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東京大学大学院 公共政策学教育部の外部院試を徹底解説|出願資格・試験科目・研究計画書・面接対策まで

東京大学大学院公共政策学教育部(GraSPP)とは、法学政治学研究科と経済学研究科が2004年4月に共同で設置した専門職大学院で、法政策コース・公共管理コース・国際公共政策コース・経済政策コース・国際プログラムコースの5コースを通じて政策実務家を養成する2年制(専門職学位課程)の大学院です。外部から受験する場合に押さえておきたいのは、専門科目の筆記試験は2021年度入試を最後に廃止され、現在は試験区分ごとのエッセイと口述試験によって専門性が判定される点、語学要件がTOEFLに一本化されている点、そして研究計画書ではなく所定様式の志望理由書が提出書類の中心になる点です。本記事では、令和9(2027)年度の公式学生募集要項、公式サイトが公表する令和8年度・令和7年度の入試結果、直近3年分の専門科目エッセイのテーマという一次情報だけをもとに、募集人員・出願資格・試験区分・エッセイの字数負担・志望理由書・口述試験・倍率・出願スケジュールを整理します。
①東京大学大学院公共政策学教育部とは|5コース構成と外部院試の位置づけ
東京大学大学院公共政策学教育部は、法学政治学研究科と経済学研究科という2つの研究科が共同で設置した専門職大学院で、平成16(2004)年4月に発足しました。教育研究上の目的として公式サイトが掲げているのは、国際的視野のもとで現代社会が直面する課題を発見し、解決に必要な政策と制度を構想する力、コミュニケーションと合意形成の能力を備えた政策実務家の育成です。国家機関・地方自治体の公務員、国際組織やNGOの職員、シンクタンクのエコノミストや政策アナリストなど、時代の要請に応える人材を想定した課程である点は、研究者養成を主目的とする一般の大学院とは異なる大きな特徴といえます。
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入学後は毎年、新入生を対象としたM1セミナーが授業開始前の2日間で実施され、国際プログラムコースの学生(主に外国人留学生)と少人数グループを組んでグループワークを行う機会が設けられています。国内選抜(一般選抜・職業人選抜)で入学した学生も、入学直後から国際色豊かな環境で人間関係を築くことになる点は、志望理由書で入学後の学びをイメージする際の参考になります。
専門職学位課程は、法政策コース・公共管理コース・国際公共政策コース・経済政策コース・国際プログラムコースの5コースで構成されます。募集人員は合計135人で、このうち概ね65人については国際プログラムコースで別途募集されます。国際プログラムコース(MPP/IP)は授業を英語で行うコースで、修了に必要な46単位のうち28単位以上を英語科目のみで満たせる設計になっており、一般選抜・職業人選抜とは別の入学案内・選考日程が設けられています。志望する場合は、本記事で扱う専門職学位課程(一般選抜・職業人選抜)とは別に、公式サイトの国際プログラムコース入学案内を確認する必要があります。
| コース | 位置づけ |
|---|---|
| 法政策コース | 法律学を中心に政策の立案・実施・評価に関わる専門性を養う |
| 公共管理コース | 行政学・政治学を中心に公共部門のマネジメントを学ぶ |
| 国際公共政策コース | 国際法・国際政治を中心に国際的な政策課題を扱う |
| 経済政策コース | 経済学を基礎に経済政策の立案・分析能力を養う |
| 国際プログラムコース(MPP/IP) | 英語で運営され、募集人員135人のうち概ね65人を別枠で募集 |
公式サイトの入学案内FAQでは「法学部や経済学部などの出身者以外も受験できるのですか」という質問に対し、文系・理系を問わず幅広い人材を受け入れると回答しています。学部段階で法律学・政治学・経済学を専門的に学んでいない受験者も対象に含まれる一方、募集要項には「法律学・政治学・経済学の各分野を大学の学部専門課程において履修していない受験者については、専門科目審査以外の要素を相対的に重視して合否を判断する」という記載があり、専門科目エッセイの評価だけに偏らない仕組みが採られています。
修了要件は46単位以上の修得で、カリキュラムは基幹科目・展開科目・実践科目・事例研究の4つの科目群から構成されます。2022年度からはCapstone演習が位置づけられ、学生チームが外部クライアントから提示された課題に対して解決策を考案し、フィードバックを受ける実践的な学びが導入されました。公式資料に示されたクライアント例には三重県・JICA(国際協力機構)・金融機関などが挙がっており、自治体や国際機関の実際の課題に取り組む機会がカリキュラムに組み込まれています。研究者志向の学生にはリサーチペーパー及び政策研究論文の制度も用意されており、これらを提出して口述試験に合格すると所定の単位が付与されます。出願時に提出する志望理由書では、入学後にこうした科目群のどこで何を学びたいかを具体的に書けるかどうかが評価に直結するため、コース構成とカリキュラムの特徴は出願前に必ず押さえておきたいポイントです。
基幹科目・展開科目・実践科目・事例研究という4つの科目群は、法政策コース・公共管理コース・国際公共政策コース・経済政策コースという区分そのままではなく、コースを横断して履修計画を組める設計になっている点も特徴です。志望理由書で「大学院で習得したい知識と能力」を書く際は、単に志望コース名を挙げるだけでなく、この4つの科目群のどこに重点を置いて履修する計画かまで具体化すると、記述の説得力が増します。
公式パンフレットでは、65か国以上からの留学生受け入れ実績があり、常時30か国前後の学生と共に学ぶ環境であることが特色として紹介されています。国籍・専門分野・職業経験など多様な背景を持つ学生と机を並べて学ぶ点は、志望理由書で「なぜGraSPPなのか」を説明する際の材料にもなります。修了生の進路(2023年9月・2024年3月修了者を対象とした調査)を業種別に見ると、コンサルティング21名、官公庁(海外)11名、官公庁(国内)9名、金融(国内)9名、金融(海外)9名、シンクタンク5名などが多く、国内外の官公庁・国際機関からコンサルティング・金融まで幅広い進路に修了生が進んでいることがわかります。志望理由書の「将来志望する進路」を書く際は、こうした実際の修了生の進路分布も参考にしながら、自分の目指す方向性を具体化しておくとよいでしょう。
