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【2027年度】筑波大学法科大学院の入試|社会人向け夜間ロースクールの倍率・難易度・過去問

筑波大学法科大学院の入試について、既修者コースと未修者コースの募集人員・出願資格・入試科目・倍率・対策を解説する記事のアイキャッチ画像
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筑波大学法科大学院は、東京メトロ丸ノ内線 茗荷谷駅から徒歩約3分の東京キャンパス文京校舎に拠点を置き、社会人を主な対象とした夜間の法科大学院として運営されている国立大学のロースクールです。公式サイトの概要ページでも「社会人を主な対象とした、夜間の法科大学院」と明記されており、授業は月曜から金曜の18時20分から21時までと、土曜の昼間に開講されています。入学定員は36名で、法学未修者コース26名程度・法学既修者コース10名程度という内訳になっています。法科大学院とは、法曹(裁判官・検察官・弁護士)を養成するための専門職大学院であり、所定の課程を修了することで司法試験の受験資格が得られる法学教育機関です。

筑波大学法科大学院を検討するうえで最初に押さえておきたいのは、出願資格の構造です。2027年度(令和9年度)の募集要項では、出願資格として学歴要件(A)と職歴要件(B)が示されており、その両方を満たすことが求められています。つまり社会人経験は加点要素ではなく出願の前提条件であり、この点が他大学の法科大学院とは決定的に異なります。学部を卒業したばかりで就業経験がない方が、いわゆる一般的なロースクール入試と同じ感覚で出願準備を進めてしまうと、出願そのものができないという事態になりかねません。

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本記事では、筑波大学法科大学院の2027年度(令和9年度)入学試験について、募集人員・出願資格・入試科目と配点・日程を公式の募集要項に基づいて整理し、さらに公式PDFで公表されている令和8年度の志願者428名・競争倍率9.00倍という実数、合格者の平均年齢や出身学部の内訳、公開されている過去問と出題趣旨から読み取れる出題傾向、司法試験合格率の推移までを一つの記事にまとめました。掲載している数値はすべて筑波大学の公式サイトおよび東京キャンパスの募集要項ページで確認できるもので、確認できなかった事項については推測で埋めず、そのことを明示しています。

想定している読者は、社会人としてキャリアを積んだうえで法曹への転身を考えている方、学部時代に法律を学んでいなかったものの未修者コースからの挑戦を検討している方、そして他大学の法科大学院と併願先として筑波大学を比較している方です。まずご自身が未修者コースと既修者コースのどちらに該当するのか、そして職歴要件を満たしているのか、あるいは出願資格審査が必要な区分に当たるのかを確認したうえで、各セクションを対策スケジュールの組み立てにお役立てください。

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目次

筑波大学法科大学院とは|社会人を主な対象とした夜間の法科大学院

筑波大学法科大学院の正式名称は、筑波大学大学院 人文社会ビジネス科学学術院 法曹専攻(法科大学院)〔専門職学位課程〕です。設置されているのは法学未修者コース(標準修業年限3年)と法学既修者コース(同2年)の2つで、未修者コースは法律を体系的に学んだ経験がない方を主な対象とし、既修者コースは法律基本科目を一定水準まで習得済みの方が2年間で修了できる設計になっています。どちらのコースで受験するかは出願者の選択によります。

授業は平日夜間と土曜昼間|時間割の実際

公式サイトの概要ページによれば、授業は月曜から金曜が18時20分から21時までで1日2時限、土曜が10時20分から13時までと13時45分から17時50分までの計5時限という構成です。この時間割は、日中はフルタイムで勤務し、夜と週末に通学するという生活を前提に設計されたものです。平日の勤務終了後に茗荷谷まで移動して2コマ受講し、土曜に集中的に5コマ受講するというサイクルが基本形になります。裏を返せば、平日の残業が読めない職種や、出張が頻繁に発生する職種では、履修計画の立て方に工夫が必要になります。

標準修業年限は未修者コースが3年、既修者コースが2年ですが、これに加えて長期履修制度が用意されています。未修者コースは4年、既修者コースは3年まで延長でき、働きながら資格取得を目指す社会人のうち、標準年限では修了が難しい方が対象です。この制度の詳細と費用面の扱いについては、後半の学費のセクションで具体的に取り上げます。

学習環境|24時間利用できる自習室とリーガルクリニック

公式サイトの「筑波大学法科大学院の魅力」ページでは、学習環境としてキャレル120席分の自習室が24時間利用可能であることが挙げられています。日曜・祝日・年末年始を含めて開放されているため、平日夜と土曜以外の時間をどう使うかを自分で設計できる点は、勤務時間が不規則な社会人にとって実務的な意味を持ちます。授業前後の空き時間や、休日の集中学習の場として活用できるためです。

教育面では、法律基本科目群と法律実務基礎科目群を軸に幅広い科目が設置され、双方向授業と少人数制クラスが重視されています。特徴的なのは、法科大学院に併設された法律事務所で実際のクライアントと接しながら実務を学ぶリーガルクリニックが用意されている点です。加えて、若手弁護士をチューターとした少人数ゼミが開設されており、授業以外の場での学習サポートも制度化されています。社会人が独学で抱え込みやすい疑問を、体系的に解消できる仕組みが用意されているといえます。

在学生の規模については、公式サイトの在学生データページに令和8年5月1日現在の数値が掲載されています。各学年の定員36名・3学年合計108名に対して現員は126名で、うち原級留置者が36名、休学者が18名です。現員が定員を上回る一方で原級留置と休学が一定数あるという構成は、働きながら学ぶ環境の現実を示す数字でもあります。入学すれば自動的に標準年限で修了できるわけではなく、仕事と学業の両立をどう設計するかが在学中の最大の課題になることが読み取れます。

比較項目筑波大学法科大学院一般的な全日制の法科大学院
授業時間帯平日18時20分〜21時(2時限)・土曜10時20分〜17時50分(5時限)平日日中を中心とした開講が多い
出願資格学歴要件に加えて職歴要件(社会人経験)を満たすことが必要学歴要件が中心となる大学が多い
標準修業年限未修3年・既修2年(長期履修で未修4年・既修3年)未修3年・既修2年が標準
自習室キャレル120席・24時間利用可大学により開放時間が異なる

