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北海道大学大学院 文学院の外部院試を徹底解説|出願資格・試験科目・研究計画書・面接対策まで

北海道大学大学院文学院は、人文学専攻と人間科学専攻の2専攻からなる大学院であり、外部の大学に在籍する学生や社会人が学外から出願する「外部院試」では、研究室を単位として専門試験・口述試験その他・出願書類を総合した選抜が行われます。研究室ごとに出題形式や外国語試験の有無が異なるため、志望する研究室の募集要項を個別に読み込むことが対策の出発点になります。本記事では、2027年度文学院修士課程学生募集要項、文学院公式サイトの入試情報・よくある質問、公表されている出願状況データなど、確認できた一次情報にもとづき募集人員・出願資格・試験科目・研究計画書・口述試験(面接)・倍率・過去問の扱いまでを研究室単位で整理します。数値や制度は年度により変更されるため、出願前には必ず最新の公式募集要項をご確認ください。
文学院の専攻構成と外部院試の位置づけ
北海道大学大学院文学院は、人文学専攻と人間科学専攻の2専攻から構成されています。人文学専攻は哲学宗教学、歴史学、文化多様性論、表現文化論、言語科学、スラブ・ユーラシア学、アイヌ・先住民学の7講座からなり、その内部に哲学倫理学、宗教学インド哲学、日本史学、東洋史学、西洋史学、考古学、文化人類学、芸術学、博物館学、欧米文学、日本古典文化論、中国文化論、映像・現代文化論、言語科学、スラブ・ユーラシア学、アイヌ・先住民学という16の研究室が置かれています。人間科学専攻は心理学、行動科学、社会学、地域科学の4講座4研究室です。出願はこの研究室単位で行われ、志望する研究室によって専門試験の科目名や口述試験の内容が変わります。
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教育研究上の目的として、文学院は人文科学の諸領域における高度な専門教育研究を通じて、ことばに対する感受性、論理的な思考力、総合的な判断力を備えた人材を育成するとともに、国際的に卓越した創造的な研究者を養成することを掲げています。募集要項の学院の目的欄にはこの2点が明文化されており、単なる知識習得ではなく思考力・判断力の涵養を重視する姿勢が読み取れます。
人文学専攻を構成する7講座の内容を募集要項の説明にもとづいて整理すると、哲学宗教学講座は、経済と政治のグローバル化が進展する中で価値観の対立と衝突も生まれている現代社会において、人間の在り方について根源的な問いを発しつつその問いに答えようとする学識を培う分野とされています。歴史学講座、文化多様性論講座、スラブ・ユーラシア学講座、アイヌ・先住民学講座は、他者と共感する真摯な姿勢と本質を見抜き相対化する批判精神を必要とする、広義の異文化を対象とする分野とされ、古典を含む文献読解、多様な言語の修得、現地調査を含むデータ収集と分析、異文化への学際的アプローチが共通の方法論として位置づけられています。表現文化論講座は、日本文学、英米・英語圏文学、フランス文学、ロシア・スラブ文学、西洋古典学、中国文学、中国語学、中国思想に加え、映像論・批評理論・文化批評を対象とする視覚メディア文化・言語表現文化の教育研究を含みます。言語科学講座は、言語理論を扱う言語学と、国語学・日本語学・英語学・フランス語学ロマンス語学・ロシア語学スラブ語学といった個別言語を対象とする分野から構成されます。
人間科学専攻は心理学講座(認知心理学、認知科学、実験心理学)、行動科学講座(社会心理学、社会環境と行動、文化と心理など)、社会学講座(社会学理論、社会構造と社会変動、社会集団)、地域科学講座(地域社会学、人文地理学、社会生態学)の4講座で構成され、実験、コンピュータ・シミュレーション、社会調査、聞き取り調査、フィールドワークなど多様な方法論を用いて人間と社会を実証的に理解することを目的としています。アドミッションポリシーでは、両専攻とも「入学者選抜の基本方針」として、専門試験及び口述試験その他の結果並びに出願書類の内容によって選抜を行うと明記されており、専門試験には研究遂行に必要な語学力等の評価を含めることがあるという記載もあります。
人文学専攻と人間科学専攻は、それぞれ独立したカリキュラムを持つ一方で共通科目も開講しており、俯瞰的な視野から人間と社会をめぐる知を身につけられる構成になっています。人文学専攻の特徴として、北海道という土地の地域性を活かした「ここでしかできない学び」を掲げ、文献研究と現地調査を組み合わせた実践的アプローチが取られている点も、志望理由書や口述試験で言及しやすい要素です。人間科学専攻は科学的手法にもとづき、実験、実習、フィールドワークなど多彩な研究手法を学べる点が特色とされています。教育目標としては、全国屈指の多様な研究分野と豊富な教員スタッフを擁する学院として、徹底した少人数教育を通じて個別の研究分野を深く追究し、現代社会のさまざまな問題に専門的な視点で取り組める人材の育成が掲げられています。
文学院は人文学専攻16研究室・人間科学専攻4研究室の計20研究室から出願先を選ぶ制度のため、外部生は大学名の知名度だけで志望先を決めず、志望する研究室の専任教員の専門分野やこれまでの研究テーマが、自分の学習歴・問題意識と接続しているかを確認する作業が欠かせません。教員一覧は文学院の公式サイトで公開されており、各教員の研究分野や担当科目を個別に確認できます。院試全体の準備スケジュールや科目別対策の考え方をあらかじめ押さえておきたい場合は、大学院入試対策の完全ガイドで外部院試の全体像を確認したうえで、本記事の文学院固有の情報と組み合わせて計画を立てることをおすすめします。
実施専攻・募集人員・出願資格
