの必修科目・選択必修科目について「秀・優(80〜100点)」の単位比率を申告する必要がある点も押さえておきましょう。
5年一貫型の対象となる協定校も公表されています。神戸大学法科大学院が法曹養成連携協定を締結しているのは、鹿児島大学(法文学部)・近畿大学(法学部)・熊本大学(法学部)・神戸大学(法学部)・同志社大学(法学部)・新潟大学(法学部)・立命館大学(法学部)の7大学です。このうち鹿児島大学・熊本大学・新潟大学は法科大学院が募集停止となっており、地方枠3名という募集人員はこうした地域の法曹志望者の進路を確保する趣旨と整合します。学部の法曹コース3年と法科大学院2年を合わせた計5年で司法試験の受験資格を得られる制度です。
出願書類は、入学願書・履歴書、卒業(見込)証明書、成績証明書、成績等申告書、受験票及び写真票、あて名ラベルなど所定様式の書類を番号順に並べてまとめる必要があります。併願する場合は入試ごとに書類一式を個別に用意しなければならないのが原則です。ただし成績等申告書の第2表・第3表・第5表と振替払込受付証明書については、いずれか1つの入学願書に原本、残りにはコピーを提出できます。原本を同封する願書の優先順位は、5年一貫型、未修特別、未修一般、開放型、3年次特別、既修一般の順と定められています。
出願資格の9(大学院早期入学者)・10(22歳以上の同等学力者)・11(外国の15年課程修了者等)により出願する場合は、事前に個別出願資格審査を受ける必要があります。提出書類は個別出願資格審査願・卒業証明書及び成績証明書・返信用封筒の3点で、未修特別は令和8年6月30日、それ以外は令和8年8月4日が提出期限です。結果通知はそれぞれ令和8年7月10日と8月19日に本人宛に郵送されます。個別資格審査は年度ごとに実施されるため、過去に認められた人でも改めて申し出が必要です。
「他学部卒業者」「社会人」の定義も明確化されています。「他学部卒業者」は法学系の課程以外の課程の出身者(学士(法学)を授与していない学部学科専攻等の出身者)を指し、「社会人」は大学卒業後1年以上の社会経験を有する者を指します。複数の学部を卒業している場合はいずれか1つの学部の卒業をもって判定してよいとされており、たとえば法学部と医学部を卒業した人が、学士(医学)を根拠に他学部卒業者として出願することも認められています。なお社会人であることの証明書類の提出は不要です。
入試科目と配点(法律基本科目・小論文・口頭試問)
神戸大学法科大学院の入試は、書類審査・筆記試験・口頭試問を選抜区分ごとに異なる比重で組み合わせて実施されます。2027年度募集要項に明記されている考慮比率は次の通りです。
| 選抜区分 | 書類審査 | 筆記試験 | 口頭試問 |
|---|---|---|---|
| 未修者一般入試 | 2 | 3 | あり(総合考慮) |
| 社会人・他学部生特別入試(未修) | 1 | なし | 2 |
| 既修者一般入試 | 1 | 6 | なし |
| 3年次生特別入試 | 1 | 3 | なし |
| 開放型選抜 | 1 | 3 | なし |
既修者一般入試だけは書類審査1に対して筆記試験6という極端な比率になっており、筆記試験の出来が合否をほぼ決定づける設計です。一方、未修者一般入試は書類審査・筆記試験(小論文)・口頭試問の3要素を総合的に考慮する点、社会人・他学部生特別入試(未修)は筆記試験を課さず書類審査と口頭試問のみで選考する点が、既修者コースとは大きく異なります。3年次生特別入試と開放型選抜は書類1対筆記3で、既修者一般入試よりは書類の比重が相対的に大きい設定です。
筆記試験の科目構成は、未修者一般入試が「小論文」のみであるのに対し、既修者一般入試は法律基本科目7科目(憲法・行政法・民法・会社法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法)、3年次生特別入試・開放型選抜は法律基本科目4科目(憲法・民法・会社法・刑法)が課されます。3年次特別・開放型の出願者が既修一般を併願している場合は、実質的に7科目すべてを受験したうえで、そのうち4科目の成績に基づいて3年次特別・開放型の合否が判定される仕組みです。
配点も募集要項の試験日程表に明示されています。既修者一般入試の筆記試験は合計450点満点で、民法100点・刑法100点が突出して高く、憲法・行政法・会社法・民事訴訟法・刑事訴訟法はいずれも50点です。3年次特別・開放型が受験する4科目(民法100点・会社法50点・憲法50点・刑法100点)は合計300点満点となります。
| 時間帯(令和8年11月21日) | 試験時間 | 科目(配点) | 受験する区分 |
|---|---|---|---|
| 9:30〜11:30 | 120分 | 民法(100点)・会社法(50点) | 既修一般・3年次特別・開放型 |
| 13:00〜15:00 | 120分 | 憲法(50点)・刑法(100点) | 既修一般・3年次特別・開放型 |
| 16:00〜18:00 | 120分 | 行政法(50点)・民事訴訟法(50点)・刑事訴訟法(50点) | 既修一般のみ |
筆記試験には六法の持ち込みが認められていますが、条件が細かく定められています。持ち込めるのは1冊のみで書き込みのないものに限られ、対象は「デイリー六法」(三省堂)、「ポケット六法」(有斐閣)、「司法試験用六法」(第一法規・ぎょうせい)の3種類だけです。「法科大学院試験六法」(第一法規)は持ち込みが認められていません。氏名以外の文字が1文字でも書かれていれば書き込みのある六法とみなされて不正行為の扱いになる一方、線を引くことは書き込みとみなされません。別冊・付録・追録の持ち込みは不可で、付箋も外す必要があります。
