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法政大学大学院人文科学研究科の研究計画書の書き方|専攻・カリキュラム・教員の研究分野から逆算する

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法政大学大学院人文科学研究科の研究計画書で重要なのは、一般的な「人文学の研究をしたい」という意欲ではなく、希望専攻の研究対象、方法、教員の専門分野に接続する実行可能な計画を示すことです。人文科学研究科は哲学、日本文学、英文学、史学、地理学、心理学の6専攻からなり、同じテーマでも専攻によって問いの立て方が変わります。

研究計画書とは、入学後に何を、なぜ、どの資料と方法で明らかにするかを、先行研究と修了までの工程を含めて示す文書です。法政大学の所定様式は「入学後の研究テーマ」と本文を分けています。したがって、テーマ名だけで問いと対象が読み取れる精度まで絞り込む必要があります。

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ただし、研究計画書は全専攻の全入試経路で一律に必須ではありません。英文学専攻や地理学専攻では主要な経路で様式1を使う一方、哲学、日本文学、史学、心理学の一般入試では受験論文が中心です。本記事では2027年度入試の公式情報を基準に、対象者の切り分けから、専攻、カリキュラム、教員の研究分野をつなぐ手順までを解説します。出願資格、試験科目、日程の詳細は法政大学大学院人文科学研究科の外部院試解説で確認できます。

読み進める際は、自分の志望専攻だけでなく、隣接する専攻との違いも確認してください。志望先を比較すると、自分の研究で中心とする資料と方法がよりはっきりします。そのうえで、研究テーマの一文、先行研究の争点表、一次資料のリスト、教員とカリキュラムの照合表を別々に作り、最後に本文へ統合すると、思いつきの文章になるのを防げます。書き始める前に研究設計の部品をそろえることが、結果的に推敲時間を短縮します。

本記事の分量配分や点検項目は、公式様式を置き換えるものではありません。志願者が様式に転記する前に、論理の欠落を見つけるための作業用の枠組みです。年度と入試経路の指示が本記事の例と異なる場合は、最新の募集要項を優先してください。資料を読む順序は、入試要項、所定様式、希望指導教員の受入可否、教員一覧、専攻紹介、履修案内・シラバスの順が実務的です。

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目次

法政大学大学院人文科学研究科で研究計画書が必要な入試経路

最初の作業は、自分の専攻と入試経路で「研究計画書」「受験論文」のどちらが要求されるかを分けることです。書類名が違えば、所定様式も評価される成果物も異なります。研究計画に近い文書でも正式な書類名を混同しないことが出発点です。

専攻・主な経路提出物の考え方分量の公式指定
哲学専攻一般研究関連の小論文または卒業論文による受験論文小論文は2,400〜2,800字
日本文学専攻一般卒業論文、テーマに適した論文、研究計画に関する論述、創作から選択研究計画に関する論述は本文2,000字以上
英文学専攻所定様式1の研究計画書様式共通の上限は明示なし
史学専攻一般卒業論文または長編論文による受験論文志願経路別の要項で確認
地理学専攻所定様式1の研究計画書と受験論文研究計画書は日本語3,000字以上
心理学専攻一般卒業論文、または条件に該当する場合の研究計画研究計画は1,000〜3,000字

所定様式から読み取れること

2027年度の様式1は、表紙に氏名、入学後の研究テーマ、文字数を記入し、次頁以降に研究計画を書く形です。参考文献、脚注、図表を文字数に含めたかも選択します。つまり、文字数のみでなく、何をカウントしたかを記録できる原稿管理が必要です。

様式に統一の字数上限が書かれていないからといって、長く書くほど有利とは限りません。専攻・経路別の要項を先に確認し、指定がない場合は、問い、先行研究、資料、方法、工程が過不足なく説明できる分量に調整します。フッターのページ番号を消さないなど、内容以外の指示も守りましょう。

口述試験に向けた使い方

研究計画書は提出して終わる文書ではありません。口述試験の詳細な質問は公開されていませんが、少なくとも提出したテーマ、資料、方法を自分の言葉で説明できる状態にします。特に英文学専攻のように研究計画書の比重が大きい経路では、本文の一文ごとに根拠を口頭で補足できるかを確かめます。

本文の段落ごとに「この説明にはどの文献が必要か」「反対の解釈はないか」「予定した資料が使えないときの代替はあるか」と書き込み、想定問答に変換します。質問にすぐ答えられない場合も、推測を事実のように言わず、現時点で確認できている範囲と追加調査の方法を分けて説明します。この練習は、本文の断定が強すぎる箇所を見つける効果もあります。

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6専攻の構造と研究対象

研究計画書の専攻適合性を高めるには、単に対象を合わせるだけでは不十分です。何を資料にし、どのような手続きで分析するかまで、専攻の学問的な型に合わせます。例えば「都市」は哲学、文学、史学、地理学、心理学のいずれでも扱えますが、対象が同じでも問いと証拠の作り方は異なるのです。

