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鹿児島大学大学院人文社会科学研究科「冬入試」の傾向と対策

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鹿児島大学大学院人文社会科学研究科の「冬入試」とは、正式には第Ⅱ期入学試験のことで、出願は1月上旬、試験は2月中旬に実施される入試区分です。同研究科は法学専攻・経済社会システム専攻・人間環境文化論専攻・国際総合文化論専攻の4専攻からなる博士前期課程を持ち、夏に実施される第Ⅰ期入試とは別に、この冬入試(第Ⅱ期)でもう一度出願のチャンスがあります。

第Ⅱ期入試は、令和9年度(2027年4月入学)の場合、出願期間が令和9年1月4日(月)〜1月8日(金)、試験日が令和9年2月12日(金)、合格発表が令和9年2月22日(月)10時(予定)というスケジュールで実施されます。学部生の卒業論文提出後に出願準備を始められる時期であり、社会人が仕事の区切りをつけてから受験できるタイミングでもあります。第Ⅰ期入試(夏〜秋実施)に比べて出願までの準備期間が短く見えますが、専攻によっては第Ⅱ期のほうが募集人員が多く設定されているケースもあり、単に「もう一度のチャンス」というだけでなく、専攻次第では第Ⅱ期を主戦場として狙う戦略も成り立ちます。

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受験を検討する際にまず把握しておきたいのは、専攻ごとに出願資格・試験科目・配点・面接の比重が大きく異なるという点です。法学専攻と経済社会システム専攻は専門科目と面接がほぼ同じ比重である一方、人間環境文化論専攻・国際総合文化論専攻は選抜区分によって専門科目と面接の配点が逆転します。こうした違いを知らずに出願準備を進めると、力の入れどころを誤ってしまいかねません。

この記事では、鹿児島大学大学院人文社会科学研究科の冬入試(第Ⅱ期入試)について、出願資格・試験日程・専攻別の試験科目と配点・指導教員の研究テーマ・公開されている過去問の出題テーマ・出願書類の準備・逆算スケジュールまでを、大学公式の募集要項に基づいて整理します。募集要項の内容は年度により変わるため、出願前には必ず最新の募集要項でご確認ください。

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目次

鹿児島大学大学院人文社会科学研究科の「冬入試(第Ⅱ期入試)」とは

鹿児島大学大学院人文社会科学研究科(博士前期課程)は、法学専攻・経済社会システム専攻・人間環境文化論専攻・国際総合文化論専攻の4専攻から構成される、鹿児島大学大学院で唯一の人文社会科学系分野の研究科です。近年急激に変化する時代と社会、特に南九州の地域社会が抱える諸問題に的確に対処しうる高度専門職業人の養成と、社会人の再教育を使命として掲げています。

各専攻の教育内容は次のとおりです。法学専攻は法・行政・政治に関する知識を付与し理論的・実践的に問題を解決できる能力を養成、経済社会システム専攻は経済学・経営学・社会学による多面的な教育で南九州が抱える課題への対応力を育成、人間環境文化論専攻は個別的社会のフィールドワークを通じて自然・文化・歴史的環境の相互関係を考察、国際総合文化論専攻は日本及び世界の思想・言語・文学・歴史等を国際的・総合的な視野で教育します。本研究科では、法学・経済学・社会学・人文諸科学という学問対象と研究方法を異にする4専攻から構成されている特徴を活かし、自分の専攻の基礎的・専門的な教育研究に加えて、他専攻の異なる学問対象と研究方法をも合わせて修得できる教育課程が組まれています。

この研究科の入試は、大きく分けて夏に実施される第Ⅰ期入試と、冬に実施される第Ⅱ期入試の2回のチャンスがあります。第Ⅱ期入試は出願が1月、試験が2月という年度後半の日程になるため、本記事では便宜的に「冬入試」と呼んでいますが、これは大学が公式に使っている呼称ではなく、第Ⅰ期(夏〜秋)に対する時期的な通称である点に注意してください。

第Ⅱ期入試では、一般選抜・社会人特別選抜・外国人留学生特別選抜の3区分が実施されます。推薦特別選抜は第Ⅰ期入試のみの実施となっており、第Ⅱ期では選べません。この点は、学業成績に自信があり推薦を狙いたい受験生にとって重要な違いです。また、専攻ごとに第Ⅰ期と第Ⅱ期で募集人員の配分が異なるため、自分の志望専攻がどちらの期に多く枠を割いているかも、出願時期を選ぶうえでの判断材料になります。