各科目の出題範囲は募集要項に細かく明示されています。憲法は範囲の限定なし、行政法は「法治主義の意義及び行政法の法源」「委任立法(委任条例を含む)及び行政内部基準」「行政処分・契約・行政指導それぞれの定義及び当てはめ」「行政手続」「行政調査」「行政上の義務の強制執行及び義務違反に対する制裁、即時強制」の6項目からの出題とされ、行政組織法や行政救済法は出題しないと明記されています。民法は財産法からの出題、会社法は株式会社の設立・株式・新株予約権・機関・計算等・定款の変更・事業の譲渡等・合併・会社分割・株式交換・株式移転・株式交付・訴訟・登記が範囲、刑法は総論すべてと各論のうち個人的法益に対する罪・放火罪・偽造罪、民事訴訟法は第一審手続を中心とする基本的事項、刑事訴訟法は刑事訴訟法学における基本的事項からの出題です。
口頭試問についても内容が公表されています。未修者一般入試の口頭試問は「成績等申告書」の第1表(法曹としての適性)等に関する簡単な質疑による15分程度の審査で、法律学の知識は問われません。社会人・他学部生特別入試(未修)の口頭試問は、第1表に加えて第4表(社会人・他学部卒業者としての経歴の概要)に関する質疑と、その場での文章読解力に関する質疑を合わせて30分程度の審査となっており、未修者一般入試より掘り下げた内容になっています。社会人・他学部生特別入試で不合格でも口頭試問で優秀と認められた場合、未修者一般入試を併願していれば口頭試問が免除されることがあります。
入学者選抜の基本方針として、大学院法学研究科は「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・協働性」「関心・意欲」という4つの要素を測ることを明示しています。既修者コースの筆記試験は主に「知識・技能」と「思考力・判断力・表現力」を、未修者コースの書類審査と口頭試問は「主体性・協働性」「関心・意欲」を含めた4要素全体を評価する設計になっており、対策の際にはどの試験がどの要素を測ろうとしているのかを意識して準備することが有効です。
出願・入試日程(二段階選抜のスケジュール)
神戸大学法科大学院の入学者選抜は、書類審査のみで行う第一次選抜と、筆記試験・口頭試問を課す第二次選抜の二段階で構成されています。2027年度(令和9年度)入学者を対象とする日程は、社会人・他学部生特別入試(未修)とそれ以外の入試とで大きく異なるスケジュールが組まれており、未修特別だけが夏に完結する点が実務上の最大の注意点です。
| 入試区分 | 出願期間 | 第一次選抜結果 | 第二次選抜試験日 | 合格発表 |
|---|---|---|---|---|
| 社会人・他学部生特別入試(未修) | 令和8年7月21日〜7月27日 | 令和8年8月19日発送 | 令和8年8月30日(口頭試問) | 令和8年9月11日14時 |
| 既修者一般・3年次特別・開放型 | 令和8年9月30日〜10月7日 | 令和8年11月4日発送 | 令和8年11月21日(筆記試験) | 令和8年12月14日14時 |
| 未修者一般入試 | 令和8年9月30日〜10月7日 | 令和8年11月4日発送 | 令和8年11月22日(小論文・口頭試問) | 令和8年12月14日14時 |
出願書類は、本研究科教務グループ宛てに書留速達での郵送のみで受け付けられ、持参や電子メールでの提出は認められません。出願期間はいずれも最終日17時必着です。検定料は30,000円で、専用の郵便局・ゆうちょ銀行払込用紙を使用して郵便局の窓口(ATM不可)で納付する必要があります。複数の入試を併願する場合でも検定料の払い込みは1回で済みますが、その場合は振替払込受付証明書の原本を1つの願書に、コピーを残りの願書に貼付する運用です。
第一次選抜で不合格になった場合(併願者はすべての入試で不合格の場合)は、申し出により検定料の一部23,000円が返還される制度があります。申し出の期限は令和9年3月12日で、第一次選抜結果通知後に別途送付される「検定料返還請求書」により手続きします。検定料30,000円については、激甚災害による被災者を対象とした免除の特別措置も用意されており、該当する可能性がある場合は法学研究科教務グループへの早めの問い合わせが必要です。
既修者一般入試・3年次生特別入試・開放型選抜の筆記試験は、令和8年11月21日の1日で7科目すべてを実施します。9時30分から11時30分に民法・会社法、13時から15時に憲法・刑法、16時から18時に行政法・民事訴訟法・刑事訴訟法という3コマ構成で、1日で計6時間の筆記試験を受けることになります。3年次特別・開放型の出願者は民法・会社法・憲法・刑法の時間帯のみ受験すればよく、既修一般を併願している場合は続けて行政法・民事訴訟法・刑事訴訟法も受験する流れです。試験会場は神戸大学六甲台第1キャンパス(神戸市灘区六甲台町2-1)で、社会人・他学部生特別入試(未修)の口頭試問のみ対面またはオンラインを選択できます。ただし「神戸」を選択した場合でも、天候等の状況によりオンラインに変更される可能性があると明記されています。
身体の障がい等を有する志願者で受験上及び修学上の配慮を希望する場合は、原則として社会人・他学部生特別入試(未修)は令和8年6月30日までに、それ以外の入試は令和8年8月4日までに、本研究科教務グループへ必要書類を提出する必要があります。出願期間より前倒しでの申請が必須となる点は見落としやすいため、配慮を希望する場合は募集要項公開後できるだけ早い段階で申請書式を確認しておくことをおすすめします。
