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北海道大学大学院 総合化学院の外部院試を徹底解説|出願資格・試験科目・研究計画書・面接対策まで

北海道大学大学院総合化学院は、大学院理学院化学専攻と、大学院工学研究科に置かれていた有機プロセス工学専攻・生物機能高分子専攻・物質化学専攻という化学系3専攻を改組・再編し、平成22年(2010年)4月に設置された大学院です。単一の総合化学専攻のもとに、修士課程(定員129名)と博士後期課程(定員38名)が置かれ、理学と工学の両分野から化学を学べる点が組織上の大きな特徴です。本記事では、令和9年度(2027年度)4月入学者及び令和8年度(2026年度)10月入学者向けの学生募集要項をもとに、出願資格・試験科目・研究計画書の扱い・研究室訪問・日程・倍率・過去問・口頭試問対策までを、総合化学院に固有の情報だけで整理します。募集要項は年度ごとに更新されるため、出願前には必ず総合化学院公式サイトで最新の内容をご確認ください。
総合化学院の外部院試でまず押さえておきたいのは、出願時点でA群(理学系)かB群(工学系)を選択し、以降は変更できないという科目区分の仕組みです。加えて、TOEFLまたはTOEIC(L&R)のスコア提出が必須で、入試当日に英語の筆記試験は行われません。この記事では、募集要項に明記された事実を根拠に、外部から受験する場合に押さえておくべき順序を解説していきます。
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北海道大学大学院総合化学院とは|総合化学専攻の概要と外部院試の位置づけ
総合化学専攻には、履修上の区分として分子化学コース・物質化学コース・生物化学コースの3コースがあります。加えて、2026年4月発行の募集要項によると、2027年4月から「計算科学×情報科学×実験科学」を融合した反応創成学を基盤とする化学反応創成学コース(仮称)が新設される予定であることが予告されています。2026年10月入学者はこの新コースを選択できないと明記されているため、入学時期によって選べるコースが異なる点は事前に確認しておく必要があります。
教育研究の実施体制は、総合化学院という名称から連想される単一組織にとどまりません。募集要項の記載によれば、大学院理学研究院、大学院工学研究院、電子科学研究所、遺伝子病制御研究所、触媒科学研究所、そして化学反応創成研究拠点(ICReDD)に所属する理学系・工学系の教員が連携して教育研究にあたっています。物質・材料研究機構(NIMS)、産業技術総合研究所(AIST)、理化学研究所に所属する研究者も連携分野教員として指導に加わっており、研究室ごとに所属組織が異なる点は、志望研究室を選ぶうえで確認しておきたいポイントです。
連携組織のうち化学反応創成研究拠点(ICReDD)は、文部科学省の世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)に採択され2018年10月に設置された研究拠点で、計算科学・情報科学・実験科学を融合した反応創成学を掲げています。2027年4月新設予定の化学反応創成学コース(仮称)はこのICReDD拠点の研究室を核として構成されるため、同コースを志望する場合は、総合化学院の募集要項だけでなくICReDD拠点そのものの研究活動もあわせて把握しておくと、口頭試問で研究計画を説明する際の具体性につながります。
指導教員及び研究内容一覧表を確認すると、分子化学コースに18、物質化学コースに17、生物化学コースに14の研究室(教育研究分野)が置かれ、化学反応創成学コース(仮称)にはこのコース専任の研究室に加えて、他コースの教員が兼務する連携枠が設けられています。研究室ごとに扱うテーマの粒度も幅があります。いくつか例を挙げると、次のとおりです。
| コース | 研究室(一例) | 研究内容の例 | 教員所属 |
|---|---|---|---|
| 分子化学コース | 量子化学 | 反応・電子・分光を柱とする「予測する」化学理論・プログラム開発、励起状態ダイナミクスの解明 | 理学研究院 |
| 分子化学コース | 物質変換 | 固体触媒の精密設計に基づく再生可能エネルギー利用と環境保全への応用 | 触媒科学研究所 |
| 物質化学コース | 情報化学 | インフォマティクスによる材料発見、AIによる材料・触媒開発の自動化 | 理学研究院 |
| 生物化学コース | 分子生命化学 | 能動輸送体をはじめとした膜輸送タンパク質の作動メカニズムの解明 | 理学研究院 |
| 生物化学コース | 分子生体防御 | 自然免疫系活性化機構の解析、感染防御・自己免疫・がんの病態解明 | 遺伝子病制御研究所 |
| 化学反応創成学コース(仮称) | 不斉触媒 | 計算化学・機械学習・自動合成装置を統合した不斉反応・触媒分子の解析・設計 | 化学反応創成研究拠点 |
| 化学反応創成学コース(仮称)(連携) | 理論化学(No.59) | 分子化学コースの理論化学(No.02)と同一内容を、連携講座の枠から履修 | 理学研究院(兼務) |
指導教員及び研究内容一覧表の注記を具体的に確認すると、修士課程の学生募集を行っていないのはNo.26・No.27・No.32〜No.35・No.45の研究室で、いずれも物質・材料研究機構(つくば)や理化学研究所(和光)に所属する客員教員が担当する研究室です。研究室によって修士課程の受け入れ有無が異なるため、志望研究室調査票を書く前に、必ず最新の一覧表で募集の有無を確認してください。この番号は年度ごとの一覧表改訂で変わる可能性があるため、出願年度の一覧表で改めて確認する習慣をつけておくと安心です。
アドミッション・ポリシーでは、修士課程で求める学生像として、化学または関連の諸領域における高度な専門知識を身に付け独創的な研究開発に挑戦する姿勢、国際化・科学技術の高度化・学際化に対応するための思考力・判断力・実務対応能力、主体性を持ち多様な人々と協働して学ぶ姿勢の3点が明記されています。入学前に学習しておくことが期待される内容としては、化学または関連の諸領域における大学学部卒業レベルの知識・能力が挙げられており、学部での学習内容と受験科目の対応を意識した準備が求められます。
