ご質問やお問い合わせはお気軽に
東京大学大学院 人文社会系研究科の外部院試を徹底解説|出願資格・試験科目・研究計画書・面接対策まで

東京大学大学院人文社会系研究科の外部院試とは、東京大学以外の大学(または本学の他学部)出身者が、修士課程7専攻に設けられた31の専門分野を対象に、外国語試験・専門科目試験・卒業論文またはこれに代わる論文・研究計画書・口述試験を通じて選抜される入学試験を指します。同研究科は夏季入試と冬季入試を年2回実施していますが、専門分野によっては夏季入試を行わず冬季入試のみで選考する場合があり、志望する専門分野がどちらの日程に対応しているかを早い段階で確認しておく必要があります。本記事では、東京大学大学院人文社会系研究科が公表している令和9(2027)年度修士課程学生募集要項(2026年4月公表)と、東京大学が公表している入学状況データにもとづき、出願資格、試験科目、研究計画書、日程、倍率、過去問の扱いまでを、他大学の記事にはない同研究科固有の情報として整理します。
東京大学大学院人文社会系研究科とは|7専攻構成と外部院試の位置づけ
東京大学大学院人文社会系研究科は、1995年4月に人文科学研究科と社会学研究科が再編統合されて発足した研究科です。前身の人文科学研究科は1953年に、社会学研究科は1963年にそれぞれ大学院として設置されており、人文科学と社会科学を単一の研究科で扱うという構成は、他大学の同種の大学院にはあまり見られない特徴です。
まずは無料相談で、合格までの最短ルートを確認しませんか?
スプリング・オンライン家庭教師のプロ講師が、現在の学力・志望校・残り期間に合わせて、必要な対策を個別に整理します。
- 大学院入試のプロ講師が最適な受験戦略を提案
- 今後の大学院入試の勝ち筋が見える。
- 志望校が決まっていなくてもOK
\ 合格がグッと近づく/
(費用は一切かかりません)
研究科規則に定められた教育研究上の目的は、人間の思想・歴史・言語・社会に対する真の理解をめざして教育と研究を実践し、高度な教養と思考力、表現力を身につけた人材を、人類文化の発展に寄与する形で養成することとされています。入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)では、実証性に裏打ちされた独創的な研究を遂行する学力と知識、研究課題を自ら発見し解決する方策を構想できる能力、国内外の研究成果を吸収し将来国際的に活躍できる外国語能力の3点を備えた学生を求めると明記されており、入学者選抜では外国語試験・専門筆記試験・提出書類の審査・口述試験を組み合わせて、これらの資質を確認する設計になっています。
修士課程には、基礎文化研究専攻、日本文化研究専攻、アジア文化研究専攻、欧米系文化研究専攻、社会文化研究専攻、文化資源学研究専攻、韓国朝鮮文化研究専攻の7専攻が置かれ、各専攻の下にコースと専門分野が設けられています。文化資源学研究専攻と韓国朝鮮文化研究専攻は、学部段階に対応する専修課程を持たない独立専攻であり、学部からの内部進学者が少なく外部出身者の比率が相対的に高い専攻として知られています。
| 専攻名 | 主な専門分野 | 教育目標の要約 |
|---|---|---|
| 基礎文化研究専攻 | 言語学・考古学・美術史学・哲学・倫理学・宗教学宗教史学・美学芸術学・死生学応用倫理・心理学 | 人間の思考・認識・感情、言語・表現・文物・制度の根源的理解 |
| 日本文化研究専攻 | 日本語日本文学・日本史学 | 日本社会の歴史と、言葉による思想・心情表現の統合的研究 |
| アジア文化研究専攻 | 中国語中国文学・東アジア思想文化・インド文学インド哲学仏教学・イスラム学・アジア史 | アジア諸地域の思想・宗教・言語・歴史の多元的理解 |
| 欧米系文化研究専攻 | 西洋古典学・フランス語フランス文学・イタリア語イタリア文学・英語英米文学・ドイツ語ドイツ文学・スラヴ語スラヴ文学・現代文芸論・西洋史学 | 古代から現代にいたる欧米文化の生成と展開の厳密な読解 |
| 社会文化研究専攻 | 社会学・社会心理学 | 人間の相互作用から生じる諸現象の理論的・実証的研究 |
| 文化資源学研究専攻 | 文化資源学・文化基盤学・文化経営学 | 文化資料の発掘・評価・保存・公開・活用を担う専門人材育成 |
| 韓国朝鮮文化研究専攻 | 韓国朝鮮歴史文化・韓国朝鮮言語社会 | 韓国朝鮮文化と周辺地域との交流の通時的・共時的研究 |
研究科の自己点検・評価資料には、7専攻それぞれの教育目標がより具体的な文言で示されています。基礎文化研究専攻は人間の思考・認識・感情、言語・表現・文物・制度についての根源的な理解をめざし、論理的・実証的な方法に裏付けられた人間知の涵養を掲げています。日本文化研究専攻は日本史学と日本語日本文学が統合されている点を生かし、世界的な視野から日本社会の歴史と言葉による思想・心情表現を考究するとしています。アジア文化研究専攻はアジア諸地域の思想・宗教・言語・文学・歴史の多元的理解を通じて、人類の諸文化や世界の諸課題を根源的・多元的な視座から考察できる人材の養成を、欧米系文化研究専攻は古代から現代にいたる欧米系文化の生成と展開について言語・文学・歴史の各分野で原典・資料の厳密な読解力を養うことを、それぞれ目標として掲げています。
社会文化研究専攻は、調査・実験・観察・資料分析といった方法に裏付けられた考究を通じて、現代における人間と社会の問題の発見と解決に理論的・実証的に取り組む人材の養成を目的としています。文化資源学研究専攻は文献資料・歴史資料・美術資料・考古学資料・文化統計資料などの資料体を、発掘・考証・評価・整理・保存・公開・活用という諸段階を総合してリードする研究者・高度専門職業人の養成を掲げ、韓国朝鮮文化研究専攻は歴史学・社会学・言語学・哲学・文化人類学の方法論を複合的に用いて韓国朝鮮文化と周辺地域との交流を探求するとしています。志望専攻を選ぶ際は、専門分野名の近さだけでなく、こうした教育目標の文言が自分の研究関心とどこまで重なるかを確認しておくと、研究計画書や口述試験での説明にも一貫性を持たせやすくなります。