入学後の学び方についても触れておきます。本研究科は職業を有する社会人の受入れを積極的に行っており、大学院設置基準第14条に定める教育方法の特例措置(昼夜開講制)を法学専攻で実施しているほか、標準修業年限(2年)で修了することが難しい学生のために標準修業年限の2倍を超えない範囲で計画的に履修できる長期履修学生制度、通学が難しい事情がある学生のための遠隔授業制度も用意されています。いずれも入学後に別途申請が必要な制度なので、社会人として働きながらの通学を検討している場合は、出願前の段階で研究科ホームページで詳細を確認しておくとよいでしょう。

出願資格ー一般選抜・社会人特別選抜・外国人留学生特別選抜の違い

鹿児島大学大学院人文社会科学研究科(博士前期課程)の第Ⅱ期入試では、一般選抜・社会人特別選抜・外国人留学生特別選抜の3つの選抜区分が実施されます(推薦特別選抜は第Ⅰ期のみ)。それぞれの出願資格には共通点と相違点があります。

一般選抜を受験できるのは、次のいずれかに該当する者です。(1)学校教育法第83条に定める大学を卒業した者、または令和9年3月までに卒業見込みの者、(2)学校教育法第104条第7項の規定により学士の学位を授与された者、(3)〜(8)外国の大学卒業者・16年課程修了者など各種の外国学歴に関する要件、(9)大学に3年以上在学し所定の単位を優れた成績で修得したと認められた者、(10)出願資格の個別審査により大学卒業者と同等以上の学力があると認められた者で、令和9年4月1日までに22歳に達する者、の合計10号です。

社会人特別選抜の出願資格は、学歴要件そのものは一般選抜とほぼ同じですが、入学時に2年以上の社会経験を有する者という条件が全ての号に共通してかかる点が最大の違いです。また、個別審査による出願資格(10号に相当する規定)では、令和9年4月1日までに24歳に達する者という年齢要件になっており、一般選抜の22歳よりも2歳高く設定されています。仕事をしながら研究したい社会人にとっては、この特別選抜の存在が重要な選択肢になります。

外国人留学生特別選抜は、日本国籍を有しない者を対象とし、(1)外国において学校教育16年の課程を修了した者(または令和9年3月までに修了見込みの者)、(2)外国人留学生として学校教育法第83条の大学を卒業した者(または卒業見込みの者)、(3)修業年限3年以上の外国の学校の課程を修了し学士相当の学位を授与された者、(4)出願資格の個別審査により大学卒業者と同等以上の学力があると認められた者で令和9年4月1日までに22歳に達する者、のいずれかに該当する必要があります。なお、輸出管理規制の観点から、外国人留学生や規制対象となる居住者の受入れには厳格な審査があるため、出願を希望する場合はできるだけ早い段階で問い合わせ先へ相談することが案内されています。

出願資格(9)(10)または外国人留学生特別選抜の(4)によって出願しようとする場合は、事前に出願資格の個別審査を受ける必要があります。第Ⅱ期入試の場合、個別審査の申請期間は令和8年11月2日(月)〜11月9日(月)16時まで、結果通知は令和8年12月17日付です。学部3年次生が個別審査を受ける場合は、大学在学期間が3年に達すること、卒業要件単位の4分の3以上を修得し成績の85%以上が優(A)であることなど、追加の要件が定められています。個別審査は出願期間(1月4日〜8日)よりも前に完了させておく必要があるため、早めの準備が欠かせません。なお、この出願資格により入学する場合、学部の学籍は「退学」扱いとなり「卒業」にはならない点も押さえておく必要があります。

社会人が受験する場合、社会人が大学院入試を受ける際に共通して問われる出願資格や研究計画書・面接対策も踏まえて準備すると、より具体的な対策イメージが持てます。

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令和9年度 第Ⅱ期入試の出願期間・試験日・合格発表日程

令和9年度(2027年4月入学)の第Ⅱ期入試日程は、以下のとおりです。この日程は法学専攻・経済社会システム専攻・人間環境文化論専攻・国際総合文化論専攻のいずれも共通です。

項目日程
出願資格の個別審査申請(該当者のみ)令和8年11月2日(月)〜11月9日(月)16時
個別審査結果の通知(該当者のみ)令和8年12月17日付
出願期間令和9年1月4日(月)〜1月8日(金)
試験日令和9年2月12日(金)
合格者発表令和9年2月22日(月)10時(予定)
入学手続令和9年3月4日(木)〜3月9日(火)

