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慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)の入試傾向と対策|Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期の出願資格まで

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)の入試は、Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期という年3回の試験機会と、「リサーチインテンシブコース」「ラーニングインテンシブコース」という2つのコース制を軸に組み立てられている。「慶應義塾大学院 SDM 入試 対策」を調べている方の多くは、3期のうちどれを受けるべきか、2つのコースはどちらが自分に合うのか、そして出願にあたって何を準備すればよいのかを知りたいはずだ。結論から言うと、SDMとは、技術系と社会科学系を融合した新たなシステムを創造する人材育成を目的として慶應義塾創立150年の節目に設立された研究科であり、新卒学生だけでなく社会人にも幅広く門戸を開いた柔軟な入試体制を特徴とする。
Ⅰ期とは主に5月に、Ⅱ期とは主に9〜10月に、Ⅲ期とは主に12月〜翌1月に出願する入学試験区分であり、いずれも修士課程・後期博士課程の両方で実施される。3回の試験機会があるということは、1回の受験に失敗しても同一年度内に再挑戦できる可能性があるという意味でもあり、出願時期を柔軟に選べる点はSDM入試の大きな特徴だ。年3回という試験機会の多さは、社会人が仕事の区切りに合わせて出願時期を選びやすい制度設計になっているとも言える。要項上、一度不合格になった場合に再出願を制限する規定は見当たらないため、Ⅰ期で結果が出なかった場合にⅡ期・Ⅲ期で再挑戦するという計画も選択肢に入れておくとよい。ただしその場合、事前コンタクトフォームは合格発表までクローズされるため、次の期に向けた教員への再連絡は合格発表後になる点は織り込んでおきたい。
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本記事では、2026年度実施のⅠ期・Ⅱ期・Ⅲ期入学試験要項にもとづき、2コース制の違い、出願資格、出願前に必須となる事前コンタクト、修士課程と後期博士課程で異なる提出書類、選考の流れ(1次選考・2次選考)、そして出願スケジュールと考査料までを整理する。SDMは政策・メディア研究科(SFC)のように志願者数・合格者数を公表していないため、倍率という数字で難易度を測ることはできない。だからこそ、出願資格・コース選び・事前コンタクトという制度面を正確に理解し、着実に一つずつクリアしていくことが実質的な対策になる。
なお、募集要項の内容は年度ごとに変更される可能性があるため、本記事の情報を土台にしつつ、出願時には必ず慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の入試情報ページで最新の要項を確認してほしい。
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)とは|専攻・募集人員・2コース制
技術系と社会科学系を融合する研究科
システムデザイン・マネジメント研究科は、航空・宇宙、大規模プラント、自動車、エネルギー、ロボット、情報通信・メディア、社会中枢システム、災害対策システムなど、現代の巨大で複雑なシステムを対象に、確実なデザインを行う「システムズデザイナー」と、複雑なプロセスを見通してマネジメントできる「プロジェクトリーダー」を養成することを目的とする研究科だ。新卒学生のみならず官公庁や企業からの社会人に広く門戸を開放しており、企業に在職したまま入学することもできる。言語についても英語のみで修了することが可能な柔軟な履修課程が用意されている点も特徴だ。要項では、事故や不祥事などの社会的現象が示す現代システムの綻びを打ち破るために、エンジニアリング的な発想と社会科学的な発想を両立させる人材を育成する狙いが述べられている。
専攻と募集人員
修士課程・後期博士課程とも専攻は「システムデザイン・マネジメント」の1専攻のみである。修士課程の募集人員は77名、後期博士課程は11名で、いずれも4月入学者・9月入学者・各コース(または各入試制度)の合計として設定されている。研究科全体としては特定の専門分野に閉じず、技術系のバックグラウンドを持つ人材と社会科学系のバックグラウンドを持つ人材の双方を受け入れる方針を取っている。修士課程を修了した後、そのまま後期博士課程へ進学する道も用意されており、研究を継続したい場合は修士課程在学中から後期博士課程の出願資格・研究計画書の要件を視野に入れておくとよい。
修士課程の2コース制と後期博士課程の入試制度
修士課程には「リサーチインテンシブコース」と「ラーニングインテンシブコース」の2コース制があり、後期博士課程にはコース区分はなく一般入試・社会人入試のみが実施される。いずれの課程・コースも企業や官公庁等の組織に在職のまま在学することが可能で、企業や官公庁からの研修制度による派遣も受け入れている。修士課程・後期博士課程のどちらを志望する場合も、まず自分がどの入試制度に該当するのかを整理してから出願準備を始めることになる。詳しいコースの違いは後述する。
在学生の構成から見るSDMの特徴
