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志望理由書の例文|大学受験で使える型と改善ポイント

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志望理由書の例文を探している高校生が本当に必要としているのは、きれいにまとまった文章そのものではなく、その文章がなぜ評価されるのかという理由です。完成品だけを何本読んでも、自分の材料に置き換えた瞬間に手が止まります。そこでこの記事では、総合型選抜・学校推薦型選抜を受ける高校生に向けて、まず「よくある平凡な志望理由書」を自作し、それを一段ずつ書き直して完成形に持っていく過程をそのまま公開します。改稿のたびに、何を足して何を削ったのか、そしてなぜそれが評価につながるのかを説明していきます。

志望理由書とは、大学が入学志願者本人に書かせて提出させる書類のことで、文部科学省の実施要項では「大学入学希望理由書」と呼ばれています。令和9年度大学入学者選抜実施要項の第6の5(2)には、大学がこの書類を活用する際、学部等の教育内容を踏まえて、入学希望理由や入学後に学びたい内容・計画、大学卒業後を見据えた目標等を記載させる、と示されています。書くべき中身は感性ではなく制度の側からおおまかに決まっているということです。例文を読むときも、この3点が揃っているかという目で見ると、評価されやすい文章とそうでない文章の差がはっきり見えてきます。

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この記事が扱うのは、冒頭だけを切り取った短い例ではなく、1本まるごとの完成形です。全文を示したうえで、段落ごとに「なぜこの順番なのか」「この段落は何を担っているのか」を評価の観点に結びつけて解説します。後半では、同じ骨組みを別の学部系統に流用した完成例文も用意しました。掲載する例文はすべて本記事のための自作で、実在の受験生の文章や他サイトの文章ではありません。大学名は挙げず、すべて「貴学」と表記しています。

先に一つだけお伝えしておきます。例文はそのまま使うためのものではありません。借りてよいのは構造だけで、中に入れる事実はあなた自身のものである必要があります。理由は単純で、志望理由書は書類だけで完結せず、そのあとの面接で本人に問い直されるからです。丸写しが評価されにくい仕組みと、構造だけを安全に借りる手順も、記事の終盤でまとめて説明します。

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目次

志望理由書の例文を読む前に|評価者は何を見ているのか

例文を集めはじめる前に、読み手が何を見ているのかを知っておくと、参考にすべき例文とそうでない例文をすぐ見分けられるようになります。志望理由書は感想文でも自己紹介でもなく、大学が定めた評価の材料として提出させる書類です。ここでは、公開されている一次情報から評価の枠組みを確認します。

書かせる内容は実施要項でおおまかに決まっている

文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項の第6の5(2)は、大学入学希望理由書や学修計画書を活用する際に、各大学が学部等の教育内容を踏まえ、入学志願者に対して入学希望理由、入学後に学びたい内容・計画、大学卒業後を見据えた目標等を記載させる、としています。志望理由書に求められる要素は大きく3つだと考えて差し支えありません。設問の言い回しは大学ごとに違っても、たいていはこの3つのいずれかを聞いています。

同じ実施要項の第3の1(2)では、総合型選抜について、入学志願者自らの意志で出願できる公募制という性格に鑑み、志願者本人が記載する資料を必ず評価に活用するとされています。志望理由書は「出せば読んでもらえるかもしれない書類」ではなく、評価に使うことが前提になっている書類です。例文を選ぶときは、この3要素が揃っているかどうかを最初の基準にしてください。

アドミッション・ポリシーは「評価する力」まで公表されている

もう一つの基準がアドミッション・ポリシーです。中央教育審議会大学分科会大学教育部会の三つのポリシーの策定及び運用に関するガイドライン(平成28年3月31日)は、アドミッション・ポリシーについて、学力の3要素を念頭に置き、入学前にどのような能力をどのようにして身に付けてきた学生を求めているか、入学後にどのような能力をどのようにして身に付けられる学生を求めているかを、できる限り具体的に示すこととしています。さらに、どの評価方法をどの程度の比重で扱うのかも具体的に示すことが求められています。

実際に、そこまで公表している大学があります。島根大学の令和8年度総合型選抜Ⅰ「へるん入試」の学生募集要項では、アドミッション・ポリシーが「求める学生像」「入学者選抜の基本方針」に加えて「各選抜方法における求める力(評価する力)」の対応表で示され、重点的に評価する項目には◎が付けられています。志望する大学の募集要項やウェブサイトにこうした記載があるなら、評価項目の一覧が事実上公開されているのと同じことです。例文を読む前に、まずここを確認してください。

志望理由書は面接の土台として点数になる

志望理由書が書類審査だけで終わらない点も押さえておく必要があります。先の島根大学の要項では、法文学部へるん一般型(令和8年度)の配点が、調査書・活動報告書・クローズアップシートで80点、読解・表現力試験で100点、そして志望理由書を用いた「面接」で100点、合計280点と示されています。採点・評価基準の欄には、志望理由書を用いて面接し、「なぜ大学で学びたいのか、何を学びたいのか」、知的好奇心・探究心などを評価する、と書かれています。志望理由書は面接の問題用紙のような役割を果たしているわけです。

同要項の合否判定基準には、総合点が同点の場合は志望理由書を用いた面接の得点が高い者を上位とする、という記載もあります。面接は数名の面接委員で15分程度行われます。書いた内容について15分間問われ続けると考えると、自分の言葉で書いていない箇所がどうなるかは想像がつくはずです。令和9年度の実施要項では、総合型選抜と学校推薦型選抜のいずれについても、志望する学問分野に対する意欲や適性等に係る面接による評価を必ず行うとされています(非公募型の学校推薦型選抜で丁寧なマッチングが図られている場合は、大学の実情に応じて要否を判断できるとされています)。書類と面接は一続きの試験だと考えてください。