出願書類は持参の場合、受付時間が9時から16時(12時〜13時を除く)です。郵送の場合は必ず「書留・速達郵便」とし、期限内必着が条件になります。レターパックを利用する場合はレターパックプラスを使う必要があり、レターパックライトでは受け付けられない点に注意してください。提出先は鹿児島大学法文学系事務課大学院係です。

検定料は30,000円で、国費外国人留学生など一部の対象者は免除されます。合格後の入学料は282,000円(予定額)、授業料は年額535,800円(前期分267,900円、予定額)です。授業料改定が行われた場合は改定時から新授業料が適用されるため、入学時点での最新の金額を募集要項で確認しておくと安心です。入学料・授業料にはそれぞれ免除・徴収猶予制度があるため、経済的な事情がある場合は鹿児島大学学生部学生生活課へ早めに相談することをおすすめします。既納の検定料は、二重払込などの例外を除き、いかなる理由があっても返還されません。

試験当日は専門科目(筆記)の後に面接が行われる専攻がほとんどで、法学専攻・経済社会システム専攻は10時前後から学力検査、12時30分から面接という流れです。人間環境文化論専攻・国際総合文化論専攻は9時30分から学力検査、同じく12時30分から面接となります。試験場は鹿児島大学法文学部(鹿児島市郡元一丁目21番30号)で、JR鹿児島中央駅から徒歩約20分、または市営バス・鹿児島交通バス・南国交通バスで「法文学部前」下車徒歩約3分です。大学構内への自家用車の乗り入れはできないため、公共交通機関でのアクセスを前提に当日の行程を組んでおきましょう。障害等があり受験上・修学上の配慮を希望する場合は、出願期間開始日の1か月前(第Ⅱ期は令和8年12月4日まで)を目安に事前相談する必要があります。

合格発表は研究科ホームページに受験番号が掲載される形で行われ、電話等による照会には一切応じないとされています。合格通知は本人宛に郵送されるため、あて名シートに合格者発表日以降も確実に受け取れる住所を記入しておく必要があります。参考までに、令和8年度第Ⅱ期入試の結果を見ると、法学専攻(募集2名)は志願者6名・受験者5名・合格者2名、経済社会システム専攻(募集3名)は志願者5名・受験者4名・合格者3名、人間環境文化論専攻(募集3名)は志願者3名・受験者3名・合格者3名、国際総合文化論専攻(募集5名)は志願者2名・受験者2名・合格者2名でした。専攻によって実質的な倍率(受験者数÷合格者数)には差があり、年度によっても変動するため、出願前には研究科ホームページで最新の入試結果を確認することをおすすめします。

専攻別の試験科目・配点ー法学/経済社会システム/人間環境文化論/国際総合文化論

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入学者の選抜は、専攻を問わず学力検査(専門科目の筆記試験)面接の結果を総合して行われます。学業成績証明書等の書類は面接の参考資料として扱われます。配点の内訳は専攻ごとに異なるため、志望専攻の配点構造を正確に把握しておくことが対策の第一歩です。

法学専攻

一般選抜・社会人特別選抜(専門職業人養成コース)・外国人留学生特別選抜は、専門科目(筆記)100点+面接100点の配点です。専門科目は行政法・刑法・民法・商法・租税法・法社会学・政治学の中から、入学後に研究を希望する科目を1科目選んで受験します。試験では六法が貸与されます。社会人特別選抜の「実践教養コース」のみ、面接100点のみで筆記試験がありません。志望動機・将来の目標・コース選択の理由・研究の内容と方法などが問われます。

指導教員の研究テーマの一例としては、行政法(行政法執行スタイルの日米比較)、刑法(刑事責任判断と人格同一性概念の関係)、民法(信託法理による日米比較の救済研究)、租税法(納税者の権利を基軸とした租税法律主義論)、法社会学(司法制度論・専門職論・AIを含むICT活用の研究)、政治学(20世紀イギリス政治思想、A・D・リンゼイを中心とする研究)などがあります。所定の単位(30単位以上)を修得し、修士論文またはこれに代わる研究成果の審査及び最終試験に合格すると「修士(法学)」の学位が授与されます。

経済社会システム専攻

一般選抜・社会人特別選抜・外国人留学生特別選抜のすべてで専門科目150点+面接150点という共通の配点です。専門科目は、マクロ経済学・経済統計論・日本経済史・租税政策論・国際貿易投資論・社会システム論・技術経営・経営管理論・コーポレート ファイナンス・財務会計論・管理会計論・情報社会論・福祉社会学・環境教育論・社会教育思想論・青少年文化 社会論・比較教育社会史・共生社会の学習論・教育社会学という幅広い選択肢の中から1科目を選び受験します。経済・経営・社会教育という3つの分野をまたぐ選択肢の広さが特徴で、自分の研究テーマに直結する科目を選べる設計になっています。