学生は専門分野の教育・研究の単位である研究室に所属し、演習を中心とした少人数教育を通じて学問の方法を身につける仕組みが取られています。専攻単位ではなく専門分野単位・研究室単位で教育が行われるため、同じ専攻の中でも専門分野が違えば、履修する演習や指導を受ける教員はまったく異なります。出願前に確認すべき情報の単位も、専攻ではなく専門分野で考えることが実務的です。
出願書類の送付先・問い合わせ先は、東京都文京区本郷7丁目3番1号にある東京大学大学院人文社会系研究科事務部です。電話番号は03-5841-3710または3712で、出願資格や受験外国語の確認、受験上の配慮の相談など、募集要項に定められた各種の問い合わせ窓口として明記されています。専門分野ごとの研究室電話番号は募集要項の表紙裏に一覧が掲載されており、専攻の教育内容や研究室の詳細を知りたい場合は、この一覧をもとに直接問い合わせることもできます。
外部院試という観点では、日本の大学を卒業した者であれば出身大学・学部を問わず出願でき、高等専門学校・短期大学・専門学校の出身者や社会人、外国の大学出身者にも個別の出願資格が用意されています。志望する専門分野が自分の出身学部と直接対応していなくても出願自体は可能ですが、専門科目試験の内容は専門分野ごとに大きく異なるため、次章で扱う出願資格と試験科目を専門分野単位で確認することが実務上の出発点になります。
実施専攻・募集人員・出願資格|語学要件の実際
人文社会系研究科の修士課程入試は、夏季入試と冬季入試の年2回実施されます。ただし冬季入試は全専門分野で実施される一方、夏季入試は専門分野によって実施されないため、志望専門分野が夏季入試に対応しているかどうかを募集要項の一覧で必ず確認してください。令和9(2027)年度学生募集要項によれば、夏季入試を実施するのは言語学、考古学、宗教学宗教史学、心理学、日本語日本文学、英語英米文学、社会学、社会心理学の8専門分野のみで、美術史学、哲学、倫理学、美学芸術学、死生学応用倫理、日本史学、アジア文化研究専攻の全専門分野、欧米系文化研究専攻のうち英語英米文学以外の専門分野、文化資源学研究専攻の全専門分野、韓国朝鮮文化研究専攻の全専門分野は冬季入試のみの実施です。
出願資格は6号に区分されています。中心となるのは日本の大学を卒業した者及び卒業見込みの者(第1号)ですが、外国において16年の学校教育課程を修了した者(第2号)、修業年限3年以上の外国の大学等で学士相当の学位を得た者(第3号)、文部科学大臣の指定した教育施設等の修了者(第4号)、大学改革支援・学位授与機構による学士学位取得者(第5号)、個別の入学資格審査により大学卒業者と同等以上の学力があると認められた22歳以上の者(第6号)も出願できます。第6号の個別審査を希望する場合は出願前に書類審査を受ける必要があり、令和9年度入試では夏季入試が令和8(2026)年5月15日、冬季入試が令和8(2026)年9月18日が審査申請の締切として設定されていました。次年度以降は日程が変わるため、最新の募集要項で確認してください。
| 区分 | 対象 |
|---|---|
| 第1号 | 日本の大学卒業者・卒業見込者 |
| 第2号 | 外国の学校教育16年課程の修了者・修了見込者 |
| 第3号 | 修業年限3年以上の外国の大学等で学士相当の学位を取得した者 |
| 第4号 | 文部科学大臣が指定した教育施設等の修了者 |
| 第5号 | 大学改革支援・学位授与機構による学士学位取得者 |
| 第6号 | 個別入学資格審査により大学卒業者と同等以上の学力を認められた22歳以上の者 |
社会人向けや他大学の大学院入試ではTOEICやTOEFLなど外部の語学試験のスコア提出を出願資格の要件とする研究科も見られますが、人文社会系研究科の一般選抜では外部の語学スコア提出を出願資格として求めていません。かわりに、各専門分野が独自に作成する外国語筆記試験を第一次試験(筆記試験)で受験する仕組みです。外国語試験は専門分野によって1ヵ国語または2ヵ国語必須のところがあり、英語のみのところもあれば、ドイツ語・フランス語・ロシア語・イタリア語・中国語・スペイン語・韓国朝鮮語まで選択肢に含まれる専門分野もあります。外国人受験者については、日本語を出身大学等で十分に学習していない場合、日本語能力試験N1レベル相当の日本語能力証明書の提出が求められますが、日本の大学出身者は提出不要です。
一般選抜・社会人特別選抜のほかに、国際卓越大学院「次世代育成プログラム」の特別選抜枠という制度もあります。これは学部課程から博士課程までを連携させた教育課程で、2018年度に開設された通常の選抜枠に加えて、2019年度からは大学院入試において極めて優秀な成績を収めた者を対象とする特別選抜枠(募集人員2名程度)が設けられています。採用されると国際卓越大学院生として同プログラムを履修するとともに、卓越リサーチ・アシスタントとして指導教員のもとで高度な専門性を要する研究プロジェクトに参画し、報酬として月額15万円程度が支給される予定です。プログラムの内容や申請手続きは、研究科ホームページに別途掲載される「国際卓越大学院募集要項」で確認する必要があります。
7専攻の募集人員は、基礎文化研究専攻が夏季・冬季あわせて55人程度、日本文化研究専攻が28人程度、アジア文化研究専攻が38人程度、欧米系文化研究専攻が33人程度、社会文化研究専攻が16人程度、文化資源学研究専攻が一般選抜約5人・社会人特別選抜約6人の専攻全体で11人程度、韓国朝鮮文化研究専攻が12人程度です。これらは専攻単位の人数であり、専門分野ごとの内訳は公表されていないため、狭き門になりやすい専門分野を人数だけで判断することはできません。募集要項には「試験の成績によっては、入学許可者数が募集人員に達しない場合もある」とも明記されており、募集人員はあくまで上限の目安であって必ず満たされる人数ではない点も理解しておく必要があります。