複数の読み手が基準をそろえて読んでいる

読み手は一人ではありません。文部科学省の令和5年度先導的大学改革推進委託事業「大学入学者選抜における総合型選抜の導入効果に関する調査研究 報告書」(令和6年3月)によると、筑波大学では書類選考を3名以上の担当教員が査読し、3人で話し合って最終的な得点を決めています。桜美林大学では、書類審査の前に、氏名・学校名・評点を伏せた前年度の提出書類を審査者全員で読み込んで点数を付け合わせる「キャリブレーション」と呼ばれる目線合わせの研修を毎年実施しています。同報告書は、評価はルーブリックの設定を基本とし、評価が大きく割れた場合は再協議を基本としている、とも整理しています。

つまり、個人の好みで得点が決まる場面はかなり削られているということです。うまい比喩や感動的な話が評価を押し上げるという発想ではなく、評価項目に対応する材料が書かれているかで考えるほうが実態に近くなります。なお、大学編入や大学院入試の志望理由書は、求められる要素も読み手も高校生の入試とは異なります。編入の書き方を知りたい場合は大学編入志望理由書の添削ガイドを、大学院の場合は院試の志望理由書の書き方を参照してください。この記事は高校生の総合型選抜・学校推薦型選抜に限定して話を進めます。

評価される志望理由書の全体設計|5ブロック構成と字数配分

例文を読み比べる前に、全体の設計図を頭に入れておきます。ここで扱うのは、あくまで例文を読むための最小限の地図です。構成そのものの理論や字数別の細かい設計にはここでは踏み込みません。

実施要項の3要素を5つのブロックに割る

実施要項が挙げる3要素、すなわち入学希望理由、入学後に学びたい内容・計画、卒業後を見据えた目標を、そのまま3段落で書くと、多くの場合1つ目が長くなりすぎて残りが痩せます。3要素を5つのブロックに割ると分量が安定します。次の表が、この記事で使う設計です。以降の例文はすべてこの5ブロックで書かれています。

ブロック書く内容実施要項の3要素との対応
1 出発点の事実自分が実際に見た・やった具体的な場面を一つだけ入学希望理由
2 問いへの変換その事実から生まれた疑問を、調べても即答が出ない形にする入学希望理由
3 大学での学修計画その問いを扱うために何をどう学ぶか(分野・科目・方法)入学後に学びたい内容・計画
4 卒業後の目標学んだことを誰のどの課題に向けるのか卒業後を見据えた目標
5 結び1〜4を一文でつなぎ直し、入学後にやることを言い切る3要素の統合

字数配分の目安

字数の指定は大学ごとに異なります。文部科学省の前掲報告書には、桜美林大学が志望理由書にあたる書類を「自己申告書」と呼び、1,200〜1,600字で作成・提出させているという記載があります。一方、島根大学のように所定様式に記入させる形式もあります。字数と様式は募集要項で必ず確認してください。そのうえで、一般的な配分の目安を示します。

ブロック600字の場合800字の場合1,200字の場合
1 出発点の事実約120字約160字約240字
2 問いへの変換約100字約140字約200字
3 大学での学修計画約220字約300字約450字
4 卒業後の目標約100字約130字約230字
5 結び約60字約70字約80字

配分で目を引くのは、3の学修計画がどの字数でも最も長いことです。多くの受験生は1の体験談に字数の半分以上を使ってしまいますが、評価の重心は入学後の計画に置かれています。実施要項が「入学後に学びたい内容・計画」を明記していること、そして島根大学の評価基準が「なぜ大学で学びたいのか、何を学びたいのか」を評価対象としていることを思い出してください。例文を読むときも、学修計画にどれだけ字数が割かれているかを見ると、質の見当がつきます。

体験の羅列は活動報告書の仕事

もう一つ、混同されやすい点があります。実施要項の第6の5(1)は、活動報告書に、総合的な探究の時間や理数探究等で取り組んだ課題研究、生徒会活動、部活動、ボランティア活動、資格・検定、各種大会・コンクール、留学経験などの記載を求める、としています。活動の一覧は活動報告書が引き受ける設計になっているわけです。志望理由書で同じ活動を並べ直すと、字数を使った割に新しい情報が増えません。この点は、次章のビフォー例文で実際に確認します。

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【ビフォー】よくある平凡な志望理由書の例文|全文と5つの弱点

ここから改善の実演に入ります。まず、書き慣れていない段階で書かれがちな志望理由書を1本自作しました。経営学部を志望する高校3年生が書いた、という設定です。読みながら、どこが弱いかを考えてみてください。文章としては破綻していませんし、誤字もありません。それでも評価は伸びにくい、という種類の原稿です。

第1稿の全文(約560字)

ここから第1稿の全文です。

私は幼い頃から人の役に立つ仕事に就きたいと考えてきました。高校では文化祭実行委員、部活動、地域のボランティア活動など、さまざまな経験を積み、その中で協調性やリーダーシップを身につけることができました。特に文化祭では模擬店の責任者を務め、仲間と協力して大きな成功を収めることができました。この経験を通じて、私は人と人とをつなぐ仕事の面白さを知り、経営学に興味を持つようになりました。

貴学は長い歴史と伝統を持ち、充実したカリキュラムと優れた教授陣がそろっています。オープンキャンパスに参加した際には、キャンパスの雰囲気の良さと学生の皆さんの明るさに大変魅力を感じました。貴学であれば、私が学びたいことを深く学ぶことができると確信しています。