研究科が公表している基礎データ(2026年3月現在)によると、在学生は修士課程143名・後期博士課程54名の計197名で、このうち入学時に在職していた社会人経験者は修士98名・博士40名の計138名と、在学生全体の7割程度を占める。年齢層も22〜24歳から45〜49歳まで幅広く分布しており、社会人経験者の主な業種は情報通信業・サービス業・製造業・教育学習支援業・金融保険業・公務員など多岐にわたる。留学生も40カ国以上から受け入れており、新卒学生に限らず、幅広いバックグラウンドを持つ人材が集まる研究科であることがうかがえる。
アドミッション・ポリシーが示す求める学生像
研究科のアドミッション・ポリシーでは、修士課程について「現代の大規模・複雑な諸課題の解決に資する革新的な技術・社会システムのデザインとエンジニアリングに関する研究」または「社会システムの問題解決策やプロジェクトを成功に導くリーダーシップ・マネジメントに関する研究」を実践できることを目指す学生を受け入れると明記されている。民間企業・官公庁・諸団体等で活躍する実務経験者(若手・多年経験者)と大学卒業後の進学者の双方を幅広く受け入れる方針で、選抜は書類選考・筆記試験・面接試験によって行うとされている。後期博士課程では、これに加えて「博士研究計画の内容を中心にした面接試験」が選抜の柱になる点が修士課程と異なる。
Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期とは|年3回の入試時期と4月入学・9月入学の違い
3期制の基本構造
SDMの入試は、修士課程・後期博士課程ともにⅠ期・Ⅱ期・Ⅲ期の年3回実施される。「Ⅰ期」「Ⅱ期」「Ⅲ期」という名称は季節ブランドではなく、年3回実施される入試の回次を示す名称であり、2026年度実施の場合、Ⅰ期は2026年9月入学・2027年4月入学が対象、Ⅱ期は2027年4月入学・2027年9月入学が対象、Ⅲ期も2027年4月入学・2027年9月入学が対象となる。同じ2027年4月入学・9月入学を目指す場合でも、Ⅱ期とⅢ期のどちらでも出願できる期間があるということだ。
2026年度実施の入学時期対応表
2026年度実施の各期と入学時期の対応関係は次の表のとおりである。
| 入試時期 | 対象となる入学時期 |
|---|---|
| Ⅰ期 | 2026年9月入学・2027年4月入学 |
| Ⅱ期 | 2027年4月入学・2027年9月入学 |
| Ⅲ期 | 2027年4月入学・2027年9月入学 |
Ⅰ期は出願時期が最も早く、5月中に出願・6月に1次選考というスケジュールになるため、事前コンタクトや出願書類の準備を年明けから進めておく必要がある。Ⅲ期は出願が12月末〜翌1月中旬とほかの2期より遅く、直前の年の12月入学申込という形になるため、年内の準備期間を長く取りやすい半面、年末年始をまたぐスケジュール管理が必要になる。
4月入学(日本語)と9月入学(英語)の違い
SDMでは、4月入学は日本語講義中心のカリキュラム、9月入学は英語講義中心のカリキュラムとなる。母語にかかわらず4月入学を希望する場合は日本語、9月入学を希望する場合は英語での受験が原則とされており、2次選考の小論文試験・口頭試問もこの言語で受けることになる。4月入学希望で日本語を母語としない者は日本語能力試験(N1合格を推奨)、9月入学希望で英語を母語としない者はTOEFLやIELTS等のスコア提出が求められる。入学時期の選択は、単なるスケジュールの都合ではなく、入学後2年間の講義言語そのものを決める選択であることを踏まえて決める必要がある。
3期のうちどれを選ぶかの実務的な判断軸
3期とも修士課程・後期博士課程で同じ出願資格・選考内容が適用されるため、制度上の有利不利は基本的にない。判断材料になるのは、自分の準備状況と、出願前に必須となる事前コンタクトにどれだけ時間を割けるかだ。Ⅰ期は事前審査が4月中旬、出願が5月中旬〜下旬と最も早いため、年明けから教員への連絡や書類準備を始める必要がある。一方でⅢ期は12月末〜翌1月中旬の出願になるため、社会人であれば年末の繁忙期と重なりやすい点も考慮しておきたい。すでに社会人経験があり実務経験の証明書類が手元に揃っている場合は、Ⅰ期での早期決着を狙う選択肢も現実的になる。
出願前の逆算準備スケジュール
どの期に出願する場合も、逆算して考えるべき準備の順番はほぼ共通している。まず出願資格に該当するかどうかとコース(一般・社会人)を確定させ、次に希望する指導教員を絞り込んで事前コンタクトフォームから連絡する。教員とのやり取りには数往復のメールや面談が必要になることが多く、返信までに時間がかかる場合もあるため、出願期間の締切からさかのぼって1〜2ヶ月程度は事前コンタクトに充てる余裕を見ておきたい。並行して、成績証明書・卒業証明書等の取り寄せ(発行に数週間かかる大学も少なくない)、社会人であれば職務経歴書・業績書の作成を進めておくと、出願期間に入ってから慌てずに済む。事前審査(出願資格5号・7号等)が必要な場合は、この準備をさらに1〜2ヶ月前倒しする必要がある点も忘れずに計画に組み込みたい。海外に居住している場合や外国の大学出身の場合は、証明書類の翻訳証明書の取得にも時間がかかりやすいため、通常より早めに動き出すことをおすすめする。
リサーチインテンシブコースとラーニングインテンシブコースの違い
リサーチインテンシブコースの対象者
リサーチインテンシブコースは、研究に比重を置いたコースで、学部新卒者および研究に取り組みたい社会人を対象とする。このコースには【一般入試】と【社会人入試】の両方があり、一般入試は日本国内外の大学の学部新卒者・卒業者、実務経験が3年未満の社会人が対象、社会人入試は大学卒業または大学院修了後、企業または官公庁等での実務経験年数が入学時までに3年以上となる者が対象になる。つまり学部を出たばかりの新卒者であっても、実務経験の長い社会人であっても、研究志向であればこのコースへの出願を検討できる。