出典: 筑波大学法科大学院 公式サイト 概要筑波大学法科大学院の魅力在学生のデータ(令和8年5月1日現在)。

募集人員と出願資格|社会人経験は必須要件

2027年度(令和9年度)入学試験の入学定員は36名で、内訳は法学未修者コースが26名程度、法学既修者コースが10名程度です。募集要項には「コースの別は、出願者の選択によります」「受験者数その他の状況により、両コースの合格者の割合は変動することがあります」と記載されており、定員はあくまで目安である点に注意が必要です。既修者コースの枠は10名程度と小さく、コース選択そのものが出願戦略の一部になります。

出願資格はA(学歴)とB(職歴)の両方を満たす必要がある

ここが本記事で最も強調したい点です。募集要項には「出願資格は、次の『出願資格①A、B』を満たす必要があります」と明記されています。AとBは選択肢ではなく、両方をクリアしなければ出願できません。Aは学歴要件で、日本国内の4年制大学の卒業(見込)者、大学改革支援・学位授与機構による学士の学位取得(見込)者、外国で16年の課程を修了した方などが該当します。Bは職歴要件で、現在社会人である者、または社会人経験を有する者が対象です。

募集要項の留意事項では、法曹専攻における「社会人」の定義が具体的に示されています。フルタイムで働く被用者である者・被用者であった者(契約社員・嘱託社員を含む)、弁理士・税理士・公認会計士などの資格に基づいて事務所を経営している者・経営していた者、自営業を営んでいる者・営んでいた者などが該当します。アドミッションポリシーにも「社会人としての実務経験等を有する者」を求める旨が掲げられており、募集方針と出願資格が一貫して社会人を対象に設計されていることがわかります。

出願資格審査が必要になるケースと提出期限

職歴要件を完全には満たさない場合でも、出願の道が閉ざされているわけではありません。募集要項は出願資格②として、事前の出願資格審査を経れば出願できる区分を用意しています。職歴側では、アルバイト・パートタイム等で働く被用者である者(または被用者であった者)、入学時である2027年4月1日に社会人となる見込みの者、昼間働いていないが夜間にしか通学できない特別な理由があると認められた者の3類型です。パート勤務や2027年春の就職予定でも審査を経れば出願できるという設計は、見落とされやすいポイントです。

審査を要する場合のスケジュールは通常の出願より約3週間前倒しになります。資格審査書類の提出期間は2026年6月30日から7月7日までで、いずれも書留速達での必着です。審査結果は2026年7月17日に発送され、「出願資格有」と認められた場合に限り、認証番号を用いてWeb入力システムから正式に出願する流れになります。募集要項には「資格審査の結果が出るまでは、検定料は払い込まないでください」という注意書きもあります。資格審査だけでは出願したことにならない点は、手続き上の落とし穴として押さえておいてください。

ご自身の状況出願資格審査該当する区分
4年制大学を卒業し、現在社会人不要①A(1)/①B(1)
専門学校卒で、過去に企業勤務の経験がある必要②A(10)ア/①B(2)
4年制大学を卒業し、現在はアルバイト・パート勤務必要①A(1)/②B(3)
2027年3月に大学卒業見込みで、同年4月から就職予定必要①A(1)/②B(4)
高校卒業後に難関資格を取得し、現在社会人必要②A(10)ア/①B(1)

提出書類は勤務先とのやり取りが発生する

出願時に全員が提出する書類には、卒業(見込)証明書と成績証明書に加えて、職歴調書の記載事実を証する書類が含まれます。具体的には勤務先の在職証明書、辞令、社員証、健康保険証、給与明細、職場の人事記録などのコピーです。複数の勤務先を経験している場合は最新の勤務先の証明書のみを提出すればよく、同一勤務先内での部署異動に関する証明書は不要とされています。在職証明書は勤務先に発行を依頼する書類であるため、出願を検討し始めた段階で入手経路と所要日数を確認しておくと安全です。

このほか、本学指定様式として学歴調書・職歴調書・資格等調書の3種類の作成が全員に求められます。証明書は原本での提出が原則で、コピーは受理されません。卒業証明書と成績証明書については「出願時に発行から3か月以内の原本」という条件が付されているため、早く取り寄せすぎると期限切れになる可能性がある点にも注意してください。

出典: 筑波大学東京キャンパス 2027年度(令和9年度)人文社会ビジネス科学学術院法曹専攻〔法科大学院〕募集要項(2026年5月15日公開)。

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入試科目と配点|未修者コースと既修者コースで別物の筆記試験

筑波大学法科大学院の入学試験は、第1次試験(筆記試験)と第2次試験(口述試験・書類審査)による2段階選抜です。第2次試験に進めるのは第1次試験の合格者のみで、合否を実質的に左右するのは第1次試験の筆記という構造になっています。未修者コースと既修者コースでは筆記試験の中身が根本的に異なるため、それぞれを分けて把握しておく必要があります。

法学未修者コース|2027年度から出題形式が変わる

未修者コースの第1次試験は、論述式と客観式を併用した筆記試験です。募集要項には、この形式について重要な変更が明記されています。「従来は論述式問題2題を出題していましたが、令和9年度入学者選抜から、そのうち1題を論理的思考力や分析力を検査する問題に改めます。問題形式は、短答式問題(択一式を含む。)及び短文論述式問題を含む予定です」という記載です。2027年度入試から出題形式が変わるため、過去問だけを頼りに対策を組むと想定と異なる出題に面食らう可能性があります。

評価基準は募集要項に「読解力、論理的思考力、分析力、論述能力をみます。法律学の専門知識を問うことはありませんが、法的分野に関連する問題が出ることはあります」と示されています。第2次試験の口述試験は個別面接で、「法曹になるための資質、高い志、熱意」をみるとされています。評価の配分は筆記試験:口述試験:書類審査が4:1:1です。試験時間は2026年9月13日(日)の10時から12時までの2時間です。