入学後は、経営学を幅広く学び、語学力も高め、サークル活動やボランティアにも積極的に取り組みたいと考えています。そして将来は、大学で学んだ知識を生かして、社会に貢献できる人材になりたいと考えています。以上の理由から、私は貴学を志望いたします。

第1稿の全文はここまでです。

読みやすいのに評価が伸びにくい理由

この原稿の問題は、書き手の努力不足ではありません。むしろ、志望理由書らしい言葉を丁寧に集めた結果、こうなっています。誰が書いても成立する文章になってしまったことが唯一にして最大の弱点です。名前を入れ替えても、学部名を入れ替えても、そのまま通用してしまいます。前章で見たとおり、複数の読み手が基準をそろえて何百通も読む場面では、この種の原稿は互いに区別が付かなくなります。

もう一点、面接との関係でも不利になります。志望理由書を用いた面接では、書かれた内容にそって「なぜ大学で学びたいのか、何を学びたいのか」が問われます。ところがこの原稿には、問われて答えられる具体的な材料がほとんど含まれていません。深掘りできる箇所がない書類は、面接で沈黙を生みます

5つの弱点を評価の観点に当てて診断する

感覚ではなく、評価の観点に当てて診断します。次の表は、第1稿の弱点と、それが実施要項やアドミッション・ポリシーのどの観点に触れているのかを対応させたものです。改稿では、この5点を順番に処理していきます。

弱点該当箇所触れている評価の観点
材料が多すぎて一つも残らない文化祭・部活動・ボランティアの列挙活動の一覧は活動報告書の役割(第6の5(1))と重複し、志望理由書としての情報が増えない
抽象語のまま事実がない協調性、リーダーシップ、大きな成功思考・判断した過程や結果を的確に表現する能力(第6の3)を示す材料がない
大学の学びに触れていない歴史と伝統、雰囲気、教授陣入学後に学びたい内容(第6の5(2))が空白のまま
計画になっていない幅広く学び、語学力も高め学修の計画(第6の5(2))が確認できない
卒業後が一般論で終わる社会に貢献できる人材卒業後を見据えた目標(第6の5(2))が特定できず、面接でも深掘りできない

表にすると、5つの弱点のうち3つが実施要項の第6の5(2)、つまり志望理由書の中身そのものを定めた条項に集中していることが分かります。裏を返せば、直すべき方向ははっきりしています。次章から、一段ずつ手を入れていきます。

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【改善1】材料を1つに絞り、抽象語を具体に置き換える

最初の改稿では、内容を増やしません。むしろ削ります。書く材料を一つに絞り、抽象的な評価語を、読み手が同じ映像を思い浮かべられる事実に置き換えます。この段階ではまだ大学の学びとの接続は弱いままにしてあります。一度に全部直そうとすると、どの操作が効いたのか分からなくなるためです。

何を削ったか

削ったのは3つです。第一に、部活動と地域のボランティアへの言及です。これらは活動報告書に書けば済みますし、志望理由書で触れても一行の要約にしかなりません。第二に、協調性・リーダーシップ・大きな成功といった評価語です。自分で自分を評価した言葉は、評価者の仕事を奪います。第三に、大学の歴史や雰囲気への賛辞です。どの大学にも当てはまる褒め言葉は、志望の理由になりません。

何を足したか

足したのも3つです。数量、時間、そして予想と違った点です。文化祭の模擬店という一つの場面に絞り、何をどれだけ用意し、結果どうなったのかを数で示します。数字は、書き手が現場をきちんと見ていた証拠になります。そして、思ったとおりにいかなかった部分を書きます。うまくいった話より、想定と現実がずれた話のほうが、そのあとの問いに自然につながるからです。

第2稿の全文(約690字)

ここから第2稿の全文です。

高校2年の文化祭で、私はクラスの模擬店で焼きそばの仕入れと販売を担当しました。前年の売上記録をもとに240食分の材料を用意しましたが、当日は昼過ぎに列が途切れ、最終的に52食分を廃棄しました。材料費のうち約8千円が売上にならなかった計算になります。

売れ残った原因は単純な数の読み違いだと最初は考えていました。しかし来場者の動きを記録していた委員のメモを見返すと、同じ時間帯に隣の教室の飲み物の売店には列ができていました。私たちの店の前を通った人数自体は減っていませんでした。用意した数の問題ではなく、その時間に何が選ばれるかという問題だったのではないか、と考えるようになりました。

この経験から、私は経営学、特にものの流れと需要の読み方を扱う分野に関心を持ちました。文化祭の模擬店という小さな場でも、仕入れの判断を一つ誤れば材料と時間が無駄になります。同じことが、私の家の近くの商店街の小さな店でも起きているのだろうと想像しています。貴学で経営学を学び、こうした判断を支える方法を身につけたいと考えています。

入学後は経営学の基礎を学びながら、実際のデータを扱う科目にも取り組みたいと考えています。将来は、規模の小さな事業者が仕入れの判断で損をしにくくなるような仕事に関わりたいと考えています。以上の理由から、貴学を志望いたします。

第2稿の全文はここまでです。

なぜこの改稿が評価につながるのか

第2稿では、読み手が受け取れる情報の質が変わりました。240食、52食、約8千円という数が入ったことで、書き手が現場で何を見ていたかが具体的に伝わります。事実は、面接で問い直したときに答えが返ってくるという点でも価値があります。前年の記録はどこで手に入れたのか、隣の売店の列にはいつ気づいたのか、といった質問に、書き手なら答えられるはずです。第1稿の「大きな成功を収めました」に対して同じ質問はできません。