専攻公式情報から読める主な射程計画書で前面に出す要素
哲学古代ギリシア哲学、近代ヨーロッパ哲学、現代哲学、論理学概念の定義、原典、論証の対立点
日本文学日本の文学・言語・芸能、文芸創作、能楽研究作品・テクストの範囲、本文批判、表現の分析単位
英文学英米文学・演劇、英語学、言語科学、第二言語習得、外国語教育一次テクストまたは言語データ、理論的枠組み
史学日本史、東洋史、西洋史、史料批判、アーカイブズ史料の所在と性格、時代・地域の限定、史料批判
地理学自然地理と人文地理、重層的な地域・空間、フィールドワーク対象地域、空間スケール、現地調査と分析資料
心理学認知と発達を核とする多様な領域、実験・検査・面接・調査・統計仮説、変数、対象者、測定と分析、倫理的配慮

境界領域のテーマを配置する方法

複数専攻にまたがるテーマでは、関心の広さを強調するより、中心とする問いと一次資料で専攻を決めます。江戸の名所表象を例にすれば、文学作品の語りを主に分析するなら日本文学、地図と観光行動から空間の変容を読むなら地理学というように整理できます。「何について」より「何を根拠にどう論じるか」で専攻を選ぶのがコツです。

この整理をしないまま「学際的に研究する」と書くと、主となる学問的手続きが見えなくなります。学際性は、中心軸が決まった後に、補助的な理論や資料をどう取り入れるかとして示します。国際日本学インスティテュートも専攻横断型ですが、入試上の区分は別であるため、志望する場合は専用の要項と構成を確認してください。

6専攻ごとに問いを絞る視点

哲学専攻では、日常的な関心をそのまま論題にせず、主要概念を定義し、どの哲学者・テキスト・論証を扱うかを決めます。例えば自由、正義、責任といった語は広く、論者と時期によって意味が異なります。原典の章節、使用言語、既存の解釈対立を絞ってから、自分が検討する論点を立てます。社会問題の大きさではなく論証の焦点が哲学の計画を支えます。

日本文学専攻では、作品や言語現象の範囲と、分析する表現上の特徴を対応させます。一人の作家の全作品を一度に扱うより、時期、ジャンル、語り、修辞、受容などの基準で資料を絞ります。古典文学や芸能を扱う場合は、底本、異本、版の違いが分析に影響します。文芸創作でも、創作意図の感想で終わず、どの表現課題を先行作品と比較するかを決めます。

英文学専攻では、文学・演劇研究と、英語学・言語科学で方法が分かれます。文学なら原テキストの精読と歴史的文脈、理論的枠組みの関係を示します。言語科学なら対象とする言語現象、データの収集法、分析の単位を示します。文学的解釈と実験的検証を曖昧に混ぜないことが重要です。英語教育の実践を扱う場合も、授業改善の抱負だけでなく、第二言語習得や言語テストの問いに変換します。

史学専攻では、後世の概説を根拠に結論を書くのではなく、同時代の史料をどのように批判し、歴史像を再構成するかを示します。資料の作成主体、作成目的、伝来、欠落、他史料との矛盾を検討する必要があります。日本史、東洋史、西洋史の区分だけでなく、政治、社会、交流、水利、交通などの争点と、実際に読める史料の組み合わせを決めます。

地理学専攻では、対象とする現象の空間スケールを明示します。一街区、一都市、一地方、一国では、使える地図、統計、現地調査の設計が変わります。人文地理なら土地所有、都市開発、地域経済などの資料、自然地理なら地形・地質・気候などの資料を考えます。現地で見る項目と資料分析の役割を分けることで、フィールドワークが単なる見学になるのを防げます。

心理学専攻では、「人の心を明らかにする」という大きな目的を、測定可能な概念に分けます。対象者の年齢や属性、状況、比較条件、指標、予想される関係を仮置きします。相関を調べる設計で因果まで主張するなど、方法で判断できる範囲を超えないようにします。個人情報、心理的負担、同意の取得などの論点は、方法の付足ではなく実行可能性の中心です。

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カリキュラムと修了要件から逆算する研究の型

研究計画書は入試のためだけの作文ではなく、入学後のコースワークと論文指導に接続する設計図です。法政大学は人文科学研究科について、専門知識の深化と学際的視野を両立させるコースワーク制を示しています。そのため、計画書には、専門の軸と、関連科目で補う知識の両方が読めると整合的です。

講義名の列挙ではなく、不足する能力を示す

「某科目を履修したい」という一文だけでは、研究計画とカリキュラムの接続は十分に伝わりません。現時点では何ができ、何が不足し、どのような訓練が研究の実行に必要かを説明します。英文学なら理論や原文読解、史学なら史料批判、地理学なら現地調査やGIS、心理学なら研究法と統計といったように、課題と学習の必然性をつなぎます。

英文学専攻は少人数のゼミ・実習方式と、専攻内外や提携大学院の科目も組み合わせられる履修を特色としています。これを計画書に反映するなら、中心となる文学・言語学の方法を先に固めるべきです。科目選択の自由度を、テーマの焦点が定まらない理由にしないよう注意します。

修士論文の完成から工程を逆算する

修士論文に到達する計画では、入学後にテーマを考え始めるのでは遅く、少なくとも対象と問いの仮置きが必要です。初期に先行研究と資料の範囲を確定し、中盤で分析や調査を進め、後半に章立てと執筆、修正を行うという順序を書きます。季節限定の現地調査、文書館の所蔵資料、実験参加者の募集などは、時間的な制約を早めに織り込みます。