出願にあたっては、入学願書、研究計画書、成績証明書、卒業(見込)証明書、写真2葉、送付用シール、受験票送付用封筒、検定料振込済みの電算登録用紙に加え、卒業論文またはこれに代わる論文を複写込みで3部提出する必要があります。研究計画書は入学を許可された場合に取り組みたい事項を記入する書類として、卒業論文とは別に全専門分野共通で求められます。成績証明書は本学文学部出身者を除いて原本の提出が必要で、コピーは認められません。本学他学部出身者は後期課程(3・4年次)の成績証明書を、大学に編入学している場合は編入学前の大学等の成績証明書もあわせて提出します。
出願方法にも独自の指定があります。出願は郵送に限られ、本研究科所定の封筒に書類を一括して入れ、書留郵便で送付することが求められており、研究科事務部への直接持参は受け付けられません。提出期日までに書類が完備していない入学願書は受理されず、出願手続き後はどのような事情があっても記載内容の変更や書類の返却は認められません。官公庁・企業・団体等に在職したまま大学院入学を希望する場合は、入学手続きの際に、在学期間中は学業に専念させる旨の勤務先の長による承諾書(様式任意)の提出が求められます。
提出書類にも細かい規定があります。写真は最近3ヵ月以内に撮影した正面・上半身・脱帽のもの2葉(白黒・カラーいずれも可、縦5センチメートル×横4センチメートル、裏面に氏名記入)を用意し、入学願書と受験票にそれぞれ同一のものを貼付します。送付用シールと受験票送付用封筒には出願者本人の日本国内の住所を記入し、受験票送付用封筒には410円分の切手を貼る必要があります。電算登録用紙は機械で直接読み取るため、HBまたはBの鉛筆で入学願書と相違ないよう記入し、ボールペン等の使用や汚損・折り曲げは避けるよう指定されています。
受験上・修学上の配慮を希望する場合は、出願資格(第6号)の個別審査や受験外国語の確認と同じ時期(令和9年度入試では夏季入試が5月15日、冬季入試が9月18日)までに研究科事務部へ申し出ることになっています。申し出が遅くなるほど実際に提供できる配慮の内容が限定されるため、障害等により配慮を希望する場合はできるだけ早く連絡することが募集要項でも呼びかけられています。また、東京大学は外国為替及び外国貿易法にもとづく安全保障輸出管理規則を定めており、外国人留学生や一部の日本人学生については、入学前に技術提供・貨物輸出の観点からの審査が必須とされています。規制事項に該当すると判断された場合、最終合格後であっても入学が許可されない場合がある点は、他大学の記事ではほとんど触れられない実務上の注意点です。
試験科目|専門科目・外国語試験・研究計画書・口述試験
入学者の選抜は、第一次試験(筆記試験)、第二次試験(口述試験等)、そして出身大学等における学業成績によって行われます。第二次試験は第一次試験の合格者に対してのみ実施される二段階選抜です。第一次試験は外国語試験と専門科目試験に分かれ、社会文化研究専攻社会学専門分野に限り論文試験(17時から19時)が追加で課されます。
募集要項の表1には、専門分野ごとの外国語試験の科目数と専門科目試験で問われる内容が具体的に記載されています。一部を抜粋すると、次のとおりです。
| 専門分野 | 外国語試験(日本人) | 専門科目試験で問われる内容 |
|---|---|---|
| 言語学 | 1(英語) | 言語学・音声学の基礎知識、言語分析能力、言語に関連する社会的・文化的現象の基礎知識 |
| 考古学 | 1(英独仏露伊中西韓から1) | 日本と世界の考古学に関する基礎知識、方法論の理解、分析法 |
| 美術史学 | 2(英独仏伊中西) | 日本・東洋・西洋美術史の知識、方法論、鑑賞法及び調査経験 |
| 哲学 | 2(英独仏) | 西洋哲学の基礎知識、哲学的思考及び論述の能力 |
| 宗教学宗教史学 | 2(英独仏露伊中西韓) | 宗教学の重要問題についての知見及び論述能力、宗教史の基礎知識 |
| 心理学 | 1(英語) | 心理学の基礎的領域及び関連する神経科学・認知科学分野(日本語と英語で出題) |
| 日本語日本文学 | 1(英独仏露伊中西韓から1) | 国語学・国文学の全般的・基礎的知識と思考能力、古典の読解力 |
| 日本史学 | 1(英独仏露伊中西韓から1) | 日本の古代・中世・近世・近現代史の知識、方法論、史料読解力 |
| 英語英米文学 | 1(独仏露伊中西韓から1) | 英語学・英米文学に関する英語読解力、文章力、知識、方法論、分析法 |
| 西洋史学 | 2(英独仏露伊西) | 西洋史学の知識、方法論、専門研究に必要な研究史 |
| 社会学 | 1(英語) | 社会学の理論、学説史、社会調査の基礎知識、社会学的思考方法及び研究関心 |
| 社会心理学 | 1(英語) | 社会心理学の主要な理論、実証研究、方法論に関する知識 |
残る専門分野についても、募集要項の表1には次のような出題内容が明記されています。
| 専門分野 | 外国語試験(日本人) | 専門科目試験で問われる内容 |
|---|---|---|
| 倫理学 | 1(英独仏) | 西洋・東洋・日本の倫理思想史についての基礎的知識と倫理学の基本問題に関する思考力 |
| 美学芸術学 | 2(英独仏露伊西) | 美学・芸術学に関して学部で習得した基礎知識、論理的な思考及び論述の能力 |
| 死生学応用倫理 | 2(英独仏露伊中西韓) | 死生学と応用倫理(生命倫理・環境倫理など)の基本的知識、視点や方法を踏まえた論述の能力 |
| 中国語中国文学 | 2(中必須、及び英独仏露伊西韓から1) | 中国語学・中国文学の総合的な知識や読解力 |
| 東アジア思想文化 | 2(英独仏露伊中西韓) | 中国の思想文化に関する古文・現代文の問題各1題による基礎知識と論述能力 |
| インド文学・インド哲学・仏教学 | 2(英独仏露伊中西韓) | 学部で習得した知識、方法論、専門的語学力 |
| イスラム学 | 2(英独仏露伊中西韓) | 学部で習得した知識、語学、研究方法論 |