公式パンフレットに掲載された修了生の声には、地方自治体の首長や国土交通省・国際交流基金などの職員として活躍する修了生の事例も紹介されています。法政策コース・公共管理コース・国際公共政策コース・経済政策コースそれぞれの修了生が官公庁・国際機関・地方自治体で働いている実例は、志望コースを選ぶ際の参考情報になります。
②実施研究科・募集人員・出願資格(語学スコア含む)
専門職学位課程の入学者選抜は、一般選抜と職業人選抜の2つの区分で行われます。募集要項には「本教育部が募集する一般選抜と職業人選抜を同時に志願することはできない」と明記されており、どちらか一方を選んで出願する仕組みです。募集人員は一般選抜を含む専門職学位課程全体で135人(うち概ね65人は国際プログラムコースで別枠募集)、職業人選抜は若干名です。コース別の定員は設けられていません。
一般選抜の出願資格は、日本の大学を卒業した者(令和9年3月31日までの卒業見込みを含む)を基本に、外国で16年の学校教育課程を修了した者、大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者など、学校教育法上の標準的なルートを満たす6つの区分で構成されています。
| 出願資格区分 | 対象 |
|---|---|
| (1) | 日本の大学を卒業した者・令和9年3月31日までの卒業見込みの者 |
| (2) | 外国で学校教育における16年の課程を修了した者・修了見込みの者 |
| (3) | 外国の大学等(修業年限3年以上)で学士相当の学位を授与された者・授与見込みの者 |
| (4) | 文部科学大臣の指定した教育施設等を修了した者・修了見込みの者 |
| (5) | 大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者・授与見込みの者 |
| (6) | 個別の入学資格審査により大学卒業者と同等以上の学力があると認められ、入学時に22歳に達している者 |
出願資格(6)により出願しようとする者は、書類による個別の入学資格審査が必要です。令和9年度入試では令和8年6月8日(月)必着で必要書類を提出し、審査結果は6月26日(金)頃に通知されるスケジュールになっています。飛び入学で大学院に進学した者もこの区分に該当するため、該当する可能性がある人は早い段階で公共政策学教育部へ問い合わせておくと安心です。
個別の入学資格審査で提出する書類は、入学希望者の学習歴・研究歴・国際的活動経験・実務経験・取得資格・公表論文や著書・学会発表の実績・受賞歴等を記載した履歴書(任意様式)と、在籍した教育施設の授業内容・教材・授業時間数・採点評価基準がわかる資料の2点です。外国における教育施設の修了者については、原則としてその国において大学院入学資格が認められていることも必要とされています。この区分での出願を検討している場合は、書類を用意する前に必ず電話またはメールで公共政策学教育部にその旨を申し出るよう募集要項に明記されています。
職業人選抜の出願資格は、一般選抜と同じ6区分の学歴要件に加えて「出願時において、官公庁・企業等に在職中であり、2年以上の実務経験を有する者」という条件が課されます。令和8年度入試から出願資格の運用が変更され、「入学時以降においても在職の見込みのある者」という要件が撤廃されたため、現在働きながら出願し、入学までに退職する予定の人でも職業人選抜を選べるようになっています。ただし出願時点で在職中であることと、通算2年以上の実務経験があることは引き続き必須条件です。
職業人選抜の募集要項本文では募集人員を「若干名」とだけ記載していますが、公式パンフレットには「若干名〜20名程度(募集数に応じて柔軟に対応)」という目安が示されています。直近5年間の最終合格者数は2021年度10名、2022年度12名、2023年度8名、2024年度11名、2025年度12名で推移しており、年度による変動はあるものの概ね10名前後で安定しています。職業人選抜での出願者は、一般選抜に出願することも可能ですが、同一年度内での併願はできない点は改めて確認しておいてください。
一般選抜と職業人選抜のどちらで出願すべきか迷う場合は、出願資格・試験科目・提出書類の違いを比較すると判断しやすくなります。
| 比較項目 | 一般選抜 | 職業人選抜 |
|---|---|---|
| 出願資格 | 学歴要件6区分のいずれか | 学歴要件6区分に加え、在職中かつ2年以上の実務経験 |
| 募集人員 | 135名(国際プログラムコース分を含む) | 若干名(実績は概ね10名前後) |
| 専門科目審査 | 試験区分に応じたエッセイ(1,600〜8,400字) | 実施しない |
| エッセイ | 専門科目エッセイのみ | 全員共通のエッセイ(600字程度) |
| 推薦書 | Form1必須+Form2任意 | 2名必須(うち1名は上司等) |
| 口述試験日 | 令和8年9月11日(金) | 令和8年9月9日(水) |
職業人選抜は専門科目エッセイが不要な分だけ出願準備の負担が軽く見えますが、出願資格そのものに実務経験2年以上という条件があるため、誰でも選べるわけではありません。学部を卒業したばかりで実務経験が短い人は一般選抜、実務経験を積んでから大学院で学び直したい人は職業人選抜、というように出願資格の面から選抜区分が実質的に決まるケースが多いといえます。
語学要件はTOEFLに一本化されています。公共政策学教育部では共通の外国語として英語を用いるため、志願者は英語力を示す書類としてTOEFL(iBT、Home Editionも可、ITPは不可)の成績票を提出しなければなりません。TOEICなど他の英語試験のスコアでの代替は認められておらず、統一的な基準で判断するという方針が公式FAQでも説明されています。提出するTOEFLスコアは令和6(2024)年7月13日以降に受験したもので、Test Date Scoresのみが有効(MyBest Scoresは不可)です。令和8(2026)年1月21日以降に受験したTOEFL iBTはスコアスケールが変更されているため、該当する場合は旧スケール(0〜120)と新スケール(1〜6)を併記した成績票の提出が必要になります。