ラーニングインテンシブコースは社会人限定
ラーニングインテンシブコースは、講義履修に比重を置いたコースで、3年以上の職務経験があり、一定の専門性を備えた社会人のみを対象とする社会人入試のみが実施される。リサーチインテンシブコースとは異なり、このコースには一般入試の枠が存在しない。学部新卒者や実務経験3年未満の者は、そもそもラーニングインテンシブコースには出願できない仕組みになっている点に注意したい。
コース選びの考え方
2つのコースの違いを整理すると、次の表のようになる。
| コース | 入試制度 | 対象者 |
|---|---|---|
| リサーチインテンシブコース | 一般入試 | 学部新卒者・卒業者、実務経験3年未満の社会人 |
| リサーチインテンシブコース | 社会人入試 | 実務経験3年以上の社会人 |
| ラーニングインテンシブコース | 社会人入試のみ | 実務経験3年以上かつ専門性を備えた社会人 |
研究テーマを深く掘り下げて修士論文の完成を目指したいのか、実務に直結する講義履修を中心に体系的な知識を身につけたいのかによって、選ぶべきコースが変わってくる。すでに実務経験が3年以上あり、自分の専門領域が明確な社会人であれば、後期博士課程進学や研究職への転換を視野に入れるならリサーチインテンシブコース、現職でのマネジメント力の底上げを目的とするならラーニングインテンシブコースという選び方が一つの目安になる。慶應義塾大学大学院入試を徹底解説では他研究科の入試制度も整理しているので、併願を検討する際の参考にしてほしい。コース名を見て「ラーニング」の方が学習負担が軽いと誤解されることがあるが、実際にはラーニングインテンシブコースは実務経験3年以上かつ専門性を備えた社会人のみが対象という、出願資格そのものが絞り込まれたコースであり、講義履修の負担が軽いという意味ではない点に注意したい。
実務経験3年という基準の数え方
コース選びで最も間違えやすいのが、実務経験年数の起算点だ。要項では「大学卒業(大学院修了)後、企業または官公庁等での実務経験年数が入学時までに3年以上となる者」と定義されており、出願時点ではなく入学時点で3年に達していれば社会人入試の対象になる。出願時にはまだ2年台でも、入学までの間に3年に到達する見込みであれば出願資格を満たす計算だ。逆に、卒業直後にインターンやアルバイトで積んだ経験は、要項上の「実務経験」に含まれるかどうか判断が分かれやすいため、不安がある場合は出願前に研究科入試担当へ確認しておくと安心だ。
出願資格|一般入試・社会人入試それぞれの条件
修士課程の出願資格(7区分)
修士課程の出願資格は、次の1〜7号のいずれかに該当することが条件になる。
- 日本国内において大学を卒業した者および入学までに卒業見込みの者
- 大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者および見込みの者
- 日本国外において学校教育における16年の課程を修了した者および見込みの者
- 文部科学大臣の指定した者
- 大学に3年以上在学し、所定の単位を優れた成績で修得したと研究科が認めた者(要事前審査)
- 日本国外の大学等で修業年限3年以上の課程修了により学士相当の学位を授与された者
- 大学卒業者と同等以上の学力があると認められ、入学までに22歳に達する者(要事前審査)
各コースの社会人入試の出願者は、上記1〜7号のいずれかに加えて実務経験年数3年以上が必要になる。高等専門学校卒業生・専攻科学生で2号の「見込みの者」に該当する場合は、出願に先立ち7号の出願資格認定を受けることが推奨されている。2号の学位授与機構による学士取得者には、専門学校の専門課程(専門士)を修了した後に学位授与機構の審査を経て学士号を得た者などが該当し、大学卒業者以外にも幅広く出願の道が開かれている。
後期博士課程の出願資格(4区分)
後期博士課程の出願資格は、次の1〜4号のいずれかに該当することが条件になる。
- 日本国内において大学院修士課程または専門職学位課程を修了した者および見込みの者
- 日本国外において修士相当の学位を授与された者および見込みの者
- 文部科学大臣の指定した者
- 修士の学位を有する者と同等以上の学力があると認められ、入学までに24歳に達する者(要事前審査)
社会人入試の出願者は、これらに加えて大学卒業(大学院修了)後の実務経験年数が入学時までに3年以上あることが条件になる。3号の文部科学大臣指定者とは、大学卒業または16年課程修了後、大学・研究所等で2年以上研究に従事し、修士の学位を有する者と同等以上の学力があると研究科が認めた者を指す。修士課程からの内部進学者に限らず、他大学・他研究科で修士号を取得した者や、海外の大学院で修士相当の学位を得た者も出願資格を満たす点は、後期博士課程を検討する際に見落とされやすいポイントだ。
事前審査が必要なケース
修士課程5号・7号、後期博士課程3号・4号による出願を希望する場合は、事前に出願資格の審査が必要になる。2026年度実施の提出期間はⅠ期が4月13日〜4月15日、Ⅱ期が8月31日〜9月2日、Ⅲ期が12月7日〜12月9日で、いずれも必着だ。出願資格事前審査申請書・履歴書・卒業証明書・成績証明書・職務経歴書・業績書等の提出が必要で、通常の出願期間よりかなり早い時期に締め切られる点に注意したい。事前審査で提出した書類であっても、出願時には改めて提出する必要がある。