| アジア史 | 2(英独仏露伊中西韓) | 学部で習得した知識、方法論、分析法 |
| 西洋古典学 | 2(英独仏伊) | 古典ギリシャ語・ラテン語双方の読解力と西洋古典学の基本的事項についての理解度 |
| フランス語フランス文学 | 1(英独露伊西) | フランス語フランス文学に関する基礎知識と、フランス語の読解力及び表現力 |
| イタリア語イタリア文学 | 1(英独仏露西) | 学部で習得した知識、イタリア語の読解力及び表現力 |
| ドイツ語ドイツ文学 | 1(英仏露伊西) | ドイツ語学・ドイツ文学に関する基本的な知識、読解力、論述力、表現力 |
| スラヴ語スラヴ文学 | 1(英独仏伊西) | ロシア語学・ロシア文学を中心に、スラヴ語学・スラヴ文学に関する知識、読解力、表現力、論述力 |
| 現代文芸論 | 2(英独仏露伊西) | 西洋近代を中心に世界の文学を幅広く現代的な観点から研究するための知識と思考力 |
| 文化資源学 | 2(英独仏露伊中西韓) | 文化資料を文化資源として分析・評価し、保存・公開・活用にあたっての諸問題への知識、思考力、構想力 |
| 文化基盤学 | 2(英独仏露伊中西韓) | 文化資源のデジタル化や保存・公開・活用を担う情報基盤の設計・構築・運用への知識、思考力、構想力 |
| 文化経営学 | 2(英独仏露伊中西韓) | 文化資源の保存・公開・活用、文化施設の運営、文化政策の立案への知識、思考力、構想力 |
| 韓国朝鮮歴史文化 | 1(英独仏露中韓) | 韓国朝鮮の歴史と文化について、歴史学・考古学・思想などの分野に関する知識・方法論 |
| 韓国朝鮮言語社会 | 1(英独仏露中韓) | 韓国朝鮮の言語と社会について、言語学・文化人類学・社会学などの分野に関する知識・方法論 |
上記2つの表は31専門分野のうち大半をカバーしていますが、専門科目試験の内容は専門分野ごとに大きく異なり、暗記量ではなく学部で習得した基礎知識と方法論、論述力・分析力が問われる設計になっている点は共通しています。志望専門分野の欄を募集要項の表1で必ず確認し、自分の学習歴とどこが重なりどこが不足しているかを洗い出すことが対策の出発点です。
第一次試験(筆記試験)当日の時間割は、外国語試験と専門科目試験で分かれています。外国語試験は2ヵ国語必須の専門分野と1ヵ国語のみの専門分野とで開始時刻が異なり、必須科目数によって時間割が変わる点に注意が必要です。専門科目試験は13時から16時(冬季入試は13時30分から16時)で、社会文化研究専攻社会学専門分野のみ、これに加えて17時から19時に論文試験が課されます。試験当日の詳細な時間配分や持参物は、出願後に郵送される「受験者心得」で最終確認する必要があります。
外国人受験者については、第一次試験当日は原則として日本語で解答しますが、言語学専門分野など一部の専門分野では英語での解答も認められています。第二次試験(口述試験)当日には専門分野が指定する外国語1ヵ国語の筆記試験を別途課す専門分野があり、次の12専門分野が該当します。
- 哲学専門分野
- 考古学専門分野
- 宗教学宗教史学専門分野
- 日本史学専門分野
- 中国語中国文学専門分野
- 東アジア思想文化専門分野
- インド文学・インド哲学・仏教学専門分野
- イスラム学専門分野
- スラヴ語スラヴ文学専門分野
- 現代文芸論専門分野
- 韓国朝鮮歴史文化専門分野
- 韓国朝鮮言語社会専門分野
これに対して言語学、死生学応用倫理、フランス語フランス文学、ドイツ語ドイツ文学、西洋史学、社会学の6専門分野は、第一次試験当日に外国語試験を2科目実施する一方で第二次試験当日の外国語試験は行わないという運用になっており、外国語の負荷がかかるタイミングが専門分野によって前倒しか後倒しかに分かれています。志望専門分野がどちらの型に該当するかで、直前期の学習配分を変える必要があります。
専門科目試験の出題方法にも共通の運用があります。専門分野によっては専門科目試験の一部に複数の専門分野にまたがる共通問題が出題されることがあり、特に文化資源学研究専攻と韓国朝鮮文化研究専攻は、専攻内のすべての専門分野にまたがる専攻共通問題が出題される場合があると募集要項に明記されています。文化資源学研究専攻の一般選抜では外国語試験が2ヵ国語必須である一方、同専攻の社会人特別選抜では1ヵ国語のみで受験できるなど、同じ専門分野でも選抜区分によって試験科目数が異なる場合がある点も見落としやすいポイントです。
第一次試験に合格すると口述試験に進みますが、口述試験では卒業論文若しくはそれに代わる論文の審査も重視されると募集要項に明記されています。卒業見込みでまだ卒業論文がない場合や、出身大学で卒業論文が必須でない場合は、専門分野ごとに定められた分量の論文を新たに作成して提出しなければなりません。分量の目安は、募集要項の表2で次のように専門分野ごとに規定されています。
| 専門分野 | 卒業論文に代わる論文の分量の目安 | 外国語で書かれた論文の取り扱い |
|---|---|---|
| 言語学 | 5,000字〜10,000字程度 | 英語のみ可(2,000語〜4,000語程度、日本語要約不要) |
| 考古学 | 8,000字〜10,000字程度 | 英語は日本語要約(800字程度)、英語以外は日本語全訳が必要 |
| 宗教学宗教史学 | 16,000字〜20,000字程度 | 英語は日本語要約(1,500字程度)、英語以外は日本語要約(10,000字程度) |
| 心理学 | 8,000字程度 | 英語は日本語要約(1,200字程度)、英語以外は日本語または英語の全訳 |
| 日本語日本文学 | 12,000字以上 | 日本語による全訳が必要 |
| 英語英米文学 | 日本語12,000字〜20,000字/英語5,000語〜7,500語 | 英語のみ可(日本語要約不要) |
| 社会学 | 8,000字程度 | 日本語要約(8,000字程度)が必要 |