成績票の提出方法にも指定があり、Web出願では「Test Taker Score Report」をキャプチャした画像、または出願者本人の氏名・スコア・試験日が確認できるウェブ画面のキャプチャ画像(いずれもJPG形式、PDF不可)をアップロードします。これとは別に、ETSに対してDIコード「8554」を指定し、公共政策学教育部宛に成績票を直接送付するよう請求する手続きも必須です。英語を公用語とする国に所在する大学を卒業した者(卒業見込みを含む)にはTOEFL成績票の提出を免除する場合がありますが、公式FAQは「大学院だけでは免除にならない」と明言しており、学部段階での卒業校が判断基準になる点に注意が必要です。
公式FAQによれば、TOEFLを含め「最低合格」ラインは設定されておらず、専門科目エッセイや口述試験と合わせた総合的な審査で合否が決まります。参考情報として、最終合格者のTOEFLスコア平均点は2025年度が90点、2026年度が93点という記載が入試結果ページに年度別で公表されており、直近2年の合格者平均は90点台で推移しています。スコアの絶対値だけでなく、専門科目エッセイ・志望理由書・口述試験との総合評価であることを踏まえたうえで、余裕を持った受験計画を立てることが重要です。
2025年度から2026年度にかけて最終合格者のTOEFL平均点は90点から93点へと3点上昇しており、合格者に占める高スコア層の割合がやや増えている可能性がうかがえます。ただし公式FAQが明言するとおり最低ラインは設定されておらず、1年分の変動だけで基準が引き上げられたと断定することはできません。専門科目エッセイ・志望理由書・口述試験の総合評価である点を踏まえ、TOEFLスコアはあくまで出願書類の一要素として準備を進めるのが実際的です。
外国の大学を卒業した者(卒業見込みを含む)は、取得学位(学士)の名称が記載された学位授与証明書等の追加提出が必要です。証明書の原本が日本語・英語以外の言語で作成されている場合は、原本・日本語または英語訳・翻訳証明書の3点セットでの提出が求められ、出願者本人による翻訳は公証役場の認証があっても受理されません。また募集要項の注意事項には、外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく安全保障輸出管理に関する記載があり、外国人留学生や一部の日本人学生については入学前の審査が必須とされ、法令上の規制事項に該当する場合は最終合格後でも入学が許可されない、または研究活動に制限がかかる場合があるとされています。外国籍での出願や、輸出管理の対象になりうる技術分野を専門とする場合は、この点も出願前に確認しておく必要があります。
③試験科目(専門・英語・研究計画書・口述)
入学者の選抜は第一次選抜と第二次選抜の2段階で行われます。第一次選抜は入学願書審査・外国語審査に加えて、一般選抜のみ専門科目に関するエッセイによる審査が実施されます。第二次選抜は口述試験です。募集要項には「専門科目試験は実施しない。代わりに試験区分に応じたエッセイを課す」と明記されており、従来型の筆記試験は2021年度入試を最後に行われていません。過去問(旧制度の筆記試験問題)は文学部複写センターで有償頒布されていますが、現行制度の対策としては年度別に公開されているエッセイテーマの分析のほうが実践的です。
一般選抜の専門科目エッセイは、5つの試験区分から1つを選び、指定された科目のエッセイを作成する形式です。令和9年度募集要項では、試験区分と提出するエッセイ科目の組み合わせが次のように定められています。
| 試験区分 | 提出するエッセイの科目 | 備考 |
|---|---|---|
| 1)法律 | 「行政法」及び「国際法」の2つ | 2科目分を提出 |
| 2)行政 | 「政治学(行政学を含む)」及び「行政法」の2つ | 2科目分を提出 |
| 3)政治 | 「政治学(行政学を含む)」及び「国際政治」の2つ | 2科目分を提出 |
| 4)国際関係 | 「国際法」及び「国際政治」の2つ | 2科目分を提出 |
| 5)経済学 | 「経済学(マクロ経済学、ミクロ経済学)」の1つ | 経済政策コース志望者は必須選択 |
注意したいのは、令和9年度入試から法政策コース・公共管理コース・国際公共政策コースの志望者は試験区分「経済学」を選択できなくなったことです。募集要項には「経済政策コースを志望する者は5)経済学を選択しなければならない」「法政策コース・公共管理コース・国際公共政策コースを志望する者は、試験区分『経済学』は選択できない」と明記されており、志望コースと試験区分の対応関係がこれまでより厳格になっています。志望コースを決める前に、自分が選びたい試験区分がそのコースで選択可能かどうかを募集要項で必ず確認してください。
試験区分によってエッセイの字数負担は大きく異なります。所定様式の指示によると、行政法は8,400字以内・本様式8枚、国際法は2,400字以内・3枚、政治学(行政学を含む)・国際政治・経済学はいずれも1,600字以内・2枚です。2科目分を提出する試験区分では単純合算で1万字前後になる組み合わせもあり、区分ごとの作成負担を数値で比較すると次のようになります。
| 試験区分 | エッセイ合計字数の目安 |
|---|---|
| 1)法律(行政法8,400字+国際法2,400字) | 約10,800字 |
| 2)行政(政治学1,600字+行政法8,400字) | 約10,000字 |
| 4)国際関係(国際法2,400字+国際政治1,600字) | 約4,000字 |
| 3)政治(政治学1,600字+国際政治1,600字) | 約3,200字 |
| 5)経済学(経済学1,600字のみ) | 約1,600字 |
行政法を含む試験区分(法律・行政)は、他の区分と比べて6倍以上の分量を書く必要があり、判例分析という専門性の高い作業も求められます。学部段階で行政法を専門的に学んでいない場合は、区分選びの段階で自分の得意分野・準備期間と照らし合わせて慎重に検討する価値があります。