証明書類が外国語の場合の注意点
成績証明書・卒業(見込)証明書は日本語または英語で書かれたものに限られる。それ以外の言語で記載されている場合は、日本語または英語の翻訳と、大使館等の公的機関による翻訳証明書をあわせて添付する必要がある。翻訳証明書とは、訳文が原本と同一内容であることを証明する書類のことだ。日本国外の大学を卒業した出願者で、卒業証明書に取得学位が記載されていない場合は、学位取得証明書も別途必要になる。これまでに在籍したすべての大学・大学院(留学等を含む)の成績証明書が求められるため、複数の教育機関に在籍した経験がある場合は早めに取り寄せの手配をしておきたい。中国本土(香港・マカオを除く)の大学を卒業した者は、中国教育部のWebサイトに登録して取得できる「教育部学歴証書電子注冊備案表」(英文)の提出も必要で、提出時点でWeb認証の有効期限が3ヶ月以上残っていることを確認する必要がある。
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出願前に必須の事前コンタクトと修士・後期博士課程の書類の違い
事前コンタクトは選考過程の最初のステップ
SDMの入試で見落とせないのが、出願に先立つ「事前コンタクト」が選考過程の最初のステップとして明記されている点だ。要項には「出願にあたり、原則として、入学後の研究・教育について、事前に教員(複数可)と相談することを必須とします」と記載されている。大人数を集めた説明会での短い会話は事前コンタクトとみなされないため、個別に教員へ連絡を取る必要がある。事前コンタクトにおいて入試の内容そのものに関する質問はできない点も押さえておきたい。
事前コンタクトフォームの使い方
事前コンタクトは専用フォームから行う。志願者は(1)希望指導教員名、(2)希望入学課程、(3)氏名、(4)国籍(地域)、(5)所属、(6)最終学歴、(7)メールアドレス、(8)希望研究内容の8項目をすべて入力して送信する必要がある。教員一覧は研究科の公式サイトで確認できる。事前コンタクトフォームは各期出願期間締切日当日から2次選考合格発表まではクローズされるため、次の期に出願する場合は合格発表を待ってから改めて教員へ連絡することになる。出願期を検討し始めた早い段階で、志望する教員の研究内容を確認し、余裕をもって連絡することが望ましい。安全保障輸出管理の観点から、希望する教育・研究内容によっては事前コンタクトの段階で教員から研究内容の変更を求められる場合がある旨も要項に明記されているため、研究内容が技術的な機微に触れる可能性がある場合は早めに相談しておくとよい。複数の教員を候補にしている場合は、それぞれに時間差をつけすぎず並行して連絡しておくと、返信のタイミングによって出願期間に間に合わなくなるリスクを減らせる。
修士課程は研究計画書が不要
SDMの出願書類で特に誤解されやすいのが、修士課程の出願書類一覧に「研究計画書」という書類が含まれていないことだ。修士課程の主な提出書類は次の表のとおりである。
| 提出書類 | 対象・注意点 |
|---|---|
| 提出書類チェック表 | 全員必須。所定用紙をダウンロードして記入 |
| 入学志願者調書・写真台帳 | 全員必須。Webエントリーシステムで入力・印刷 |
| 振込金受付証明書(考査料) | 全員必須。国内は金融機関窓口振込、海外はクレジットカード等 |
| 成績証明書・卒業(見込)証明書 | 全員必須。日本語または英語のもの(それ以外は翻訳証明書を添付) |
| 職務経歴書・業績書 | 社会人入試志願者、および在職経験のある一般入試志願者のみ必須 |
| 言語に関する証明書 | 4月入学で日本語非母語者、9月入学で英語非母語者のみ必須 |
| その他の別添資料 | 証明書類と出願書類の氏名が異なる場合のみ必須 |
研究計画についての具体的な検討は、出願書類としてではなく事前コンタクトの段階で教員との相談を通じて示すことになる。職務経歴書・業績書が必要な志願者は、研究業績(論文・著書・国際会議発表・国内学会発表等)と実務業績(特許・法令・建築物・意匠・開発実績・社内報告書等)を年号の古いものから順に整理してまとめる形式が求められる。業績書は書式自由とされているため、これまでのキャリアの中で何を「業績」として書けるか迷う場合は、事前コンタクトの段階で希望する教員に相談し、志望するテーマとの関連が伝わりやすい実績から優先的に整理していくとよい。
後期博士課程は研究計画書が必須
後期博士課程では事情が異なり、選考過程の【1】が「研究計画書の作成」という項目名になっている。志願者は希望する指導教員と研究内容について十分な打ち合わせを行ったうえで研究計画書を作成し、出願時に提出する必要がある。研究計画書の書式は研究科サイトの見本を参照する形で、修士論文またはこれに準ずる論文(写し可、執筆中の場合は説明資料)もあわせて提出する。修士課程では不要、後期博士課程では必須という違いは、SDM入試を検索する人が最も混同しやすいポイントの一つなので、志望課程に応じて準備するものを取り違えないようにしたい。研究計画書の一般的な組み立て方は研究計画書の書き方と例文も参考になる。後期博士課程は複数指導体制をとることも可能とされており、希望指導教員が複数いる場合は事前コンタクトフォームでその旨を伝えることができる。教員によって博士指導資格の有無が異なるため、後期博士課程での指導を希望する場合は、事前コンタクトの段階で当該教員に博士指導が可能かどうかを直接確認しておく必要がある。
後期博士課程の提出書類は、修士課程と共通する書類に加えて、次の点が異なる。
| 提出書類 | 修士課程との違い |