| 社会心理学 | 10,000字程度 | 英語は日本語要約(1,200字程度)、英語以外は日本語全訳が必要 |
外国語で書かれた論文の提出可否や日本語要約の要否は専門分野によって細かく異なるため、事前に志望専門分野の研究室へ確認しておくことが募集要項の補足説明でも推奨されています。なお、これら8専門分野以外は表2に個別の規定がなく、卒業論文若しくはそれに代わる論文を複写込みで3部提出するという基本ルールに従います。
研究計画書・研究室訪問の実際
研究計画書は、入学願書や成績証明書と並ぶ本研究科所定の提出書類の一つで、入学を許可された場合に取り組みたいと考えている事項を記入する書類と規定されています。卒業論文若しくはそれに代わる論文が「これまで何を研究してきたか」を示す書類であるのに対し、研究計画書は「入学後に何を研究するか」を示す書類という役割分担になっています。募集要項では様式や字数の詳細な規定は示されていませんが、記入は黒ボールペンで行い、ワープロ等で作成したものの切り貼りは可とすることが指定されています。
口述試験は主として専門科目について行われ、卒業論文若しくはそれに代わる論文の審査もあわせて重視されるため、研究計画書に書いた研究テーマと、卒業論文・専門科目試験の内容が一貫していることが、口述試験での説明のしやすさに直結します。研究テーマが先行研究のどこに位置づけられるか、志望する専門分野でなぜその研究が可能なのかを、専門科目試験の対策と並行して言語化しておくことが実務的な準備になります。
募集要項には、研究室訪問を出願の必須要件とする規定はありません。ただし外国語論文の提出可否など専門分野ごとに運用が分かれる事項については、事前に志望専門分野の研究室へ問い合わせておくことが募集要項の補足説明で明示的に推奨されています。研究室訪問が制度化されていない分、指導教員側の対応は専門分野や個々の教員によって差があると考えられ、問い合わせの前に研究室のウェブサイトや教員の業績を確認し、質問事項を整理してから連絡する進め方が実務的です。研究室への連絡方法やメールの文例は研究室訪問のメール例文集で確認できます。
研究計画書の内容を客観的に見てもらいたい場合は、指導を希望する教員への添削依頼のほか、外部の予備校や家庭教師を利用する方法もあります。教員への添削依頼にはメールの送り方や依頼のタイミングにも配慮が必要で、具体的な進め方は研究計画書を教授に添削依頼する方法で解説しています。専門分野外の第三者に相談する場合は、人文社会系研究科の専門科目試験の出題傾向を踏まえた添削ができるかどうかを確認したうえで依頼することをおすすめします。
文化資源学研究専攻の社会人特別選抜に限っては、卒業論文若しくはそれに代わる論文のかわりに、文化資源学・文化基盤学・文化経営学に関わり、自らの社会人としての経験にもとづくレポートの提出が認められています。レポートの分量は12,000字から20,000字程度が目安とされており、一般選抜の卒業論文代替論文よりも実務経験の言語化に比重を置いた設計になっている点が特徴です。
まずは無料相談で、合格までの最短ルートを確認しませんか?
スプリング・オンライン家庭教師のプロ講師が、現在の学力・志望校・残り期間に合わせて、必要な対策を個別に整理します。
- 大学院入試のプロ講師が最適な受験戦略を提案
- 今後の大学院入試の勝ち筋が見える。
- 志望校が決まっていなくてもOK
\ 合格がグッと近づく/
(費用は一切かかりません)
出願から入学までのスケジュール|夏季入試・冬季入試
令和9(2027)年度修士課程学生募集要項にもとづく夏季入試・冬季入試のスケジュールは、それぞれ次のとおりです。出願期間・卒業論文提出期間・試験日・合格発表日はすべて別日程で設定されているため、書類提出の遅れが即失格につながる点に注意してください。
| 夏季入試の項目 | 日程 |
|---|---|
| 出願資格(第6号)審査申請締切 | 令和8(2026)年5月15日(金) |
| 検定料納付期間 | 令和8年6月8日(月)〜6月22日(月) |
| 出願期間 | 令和8年6月15日(月)〜6月22日(月)(消印有効、6月29日必着) |
| 受験票発送 | 令和8年7月下旬 |
| 卒業論文提出期間 | 令和8年8月19日(水)〜8月24日(月) |
| 第一次試験(筆記) | 令和8年8月29日(土) |
| 第一次試験合格発表 | 令和8年9月3日(木)午前10時 |
| 第二次試験(口述) | 令和8年9月5日(土) |
| 第二次試験合格発表 | 令和8年9月11日(金)午前10時 |
| 合格通知書発送 | 令和8年9月15日(火) |
| 冬季入試の項目 | 日程 |
|---|---|
| 出願資格(第6号)審査申請締切 | 令和8年9月18日(金) |
| 検定料納付期間 | 令和8年10月12日(月)〜10月26日(月) |
| 出願期間 | 令和8年10月19日(月)〜10月26日(月)(消印有効、11月2日必着) |
| 受験票発送 | 令和8年11月下旬 |
| 卒業論文提出期間 | 令和9年1月25日(月)〜2月1日(月)(直接持参は2月4日のみ) |
| 第一次試験(筆記) | 令和9年1月23日(土) |
| 第一次試験合格発表 | 令和9年2月4日(木)午前10時 |
| 第二次試験(口述) | 令和9年2月8日(月)・2月9日(火) |
| 第二次試験合格発表 | 令和9年2月18日(木)午後1時30分 |
| 入学許可書発送 | 令和9年2月下旬 |
この記事を執筆している2026年7月時点では、夏季入試の出願期間(令和8年6月15日〜6月22日)はすでに終了しており、次に出願できるのは出願期間が令和8年10月19日から10月26日までの冬季入試になります。冬季入試は全専門分野が対象になっているため、夏季入試を実施しない専門分野を志望する場合でも受験機会は確保されています。年度が変わると日程はすべて改定されるため、実際に出願する年度の募集要項で日付を読み替えてください。