3年次特別・開放型の合格者のうち入学手続を行った者は、行政法・民事訴訟法・刑事訴訟法の3科目について3月下旬に履修免除試験を受けることになり、合格した科目に対応する1年次配当科目(行政法基礎2単位・民事訴訟法基礎3単位・刑事訴訟法基礎3単位)の履修が免除される仕組みです。既修一般にも出願して合格水準に達した場合は履修免除試験は不要となり、開放型の合格者のうち協定校の法曹コースを修了した人も受験する必要がありません。
入学手続は既修者コース・未修者一般入試が12月下旬頃、社会人・他学部生特別入試(未修)は11月中下旬頃を予定しており、具体的な日程は合格発表時に通知されます。辞退者等による欠員が生じた場合の欠員補充(追加合格)は12月中下旬頃に予定されており、不合格通知とあわせて対象者に案内される運用です。他大学の法科大学院とのスケジュール比較をしたい場合は、法科大学院の入試日程一覧で主要校の日程を横断的に確認できます。
倍率・難易度の推移(2024〜2026年度の入試結果)
神戸大学法科大学院の難易度を測るうえで最も信頼できる指標は、大学院法学研究科が毎年公表している入試結果PDFです。2027年度募集要項にも令和6〜8年度(2024〜2026年度)の3年分がまとめられており、コース別の志願者数・合格者数・入学者数を横断比較できます。
| 年度 | 未修 志願者(うち未修特別) | 未修 合格者 | 未修 単純倍率 | 既修 志願者[法曹コース] | 既修 合格者 | 既修 単純倍率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024(令和6)年度 | 161(40) | 27 | 約6.0倍 | 486[102] | 160 | 約3.0倍 |
| 2025(令和7)年度 | 164(44) | 23 | 約7.1倍 | 565[148] | 122 | 約4.6倍 |
| 2026(令和8)年度 | 153(39) | 24 | 約6.4倍 | 509[116] | 135 | 約3.8倍 |
3年間を通して見ると、最も厳しかったのは2025(令和7)年度でした。既修者コースは志願者が565名まで増えた一方で合格者が122名に絞られ、単純倍率は約4.6倍まで上昇しています。2026年度は志願者が509名へ減り、合格者は135名に戻ったため、倍率は約3.8倍へと緩和しました。未修者コースも2025年度の約7.1倍が3年間で最も高く、2026年度は約6.4倍です。志願者数と合格者数のどちらも年度ごとに動くため、単年の倍率だけで難易度を判断せず、複数年度の幅で捉えることをおすすめします。
2026(令和8)年度の実務法律専攻全体では、志願者662名、第一次選抜合格者571名、第二次選抜受験者494名、最終合格者159名でした。全体の単純倍率は約4.2倍、第二次選抜の受験者数を基準にした実質倍率は約3.1倍です。区分ごとの内訳は次のとおりです。
| 選抜区分 | 志願者数 | 第1次選抜合格者 | 第2次選抜受験者 | 最終合格者 | 単純倍率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 未修者一般入試(小計) | 114 | 88 | 70 | 16 | 約7.1倍 |
| 社会人・他学部生特別入試(未修) | 39 | 18 | 18 | 8 | 約4.9倍 |
| 既修者一般入試(小計) | 361 | 334 | 282 | 90 | 約4.0倍 |
| 3年次生特別入試(既修) | 32 | 26 | 24 | 3 | 約10.7倍 |
| 法曹コース生特別入試・5年一貫型(一般枠) | 43 | 35 | 35 | 19 | 約2.3倍 |
| 法曹コース生特別入試・5年一貫型(地方枠) | 5 | 5 | 5 | 3 | 約1.7倍 |
| 法曹コース生特別入試・開放型 | 68 | 65 | 60 | 20 | 約3.4倍 |
| 総計 | 662 | 571 | 494 | 159 | 約4.2倍 |
この表から読み取れる最大のポイントは、同じ大学の中で区分ごとの倍率が2倍から10倍超まで開くという事実です。3年次生特別入試は募集人員が「若干名」にとどまるため、2026年度は志願者32名に対して合格者3名で約10.7倍、2025年度は志願者38名に対して合格者2名で19倍という水準でした。反対に法曹コース生特別入試の5年一貫型は、2026年度が一般枠約2.3倍・地方枠約1.7倍と、出願できる母集団が協定校の法曹コース修了見込み者に限定される分、通過率が高くなっています。
既修者一般入試に注目すると、2024年度は志願者367名・合格者108名で約3.4倍、2025年度は志願者379名・合格者72名で約5.3倍、2026年度は志願者361名・合格者90名で約4.0倍と推移しています。志願者数はほぼ横ばいで、合格者数の増減が倍率を動かしている構図です。既修者一般入試のうち社会人・他学部卒業者の集計区分だけを見ると、2026年度は志願者108名・合格者26名で約4.2倍と、一般枠(志願者253名・合格者64名で約4.0倍)とほぼ同水準でした。