日本文学専攻の文芸創作研究プログラムでは、修士論文の代わりに「文芸創作」と「研究副論文」を提出できます。この特例は、創作さえできればよいという意味ではありません。創作と研究副論文の相互関係を設計することが必要です。作品で試みる表現上の問題と、副論文で検討する先行作品・理論の対応を明確にします。

研究指導の場で説明できる計画にする

ゼミや研究指導では、完成した結論だけでなく、資料の選び方、解釈の可能性、方法の限界を示し、批判に応答する必要があります。そのため計画書には、初めから結論が確定しているように書くのではなく、どの資料がどの予測を支持または反証するかを書きます。仮説と願望を区別し、反証の可能性を残すことが学術的な計画につながります。

文献を読む順序も工程に入れます。最初に分野の概説とレビュー論文で用語と論点を把握し、次に本計画に直接関わる主要研究を精読し、そこから理論と方法の原典へさかのぼります。引用文献を多く見せるために無関係な文献を並べるのではなく、各文献が背景、先行研究、方法のどこを支えるかを明確にします。

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専攻別の教員・研究分野マップ

教員との適合を確認するときは、研究対象の単語が一致するかだけを見てはいけません。対象、問い、資料、方法の四点のうち、どこが接続するかを読み取ります。以下は、大学公式の教員紹介HTMLで取得できた代表例です。専門分野の表記は公式ページの文言に合わせています

哲学専攻の安東祐希教授は、数理論理学を専攻とし、証明論(演繹体系における正規化手続き)を研究テーマとしています。

日本文学専攻の阿部真弓教授は、中世文学を専攻とし、日記文学、物語、和歌を研究テーマとしています。

英文学専攻の石川潔教授は、理論言語学(統語論・意味論)、心理言語学(音声知覚、文理解)を専攻としています。

史学専攻の宇都宮美生教授は、東洋史・日中交流史を専攻とし、中国都城史・水利史・交通史・交流史を研究テーマとしています。

地理学専攻の小原丈明教授は、都市地理学、都市開発論を専攻としています。

地理学専攻の前杢英明教授は、自然地理学、地形学、第四紀学を専攻としています。

心理学専攻の荒井弘和教授は、スポーツ心理学を専攻としています。

心理学専攻の越智啓太教授は、犯罪心理学、社会心理学を専攻としています。

教員情報を計画書に接続する型

哲学専攻で安東祐希教授の数理論理学に接続するなら、「論理学に興味がある」で止めず、どの演繹体系のどの性質を扱うかまで限定します。日本文学専攻で阿部真弓教授の中世文学に接続するなら、日記文学、物語、和歌のどの資料群を扱い、どの表現を比較するかを示します。教員名は志望の装飾ではなく方法の適合を確かめる手がかりです。

英文学専攻の石川潔教授には、理論言語学と心理言語学が公式掲載されています。テーマが音声知覚や文理解に関係するなら、対象言語、参加者、刺激、分析指標を仮置きします。史学専攻で宇都宮美生教授の東洋史・日中交流史に接続するなら、中国都城史、水利史、交通史、交流史のどこに位置づくかを明示し、利用可能な史料を振り分けます。

地理学専攻では、小原丈明教授の都市地理学・都市開発論と、前杢英明教授の自然地理学・地形学・第四紀学では、同じ地域を扱う場合でも資料と方法が大きく異なります。都市開発の空間的・社会的意義を問うのか、地殻変動や環境変動を地形・地質学的に問うのかを区別します。自然地理と人文地理のどちらに重心を置くかは、3,000字以上の計画書全体を左右します。

心理学専攻には、荒井弘和教授のスポーツ心理学、越智啓太教授の犯罪心理学・社会心理学などが掲載されています。分野が近くても、調査、実験、面接など必要な手法が異なります。対象者に負担をかける研究では、同意取得、個人情報の保護、参加中断の自由などを計画段階で考えます。

注記: 教員の所属や研究分野は年度により変わるため、出願前に必ず法政大学公式の最新の教員一覧で確認してください。希望指導教員として指名できるかは、教員紹介とは別に最新の「希望指導教員について」で照合する必要があります。

教員との接続を書く際の注意

研究計画書に教員名を記載する場合、「○○教授のもとで学びたい」という志望表明だけではなく、公式掲載の分野と本計画の方法的な接点を書きます。ただし、本人が公開していない研究テーマや指導可能性を推測してはいけません。公式の専門分野は、「この教員なら受け入れてくれる」という保証ではなく、照合を始めるための一次情報です。

一人の教員との一致だけを強調しすぎると、専攻全体の教育との接続が見えなくなります。志望教員の専門に加え、専攻の特色、履修で補う方法、関連領域の知見を説明します。「教員一人」と「専攻という教育環境」の両方に理由があることを示せば、志望先選択の説明が安定します。

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自分の研究テーマが合うか判定する手順

テーマ適合は「関連する教員が一人いる」という一点だけで判定しません。専攻の射程、教員の研究分野、利用できる資料、習得可能な方法、修士課程内の時間という5条件を重ねて判定します。接続の強さと実行可能性の両方がそろうことが重要です。

1.問いを一文にする

「○○を研究する」ではなく、「どの時代・地域・資料における何の働きを、どの観点から明らかにするか」という疑問文にします。この一文に専攻固有の分析対象が入らない場合、まだテーマが広すぎる可能性があります。問いを一文にできれば、タイトル、研究目的、方法のねじれも発見しやすくなります。