同じアドミッション・ポリシーでは、博士後期課程で入学前に学習しておくことが期待される内容として「化学またはその関連の諸領域における大学院修士課程修了レベルの知識および研究能力」が挙げられており、修士課程の「大学学部卒業レベル」という基準より一段階高い水準が設定されています。修士課程から博士後期課程への進学を将来的に見据えている場合、この記述の違いは、修士課程在学中にどこまで研究能力を伸ばしておく必要があるかを考えるうえでの手がかりになります。
外部院試という言葉は、出身大学と異なる大学院を受験することを指しますが、総合化学院の一般選抜そのものは内部・外部を区別する制度ではありません。募集要項に定められた出願資格を満たしていれば、北海道大学以外の大学・高等専門学校・専修学校等の出身者も同じ試験制度のもとで受験できます。外部から受験する場合は学内で得られる情報に触れる機会が少ないぶん、公式サイトや募集要項に添付された研究内容一覧を自分で読み込み、情報の差を埋めていく作業が欠かせません。
2027年4月新設予定の化学反応創成学コース(仮称)は、指導教員及び研究内容一覧表のうえで「化学反応創成学講座(仮称)」「化学反応共創デザイン学講座(仮称)」「化学反応創成学連携講座(仮称)」という3つの講座に分かれています。連携講座には既存3コースの教員が兼務のかたちで名を連ねており、量子化学・理論化学・反応有機化学・情報化学・固体反応化学・高分子化学など、既存3コースの研究内容と重なる分野が新コースからも履修できる設計になっています。一覧表の注記では、分子化学コースに掲載されている研究室「化学反応創成」(No.10)は2027年4月入学者が選択できず、逆に化学反応創成学コース(仮称)の研究室(No.50〜No.69)は2026年10月入学者が選択できないとされています。同じ研究内容でも入学時期によって所属コースの表記が変わるため、化学反応創成研究拠点(ICReDD)に関心がある場合は、自分の入学時期でどちらのコース・研究室番号から出願することになるのかを、一覧表の注記まで確認しておく必要があります。
実施専攻・募集人員・出願資格|TOEIC・TOEFLスコアの扱いまで
総合化学院の一般選抜(修士課程)における実施専攻は総合化学専攻のみで、募集人員は129名です。この129名はコース別に割り振られた人数ではなく、専攻全体としての定員である点に注意してください。コース別の内訳は公表されていないため、志望コースだけの倍率を個別に算出することはできません。
| 課程 | 実施専攻 | 募集人員 |
|---|---|---|
| 修士課程 | 総合化学専攻(分子化学・物質化学・生物化学の3コース、2027年4月から化学反応創成学コース(仮称)を追加予定) | 129名 |
| 博士後期課程 | 総合化学専攻 | 38名 |
出願資格は、2027年4月入学者を基準にすると10通りに整理されています。最も一般的なのは日本の大学を卒業した者、または2027年3月までに卒業見込みの者という条件ですが、学位授与機構による学士取得者、外国において16年の学校教育課程を修了した者、大学に3年以上在学し優れた成績で所定の単位を修得したいわゆる「飛び級」による志願者、本学院が個別に行う出願資格審査によって大学卒業者と同等以上の学力があると認められた者(2027年3月31日までに22歳に達する者)など、多様な経歴の受験者を想定した規定が置かれています。
| 出願資格区分 | 主な対象 | 予備審査の要否 |
|---|---|---|
| 大学卒業(見込) | 日本の大学を卒業した者、2027年3月までに卒業見込みの者 | 不要 |
| 学位授与機構による学士 | 学校教育法第104条第7項の規定により学士の学位を授与された(見込みの)者 | 不要 |
| 外国の学校教育課程出身者 | 外国で16年の学校教育課程を修了した(見込みの)者、通信教育による修了者を含む | 不要 |
| 専修学校の専門課程修了者 | 修業年限4年以上で文部科学大臣が指定する専門課程を修了した(見込みの)者 | 必要 |
| 在学期間短縮による志願者(飛び級) | 大学に3年以上在学し、所定の単位を優れた成績で修得したと認められた者 | 必要 |
| 個別の資格審査による志願者 | 本学院の個別審査で大学卒業者と同等以上の学力があると認められた者(2027年3月31日までに22歳到達) | 必要 |
出願資格予備審査が必要な志願者は、2026年5月22日(金)午前9時から5月27日(水)午後5時までの間に、出願資格予備審査申請書・履歴書等の所定書類を、窓口持参または書留郵便による郵送(期間内必着)で総合化学院事務室に提出します。審査結果は2026年6月中旬頃に通知される予定です。出願資格に少しでも不安がある場合は、自己判断で進めず、早い段階で総合化学院事務室(c-sougou@cse.hokudai.ac.jp)に問い合わせておくと安心です。
募集要項には、募集人員の項目に付記するかたちで「第1希望の研究室の教員と必ず出願前に連絡をとり、研究内容などについて十分に確認すること」という注記が置かれています。出願前の教員コンタクトが前提になっている点は、総合化学院を志望するうえで早い段階から意識しておく必要があります。研究室訪問や事前連絡の進め方については、後述する第4章で詳しく整理します。
語学要件については、入試当日に英語の筆記試験を実施せず、TOEFLまたはTOEIC(L&R)のスコアシートを出願書類として提出する方式が採られています。提出できるのは2024年4月以降に受験したスコアに限られ、受験時期によって提出方法が異なります。2024年4月1日から2026年1月20日までに受験したTOEFLは、米国ETSから受験者宛に送付されるTest Taker Score Report(受験者用控えスコア票)を提出し、TOEFL Access上で指定コード「C327」を選択してスコアを直送する手配が2026年1月21日以降の受験分では必要です。TOEIC L&Rは公式認定証またはデジタル公式認定証を印刷したものを提出します。TOEFL ITP・TOEIC IP・TOEIC Bridge等は無効とされているため、どの試験区分で受験するかを早めに確認しておくべきです。複数のスコアを提出した場合は、最も良いスコアが得点として採用されます。なお、スコアシート原本は切り離さずA4サイズのまま提出することとされており、原本は受験日以降に返却されます。