法学既修者コース|1日で3科目、参照できるのは大学が配るポケット六法のみ

既修者コースの第1次試験は法律科目論文試験で、2026年9月20日(日)の10時から16時までを使って3つの時間帯に分けて実施されます。民事法(民法・民事訴訟法)が10時から12時までの120分、刑事法(刑法・刑事訴訟法)が13時から14時30分までの90分、公法(憲法)が15時から16時までの60分という構成です。募集要項には「民事法と刑事法の試験は、複数の科目を同じ時間帯に実施しますが、出題及び採点は科目ごとに行います」と記載されています。

配点割合は、民法:民事訴訟法が3:1で合計4、刑法:刑事訴訟法が2:1で合計3、公法(憲法)が2です。合計を9とすると、民法だけで全体の約3分の1を占める計算になります。出題範囲は、憲法・民法・民事訴訟法・刑事訴訟法が全範囲、刑法は総論・各論の全範囲(特別刑法を除く)です。商法・行政法が試験科目に含まれない点は、他大学の法科大学院と比較する際の重要な違いになります。

実務面で見落とされやすいのが六法の扱いです。募集要項には「すべての科目において、本学大学院が準備する六法〔ポケット六法〕のみの参照を認めます」とあります。使い慣れた自分の六法は持ち込めないということですので、直前期にはポケット六法の版面で条文を引く練習を挟んでおくと、本番での条文検索に手間取るリスクを減らせます。出題形式は全科目で論述式です。

1科目でも配点の20%未満なら不合格になる最低基準点

既修者コースには科目別の最低基準点が設定されています。募集要項の記載は「いずれか1つの科目でも、本学大学院の設定する最低基準点に満たない場合(得点が配点の20%未満となった場合)には、合計得点に関係なく不合格となります」というものです。得意科目で大きく稼いでも、苦手科目を一つ落とせばその時点で不合格が確定する仕組みであり、穴を作らない学習が合格の前提条件になります。第2次試験の評価配分は筆記試験:口述試験:書類審査が4.5:1:1で、未修者コースよりも筆記の比重が高く設定されています。

未修者コースと既修者コースの併願はできる

両コースの併願については、募集要項に明確なルールが書かれています。併願した方が既修者コースに合格した場合は、未修者コースの試験の成績に関わらず既修者コースのみの合格となります。既修者コースに合格しなかった場合でも、未修者コースの合格基準に達していればそちらに合格することができます。併願の場合も検定料は30,000円で変わりません。筆記試験日が未修9月13日、既修9月20日と1週間ずれているため、両方を受験すること自体は日程上も可能です。

項目法学未修者コース法学既修者コース
第1次試験論述式と客観式の併用(2027年度から1題を論理的思考力・分析力の検査に変更)法律科目論文試験(論述式)
試験日・時間2026年9月13日(日)10時〜12時2026年9月20日(日)10時〜16時
科目・時間配分読解力・論理的思考力・分析力・論述能力を評価民事法120分/刑事法90分/公法60分
配点割合民法:民訴=3:1、刑法:刑訴=2:1、憲法=2
最低基準点1科目でも配点の20%未満で不合格
評価配分筆記4:口述1:書類審査1筆記4.5:口述1:書類審査1
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入試日程・出願スケジュール(2027年度入試)

2027年度(令和9年度)入学試験の募集要項は2026年5月15日に公開されました。紙での配布は行われず、東京キャンパスのWebサイトでの掲示のみという方式です。出願から最終合格発表までは約4か月に及ぶ長丁場で、資格審査が必要な方はさらに3週間ほど前倒しで動く必要があります。

項目日程(2027年度入試)
出願資格審査 書類提出期間2026年6月30日(火)〜7月7日(火)必着(該当者のみ)
受験上の配慮 申請期限2026年7月7日(火)18時
出願資格審査 結果発送2026年7月17日(金)
Web出願期間2026年7月18日(土)10時〜8月3日(月)15時
出願書類 提出期限2026年8月3日(月)必着(書留速達)
第1次試験(未修者コース)2026年9月13日(日)10時〜12時
第1次試験(既修者コース)2026年9月20日(日)10時〜16時
筆記試験 合格発表2026年10月8日(木)15時
第2次試験(口述試験・書類審査)2026年10月18日(日)10時〜18時(予定)
最終合格発表2026年11月5日(木)15時

逆算した学習・準備スケジュール

この日程から逆算すると、準備の山場は3つに分かれます。第一の山は6月末から7月上旬で、資格審査が必要な方はこの時期に書類を揃えなければなりません。第二の山は7月中旬から8月上旬のWeb出願期間で、証明書の原本収集と各種調書の作成が重なります。第三の山が9月中旬から下旬の筆記試験本番です。出願書類の作成と筆記対策の追い込みが7月に重なるため、書類側の準備を6月中に前倒ししておくと、8月以降を学習に集中させやすくなります。

筆記試験の合格発表が10月8日、第2次試験が10月18日ですので、その間はわずか10日間しかありません。口述試験は個別面接で法曹になるための資質・志・熱意をみるとされていますから、志望理由の言語化や想定質問への準備は筆記試験終了直後から並行して着手しておくのが現実的です。合格発表を待ってから準備を始めると、十分に練り上げる時間を確保しにくくなります。

試験は年に1回のみの実施です。出願を見送れば次の機会は1年後になりますので、勤務先の繁忙期と9月の試験期がどの程度重なるかを、年間の業務スケジュールと照らして早めに見積もっておくことをおすすめします。なお、募集要項には「8月に夏季休業期間がありますので、当該期間は閉室のため休業期間終了後の対応(回答)になります」との記載があり、2026年の夏季休業は8月9日から8月16日の予定とされています。出願締切直前の問い合わせは回答が遅れる可能性がある点にも留意してください。

不合格だった場合の成績開示制度

筑波大学法科大学院には入試成績の開示制度があります。開示されるのは不合格となった受験者本人の総得点で、請求期間は2027年5月1日から5月31日までです。ただし1科目以上を欠席した場合は開示対象外とされています。請求には所定の開示請求書、受験票(免許証等のコピーでも可)、返信用封筒が必要です。翌年度に再挑戦する場合の客観的な指標として活用できる制度ですので、残念な結果になった場合も請求期間を覚えておくと次の戦略を立てやすくなります。