2.一次資料と取得方法を書き出す

文学では対象作品と版、史学では文書・記録と所蔵機関、地理学では統計・地図・現地調査、心理学では対象者から得るデータと測定手続きを書き出します。「これから探す」という資料だけでは計画になりません。少なくとも中核資料の存在と利用可能性を確かめることが必要です。

3.教員一覧とカリキュラムを二重に照合する

教員一覧では専門分野と研究テーマの文言を確認し、自分のテーマと一致する部分と一致しない部分を分けてメモします。次に履修案内とシラバスを見て、必要な方法を学べる科目があるかを確認します。教員の専門だけが近くても、計画を遂行するための方法訓練を説明できなければ、入学後の学修計画が弱く見えます。

4.収束条件を決める

研究が広がり続けないように、何を扱わないかを決めます。時代は何年から何年までか、作品は何点か、調査地域はどこか、参加者はどの母集団かを限定します。比較対象を増やすと説得力が上がるとは限りません。修士課程内に分析と執筆を完了できる範囲に収めます。

5.予備分析で計画を試す

計画書の段階で完全な結果を出す必要はありませんが、資料の一部を使って方法が機能するかを試すと、計画の精度が上がります。文学なら数ページの試行分析、史学なら一点の史料の読解、地理学なら小範囲の地図化や予備調査、心理学なら尺度と実施手順の検討です。予備分析で想定外の問題が出たら、失敗と考えず、資料の範囲や方法を修正します。

予備分析の結果を計画書に詳しく載せるかは分量と指示によります。ただし、計画を絞った根拠として、対象資料が利用できること、必要な技能と時間の概数を把握していることを反映できます。実行可能性は自信ではなく小さな試行の根拠で説明すると具体的になります。

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法政大学の所定様式に合わせた研究計画書の構成

所定様式は「入学後の研究テーマ」と研究計画本文を求めますが、本文内の小見出しは志願経路の指示と分量に合わせて組み立てます。一般的には、背景、問題の所在、研究目的・問い、先行研究、資料・方法、予想される意義、工程、参考文献の順です。構成は定型でも、中身は専攻の方法に合わせることが必要です。

項目役割3,000字で書く場合の分量例
背景・問題設定対象と学術的な問題を導入350〜450字
先行研究と空白何が分かり、何が未解明かを整理600〜750字
目的・研究質問本計画が明らかにすることを特定250〜350字
資料・方法検証の対象、手順、判定基準を説明800〜950字
意義・予想される成果学術的貢献の範囲を示す300〜400字
工程・実行可能性修了までの作業と制約への対応300〜400字
参考文献主要文献を所定の形式で記載様式とカウント方法に合わせる

研究テーマのタイトル

タイトルは「○○に関する研究」だけで終えず、対象、時代・地域、分析観点のうち二つ以上が読める形にします。ただし、結論を先取りするタイトルは避けます。例えば「影響」と書くなら、影響の方向を検証するデータと比較設計が必要です。タイトルに含めた因果語を方法で検証できるかを確かめます。

先行研究と問題の所在

先行研究は、読んだ文献の要約を並べる欄ではありません。研究群を争点や方法で整理し、現在どこまで分かっているか、どこに説明不足や対立があるかを示します。人文学では、「未研究の作品だから価値がある」とは限りません。既存の理論や比較対象にどのような修正を促すかを示すことで、研究の位置づけが明確になります。

資料と方法

方法は「文献研究を行う」「調査する」という動詞だけでは不十分です。どの資料を、どの単位に分け、何を比較し、どの基準で解釈するかまで書きます。心理学では仮説と変数、参加者の条件、測定と分析をつなぎます。地理学では対象地域の選定理由、現地調査と二次資料の役割分担を書きます。読み手が同じ手順を追える具体性が方法の目安です。

汎用的な構成の学習には大学院の研究計画書の書き方と例文も使えます。ただし、例文の語句を流用するのではなく、法政大学の志望専攻の資料と方法に置き換えてください。

6専攻の構成を使い分ける具体例

哲学専攻の場合: 「生成AIと責任」という関心は、そのままでは技術解説、法政策、利用実態の調査など複数の研究に広がります。哲学専攻の計画にするなら、道徳的責任の成立条件のどれを問うか、どの論者の論証を検討するか、AIの事例が既存の概念にどの修正を迫るかまで絞ります。方法は「事例を紹介する」ではなく、概念分析、論証の再構成、反例の検討として書きます。時事的な対象を哲学的な問いへ変換することが専攻適合の鍵です。

日本文学専攻の場合: 「中世の日記文学における記憶」を扱うなら、対象作品、異本・版、記述の時期、語り手、比較する表現を決めます。「記憶が重要である」という感想ではなく、どの語句・構成・引用・反復を根拠に、何と何の関係を論じるかを書きます。先行研究では、同一作品の研究だけでなく、日記文学のジャンル論、語り、時間表現に関する研究も、本計画で使う概念と方法の根拠として整理します。