試験区分を選ぶ際は、字数負担だけでなく志望コースとの対応関係も同時に確認する必要があります。経済政策コース志望者は5)経済学以外を選べず、逆に法政策コース・公共管理コース・国際公共政策コースの志望者は5)経済学を選べないため、実質的に選べる試験区分は志望コースが決まった時点で1)法律・2)行政・3)政治・4)国際関係の4区分、または5)経済学の1区分のいずれかに絞られます。学部での専門と志望コースの両方から逆算して試験区分を検討することが、令和9年度入試以降は特に重要になっています。
職業人選抜では専門科目エッセイという名称のエッセイは課されませんが、全員共通のエッセイ(所定様式・日本語で600字程度・1ページ)の提出が必須です。志望理由書は一般選抜・職業人選抜ともに所定様式を使用し、日本語で2ページ以内にまとめる形式で、「本教育部を志望する理由を、学業及び学業以外の活動の経過、大学院で習得したい知識と能力、将来志望する進路と関係づけて記載する」ことが求められます。
推薦書も出願書類の一部です。一般選抜ではForm1の提出が必須で、出願する試験区分に対応した専門科目の1つについて、基礎知識および応用能力の習得状況を記述するよう推薦者に依頼します。Form2の提出は任意で、Form1が用意できない場合の代替としても使えますが、自薦は認められません。職業人選抜では所定様式の推薦書を2名分提出する必要があり、少なくとも1名は所属する組織の上司等でなければならないという条件が付いています。
第二次選抜の口述試験は、入学願書審査・外国語審査・専門科目エッセイ(一般選抜)または入学願書審査・外国語審査(職業人選抜)を総合的に判断したうえで、上位者について実施されます。募集要項には「法律学・政治学・経済学の各分野を大学の学部専門課程において履修していない受験者については、専門科目審査以外の要素を相対的に重視して合否を判断する」とあり、専門外からの受験者にも配慮した評価方法が採られていることがわかります。口述試験はオンラインで実施され、対象者には受験番号と時間割がメールで個別に通知されます。
エッセイ・志望理由書・成績証明書などの出願書類は、Web出願システム上でPDFまたはJPEG形式のファイルとしてアップロードします。各項目でアップロードできるファイルは1つのみと定められているため、成績証明書が出身大学と留学先など複数枚にわたる場合は、1つのファイルに統合してからアップロードする必要があります。TOEFL成績票はJPEG形式のみ、推薦書はPDF形式のみ(7MB以下)という指定もあるため、書類を準備する段階でファイル形式・サイズを事前に確認しておくと出願直前の作業がスムーズになります。
④志望理由書・研究室訪問|「研究計画書」は求められない
公共政策学教育部の募集要項を確認すると、他大学の研究科でよく見られる「研究計画書」という提出書類は存在しません。出願書類の中心となるのは所定様式の志望理由書であり、専門職大学院という制度上、入学前に指導教員が個別に割り当てられる仕組みも設けられていません。理系の研究科でよく行われる「研究室訪問」という慣行も、公式サイト・募集要項のいずれにも記載がなく、事前の訪問や指導教員への個別連絡が出願の条件になっているわけではありません。
志望理由書は日本語で2ページ以内にまとめる所定様式で、記載すべき内容は募集要項に明示されています。
| 記載すべき要素 | 具体的に書く内容 |
|---|---|
| 学業及び学業以外の活動の経過 | 学部での専攻、ゼミ・卒業論文、部活動・インターン・職務経験など |
| 大学院で習得したい知識と能力 | 志望する試験区分・コースのカリキュラムと接続した具体的な学習内容 |
| 将来志望する進路 | 修了後に想定する職業・分野と、そこで活かしたい専門性 |
この3要素は独立した項目ではなく、これまでの経過から入学後の学習内容、将来の進路までが一本の線でつながっていることが評価されるポイントです。たとえば法律区分(行政法・国際法)で出願する場合、学部でどのような法律科目を学び、なぜ行政法・国際法という組み合わせで専門性を深めたいのか、修了後にその専門性をどう活かしたいのかを具体的に書く必要があります。抽象的に「政策に興味がある」とだけ書いても、学業経過・カリキュラム・進路のつながりが見えなければ説得力を持ちません。
研究室訪問や指導教員への事前連絡という制度がない一方で、志望理由書と専門科目エッセイ・推薦書の内容には一貫性が求められます。推薦書Form1は志望する試験区分に対応した専門科目について、指導教員または学業・職務内容を評価できる者が基礎知識と応用能力の習得状況を記述する書類です。志望理由書に書いた学習歴と、推薦者に依頼する評価内容が食い違わないように、出願前に推薦者へ自分の志望理由や専門科目エッセイの方向性を共有しておくことをおすすめします。
具体的には、国際関係区分(国際法・国際政治)で出願する場合、志望理由書には学部でどのような国際法・国際関係論の科目を履修したか、専門科目エッセイにはどのテーマを選び国際法学・国際政治学のどの議論を踏まえて論じたかを書きます。推薦書Form1では、その科目に関する基礎知識・応用能力を第三者の立場から評価してもらう形になるため、3つの書類が同じ専門分野・同じ問題意識を指し示しているかどうかを、出願前に自分で読み比べておくと矛盾を防げます。
志望理由書の「学業及び学業以外の活動の経過」で触れる内容と、推薦書Form1で第三者に評価してもらう専門科目が大きくずれていると、口述試験で「なぜこの試験区分を選んだのか」を問われた際に一貫した説明がしにくくなります。出願前に志望理由書・専門科目エッセイ・推薦書Form1の3点を並べて読み返し、同じ専門分野・同じ問題意識で貫かれているかを自分自身で確認しておく作業は、口述試験対策としても有効です。
修了後にリサーチペーパー・政策研究論文を書きたいと考えている場合は、志望理由書の「大学院で習得したい知識と能力」の項目で、その制度に触れながら入学後の学習計画を具体的に書くことも有効です。専門分野の対策と併せて、公共政策大学院予備校の選び方|研究計画書と面接対策のような専門職大学院特有の準備方法を扱った記事も参考にしながら、志望理由書・専門科目エッセイ・推薦書・口述試験の内容を一貫させる準備を進めるとよいでしょう。
まずは無料相談で、合格までの最短ルートを確認しませんか?