教育研究分野は、経済理論・経済史・統計学・社会学をベースとする経済社会分野、地域企業や自治体の活性化策・国際協力を扱う地域経営分野、教育実践・政策の分析力を養う社会教育・学校教育分野の3つに大別されます。指導教員の研究テーマの例としては、租税政策論(法人税負担率の公平性の実証研究)、国際貿易投資論(東アジア諸国の為替制度・政策)、技術経営(イノベーションが成功する複合的要因)、管理会計論(1920年代アメリカ初期企業予算の発展史的分析)、福祉社会学(日米中の超高齢社会における家族と地域社会の国際比較)などがあり、地域経済から福祉・教育まで研究対象の幅が広いことがうかがえます。

人間環境文化論専攻・国際総合文化論専攻

この2専攻は選抜方法の枠組みが共通しています。一般選抜は専門科目200点+面接100点、社会人特別選抜・外国人留学生特別選抜は専門科目100点+面接200点と、面接の比重が大きく高くなる点が特徴です。専門科目は、志望する専門分野内から1科目を選択します。

専攻専門分野専門科目名外国語の出題
人間環境文化論専攻心理学心理学英語
現代文化論現代文化論一般選抜のみ英語
地域環境論地理学英語
考古学一般選抜は英語、外国人留学生選抜は日本語
基層文化論一般選抜は英語、外国人留学生選抜は日本語
国際総合文化論専攻日本アジア歴史学日本史学なし
東洋史学なし
日本アジア文学・語学日本語・日本文学なし
中国語・中国文学中国語
ヨーロッパ・アメリカ文化学哲学英語
西洋史学英語
英語・英米文学英語
ドイツ語・ドイツ文学ドイツ語

この表からわかるとおり、心理学・地理学・哲学・西洋史学・英語英米文学は専門科目の中で外国語の読解力そのものが問われる設計になっており、単純な暗記対策だけでは対応できません。一方、日本史学・東洋史学・日本語日本文学は外国語の出題がなく、専門分野の基礎知識と論述力が中心になります。面接では、卒業論文(または学位論文・卒業研究・研究報告書)と専門科目に関する質問が行われ、社会人特別選抜・外国人留学生特別選抜では入学後の研究計画・研究学習歴・専門的知識が特に重視されます。

人間環境文化論専攻は心理学・現代文化論・地域環境論(地理学・考古学・基層文化論)の3分野で構成され、指導教員の研究テーマの例としては、認知心理学(知覚・記憶の研究)、臨床心理学(児童・思春期の心理的問題や危機介入)、生涯発達心理学(高齢期の精神的健康や介護・自殺の問題)、考古学(九州を中心とする東アジア先史時代の物質文化動態)、自然地理学(第四紀の自然環境の時間・空間的変遷)などがあります。国際総合文化論専攻は日本アジア歴史学・日本アジア文学語学・ヨーロッパ アメリカ文化学の3分野で構成され、日本中世史(公家・寺社の政治的社会的地位と荘園)、東洋史学(中国古代の皇帝支配と官僚制度、または13〜16世紀の東アジア経済史)、日本近世文学(江戸時代後期の戯作文学と遊里・出版の文化史)などが指導教員の研究テーマの例として挙げられます。志望する研究テーマに近い指導教員がいるかどうかは、出願前に研究科ホームページのシラバス等で必ず確認しておきましょう。

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第Ⅰ期入試との違いー冬入試(第Ⅱ期)を選ぶべき人

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令和9年度入試では、第Ⅰ期(夏〜秋)と第Ⅱ期(冬)で試験科目・配点の仕組みそのものは共通していますが、日程と募集人員の配分が異なります。第Ⅰ期は出願期間が令和8年8月3日(月)〜8月7日(金)、試験日が令和8年9月18日(金)、合格発表が令和8年10月15日(木)10時(予定)です。

募集人員は専攻によって第Ⅰ期・第Ⅱ期の配分に差があります。法学専攻は第Ⅰ期3人・第Ⅱ期2人、経済社会システム専攻は第Ⅰ期7人・第Ⅱ期3人と、この2専攻は第Ⅰ期のほうに多くの枠が割かれています。一方で人間環境文化論専攻は第Ⅰ期2人・第Ⅱ期3人、国際総合文化論専攻は第Ⅰ期3人・第Ⅱ期5人と、この2専攻は逆に第Ⅱ期(冬入試)のほうが定員が多く設定されています。志望専攻によっては、冬入試のほうが有利な枠組みになっている場合がある点は覚えておく価値があります。