英文学専攻の場合: 英語学習者の文理解を扱うなら、対象者の母語、英語熟達度、刺激文の条件、測定指標、比較群を決めます。学習者の感想を聞くだけでは、文理解のどの過程を測るかが曖昧です。一方、イギリス小説のユートピア表象を扱うなら、実験設計ではなく、対象作品の選定基準、歴史的文脈、ジャンルの習慣、語りや空間表象の分析を書きます。英文学専攻内でも研究領域によって証拠は異なるため、テンプレートの方法欄をそのまま使えません。

史学専攻の場合: 「中国の都城と水利」という関心はまだ広いため、王朝、都城、年代、水利施設、分析する変化を限定します。公的な記録、地方志、地図、法令、紀行などは作成主体と目的が異なるため、同じ重みで事実として扱うことはできません。各史料が何を記録し、何を沈黙させるかを検討し、複数の史料の一致と矛盾から歴史像を再構成します。所蔵機関、閲覧条件、影印の有無、読解に必要な言語と書体も工程に入れます。

地理学専攻の場合: 都市再開発後の地域変容を扱うなら、対象地域と期間、土地所有、土地利用、人口・事業所、開発計画、現地観察のどれを組み合わせるかを決めます。地域の住みやすさを感想で評価するのではなく、「変容」を何の変数と空間分布で読むかを決めます。自然地理で断層地形を扱うなら、地形判読、地質資料、現地調査の分担を書きます。対象地域を選ぶ理由と他地域への一般化の範囲も区別します。

心理学専攻の場合: スポーツ参加と心理的健康の関係を扱うなら、「スポーツは心によい」という結論を前提にせず、参加頻度、活動の種類、心理指標、年齢などの条件を決めます。横断調査では参加が健康を生んだのか、健康な人が参加したのかを区別できない可能性があります。方法の限界を認め、縦断調査、実験、統制変数のどれが必要かを検討します。犯罪心理学のように取得が難しくセンシティブな情報を扱う場合は、データの取得可能性と匿名化を先に確認します。

これらの例はそのまま提出するテーマ例ではなく、広い関心を専攻固有の問いと方法に分解する考え方の例です。自分のテーマに当てはめるときは、対象名だけを入れ替えず、資料の性質、方法で判定できること、工程上の制約をゼロから確認してください。

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評価を下げやすい研究計画書と改善法

計画書の弱点は、文章表現の巧拙よりも、研究設計の接続が切れている箇所に現れます。タイトルと目的は合っていても、目的と方法が合っていない、方法と取得できる資料が合っていないという問題です。各節の最後に「したがって」を置ける論理になっているかを点検します。

専攻の射程外になっている

社会的に重要なテーマでも、志望専攻の資料と方法で研究できなければ適合しません。政策提言を主目的にしながら文学作品の分析がほとんどない、個人の体験談だけで歴史像を論じるといった計画は再設計が必要です。改善するときは、主張を弱めるのではなく、主張を導く一次資料と分析手順を加えます。

指導可能性の根拠が弱い

教員の専門分野と関連するキーワードが一つあるだけで、指導の適合を断定するのは危険です。教員紹介に書かれた専攻と研究テーマをそのまま確認し、自分の計画のどの部分と接続するかを説明します。そのうえで、希望指導教員として指名できる年度かを別ページで確認します。教員紹介と年度ごとの受入可否は別の情報です。

方法が実行不能である

海外の未整理史料を大量に調査する、全国規模の調査を一人で行う、取得困難な個人データを使うなど、資源の説明がない計画は実行可能性が疑われます。目的を失わない範囲で、資料の時代、地域、数を絞ります。予備調査で一部を取得し、どの程度の時間と技術が必要かを確認すると、工程の精度が上がります。

先行研究の位置づけがない

「このテーマは重要だが、研究されていない」という主張は、文献検索の範囲が不明だと説得力を持ちません。日本語文献だけでなく必要な言語の文献を調べ、直接対象を扱う研究と、理論・方法を提供する研究を分けて整理します。新しさは「誰もしていない」より既存研究との差分で示すほうが安定します。

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出願までの逆算スケジュール

研究計画書は、短期間に文章だけを整えても完成しません。テーマの絞り込み、先行研究の読解、資料の利用可能性確認、教員・専攻との照合が先に必要です。出願日を基準に、完成原稿から逆順に作業を配置します。初稿完成を出願締切と同じ週に置かないことが大切です。

時期の目安主な作業完了条件
出願6カ月以上前志望専攻と研究対象の候補を決める専攻の射程を公式ページで説明できる
5カ月前概説・主要論文を読み、争点を整理先行研究を論点別に分けたメモがある
4カ月前一次資料の所在と利用条件を確認中核資料を実際に一部読む・取得する
3カ月前教員一覧、受入可否、カリキュラムを照合専攻と方法の接続を一文で説明できる
2カ月前目的、先行研究、方法を含む初稿を作成未記入箇所のない全文ができている
1カ月前論理、事実、引用、分量を複数回推敲タイトル、問い、方法、意義が一致する
2週間前まで所定様式への反映、文字数・ページ番号・表記の点検アップロード用の完成ファイルと控えがある

事前連絡の位置づけ

逆算スケジュールを実行するときは、週ごとに「文献を読む」という曖昧な目標を置かず、成果物を決めます。主要論文3本の比較表、一次資料の取得リスト、用語定義のメモ、方法の試行分析、研究質問の改訂版といった形です。各週の最後に、得られた情報によって問い、資料、方法のどれを修正したかを記録します。作業時間ではなく検証可能な成果物で進捗を管理すると、読書だけが続いて原稿が進まない状態を防げます。