2027年度文学院修士課程学生募集要項によると、募集人員は人文学専攻が前期・後期の合計で71名、人間科学専攻が19名、文学院全体で合計90名です。試験は前期(9月)と後期(1月末〜2月)の年2回実施され、志願者は前期・後期のいずれか、または両方を受験できます。募集人員はあくまで専攻単位で示されており、研究室ごとの人数は公表されていないため、志望研究室の合格者数の傾向は過去問閲覧時などに窓口で確認するほかありません。
出願資格は、大学卒業(見込み)者を基本としつつ、複数の区分に分かれています。募集要項に記載された内容を整理すると、次のとおりです。
| 区分 | 対象となる主なケース |
|---|---|
| 大学卒業(見込み) | 2027年3月までに卒業(見込み)の大学生。本学文学部出身者は成績・卒業証明書の提出が一部不要 |
| 学位授与機構による学士授与 | 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者、または授与見込みの者 |
| 外国の学校教育16年課程修了 | 外国での16年課程修了(見込み)者、通信教育による履修者、文部科学大臣が指定する国内教育施設での修了者を含む |
| 外国の大学等(修業年限3年以上) | 文部科学大臣が指定する外国の大学等で3年以上の課程を修了し、学士相当の学位を授与された者 |
| 専修学校専門課程 | 修業年限4年以上等の要件を満たし文部科学大臣が指定する専修学校専門課程を修了した者 |
| 文部科学大臣の指定した者 | 昭和28年文部省告示第5号に基づく者(旧大学令による大学等の卒業者を含む) |
| 飛び入学(在学3年以上等) | 2027年3月までに大学在学期間が3年以上となる者など。出願は後期試験のみで、個別の出願資格審査が必要 |
| 個別出願資格審査 | 大学卒業資格を持たない短大・高専・専修学校等の卒業者等で、本学院が大学卒業者と同等以上の学力があると認めた者(平成17年4月1日以前生まれ) |
飛び入学に該当する区分と個別出願資格審査の区分で出願する場合は、通常の出願書類とは別に受験資格審査願・推薦書・主要研究論文などを事前に提出し、審査を受ける必要があります。飛び入学の審査基準は、在籍大学の成績評価を優3点・良2点・可1点で加重平均した値が2.90を超えること(2年次修了時点で82単位以上修得していることが条件)と、主要研究論文が文学部4年次生の卒業論文に準じて「優」評価に相当することの両方を満たす必要があると募集要項に明記されています。個別出願資格審査の場合は、学習歴・実務経験等の年数と学校教育の年数を合算して16年以上になること、かつ志望研究室の学習・研究内容に関連する実績があることが基準です。提出期限は前期試験受験者が2026年6月12日、後期試験受験者が2026年11月6日までとされており、通常の出願期間よりかなり早い点に注意が必要です。
通常の出願で必要となる主な書類は、入学願書、受験票・写真票、成績証明書(コピー不可)、卒業(見込)証明書または学位授与証明書(コピー不可)、研究計画書、卒業論文またはそれに代わる研究論文のコピー、研究室別に定められた所定課題等です。写真は入学願書用1枚(縦4.5cm×横3.5cm)、受験票用・写真票用各1枚(縦4.0cm×横3.0cm)の計3枚が必要で、加工・修正を施した写真は本人確認ができないとして受験を認めないと注意書きがあります。大学に編入学している場合は編入学前の大学の成績証明書も併せて提出する必要があり、卒業論文がすでに修士論文相当の水準まで進んでいる場合は、卒業論文コピーに代えて修士論文コピーを提出できるという規定もあります。出願書類を整理すると、次のとおりです。
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| 入学願書 | インターネット出願サイトで作成し、A4判に印刷。写真1枚(縦4.5cm×横3.5cm)貼付 |
| 受験票・写真票 | 同サイトで作成、各A4判に印刷。写真各1枚(縦4.0cm×横3.0cm)貼付 |
| 成績証明書 | 出身大学発行、コピー不可。本学文学部既卒者は提出不要 |
| 卒業(見込)証明書または学位授与証明書 | 出身大学等発行、コピー不可。本学文学部出身者は提出不要 |
| 研究計画書 | A4判任意様式、3,000〜4,000字、氏名・志望理由・研究計画を記載 |
| 卒業論文等のコピー | ある場合は提出。修士論文がある場合は代替可。日本語・英語以外は要約添付 |
| 研究室別の所定課題等 | 研究室ごとに定める追加レポートや証明書等(次章で詳述) |
| (外国人留学生)推薦書・外国籍証明書・国費留学生証明書 | 推薦書は任意提出。パスポート等のコピーと該当者のみの証明書を追加 |
2026年度入試からは、修士課程の「外国人留学生特別入試」と「社会人特別入試」、博士後期課程の「社会人特別入試」が廃止され、外国人留学生・社会人ともに一般入試を受験する方式に一本化されています。文学院の説明では、これまでも多くの研究室で特別入試と一般入試が同一の試験問題を出題していたため、この変更による受験生の不利益はないとされています。ただし、外国人留学生については新たに推薦書(任意提出)、外国籍であることを証明する書類、国費外国人留学生証明書(該当者のみ)の提出が求められるようになりました。中華人民共和国の大学出身者は、CHSI(中国高等教育学生信息網)が発行する英語の証明書を、CHSIから文学院へ直接メールで送信させる形での提出が必要です。社会人については、長期履修制度と大学院設置基準第14条による教育方法の特例(勤務時間帯を考慮した授業時間の配慮)が引き続き利用できます。海外在住のまま出願する場合、検定料はインターネット出願サイトから海外からでも支払い可能で、受験票は原本を郵送する代わりにスキャンデータがメールでPDF送付される取り扱いです。この場合、受験票送付用封筒や切手の提出は不要になりますが、受験票の印刷は受験者自身で行う必要があるとよくある質問に明記されています。