第一次選抜(書類審査)の通過率も年度で大きく変動します。既修者一般入試では、2024年度が志願者367名中313名で約85%、2025年度が379名中251名で約66%、2026年度が361名中334名で約93%が通過しました。書類だけで3分の1が落ちる年度もあるため、成績等申告書と成績証明書を軽視した出願は危険です。社会人・他学部生特別入試(未修)はさらに厳しく、2026年度は志願者39名のうち第一次選抜通過が18名(約46%)、2025年度は44名のうち13名(約30%)にとどまっています。
実際の入学者数まで見ると、また違った景色が見えてきます。2024年度は未修12名・既修76名、2025年度は未修14名・既修52名、2026年度は未修15名・既修65名でした。未修者コースの入学者数は12〜15名で安定している一方、既修者コースは52〜76名と年度によって20名以上の幅があります。既修者コースの入学者のうち法曹コース生特別入試経由は2024年度32名、2025年度27名、2026年度21名で、募集人員30名に対して実際の入学者はやや下回る年度が続いています。他研究科の倍率も含めて神戸大学の大学院進学全体を比較したい場合は、神戸大学大学院の入試倍率まとめもあわせて確認してください。
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神戸大学法科大学院 合格者の出身大学と偏差値の考え方
神戸大学法科大学院は、合格者の出身大学を毎年の入試結果PDFで公表しています。公表対象は合格者数が2名以上の大学のみで、既修者コースと未修者コースが別々に集計されています。志望校選びの際に「どの大学から合格しているのか」を知りたい受験生にとって、推測ではなく公式データで確認できる貴重な情報です。
| 順位 | 2026(令和8)年度 | 2025(令和7)年度 | 2024(令和6)年度 |
|---|---|---|---|
| 1 | 神戸大学 35名 | 神戸大学 31名 | 京都大学 34名 |
| 2 | 京都大学 18名 | 京都大学 23名 | 神戸大学 29名 |
| 3 | 大阪大学 13名 | 同志社大学 20名 | 同志社大学 13名 |
| 4 | 同志社大学 12名 | 大阪大学 7名 | 立命館大学 12名 |
| 5 | 立命館大学 11名 | 大阪公立大学(大阪市立大学)6名 | 大阪大学 10名/中央大学 10名 |
| 6 | 関西大学 9名 | 立命館大学 5名 | 関西大学 7名 |
| 7 | 大阪公立大学 5名 | 関西大学 4名/九州大学 4名 | 大阪市立大学 6名 |
2026年度の既修者コース合格者の出身大学は、神戸大学35名を筆頭に、京都大学18名、大阪大学13名、同志社大学12名、立命館大学11名、関西大学9名、大阪公立大学5名、関西学院大学4名、九州大学3名、熊本大学3名、新潟大学3名、中央大学3名、千葉大学2名、東京大学2名、名古屋大学2名という構成でした。2名以上の大学だけで125名を占め、既修者コース合格者135名の9割以上がこれらの大学の出身者です。
3年分を並べると、いくつかの傾向が明確に読み取れます。第一に、神戸大学出身者は2025・2026年度と2年連続で最多で、既修者コース合格者に占める割合は2024年度の約18%から2026年度は約26%へ上昇しています。第二に、京都大学出身者は2024年度の34名から2026年度は18名へと半減しました。第三に、熊本大学・新潟大学といった法曹コース協定校の出身者が2026年度に3名ずつ入っており、5年一貫型・地方枠という制度が実際に機能していることが数字に表れています。
未修者コースの合格者出身大学は、そもそも合格者数が20名台と少ないため、2名以上の大学の顔ぶれも年度で入れ替わります。2026年度は神戸大学3名、慶応義塾大学2名、九州大学2名、東京大学2名。2025年度は同志社大学3名、神戸大学2名、東京外国語大学2名、国際基督教大学2名、東京大学2名。2024年度は大阪大学4名、神戸大学3名、早稲田大学3名、中央大学2名、津田塾大学2名でした。東京外国語大学や津田塾大学など法学部を持たない大学の名前が並ぶ年度もあり、未修者コースが他学部出身者の受け皿として機能していることが確認できます。
この出身大学データの読み方には注意も必要です。公表されているのは合格者数が2名以上の大学のみであり、1名だけ合格した大学は数字に表れません。既修者コースでは2026年度に合格者135名のうち10名前後が公表対象外の大学の出身と計算でき、名前が載っていない大学から合格していないわけではない点は押さえておきましょう。また、これは合格者の内訳であって出願者の内訳ではないため、出身大学ごとの合格率を示すものでもありません。
次に、検索でよく問われる「神戸大学法科大学院の偏差値」についてです。結論から言えば、法科大学院に大学入試のような偏差値は設定されていません。神戸大学法科大学院も偏差値を公表しておらず、入試結果PDFで公開しているのは志願者数・第一次選抜合格者数・第二次選抜受験者数・合格者数・入学者数と、合格者の出身大学だけです。合格最低点や科目別の平均点も公表されておらず、本人が請求した場合に自分の総合順位と各科目の得点が開示される仕組みになっています。
そのため、神戸大学法科大学院の難易度を客観的に測るには、偏差値ではなく次の3つの指標を組み合わせるのが実務的です。1つ目は区分別の倍率で、2026年度は既修者一般入試が約4.0倍、3年次生特別入試が約10.7倍でした。2つ目は司法試験の実績で、令和7年司法試験の最終合格率41.2%は全国平均34.3%を上回ります。3つ目が合格者の出身大学構成で、上位に並ぶのは神戸大・京大・阪大と関関同立という顔ぶれです。関西圏の他大学と比較検討する場合は、京都大学法科大学院の入試を徹底解説や大阪大学法科大学院の入試を徹底解説も参考になります。