先行研究の読解では、文献ごとに研究質問、対象資料、方法、結論、限界、本計画で使う箇所を記録します。要約だけでは、後で引用する際に原文のどこに根拠があったか分からなくなります。頁番号、直接引用と自分の要約の区別、関連するキーワードを残します。文献管理を後回しにすると、推敲段階で引用の確認に時間がかかり、本質的な論理修正の時間が失われます。

一次資料の確認では、オンラインで存在が分かることと、実際に研究利用できることを区別します。翻刻や影印の閲覧条件、データのダウンロード可否、利用申請、著作権、調査地へのアクセス、実験・調査の同意取得などを確認します。資料が存在しても、言語や書体を読む技能、分析用ソフト、測定機器が必要な場合があります。資料の存在確認から分析可能性の確認まで進めることで、工程が現実的になります。

初稿は、導入から順番に完璧にするより、研究質問、資料・方法、先行研究、背景、意義、工程の順で骨格を作ると安定します。研究質問と方法が定まらないまま背景を長く書くと、社会的な重要性の説明だけで文字数を使ってしまいます。まず本計画が実際に行う作業を書き、その作業が必要になる先行研究の空白と背景を逆向きに接続します。

推敲の段階では、削る作業も計画に入れます。一つの段落に背景、先行研究、自分の主張が混在している場合は、役割ごとに分けます。同じ内容が目的と意義の両方に書かれている場合は、目的に「明らかにすること」、意義に「明らかになることが既存研究をどう更新するか」を残します。削除でできた余白は、資料の取得条件、方法の手順、代替案など実行可能性の説明に配分します。

表記の点検では、主要概念を同じ語で統一します。「対象者」と「被験者」、「作品」と「テキスト」、「地域」と「地区」などを意味の区別なく使うと、分析単位が揺れて見えます。一方、同じ語の繰り返しを避けるためだけに類義語へ置き換えるのも適切ではありません。学術用語は最初に定義し、日常語と意味が異なるときは、本計画でどの意味に使うかを示します。固有名詞、人名、書名、原語表記は、一次資料や信頼できる書誌情報と照合します。用語の統一は文章の見栄えではなく論理の精度に関わります。

ファイルの最終確認では、所定様式の表紙、ページ番号、氏名、研究テーマ、文字数、カウント方法の選択、参考文献、ファイル形式を順に見ます。本文を修正した後は文字数も変わるため、古い数字を残さないようにします。別名で最終版を保存し、アップロード後にファイルを開き直して、表紙や改ページが崩れていないかを確認します。本文の控えは口述試験の準備に使うため、提出したバージョンと同じものを保管してください。

提出直前に新しい文献を見つけた場合は、焦って全文を組み直さず、本計画の位置づけを変える文献かを判断します。同じ結論を別の事例で支持するだけなら、本文の核心を変える必要はありません。一方、本計画と同じ資料と方法ですでに同じ問いへ答えている文献なら、独自性の説明を修正する必要があります。新しい文献によってテーマ自体が無意味になるとは限りません。対象の範囲、理論の適用、方法の比較、結論の一般化のどこに余地が残るかを確かめます。先行研究の追加は数を増やすためではなく差分を正確にするために行います。時間が限られるときこそ、タイトルと要旨だけで判断せず、方法と結論の該当箇所を読みます。

最後は画面上だけでなく、一度通して音読すると、一文が長すぎる箇所、主語が切り替わる箇所、同じ接続語が続く箇所を見つけられます。ただし、読みやすさのために専門用語を日常語へ置き換え、概念の精度を失ってはいけません。用語は定義を残し、文章の構造を簡潔にします。音読後には、表紙の研究テーマだけを見て、本文の目的と方法を再現できるかも確かめます。表紙と本文の間に意味のずれを残さないことが最終点検の目標です。

さらに、初めて読む人にタイトルと各段落の第一文だけを読んでもらい、研究の流れを説明してもらいます。それだけで問題設定から方法、意義への流れが再現できなければ、段落の順序か要点文を修正します。

完成後は半日以上時間を空けて再読すると、執筆中に気づかなかった飛躍や重複を発見しやすくなります。提出日にこの時間を残すために、逆算スケジュールで完成日を前倒ししてください。

希望指導教員への連絡が必要か、連絡可能かは、専攻と入試経路ごとに入試要項で確認します。連絡は合格の依頼ではなく、研究内容と指導可能性を確認するためのものです。メールを送る場合は、自己紹介、志望課程・専攻、問いの概要、資料と方法、確認したいことを簡潔にまとめます。

日程の直前に初めて連絡するのではなく、計画の骨格ができた段階で最新要項の手順に従います。希望指導教員の選択は、入学後の受入れを保証しません。返信の有無にかかわらず公式の出願条件を基準にすることが必要です。文面の基本は研究室訪問のメール例文集も参考になります。