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倍率・難易度|令和8年度は志願428名・競争倍率9.00倍

筑波大学法科大学院は、入試結果を公式サイトの入試結果ページでPDF形式により毎年公開しています。「入学試験合格状況一覧」「入学者状況一覧」「出願者数」の3種類が令和8年度から平成17年度まで揃っており、志願者から入学者までの各段階の実数を追えるという点で、受験生にとって情報の透明性が高い大学です。最新の令和8年度入試の数値は次のとおりです。

区分志願者数1次受験者1次合格者2次受験者2次合格者入学者数
法学既修者コース18014716161410
法学未修者コース24823134342825
合計42837850504235

この年の競争倍率(受験者数÷合格者数)は9.00倍、志願倍率(志願者数÷入学定員)は11.89倍でした。前年度である令和7年度と並べると、志願者は354名から428名へ、競争倍率は7.38倍から9.00倍へ、志願倍率は9.83倍から11.89倍へと、いずれも上昇しています。直近1年で志願者が74名増え、難化しているのが実態です。法科大学院全体では志願者数の減少と統廃合が続くなかで、この上昇は社会人向けという独自ポジションへの需要を反映しているとも読めます。

年度志願者数1次受験者最終合格者入学者競争倍率志願倍率
令和8年度42837842359.00倍11.89倍
令和7年度35431042367.38倍9.83倍

本当の関門は第1次試験|1次通過率は13.2%

倍率の数字以上に重要なのが、選抜の段階ごとの通過率です。令和8年度では1次受験者378名のうち1次合格者は50名で、第1次試験の通過率は約13.2%にとどまります。コース別に見ると、既修者コースは147名中16名で約10.9%、未修者コースは231名中34名で約14.7%です。一方、第2次試験は受験者50名のうち42名が合格しており、通過率は84.0%に達します。

つまりこの入試は、口述試験や書類審査で大量に落とす方式ではなく、筆記試験でほぼ勝負が決まる構造だといえます。評価配分が未修4:1:1、既修4.5:1:1と筆記に大きく傾いていることとも整合します。対策の優先順位を考えるうえでは、口述対策に時間を割きすぎるより、まず筆記試験で上位13%前後に入るための学力を積み上げることが合理的です。

既修者コースは志願者が急増している

コース別の志願者推移を見ると、既修者コースは令和7年度の142名から令和8年度は180名へと約27%増加し、未修者コースは212名から248名へと約17%の増加でした。定員は既修10名程度・未修26名程度で変わっていませんので、既修者コースの狭さがさらに際立った形です。既修者コースの1次合格者は16名、最終合格者は14名、入学者は10名という規模感になります。

一方で入学者数を見ると、令和8年度は最終合格42名に対して入学35名で、7名が辞退しています。追加合格は0名でした。前年度も同様に42名の合格に対して7名の辞退があり、入学者は36名でした。辞退を織り込んで合格者を出す運用が定着していることが読み取れますが、追加合格が出ない年度が続いている点は、繰り上がりに期待しない前提で受験計画を立てるべきことを示しています。

出典: 筑波大学法科大学院 入試結果(令和8年度・令和7年度 入学試験合格状況一覧、入学者状況一覧、出願者数)。法科大学院入試全体の難易度感については、法科大学院入試の総合ガイドもあわせてご覧ください。

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合格者・入学者データから見る「受かる人」の像

筑波大学法科大学院は、合格者と入学者の属性についても公式PDFで数値を公開しています。多くの法科大学院が公表していない情報であり、どのような人が実際に合格しているのかを数字で確認できるのは、この大学院を検討するうえで大きな判断材料になります。

合格者の平均年齢は41.8歳

令和8年度の合格者内訳によれば、合格者の平均年齢は41.8歳(令和8年4月1日現在)でした。前年度の令和7年度は37.1歳でしたので、1年で4.7歳上昇しています。入学者ベースで見ると令和8年度が41.0歳、令和7年度が39.8歳です。40歳前後がボリュームゾーンである点は、20代を中心とする一般的な法科大学院とは明確に異なります。キャリアを10年以上積んだ段階からの挑戦が標準的なルートになっているといえます。

合格者の62%は非法学部出身

出身学部の内訳は、令和8年度の合格者42名のうち法学部出身が16名で38%、非法学部出身が26名で62%でした。入学者ベースでは法学部出身14名(40%)、非法学部出身21名(60%)です。前年度は合格者のうち法学部出身が19名(45%)、非法学部出身が23名(55%)でしたので、2年連続で非法学部出身者が過半数を占めています。法学部を出ていないことが不利に働く入試ではないことが、数字の上でも裏付けられています。

なお、合格者の出身大学名の分布については公式には公表されていません。公開されているのは法学部出身か非法学部出身かという区分までですので、特定の大学の出身者が有利といった情報を目にした場合は、その根拠を確認したうえで判断することをおすすめします。

職種別では会社員が3分の2を占める

令和8年度合格者の職種別内訳は、会社員28名(67%)、公務員(団体職員等を含む)10名(24%)、その他4名(9%)でした。入学者ベースでは会社員24名(69%)、公務員8名(23%)、その他3名(8%)です。前年度は会社員25名(60%)、公務員17名(40%)という構成でしたので、公務員の比率が40%から24%へ縮小し、会社員の比率が高まったことになります。年度によって職種構成は変動しますが、民間企業に勤めながらの挑戦が最も多いルートであることは一貫しています。

項目令和8年度 合格者令和7年度 合格者
平均年齢41.8歳37.1歳
法学部出身16名(38%)19名(45%)
非法学部出身26名(62%)23名(55%)
会社員28名(67%)25名(60%)
公務員(団体職員等含む)10名(24%)17名(40%)
その他4名(9%)0名(0%)

これらの数字から浮かび上がる合格者像は、40歳前後で、民間企業に勤務し、法学部以外の学部を出た社会人という姿です。法律の学習歴が浅いことは出発点として想定内であり、その前提で未修者コースに26名程度という広めの枠が用意されていると理解できます。出典は筑波大学法科大学院 入試結果ページの令和8年度・令和7年度「入学試験合格者状況一覧」および「入学者状況一覧」です。