試験科目|専門試験・外国語試験・研究計画書・口述試験
文学院修士課程の選抜方法は、専門試験及び口述試験その他の結果並びに出願書類を総合して合格者を決定する方式です。試験期日は前期・後期とも、専門試験が午前9時から午前11時まで、口述試験その他が午後1時30分以降(研究室によって開始・終了時刻が異なる)というのが基本の枠組みです。専門試験の科目名は研究室ごとに異なり、口述試験の中に外国語文献読解や英語での質疑応答が組み込まれる研究室もあります。試験会場はいずれも文学院(札幌市北区北10条西7丁目)で、当日の集合時刻・集合場所は受験票送付時に通知されます。
外国語試験が別枠で課される研究室
大半の研究室では独立した外国語筆記試験の時間割は設けられていませんが、一部の研究室では専門試験・口述試験とは別に外国語の試験時間が設定されています。西洋史学は午前11時30分から午後12時30分に外国語試験があり、英語・ドイツ語・フランス語のうちから研究に必要な言語を1つ選択し、辞書は持込可(電子辞書は不可)です。スラブ・ユーラシア学は口述試験に先立って午後1時30分から2時45分に外国語試験があり、英語2題・ロシア語2題の計4題から任意の2題を選んで日本語訳を行う形式で、辞書は持込可(電子辞書は不可)、その後15時15分から口述試験が続くため、拘束時間がほかの研究室より長くなる点にも留意が必要です。行動科学は午前11時30分から12時30分に英語文献読解等の試験が課されます。心理学研究室は英語の外部試験の成績証明書提出が必須で、TOEIC Listening&Reading Test、TOEFL iBT(Home Edition含む)、IELTS(アカデミック・モジュール)のいずれかを出願時に提出することが募集要項の研究室別提出物に定められています。欧米文学、映像・現代文化論の各研究室は、実用英語検定・TOEIC・TOEFL・仏検・露検などの外国語検定の成績証明書があれば任意で提出できるとされています。
研究室別の専門試験・口述試験その他の出題形式
募集要項の「選抜方法」の項目には、研究室ごとの専門試験科目と口述試験その他の出題形式が一覧化されています。論述形式問題や事項説明問題の設問数まで明記されている研究室と、口述試験の実施のみが記載され具体的な出題形式は明示されていない研究室が混在している点に注意してください。
| 研究室 | 専門試験の科目 | 口述試験その他・出題範囲 |
|---|---|---|
| 哲学倫理学 | 哲学、倫理学 | 口述13:30〜。論述(哲学・倫理学各1問、計2問から1問選択)、事項説明(10問から5問選択)、外国語文献読解(英独仏から1つ選択) |
| 宗教学インド哲学 | 宗教学、インド哲学及び仏教学 | 口述13:30〜(専門関連の外国語文章読解を求める場合あり、辞書不可)。論述(宗教学・インド哲学・仏教学各1問、計3問から1問選択)、事項説明(12問から4問選択) |
| 日本史学 | 日本史学 | 口述13:30〜。専門試験・口述試験の詳細な出題形式は募集要項に明示なし |
| 東洋史学 | 東洋史学 | 口述13:30〜(専門に関わる文献を読み質問に答えることを求める場合あり) |
| 西洋史学 | 西洋史学 | 外国語11:30〜12:30(英独仏から1つ選択)、口述13:30〜 |
| 考古学 | 考古学 | 口述13:30〜。専門試験・口述試験の詳細な出題形式は募集要項に明示なし |
| 文化人類学 | 文化人類学 | 口述13:30〜。専門試験・口述試験の詳細な出題形式は募集要項に明示なし |
| 芸術学 | 芸術理論、芸術史 | 口述13:30〜。論述(芸術理論・芸術史各1問、計2問から1問選択)、事項説明(10問から5問選択)、外国語文献読解(英語) |
| 博物館学 | 博物館研究、動物に関する歴史・文化研究 | 口述13:30〜。論述(2問から志望分野に応じて1問選択)、事項説明(10問から5問選択) |
| 欧米文学 | 英米・英語圏文学等から1分野選択 | 口述13:30〜。志望分野に応じて選択 |
| 日本古典文化論 | 国語・国文学 | 口述13:30〜。国語史・国文学史、古典(漢文含む)読解 |
| 中国文化論 | 中国思想、または中国文学及び中国語学 | 口述13:30〜(専門用語・文献の説明を求める場合あり) |
| 映像・現代文化論 | 映像・表象文化、または日本近現代文学・思想 | 口述13:30〜。主に志望分野に応じて選択 |
| 言語科学 | 言語学、国語学、日本語学、英語学等から1分野選択 | 口述13:30〜 |
| スラブ・ユーラシア学 | スラブ・ユーラシア社会論、文化論 | 外国語13:30〜14:45(英露計4題から2題選択・和訳)、口述15:15〜 |
| アイヌ・先住民学 | アイヌ・先住民学 | 口述13:30〜。論述(複数問題から1問選択) |
| 心理学 | 心理学(英語での解答を求める場合あり) | 口述13:30〜。英語外部試験の成績証明書提出が必須 |
| 行動科学 | 行動科学 | 英語文献読解等11:30〜12:30、口述13:30〜 |
| 社会学 | 社会学(英語での解答を求める場合あり) | 口述13:30〜(英語での質疑応答を含む場合あり) |
| 地域科学 | 人文地理学、社会生態学、地域社会学 | 口述13:30〜。3分野の問題から一定数を選択 |