なお、夏季入試に合格して入学辞退の手続きを取らないまま冬季入試に出願することはできません。同一の試験日程で2つ以上の専門分野に出願することも認められていないため、注意が必要です。併願を検討する場合の考え方は、後の章で改めて整理します。夏季入試と冬季入試のいずれも検定料30,000円が別途必要になるため、夏季入試が不合格だった場合に同じ専門分野で冬季入試に再挑戦するときも検定料を再度納付し、卒業論文またはこれに代わる論文も改めて提出する必要がある点は、費用と準備期間を見積もる際に考慮しておいてください。
検定料は30,000円で、銀行振込、コンビニエンスストアでの払込、ペイジー対応ATM・ネットバンク、クレジットカード・中国オンライン決済(アリペイ・銀聯)のいずれかで納付します。振込手数料や払込手数料は出願者本人の負担で、一度納付した検定料は出願手続き後にどのような事情があっても返金されません。銀行振込の場合はゆうちょ銀行・郵便局からの振込ができない点、コンビニ払込は「セブン-イレブン」「ローソン」「ファミリーマート」「ミニストップ」に限られる点など、支払い手段ごとに細かい制約があるため、事前に東京大学の払込方法の案内を確認しておくと当日の手続きがスムーズです。
第二次試験合格発表の後、令和9(2027)年2月下旬に入学許可書と入学手続書類が本人宛に送付され、通知された期間内に入学料の納付と入学手続書類の提出を行う必要があります。所定の期間内に手続きを行わない場合は入学しないものとして扱われるため、合格後も油断せず手続き期限を確認することが重要です。合格後の入学時には、入学料282,000円(予定額)と前期分授業料267,900円(年額535,800円、予定額)が必要になります。これらの金額は令和9(2027)年度の予定額であり、在学中に学生納付金の改定が行われた場合は改定後の金額が適用されます。
倍率・難易度|志願者数と入学者数から見る競争環境
人文社会系研究科は専攻別・専門分野別の志願者数や合格者数を公式には公表していませんが、東京大学全体の「大学院学生の入学状況」という統計資料で研究科単位の数値が毎年公開されています。令和8年5月1日時点のデータによると、人文社会系研究科修士課程・専門職学位課程の入学定員は193人、志願者数は本学出身107人・他大学出身314人の計421人、入学者数は本学出身57人・他大学出身64人の計121人でした。
| 年度 | 入学定員 | 志願者数(本学/他大学/計) | 入学者数(本学/他大学/計) |
|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 193人 | 107人/314人/421人 | 57人/64人/121人 |
| 令和7年度 | 193人 | 96人/364人/460人 | 65人/74人/139人 |
この数値から志願者数を入学者数で割ると、研究科全体では令和8年度が約3.5倍、令和7年度が約3.3倍という水準になります。出身別に見ると、本学出身者は令和8年度が約1.9倍、令和7年度が約1.5倍であるのに対し、他大学出身者は令和8年度が約4.9倍、令和7年度が約4.9倍と、外部からの受験者はおおむね5倍前後の水準で推移しています。ただしこの数値は合格者数ではなく入学者数を基準にした比率であり、合格しても入学を辞退した人数は反映されていないため、実際の第二次試験の合格倍率はこの数値よりもいくらか低い可能性があります。専攻別・専門分野別の内訳は非公表のため、志望する専門分野によって実際の競争率はこの全体水準より高い場合も低い場合もある点をふまえて、目安として参照してください。
外部出願者の倍率が本学出身者より高くなる傾向は、人文社会系研究科に限らず東京大学の多くの研究科で共通して見られます。令和8年度の同じ統計資料から、人文・社会科学系の他の研究科と並べると次のようになります。
| 研究科 | 入学定員 | 志願者数計 | 入学者数計 | 全体倍率(目安) |
|---|---|---|---|---|
| 人文社会系研究科 | 193人 | 421人 | 121人 | 約3.5倍 |
| 教育学研究科 | 88人 | 256人 | 83人 | 約3.1倍 |
| 経済学研究科 | 110人 | 285人 | 72人 | 約4.0倍 |
| 総合文化研究科 | 269人 | 639人 | 220人 | 約2.9倍 |
この4研究科を比べると、人文社会系研究科の全体倍率は突出して高いわけではなく、経済学研究科のほうがやや高い水準にあることが分かります。ただし、いずれの研究科も研究科全体の数値であり、専攻・専門分野単位で見ると人気の集まりやすい分野とそうでない分野の差が大きくなる点は共通しています。
外部出願者の倍率が本学出身者より高くなる背景として一般に指摘されるのは、本学出身者は学部の授業や演習を通じて専門科目試験に近い形式の学習に日常的に触れている一方、外部出願者は専門科目試験の形式そのものに慣れる準備期間を別途確保する必要があるという学習環境の違いです。これはあくまで一般的に指摘される傾向の説明であり、研究科が公式にこの要因を倍率の理由として説明しているわけではない点には留意してください。
人文社会系研究科自体の年度比較では、令和7年度から令和8年度にかけて志願者数計は460人から421人へ減少している一方、入学者数計は139人から121人へと、志願者・入学者ともに減少しています。他大学出身者の志願者数も364人から314人へ減少していますが、倍率自体は約4.9倍でほぼ横ばいという結果でした。単年度の増減だけで難易度の傾向を断定することはできませんが、出願を検討する年度ごとに最新の入学状況データを確認する習慣をつけておくと、倍率の変化を早めに把握できます。
入学定員193人に対する入学者数計の割合(定員充足率の目安)を見ると、令和8年度は121人で約63パーセント、令和7年度は139人で約72パーセントでした。入学定員に対して実際の入学者数が下回る傾向が続いていることからも、募集要項に記載された「試験の成績によっては入学許可者数が募集人員に達しない場合もある」という一文が、実態として機能していることがうかがえます。