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科目別対策|公開されている出題趣旨から読み解く出題傾向

筑波大学法科大学院は、令和4年度から令和8年度までの入学試験問題と出題趣旨を公式サイトで公開しています。既修者コースの法律科目試験、未修者コースの論述問題ともに、問題本体と出題趣旨がセットで入手できる形です。平成31年度以前は問題のみの公開となっています。出題趣旨まで公開している法科大学院は多くありませんので、これを読み込むかどうかで対策の精度が変わります。ここでは直近2年分の出題趣旨から読み取れる傾向を科目ごとに整理します。

民法|第1問は小問3つ、第2問は債権法の理解確認

民法は【第1問】と【第2問】の2問構成が2年連続で共通しています。令和8年度の第1問は、遺産分割後に現れた第三者と遺産分割で不動産所有権を得た者との優劣、推定相続人が相続欠格に当たると判明した場合の債権者による仮差押の効力、土地工作物責任を占有者および所有者に問えるかという3つの小問でした。令和7年度の第1問も、共有持分権者の一部が締結した賃貸借契約の効力、法定地上権の成立要件、賃借権の対抗要件としての建物登記の名義という3つの小問構成です。物権・相続を含む財産法から小問を3つ並べるのが第1問の型といえます。

第2問は性格が異なります。令和8年度は連帯債務と連帯保証債務という混同しやすい2つの債務を取り上げ、出題趣旨に「適切な条文を選択し、正確に理解し、適切にあてはめることができるかを確認する問題」「(1)から段階的に難易度を上げ、学習の習熟度を確認する」と明記されています。令和7年度は数量指示売買における数量不足の処理を通じて、債権法改正後の売主の担保責任を中心とした理解を確認する問題でした。条文操作の正確さを段階的に測る設計であることが読み取れます。配点比が最も大きい科目ですので、条文の要件を正確に引き出せる状態まで仕上げておくことが優先されます。

民事訴訟法|基本原則を1テーマ深掘りする

民事訴訟法は毎年1テーマに絞られています。令和8年度は裁判上の自白の成立要件と効果を確認したうえで、自白の対象が主要事実・間接事実・補助事実のそれぞれである場合の撤回の可否を問うものでした。令和7年度は既判力の時的限界と消極的作用に関する基本的知識に加え、反射効の事案で前訴判決が後訴に及ぼす影響について、他説に言及しながら自説の結論と理由を論じさせる問題です。自白・既判力といった基本原則が繰り返し問われているため、頻出テーマから優先的に固める学習が効率的です。

刑法|独立した3つの小問、財産犯と共犯が軸

刑法は独立性の高い小問を3つ並べる構成が続いています。令和8年度は、脅迫的手段による借金の取立てについての恐喝罪の成否、インターネット上のわいせつ動画の拡散についてのわいせつ物頒布等罪およびその共犯の成否、誤振込み金の着服についての電子計算機使用詐欺罪の成否という3問でした。令和7年度は、金銭奪取目的での殺害と第三者の巻き添えに関する強盗殺人罪の成否および方法の錯誤の処理、犯行隠蔽についての証拠隠滅罪およびその共犯の成否、逃走用具の奪取についての事後強盗致傷罪の成否とその正当化の可否です。

2年分に共通するのは、財産犯を軸に、共犯論や錯誤論を絡めて出題するという設計です。90分という限られた時間で3つの論点を処理しなければならないため、構成要件を端的に示して事実をあてはめる型を身体に入れておくことが得点に直結します。刑事訴訟法は刑法と同じ90分の枠内で1テーマが問われ、令和8年度は公訴事実の同一性、令和7年度は弾劾証拠でした。令和8年度の出題趣旨では訴因変更の限界(312条)、二重起訴(338条3号)、不告不理違反(378条3号)、公訴時効の進行停止効(254条)、一事不再理効(337条1号)という条文が列挙されており、法律概念の正確な理解が問われる性格が明示されています。

憲法|最高裁判例の再現が必須と明記されている

公法(憲法)の出題趣旨は、対策の方向性を最も明確に示しています。令和8年度は社会保障分野における性別による区別を扱った事例で、堀木訴訟と共通点はあるものの、本問は憲法14条後段列挙事由の「性別」による区別であるため14条1項に照らした検討を中心に据えるべきだと説明されています。そのうえで「実務家を目指す者の試験である以上、実務を支配する最高裁判例への言及が不可欠となる」と述べ、待命処分合憲判決(最大判昭和39年5月27日)と国籍法違憲判決(最大判平成20年6月4日)の判旨の再現およびそれに照らした検討が必須だとしています。

令和7年度も同様で、金沢市庁舎前広場事件(最三小判令和5年2月21日)を素材としつつ、泉佐野市民会館事件(最三小判平成7年3月7日)や上尾市福祉会館事件(最二小判平成8年3月15日)といった従前の判例に照らした検討を求めています。判例の名前を出せるだけでなく判旨を再現できる水準が要求されており、しかも試験時間は60分です。人権分野の主要判例について、規範部分を短時間で書き出せるよう準備しておくことが現実的な対策になります。

未修者コース|新書2冊を素材に、字数制限つきで書かせる

未修者コースの論述問題は、直近2年とも問Ⅰ50点・問Ⅱ50点の2題構成で、各問に設問が2つ付く形式でした。令和8年度は、問Ⅰの設問1が150字以内(15点)、設問2が350字以内(35点)、問Ⅱの設問1が350字以内の要約(30点)、設問2が250字以内(20点)です。令和7年度は問Ⅰが200字以内(25点)と300字以内(25点)、問Ⅱが350字以内(35点)と150字以内(15点)でした。150字から350字という短い字数で書き切る力が問われる設計です。