もう一つの大きな違いは、推薦特別選抜が第Ⅰ期のみの実施である点です。推薦特別選抜は、令和9年3月までに大学を卒業見込みで、学業成績が優秀(令和8年3月31日までの修得単位の8割以上を取得し、その6割以上が「優」以上の評価)な学生が対象で、指導教員または学長(学部長)の推薦書が必要です。学業成績に自信があり、この基準を満たせる学部生は第Ⅰ期での出願を検討する価値がありますが、条件を満たせない場合や、卒業論文の完成を待ってから研究計画を練り直したい場合は、第Ⅱ期入試が実質的な選択肢になります。

第Ⅱ期入試(冬入試)が向いているのは、次のようなケースです。第一に、第Ⅰ期入試で不合格だった、あるいは第Ⅰ期の時点では準備が間に合わなかった受験生です。第二に、卒業論文の執筆と並行して大学院入試の準備を進める学部4年生で、卒業論文の内容を研究計画書に反映させたい人です。第三に、社会人特別選抜で受験する社会人のうち、年末までの繁忙期を終えてから出願準備を本格化したい人です。第四に、人間環境文化論専攻・国際総合文化論専攻を志望していて、募集人員の多い期を選びたい人です。参考までに、令和8年度第Ⅰ期入試の結果では、法学専攻(募集3名)は志願者8名・受験者7名・合格者2名、国際総合文化論専攻(募集3名)は志願者10名・受験者10名・合格者7名でした。同じ専攻でも期によって志願者数・合格者数の傾向が変わることがあるため、両方の期の入試結果を見比べて出願戦略を立てるのも一つの方法です。

大学院入試には夏入試・冬入試という時期の違いが全国的に存在し、それぞれの出願準備には数か月単位の逆算が必要です。大学院入試全体の夏入試・冬入試のスケジュールと出願準備の逆算を押さえておくと、鹿児島大学以外を併願する場合にも見通しが立てやすくなります。

公開されている令和8年度過去問から読み取れる出題テーマ

鹿児島大学大学院人文社会科学研究科では、試験問題及び出題の意図を、試験実施の翌年度に研究科ホームページ上で公開する運用がとられています。2026年8月時点では、令和8年度(2026年度)に実施された第Ⅰ期・第Ⅱ期の試験問題と出題の意図がすでに公開されており、令和7年度以前の分は「大学院入学試験における試験問題等開示請求書」を提出することで個別に開示を受けられます。ここでは、令和8年度第Ⅱ期(2026年2月12日実施)の「出題の意図」から読み取れる出題テーマを、専攻別に紹介します。問題文そのものの転載は著作権上できないため、大学が公表している出題テーマと評価のポイントのみを扱います。出題内容は年度によって変わるため、対策の際は必ず最新の公開資料を確認してください。

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法学専攻

租税法では、問題1が租税法律主義の原則、とりわけ租税法規不遡及についての理解を問う内容で、租税法規不遡及に関する最高裁判平成23年9月22日判決(民集65巻6号2756頁)への理解も併せて確認する出題でした。問題2はサラリードワーカーの特定支出控除や給与所得控除の法的性質を問う内容で、いわゆる大島訴訟判決(最高裁昭和60年3月27日大法廷判決)を手掛かりに、給与所得控除と特定支出控除の性質の違いに言及できるかが評価のポイントとされています。刑法では、問題1が自招侵害と教唆犯の関係、問題2が「共犯の従属性」の理解度を測る出題でした。判例知識と条文の正確な理解の両方が求められる構成といえます。

経済社会システム専攻

管理会計論では、管理会計の代表的な技法である事業部制組織の業績評価について問うことで、管理会計の基礎知識を確認する出題でした。経営管理論では、受験者が「環境の不確実性」という現代的課題を正しく認識し、それに対応するための理論(資源ベース論=RBVからダイナミック・ケイパビリティ論=DCへの進化)を正確に理解しているかを問う内容で、大学は「抽象的な理論を自分の研究テーマ(デジタル活用や知識共有など)という具体的な文脈に落とし込み、論理的に再構築できる研究者としての思考力を評価する」と出題意図を明示しています。単に理論名を暗記するだけでなく、自分の研究計画との接続を意識した理解が求められている点が読み取れます。