この表を出題形式で大きく分類すると、①論述形式問題と事項説明問題が併存し設問数まで明記されている研究室(哲学倫理学、宗教学インド哲学、芸術学、博物館学)、②専門試験とは別に外国語筆記の時間が独立して設けられている研究室(西洋史学、スラブ・ユーラシア学、行動科学)、③英語外部試験のスコア提出が必須の研究室(心理学)、④口述試験その他のみが明記され専門試験の形式が公開情報からは判断できない研究室(日本史学、東洋史学、考古学、文化人類学など)の4タイプに整理できます。日本史学・東洋史学・考古学・文化人類学の各研究室は、募集要項の時点では専門試験の論述形式や設問数が具体的に開示されていません。これらの研究室を志望する場合は、募集要項の記載だけで対策を組み立てるのではなく、文学事務部教務担当窓口で閲覧できる過去問を確認し、実際の出題形式・答案量を把握する作業が欠かせません。事項説明問題の設問数(10問から5問、12問から4問など)からは、狭い範囲を深く学ぶだけでなく、分野全体の基礎用語を幅広く押さえておく必要があることも読み取れます。4つのタイプ別に募集要項から読み取れる準備の重心を整理すると、次のようになります。
| タイプ | 該当研究室(例) | 募集要項から読み取れる準備の重心 |
|---|---|---|
| 論述+事項説明+外国語文献読解型 | 哲学倫理学、宗教学インド哲学、芸術学、博物館学 | 1テーマを掘り下げる論述力と、分野全体の基礎用語を説明する力の両立 |
| 外国語筆記が独立して課される型 | 西洋史学、スラブ・ユーラシア学、行動科学 | 専門知識に加え、指定言語での読解・和訳・文献読解の速度と正確さ |
| 英語外部スコア提出必須型 | 心理学 | 専門知識と並行した英語外部試験対策、出願までのスコア確保の逆算 |
| 口述試験中心・専門試験の形式非公開型 | 日本史学、東洋史学、考古学、文化人類学、社会学、地域科学等 | アドミッションポリシーに沿った基礎知識と説明力、過去問の窓口閲覧による形式確認 |
人間科学専攻では、心理学と社会学が「英語での解答・質疑応答を求める場合がある」という条件付きの表記になっているのに対し、行動科学は英語文献読解等の試験時間が独立して設定されている点が異なります。地域科学は人文地理学・社会生態学・地域社会学という3分野の問題から一定数を選択する方式で、志望する研究テーマがどの分野に近いかによって、口述試験で重点的に説明すべき理論的背景が変わってきます。専門試験の科目名が研究室名と同一であっても、実際にはその研究室が扱う複数の下位分野のどこに重心を置くかで、準備すべき知識の幅が変わる点に注意してください。
研究計画書の書き方と研究室訪問の位置づけ
出願書類のうち、研究計画書はA4判の任意様式(クリップ止め)を用い、氏名を明記したうえで、本学院を志望する理由、入学後の研究計画及び修士修了後の抱負を合わせて3,000〜4,000字で記述するものと定められています。よくある質問では「原則として、日本語で記入ください」と案内されており、外国語での作成を想定していない点は事前に確認しておくべきポイントです。募集要項が求めている構成要素は、①氏名の明記②本学院を志望する理由③入学後の研究計画及び修士修了後の抱負の3点であり、これを土台に、これまでの学習歴でどこまで扱えたか、扱えなかった問題意識をどう文学院で発展させるか、志望研究室のどの教員・分野と接続するかを具体的に書き込んでいく組み立てが、募集要項の要求事項と整合します。
研究室によっては、研究計画書に加えて個別の提出物が定められています。哲学倫理学研究室は卒業論文(またはそれに代わる4,000字以上の研究論文か卒業論文の計画書)、宗教学インド哲学研究室は卒業論文または4,000字程度のレポート、文化人類学研究室は卒業論文があっても文化人類学に関わる2,000字程度のレポートの追加提出、芸術学・博物館学研究室は卒業論文または4,000字(以上)のレポートを求めています。中国文化論研究室は卒業論文がない場合に研究計画書内で研究内容の詳細を説明すること、言語科学研究室は研究計画書の末尾に志望分野と希望する指導教員を明記すること、スラブ・ユーラシア学研究室は卒業論文等がない場合に参考文献を示しながら研究内容の詳細を書くこと、アイヌ・先住民学研究室は研究計画書の末尾に参考文献リストを付すことが、それぞれ研究室別の連絡事項として明記されています。行動科学研究室と地域科学研究室は、口述試験その他の受験時に、提出した研究計画書の説明に必要な資料を持参するよう案内している点も見落としやすい実務ポイントです。研究室別の追加提出物を一覧にすると、次のとおりです。
| 研究室 | 研究計画書以外の追加提出物・留意事項 |
|---|---|
| 哲学倫理学 | 卒業論文、代替論文(4,000字以上)、または卒業論文計画書(4,000字以上) |
| 宗教学インド哲学 | 卒業論文、または修学したい分野の4,000字程度のレポート |
| 文化人類学 | 卒業論文提出の有無にかかわらず、文化人類学に関わる2,000字程度のレポート |
| 芸術学 | 芸術学に関する卒業論文、または4,000字程度のレポート |
| 博物館学 | 研究したい分野に関わる卒業論文、または4,000字以上のレポート |
| 欧米文学 | 外国語検定(英検・TOEIC・TOEFL・仏検・露検等)のスコアがあれば任意提出可 |
| 中国文化論 | 卒業論文がない場合、研究計画書に研究したい内容の詳細な説明を追記 |
| 映像・現代文化論 | 外国語(留学生は日本語)外部試験の成績証明書があれば必ず提出 |
| 言語科学 | 研究計画書末尾に志望分野の選択と希望指導教員を明記 |
| スラブ・ユーラシア学 | 卒業論文等がない場合、参考文献を示した詳細な研究計画書を提出 |
| アイヌ・先住民学 | 研究計画書末尾に参考文献リスト(字数に含めない)を付す |
| 心理学 | TOEIC・TOEFL iBT・IELTSいずれかの成績証明書が必須。心理学検定1級等は任意 |
| 行動科学 | 卒業論文等がない場合、4,000字程度のレポート。口述時に説明資料を持参 |
| 地域科学 | 地域科学分野の成果物があれば提出。口述時に説明資料を持参 |