国内外の大学で英語による教育を受けた者については、その旨を証明するMedium of Instruction certificate等を提出することで、英語スコアシートの提出が免除される場合があります。該当する可能性がある場合は事前に総合化学院事務室へ問い合わせるよう募集要項に明記されています。
出願手続きは、①インターネット出願サイトでの登録、②検定料の納入、③出願書類の郵送提出という3つの工程すべてが指定期間内に完了して初めて受け付けられます。インターネット出願登録と検定料納入は2026年6月8日(月)午前10時から6月19日(金)午後5時まで、出願書類の提出期間は2026年6月15日(月)から6月19日(金)までで、郵送の場合は6月19日消印有効、窓口での受付は行われません。検定料は30,000円で、決済手数料500円が別途必要です。支払い方法はコンビニエンスストア、郵便局・銀行のATM、ネットバンキング、クレジットカード、中国銀聯ネット決済のいずれかから選び、郵便局・銀行の窓口での支払いはできません。
検定料の支払いが完了すると、インターネット出願サイトから入学願書・履歴書・受験票・写真票・英語スコア提出票・志望研究室調査票の様式をPDFでダウンロードできるようになります。これらの様式はいずれも両面印刷が禁止されており、片面印刷のうえ所定欄に記入・署名し、ダウンロードしたPDFの最終ページに添付されている郵送用宛名ラベルとあわせて郵送する仕組みです。検定料の納入が済んでいないと様式そのものをダウンロードできないため、6月8日の登録開始と同時に検定料を納めておくと、その後の書類準備に充てられる時間を長く確保できます。
| 提出書類 | 備考 |
|---|---|
| 入学願書・履歴書・受験票・写真票 | 所定用紙。インターネット出願サイトからダウンロードして印刷 |
| 受入教員の推薦書 | 様式任意。外国人留学生(出願資格(1)を除く)のみ必須 |
| 出身(在学)大学の学業成績証明書 | 高等専門学校出身(見込)者は本科・専攻科の証明書 |
| 卒業(見込)・修了(見込)証明書 | 本学理学部・工学部出身(見込)者・在学者は提出不要 |
| 英語スコア提出票及びTOEFL/TOEICスコアシート | 2024年4月以降に受験したもの(原本) |
| 受験票送付用封筒 | 長形3号、410円切手貼付。国外居住者は不要 |
| 合否通知用封筒 | 角形2号、切手不要。国外居住者は不要 |
| 志望研究室調査票 | 所定用紙。第五希望まで研究室を記入 |
| 最終出身大学の指導教員の推薦書 | 様式任意。在学期間短縮による志願者・外国人留学生は必須 |
| 出願資格予備審査結果通知用封筒 | 長形3号、110円切手貼付。予備審査申請者のみ必須 |
出願書類のうち、成績証明書や推薦書は発行までに数週間を要する場合があります。出願書類の提出期間は実質5日間しかないため、証明書の請求は出願資格予備審査の要否にかかわらず早めに動き始めることをおすすめします。
個別の資格審査による志願者(出願資格区分10)は、表に挙げた書類に加えて「大学を卒業した者と同等以上の学力があることを証明できる書類」の提出が必要です。国際的活動経験・実務経験・語学習得状況等を記載した書面や研究論文、特許公報、各種資格取得証明書、関係教員の推薦書(様式自由)などが該当し、通常の出願資格区分より提出書類が一段階多くなる点は、この区分で受験する場合にあらかじめ把握しておく必要があります。
受験票送付用封筒・合否通知用封筒は、市販の封筒に切手を貼るだけでは受け付けられません。募集要項では、総合化学院のホームページから「受験票送付用宛先ラベル」「合否通知用宛先ラベル」をそれぞれダウンロードしてカラー印刷し、郵便番号・住所・氏名を明記したうえで封筒に貼り付けることが指定されています。受験票送付用は長形3号に410円切手、合否通知用は角形2号で切手不要という組み合わせも決まっているため、市販の返信用封筒テンプレートをそのまま使うと様式が合わない可能性があります。出願後に転居等で送付先が変わった場合は、自己判断で郵便局の転送サービスに頼らず、総合化学院事務室へ連絡するよう案内されています。
検定料は、いったん納入すると原則として返還されません。募集要項が返還に応じるとしているのは、検定料を払い込んだが出願書類を提出しなかった(または出願が受理されなかった)場合、検定料を誤って二重に払い込んだ場合、検定料の納付を要しない者が誤って払い込んだ場合の3つのケースに限られます。併願を検討していて出願を見送る可能性がある場合でも、検定料の納入自体は出願手続きの一部であるため、納入前に受験するかどうかを決めておくと、あとから返還可否で迷わずに済みます。
外国籍の出願者については、募集要項の末尾に「外国籍の出願者への留意事項」という項目が設けられています。在留資格認定証明書は申請から発行まで3か月以上かかる場合があると明記されているほか、外国為替及び外国貿易法に基づく北海道大学安全保障輸出管理規程により、貨物の輸出や技術提供(人の受入を含む)について審査が行われ、規制事項に該当すると希望する教育・研究に制限がかかる場合があるとされています。外国籍で総合化学院を外部から受験する場合は、この2点を出願準備の早い段階からスケジュールに組み込んでおく必要があります。
試験科目|総合基礎科目・専門基礎科目・専門科目・口頭試問
総合化学院の一般選抜における学科試験は、総合基礎科目・専門基礎科目・専門科目からなる筆答試験と、口頭試問の2段階で構成されます。出願時にA群(理学系)かB群(工学系)のいずれかを選択し、以降は科目区分を変更できません。選択した科目群に応じて、専門基礎科目・専門科目とも出題される科目の顔ぶれが大きく異なるため、どちらの群で受験するかは、これまでの学習内容と志望研究室の専門分野を踏まえて早めに決めておく必要があります。