科目別対策(法律基本科目・小論文)
既修者コースの筆記試験対策では、7科目(または3年次特別・開放型の4科目)を1日で受験する体力面の準備に加えて、出題範囲が募集要項で細かく限定されている点を最大限に活用することが重要です。行政法は6項目に出題範囲が限定されており、行政行為の効力論・分類論・取消しと無効の区別・違法性の承継、行政組織法、行政救済法(行政不服審査法・行政事件訴訟法・国家賠償法・損失補償)は出題されないと明記されています。この範囲限定を踏まえ、限られた学習時間を「法治主義と法源」「委任立法」「行政処分・契約・行政指導の定義と当てはめ」「行政手続」「行政調査」「行政上の強制執行・即時強制」の6テーマに集中投下することが効率的な対策につながります。
民法は財産法からの出題に限定されており、家族法(親族・相続)は範囲外です。会社法は株式会社の設立・株式・新株予約権・機関・計算等・定款の変更・事業の譲渡等・合併・会社分割・株式交換・株式移転・株式交付・訴訟・登記という株式会社に関する条文知識が広く問われる範囲設定になっています。刑法は総論全体に加えて各論のうち個人的法益に対する罪、放火罪、偽造罪に限定されており、それ以外の社会的法益・国家的法益に対する罪は出題範囲から外れています。民事訴訟法は第一審手続を中心とする基本的事項、刑事訴訟法は刑事訴訟法学における基本的事項が対象です。
一方で憲法は出題範囲の限定が一切なく、統治機構・人権分野を問わず幅広い出題可能性がある科目です。7科目の中で唯一範囲の絞り込みができない科目であるため、判例学習を含めた網羅的な学習が必要になります。民事訴訟法・刑事訴訟法についても「基本的事項」という表現にとどまり、行政法・会社法・刑法ほど項目が細かく限定されているわけではないため、基本書レベルの体系的理解を前提としたうえで、頻出論点を優先的に固めていく学習計画が現実的です。3年次特別・開放型の4科目(憲法・民法・会社法・刑法)は、範囲の絞り込みが効きにくい憲法と、範囲が明確な民法・会社法・刑法が混在する構成である点も意識しておきましょう。
配点面では、既修者一般入試の筆記試験合計450点のうち、民法100点・刑法100点が特に高く設定されています。会社法・憲法・行政法・民事訴訟法・刑事訴訟法はそれぞれ50点で、民法と刑法で全体の4割強を占める配点構造です。ただし配点の重い科目に学習時間を寄せすぎるのは危険で、7科目中2科目以上が一定の成績に達しない(欠点となる)場合は他の科目の成績にかかわらず不合格となるルールが設けられています。3年次特別・開放型の場合は4科目中1科目以上の欠点で不合格となるため、4科目型のほうが欠点への耐性が低い点にも注意が必要です。
この欠点制度があるため、既修者コースの学習計画は「得意科目で稼ぐ」より「穴を作らない」ことを優先すべきです。特に3年次特別・開放型を第一志望とする受験生は、憲法・民法・会社法・刑法の4科目のうち1科目でも大きく崩すと、他の3科目の出来にかかわらず不合格となります。範囲が限定されている民法(財産法)・会社法(株式会社)・刑法(総論と一部各論)は、限定の範囲内で確実に得点できる状態まで仕上げ、範囲が限定されない憲法で最低限の水準を割らない答案を書けるようにしておく組み立てが合理的です。
3年次特別・開放型の合格者が3月に受ける履修免除試験(行政法・民事訴訟法・刑事訴訟法)も、既修一般と同一の出題範囲が適用されます。入学前の3月まで学習を継続する前提で計画を立てることで、既修一般の受験科目対策と履修免除試験対策を一体的に進められます。3年次特別・開放型で合格した場合でも、入学後の学習負担を軽くするために履修免除試験に向けた学習を途切れさせない意識が重要です。
未修者一般入試の筆記試験は小論文1科目(120分)です。法律の専門知識を問う出題ではありませんが、募集要項は入学者選抜の基本方針の中で、小論文試験と口頭試問により文章の正確な読解力・分析力、論理的思考力、表現力を評価すると明記しています。社会的なテーマや倫理的な論点についての課題文を読み、論理的に構成された答案を時間内に書き上げる訓練が求められます。過去問が公式サイトで公開されているため、実際の出題形式・分量・制限時間を体感しながら演習を重ねることが有効な対策です。
未修者一般入試は書類審査2・筆記試験3の比率に加えて口頭試問の結果も総合考慮されるため、小論文の出来だけで合否が決まるわけではない点も踏まえた対策設計が必要です。第一次選抜が書類審査のみで実施される以上、成績等申告書での自己アピールが第二次選抜に進めるかどうかを左右します。他学部での専門的な学習成果や社会経験を、法曹を目指す動機や神戸大学法科大学院で学びたい理由と結びつけて具体的に記述しておくことが、書類審査突破の土台になります。
口頭試問・出願書類対策と過去問分析
神戸大学法科大学院の未修者コース入試では、法律知識を問わない口頭試問が合否を左右する重要な要素です。未修者一般入試の口頭試問は15分程度で、成績等申告書「第1表(法曹としての適性)」に関する簡単な質疑が中心となります。社会人・他学部生特別入試(未修)の口頭試問は30分程度と長く、第1表に加えて第4表(社会人・他学部卒業者としての経歴の概要)に関する質疑と、その場で示される文章の読解力を問う質疑の両方が課されます。社会人・他学部出身者としての経歴やキャリアをどう法曹志望につなげるかを、成績等申告書の記述と整合させながら簡潔に語れるよう準備しておくことが重要です。