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⑤出願から合格発表までのスケジュール(令和9年度入試)
令和9(2027)年度専門職学位課程入学者選抜(一般選抜・職業人選抜)の主要日程は公式募集要項に明記されており、次のとおりです。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年5月12日(火) | 入試説明会(オンライン、15:30〜17:00) |
| 2026年6月8日(月)必着 | 個別入学資格審査(出願資格(6))の必要書類提出締切 |
| 2026年6月18日(木)10:00〜 | Web出願システムのアカウント登録開始、専門科目エッセイ様式・検定料払込の受付開始 |
| 2026年6月26日(金)頃 | 個別入学資格審査の結果通知 |
| 2026年7月13日(月)10:00〜7月17日(金)17:00 | Web出願受付期間 |
| 2026年7月13日(月)〜7月17日(金)(消印有効) | 出願書類の郵送受付期間 |
| 2026年7月30日(木)まで | 受験番号の通知 |
| 2026年9月4日(金)14:00 | 口述試験対象者の発表 |
| 2026年9月9日(水) | 口述試験(職業人選抜、オンライン) |
| 2026年9月11日(金) | 口述試験(一般選抜、オンライン) |
| 2026年9月30日(水)14:00 | 合格内定者の発表 |
| 2027年2月下旬 | 入学許可の通知 |
| 2027年3月 | 入学手続(入学料納付・書類提出、所定期日まで) |
| 2027年4月 | 入学 |
出願はWeb出願と郵送の両方を完了させる必要があり、いずれか片方のみの提出は受け付けられません。公式サイトが公開する「Web出願の流れ」では、次の5段階の手順が示されています。
- 事前準備:募集要項に従って出願書類を準備し、推薦者に推薦書の作成・アップロードを依頼する
- Web出願システムへのアクセス:マイページを作成し、一般選抜・職業人選抜いずれか一方を選んでアカウント登録する
- 情報入力:個人情報・証明写真・学歴職歴・推薦者情報を入力し、推薦者からの推薦書アップロードを待つ
- Web出願の完了:出願期間内に「出願」ボタンを押して確定させ、入学願書をダウンロード・印刷する
- 出願書類の郵送:印刷した入学願書と必要書類を出願期間内(消印有効)に郵送する
この手順で特に見落としやすいのは、推薦者がWeb出願システム上で推薦書の提出を完了しない限り、4つ目の手順であるWeb出願そのものへ進めない設計になっている点です。推薦者への依頼は出願期間の直前ではなく、提出期限(受付期間最終日の前日まで)を踏まえて書類準備の初期段階で済ませておく必要があります。証明写真データも「2MB以下、縦横比4:3のJPG画像、3か月以内に撮影された正面上半身無帽」という細かい条件が指定されているため、出願直前ではなく事前準備の段階で用意しておくと安心です。
検定料は30,000円で、払込期間は2026年6月18日(木)〜7月17日(金)です。銀行振込・コンビニエンスストア・ペイジー対応ATM・ペイジー対応ネットバンク・ネット専業銀行・クレジットカードのいずれかで支払い、払込後に取得する収納証明書等をアップロードしたうえで入学願書裏面に貼付して郵送します。日本政府(文部科学省)奨学金留学生は検定料が不要ですが、その証明書の提出が必要です。
一般選抜で提出する出願書類は、募集要項に次のように整理されています。全員が提出する書類と、該当者のみが提出する書類が分かれている点に注意してください。
| 書類 | 概要 |
|---|---|
| 出願書類送付用封筒・あて名ラベル | 角型2号封筒に所定のあて名ラベルを貼付し書留速達で郵送(全員) |
| 入学願書 | Web出願フォームで作成、証明写真データのアップロード必須(全員) |
| 専門科目に関するエッセイ | 試験区分に応じた所定様式で作成(一般選抜の全員) |
| 志望理由書 | 所定様式・日本語2ページ以内(全員) |
| 成績証明書 | 在学した全ての大学の原本、評点基準の記載が必要(全員) |
| 卒業(見込)証明書 | 成績証明書に卒業年月日の記載がない場合に必要(該当者のみ) |
| 学位授与証明書等 | 外国の大学を卒業した者が学位名称を証明するために提出(該当者のみ) |
| TOEFL成績票 | iBT(Home Edition可)、ITP不可、写真をJPG形式でアップロード(全員) |
| 日本語能力を示す証明書 | 日本語以外を母語とする者のみ提出(該当者のみ) |
| 検定料払込証明書 | 30,000円の払込を証明する書類(全員) |
| 推薦書 | Form1必須・Form2任意、推薦者がWeb出願システムから直接アップロード |
成績証明書は、複数の大学に在籍した場合(編入学・大学院修了・留学・中途退学等を含む)はそれぞれの成績証明書を全て提出する必要があり、原本が1通しかない場合は発行者による原本証明付きコピーが必要です。日本語・英語以外で作成された証明書は、原本・日本語または英語訳・翻訳証明書の3点セットで提出しなければならず、出願者本人による翻訳は認められません。書類の準備には時間がかかることが多いため、出願期間の直前ではなく、志望理由書や専門科目エッセイの作成と並行して早めに手配しておくことをおすすめします。
合格した場合に必要となる経費(令和9年度予定額)は、入学料282,000円、授業料が前期分267,900円(年額535,800円)です。これらの金額は学生納付金改定が行われると変更される予定額であるため、正確な金額は入学手続の案内で確認してください。長期履修学生制度を利用して3年または4年で修業する場合、標準修業年限2年分の授業料総額を認められた年数で除した額が年間の授業料となるため、1年あたりの負担は軽くなりますが、総額自体は変わらない仕組みです。
⑥倍率・難易度をどう読むか