卒業論文を必須としない大学・学部の出身者や、実務経験を経てから受験する社会人については、文学院のよくある質問で「その場合、卒業論文の提出は不要」と回答されています。その代わりに、多くの研究室が卒業論文に代わる4,000字程度のレポート提出を求めており、これまでの学習歴・実務経験の中で扱ってきたテーマを、志望研究室の専門分野に接続した形で言語化しておく準備が必要になります。研究計画書とこのレポートの内容が矛盾しないよう、両方の書類を通じて一貫した問題意識を提示することが望ましい書き方です。
研究計画書の構成としては、募集要項が求める3要素(氏名、志望理由、入学後の研究計画及び抱負)を軸に、①これまでの学習・研究の中でどのような問題意識を持つに至ったか、②その問題意識に関連する先行研究や既習内容をどこまで押さえているか、③文学院のどの研究室・教員のもとでどのような方法(文献研究、実験、フィールドワーク、資料読解等)で研究を進めたいか、④修士修了後にその研究をどう活かしたいか、という順序で組み立てると、志望理由と研究計画が分断されずに一本の論旨としてつながります。大学名や研究科名を繰り返すだけの一般的な志望動機ではなく、志望研究室の教員の研究内容や講座の特色(たとえば北海道の地域性を活かした現地調査、多言語資料の読解など)と、自分の研究テーマとの接続を具体的に書き込むことが、口述試験での説明にもそのままつながる準備になります。
指導教員への事前連絡について、文学院のよくある質問では「進路選択のミスマッチを防ぐためにも、指導を希望する教員に自分が研究したいテーマを伝え、出願までに相談しておくことをお勧めします」と案内されています。必須の手続きではありませんが、外部から受験する場合はカリキュラムやシラバスだけでは把握しにくい研究室の指導方針や研究環境を、事前のやり取りで確認できるという利点があります。教員の研究分野は文学院ウェブサイトの教員一覧や、毎年発行される「文学院案内」で確認できるとされています。研究室訪問やメールでの事前相談の具体的な依頼方法・文例を確認しておきたい場合は、研究室訪問のメール例文集もあわせて参考にしてください。研究計画書は、口述試験その他の場でその内容について質問される前提の書類であるため、書いた内容と口頭で説明できる内容を一致させておく準備が重要です。
まずは無料相談で、合格までの最短ルートを確認しませんか?
スプリング・オンライン家庭教師のプロ講師が、現在の学力・志望校・残り期間に合わせて、必要な対策を個別に整理します。
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- 今後の大学院入試の勝ち筋が見える。
- 志望校が決まっていなくてもOK
\ 合格がグッと近づく/
(費用は一切かかりません)
出願から合格発表までの日程・スケジュール
2027年度文学院修士課程の入試は、前期試験(9月)と後期試験(1月末)の年2回実施されます。出願は登録・検定料納入・書類提出という3つの手続きすべてが所定期間内に完了して初めて成立する点に注意が必要です。出願登録は「日本語」を選択して行う必要があり、「英語」からは出願登録ができないと募集要項に明記されています。
| 区分 | 前期試験 | 後期試験 |
|---|---|---|
| 進学説明会(オンライン) | 2026年6月19日(金) | 2026年11月13日(金) |
| 出願登録・検定料納入期間 | 2026年7月15日〜7月29日 | 2026年12月14日〜12月25日 |
| 出願書類提出期間 | 2026年7月31日〜8月7日 | 2027年1月4日〜1月8日 |
| 受験票発送 | 8月下旬 | 1月下旬 |
| 試験日 | 2026年9月28日(月) | 2027年1月30日(土) |
| 合格者発表 | 2026年10月9日(金)午後4時 | 2027年2月18日(木)午後4時 |
| 入学手続 | 3月上旬(詳細は合格通知送付時に案内) | |
出願書類の提出先は北海道大学文学事務部教務担当(〒060-0810 札幌市北区北10条西7丁目)で、持参の場合は午前9時から午後5時まで受け付け、郵送の場合は提出期間内必着です。郵送する場合は封筒の表に「大学院入学願書在中」と朱書きし、書留郵便とすることが指定されています。提出された出願書類は返却されないため、控えを手元に残しておくことをおすすめします。合格者発表は文学院公用掲示板への掲示とウェブサイトへの掲載に加え、受験者宛に合否を郵送(海外在住者はメール)で通知する方式で、電話での問い合わせには一切応じないとされています。通知の到着は国内宛でも5〜6日後になる場合があるため、発表日当日に結果を知りたい場合は掲示板とウェブサイトの確認が現実的です。
検定料は30,000円で、決済手数料500円が別途必要です。支払い方法はコンビニエンスストア、郵便局・銀行のATM、ネットバンキング、クレジットカード、中国銀聯ネット決済のいずれかから選択でき、郵便局・銀行の窓口での支払いはできません。既納の検定料は原則として返還されませんが、検定料を払い込んだのに出願しなかった場合や二重払いをした場合は例外的に返還対象になります。国費外国人留学生は検定料の納付が不要ですが、出願登録前に文学事務部教務担当宛にメールで連絡し、パスワードの通知を受ける手順が必要です。病気・負傷や障害等により受験・修学に特別な配慮を必要とする者は、前期試験受験者は2026年6月12日、後期試験受験者は2026年11月6日までに、文学事務部教務担当へ申し出ることとされています。