成績等申告書は出願書類の中核をなす資料で、書類審査の対象として大学の卒業(見込)証明書・成績証明書とあわせて提出します。第1表「法曹としての適性」は全員提出で、優秀な法曹に必要となる適性や能力をどのようなものと考えるかを述べたうえで、それを自分が備えているかを客観的・具体的・説得的に記入する形式です。分量は標準1,000字程度・上限1,200字と明記されており、改行による空白部分も文字数に含まれます。併願する場合、第1表だけは入試ごとに個別に作成する必要があり、コピーの使い回しは認められていません。
第1表で特に注意すべきは、募集要項が「法曹としての適性を論じたものと判断されない例」を明示している点です。単に志望動機のみを記入したもの、司法試験に合格するための適性を述べているもの、法的知識を前提としない未修者コース出願者が法的知識を有することを述べているもの、単に医師や司法書士などの資格を有することを述べているものは、いずれも適性を論じたものと評価されないとされています。資格や経験を並べるだけでなく、それが法曹としての適性や能力とどう結びつくのかを自分の言葉で論証する構成が求められます。
能力を証明する書類として認められないものも列挙されています。大学の教員や職場の上司などの推薦書はいかなるものも提出できません。日弁連法務研究財団の法学既修者試験および法学検定試験の成績、司法試験の短答式・論文式試験の合格歴や成績、司法試験予備試験の短答式・論文式試験の合格歴や成績、LSATの成績も認められない書類として明記されています。予備試験の短答式に合格しているといった実績を出願書類でアピールする戦略は、神戸大学法科大学院では通用しない設計になっているわけです。
逆に加点材料として使えるのが第3表「外国語の能力」で、こちらは任意提出です。TOEFL・TOEIC・実用英語技能検定・国連英検・ケンブリッジ英語検定に加え、TECC(中国語コミュニケーション能力検定)・HSK・実用中国語技能検定試験・KLAT・TOPIK・ハングル能力検定試験なども対象で、受験日や証明書の発行日に制限はありません。ただしTOEICのIP(団体特別受験制度)など公式認定書が出ない制度での成績、大学の外国語授業の成績、外国の大学の卒業証明書、外国語で執筆した論文は証明書類として認められません。複数の外国語について提出することも可能です。
再受験を検討している人にとって重要なのが、過去の受験歴の扱いです。募集要項は、過去に受験して不合格となった事実や合格を辞退した事実は、当年度の選抜で有利にも不利にも考慮されないと明記しています。前年度に不合格だったことが翌年の書類審査で不利に働くことはないため、開示された得点をもとに弱点を潰して再挑戦する戦略が取りやすい制度設計です。
その入試情報開示制度についても押さえておきましょう。筆記試験のすべての科目および口頭試問を受験した人(第一次選抜不合格者は対象外)は、令和9年5月1日から5月31日の間に請求すれば総合順位と筆記試験各科目の得点が本人に開示されます。受験票の写しと返信用レターパックライトを同封して教務グループへ郵送で請求する方式で、6月以降に順次発送されます。開放型・既修一般など複数区分を併願していた場合に、どの科目でどの程度の得点だったのかを客観的に把握できるため、再挑戦時の学習計画の起点として活用できます。
過去問については、神戸大学法科大学院公式サイトの「過去の入試」ページで、2022(令和4)年度から2026(令和8)年度までの5年分の入試問題と「出題の意図」が公開されています。同じページで各年度の入試結果PDFも入手できます。既修者コースの筆記試験は法律基本科目からの出題であり、募集要項に明示された出題範囲と実際の過去問を照らし合わせることで、出題傾向の把握と的を絞った演習が可能です。未修者コースの小論文についても過去年度の問題を確認できるため、実際の分量・時間配分を体感しながら演習を重ねることをおすすめします。年度により出題傾向や難易度は変動するため、直近の過去問だけでなく複数年度分を比較しながら傾向を分析することが有効です。
併願戦略・司法試験合格率・学費
神戸大学法科大学院は、出願資格を満たせば既修者コース内の複数区分(既修者一般・3年次生特別・法曹コース生特別入試の開放型)を併願できる制度設計になっています。既修一般と3年次特別・開放型を併願した場合、筆記試験は実質的に7科目すべてを受験することになり、そのうち4科目の成績で3年次特別・開放型の合否が、7科目全体の成績で既修一般の合否が判定されます。複数区分で合格水準に達した場合は開放型、3年次特別、既修一般の順で合格が優先される仕組みのため、法曹コースに在籍している受験生にとっては開放型選抜を軸にしつつ既修一般も併願する戦略が合理的です。
併願にあたっての制約も整理しておきましょう。未修特別の合格者は未修一般を受験できません。5年一貫型の合格者は開放型を受験できません。法学既修者コースと法学未修者コースの両方に出願した場合は、既修者コースが第1志望として扱われます。検定料は併願しても1回分(30,000円)で済むため、出願資格を満たす区分については積極的に併願を検討する価値があります。社会人・他学部生特別入試(未修)は未修者一般入試より出願期間が2か月以上早く設定されているため、スケジュール管理には特に注意が必要です。