試験当日の時間割は、2026年8月5日(水)9時30分から12時までが総合基礎科目・専門基礎科目、13時30分から16時までが専門科目の筆答試験、翌8月6日(木)の9時または13時からが口頭試問という構成です。口頭試問の具体的な時間・試験室は受験票の送付時に通知されるため、両日とも一日を通して予定を空けておく必要があります。
総合基礎科目は「総合基礎化学」という科目名で必須とされ、A群・B群の区別なく同じ試験問題が課されます。募集要項では、この科目を「化学の素養を問う一般問題」と説明しており、専門分野を問わず化学の基礎的な理解を確認する内容であることがうかがえます。
| 科目区分 | 専門基礎科目 | 選択方法 |
|---|---|---|
| A群(理学系) | 基礎物理化学・基礎有機化学・基礎無機化学・基礎分析化学・基礎生物化学・基礎分子生物学 | 6科目から4科目を選択 |
| B群(工学系) | 化学工学基礎・熱力学/反応速度論・応用分析化学・応用有機化学・生化学 | 5科目から2科目を選択 |
専門基礎科目の選択方法を見ると、A群は6科目中4科目、B群は5科目中2科目という選択幅の違いがあります。A群のほうが選択できる科目数が多いぶん出題範囲を広くカバーする必要がある一方、苦手科目を外して受験しやすいという側面もあります。
| 科目区分 | 専門科目 | 選択方法 |
|---|---|---|
| A群(理学系) | 物理化学1・物理化学2・有機化学1・有機化学2・無機化学・分析化学・生物化学・分子生物学 | 8科目から4科目を選択 |
| B群(工学系) | 化学工学・有機合成化学・量子化学・高分子化学・無機材料化学・分子生物工学 | 6科目から2科目を選択 |
専門科目もA群・B群で科目構成が異なります。A群は物理化学・有機化学がそれぞれ1・2の2段階に分かれているのに対し、B群は化学工学や高分子化学、無機材料化学といった工学的な応用分野の科目が並びます。A群とB群のどちらを選ぶかによって、専門基礎科目・専門科目を通じて対策すべき単元がまとまって変わるため、コース(分子化学・物質化学・生物化学)の志望と科目区分の相性を早い段階で確認しておくとよいでしょう。
選抜方法について募集要項は「学科試験(筆答試験及び口頭試問)、TOEFL又はTOEICの得点、成績証明書等を総合して合格者を決定する」と定めています。筆答試験の点数だけで合否が決まるわけではなく、英語スコアや成績証明書の内容も合わせて総合的に判断される仕組みです。加えて、学業成績が優秀な者や、企業等における研究開発等の業績が顕著な人物については、筆答試験が免除される場合があると明記されています。免除の対象となる場合は2026年7月中旬に通知されるとされており、該当しそうな経歴がある場合は出願前に総合化学院事務室へ相談しておくとよいでしょう。
口頭試問については、「これまでの研究概要および修士課程入学後の研究計画を中心に、質疑応答を行う」と選抜方法の項目に明記されています。口頭試問は単なる面接ではなく、学部での卒業研究や実験・演習の内容、そして総合化学院入学後にどのようなテーマで研究を進めたいかを、専門知識に基づいて説明する場と位置づけられます。次章で扱う研究計画書・研究室訪問の準備が、この口頭試問の出来を大きく左右します。
選択できる科目の組み合わせの幅を単純に数えてみると、専門基礎科目はA群が6科目から4科目を選ぶ組み合わせ、B群が5科目から2科目を選ぶ組み合わせ、専門科目はA群が8科目から4科目、B群が6科目から2科目を選ぶ組み合わせになります。A群のほうが選べる科目の組み合わせ自体は多くなりますが、その分、専門基礎科目・専門科目とも4科目ずつ得点源を確保する必要があるため、単純にB群のほうが負担が軽いとは言い切れません。B群は選択科目数が少ない代わりに、選んだ2科目ずつをより深く仕上げておく必要があると考えられます。
科目区分の選択は、募集要項上は出願時点で一度決めたら変更できない仕組みになっています。A群・B群の決定と志望研究室選びは切り離せません。分子化学コースや物質化学コースの中にも理学研究院所属の研究室と工学研究院所属の研究室が混在しているため、コース名だけでA群・B群を決めるのではなく、志望する研究室がどちらの群の教員と関わりが深いかを、指導教員及び研究内容一覧表の「教員所属」欄まで見て判断することをおすすめします。
研究計画書は必要か|志望研究室調査票と受入教員への事前連絡
総合化学院の一般選抜における出願書類一覧を確認すると、いわゆる「研究計画書」という独立した提出書類は指定されていません。その代わりに求められているのが志望研究室調査票で、募集要項に添付された「指導教員及び研究内容一覧表」を参照しながら、志望する研究室を第五希望まで記入する所定様式です。研究計画そのものを文章化して提出する義務はないものの、口頭試問では研究概要・研究計画について直接問われるため、実質的な準備の重さは変わりません。
指導教員及び研究内容一覧表には、研究室ごとの教員(教授・准教授・助教等)の氏名、教員所属(理学研究院・工学研究院・電子科学研究所・遺伝子病制御研究所・触媒科学研究所・化学反応創成研究拠点など)、研究内容の概要が一覧化されています。志望研究室調査票を記入する前提として、この一覧表を読み込み、自分の関心とどの研究室の内容が近いのかを具体的に把握しておく必要があります。一覧表の注記には、一部の研究室で2027年4月入学者または2026年10月入学者が選択できないケースや、客員教員が担当する研究室のうち修士課程の学生募集自体を行っていない研究室があることも明記されているため、志望研究室が実際に募集対象かどうかは必ず最新の一覧表で確認してください。