|---|---|
| 成績証明書(学部・修士) | これまでに在籍した大学・大学院すべての証明書が必要 |
| 修士課程修了(見込)証明書 | 修士課程にはない後期博士課程独自の必須書類 |
| 研究計画書 | 修士課程では不要。後期博士課程では選考過程の最初のステップとして必須 |
| 修士論文等 | 修士論文またはこれに準ずる論文(写し可)を必須提出 |
修士論文を執筆中の場合は、内容を説明できる資料での代替が認められている点も、後期博士課程志願者にとっては実務上重要なポイントになる。修士課程からそのまま進学する場合は、修士論文の完成度と後期博士課程の研究計画の一貫性をどう示すかが、研究計画書の説得力を左右する。
提出書類に共通する形式ルール
出願書類はすべて日本語または英語で記入し、複数枚になる場合は提出書類ごとに左上をホチキスで留める。証明書右上の余白には必ずWebエントリーで発行された受験番号を記載する必要があり、記載漏れがあると審査に支障をきたしかねない。写真は入学志願者調書と写真台帳の2箇所に使用され、脱帽・肩から上の上半身正面・背景は白/青/グレーを基調とした無地・最近3ヶ月以内撮影のものと細かく指定されている。写真加工アプリ等を用いた画像修正は認められておらず、合格者についてはこの写真がそのまま学生証用写真として使われる点も押さえておきたい。研究科所定の様式(提出書類チェック表・出願資格事前審査申請書・職務経歴書等)はいずれも研究科のWebサイトからダウンロードする形式になっており、出願直前になって様式が見つからず慌てることのないよう、準備の早い段階で一度ダウンロードページに目を通しておくとよい。
選考の流れ|1次選考(書類審査)と2次選考(小論文・口頭試問)
1次選考は書類審査のみ
1次選考では、提出された出願書類をもとに書類審査が行われ、合格者が決定する。1次選考の結果は研究科の公式サイトで受験番号により発表され、結果についての問い合わせには一切応じてもらえない。1次選考合格発表と同時に、2次選考の日程・集合時間も案内される。1次選考から2次選考までの期間は各期とも1週間強と短いため、1次選考の結果を待ってから小論文・口頭試問の対策を始めるのではなく、出願直後から準備を並行して進めておくことが望ましい。
修士課程2次選考(小論文+口頭試問)
修士課程の2次選考は、1次選考合格者を対象に小論文試験と口頭試問が行われる。評価されるのはシステム・デザイン・マネジメントへの理解を中心とした、論理的かつ俯瞰的な思考力である。日本語・英語のどちらかを選択でき、使用言語が結果に影響することはないとされているが、入学時期に見合った言語での受験が推奨されている。過去の出題内容は公開されていないため、対策としては、要項に明記された評価観点(システム的な思考・俯瞰的な視点)を意識しながら、自分の研究テーマや志望動機を論理立てて説明できるよう準備しておくことが実質的な対策になる。試験当日は、1次選考合格発表時に指示された方法で受験票を印刷して持参する必要があり、集合時刻に遅れた場合は原則として欠席扱いとなり受験できなくなる点にも注意しておきたい。
後期博士課程2次選考(口頭試問のみ)
後期博士課程の2次選考は口頭試問のみで、修士課程のような小論文試験は課されない。専門分野に関する知識と、後期博士課程での研究計画について問われる。出願時に提出した研究計画書の内容を深掘りされることが想定されるため、事前コンタクトの段階で指導教員と詰めた研究計画の論点を、口頭試問でも一貫して説明できるよう整理しておくとよい。合否判定は口頭試問と出願書類等を総合的に評価し、研究科委員会で決定される。使用言語は日本語・英語のどちらでも結果に影響しないとされているが、母語としない言語を選ぶ場合は、専門用語を含む口頭でのやり取りに支障が出ないよう、事前に練習しておくと安心だ。
合否判定の考え方
合否判定は、修士課程は小論文試験・口頭試問・出願書類等を、後期博士課程は口頭試問・出願書類等を総合的に評価し、研究科委員会において決定される。各評価項目の重要度は専攻の特性に応じて適切に設定されており、受験者の学問的適性、研究遂行能力、志望動機の妥当性等を多面的に判断するとされている。特定の1科目だけで合否が決まる仕組みではなく、事前コンタクトから出願書類、2次選考までの一連のプロセス全体を通じて、研究科が求める学生像に合致しているかどうかが見られていると捉えるとよい。結果についての問い合わせには一切応じないと明記されているため、不合格だった場合に個別の講評やフィードバックを得ることは想定されていない点も理解しておきたい。
海外居住者のオンライン受験
日本国外に居住する者は、2次選考をオンライン(Zoom等)で受験できる。オンライン受験を希望する場合は、パソコン・Webカメラ・ヘッドホン・マイクを各自用意し、受験する部屋は個室とし同室に他の人がいないようにすることが求められる。事前にシステムチェック日が設けられ、原則として受験当日と同じ部屋でチェックを行う。試験会場周辺の交通機関に大幅な乱れが生じた場合は試験時間が繰り下げられることもあるが、それに伴う個人的な損害について研究科は責任を負わないとされている。国内在住者であっても、来校できない特別な理由がある場合は出願期間最終日までに入試担当へ相談することで、対応を検討してもらえる余地がある。試験当日、学校保健安全法で出席停止が定められている感染症に罹患している場合や罹患の可能性がある場合も、事前に研究科へ相談することが案内されている。
出願スケジュールと考査料
Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期の年間スケジュール