もう一つの変化は、失敗を書いたことです。廃棄が出た、判断を誤った、という記述は、自分の評価を下げるように感じるかもしれません。しかし実施要項の第6の3が挙げているのは、自らの考えを論理的に形成する思考・判断の能力と、その過程や結果を的確に表現する能力です。評価されるのは結果の華やかさではなく、考えた過程です。うまくいかなかった経験は、その過程を見せる材料として使えます。

ただし、第2稿はまだ完成ではありません。「関心を持ちました」「身につけたいと考えています」で止まっており、どの学問領域の、どの方法で学ぶのかが示されていないからです。卒業後の記述も「損をしにくくなるような仕事」と曖昧なままです。次章で、ここに手を入れます。

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【改善2】問いを立て、大学の学びと接続する

2回目の改稿では、第2稿で書いた事実を「問い」に変換し、その問いを扱うために大学で何をどう学ぶのかを具体化します。実施要項の第6の5(2)が挙げる3要素のうち、入学後に学びたい内容・計画と、卒業後を見据えた目標を埋める作業です。

「気づき」を「答えの出ていない問い」に変える

第2稿の末尾は「関心を持ちました」でした。関心は状態であって、問いではありません。問いの形になっていないと、大学で学ぶ必然性が生まれません。ここでいう問いとは、検索すれば答えが出るものではなく、方法を学ばないと扱えないものを指します。文化祭の例なら、「なぜ売れ残ったのか」ではなく、「その場にいる人が何を選ぶかを、事前にどこまで見積もれるのか」まで押し上げると、統計やマーケティングの領域につながります。

問いを立てるときのコツは、自分の経験を一段だけ抽象化することです。一段で止めるのが要点で、二段三段と上げると「人の行動とは何か」のような、どの学部でも成立する大きすぎる問いになってしまいます。抽象化は一段までと覚えておいてください。

アドミッション・ポリシーの言葉は「借りる」のではなく「照らす」

大学との接続で多くの人がつまずくのが、アドミッション・ポリシーの扱いです。前述のガイドラインが示すとおり、アドミッション・ポリシーには入学後にどのような能力をどのようにして身に付けられる学生を求めているかが書かれています。ここに書かれた言葉をそのまま貼り付けたくなりますが、それは避けてください。同じ文言を書き写した書類は、同じ日に何通も届きます

正しい使い方は、ポリシーに書かれた力を鏡にして、自分の経験のどこがそれに当たるかを探すことです。たとえば島根大学の令和8年度の要項では、選抜方法ごとに評価する力が対応表で示され、重点項目に◎が付いています。こうした一覧がある場合は、自分が書こうとしている事実がどの項目の証拠になるのかを一つずつ確認します。ポリシーの言葉ではなく、ポリシーが指す力を書くという順序です。

第3稿の全文(約840字)

ここから第3稿の全文です。第2稿からの変更箇所は、後半の2段落と結びです。

高校2年の文化祭で、私はクラスの模擬店で焼きそばの仕入れと販売を担当しました。前年の売上記録をもとに240食分の材料を用意しましたが、当日は昼過ぎに列が途切れ、最終的に52食分を廃棄しました。材料費のうち約8千円が売上にならなかった計算になります。

原因は数の読み違いだと最初は考えていました。しかし来場者の動きを記録していた委員のメモを見返すと、同じ時間帯に隣の教室の飲み物の売店には列ができており、私たちの店の前を通った人数自体は減っていませんでした。そこで私は、その場にいる人が次に何を選ぶかを事前にどこまで見積もれるのか、という問いを持つようになりました。前年の記録という過去のデータだけでは、この問いには答えられないと感じています。

この問いを扱うために、貴学の経営学部で三つのことを学びたいと考えています。第一に、需要の予測と在庫の管理を扱う科目で、限られた情報から意思決定を行う方法を学びます。第二に、統計とデータ分析の科目で、来場者の行動記録のようなばらつきの大きい数値を扱う手順を身につけます。第三に、ゼミでの実地調査を通じて、実際の店舗で売り手がどのような順序で判断しているのかを聞き取り、教科書の手法との差を確かめたいと考えています。

卒業後は、地域の小規模な小売業や飲食業の仕入れ判断を支える仕事に関わりたいと考えています。大企業のように専門の担当者を置けない事業者ほど、勘に頼った仕入れによる廃棄の負担が重くなります。私が文化祭で経験した規模の失敗が、日々くり返されているはずだからです。

52食分の焼きそばを捨てた時間から、私の問いは始まりました。貴学で意思決定の方法を学び、その問いに答えられる形で地域の事業者に返すことが、私の入学後の目標です。

第3稿の全文はここまでです。

第2稿から何が変わったのか

変更点を整理します。数が入ったのは第2稿の段階でしたが、第3稿ではその数が問いに接続され、問いが学修計画に接続されました。三つの学びを番号で示したことで、入学後に何をするのかが読み手にとって追跡可能になっています。卒業後の記述も「損をしにくくなるような仕事」から、対象と理由のある記述に変わりました。

ブロック第2稿第3稿
問いへの変換「関心を持ちました」で停止事前にどこまで見積もれるのかという問いを明示
学修計画「経営学の基礎」「データを扱う科目」需要予測と在庫管理、統計とデータ分析、ゼミの実地調査の三本立て
卒業後の目標「損をしにくくなるような仕事」地域の小規模事業者を対象とし、理由も併記
結び「以上の理由から志望いたします」冒頭の数字に戻り、入学後の目標を言い切る