入学料は282,000円、授業料は年額535,800円(前期分267,900円)で、いずれも募集要項の時点での予定額であり、在学中に改定される場合があるとされています。社会人などフルタイムで就業しながら受験する場合は、長期履修制度を利用して標準修業年限2年より長い期間で計画的に履修することが可能です。長期履修の申請は後期出願と同じ期間(2027年1月4日〜1月8日)に行い、2月下旬に適用の可否が決定されます。申請には在職証明書や母子手帳、介護認定書など、長期履修を希望する理由を確認できる書類の添付が必要です。外国籍の出願者は、在留資格「留学」の取得に必要な在留資格認定証明書の申請から発行までに3か月以上かかる場合があること、安全保障輸出管理規程により研究内容によっては教育・研究に制限がかかる場合があることも、募集要項に注意事項として明記されています。
出願直前に見落としやすい実務項目を、募集要項・よくある質問の記載から整理すると次のとおりです。
- 出願登録・検定料納入・書類提出の3つがすべて期間内に完了して初めて出願成立となる
- 出願書類は返却されないため、提出前に控えを保存しておく
- 辞書・電子辞書の持込可否は外国語試験がある研究室ごとに異なる(電子辞書は不可のケースが多い)
- 合格発表は掲示板・ウェブサイト掲載が基本で、電話での合否問い合わせには応じない
- 受験票は前期が8月下旬、後期が1月下旬発送のため、到着が遅い場合は早めに問い合わせる
出願書類に記載した氏名・住所等の個人情報は、入学者選抜、合格者発表、入学手続、入学者選抜方法等における調査・研究、及びこれらに付随する業務にのみ利用され、合格者については入学後の教務・学生支援・就職支援・授業料等の業務にも利用されると募集要項に定められています。入学試験の成績等については、本人からの請求に基づき合格発表後の一定期間開示を受けられる制度もあり、開示内容・方法は受験票送付時に案内されます。遠方から受験する場合は、風雪害や台風等による交通機関の遅れを見込んで日程に余裕を持たせること、降雪・路面凍結に対応できる服装・履物を準備することも、募集要項の「その他」の項目で注意喚起されています。
倍率・難易度をどう読むか
文学院が公表している修士課程の出願状況によると、直近4年間の志願者数・合格者数・入学者数の推移は次のとおりです。志願者数を合格者数で割った単純な倍率とあわせて整理します。
| 入学年度 | 志願者数 | 合格者数 | 入学者数 | 志願者数÷合格者数 |
|---|---|---|---|---|
| 2023年度 | 252名 | 120名 | 100名 | 約2.10倍 |
| 2024年度 | 205名 | 106名 | 98名 | 約1.93倍 |
| 2025年度 | 217名 | 113名 | 95名 | 約1.92倍 |
| 2026年度 | 223名 | 118名 | 106名 | 約1.89倍 |
同じ資料では博士後期課程の出願状況もあわせて公表されており、2026年度入学は志願者67名・合格者47名・入学者45名(倍率約1.43倍)、2025年度は志願者56名・合格者32名・入学者31名(約1.75倍)、2024年度は志願者64名・合格者45名・入学者42名(約1.42倍)、2023年度は志願者53名・合格者37名・入学者37名(約1.43倍)となっています。修士課程は合格者数が志願者数のおおむね5割前後で推移し、博士後期課程はおおむね6〜7割で推移しており、両課程で合格率の水準が異なる点は見落とされがちです。ただし、この数値は前期・後期を合算した文学院全体の集計であり、研究室単位の倍率は公表されていません。
文学院のよくある質問(Q5「入試の倍率はどれくらいですか。他大学からの入学者はどれくらいいますか。」)でも、倍率に関する回答は「北海道大学概要」という冊子に掲載される志願者数・入学者数のデータを、学内出身者と学外出身者に分けて参照するよう案内するにとどまっており、研究室別・専攻別の詳細な競争率は開示されていない点に注意してください。学内・学外の内訳という視点があること自体は公式に案内されている一方、具体的な人数比率は本記事執筆時点で確認できる範囲の資料には示されていないため、外部からの合格実績を数値で断定することは避け、冊子や文学院への問い合わせで確認することをおすすめします。修士課程の合格者数は志願者数のおおむね5割前後で、他の主要大学の人文系大学院と比較して極端に狭き門というわけではありませんが、これは研究室ごとの募集人員が少数(多くの研究室で若干名)であることを踏まえたうえで読む必要がある数値です。同じ専攻の中でも人気の高い研究室とそうでない研究室では、実質的な競争率が大きく異なる可能性があるため、専攻単位の倍率だけで安心・楽観視しないことが実務的な姿勢です。
難易度を考えるうえでは志願者数の母数だけでなく、専門試験の科目負担、外国語試験の有無、研究計画書や卒業論文相当の書類の質、口述試験での説明力といった要素を合わせて確認することが実務的です。特に心理学研究室のように英語外部試験のスコア提出が必須の研究室では、専門知識の準備に加えて、出願までにTOEICやTOEFL iBT、IELTSのスコアを一定水準まで仕上げておく必要があり、準備期間の設計に直結します。文学系・人文系大学院を横断して難易度の傾向をつかんでおきたい場合は、大学院入試の難易度ランキングもあわせて確認すると、文学院固有の準備量がどの程度かを相対的に把握しやすくなります。
過去問の公開状況と出題予測・口述試験(面接)対策
文学院の過去の入学試験問題は、修士課程・一般入試の試験問題ページで公開されています。前期・一般入試は2026、2025、2024、2023、2021年度分、後期・一般入試は2026、2025、2024、2022、2020年度分が掲載されており、2022年度前期と2023年度後期はオンライン入試のため試験問題自体が作成されていません。著作権法上の理由でウェブサイトに掲載できない問題があるため、全ての問題を確認したい場合は文学事務部教務担当窓口へ来室する必要があり、過去5年分を閲覧できるとされています。郵送やメールでの送付には対応していない点も、事前に把握しておくべき実務上の制約です。募集要項には、翌年度5月に合否判定基準及び入学試験の出題意図、並びに志願者数・受験者数・合格者数・入学者数等の情報を公開すると記載されており、直近年度の試験を受けた先輩の出題傾向分析だけでなく、大学側が公開する出題意図にも目を通しておくと理解が深まります。