司法試験合格率については、令和7年司法試験において神戸大学法科大学院出身の受験者136人に対し、短答合格者103人(短答合格率75.7%)、最終合格者56人、最終合格率41.2%という実績が公表されています。同年の全国平均は短答72.3%・最終34.3%であり、いずれも上回る水準です。最終合格者10名以上の法科大学院の中では全国8位でした。平成17年から令和7年までの累計では、修了者1,449人と在学中受験者66人を合わせた1,487人が受験し、1,100人が合格。累計合格率73.97%で全国5位という位置づけです。
学費面では、2027年度募集要項に令和8年度実績として、入学料282,000円、授業料が半期402,000円(年額804,000円)と記載されています。このほか学生教育研究災害傷害保険および法科大学院生教育災害賠償責任保険の保険料として、法学未修者コースは7,520円(3年分)、法学既修者コースは5,030円(2年分)が必要です。令和9年度の入学料・授業料は現時点で未定と明記されているため、最新の金額は必ず公式サイトで確認してください。
| 項目 | 金額(令和8年度実績) | 既修者コース(2年) | 未修者コース(3年) |
|---|---|---|---|
| 入学料 | 282,000円 | 282,000円 | 282,000円 |
| 授業料(年額) | 804,000円 | 1,608,000円 | 2,412,000円 |
| 保険料 | — | 5,030円 | 7,520円 |
| 合計の目安 | — | 約190万円 | 約270万円 |
検定料は30,000円で、第一次選抜で不合格となった場合は申し出により23,000円が返還されます。修業年限が既修2年・未修3年と異なるため、未修者コースは既修者コースより授業料が1年分多く必要になる点は進路選択の際に押さえておきたい要素です。学費の総額だけで進学先を比較するのではなく、修業年限・司法試験の合格実績・通学の可否を含めた総合的な判断が求められます。
経済的支援の制度も整備されています。日本学生支援機構の第一種奨学金(無利息)・第二種奨学金(利息付)を大学経由で申し込むことができ、成績優秀な修了者は返還免除の対象となる場合があります。経済的理由により納付が困難な人に対しては入学料・授業料の全部または一部を免除する制度が設けられており、そのほか育英奨学団体の制度も利用可能です。社会人にとって見逃せないのが、神戸大学法科大学院が厚生労働大臣指定講座として専門実践教育訓練給付金の対象になっている点で、雇用保険の被保険者など一定要件を満たす人が利用できます。
神戸大学法科大学院は関西圏の旧帝国大学系ロースクールとして、志望校選びの段階で京都大学・大阪大学の法科大学院と比較検討されることが多い進学先です。既修者コースは筆記試験7科目・書類審査1対筆記試験6という配点比率の下で法律基本科目の実力が直接問われる一方、未修者コースは社会人・他学部出身者を積極的に受け入れる方針が明確なため、法学以外のバックグラウンドを強みにしたい受験生にとっては出願しやすい選択肢になり得ます。神戸大学法科大学院の入試対策を効率的に進めたい場合は、大学院入試対策コースで、法律基本科目の答案作成や小論文・口頭試問対策を個別に相談することもできます。
よくある質問(FAQ)
神戸大学法科大学院の難易度はどのくらいですか
2026(令和8)年度入試の実績では、実務法律専攻全体で志願者662名・最終合格者159名、単純倍率は約4.2倍でした。コース別では既修者コースが約3.8倍、未修者コースが約6.4倍です。区分別に見ると、既修者一般入試が約4.0倍、開放型選抜が約3.4倍、3年次生特別入試が約10.7倍と幅があります。同じ大学でも出願する区分で難易度が大きく変わるため、自分が出願できる区分の倍率で判断することをおすすめします。修了後の実績としては、令和7年司法試験の最終合格率41.2%が全国平均34.3%を上回っています。
神戸大学法科大学院の合格者の出身大学はどこが多いですか
2026年度の既修者コース合格者では、神戸大学35名が最多で、京都大学18名、大阪大学13名、同志社大学12名、立命館大学11名、関西大学9名と続きます。2025年度も神戸大学31名が最多、2024年度は京都大学34名・神戸大学29名の順でした。未修者コースは合格者数が少なく年度で顔ぶれが変わり、2026年度は神戸大学3名・慶応義塾大学2名・九州大学2名・東京大学2名です。公表対象は合格者2名以上の大学のみのため、1名合格の大学は表に現れません。
神戸大学法科大学院に偏差値はありますか
法科大学院には大学入試のような偏差値は設定されておらず、神戸大学法科大学院も偏差値を公表していません。公式に確認できる難易度の指標は、入試結果PDFで公開される志願者数・第一次選抜合格者数・第二次選抜受験者数・合格者数・入学者数と、合格者の出身大学です。合格最低点や科目別平均点も非公表で、受験者本人が請求した場合に総合順位と各科目の得点が開示される仕組みになっています。難易度は倍率・司法試験合格率・合格者の出身大学構成の3つで捉えるのが現実的です。
入学料・授業料はいくらかかりますか
2027年度募集要項に記載された令和8年度実績では、入学料282,000円、授業料は半期402,000円(年額804,000円)です。このほか保険料として法学未修者コースは7,520円(3年分)、法学既修者コースは5,030円(2年分)が必要です。単純計算では既修者コース(2年)が約190万円、未修者コース(3年)が約270万円が目安になります。令和9年度の金額は現時点で未定とされているため、最新の金額は公式サイトでご確認ください。入学料・授業料の免除制度や専門実践教育訓練給付金の対象講座にもなっています。