研究科・専攻をまたいだ倍率の比較や、外部生が挑戦しやすい研究科の傾向については、大学院入試の難易度ランキングで整理していますので、志望研究科を複数比較したい場合はあわせて確認してください。
過去問分析と出題予測・口述試問(面接)対策
人文社会系研究科は、大学院入試の過去問題を研究科の公式サイトでは配布していません。過去問の入手には文学部複写センター(日本興業社)への直接の問い合わせが必要で、電話・FAX番号(03-3814-9301)は募集要項の注意事項にも記載されています。複写を前提とした窓口であるため入手には一定の日数や実費がかかる可能性を見込んで、専門科目試験対策の早い段階で問い合わせておくことをおすすめします。
過去問そのものは複写センター経由でなければ入手できず、本記事で個別の問題文を転載することもできません。そこで本章では、募集要項の表1に明記された専門分野ごとの出題内容の記述を根拠に、実際の過去問がなくても対策の方向性を絞り込める「募集要項から見た出題予測」として、専門分野横断で読み取れる傾向を整理します。たとえば言語学専門分野は言語学・音声学の基礎知識に加えて言語分析能力、言語に関連する社会的・文化的現象までを出題範囲としており、純粋な理論知識だけでなく応用的な分析力が問われる設計です。日本史学専門分野は日本の古代・中世・近世・近現代史の知識に加えて方法論と史料読解力を、社会学専門分野は理論・学説史・社会調査の基礎知識に加えて社会学的思考方法及び研究関心を問うと明記されており、知識の暗記だけでなく研究関心や思考のプロセスを論述で示す力が共通して重視されていると読み取れます。これらはあくまで募集要項に記載された公式の出題方針にもとづく傾向の整理であり、実際の出題テーマや難易度を保証するものではないため、最終的な対策は過去問と募集要項の両方で確認してください。
第二次試験(口述試験等)は、第一次試験合格者に対して主として専門科目について行われ、卒業論文若しくはそれに代わる論文の審査もあわせて重視されます。口述試験の質問内容そのものは公式には公開されていませんが、審査の対象が専門科目と提出論文である以上、卒業論文またはそれに代わる論文で扱ったテーマの深掘り、研究計画書に記した入学後の研究計画との整合性、専門科目試験で解答した内容についての追加質問が中心になると考えられます。外国人受験者については、専門分野によって口述試験当日に外国語の筆記試験が別途課されるため、指定された言語の準備状況もあわせて確認しておく必要があります。
募集要項から読み取れる出題方針を踏まえると、専門科目試験の対策は志望専門分野の基礎知識の網羅よりも先に、方法論と論述力の型を身につけることを優先したほうが効率的です。過去問を入手できた場合は、出題形式(論述か語句説明か、資料読解を伴うかなど)を年度ごとに比較し、卒業論文またはそれに代わる論文とテーマが近い過去問から着手すると、研究計画書の内容とも自然に接続できます。
受験する外国語についても注意点があります。入学願書であらかじめ届け出た外国語以外の外国語を受験した場合は無効と規定されており、当日になって科目を変更することはできません。外国語試験の科目選択に迷いがある場合は、募集要項に記載された事務部の問い合わせ期日(令和9年度入試では夏季入試5月15日、冬季入試9月18日)までに確認しておく必要があります。また、出願書類における履歴等について虚偽の記載をした場合は、入学後であっても入学が取り消される可能性がある旨も募集要項に明記されています。
出願にあたって知り得た氏名・住所等の個人情報は、入学者選抜・合格発表・入学手続きの業務に利用され、入学者についてはさらに教務関係・学生支援関係・授業料徴収に関する業務にも利用されます。入学選抜に用いた試験成績は、今後の入試や教育の改善に向けた検討のために利用されることがあると募集要項に明記されており、受験した際の答案や成績が研究科内部でのその後の入試設計に反映される可能性があることも、公式に示されている情報の一つです。
併願のルールと対策の進め方
人文社会系研究科の募集要項には、併願に関する明確な規定があります。夏季入試に合格して入学辞退の手続きを取らない限り冬季入試には出願できません。同一の試験日程において2つ以上の専門分野に出願することも認められていません。夏季入試と冬季入試のどちらを受けるかを決める際は、この規定を踏まえて、確実に準備が間に合う日程を選ぶことが重要です。
東京大学には人文社会系研究科のほかにも、総合文化研究科など人文・社会科学系の内容を扱う研究科があります。研究科をまたいだ併願の可否については、人文社会系研究科の募集要項には記載がなく、志望する他研究科側の募集要項で個別に確認する必要があります。専攻選びの段階で複数の研究科を比較検討したい場合は、大学・研究科をまたいだ難易度の傾向を整理した記事もあわせて参考にしてください。
他大学の大学院との併願を考える場合は、東京大学の出願期間・卒業論文提出期間・試験日と、併願先の日程が重ならないかをまず確認します。卒業論文またはこれに代わる論文の準備は専門分野ごとに分量が大きく異なるため、併願先が増えるほど論文作成と専門科目対策・研究計画書作成を並行させる負担が大きくなります。夏季入試を実施しない専門分野を志望する場合、実質的な受験機会は冬季入試の1回に絞られるため、他大学の秋以降の入試日程との重複がないかを早めに洗い出しておくことをおすすめします。
これまでの内容を踏まえると、出願前に確認しておきたい事項は次のとおりです。
- 志望専門分野が夏季入試に対応しているか、冬季入試のみか
- 出願資格6号のうちどれに該当するか、第6号に該当する場合は個別審査の申請期日
- 外国語試験の必須科目数と選択できる言語
- 専門科目試験で問われる出題方針(募集要項の表1)
- 卒業論文またはこれに代わる論文の分量規定(募集要項の表2)と外国語論文の扱い