この段階で、島根大学の評価基準にあった「なぜ大学で学びたいのか、何を学びたいのか」という問いに、書類が正面から答えられるようになりました。面接官が質問を作りやすい書類が、良い書類です。三つの学びのそれぞれについて「なぜその順番か」「他の方法は考えなかったか」と聞けますし、書き手はそれに答えられます。

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【アフター】完成形の例文と段落ごとの解説

最後の仕上げでは、新しい内容を足しません。重複を削り、語尾を整え、結びを弱めている表現を直します。推敲は地味ですが、字数制限のある書類では、削った分だけ中身を厚くできるという意味で効きます。

完成形の全文(約820字)

ここから完成形の全文です。

高校2年の文化祭で、私はクラスの模擬店の仕入れと販売を担当しました。前年の売上記録をもとに焼きそば240食分の材料を用意しましたが、昼過ぎに列が途切れ、52食分を廃棄しました。材料費のうち約8千円が売上になりませんでした。

原因は数の読み違いだと考えていました。しかし来場者の動きを記録した委員のメモには、同じ時間帯に隣の飲み物の売店へ列ができていたこと、私たちの店の前の通行人数は減っていなかったことが残っていました。ここから私は、その場にいる人が次に何を選ぶかを事前にどこまで見積もれるのか、という問いを持つようになりました。前年の記録という過去のデータだけでは、この問いに答えられません。

この問いを扱うために、貴学の経営学部で三つのことを学びたいと考えています。第一に、需要の予測と在庫の管理を扱う科目で、限られた情報から意思決定を行う手順を学びます。第二に、統計とデータ分析の科目で、来場者の行動記録のようなばらつきの大きい数値の扱い方を身につけます。第三に、ゼミでの実地調査で、実際の店舗の売り手がどの順序で判断しているのかを聞き取り、教科書の手法との差を確かめます。三つ目を計画に入れたのは、文化祭で私が見落としていたのが数式ではなく現場の観察だったからです。

卒業後は、地域の小規模な小売業や飲食業の仕入れ判断を支える仕事に関わりたいと考えています。専門の担当者を置けない事業者ほど、勘に頼った仕入れによる廃棄の負担が重くなります。私が文化祭で出した52食分の損失は、そうした現場では毎日の規模で起きているはずです。

捨てた52食分から、私の問いは始まりました。貴学で意思決定の方法を学び、答えを地域の事業者に返せる形にすることが、入学後の目標です。

完成形の全文はここまでです。

第1段落|事実だけを置き、感想を書かない

第1段落には、日時と役割と数だけが入っています。「悔しかった」「学びました」といった感想は一つも書いていません。感想は読み手が抱くもので、書き手が指定するものではないからです。分量は全体の約2割に抑えています。体験談は書いていて気持ちが乗るぶん長くなりがちですが、ここが膨らむと学修計画が痩せます。

第2段落|問いが全体の背骨になる

第2段落は、事実を問いに変える転換点です。最初の解釈(数の読み違い)を書いてから、それが違ったと分かる証拠(隣の売店の列、通行人数は減っていない)を出し、そのうえで問いを立てています。解釈を一度更新して見せる書き方は、思考の過程そのものを示すことになります。末尾の「過去のデータだけでは答えられません」という一文が、次の段落で大学の学びが必要になる橋渡しをしています。

第3段落|科目と方法を書くから計画になる

最も長いのが第3段落で、全体の約35%を占めます。三つの学びを番号で並べ、それぞれ何のためかを添えました。ここで大切なのは、学部名ではなく、学ぶ内容と方法まで下ろすことです。志望校のカリキュラム表やシラバスを見て、実在する科目群の名称に近づけると精度が上がります。ただし、履修年次や科目名を誤って書くと逆効果になるため、確認できた範囲で書き、断定しすぎないことも必要です。

末尾の一文にも役割があります。三つ目を計画に入れた理由を、第1段落の失敗に結び直しています。計画と経験が円環になっていると、書類全体が一人の人物の話として読めるようになります。

第4段落|卒業後は大風呂敷を広げない

卒業後の目標は、対象を絞るほど強くなります。この例文では「地域の小規模な小売業や飲食業」と限定し、なぜそこなのかという理由を添えました。世界や社会全体を対象にすると、検証できない目標になります。実施要項が求めているのは卒業後を見据えた目標であって、就職先の断定ではありません。職種を決めきれない場合でも、「誰のどの課題に向けるのか」までは書けます。

第5段落|結びは要約ではなく約束

結びの2文は、第1段落の数字(52食)に戻ってから、入学後にやることを言い切って終わっています。ここまでの内容を要約し直すと、限られた字数を使って新しい情報が増えません。結びは要約ではなく、最初の場面への回収と宣言で作るほうが密度が上がります。「志望いたします」という定型句は、様式に指定がなければ省いても差し支えありません。

第1稿と完成形の対比

観点第1稿(ビフォー)完成形(アフター)
扱う材料文化祭・部活動・ボランティアの3つ文化祭の模擬店1つ
具体的な数0個240食・52食・約8千円
問いなしその場にいる人の選択をどこまで見積もれるか
学修計画「幅広く学び、語学力も高め」科目・方法・理由を伴う3項目
卒業後「社会に貢献できる人材」地域の小規模事業者の仕入れ判断
面接での深掘り質問を作りにくい各段落から質問が作れる

3回の改稿でやったことは、突き詰めれば材料を減らし、事実を増やし、問いでつなぎ直しただけです。新しい体験を作り出したわけでも、実績を盛ったわけでもありません。同じ材料でも、扱い方を変えれば読まれ方は変わります。