募集要項の募集人員の項目には、「第1希望の研究室の教員と必ず出願前に連絡をとり、研究内容などについて十分に確認すること」という注記が置かれています。これは努力目標ではなく募集要項本文の指示であり、総合化学院を外部から受験する場合は、出願前に第1希望の研究室の教員へ連絡を取ることが前提になっていると理解しておく必要があります。連絡の際は、自分の学習歴・研究関心・志望理由を簡潔にまとめたうえで、研究室で受け入れ可能な人数や研究テーマの方向性について確認するとよいでしょう。
外国人留学生入試では、この事前連絡がさらに明確な出願資格の一部として位置づけられています。募集要項では、外国人留学生入試の出願資格そのものが「入学後に、主任として研究指導を受けることを希望する本学院担当専任教員(受入教員)の推薦により能力・学力があると保証された者」と定義されており、受入教員の推薦書がなければ出願自体が成立しません。一般選抜であっても受入教員の推薦書は様式任意で提出できる書類として用意されており、教員との事前のやり取りが評価に無関係とは言い切れない点は意識しておくべきでしょう。
口頭試問で問われる「これまでの研究概要」と「修士課程入学後の研究計画」を一貫して説明するためには、正式な提出書類がない場合でも、自分の言葉で研究計画を文章化しておくことが実務的には欠かせません。具体的には、学部での卒業研究や履修科目で扱ったテーマ、そのテーマに対する問題意識、志望する研究室で学びたい内容、修士課程で目指す研究の方向性を、A群・B群で選択した専門科目の知識と結びつけながら整理しておくと、口頭試問での受け答えに一貫性が生まれます。研究室訪問や教員とのメールのやり取りで得た情報も、この文章に反映させておくと、口頭試問で「その研究室の何を見て志望したいのか」を問われた際に具体的に答えられます。研究室訪問の連絡や依頼メールの書き方に迷う場合は、研究室訪問のメール例文集|依頼から御礼まで・失礼にならない書き方を徹底解説も参考にしてください。
志望研究室調査票に第五希望まで記入する仕組みは、第1希望の研究室だけを見て出願準備を進めると、想定外の配属になったときに対応が難しくなることを意味します。第2希望以降も一言で説明できる程度に理解しておくことが、口頭試問で第1希望以外の研究室について聞かれた場合の備えになります。特に、化学反応創成学コース(仮称)のように2027年4月から教員体制が具体化していく分野を志望する場合は、募集要項の発行時点で「担当予定教員」「着任予定」といった表記が残っている研究室もあるため、出願直前まで指導教員及び研究内容一覧表の最新版を確認しておく必要があります。
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出願から合格発表までのスケジュール
総合化学院の一般選抜(2027年4月・2026年10月入学者向け)は、出願資格予備審査、インターネット出願、書類提出、筆答試験・口頭試問、合格発表という流れで進みます。それぞれの期間はいずれも短く設定されているため、募集要項が公開された時点で全体のスケジュールを一度確認しておくことをおすすめします。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年5月22日(金)9:00〜5月27日(水)17:00 | 出願資格予備審査申請期間(該当者のみ) |
| 2026年6月中旬頃 | 出願資格予備審査の結果通知発送 |
| 2026年6月8日(月)10:00〜6月19日(金)17:00 | インターネット出願登録・検定料納入期間 |
| 2026年6月15日(月)〜6月19日(金)(消印有効) | 出願書類の郵送提出期間(書留郵便、窓口受付なし) |
| 2026年7月中旬頃 | 受験票の送付、筆答試験免除者への通知 |
| 2026年8月5日(水)9:30〜12:00 | 筆答試験(総合基礎科目・専門基礎科目) |
| 2026年8月5日(水)13:30〜16:00 | 筆答試験(専門科目) |
| 2026年8月6日(木)9:00〜または13:00〜 | 口頭試問(詳細は受験票送付時に通知) |
| 2026年9月4日(金)10:00頃 | 合格発表(工学部玄関ロビー掲示・総合化学院ホームページ掲載) |
出願資格予備審査が必要になるのは、専修学校の専門課程を修了した志願者、在学期間短縮による志願者(飛び級)、個別の資格審査による志願者の3区分に限られます。通常の大学卒業(見込)者はこの予備審査を経る必要がないため、5月末の期限を意識しすぎる必要はありませんが、自分がどの出願資格区分に該当するかを早めに確認しておくことは変わらず重要です。
インターネット出願登録から出願書類の提出までは、実質2週間程度しかありません。検定料の納入が完了していないと入学願書等の様式をダウンロードできない仕組みになっているため、まずは6月8日の登録開始と同時に手続きを進め、書類の記入・証明書の準備を並行して行う必要があります。出願書類は書留郵便による郵送に限られ、6月19日の消印が最終期限、大学窓口での受付は行われません。
合格発表は、受験番号が北海道大学工学部玄関ロビーに掲示されるとともに、総合化学院のホームページにも掲載され、受験者全員に合否が通知されます。電話での合否問い合わせには一切応じないと明記されているため、遠方から受験する場合は掲示当日に現地へ行くか、ホームページでの掲載を確認する準備をしておく必要があります。
合格後の入学手続きについては、合格通知の際にあわせて連絡されます。入学料は282,000円、2027年度前期分の授業料は267,900円(年額535,800円、いずれも予定額)とされており、入学時や在学中に学生納付金の改定が行われた場合は改定後の金額が適用される点に注意が必要です。入学手続期間内に入学料を納めなければ、入学の意思がないものとして扱われるため、手続き期限は入学案内が届いた時点で必ずカレンダーに反映しておきましょう。授業料が未納の場合は除籍となりますが、経済的理由により納入が困難な場合は徴収を減免(猶予)する制度があります。