公共政策学教育部は、毎年度の入試結果(出願者数・口述試験対象者数・最終合格者数)をコース別・出身大学別まで詳細に公表しています。直近2年分の全体・選抜区分別の数値は次のとおりです。
| 年度 | 区分 | 出願者数 | 口述試験対象者数 | 最終合格者数 | 単純倍率(出願者÷合格者) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年度 | 一般選抜 | 205名 | 112名 | 75名 | 約2.73倍 |
| 2026年度 | 職業人選抜 | 31名 | 15名 | 12名 | 約2.58倍 |
| 2026年度 | 合計 | 236名 | 127名 | 87名 | 約2.71倍 |
| 2025年度 | 一般選抜 | 219名 | 113名 | 75名 | 約2.92倍 |
| 2025年度 | 職業人選抜 | 22名 | 13名 | 12名 | 約1.83倍 |
| 2025年度 | 合計 | 241名 | 126名 | 87名 | 約2.77倍 |
2年分を比べると、最終合格者数は87名でほぼ横ばいな一方、出願者数は年度によって変動しており、単純倍率も一般選抜で2.7〜2.9倍程度、職業人選抜で1.8〜2.6倍程度の幅で推移しています。倍率だけを見て「易しくなった・難しくなった」と単純に判断するのではなく、出願者数と最終合格者数の両方の推移を確認することが重要です。
コース別の最終合格者数も公表されています。
| コース | 2025年度 合格者数 | 2026年度 合格者数 |
|---|---|---|
| 法政策コース | 3名 | 2名 |
| 公共管理コース | 14名 | 7名 |
| 国際公共政策コース | 22名 | 31名 |
| 経済政策コース | 48名 | 47名 |
経済政策コースの合格者数が両年度とも突出して多く、国際公共政策コースは年度による変動が大きいことが読み取れます。法政策コース・公共管理コースは合格者数自体が一桁台で推移しており、募集人員が少ないコースほど、志望理由書とエッセイの完成度が合否に与える影響が相対的に大きくなると考えられます。
出願者数もコース別に公表されているため、出願者数と最終合格者数の両方からコース別の単純倍率を計算すると、次のようになります。
| コース | 2025年度 出願者/合格者/倍率 | 2026年度 出願者/合格者/倍率 |
|---|---|---|
| 法政策コース | 9名/3名/約3.00倍 | 6名/2名/約3.00倍 |
| 公共管理コース | 32名/14名/約2.29倍 | 33名/7名/約4.71倍 |
| 国際公共政策コース | 75名/22名/約3.41倍 | 86名/31名/約2.77倍 |
| 経済政策コース | 125名/48名/約2.60倍 | 111名/47名/約2.36倍 |
公共管理コースは2025年度の約2.29倍から2026年度は約4.71倍まで上昇しており、同じコースでも年度によって倍率が2倍以上変動することがわかります。募集人員がコース別に定められていない以上、特定のコースに出願が集中した年度は倍率が跳ね上がりやすい構造だといえます。1つの年度・1つのコースの倍率だけを見て志望コースを決めるのではなく、複数年度の推移を確認したうえで、自分が本当に学びたい分野を軸にコースを選ぶことが重要です。
出身大学別の内訳も公表されており、2026年度は東京大学出身の出願者45名のうち30名が最終合格(合格率約66.7%)、他大学出身の出願者191名のうち57名が最終合格(合格率約29.8%)でした。2025年度も東京大学出身28名/47名(約59.6%)、他大学出身59名/193名(約30.6%)と、2年連続で東京大学出身者の合格率が他大学出身者の2倍前後という傾向が見られます。ただしこれは出身大学だけが合否を分けているという意味ではなく、志望コースの選び方や専門科目エッセイの準備度合いなど、他の要因も影響している可能性がある点には注意が必要です。他大学出身者でも出願者の3割前後が最終合格しており、外部からの受験自体が著しく不利というわけではありません。
出身大学別の合格率は選抜区分・コースを横断した数値である点にも注意が必要です。法政策コース・公共管理コースのように募集人員が少ないコースが母数に含まれるため、母数が小さいコースほど1年の結果だけで傾向を断定しづらく、東京大学出身者の合格率の高さも、志望コースの分布や専門科目エッセイの準備度合いなど複数の要因が絡んでいる可能性があります。出身大学による差はあるものの、他大学出身者でも約3割が最終合格している以上、志望コースと試験区分の対応関係を早期に固め、専門科目エッセイの完成度を高めることが現実的な対策になります。
難易度を考えるうえでは、倍率の数字だけでなく試験区分ごとのエッセイ負担も無視できません。前章で整理したとおり、法律・行政の各区分は合計1万字前後のエッセイが必要になる一方、政治・国際関係・経済学の区分は3,200〜4,000字程度で収まります。字数が多いこと自体が難易度の高さを直接意味するわけではありませんが、限られた出願準備期間の中でどの区分にどれだけの時間を割けるかは、実質的な難易度を左右する要素の一つです。
職業人選抜の倍率が一般選抜より低く出る年度もありますが、これは職業人選抜が専門科目エッセイを課さない代わりに、出願資格として2年以上の実務経験という高いハードルを設けているためだと考えられます。出願できる母集団があらかじめ絞られている選抜区分と、学歴要件を満たせば誰でも出願できる一般選抜とを、倍率の数字だけで単純に比較することは適切ではありません。自分がどちらの出願資格を満たすかを確認したうえで、それぞれの選抜区分に応じた準備を進めることが重要です。
⑦過去のエッセイテーマの傾向と出題予測・口述試験対策
公共政策学教育部の入試は2021年度から筆記試験を廃止し、専門科目に関するエッセイに切り替えています。公式サイトでは2021年度以降のエッセイテーマが年度別にPDFで公開されており、2026年度入試分からは出題意図も公表されるようになりました。ここでは2025〜2027年度の3年分のテーマを比較し、科目ごとの出題傾向を整理します。