人間環境文化論専攻

考古学(専門科目)は4設問構成で、設問1が考古学の基本的方法の知識、設問2が考古学の基本的思考方法の知識、設問3が考古学に必要な英語の学力、設問4が考古学の基本的事項の知識をそれぞれ問う内容でした。専門知識と英語読解力の双方が独立して評価される設計です。心理学(専門科目)も4設問構成で、設問一が心理学領域の英語論文を読解するための英語力と基礎的な知識、設問二が心理学・神経科学などの分野で長年広く議論・実践の対象となる抗うつ薬に関する機能やメカニズムレベルでの理解、設問三が社会心理学における基本的な概念の理解度、設問四が臨床心理学に関する基礎的知識と理解度を問う出題でした。臨床から社会心理学、英語論文読解まで幅広い出題範囲であることがわかります。

国際総合文化論専攻

日本史学(専門科目)は3設問構成で、設問【一】が日本中世史に関する基礎的・専門的知識、設問【二】が日本近世史に関する基礎的・専門的知識、設問【三】が史料読解力および日本史に関する基礎的・専門的知識を問う出題でした。単なる年号や事象の暗記にとどまらず、史料を読み解く力が独立した評価対象になっている点が特徴です。

これらの出題意図から導ける学習の順番は、次のとおりです。第一に、志望する専門科目に関する大学レベルの基本書・体系書を一冊通読し、専攻分野の全体像を把握すること。第二に、外国語の出題がある専門分野(心理学・地理学・考古学・基層文化論・哲学・西洋史学・英語英米文学・中国語中国文学・ドイツ語ドイツ文学)を選ぶ場合は、専門分野に関連する外国語文献の読解練習を並行して進めること。第三に、判例や理論の名称を覚えるだけでなく、自分の研究計画とどう結びつくかを説明できるレベルまで理解を深めること。第四に、面接では専門科目の解答内容そのものについて追加で質問される可能性があるため、筆記試験の答案内容を自分の言葉で説明できるように準備しておくことです。

出願書類の準備ー志望理由書・研究計画書・卒業論文代替書類

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出願にあたって提出が必要な書類は多岐にわたり、専攻・選抜区分によって求められる内容が異なります。提出された書類は一切返却されないため、控えを必ず手元に残しておきましょう。また、出願後の提出書類の内容変更はいかなる事由があっても認められません。

共通して必要になるのは、入学願書(様式1)、受験票・写真票(様式2、出願前3か月以内撮影の写真を貼付)、検定料収納証明書(様式3、検定料30,000円)、出身大学が作成し厳封した学業成績証明書、卒業(見込み)証明書です。官公庁や会社等に在職したまま入学を希望する者は、所属長等の受験承諾書(様式4)も必要になります。日本国外の大学の証明書の場合は追加書類が必要で、特に中国の大学を卒業した者は、中国高等教育学生信息網(CHSI)からの電子認証報告メールが大学院係へ直接送付されるよう申請する必要があり、出願者本人が受信したメールの転送は認められていません。

専攻によって独自に必要な書類もあります。人間環境文化論専攻・国際総合文化論専攻の全選抜では、卒業論文(または学位論文)の写しの提出が必須です。卒業論文を提出していない場合は、それに代わる研究報告書を4,000字以上で作成する必要があります(様式は自由ですがワープロ原稿が望ましいとされています)。外国語で卒業論文を提出した場合は、日本語の要旨も添える必要があります。

研究計画書・志望理由書の分量は専攻ごとに大きく異なります。法学専攻の推薦特別選抜・社会人特別選抜では、志望理由書(テーマ選択の理由・現時点でのテーマについての理解・本専攻に期待することを800字程度)と研究計画書(今後の研究計画の内容・方向を1,000字程度)の2点セットが必要です。法学専攻の外国人留学生特別選抜では、研究計画書を3,000字程度で作成します。経済社会システム専攻は日本語3,000〜4,000字、英語800〜1,200ワードの研究計画書が必要です。人間環境文化論専攻・国際総合文化論専攻は全選抜共通で、日本語2,000字以上3,000字以内の研究計画書が求められます。

法学専攻・経済社会システム専攻の社会人特別選抜では、過去に論文や調査レポートなどの実績がある場合、業績リストの提出も求められます。著書・学術論文(学位論文、印刷発表、口頭発表、翻訳、研究ノートや書評等)・調査報告を年次の古いものから順に記載する形式です。外国人の出願者は、身分証明書(住民票の写しまたはパスポートの写し)、履歴書(様式8、日本語記載)も必要になります。

出願書類の作成でつまずきやすいのが研究計画書です。テーマの絞り込み方や先行研究の示し方に迷う場合は、同じ人文社会系分野を持つ他大学の大学院入試(東京大学大学院人文社会系研究科の例)で求められる研究計画書の構成を参考にすると、専攻に応じた書き方のイメージがつかみやすくなります。