3年次生特別入試に出願するにはどのくらいの成績が必要ですか
募集要項では、出願時点で卒業に必要な単位のうち90単位以上を修得しており、そのうち60単位以上が「優(80点)」以上の評価であることが要件として明記されています。単位数だけでなく評価の質も問われる要件のため、早期から高い評価を積み重ねておくことが重要です。編入学者の場合は編入前後の大学の単位を合算して判定されます。加えて、令和9年3月末時点で大学に3年以上4年未満在籍することとなる在籍期間の要件も満たす必要があります。
既修者コースの筆記試験ではどの科目の配点が高いですか
既修者一般入試の筆記試験(合計450点)では、民法100点・刑法100点が他の5科目(憲法・行政法・会社法・民事訴訟法・刑事訴訟法各50点)より高く設定されています。民法と刑法だけで全体の4割強を占めるため、この2科目の対策優先度は高いといえます。ただし7科目中2科目以上の欠点で不合格となるルールがあるため、全科目のバランスも欠かせません。3年次特別・開放型は民法100点・会社法50点・憲法50点・刑法100点の計300点で、4科目中1科目の欠点で不合格となります。
過去問はどこで確認できますか
神戸大学法科大学院公式サイトの「過去の入試」ページで、2022(令和4)年度から2026(令和8)年度までの5年分の入学試験問題と「出題の意図」が公開されています。既修者コースは法律基本科目、未修者コースは小論文の実際の出題を確認でき、同じページで各年度の入試結果PDFも入手できます。募集要項に明記された出題範囲とあわせて演習に活用することをおすすめします。不合格だった場合は入試情報開示制度で総合順位や各科目の得点を取り寄せ、過去問演習の結果と照らし合わせて弱点を分析するのも有効です。
未修者コースは社会人でも出願できますか
可能です。社会人・他学部生特別入試(未修)は、大学卒業後1年以上の社会経験を有する者、または法学系以外の学部を卒業した者を対象としています。書類審査と口頭試問のみで選考され、筆記試験は課されません。社会人であることの証明書類の提出は不要です。出願期間は令和8年7月21日から27日と未修者一般入試より2か月以上早く、口頭試問は対面かオンラインを選択できます。2026年度は志願者39名に対して合格者8名でした。
まとめ|神戸大学法科大学院の入試対策のポイント
- 実務法律専攻の募集人員は合計80名で、既修者コース60名(既修一般・3年次特別で30名程度、法曹コース特別30名)、未修者コース20名程度(うち社会人・他学部生特別5名程度)という構成です
- 既修者コースは既修者一般・3年次生特別・法曹コース生特別入試(5年一貫型・開放型)の4区分に分かれ、区分ごとに筆記試験の有無や科目数、選考比率が異なります
- 既修者一般入試は法律基本科目7科目の筆記試験が書類審査の6倍の比重で課され、合計450点のうち民法100点・刑法100点が重く、出題範囲が科目ごとに細かく限定されています
- 7科目中2科目以上(3年次特別・開放型は4科目中1科目以上)が欠点となると他科目にかかわらず不合格となるため、穴を作らない学習計画が必要です
- 2026(令和8)年度の実績は志願者662名・最終合格者159名で単純倍率約4.2倍。既修者コース約3.8倍、未修者コース約6.4倍で、3年次生特別入試は約10.7倍と区分差が大きい状況です
- 合格者の出身大学は2026年度の既修者コースで神戸大学35名・京都大学18名・大阪大学13名の順。神戸大学出身者が2年連続で最多となっています
- 令和7年司法試験では受験者136人に対し最終合格者56人・合格率41.2%(全国平均34.3%)で、累計合格率73.97%は全国5位の水準です
- 学費は令和8年度実績で入学料282,000円・授業料年額804,000円。既修2年で約190万円、未修3年で約270万円が目安で、専門実践教育訓練給付金の対象講座にもなっています
- 出願は書留速達郵送のみ、検定料は30,000円(第一次不合格者は23,000円返還)で、未修特別だけが令和8年7月出願・8月試験・9月発表と大きく前倒しになります
神戸大学法科大学院の入試は、既修者コース内だけでも4つの選抜区分があり、それぞれで問われる内容や配点比率、倍率が大きく異なります。法学部に在籍していて成績上位層にいるなら3年次生特別入試や法曹コース生特別入試、法律基本科目の実力に自信があるなら既修者一般入試、法学部以外の出身や社会人経験を強みにできるなら未修者コースというように、自分の出願資格・学習実績に合った区分を見極めることが出発点になります。そのうえで、募集要項に明示された出題範囲・配点・選考比率と、公開されている5年分の過去問を照らし合わせながら、区分ごとの対策を計画的に進めていくことが重要です。
特に既修者コースは、範囲が限定されている科目で確実に得点し、範囲が限定されない憲法で崩れないという二正面の準備が求められます。未修者コースでは、上限1,200字の第1表で法曹としての適性を論証できるかどうかが第一次選抜の関門になります。答案の書き方や書類の論証は独学では客観的な評価を得にくい領域でもあるため、対策に不安がある場合は、専門の指導を活用して第三者の視点から添削を受けるのも一つの方法です。
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