素材として使われた文献も公開されています。令和8年度は武井彩佳『歴史修正主義』(中公新書、2021年)と大澤真幸『我々の死者と未来の他者』(集英社、2024年)、令和7年度は藤原章生『差別の教室』(集英社、2023年)と中村敏子『女性差別はどう作られてきたか』(集英社新書、2021年)です。刊行から数年以内の社会・思想系の新書が繰り返し選ばれており、対策としては同種の新書を読んで要約と意見論述を反復する方法が素直です。2027年度からは2題のうち1題が短答式・短文論述式を含む形に変わる予定ですので、長文論述だけでなく短い設問に手早く答える練習も加えておくとよいでしょう。

出典: 筑波大学法科大学院 過去の入試問題(令和8年度・令和7年度 法学既修者コース入学試験問題出題趣旨、法学未修者コース入学試験論述問題および出題趣旨)。

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過去問の活用法と口述試験・書類審査の対策

過去問と出題趣旨が5年分揃っている環境は、対策の設計図をそのまま手に入れられるということです。出題趣旨は採点者が何を見ているかの宣言ですので、問題を解くこと以上に、出題趣旨と自分の答案を突き合わせる作業に時間を割く価値があります。

過去問の使い方は3段階に分ける

  1. 直近2〜3年分を試験時間どおりに解き、現時点の到達度と時間配分の癖を把握する。この段階では完成度より、どの科目でどれだけ時間が足りなくなるかを掴むことを目的にする
  2. 出題趣旨と自分の答案を照合し、拾えなかった論点、条文の選択ミス、判例の規範を書けなかった箇所をリスト化する
  3. リスト化した弱点を基本書と演習書に戻って補強し、古い年度の問題で同じ論点が問われていないかを確認したうえで再度解き直す

特に既修者コースでは、最低基準点の存在があるため科目間のバランス確認が欠かせません。3段階のサイクルを回すなかで、どの科目が配点の20%を割りかねないかを早期に特定し、そこに学習時間を優先配分する判断が重要になります。1科目でも基準を割ると合計点に関係なく不合格となる以上、得意科目をさらに伸ばすより、危険水域の科目を引き上げるほうが合格確率への寄与は大きくなります。

口述試験|評価対象は資質・志・熱意

第2次試験の口述試験は個別面接の形式で、募集要項には「法曹になるための資質、高い志、熱意をみます」と記載されています。試験日は2026年10月18日(日)の10時から18時(予定)で、志願者が多い場合は時間帯が延長されることがあると案内されています。実施は日本語で行われます。2次試験の通過率は令和8年度で84.0%でしたので、ここで大きく振るい落とされる設計ではありませんが、準備不足が響く場面はあります。

準備しておきたい観点は次のとおりです。いずれも暗記した回答をなぞるのではなく、自分の言葉で一貫性を持って説明できる状態を目指してください。

  • これまでのキャリアで直面した課題と、それが法曹志望につながった具体的な経緯
  • 数ある法科大学院のなかで筑波大学を選ぶ理由と、夜間開講という学び方を選ぶ必然性
  • 働きながら通学を続けるための時間管理・体調管理の具体的な見通し
  • 未修者コース・既修者コースのいずれで出願したのか、その選択の理由
  • 修了後にどの分野の法律実務に携わり、これまでの職務経験をどう活かすのか

書類審査|職歴調書と資格等調書が評価対象になる

書類審査は評価配分のうち未修者コースで1、既修者コースで1を占めます。全員が提出する本学指定様式は学歴調書・職歴調書・資格等調書の3種類です。資格等調書については、記載事項のうち学部の成績証明書の原本提出が求められるほか、資格等の記載事実を証明する書類はコピーでの提出が認められています。提出期限までに証明書類が揃わない資格は保有資格として認定されないと募集要項に明記されているため、証明書の入手に時間がかかる資格ほど早めに手配しておく必要があります。

職歴調書には、勤務先の在職証明書、辞令、社員証、健康保険証、給与明細、職場の人事記録などの記載事実を証する書類を添えます。書類作成にあたっては、職歴調書に記した経験と、口述試験で語る志望動機の内容が食い違わないよう整合性を確認しておくと、面接での説得力が増します。社会人経験を土台にした志望理由を組み立てる際は、キャリアで直面した課題、法律の専門知識で解決したいと考えるに至った経緯、修了後に目指す実務像という3つの要素を順に並べる構成が使いやすい型になります。

法科大学院入試の書類・面接対策全般については、大学院入試対策コースで個別に相談いただけます。未修者コースからの受験を検討している方は、法科大学院の未修者コースを解説した記事もあわせてご覧ください。

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学費・長期履修制度・費用負担を軽くする制度

社会人が法科大学院を検討する際、学費と在学期間の設計は志望校選びと同じくらい重要な判断材料になります。筑波大学法科大学院は国立大学の標準額を採用しており、検定料30,000円・入学料282,000円・授業料年額804,000円という水準です。授業料は第1期(4月〜9月)402,000円、第2期(10月〜3月)402,000円の分割納付となります。外国人留学生の授業料は年額877,000円です。金額はいずれも2026年4月現在のもので、在学中に学生納付金の改定が行われた場合は改定時から新たな金額が適用されます。

費用項目金額備考
検定料30,000円両コース併願でも同額。国費外国人留学生を除く
入学料282,000円2027年3月31日までに入学辞退しても返還されない
授業料(年額)804,000円第1期402,000円・第2期402,000円
授業料(外国人留学生)877,000円第1期438,500円・第2期438,500円

長期履修制度は総額が変わらない

長期履修制度は、標準修業年限では修了が難しい社会人を対象に、未修者コースは4年、既修者コースは3年まで在学期間を延ばせる仕組みです。費用面で重要なのは、年間授業料が標準年限の4分の3に設定され、総額は同じになるという点です。未修者コースで4年かけた場合、年間の負担は軽くなり、4年間の合計額は標準の3年間と同額に収まります。1年あたりの取得単位数は標準年限の場合の約4分の3に制限されます。

申し込みは合格発表後の入学手続時に4年間の履修計画を作成・提出する方法で行い、入学後の申請も可能とされています。ただし注意点があります。公式サイトには長期履修制度と教育訓練給付金は併用できないと明記されています。給付金の利用を前提に資金計画を立てている場合、長期履修を選ぶかどうかは慎重な検討が必要です。