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学部系統別の完成例文3本|同じ設計で中身を入れ替える

ここまでの完成形は経営学部を志望する設定でした。同じ5ブロックの設計は、学部系統が変わっても機能します。ここでは3本の完成例文を示します。いずれも本記事のための自作で、字数は700字前後です。読むときは文章を覚えるのではなく、5つのブロックがどこで切り替わっているかを追ってください。

農学・生物資源系の完成例文

ここから全文です。

通学路にある農業用水路で、私は2年生の6月から週に一度、水の濁りと生き物の数を記録してきました。上流の水田で代かきが行われた週は濁りが強くなり、その2週間後にドジョウを見かける回数が半分以下になる年がありました。合計で38回の記録を取りました。

濁りが原因だと考えていましたが、同じように濁った別の年には数が減りませんでした。違いは水温と、水路の草刈りの時期でした。一つの原因で説明しようとしたことが誤りで、農業の作業暦と水路の生き物の生活が、どのようにかみ合っているのかを知りたいと考えるようになりました。

貴学の生物資源科学部では、三つのことを学びたいと考えています。第一に、水域の生態を扱う科目で、生物の分布を左右する条件の調べ方を学びます。第二に、農業水利や土地改良に関する科目で、水路が農業の設備として果たしている役割を理解します。第三に、実習と調査を通じて、私の記録のように限られた回数のデータをどう扱えば結論を出せるのか、その手順を身につけたいと考えています。

卒業後は、農業の生産と水辺の生き物の両方を成り立たせる仕組みづくりに関わりたいと考えています。生き物を守るために農業をやめる、という選択は現場では取れません。両立の条件を数字で示せる人が必要だと考えています。

38回分の記録では、まだ何も言い切れません。貴学で調査の方法を学び、言い切れるだけの根拠を積み上げることが、入学後の目標です。

全文はここまでです。この例文で注目してほしいのは、第2段落で自分の仮説が外れたことを書いている点です。理系分野では、観察と仮説の更新が学問そのものの作法なので、この記述がそのまま適性の証拠になります。

心理・人間科学系の完成例文

ここから全文です。

吹奏楽部でクラリネットを担当していた私は、本番になると音程が不安定になる自分に悩んでいました。練習では合っている箇所が、コンクールの本番だけずれます。3年間で出場した6回の本番のうち、5回で同じ箇所を外しました。

緊張が原因だと片づけていましたが、部内で録音を聞き返すうちに、外す箇所には共通点があることに気づきました。いずれも直前に長い休符があり、他の楽器の音を聞いてから入る場所でした。緊張という一語で片づけていた現象の中に、演奏中にどこへ注意を向けているかという別の要素が隠れていました。私の問いは、この注意の向け方をどこまで意識的に扱えるのか、という点に移りました。

貴学の人間科学部では、三つのことを学びたいと考えています。第一に、認知心理学の科目で、人の注意と記憶がどのように働くのかを学びます。第二に、心理学実験の演習で、思い込みを排して現象を測る手続きを身につけます。第三に、統計法の科目で、少ない回数のデータから何が言えて何が言えないのかを判断できるようになりたいと考えています。

卒業後は、人が本番で力を出せない場面を減らす仕事に関わりたいと考えています。演奏に限らず、面接や発表の場でも同じことが起きているはずです。原因を性格に帰さずに扱える方法を届けたいと考えています。

6回のうち5回外した理由を、私はまだ説明できません。貴学で測り方から学び、自分の経験を検証できるようにすることが、入学後の目標です。

全文はここまでです。心理系では、原因を性格や気持ちに帰さずに測ろうとする姿勢が学問との相性を示します。「緊張しやすい性格を直したい」で終わらせず、測定の話に接続しているのがこの例文の要点です。

外国語・国際系の完成例文

ここから全文です。

私が住む市の観光案内板には、日本語のほかに3言語の表示があります。市内15か所の案内板を見て回ったところ、同じ地名が板によって別の表記になっている箇所が4件ありました。英語表記が音をそのまま写したものと、意味を訳したものに分かれていたためです。

どちらが正しいのかを調べるつもりでしたが、資料を読むうちに、正解が一つに決まらないことが分かりました。道を探している人には音の表記が役立ち、土地の由来を知りたい人には意味の訳が役立ちます。読み手が誰かによって正しさが変わるのなら、その判断は何を基準に行われているのか、という問いに変わりました。

貴学の外国語学部では、三つのことを学びたいと考えています。第一に、翻訳論の科目で、訳し方の選択が読み手にどう作用するのかを学びます。第二に、社会言語学の科目で、地域で複数の言語が使われる場面の実態を理解します。第三に、実地調査を伴う演習で、案内板の利用者に直接尋ねる方法を身につけたいと考えています。

卒業後は、地域の公共表示や案内の多言語化に関わりたいと考えています。訪れる人が増えるほど、読み手の幅は広がります。誰に向けた表示なのかを決めてから訳す仕組みが必要だと考えています。

4件の食い違いは、間違いではなく判断の分かれ目でした。貴学で判断の基準を学び、地域の表示に反映させることが、入学後の目標です。

全文はここまでです。この例文では、正解が一つに決まらないと気づいた過程が問いになっています。語学系の志望理由書は「英語が好き」「留学したい」で終わりがちですが、言語をめぐる判断の問題に踏み込むと、学部の学びとかみ合います。