過去問がウェブサイトで確認できる研究室については、年度ごとの論述形式問題・事項説明問題の傾向を実際の設問文で確認できるため、募集要項の記載と突き合わせながら、頻出テーマや答案の分量感を把握する作業が有効です。一方、日本史学・東洋史学・考古学・文化人類学のように募集要項の一覧表に「口述試験」としか記載がない研究室については、募集要項だけから出題形式を断定することはできません。アドミッションポリシーが「専門分野における研究遂行に必要な基礎知識や表現力等の評価」を専門試験の評価軸として掲げていることから、当該分野の基礎的な知識と、それを論理立てて説明する記述力の両方が問われると考えるのが妥当ですが、この解釈はあくまで募集要項とアドミッションポリシーからの出題予測であり、確定的な出題範囲ではありません。断定を避け、窓口での過去問閲覧と組み合わせて確認することをおすすめします。
論述形式問題と事項説明問題の両方が明記されている哲学倫理学・宗教学インド哲学・芸術学・博物館学の各研究室では、論述形式問題が2〜3問の中から1問を選ぶ形式、事項説明問題が10〜12問の中から4〜5問を選ぶ形式という共通点があります。この構成からは、1つのテーマを深く論じる力と、分野全体の基礎用語を幅広く正確に説明する力の両方が同時に問われていることが読み取れ、参考書を1周しただけの状態では対応しにくい設計になっています。事項説明問題の対策としては、分野の基本用語・人物・概念を一問一答形式で整理し、単なる暗記ではなく、その用語が学説史や研究史のどこに位置づけられるかまで説明できる状態を目指す学習が有効です。
口述試験その他については、募集要項において「研究遂行に必要な論理的な思考力やコミュニケーション能力等を評価するが、研究遂行に必要な語学力等の評価も含むことがある」とアドミッションポリシーに明記されています。実務的には、志望理由、これまでの学習歴・卒業論文等の内容、研究計画書に記載した研究テーマ、入学後の研究の進め方、指導を希望する教員との関心の一致度合いなどが確認される場を想定して準備するのが妥当です。宗教学インド哲学・東洋史学・中国文化論の各研究室は、口述試験の中で専門に関わる外国語文献や用語の読解・説明を求める場合があると募集要項に明記されており、こうした研究室では口述試験自体が語学力の評価を兼ねる設計になっている点を踏まえて準備する必要があります。口述試験その他が何時ごろ終了するかは研究室ごとに異なり、よくある質問でも「帰路の交通機関の利用については、余裕をもって計画を立ててください」と案内されています。遠方から受験する場合は、この点も日程調整の材料に含めておくべきです。
面接・口述試験の準備では、回答を丸暗記するのではなく、①なぜ文学院のその研究室を志望するのか、②研究計画書に書いたテーマとこれまでの学習歴・卒業論文等がどうつながるのか、③入学後にどの方法で研究を進めるのか、④専門知識を自分の言葉でどこまで説明できるかという4つの軸を一貫させておくことが有効です。特に卒業論文等の提出が任意の研究室であっても、口述試験では研究の実績や問題意識の具体性を問われる可能性があるため、提出を選ばなかった場合でもその分野に関する説明力は事前に整理しておくことをおすすめします。言語科学研究室のように口述試験の中で分野の選択理由や希望する指導教員を明確に説明することが求められる研究室もあり、研究計画書に書いた内容と口頭説明を一致させる準備は、研究室ごとの提出物の指定を踏まえて個別に行う必要があります。
併願戦略と関連情報の確認先
文学院は前期(9月)・後期(1月末)の年2回受験機会があり、前期に不合格となった場合でも後期試験の受験は妨げられません。この年2回の受験機会は、他大学の人文・社会科学系大学院との併願を検討するうえでも重要な前提になります。併願先を検討する際は、出願期間・試験日・検定料の重複だけでなく、研究計画書に書く研究テーマが志望先ごとにどこまで流用できるかも確認しておくと、直前期の書類作成の負担を減らせます。文学研究科系統の他大学の外部院試の傾向を確認したい場合は、たとえば慶應義塾大学大学院文学研究科の外部院試のように、研究科ごとの出願資格・試験科目・研究計画書の要件を比較しておくと、文学院の制度との違い(飛び入学の扱い、研究室単位の出願方式など)が把握しやすくなります。
出願を検討する初期段階では、文学院が実施する進学説明会も有効な情報源です。オンラインで実施される説明会は、事前申込不要の全体説明会と、事前申込制の個別相談会の2部構成になっており、個別相談会では研究したいテーマが文学院で研究可能かなどを教員に直接相談できます。よくある質問では「参加の有無は、入学試験の合否にまったく関係がありません」としつつも、文学院の雰囲気を実感できる機会として参加を推奨しています。説明会の詳細は「大学院進学ポータル(文学院進学希望者向け情報)」ページで案内されるため、募集要項の公表(例年5月下旬)と合わせて定期的に確認しておくとよいでしょう。このポータルページには、文学院アドミッションポリシー、文学院募集要項、入試・説明会日程、修士課程及び博士後期課程の過去問題ページへのリンクがまとめられており、外部から出願を検討し始めた段階で最初に確認すべき情報が1か所に集約されています。2026年度からの入試制度変更(外国人留学生特別入試・社会人特別入試の廃止)の告知もこのポータル経由で発信されているため、出願区分に関する最新のお知らせを見落とさないよう、定期的な確認をおすすめします。