教育訓練給付金・授業料免除・奨学金

費用負担を軽くする制度としては、次のものが公式サイトで案内されています。教育訓練給付金は未修者コース・既修者コースの双方が対象とされており、雇用保険の被保険者期間などの要件を満たす方は、支給要件をハローワークで確認しておく価値があります。

  • 入学料免除: 経済的理由により納付が困難で学業優秀と認められる者、入学前1年以内に学資負担者が死亡・災害被害・失職した者などが対象
  • 授業料免除: 同様の基準で、納付時期前6か月以内の事由が対象。申請は第1期(4月〜9月)と第2期(10月〜3月)に分けて行う
  • 日本学生支援機構の奨学金
  • 第一勧業信用組合と提携した教育ローン
  • 教育訓練給付金(未修者コース・既修者コースとも対象。長期履修制度との併用は不可)

在職を続けながら通学するのか、休職や退職を選んで学業に比重を置くのかによって、必要な資金の総額は大きく変わります。勤務先に自己啓発支援制度や休職制度があるかどうかも含め、出願前の段階で概算を立てておくと、入学後の資金面の不安を減らせます。制度の要件は年度により変更される可能性があるため、詳細は大学の窓口で確認してください。

出典: 筑波大学法科大学院 学費・奨学金長期履修制度

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併願戦略と司法試験合格率の推移

筑波大学法科大学院の筆記試験は未修者コースが9月13日、既修者コースが9月20日と、他の主要な法科大学院と比べて早い時期に設定されています。首都圏の主要校の多くが秋以降に選考を行うため、筑波を先に受験して結果を見てから他校の対策に集中するという時間差の使い方が組み立てやすい日程です。ただし各校の日程は年度によって動きますので、併願を検討する際は必ず各大学の最新の募集要項で試験日を照合してください。首都圏の主要校の日程を横断的に確認したい場合は、法科大学院入試の日程一覧が参考になります。

併願を考えるうえで筑波大学が特殊なのは、職歴要件を満たす人しか出願できないという点です。他大学の法科大学院は学歴要件のみで出願できるところが大半ですから、社会人受験生にとっては「他校も受けられるが筑波も受けられる」という関係になり、逆に就業経験のない受験生にとっては選択肢に入りません。この非対称性は、志願者層が他校とずれることを意味します。首都圏の他校との比較検討には、東京大学法科大学院の入試解説一橋大学法科大学院の入試解説もご活用ください。

司法試験合格率は令和5年をピークに低下傾向

筑波大学法科大学院は司法試験の結果を公式サイトで年度別に公開しています。直近7年分の数値は次のとおりです。

出願者受験者短答式合格者最終合格者合格率
令和7年74名68名47名12名(既修9・未修3)17.65%
令和6年67名60名41名14名(既修6・未修8)23.33%
令和5年55名51名38名17名(既修13・未修4)33.33%
令和4年58名55名42名18名(既修6・未修12)32.73%
令和3年69名60名47名19名(既修9・未修10)31.67%
令和2年73名56名39名15名(既修4・未修11)26.79%
令和元年92名77名52名18名(既修6・未修12)23.38%

数値を読むと、合格率は令和5年の33.33%をピークに、令和6年23.33%、令和7年17.65%と2年連続で低下しています。短答式合格者は毎年40名前後で安定している一方、最終合格者が令和5年の17名から令和7年は12名へ減少しており、論文式試験の段階での通過が難しくなっていることがうかがえます。志望校選びにあたっては、単年度の数字ではなく複数年の推移で捉えることをおすすめします。

合格者の社会人率は全年度で100%

この大学院を語るうえで象徴的なのが、公式サイトに記載された社会人率です。掲載されているすべての年度において、最終合格者の社会人率が100%と示されています。働きながら学んだ人が司法試験に合格しているという実績が、途切れることなく積み上がっていることになります。コース別の内訳を見ると、令和2年から令和4年にかけては未修者コース出身者が多数を占めていましたが、令和5年は既修13名・未修4名、令和7年は既修9名・未修3名と、近年は既修者コース出身者が中心になっています。

法曹を目指すルートには、法科大学院を経由せず司法試験予備試験に合格する方法もあります。予備試験は合格率が低く、働きながら独学で目指すには相応の困難が伴います。体系的なカリキュラム、実務家教員の指導、同じ立場の同期とのネットワークを得られる点を重視するなら、社会人向けに設計された法科大学院を経由するルートが現実的な選択肢になります。通学のしやすさと合格実績の両面から比較検討することが、社会人にとっては合理的な志望校選びといえます。

出典: 筑波大学法科大学院 司法試験合格者

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よくある質問(FAQ)

社会人経験がなくても筑波大学法科大学院に出願できますか

原則としてできません。2027年度の募集要項は「出願資格は、次の『出願資格①A、B』を満たす必要があります」と明記しており、A(学歴)とB(職歴)の両方を満たすことが求められます。Bは「現在社会人である者」または「社会人経験を有する者」で、社会人とはフルタイムで働く被用者(契約社員・嘱託社員を含む)、資格に基づき事務所を経営する者、自営業者などを指します。ただしアルバイト・パート勤務の方、2027年4月1日に社会人となる見込みの方、夜間にしか通学できない特別な理由が認められた方は、出願資格審査(書類提出は2026年6月30日〜7月7日)を経れば出願できます。

筑波大学法科大学院の難易度・倍率はどのくらいですか

令和8年度入試は志願者428名、競争倍率(受験者数÷合格者数)9.00倍、志願倍率(志願者数÷入学定員)11.89倍でした。令和7年度は志願者354名、競争倍率7.38倍、志願倍率9.83倍でしたので、直近1年で難化しています。段階別に見ると第1次試験の通過率が378名中50名で約13.2%、第2次試験は50名中42名で84.0%です。合否を分けるのは筆記試験であり、既修者コースの1次通過率は約10.9%、未修者コースは約14.7%となっています。