重要: 募集要項・出願書類の様式・教員の配置は年度により変わるため、出願前に必ず最新の公式情報で確認してください。

提出前の実践チェック

最終推敲では、誤字脱字の確認の前に、研究設計の整合性を点検します。以下の表の質問に、本文の一文を引きながら答えます。答えが本文にない場合は、単に追記するのではなく、その情報が本当に必要か、前後の主張と矛盾しないかを確かめます。「書いてあるか」と「根拠を示せるか」を分けることが大切です。

点検領域自問すること不十分なときの修正
書類要件自分の専攻・課程・入試経路で正しい書類名か最新要項の該当頁と所定様式を並べて再確認する
タイトル対象、範囲、分析観点が読み取れるか「についての研究」を削り、範囲を示す副題を検討する
背景社会的関心と学術的問題を区別しているか社会問題の説明を絞り、研究上の争点へ接続する
先行研究著者名の列挙ではなく論点別に整理したか主要研究の結論、資料、方法、限界を表にして比較する
研究の空白未解明点が先行研究の整理から導かれているか「研究されていない」を「どの資料・観点が不足か」に置き換える
目的一つの文章で明らかにすることを言えるか大目的と個別の作業を分け、研究質問を付ける
一次資料資料の名称、範囲、所在、取得条件を確認したか一部を実際に取得し、利用できない場合の代替資料も決める
方法資料をどの単位で分け、何を比較するか「分析する」という動詞の後に手順と判定基準を追加する
専攻適合専攻の研究対象だけでなく方法にも合うか隣接専攻と比較し、主となる資料と方法を再確認する
教員適合公式掲載の専門分野と本計画の接点を説明できるか近い単語だけでなく、対象・資料・方法の一致を分けて書く
カリキュラム入学後に補う知識と技能が明確か科目名の列挙を避け、計画のどの作業に必要かを書く
実行可能性時間、言語力、調査費用、機器、倫理の制約を考えたか対象の範囲を絞り、予備分析と代替手段を工程に入れる
意義結果が先行研究の理解をどう更新するか社会貢献の大きな表現を絞り、学術的な差分を先に書く
工程資料収集、分析、章立て、執筆、修正の順序が現実的か季節性や機関の開館、対象者募集など固定条件から日程を組む
引用主張と他者の見解を区別し、出典を追えるか引用メモに頁番号を残し、参考文献の表記を統一する
表現「これ」「それ」が何を指すか、主語が読めるか一文を短くし、一段落に一つの役割を与える
口述試験計画の要約と各選択の根拠を口頭で説明できるかタイトル、問い、方法、意義を30秒ずつで説明する

この表を一度で全て点検すると、内容の修正と表記の修正が混ざります。第一読ではタイトル、問い、先行研究、方法の一貫性だけを見ます。第二読では資料と工程の実行可能性、第三読では専攻・教員・カリキュラムへの接続、第四読では引用と日本語表現を見ます。推敲ごとに評価する対象を一つに絞ると、修正した文章が別の箇所と矛盾するのを見つけやすくなります。

第三者に読んでもらう場合は、単に「分かりやすいか」と聞くのではなく、研究質問は何と読めたか、どの資料を使うと理解したか、結論を導く手順は何か、実行上の最大の難点は何かを聞きます。書き手の想定と読み手の答えが異なる箇所は、用語の定義か、段落の順序か、根拠の不足に問題があります。

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よくある質問(FAQ)

研究計画書は6専攻すべてで必要ですか。

いいえ。専攻と入試経路によって、所定様式1の研究計画書か、卒業論文や小論文などの受験論文かが異なります。英文学専攻と地理学専攻は主要経路で研究計画書を使いますが、他専攻の一般入試は受験論文が中心です。志望専攻と入試経路の組み合わせで最新要項を確認してください。

地理学専攻の3,000字以上に参考文献は含みますか。

所定様式は、参考文献、脚注、図表を文字数に含めたかどうかを選択する作りです。したがって、自分がどの方法で数えたかを明示します。ただし、実際の判定は出顙時点の最新要項と様式に従い、下限ちょうどではなく本文の必要要素を優先しましょう。

希望指導教員はどのように選びますか。

大学公式の教員一覧に掲載された専門分野と研究テーマを読み、自分の対象、問い、資料、方法と照合します。名前や著書の印象だけでは選びません。次に、年度別の希望指導教員ページで指名可否を確認します。研究分野が近くても受入可否は年度で変わる可能性があります。

専攻をまたぐテーマはどう書けばよいですか。

中心とする一次資料と分析方法で主となる専攻を決めます。そのうえで、他分野の理論や知見をどの部分で補助的に使うかを示します。「学際的」という語だけで方法の不明確さを覆わないことが大切です。

卒業論文がない場合はどうしますか。

卒業論文がない場合の代替書類は専攻で異なります。例えば心理学専攻の一般入試では、卒業論文を執筆していない、未完成である、手元にない者向けの研究計画が示されています。自己判断で任意の書類を作らず、志望経路の受験論文の選択肢と条件を確認してください。

文芸創作研究プログラムでも研究性は必要ですか。

はい。同プログラムでは、修士論文の代わりに文芸創作と研究副論文を提出できます。創作のみで完結するのではなく、作品で試みる表現と、先行作品・理論を検討する研究副論文の関係を構想する必要があります。出顙時のプログラム申請についても最新要項を確認します。