出願資格の該当区分、研究計画書の様式、研究室別の提出物、検定料の支払い方法など、実務的な手続きで迷った場合は、文学院公式サイトの「よくある質問(大学院入学試験)」に、共通の質問と留学希望者向けの質問がまとめられています。電話での問い合わせは月曜から金曜の8時30分から17時までに限られ(祝日及び12月28日から1月3日を除く)、やむを得ない場合を除き志願者本人が問い合わせを行うことが求められています。募集要項自体は例年5月下旬から文学院ウェブサイトに公表されるため、受験を検討し始めた段階でまず最新の募集要項の公表有無を確認する習慣をつけておくと安心です。
文学院は正規の大学院入試とは別に、研究生・聴講生の制度も設けています。研究生・聴講生は学位を取得する課程ではありませんが、正式に受験する前に志望研究室の教員のもとで研究に触れる機会として利用されるケースがあり、外部から文学院を目指す場合の選択肢の一つとして募集要項とは別に案内されています。研究生・聴講生としての在籍を検討する場合も、志望する分野の教員への事前相談が前提になる点は、修士課程の外部院試と共通しています。
研究計画書の完成度や口述試験での説明の一貫性に不安がある場合、独学だけで仕上げるよりも、早い段階で第三者に内容を確認してもらう方が、直前期の修正を減らせます。文学院のように研究室単位で出願資格審査や提出物の条件が細かく分かれている大学院を外部から受験する場合は、募集要項の読み違いや提出書類の準備漏れが致命的になりやすいため、出願資格の判定や研究計画書の方向性を専門的に相談したい場合は大学院入試対策コースで個別に整理することも選択肢になります。
よくある質問(FAQ)
文学院修士課程の募集人員は何名ですか。
2027年度文学院修士課程学生募集要項では、人文学専攻が前期・後期合計71名、人間科学専攻が19名、文学院全体で合計90名と示されています。研究室単位の募集人員は公表されていないため、志望研究室の実質的な採用人数を知りたい場合は窓口での確認が必要です。
出願はどの研究室にすればよいか決まっていない場合はどうすればよいですか。
文学院への出願は研究室を単位として行う方式のため、出願前に志望する研究室を1つ選ぶ必要があります。よくある質問では、指導を希望する教員に研究したいテーマを伝え、出願までに相談しておくことが推奨されており、教員一覧や文学院案内で各教員の専門分野を確認したうえで検討することが案内されています。
外国語の試験はすべての研究室で課されますか。
すべての研究室で独立した外国語筆記試験があるわけではありません。西洋史学とスラブ・ユーラシア学は外国語試験の時間が別枠で設定されており、行動科学は英語文献読解等の試験があります。心理学は英語外部試験(TOEIC・TOEFL iBT・IELTS)の成績証明書提出が必須で、他の研究室の多くは口述試験の中で語学力を確認する形式です。研究室ごとに扱いが異なるため、必ず募集要項の該当研究室の欄を確認してください。
研究計画書は必ず提出する必要がありますか。
研究計画書は出願書類として必須で、A4判任意様式で志望理由と入学後の研究計画・修了後の抱負を合わせて3,000〜4,000字で記述します。原則として日本語での記入が求められています。研究室によっては、研究計画書に加えて卒業論文や指定字数のレポートなど、追加の提出物が定められている場合があります。
倍率はどれくらいですか。
文学院全体の公表データでは、2026年度入学の修士課程で志願者223名に対し合格者118名、入学者106名で、志願者数を合格者数で割ると約1.89倍です。2023年度は約2.10倍、2024年度は約1.93倍、2025年度は約1.92倍と推移しています。ただし研究室別の倍率は公表されていないため、この数値は専攻・研究室ごとの実態を必ずしも反映しない点に注意してください。
社会人でも受験できますか。
2026年度入試から修士課程の社会人特別入試は廃止され、社会人も一般入試の枠組みで受験します。合格後は、長期履修制度や大学院設置基準第14条による教育方法の特例を利用でき、標準修業年限より長い期間での計画的な履修や、勤務条件・通学時間を考慮した授業時間の配慮を受けられる場合があります。
過去問はどこで確認できますか。
修士課程・一般入試の過去問は文学院公式サイトの試験問題ページで一部公開されています。著作権法上の理由で掲載できない問題があるため、全問題を確認したい場合は文学事務部教務担当窓口で過去5年分を閲覧する必要があり、郵送やメールでの送付は行われていません。
外国人留学生の出願で新たに必要になった書類はありますか。
2026年度入試から外国人留学生特別入試が廃止されたことにともない、一般入試で出願する外国人留学生には、推薦書(任意提出)、外国籍であることを証明する書類、国費外国人留学生証明書(該当者のみ)の提出が新たに求められています。中国の大学出身者はCHSIが発行する証明書を大学へ直接送信する形での提出が必要です。
まとめ|研究室単位の一次情報を積み上げて準備する
北海道大学大学院文学院の外部院試は、専攻単位の募集要項の中に、研究室ごとに異なる専門試験・外国語試験・口述試験その他の条件が組み込まれている点が最大の特徴です。2026年度からの特別入試廃止という制度変更も踏まえたうえで、志望する研究室の出願資格、提出物、試験科目、過去問の公開状況を個別に確認し、研究計画書の内容と口述試験での説明を一致させておくことが、合否を分ける実務的な準備になります。倍率や募集人員はあくまで専攻単位の参考値であり、最終的な判断材料は志望研究室の教員の専門分野と自分の研究テーマの接続度合いです。専門試験の出題形式、外国語試験や英語スコアの要否、研究計画書に付随する追加提出物は研究室ごとにすべて異なるため、他の研究室向けの対策情報をそのまま流用すると、準備の方向性がずれてしまう恐れがあります。出願前には必ず該当年度の最新の公式募集要項を確認し、不明点は文学事務部教務担当へ直接問い合わせることをおすすめします。
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