職業に就いている、育児・介護を担っている、障害により修学に重大な影響があるといった事情がある場合は、標準修業年限(2年)を超えて計画的に履修する長期履修制度を利用できます。長期履修の申請は原則として入学願書提出時に行う必要があり、修士課程では4年以内で年単位の申請が可能です。長期履修が認められた場合の授業料は、標準修業年限に納入すべき額(年額×2年)を認定された年数で割った額が年額になる仕組みで、社会人として総合化学院を受験する場合は、この制度の利用可否もあわせて出願前に検討しておくとよいでしょう。
注意事項の項目には、総合化学院が原則として二重学籍を認めていないことや、出願書類の記載内容が事実と相違する場合は入学を取り消すことがある旨が明記されています。既に他の大学院に在学している状態で出願する場合は、この二重学籍の扱いについて事前に確認しておく必要があります。加えて、身体等に障害があり受験上・修学上の配慮が必要な場合は、2026年6月19日(金)までに総合化学院事務室へ申し出るよう案内されており、出願書類の提出期限と同じ日が申し出の期限になっている点も見落とさないようにしてください。
倍率・難易度をどう見るか|公式データから読み解く
総合化学院は、入試のたびに志願者数÷合格者数という形式の倍率を公表しているわけではありません。ただし、総合化学院が発行しているAnnual Reportには、年度ごとの志願者数・入学者数の実績が掲載されており、この数字から大まかな規模感をつかむことができます。
「Annual Report 2023」に掲載された修士課程(博士前期課程)の実績によれば、入学定員129名に対し、令和5年度(2023年10月1日現在)の志願者数は179名、入学者数は148名でした。志願者数を入学者数で割ると約1.21倍となりますが、これは一般的な「志願者数÷合格者数」の倍率とは定義が異なる点に注意してください。入学者数は合格者のうち実際に入学した人数であり、他大学院との併願や進路変更によって入学を辞退した合格者は反映されていません。この数字はあくまで規模感をつかむための参考値として捉えるべきです。
同じAnnual Reportによると、平成22年度の設置以降、修士課程の志願者数(計)はおおむね170名から193名の範囲で推移し、入学者数(計)は144名から164名程度で推移してきました。入学定員129名を上回る入学者数となる年度が多いことも読み取れ、総合化学院が定員に対して一定の余裕を持った運用をしていることがうかがえます。博士後期課程(定員38名)についても、令和5年度は志願者数47名・入学者数39名という実績が示されています。
年度による変動幅を見ると、修士課程の志願者数(計)は平成22年度から令和5年度までの14年間で平成30年度の193名が最も多く、令和2年度は176名まで落ち込み、令和3年度以降は175名から186名の間で推移しています。10年以上のスパンで見ても志願者数が大きく減少し続けているわけではないことがうかがえますが、単年度の数字の上下だけで難易度を判断するのではなく、複数年度の推移として捉えることが実態に近い理解につながります。博士後期課程は志願者数・入学者数とも修士課程に比べて年度ごとの振れ幅が大きく、平成30年度は志願者数42名・入学者数38名、令和2年度は志願者数68名・入学者数56名という記録もあり、修士課程からの内部進学者数の変動が影響していると考えられます。
博士後期課程には、一般選抜に加えて社会人入試、外国人留学生入試、そして国際先端物質科学大学院(AGS)プログラム入試という複数の選抜区分が設けられています。修士課程からそのまま内部進学するケースだけでなく、社会人として博士後期課程から総合化学院に入る志願者やAGSプログラム経由の志願者もAnnual Reportの志願者数・入学者数に含まれるため、単純に修士課程からの内部進学率だけで博士後期課程の倍率を推測することはできません。
難易度を数字だけで語るのが難しい以上、実際に受験を検討する際は、募集人員・試験科目・提出書類・口頭試問の内容を合わせて確認することが欠かせません。A群とB群で選択できる科目数が異なることは前章で触れたとおりですが、これに加えて、英語スコアの基準(TOEFL・TOEICとも具体的な合格基準点は募集要項に明記されていません)、口頭試問で研究計画をどこまで具体的に説明できるかが、体感的な難易度を大きく左右します。
| 難易度を左右する要素 | 確認しておきたいこと |
|---|---|
| 科目区分(A群/B群) | 専門基礎科目・専門科目とも選択できる科目数と内容が異なる |
| 英語スコア | TOEFL・TOEICとも具体的な合格基準点は募集要項に明記されていない |
| 受入教員との事前連絡 | 第1希望研究室の教員と出願前に連絡を取ることが前提とされている |
| 口頭試問 | 研究概要・入学後の研究計画についての質疑応答が中心 |
| 筆答試験免除の可能性 | 学業成績優秀者・研究開発業績が顕著な者は免除される場合がある |
倍率や難易度の数字を見て一喜一憂するよりも、自分が選ぶ科目区分・志望研究室・英語スコアの現状を具体的に把握し、足りない部分から準備を進めるほうが、総合化学院の入試制度には合った考え方だといえます。大学院入試全体の中で北海道大学大学院総合化学院の位置づけを相対的に把握したい場合は、大学院入試の難易度ランキング|大学・研究科別の傾向と外部生が受かりやすい狙い目もあわせてご覧ください。
公表されている情報の性質上、総合化学院の難易度は、募集人員・出願資格・試験科目という「入り口の条件」と、研究室ごとの受け入れ状況という「出口に近い条件」の両方を見ないと正しく把握できません。募集人員129名という数字だけを見て「広き門」と判断するのは早計で、志望する研究室が実際に修士課程の学生を募集しているか、受入教員が事前連絡の段階でどの程度の受け入れ余地を示しているかまで確認して初めて、自分にとっての現実的な難易度が見えてきます。
過去問分析と出題予測|口頭試問(面接)対策