教員への事前連絡は必須ですか。

一律ではありません。法政大学は、課程、専攻、入試経路ごとの「希望指導教員への連絡について」欄を確認するよう案内しています。連絡が可能な場合でも、教員の個人連絡先を探して無断で送るのではなく、大学の指定する手順に従います。

口述試験にはどのように備えますか。

提出した研究計画書や受験論文の控えを使い、テーマを30秒、1分、3分の長さで説明し分けます。次に、なぜその専攻か、なぜその資料か、方法で何が判定できるか、実行できない場合の代替案は何かを答えられるようにします。本文の言葉を暗記するより根拠を説明できることが重要です。

口述用のノートには、本文の要約とは別に、「この計画では言えないこと」を書きます。例えば、一地域の調査から全国の傾向を断定できない、限られた作品群の分析から作家の全思想を断定できない、相関調査から因果を断定できないといった限界です。限界を認めることは計画の弱さではなく、資料と方法を理解していることの説明になります。

志望専攻の理由を聞かれたときは、大学の知名度や通学条件だけではなく、専攻の研究対象、教員の公式掲載分野、カリキュラムで学ぶ方法を、自分の研究設計に結びつけて説明します。「この専攻にしかできない」と過度に断定する必要はありません。複数の大学で研究できるテーマでも、法政大学の志望専攻の環境とどのように接続するかを具体的に言えればよいのです。

「なぜその資料を使うのか」には、入手しやすいからではなく、研究質問に答えるのに必要な情報がどの部分に含まれるかを答えます。史料の場合は作成主体と目的、文学作品の場合は表現と版、地理資料の場合は空間的・時間的な解像度、心理データの場合は測定する概念と妥当性を説明します。資料の利点と同時に偏りや欠落も答えると、史料批判や方法的限界の理解が伝わります。

「先行研究との違いは何か」には、本計画のテーマが新しいと繰り返すのではなく、資料、時代・地域、理論、方法、解釈のどこを更新するかを答えます。同じ対象を扱う研究があっても、別の資料を組み合わせる、従来の解釈が前提とした概念を検討する、別の空間スケールで確かめるなどの差分を示せます。逆に、差分を言えない場合は、文献整理か研究質問のどちらかを修正します。

「予定した方法が使えない場合はどうするか」には、中核となる代替経路を答えます。所蔵資料の閲覧ができない場合は公開影印や関連資料を使う、現地調査の期間が制限される場合は公開地理情報と統計を主にする、実験参加者が集まらない場合は条件を絞った予備研究に変更するといった対応です。代替案で研究質問自体が別物になるなら、計画の範囲を初めから絞るべきです。

「修士課程で何を学ぶ必要があるか」には、現在の能力と不足を分けて答えます。学部で対象分野の基礎を学んでいても、原典読解、史料批判、GIS、統計、実験設計などに追加訓練が必要かもしれません。不足を隠すのではなく、どの学習と演習で補い、研究工程のどこで使うかを説明します。学びたいことを研究上の必要性として示すと、学修計画と研究計画が一つになります。

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まとめ|専攻・カリキュラム・教員を一本の計画にする

法政大学大学院人文科学研究科の研究計画書は、汎用テンプレートに志望理由を追記するだけでは完成しません。6専攻のどこに位置するかを決め、専攻固有の資料と方法を選び、カリキュラムで習得する能力と修士論文までの工程をつなぐ必要があります。

  • 研究計画書の要否と文字数は、専攻と入試経路の組み合わせで確認する
  • 所定様式1では、研究テーマ、本文、文字数の管理を分けて考える
  • 専攻選択は研究対象の名称ではなく、一次資料と分析方法で決める
  • 教員の専門分野は公式HTMLの文言で確認し、年度別の受入可否も照合する
  • 先行研究は要約ではなく、未解明点と本計画の差分を示すために使う
  • 資料の取得、現地調査、実験、倫理的配慮を含め、修士課程内の実行可能性を示す
  • 完成原稿を出顗締切より前に作り、口述試験で根拠を説明できるまで推敲する

最後に、「専攻で扱えるか」「指導と方法訓練に接続するか」「修了までに実行できるか」の三問で全文を点検してください。三つの問いに同じ計画内容で答えられるなら、設計の一貫性は高まっています。記事内の2027年度情報も、実際の出顙前に最新の公式要項、様式、教員一覧で再確認しましょう。

独学では専攻適合性の判定や、先行研究と方法のつなぎ方を客観視しにくいことがあります。独学での対策に不安がある場合は、法政大学大学院を含む大学院入試対策コースなど、専門の指導を活用するのも一つの方法です。

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書き上げた研究計画書、そのまま出して大丈夫ですか?

研究職キャリアを持つ講師が、テーマ設定・先行研究の位置づけ・研究方法まで、出願レベルに届いているかを個別に確認します。

  • 研究職の講師が研究計画書を添削し、改善点を明確化
  • 相談後に、志望校の出題傾向と学習ロードマップをまとめた個別フィードバックレポートをお渡し
  • 志望校が決まっていなくてもOK

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この記事を書いた人

千葉大学 法政経学部を首席で卒業後、都内国公立大学の法科大学院(ロースクール)を修了し、司法試験に合格。法律・政治・経済分野の専門知識をもとに、スプリング・オンライン家庭教師の大学編入・大学院入試分野の指導および記事監修を担当。

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