3本に共通する骨組み

ブロック農学・生物資源系心理・人間科学系外国語・国際系
1 事実水路の観察38回本番6回中5回のミス案内板15か所・食い違い4件
2 問い作業暦と生き物のかみ合い方緊張の内訳としての注意訳し方を決める基準
3 学修計画生態・農業水利・調査手順認知心理・実験演習・統計翻訳論・社会言語学・実地調査
4 卒業後生産と生態の両立条件本番で力を出せない場面の減少公共表示の多言語化
5 結び根拠を積み上げる自分の経験を検証する基準を地域に反映する

3本を並べると、中身は完全に違うのに骨組みが同一であることが分かります。借りるべきはこの列の並びであって、文章そのものではありません。次章で、その使い分けをはっきりさせます。

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例文の正しい使い方|丸写しが評価されない理由と構造だけ借りる5ステップ

ここまで7本の全文を読んできました。最後に、これらをどう使うかという話をします。結論から書くと、借りてよいのは構造だけで、文章は自分で書くという一点に尽きます。理由は倫理の問題だけではなく、そのほうが評価上も有利だからです。

丸写しが評価されにくい3つの理由

第一の理由は面接です。総合型選抜・学校推薦型選抜では、志望する学問分野に対する意欲や適性等に係る面接による評価を必ず行うことになっています。島根大学の例では、志望理由書を用いた面接が数名の面接委員によって15分程度行われ、その配点は100点でした。自分で書いていない箇所は、掘られた瞬間に崩れます。書類は通っても面接で整合が取れなくなる、という形で不利になります。

第二の理由は、大学ごとの評価軸との不一致です。アドミッション・ポリシーは大学・学部ごとに違い、重点的に評価する力も異なります。よその大学向けに作られた例文をそのまま持ってくると、その大学が重視していない要素ばかりが並ぶことになります。評価表に載っていない長所は加点されません

第三の理由は、同じ文章が複数届くことです。前掲の報告書によれば、書類は複数の教員や職員が読み、目線合わせの研修まで行われています。同じ言い回しの原稿が並べば、比較して読んでいる側には見えます。読み手は一通ずつではなく束で読んでいるという点は、意識しておく価値があります。

生成AIに書かせた原稿をそのまま出すとどうなるか

例文の丸写しと同じ問題が、生成AIで作った原稿にも起こります。文章としては整っていても、そこに入っている事実は書き手のものではないため、面接で問い直されたときに答えが出てきません。整った文章ほど期待値が上がり、面接での落差が目立つという逆説もあります。下書きの相談相手として使うのは有効ですが、提出する文章は自分の事実で埋めてください。出願書類は本人が作成するものとして扱われる点も忘れないでください。

構造だけを借りる5ステップ

具体的な手順を示します。この記事の例文を横に置きながら、次の順で進めてください。

  1. 志望校の募集要項とアドミッション・ポリシーを開き、設問文と評価する力の一覧を書き出す。字数・様式・提出方法もここで確認する。
  2. 自分が実際に見た・やった場面を10個ほど箇条書きにする。実績の大小は問わない。数や時間を思い出せるものに印を付ける。
  3. 印を付けた中から、答えがすぐ出ない疑問につながるものを1つだけ選ぶ。残りは活動報告書に回す。
  4. この記事の5ブロック(事実・問い・学修計画・卒業後・結び)の順に、まず箇条書きで中身を埋める。文章にするのはこの後。
  5. 志望校のカリキュラムやシラバスを確認し、学修計画のブロックに科目や方法の名称を入れる。確認できない部分は断定しない。

この手順の要点は、文章を書き始める前に材料と設計を確定させることです。書きながら構成を考えると、体験談だけが長い原稿になります。なお、大学編入の面接で志望理由をどう問い直されるかは大学編入の面接対策の記事が参考になります。高校生の総合型選抜とは制度が違いますが、書類と面接の整合という論点は共通しています。

提出前の自己点検リスト

書き上げたら、次の10項目で点検してください。1つでも「いいえ」があれば、そこが改稿の起点になります。

#点検項目該当する評価の観点
1名前を隠しても自分の文章だと分かるか他の志願者との識別可能性
2中心となる事実は1つに絞られているか活動報告書との役割分担
3数量・時期・場所のいずれかが入っているか表現の的確さ
4問いは検索で即答できない形になっているか知的好奇心・探究心
5学修計画に科目名や方法が入っているか入学後に学びたい内容・計画
6卒業後の目標に対象が明記されているか卒業後を見据えた目標
7大学の雰囲気や伝統だけを褒めていないか志望理由の具体性
8各段落から面接の質問を作れるか面接での評価との接続
9アドミッション・ポリシーの文言を写していないか自分の言葉かどうか
10字数・様式・提出期限は要項どおりか出願要件

点検は自分だけで完結させないほうが確実です。書いた本人は、書いていない情報を頭で補って読んでしまいます。第三者に読んでもらい、質問が出た箇所を書き足すという回し方が有効です。総合型選抜の準備を体系的に進めたい場合は、総合型選抜専門オンライン塾アドミのように、志望理由書と面接をひとつながりで見る指導を利用する方法もあります。

出願日程から逆算した推敲の時間

令和9年度大学入学者選抜実施要項によると、総合型選抜の入学願書受付は令和8年9月1日以降、判定結果の発表は令和8年11月1日以降とされています。学校推薦型選抜は願書受付が令和8年11月1日以降、発表が令和8年12月1日以降です。総合型選抜を受けるなら、夏の時点で原稿が形になっている必要があります。この記事のように3回改稿するには、材料集めを含めて数週間を見込んでおくと安心です。実際の日程は大学ごとに異なるため、募集要項で確認してください。

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よくある質問(FAQ)