総合化学院は、公式サイトの入試情報ページで過去の入学試験問題を公開しています。2026年7月時点で確認できる範囲では、令和2年度(2020年8月実施)から令和7年度(2025年8月実施)まで6年分が、総合基礎科目(A・B群共通)、専門基礎科目(A群)、専門基礎科目(B群)、専門科目(A群)、専門科目(B群)という5分冊のPDFで公開されています。いずれも試験問題をスキャンした画像形式のPDFで提供されており、本記事では著作権保護の観点から個別の設問内容を転載することは避けますが、5分冊という提出形式そのものは、確認できる年度をまたいで変わっていません。
過去問の分冊構成が、現行の募集要項に記載された「総合基礎科目(必須)+専門基礎科目(A群4科目・B群2科目選択)+専門科目(A群4科目・B群2科目選択)」という科目構成とそのまま対応していることから、出題される科目そのものが年度によって大きく入れ替わる可能性は低いと考えられます。ただし、これはあくまで科目構成の継続性についての推測であり、各科目内の出題テーマ・難易度・配点は年度ごとに公式PDFで確認する必要があります。
出題予測を立てる際の出発点になるのは、募集要項10.試験科目に明記された科目名そのものです。A群の専門基礎科目には基礎物理化学・基礎有機化学・基礎無機化学・基礎分析化学・基礎生物化学・基礎分子生物学の6科目が並び、専門科目には物理化学1・2、有機化学1・2、無機化学、分析化学、生物化学、分子生物学の8科目が並びます。「基礎」と名の付く科目が専門基礎科目に、より発展的な内容が専門科目にそれぞれ配置されている構成から、専門基礎科目では学部前半で学ぶ内容の理解度、専門科目ではより発展的な内容の運用力が問われると推測できます。
B群についても同様に、専門基礎科目の化学工学基礎・熱力学/反応速度論・応用分析化学・応用有機化学・生化学という科目名、専門科目の化学工学・有機合成化学・量子化学・高分子化学・無機材料化学・分子生物工学という科目名から、工学的な応用・プロセス設計に関わる内容が重視されることがうかがえます。理学寄りのA群と工学寄りのB群では、同じ「化学」であっても出題の重心が異なるため、過去問演習を始める前に、自分が選ぶ科目区分の科目名を一つずつ、学部で使った教科書・演習書のどの章に対応するかまで書き出しておくと、対策の優先順位が立てやすくなります。
過去問を実際に演習する際は、まず年度ごとに出題形式(記述式か穴埋め式か、計算問題の比重、論述量)を確認し、選択した科目の中でどの単元が繰り返し出題されているかを記録していくことをおすすめします。6年分という決して短くない公開期間があるからこそ、1年分だけを解いて終わらせず、複数年度を横断して頻出単元を洗い出す作業に時間を使う価値があります。
口頭試問については、募集要項に「これまでの研究概要および修士課程入学後の研究計画を中心に、質疑応答を行う」と明記されている以上、対策の軸は面接一般の想定問答集ではなく、自分の研究内容そのものの深掘りに置くべきです。卒業研究や履修科目で扱ったテーマの背景・目的・方法・結果を、専門用語を使って簡潔に説明できるように整理し、そのうえで「総合化学院のどの研究室で、何を、どのように発展させたいのか」を、志望研究室調査票に記入した第一希望の内容と矛盾なく話せるようにしておく必要があります。
外国人留学生入試のように筆答試験を課さず口頭試問のみで選抜する区分があることからも分かるように、総合化学院は口頭試問そのものを重い選抜要素として位置づけています。一般選抜であっても、筆答試験の結果だけでなく、口頭試問での受け答え、TOEFL・TOEICのスコアや成績証明書の内容まで総合して合否が決まる仕組みであることを踏まえ、筆答試験対策と口頭試問対策を並行して進めることが望まれます。
過去問演習の進め方としては、まず総合基礎科目(総合基礎化学)を6年分すべて解き、化学の基礎的な理解にムラがないかを確認したうえで、専門基礎科目・専門科目については選択予定の科目に絞って年度を横断する方法が効率的です。専門基礎科目はA群なら4科目、B群なら2科目を選ぶ設計であるため、全6年分×選択予定科目という単位で演習量を積み上げていくと、直前期に不足している単元が可視化しやすくなります。過去問はPDFでの公開のみで、解答例や配点は募集要項・過去問ページのいずれにも掲載されていないため、独力で採点基準を作るか、学部の教員や同分野を学んだ人に確認してもらう工程を対策計画に組み込んでおくと安心です。
併願を考えるときの視点と関連情報
総合化学院を第一志望とする場合でも、他大学の化学系大学院を併願するかどうかは早めに検討しておく価値があります。化学系の大学院入試では、A群/B群のような科目選択制を採用している大学院と、専門科目を一律に課す大学院が混在しているため、併願先を選ぶ際は、自分が対策してきた科目がそのまま活かせるかどうかを確認する必要があります。
総合化学院の試験日は8月5日・6日、合格発表は9月4日と、他大学の理工系大学院と時期が重なる、あるいは近接する可能性があります。出願期間・試験日・英語スコアの提出期限が重複しないかを、志望する大学院すべてについて一覧表にしておくと、直前になって準備が間に合わないという事態を避けやすくなります。
特に英語スコアについては、総合化学院がTOEFL・TOEIC(2024年4月以降受験分)を出願書類として要求する一方、大学院によっては受験日・スコア形式の指定が異なる場合があります。1回のスコアで複数校に対応できるとは限らないため、併願校ごとの英語スコア要件は、総合化学院の要項と並べて早めに整理しておくことをおすすめします。大学院入試における英語スコアの考え方については、大学院入試のTOEICスコアは何点必要?研究科別の目安・提出方法・短期で伸ばす戦略でも解説しています。
北海道大学の中でも、化学系に近い分野を扱う大学院として理学院・工学院・環境科学院・生命科学院などがありますが、総合化学院とはそれぞれ出願資格・試験科目・募集人員の設計が異なります。同じ北海道大学であっても大学院ごとに募集要項は別に発行されているため、併願を検討する場合は、志望する大学院ごとの公式サイトで出願資格・試験科目・日程を個別に確認する必要があります。総合化学院で対策したA群・B群の専門科目がそのまま活かせる大学院もあれば、専門科目の範囲がまったく異なる大学院もあるため、併願先を決める前に科目の重なりを確認しておくと、限られた準備期間を効率的に使えます。