行政法は3年連続で、直近の最高裁判決を分析させる形式が続いています。2025年度は最判令和5年11月17日、2026年度は最判令和6年7月4日、2027年度は最判令和7年7月14日と、出願年の1年前後に出された最高裁判決を扱う点が共通しており、判旨に賛成・反対いずれの立場からでも「これまでになされてきた行政法学の議論を踏まえた説得的な」論証ができるかが問われています。公式の出題意図でも「特定の立場を論証できるかを問うことで、行政法に関する理解を確認する」と説明されており、判例そのものの結論よりも、行政法学の理論的枠組みを使って一貫した主張を組み立てる力が評価対象です。
国際法は「現在または将来の日本にとって重要だと考える国際公法に関わる問題」を受験者自身に選ばせる形式が2025〜2027年度で一貫しています。出題意図は「国際法学の観点から公共政策に関する重要な課題を発見し、従来の議論状況等も踏まえながら的確かつ論理的な分析を行う能力を有しているかを確認する」というもので、テーマ選定そのものが評価の一部になっている点が特徴です。日頃から国際法に関わるニュースに触れ、複数の候補テーマを国際法学の議論と結びつけて説明できるよう準備しておくことが対策になります。
政治学(行政学を含む)は「現代の先進国における政治・行政問題」を取り上げ、その問題が生じる原因・メカニズムを説明させる出題形式が3年連続で維持されています。2026年度以降は、原因・メカニズムに加えて「歴史的背景」を問う一文が加わり、単なる現状分析だけでなく歴史的経緯まで遡って説明する力が求められるようになりました。出題意図は「政治学・行政学の諸分野について、学士課程修了程度の学力を有しており、自分で問題設定を行い、思考し表現できる能力を持っているか否かを問う」とされており、知識の暗記量よりも問題設定と論理構成の力が重視される科目であることがわかります。
国際政治は年度によってテーマの具体度が変動しています。2025年度は「あなたが関心をもつ国際問題」を自由に選ばせる形式、2026年度は国際関係の変容とアイデンティティの政治という理論的な切り口、2027年度は同盟が国際秩序の変容にもたらす影響という形で、より具体的な理論枠組みを指定する方向に変化しています。2027年度の出題意図では、米中対立・ロシアによるウクライナ侵略・パレスチナ問題・インドとパキスタンの対立など複数の国際情勢が例示されており、日頃の時事理解と国際関係論の理論的枠組みを結びつけて考察する力が求められています。
経済学(マクロ経済学、ミクロ経済学)は年度による振れ幅が最も大きい科目です。2025年度は生活保護制度の医療扶助とモラルハザードという具体的な政策テーマが指定され、公的医療保険との比較・需要曲線を用いた説明・対策のデメリットまで踏み込んだ論述が求められました。2026〜2027年度は一転して「あなたが関心を持つ社会経済問題」を自由に選ばせる形式に戻っています。年度によって出題形式そのものが変わりうるため、指定テーマ型・自由記述型のどちらが出ても対応できるよう、ミクロ経済学・マクロ経済学の基礎理論を実際の政策課題に当てはめる練習を重ねておくことが有効です。
| 科目 | 公式が示す出題意図の要約 |
|---|---|
| 行政法 | 最高裁判決について特定の立場を論証できるかで行政法の理解を確認 |
| 国際法 | 公共政策に関する課題発見力と、従来の議論を踏まえた論理的分析力を確認 |
| 政治学(行政学を含む) | 学士課程修了程度の学力と、自ら問題設定し思考・表現する力を確認 |
| 国際政治 | 時事的な国際情勢への関心と、国際関係論の理論枠組みで考察する力を確認 |
| 経済学 | 経済学の素養に基づく社会経済問題への認識・考察力・表現力を確認 |
3年分の傾向をまとめると、行政法・政治学(行政学を含む)は出題形式そのものはほぼ固定されたまま題材だけが毎年更新されるタイプ、国際政治・経済学は年度によって指定テーマ型と自由記述型が入れ替わるタイプ、国際法はテーマの自由度を保ちながら「日本にとって重要な問題」という軸だけが一貫しているタイプに分けられます。試験区分を選ぶ際は、字数負担だけでなく、こうした出題形式の安定度も判断材料に加えるとよいでしょう。形式が固定されている科目は過去問(エッセイテーマ)を使った練習の再現性が高く、自由記述型の科目はテーマ選定力そのものを鍛える練習が必要になります。
令和9年度入試から試験区分「経済学」が経済政策コース志望者専用になったことと、政治学(行政学を含む)で2026年度以降「歴史的背景」を問う一文が加わったこととを重ねて考えると、各科目のテーマがより専門的・理論的な方向へ細分化されつつある可能性が読み取れます。断定はできませんが、次年度以降も既存の出題形式を土台にしながら、時事的な題材や歴史的背景を問う要素が段階的に加わっていく方向で対策を進めておくと、募集要項の変更にも対応しやすくなります。
口述試験については、募集要項の「求める学生像」「入学者選抜において問われる点」の記載から出願準備の方向性を読み取ることができます。志望分野に関する知識と公共政策学全般の基礎知識、自ら問題を発見し専門知識に基づいて解決する力の基礎、将来国際的な場でも活躍しうる語学能力の基礎という3点が明記されており、断定はできないものの、口述試験でもこの3点に沿った質問がなされると推測されます。専門科目エッセイ・志望理由書に書いた内容と、口述試験での回答に矛盾がないよう、事前に自分のエッセイと志望理由書を読み返し、想定質問への回答を準備しておくとよいでしょう。面接・口述試験の一般的な対策の考え方は大学院入試の面接対策|頻出質問と評価されるポイントでも整理しています。
⑧併願戦略と内部リンク