2026年度実施のⅠ期・Ⅱ期・Ⅲ期のスケジュールは次のとおりである(修士課程・後期博士課程で共通)。
| 項目 | Ⅰ期 | Ⅱ期 | Ⅲ期 |
|---|---|---|---|
| 事前審査期間 | 4月13日〜4月15日 | 8月31日〜9月2日 | 12月7日〜12月9日 |
| Webエントリー・出願期間 | 5月15日〜5月28日 | 9月18日〜10月1日 | 12月25日〜翌1月14日 |
| 1次選考合格発表 | 6月12日 | 10月16日 | 翌1月29日 |
| 2次選考 | 6月21日 | 10月25日 | 翌2月6日 |
| 2次選考合格発表 | 6月23日 | 10月27日 | 翌2月9日 |
出願書類はWebエントリーシステム上でのアップロードと郵送の両方が必要で、国内からの郵送は締切日消印有効、国外からはFedExやDHL等の追跡可能な速達サービスで締切日必着となる。窓口での出願受付は行われていないため、余裕を持った準備が欠かせない。表からわかるとおり、Web入力・出願期間はいずれの期も2〜3週間程度、1次選考合格発表から2次選考までも1週間強と、出願が始まってからの流れそのものは比較的タイトだ。だからこそ、出願期間に入る前の事前コンタクトと証明書類の準備がSDM入試全体の実質的なボトルネックになる。
考査料と提出方法
考査料は修士課程・後期博士課程とも35,000円である。国内から出願する場合は金融機関の窓口(郵便局は不可)から指定口座へ振り込み、振込金受付証明書を提出する。海外から出願する場合はクレジットカード決済等が利用できる。出願書類の提出先は横浜市港北区日吉のシステムデザイン・マネジメント研究科入試担当で、封筒には「SDM出願書類在中」と受験番号を明記する必要がある。納入した考査料は、出願しなかった場合・二重納入の場合・出願が受理されなかった場合を除き返還されない。窓口での出願受付は行われておらず、書類到着に関する問い合わせにも応じてもらえないため、追跡可能な発送方法を選び、発送後は自分の手元にも控えを残しておくと安心だ。
出願に関する注意事項
出願書類に不備があるものや出願期間を過ぎたものは受理されず、出願書類の差し替えも認められていない。Webエントリーシステムで入力したデータは初回登録後も修正できるが、出願期間内に郵送されたものが出願書類の正本とみなされるため、最終的に入力した内容を確認したうえで印刷・郵送する必要がある。提出された出願書類については、公的調査機関・最終出身校・在学校・推薦者等に事実確認が行われる場合があり、記載事項が事実と異なる場合やその他不正がある場合は、受験資格・入学資格が取り消される。一度提出した書類等は返還されない点もあわせて押さえておきたい。身体の機能の障がいにより受験・就学に際して特別な配慮が必要な場合や、来校が困難な事情がある場合は、出願期間最終日の1ヶ月前までに研究科入試担当へ相談することが案内されている。該当する可能性がある場合は、出願直前になって慌てないよう早めに問い合わせておくとよい。
入学手続の期間と必要書類
2次選考に合格すると、入学手続の案内が出願時に登録したメールアドレス宛に届く。2026年度実施分の手続期間は、2026年9月入学が7月9日〜7月17日、2027年4月入学が2027年2月12日〜2月22日、2027年9月入学が2027年7月8日〜7月16日である。入学手続は入学に必要な費用の振込みと所定書類の郵送提出をすべて完了して初めて成立し、期間内に手続を完了しない場合は入学の資格を失う。海外からの送金は本学指定の銀行口座への電信送金のみが認められ、送金小切手・現金書留・郵便為替は受け付けられない点にも注意したい。手続がすべて完了すると電子メールで完了通知が届く仕組みで、期間終了後2週間を経過しても通知が届かない場合は入試担当への確認が推奨されている。なお、納入した費用は原則として返還されないが、所定の期日までに入学辞退の手続を完了した場合に限り返還される規定もある。
学費
2027年4月入学者の学費(参考、変更の可能性あり)は、修士課程が在籍基本料70,000円・授業料1,920,000円・学生健康保険互助組合費2,600円の合計1,992,600円、後期博士課程が合計1,212,600円である。2026年9月・2027年9月入学者は初年度秋学期分のみの納入となり、修士課程996,350円・後期博士課程606,350円が目安になる。9月入学者は入学手続時に学費を全納することができず、必ず分納を選ぶことになっており、春学期分は翌年4月に別途請求される。奨学金には、慶應義塾大学独自の給付奨学金である「慶應義塾大学大学院奨学金」(給付期間1年、毎年出願可能)のほか、日本学生支援機構奨学金、指定寄付奨学金、民間団体・地方公共団体奨学金があり、いずれも入学後の募集となる。このほか任意の制度として、慶應義塾債(一口10万円)や慶應義塾教育振興資金(年額一口3万円)といった寄付・学校債の協力依頼が入学後に案内される。いずれも任意であり出願・合否判定には関係しないため、学費の資金計画を立てる段階では必須費用とは切り分けて考えてよい。
難易度をどう読むか|SDM入試の傾向と対策の考え方
倍率は非公表