出願〜合格までの逆算スケジュールと対策法

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第Ⅱ期入試(冬入試)は試験日が2月12日、出願締切が1月8日という日程です。ここから逆算すると、準備を始めるべき時期がおのずと見えてきます。

時期やるべきこと
10月まで志望専攻・専門科目の決定、指導を希望する教員への事前相談(法学専攻の推薦特別選抜・社会人特別選抜は事前相談が必須)
11月上旬出願資格の個別審査が必要な場合は申請(11月2日〜9日)
11月〜12月専門科目の過去問演習、研究計画書・志望理由書の下書きと推敲
12月17日以降個別審査の結果通知、出願書類の最終確認
1月4日〜8日出願(郵送は書留・速達必着、レターパックプラス指定)
1月中旬〜2月上旬専門科目の総仕上げ、面接想定問答の準備
2月12日試験日(学力検査・面接)
2月22日合格発表

専攻ごとの対策の勘所は次のとおりです。法学専攻・経済社会システム専攻は、専門科目の選択肢が幅広いため、まず1科目に絞り込み、その科目の体系書・基本書を通読することが出発点になります。特に法学専攻は判例知識が繰り返し出題の軸になっているため、基本判例集で主要判例の事案・争点・結論を押さえておくと安心です。人間環境文化論専攻・国際総合文化論専攻は、外国語の出題がある専門分野を選ぶ場合、専門分野に関する外国語論文の精読練習を早い段階から並行させる必要があります。

面接対策としては、卒業論文の内容を専門外の人にも伝わるように3分程度で要約して話せるようにしておくことが基本です。社会人特別選抜・外国人留学生特別選抜では面接の配点比重が高い専攻もあるため(人間環境文化論専攻・国際総合文化論専攻は面接200点)、研究計画の説得力を口頭でも伝えられるよう、想定質問への回答を事前に言語化しておくことが重要になります。指導を希望する教員への事前相談は、法学専攻の推薦特別選抜・社会人特別選抜では必須とされており、それ以外の専攻・選抜区分でも、研究分野と指導教員の専門分野のミスマッチを避けるために事前相談が推奨されています。ただし、事前相談は入学後の研究内容や修学計画の確認に限られ、学力検査・面接等の入試に関する指導や講評は行われず、相談内容が選抜に影響することもありません。

研究計画書は一度書いて終わりではなく、専門科目の学習が進むにつれて内容を磨き直していくものです。独学で研究計画書のテーマ設定や先行研究の位置づけに行き詰まった場合、専門分野に近い指導者からの添削を受けることで、論点の抜け漏れに早く気づける場合があります。日本学生支援機構の奨学金貸与や学生寮・国際交流会館の利用を希望する場合は、入学後の早い時期に案内を確認しておくと生活面の準備もスムーズです。大学院入試対策の個別指導コースでは、志望研究科の出題傾向に合わせた専門科目対策や研究計画書の添削、面接練習にも対応しています。

よくある質問(FAQ)

鹿児島大学大学院人文社会科学研究科の冬入試(第Ⅱ期)はいつ出願すればいいですか?

令和9年度入試の場合、出願期間は令和9年1月4日(月)〜1月8日(金)です。試験日は令和9年2月12日(金)、合格発表は令和9年2月22日(月)10時(予定)となっています。出願資格の個別審査が必要な場合は、それより前の11月2日〜9日に申請を済ませておく必要があります。日程は年度によって変わるため、出願する年度の最新の募集要項で必ず確認してください。

第Ⅰ期入試に落ちても第Ⅱ期入試は受けられますか?

はい、受験できます。第Ⅰ期入試と第Ⅱ期入試は別々の入試として実施されており、第Ⅰ期の結果にかかわらず第Ⅱ期に出願することが可能です。ただし、専攻によって第Ⅰ期と第Ⅱ期で募集人員の配分が異なる点は把握しておくとよいでしょう。人間環境文化論専攻・国際総合文化論専攻は第Ⅱ期のほうが募集人員が多く設定されています。

社会人でも人文社会科学研究科を受験できますか?

はい、社会人特別選抜という区分が用意されています。学歴要件に加えて「入学時に2年以上の社会経験を有する者」であることが条件です。法学専攻には、学位論文の作成を目指す「専門職業人養成コース」と、学位論文に代わる研究成果の作成を目指す「実践教養コース」の2コースがあり、実践教養コースは面接のみで専門科目の筆記試験がありません。

出身学部が法学部や経済学部でなくても出願できますか?