合格者の出身大学や出身学部はどのような構成ですか

出身大学名の分布は公表されていません。公表されているのは法学部出身か非法学部出身かという区分で、令和8年度の合格者42名のうち法学部出身16名(38%)、非法学部出身26名(62%)でした。令和7年度も非法学部出身が23名(55%)で過半数です。合格者の平均年齢は令和8年度が41.8歳、令和7年度が37.1歳。職種別では令和8年度が会社員28名(67%)、公務員10名(24%)、その他4名(9%)という構成でした。

既修者コースと未修者コースはどちらが難しいですか

数字の上では既修者コースの方が狭き門です。令和8年度の第1次試験通過率は既修者コースが147名中16名で約10.9%、未修者コースが231名中34名で約14.7%でした。定員も既修10名程度に対し未修26名程度です。既修者コースは民事法・刑事法・公法の論述試験で1科目でも配点の20%未満なら不合格という最低基準点があり、法律基本科目を全範囲仕上げる必要があります。一方の未修者コースは2027年度から出題形式が変わるため、過去問だけに依存した対策は避けたほうが安全です。

過去問はどこで入手できますか

公式サイトの「過去の入試問題」ページで公開されています。令和4年度から令和8年度までは既修者コースの法律科目試験問題、未修者コースの論述問題、それぞれの出題趣旨が揃っており、平成31年度以前は問題のみの公開です。未修者コースの問題は素材文が著作権法の関係で非公開ですが、設問・字数制限・配点と出典書誌情報は確認できます。出題趣旨まで公開する法科大学院は多くないため、対策の精度を高めやすい環境です。

働きながら通学することは現実的ですか

授業は月曜から金曜が18時20分〜21時の2時限、土曜が10時20分〜13時と13時45分〜17時50分の5時限という時間割で、フルタイム勤務との両立を前提に設計されています。茗荷谷駅から徒歩約3分という立地、キャレル120席の自習室が24時間利用可能である点、未修4年・既修3年までの長期履修制度も両立を支える仕組みです。一方で、令和8年5月1日現在の在学生126名のうち原級留置者が36名、休学者が18名という数字もあり、両立が容易とは限りません。勤務形態と通学距離を踏まえた現実的な見通しを立てることをおすすめします。

学費はいくらかかり、負担を軽くする制度はありますか

検定料30,000円(両コース併願でも同額)、入学料282,000円、授業料は年額804,000円(第1期402,000円・第2期402,000円)です。負担軽減策としては、入学料免除・授業料免除、日本学生支援機構の奨学金、第一勧業信用組合と提携した教育ローン、教育訓練給付金(未修・既修とも対象)が案内されています。長期履修制度を使うと年間授業料は標準年限の4分の3になり総額は変わりませんが、教育訓練給付金との併用はできない点に注意が必要です。

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まとめ|筑波大学法科大学院の入試を突破するために

筑波大学法科大学院は、社会人としての実務経験を出願の前提に据え、平日夜間と土曜昼間の開講によって働きながらの法曹挑戦を可能にしている国立大学の法科大学院です。本記事で扱った要点を整理します。

  • 出願資格はA(学歴)とB(職歴)の両方を満たす必要があり、社会人経験は必須。パート勤務や入学時に就職予定の場合は2026年6月30日〜7月7日の出願資格審査を経れば出願できる
  • 入学定員36名(未修26名程度・既修10名程度)。令和8年度は志願者428名、競争倍率9.00倍、志願倍率11.89倍で前年より難化した
  • 第1次試験の通過率は約13.2%、第2次試験は84.0%。合否は筆記試験でほぼ決まる
  • 既修者コースは民事法120分・刑事法90分・公法60分で、配点比は民法:民訴=3:1、刑法:刑訴=2:1、憲法=2。1科目でも配点の20%未満なら不合格
  • 未修者コースは2027年度から2題のうち1題が短答式・短文論述式を含む形式に変更される
  • 令和8年度合格者は平均年齢41.8歳、非法学部出身が62%、会社員が67%。法学部を出ていないことは不利に働いていない
  • 過去問は令和4年度から令和8年度まで出題趣旨とセットで公開。憲法は最高裁判例の判旨再現が必須と明記されている
  • 検定料30,000円・入学料282,000円・授業料年額804,000円。教育訓練給付金は両コースとも対象だが長期履修制度とは併用できない
  • 令和7年司法試験の合格率は17.65%で最終合格12名。掲載されている全年度で最終合格者の社会人率は100%

この入試の設計を一言でまとめるなら、社会人としての実務経験を土台にしたうえで、法律基本科目または論理的な読解・記述能力を筆記試験で証明させる仕組みです。第1次試験の通過率が約13.2%である以上、限られた学習時間をどこに配分するかの判断が合否を大きく左右します。既修者コースであれば配点比の大きい民法と、判例の再現が求められる憲法から着手し、最低基準点を割りそうな科目を早期に特定して底上げする。未修者コースであれば、新書レベルの論説を短い字数で要約し意見を述べる訓練を積みつつ、2027年度からの新形式に備えて短答式の対応力も加えておく。この優先順位が現実的です。

あわせて、出願手続き側の準備も軽視できません。在職証明書や各種調書は勤務先とのやり取りが発生し、証明書は発行から3か月以内の原本という条件も付きます。書類の不備は出願そのものを受理されない理由になるため、学習計画と並行して6月中には書類の入手経路を確定させておくと安心です。数値や制度は年度によって変更される可能性がありますので、出願にあたっては筑波大学東京キャンパスの募集要項ページで最新の内容をご確認ください。

働きながら法曹を目指す道のりは平坦ではありませんが、合格者の平均年齢が41.8歳、非法学部出身が62%、社会人率100%という数字は、この大学院がまさにそうした挑戦を前提に設計されていることを示しています。出願資格の確認、コース選択、科目別の学習計画、志望理由の言語化という順に一つずつ進めていけば、限られた枠のなかでも合格の可能性を高めていけるはずです。独学での対策に不安がある場合は、法科大学院入試に対応した専門の指導を活用するのも一つの方法です。

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この記事を書いた人

千葉大学 法政経学部を首席で卒業後、都内国公立大学の法科大学院(ロースクール)を修了し、司法試験に合格。法律・政治・経済分野の専門知識をもとに、スプリング・オンライン家庭教師の大学編入・大学院入試分野の指導および記事監修を担当。

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