SDMは、政策・メディア研究科(SFC)のように志願者数・合格者数を公表するページを設けておらず、募集要項・研究科の基礎データページのいずれにも倍率に関する具体的な数値は掲載されていない。「SDM 倍率」で検索しても一次情報として公表された数字は見つからないため、他媒体で見かける倍率の記載は出典を確認したうえで参考程度にとどめるのが安全だ。募集人員が修士課程77名・後期博士課程11名と限られていることを踏まえ、数字による難易度判断よりも、出願資格・コース選び・事前コンタクトを着実にクリアすることに準備の重点を置きたい。研究科が公表しているのは志願者数・合格者数ではなく在学生の構成データであり、社会人経験者が在学生の約7割を占めるという実績は、実務経験を積んだ社会人にとって心強い材料になるだろう。
小論文・口頭試問の評価観点から見た対策の方向性
過去の小論文試験・口頭試問の具体的な出題内容は公開されていないが、要項には評価観点が明記されている。システム・デザイン・マネジメントへの理解と、論理的かつ俯瞰的な思考力という評価軸を踏まえると、自分の出身分野の専門知識だけでなく、それを社会システム全体の中でどう位置づけるかという視点を答案・口頭試問双方で示せるかどうかが鍵になる。後期博士課程の口頭試問では研究計画そのものが問われるため、研究計画書の内容を自分の言葉で説明し直す準備が実質的な対策になる。志望動機を語る際も、単に自分の専門分野への関心だけでなく、なぜその課題解決に技術系・社会科学系を横断するアプローチが必要なのかという視点を盛り込めるかどうかが、SDMらしい答案・応答になるかどうかを分けるポイントだ。
コース選びと事前コンタクトが実質的な最初の関門
SDM入試の傾向として、書類・小論文・口頭試問そのものより前の段階、つまり「リサーチインテンシブかラーニングインテンシブか」というコース選びと、事前コンタクトによる指導教員との合意形成が、実質的な最初の関門になっている。教員コンタクトフォームが出願期間締切から2次選考合格発表までクローズされるため、次の期を狙う場合は合格発表を待ってから動き出すことになり、準備期間が実質的に短くなる。志望度が高い場合は、早い期のうちに出願資格・コース・希望教員を固めて臨むほうが、スケジュール面での無理が少ない。研究計画書を出願書類として求められない修士課程だからこそ、事前コンタクトの段階でどれだけ具体的な研究テーマ・問題意識を教員に伝えられるかが、その後の出願・面接全体の土台になっていると捉えておくとよい。
他の慶應義塾大学大学院研究科との併願
SDMは神奈川県横浜市の日吉キャンパスを事務窓口とする研究科だが、三田キャンパスや矢上キャンパス、湘南藤沢キャンパス(SFC)で実施される他の研究科と併願することも可能だ。慶應義塾大学大学院全体の実施研究科や出願資格の概要は慶應義塾大学大学院入試を徹底解説で整理しているので、併願候補を広げたい場合の参考にしてほしい。ただし、SDMの出願には事前コンタクトという時間のかかるプロセスが必須であるため、他研究科と併願する場合は、それぞれの研究科への教員コンタクトの開始時期を特に早めに設定しておく必要がある。技術系・社会科学系のどちらの視点からもシステムを捉えたいという志望動機であれば、SDMならではの学際性を面接や口頭試問でどう言語化するかも準備の一部になる。工学系・情報系のバックグラウンドを持つ受験者が政策・メディア研究科(SFC)と迷うケースや、マネジメント系のバックグラウンドを持つ受験者が経営管理研究科と迷うケースもあるが、いずれの場合も「なぜ他の研究科ではなくSDMでなければならないのか」を、事前コンタクトの段階から一貫して説明できるようにしておくことが実質的な対策になる。
よくある質問(FAQ)
Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期はどれを受けるべきですか
3期とも修士課程・後期博士課程で同じ入試制度・出願資格が適用されるため、制度上の優劣はない。Ⅰ期は事前審査が4月中旬、出願が5月中旬〜下旬と最も早く準備期間が短い一方で6月には決着がつく。Ⅲ期は12月末〜翌1月中旬の出願で年内の準備期間を長く取りやすいが、年末年始をまたぐスケジュール管理が必要になる。希望する入学時期(4月・9月)と、事前コンタクトや証明書類の準備にどれだけ時間をかけられるかという自分の準備状況に合わせて選ぶとよい。
リサーチインテンシブコースとラーニングインテンシブコースはどちらを選ぶべきですか
研究を深めて修士論文の完成を目指すならリサーチインテンシブコース、実務に直結する講義履修を中心に体系的な知識を身につけたいならラーニングインテンシブコースが目安になる。ただしラーニングインテンシブコースは実務経験3年以上かつ専門性を備えた社会人のみを対象とした社会人入試しか実施されないため、学部新卒者や実務経験3年未満の社会人は選択の余地なくリサーチインテンシブコースが対象になる。将来的に後期博士課程への進学や研究職への転換を視野に入れているかどうかも、コース選びの判断材料になる。
SDMの修士課程に研究計画書は必要ですか
不要である。修士課程の出願書類一覧に研究計画書は含まれておらず、提出書類チェック表・入学志願者調書・写真台帳・振込金受付証明書・成績証明書・卒業(見込)証明書等が中心になる。研究計画についての検討は、出願書類としてではなく出願前の事前コンタクトの中で教員に口頭やメールで伝えることになる。一方、後期博士課程では研究計画書が必須の提出書類として明記されており、修士論文等もあわせて提出する点が大きく異なる。
事前コンタクトとは何をすればよいですか
出願前に、希望する指導教員(複数可)に事前コンタクトフォームから連絡し、入学後の研究・教育について相談することが原則必須とされている。フォームには希望指導教員名・希望入学課程・氏名・国籍・所属・最終学歴・メールアドレス・希望研究内容の8項目を入力する。大人数を集めた説明会での短い会話は事前コンタクトとみなされず、入試の内容に関する質問もできない。フォームは各期出願期間締切日当日から2次選考合格発表まではクローズされるため、余裕をもって早めに連絡することが重要だ。