北海道大学には、全学の大学院入試情報を横断的に集約したポータルページも用意されています。総合化学院以外の大学院を併願先として比較検討する場合は、まずこのポータルで学院ごとの募集要項リンクを確認し、そのうえで各学院の公式サイトで出願資格・試験科目・日程の詳細を個別に確認する流れが、限られた時間の中で情報を集めるうえで効率的です。
大学院入試全体の難易度感や、外部生が受かりやすい傾向のある研究科の特徴を知りたい場合は、前章で紹介した難易度ランキングの記事に加えて、院試対策の全体像・スケジュール・科目別対策を通して確認したい場合は大学院入試対策の完全ガイド|院試の全体像・スケジュール・科目別対策を徹底解説にまとめています。
独学で総合化学院の対策を進めることも十分に可能ですが、A群・B群のどちらを選ぶべきか、口頭試問で話す研究計画をどう組み立てるかといった判断は、自分だけでは客観的に確認しにくい部分です。現在の学習状況や志望研究室に合わせて対策の優先順位を整理したい場合は、大学院入試対策コースの利用も選択肢になります。
よくある質問(FAQ)
総合化学専攻の募集人員は何名ですか。
修士課程は総合化学専攻全体で129名、博士後期課程は38名です。分子化学・物質化学・生物化学のコース別の内訳は公表されていないため、志望コースごとの競争率を個別に算出することはできません。最新の人数は必ず総合化学院公式サイトの募集要項でご確認ください。
出願資格予備審査はどのような人が対象ですか。
専修学校の専門課程を修了した志願者、大学に3年以上在学し優れた成績で単位を修得した「飛び級」による志願者、個別の資格審査による志願者の3区分が対象です。通常の大学卒業(見込)者は予備審査を経る必要がありません。該当するかどうか迷う場合は、早めに総合化学院事務室に問い合わせてください。
TOEICとTOEFLはどちらを提出すればよいですか。
どちらでも提出可能で、TOEFL公式スコアまたはTOEIC L&Rの公式認定証(デジタル可)のいずれかを選べます。2024年4月以降に受験したスコアに限られ、TOEFL ITP・TOEIC IP・TOEIC Bridge等は無効です。複数スコアを提出した場合は最も良いスコアが採用されます。
A群とB群はどちらを選ぶべきですか。
A群は理学系の物理化学・有機化学・無機化学・分析化学・生物化学・分子生物学が中心、B群は化学工学・有機合成化学・量子化学・高分子化学・無機材料化学・分子生物工学など工学的な応用分野が中心です。出願時に選んだ科目区分は変更できないため、学部での学習内容や志望研究室の分野を踏まえて、早い段階で決めておく必要があります。
研究計画書は提出が必要ですか。
一般選抜の出願書類一覧に、独立した「研究計画書」という提出書類は指定されていません。その代わりに志望研究室調査票の提出と口頭試問での質疑応答が求められるため、正式な提出物がなくても、研究概要と入学後の研究計画を自分の言葉で文章化しておくことをおすすめします。
受入教員に連絡しないと出願できませんか。
一般選抜そのものの出願資格として受入教員の推薦は必須ではありませんが、募集要項には「第1希望の研究室の教員と必ず出願前に連絡をとり、研究内容などについて十分に確認すること」という注記があります。外国人留学生入試では受入教員の推薦が出願資格の要件そのものになっているため、区分によって位置づけが異なる点を確認してください。
過去問はどこで確認できますか。
総合化学院の公式サイトの入試情報ページで、令和2年度から令和7年度実施分までがPDFで公開されています。総合基礎科目・専門基礎科目(A群・B群)・専門科目(A群・B群)の5分冊に分かれており、画像形式のPDFのため、印刷して演習する形になります。
倍率はどれくらいですか。
総合化学院は志願者数÷合格者数という形式の倍率を公表していませんが、Annual Reportには志願者数・入学者数の実績が掲載されています。令和5年度は定員129名に対し志願者数179名・入学者数148名という実績があり、この比率(約1.21倍)は入学辞退者を反映していない参考値として捉える必要があります。
まとめ|北海道大学大学院総合化学院の外部院試は「募集要項の一次情報」を起点に準備する
北海道大学大学院総合化学院の外部院試は、A群・B群という科目区分の選択、TOEFL・TOEICスコアの提出、口頭試問での研究概要・研究計画の説明という、募集要項に明記された3つの要素を軸に準備を進める入試です。総合基礎科目・専門基礎科目・専門科目の筆答試験に加えて、成績証明書や英語スコアまで含めて総合的に合否が判断される仕組みであることを踏まえると、単純な暗記量だけでなく、選択した科目区分の中でどこまで得点を安定させられるかが重要になります。
研究計画書という独立した提出書類がない代わりに、志望研究室調査票の記入と、出願前の受入教員への連絡、口頭試問での質疑応答という一連の流れの中で、自分の研究テーマへの理解度が問われます。出願資格・出願書類・英語スコア・試験科目・口頭試問のいずれも、最新の学生募集要項に一次情報として明記されている内容です。年度によって日程や科目の詳細が更新される可能性があるため、出願前には必ず総合化学院公式サイトの最新の募集要項をご確認ください。
分子化学コース・物質化学コース・生物化学コース、そして2027年4月新設予定の化学反応創成学コース(仮称)は、それぞれ理学研究院・工学研究院・電子科学研究所・遺伝子病制御研究所・触媒科学研究所・化学反応創成研究拠点といった複数の組織の教員が支える構成になっています。コース名や専攻名の響きだけで研究内容を判断せず、指導教員及び研究内容一覧表に記載された研究室単位の情報を確認することが、総合化学院の外部院試を準備するうえでの一貫した出発点になります。A群・B群という科目区分の選択、TOEFL・TOEICスコアの提出方法、出願前の教員コンタクトという3つの実務を早めに動かし始めることが、限られた出願期間・準備期間の中で対策の抜け漏れを減らす近道です。
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