出願資格そのものに出身学部の制限はなく、学校教育法第83条に定める大学を卒業した者(または卒業見込みの者)であれば出願できます。ただし、専攻ごとに専門科目の筆記試験があるため、志望する専攻の専門分野に関する基礎知識をどう補うかは別途検討が必要です。事前に研究指導を希望する教員へ相談することが推奨されています。

過去問はどこで入手できますか?

試験問題及び出題の意図は、試験実施の翌年度に研究科ホームページ(gs.kadai-houbun.jp)上で公開されます。2026年8月時点では、令和8年度実施分(第Ⅰ期・第Ⅱ期とも)がすでに公開されています。それより古い年度の問題は、「大学院入学試験における試験問題等開示請求書」を提出することで個別に開示を受けられます。

面接では何を聞かれますか?

専攻によって内容は異なりますが、共通するのは専門科目の内容、志望動機、将来の目標に関する質問です。人間環境文化論専攻・国際総合文化論専攻では卒業論文(または学位論文・卒業研究・研究報告書)についても質問されます。社会人特別選抜・外国人留学生特別選抜では、入学後の研究計画や研究・学習歴、専門的知識がより重視される傾向があります。

検定料や入学後の学費はいくらですか?

検定料は30,000円です(国費外国人留学生など一部対象者は免除)。合格後の入学料は282,000円(予定額)、授業料は年額535,800円(前期分267,900円、予定額)です。入学料・授業料には免除・徴収猶予制度があるため、経済的な事情がある場合は早めに大学に相談することをおすすめします。金額は改定される場合があるため、出願年度の最新情報を確認してください。

研究計画書はどのくらいの分量で書けばいいですか?

専攻によって大きく異なります。経済社会システム専攻は日本語3,000〜4,000字(または英語800〜1,200ワード)、人間環境文化論専攻・国際総合文化論専攻は日本語2,000〜3,000字、法学専攻の推薦特別選抜・社会人特別選抜は志望理由書800字程度+研究計画書1,000字程度が目安です。様式は自由とされていますが、ワープロ原稿が望ましいとされています。

まとめ|鹿児島大学大学院人文社会科学研究科の冬入試対策

鹿児島大学大学院人文社会科学研究科の冬入試(第Ⅱ期入試)について、出願資格から専攻別の配点、指導教員の研究テーマ、過去問の出題テーマ、逆算スケジュールまでを整理しました。要点を振り返ります。

  • 第Ⅱ期入試(冬入試)は出願が1月上旬、試験が2月中旬というスケジュールで、一般選抜・社会人特別選抜・外国人留学生特別選抜の3区分が実施される(推薦特別選抜は第Ⅰ期のみ)
  • 出願資格は大学卒業(見込み)を基本としつつ、社会人特別選抜は2年以上の社会経験、個別審査は年齢要件(一般選抜22歳・社会人特別選抜24歳)など専攻・区分ごとに細かい違いがある
  • 試験科目・配点は専攻ごとに異なり、法学専攻は専門100点+面接100点、経済社会システム専攻は専門150点+面接150点、人間環境文化論専攻・国際総合文化論専攻は選抜区分によって専門と面接の比重が入れ替わる
  • 心理学・地理学・哲学・西洋史学・英語英米文学などの専門科目では外国語の読解力そのものが問われる出題がある
  • 令和8年度の過去問(出題の意図)からは、判例知識・理論の実践的理解・史料読解力・専門英語など、単純な暗記にとどまらない出題傾向が読み取れる
  • 研究計画書・志望理由書の分量は専攻ごとに800字〜4,000字と幅があり、卒業論文を提出しない場合は4,000字以上の研究報告書で代替する専攻もある
  • 出願資格の個別審査が必要な場合は、出願期間より1〜2か月前に申請を済ませておく必要がある

入試区分・出願資格・出願書類は年度によって変更される可能性があるため、実際に出願する際は必ず鹿児島大学大学院人文社会科学研究科の最新の学生募集要項を確認してください。専門科目の学習範囲の絞り込みや研究計画書の完成度に不安がある場合、独学だけで仕上げるよりも、専門的な指導を活用するのも一つの方法です。

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この記事を書いた人

千葉大学 法政経学部を首席で卒業後、都内国公立大学の法科大学院(ロースクール)を修了し、司法試験に合格。法律・政治・経済分野の専門知識をもとに、スプリング・オンライン家庭教師の大学編入・大学院入試分野の指導および記事監修を担当。

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