志望理由書の例文はそのまま使ってもよいですか

使わないでください。他サイトの例文をそのまま提出することは、著作権の問題に加えて、選抜上も不利に働きます。志望理由書は面接で問い直される書類なので、自分で書いていない箇所は答えに詰まります。借りるのは5ブロックの構造だけにして、中に入れる事実は自分の経験から取ってください。

例文は何字くらいのものを参考にすればよいですか

志望校の指定字数に近いものを選ぶのが基本です。ただし字数の指定は大学ごとに異なります。文部科学省の報告書には、桜美林大学が志望理由書にあたる書類を1,200〜1,600字で提出させているという記載がありますし、所定様式に記入させる大学もあります。まず募集要項で字数と様式を確認し、そのうえで近い長さの例文を参考にしてください。

生成AIに書かせた志望理由書を提出してもよいですか

提出する文章は自分で書いてください。生成AIが作る文章は形が整っている一方、そこに入る事実は自分のものではないため、面接で深掘りされたときに支えがありません。構成の相談や、書いた原稿の読みにくい箇所を探す用途にとどめるのが安全です。出願書類は本人が作成するという前提も確認しておいてください。

例文のような目立つ実績がありません。何を書けばよいですか

実績は評価の中心ではありません。この記事の完成形も、扱っているのは文化祭で焼きそばを52食分廃棄したという失敗です。実施要項が求めているのは、入学希望理由と入学後の計画、卒業後の目標であって、受賞歴の一覧ではありません。日常の中で予想と違った場面を思い出せれば、材料としては足ります。大会やコンクールの実績は、活動報告書の側で示せば十分です。

アドミッション・ポリシーの言葉をそのまま入れてもよいですか

そのまま写すのは避けてください。同じ文言を引いた書類は複数届きます。ポリシーは、自分の経験のどこがその力の証拠になるかを探すための鏡として使ってください。たとえば「探究心を重視する」と書かれていれば、探究心という語を書くのではなく、自分が疑問を持ってから何をどれだけ調べたのかを事実で示す、という置き換えを行います。

志望理由書と活動報告書で同じ内容を書いてもよいですか

役割が違うので、書き分けたほうが有利です。実施要項の第6の5(1)は、活動報告書に課題研究や生徒会活動、部活動、ボランティア、資格・検定、各種大会などの記載を求めています。活動の一覧はそちらに任せ、志望理由書では一つの場面を掘り下げて問いにつなげるほうが、限られた字数を有効に使えます。両方に同じ活動が出てくること自体は問題ありませんが、志望理由書側では扱う角度を変えてください。

書き上げた志望理由書は誰にどう見てもらえばよいですか

できれば複数の人に読んでもらってください。高校の先生は志望校の傾向や調査書との整合を、家族は事実関係の記憶違いを見つけてくれます。読んでもらうときは「良いかどうか」ではなく、読んで浮かんだ質問を挙げてもらうのが効果的です。質問が出た箇所は、面接でも聞かれる箇所だと考えてください。専門的な視点で見てほしい場合は、無料相談のような窓口を使う方法もあります。

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まとめ|志望理由書の例文は「借りるのは構造、書くのは自分の事実」

この記事では、平凡な志望理由書を1本自作し、3回の改稿を経て完成形に持っていく過程を示しました。要点を整理します。

  • 志望理由書に書く内容は、実施要項の第6の5(2)により、入学希望理由・入学後に学びたい内容と計画・卒業後を見据えた目標の3要素とおおまかに定まっている。
  • この3要素は、事実・問い・学修計画・卒業後・結びの5ブロックに割ると分量が安定する。最も長くすべきなのは学修計画のブロック。
  • 改善の第一歩は増やすことではなく、材料を1つに絞り、協調性やリーダーシップといった抽象語を数と事実に置き換えること。
  • 次の一歩は、事実を「調べても即答が出ない問い」に変換し、その問いを扱うための科目と方法を書くこと。抽象化は一段までに留める。
  • 仕上げは推敲。結びは要約ではなく、冒頭の場面への回収と入学後の宣言にすると密度が上がる。
  • アドミッション・ポリシーは文言を写すのではなく、自分の事実がどの力の証拠になるかを照らす鏡として使う。
  • 志望理由書は面接の土台として点数化される。各段落から質問を作れる状態が、良い書類の目安になる。

例文を読むこと自体は無駄ではありません。むしろ、完成形を知らないまま書き始めるほうが遠回りになります。ただし、参考にする対象を間違えないでください。参考にすべきなのは言い回しではなく、ブロックの並びと、各ブロックが担っている役割です。この記事の7本の例文は、どれも同じ並びで書かれています。

そして、書き上げた原稿は必ず声に出して読み、面接官の立場で質問を3つ作ってみてください。質問が作れない段落は、情報が足りていない段落です。面接で聞かれたら困る箇所こそ、改稿の起点になります。この記事で示した第1稿から完成形までの3回の改稿も、そのくり返しでした。

制度の情報は年度によって変わります。総合型選抜・学校推薦型選抜の日程や評価方法、志望理由書の字数・様式は、志望校の最新の募集要項で必ず確認してください。準備を独学で進めることに不安がある場合は、志望理由書と面接をひとつながりで見てくれる専門の指導を活用するのも一つの方法です。

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この記事を書いた人

株式会社Spring Knowledge 代表取締役社長。筑波大学 社会・国際学群 社会学類へ編入学し、都内国公立大学大学院 法学政治学研究科 修士課程を修了。大学編入・大学院進学を自ら経験した立場から、スプリング・オンライン家庭教師の大学編入・大学院入試分野の指導および記事監修を担当。

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