4月入学と9月入学で何が変わりますか
4月入学は日本語講義中心、9月入学は英語講義中心のカリキュラムになる。母語にかかわらず、4月入学希望は日本語、9月入学希望は英語での受験が原則となり、2次選考の小論文・口頭試問もその言語で行われる。4月入学希望で日本語を母語としない者は日本語能力試験、9月入学希望で英語を母語としない者はTOEFLやIELTS等のスコア提出が求められる点も入学時期選択の判断材料になる。
社会人でも出願できますか
可能である。むしろSDMは社会人の受け入れに積極的な研究科で、実務経験3年未満なら一般入試、入学時までに3年以上となる見込みであれば社会人入試の対象になる。ラーニングインテンシブコースは実務経験3年以上かつ専門性を備えた社会人のみを対象とした専用のコースだ。いずれのコース・課程も企業や官公庁等の組織に在職したまま在学することができ、研修制度による派遣にも対応している。
2次選考の小論文・口頭試問ではどのようなことが問われますか
修士課程はシステム・デザイン・マネジメントへの理解を中心とした論理的かつ俯瞰的な思考力が、後期博士課程は専門分野の知識と後期博士課程での研究計画についての口頭試問が行われる。過去の出題内容自体は非公開だが、要項に明記された評価観点を踏まえ、自分の研究テーマや志望動機を筋道立てて説明できるよう準備しておくことが対策の基本になる。日本国外に居住する者はオンライン(Zoom等)で受験することも可能だ。
SDMの倍率はどのくらいですか
研究科は志願者数・合格者数を公表しておらず、一次情報として確認できる倍率のデータは存在しない。募集人員は修士課程77名・後期博士課程11名で、いずれも4月入学者・9月入学者・各コース(制度)の合計として設定されている。倍率という数字にとらわれるより、出願資格・コース選び・事前コンタクトという制度面を着実にクリアすることに準備の重点を置くのが現実的だ。
まとめ|慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)の入試対策
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)の入試は、Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期という年3回の試験機会と、リサーチインテンシブ・ラーニングインテンシブという2つのコース制から成り立っており、出願前の事前コンタクトと、修士課程・後期博士課程で異なる提出書類の理解が対策の出発点になる。技術系・社会科学系の双方を融合する学際的な研究科であるからこそ、コース選びと指導を希望する教員との合意形成を早い段階から進めることが、遠回りのない対策につながる。要点を整理すると次のとおりだ。
- 入試はⅠ期(5月出願)・Ⅱ期(9〜10月出願)・Ⅲ期(12月〜翌1月出願)の年3回、修士課程・後期博士課程で共通
- 4月入学は日本語講義中心、9月入学は英語講義中心。入学時期の選択が受験言語も左右する
- 修士課程はリサーチインテンシブコース(一般・社会人)とラーニングインテンシブコース(社会人のみ)の2コース制
- 出願前の事前コンタクト(希望指導教員への相談)が選考過程の最初のステップとして必須
- 修士課程の出願書類に研究計画書は含まれないが、後期博士課程は研究計画書・修士論文等が必須
- 1次選考は書類審査のみ、2次選考は修士課程が小論文+口頭試問、後期博士課程は口頭試問のみ
- 考査料は修士課程・後期博士課程とも35,000円、募集人員は修士77名・博士11名
- 在学生約200名のうち社会人経験者が約7割を占め、社会人の受け入れに積極的な研究科
- 志願者数・合格者数・倍率は研究科から公表されていない
出願資格や選考日程、考査料は年度ごとに変更される可能性があるため、実際の出願にあたっては必ず最新の入学試験要項でご確認いただきたい。慶應義塾大学院SDMの入試対策を独学だけで進めることに不安がある場合は、専門の指導を活用するのも一つの方法である。コース選びの相談から、事前コンタクトのメールの書き方、小論文・口頭試問の想定準備まで、SDM特有のプロセスを踏まえた個別サポートを検討してみてほしい。教員コンタクトのメールを送る際のマナーは研究室訪問のメール例文集も参考になる。事前コンタクトから出願、2次選考までには相応の準備期間がかかるため、志望する期から逆算して早めに動き出すことをおすすめする。
SDM入試の対策で最も時間がかかるのは、小論文や口頭試問そのものではなく、コース選びと事前コンタクトによる指導教員との合意形成であることが多い。出願資格の確認、希望教員へのコンタクト、証明書類の取り寄せという3つを並行して早期に進めることが、Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期のどの期を選ぶ場合でも共通する遠回りのない準備の進め方になる。研究計画の練り込みが必要な後期博士課程を志望する場合は特に、指導教員との対話に十分な時間を確保したうえで研究計画書を仕上げていく組み立てを意識してほしい。修士課程・後期博士課程のどちらを目指す場合も、制度の全体像を早い段階で正確に把握し、自分の出願資格・コース・志望教員を一つずつ確定させていくことが、結果的に最短ルートでの合格につながる。
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