- 研究計画書に記す入学後の研究テーマと、卒業論文・専門科目試験との整合性
- 出願期間・卒業論文提出期間・試験日・合格発表日の全日程
- 検定料30,000円の納付方法と納付期間
出願資格の確認、専門分野ごとの試験科目の把握、研究計画書と卒業論文(またはこれに代わる論文)の内容のすり合わせ、口述試験対策までを一人で並行して進めるのは負担が大きい作業です。大学院入試全体の準備の流れやスケジュールの立て方は大学院入試対策の完全ガイドで解説していますので、人文社会系研究科固有の情報とあわせて確認することをおすすめします。専門分野別の対策を個別に相談したい場合は、大学院入試対策コースで、現在の学習状況や志望専門分野に合わせた対策の優先順位を相談できます。
よくある質問(FAQ)
東京大学大学院人文社会系研究科の外部院試とはどのような試験ですか
東京大学以外の大学、または本学の他学部出身者が、修士課程7専攻の専門分野を対象に、外国語試験・専門科目試験・卒業論文またはこれに代わる論文・研究計画書・口述試験を通じて受験する入学試験です。選抜は第一次試験(筆記)と第二次試験(口述)の二段階で行われ、出身大学等の学業成績もあわせて審査されます。夏季入試と冬季入試の年2回実施されますが、専門分野によっては冬季入試のみの実施となります。
出身学部が志望専門分野と異なっていても出願できますか
出願資格自体は出身大学・学部を問わず、日本の大学を卒業した者(または卒業見込みの者)であれば満たされます。高等専門学校・短期大学・専門学校の出身者や、22歳以上で個別の入学資格審査を受ける者にも出願の道が用意されています。ただし専門科目試験の内容は専門分野ごとの専門知識を問う設計になっているため、出身学部と志望専門分野が異なる場合は専門科目対策により多くの時間を確保する必要があります。
TOEICやTOEFLのスコア提出は必要ですか
一般選抜の出願資格として外部の語学スコア提出は求められていません。かわりに、各専門分野が独自に作成する外国語筆記試験を第一次試験で受験します。外国語試験は専門分野によって1ヵ国語または2ヵ国語必須と分かれており、選択できる言語も英語のみの専門分野から8ヵ国語程度まで選べる専門分野まで幅があります。外国人受験者のうち日本語を十分に学習していない場合は、日本語能力試験N1レベル相当の証明書提出が必要になることがあります。
研究計画書はどのくらいの分量で書けばよいですか
募集要項には研究計画書自体の字数規定は明記されていません。一方で卒業論文に代わる論文については専門分野ごとに字数の目安が定められており、たとえば宗教学宗教史学は16,000字から20,000字程度、日本語日本文学は12,000字以上とされています。研究計画書もこれに準じた分量感で、入学後に取り組みたい研究テーマと方法を具体的に記述するのが実務的です。口述試験では卒業論文若しくはそれに代わる論文の審査もあわせて重視されるため、研究計画書の内容が卒業論文のテーマと無関係にならないよう、両者のつながりを意識して書くことが重要です。
研究室訪問は必須ですか
募集要項に研究室訪問を必須とする規定はありません。ただし外国語論文の提出可否など専門分野ごとに運用が異なる事項については、事前に志望専門分野の研究室へ確認することが募集要項の補足説明で推奨されています。研究室のウェブサイトで教員の研究内容を確認したうえで、質問事項を整理してから問い合わせる進め方が実務的です。
過去問はどこで入手できますか
研究科の公式サイトでは過去問を配布していません。文学部複写センター(日本興業社、電話・FAX 03-3814-9301)へ直接問い合わせて入手する必要があります。過去問がなくても、募集要項の表1に専門分野ごとの出題方針が明記されているため、志望専門分野の欄を先に読み込んでおくことをおすすめします。
夏季入試と冬季入試のどちらを受けるべきですか
志望する専門分野が夏季入試を実施しているかどうかがまず前提になります。31専門分野のうち夏季入試を実施するのは8専門分野のみで、残りは冬季入試だけが受験機会になります。夏季入試に合格すると同年度の冬季入試には出願できないため、準備の状況に応じてどちらの日程で確実に力を出せるかを判断してください。
社会人ですが受験できますか
一般選抜は出願資格を満たせば社会人でも受験できます。加えて文化資源学研究専攻には社会人特別選抜(専攻全体で約6人)が設けられており、実務経験1年以上と修了後に社会人として職業に携わる意志があることが条件です。この選抜では卒業論文に代わる書類として、社会人としての経験に基づくレポート(12,000字から20,000字程度)の提出が認められています。なお社会人特別選抜は出願を日本人及び日本国の永住許可を得ている者に限っており、後者は外国語試験で教育媒介言語を選択できない点にも注意してください。
まとめ
東京大学大学院人文社会系研究科の外部院試は、7専攻に設けられた31の専門分野ごとに、出願資格・試験科目・卒業論文の扱いが細かく異なる入試です。まず志望専門分野が夏季入試に対応しているかを確認し、募集要項の表1で外国語試験の科目数と専門科目試験の出題方針を把握したうえで、卒業論文またはこれに代わる論文と研究計画書の内容を一貫させる準備が土台になります。他大学出身者の倍率はおおむね5倍前後で推移しており、決して容易な選抜ではありませんが、募集要項に明記された出題方針とアドミッション・ポリシーを丁寧に読み解くことで、対策の優先順位は具体的に組み立てられます。出願資格や試験日程は年度によって変更されるため、実際に出願する際は必ず最新の募集要項を研究科の公式サイトで確認してください。
まずは無料相談で、合格までの最短ルートを確認しませんか?
スプリング・オンライン家庭教師のプロ講師が、現在の学力・志望校・残り期間に合わせて、必要な対策を個別に整理します。
- 大学院入試のプロ講師が最適な受験戦略を提案
- 今後の大学院入試の勝ち筋が見える。
- 志望校が決まっていなくてもOK
\ 合格がグッと近づく/
(費用は一切かかりません)