公共政策学教育部内での併願には制約があります。募集要項には「複数の専門科目を受験することもできない」と明記されており、法政策コース・公共管理コース・国際公共政策コース・経済政策コースの4コース間での併願はできません。公式FAQでも同様の内容が確認でき、志望する試験区分・コースは出願前に1つに絞る必要があります。一方で、別枠募集の国際プログラムコース(MPP/IP)との併願は可能とされているため、英語での学習に抵抗がなく、国内選抜と国際プログラムコースの両方に関心がある場合は、選択肢として検討する価値があります。
働きながら受験する社会人にとっては、長期履修学生制度も選択肢の一つです。標準修業年限2年を3年または4年として計画的に履修できる制度で、授業料の総額は変えずに長期履修期間の年数で按分する仕組みになっています。利用には原則として入学手続き時の申請が必要なため、職業人選抜での出願を検討している場合は、志望理由書を作成する段階でこの制度の利用有無もあわせて考えておくとよいでしょう。
他大学の公共政策系・国際政治系の大学院と併願する場合は、口述試験が9月、合格内定発表が9月30日、入学手続が3月という公共政策学教育部の日程を軸に、併願校の出願期間・試験日・合格発表日を一覧表にまとめておくと管理しやすくなります。同じ国際政治・国際関係の分野を扱う大学院を比較検討したい場合は、青山学院大学大学院 国際政治経済学研究科の外部院試を徹底解説もあわせて確認すると、大学院ごとの出願資格・試験科目の違いを把握しやすくなります。
修了生の進路が官公庁・国際機関から金融・コンサルティングまで幅広いことは、裏を返せば志望理由書で書くべき「将来志望する進路」の選択肢も広いということです。併願先を検討する段階で、公共政策学教育部でなければ実現できない理由を言語化しておくと、志望理由書と口述試験の一貫性を保ちやすくなります。法律区分・行政区分のようにエッセイの分量が多い試験区分を選ぶ場合は、併願校の出願準備との時間配分も出願前に検討しておく必要があります。
出願資格・試験区分・エッセイの字数・志望理由書・口述試験のどこから優先して準備すべきか迷う場合は、大学院入試全体の進め方を俯瞰できる大学院入試対策の完全ガイド|院試の全体像・スケジュール・科目別対策を徹底解説も参考にしてください。出願資格の確認から専門科目エッセイ・志望理由書・口述試験対策までの優先順位を、現在の学習状況や志望する試験区分に合わせて個別に整理したい場合は、大学院入試対策コースで相談することもできます。
よくある質問(FAQ)
東京大学大学院公共政策学教育部の外部院試に筆記試験はありますか。
専門科目の筆記試験は2021年度入試を最後に廃止されています。令和9年度募集要項にも「専門科目試験は実施しない。代わりに試験区分に応じたエッセイを課す」と明記されており、現在は試験区分ごとの専門科目エッセイと口述試験が中心の選抜方法です。
TOEICのスコアで出願できますか。
できません。募集要項では英語力を示す書類としてTOEFL(iBT、Home Editionも可、ITPは不可)の成績票提出のみが求められており、TOEICなど他の英語試験での代替は認められていません。
研究計画書は必要ですか。
募集要項に「研究計画書」という提出書類は定められていません。所定様式の志望理由書(日本語2ページ以内)と、一般選抜の場合は試験区分に応じた専門科目エッセイが、他大学院における研究計画書に近い役割を担う書類です。
法学部・経済学部出身でなくても受験できますか。
受験できます。公式入学案内FAQでは「学部段階において法学・政治学や経済学を学んだ方々だけでなく、いわゆる文系・理系を問わず幅広い人材を受け入れる」と回答されています。ただし専門科目を学部で履修していない場合、専門科目審査以外の要素が相対的に重視される仕組みです。
コースは併願できますか。
法政策コース・公共管理コース・国際公共政策コース・経済政策コースの4コース間は併願できません。募集要項にも「複数の専門科目を受験することもできない」と明記されています。ただし別枠募集の国際プログラムコースとの併願は可能です。
TOEFLは何点あれば合格できますか。
公式には最低ラインは設定されておらず、専門科目エッセイや口述試験と合わせた総合的な審査で合否が決まります。参考情報として、最終合格者のTOEFLスコア平均点は入試結果ページで公表されており、2025年度は90点、2026年度は93点でした。
過去問は公開されていますか。
2020年度以前の筆記試験問題は文学部複写センターで有償頒布されています。2021年度以降は筆記試験に代わってエッセイが課されており、そのテーマは年度別に公式サイトでPDF公開されています。2026年度入試分からはエッセイの出題意図も公開されるようになりました。
社会人でも受験できますか。
職業人選抜が用意されており、出願時において官公庁・企業等に在職中で2年以上の実務経験があれば出願できます。令和8年度入試からは「入学時以降も在職見込みであること」という要件が撤廃され、入学までに退職を予定している人でも職業人選抜を選べるようになりました。募集人員は「若干名」ですが、直近5年間の最終合格者数は概ね10名前後で推移しています。
まとめ
東京大学大学院公共政策学教育部の外部院試は、専門科目の筆記試験を廃止して試験区分ごとのエッセイと口述試験を中心に据えている点、語学要件がTOEFLに一本化されている点、そして研究計画書ではなく志望理由書が出願書類の中心になっている点で、研究者養成を主目的とする一般の大学院とは仕組みが大きく異なります。試験区分によってエッセイの合計字数が1,600字から1万字超まで幅広く、志望コースによって選べる試験区分にも制約があるため、募集要項を試験区分単位で丁寧に読み、自分の専門性・学習歴・志望理由書の内容と接続したうえで区分を選ぶことが出発点になります。
直近2年の入試結果では最終合格者数が87名でほぼ横ばいで推移し、単純倍率は一般選抜で2.7〜2.9倍、職業人選抜で1.8〜2.6倍程度でした。倍率やTOEFL平均点はあくまで参考情報であり、専門科目エッセイ・志望理由書・口述試験を含めた総合評価で合否が決まる仕組みです。募集人員・出願資格・試験日程・検定料などの数値は年度によって変更される可能性があるため、出願前には必ず東京大学大学院公共政策学教育部の公式Webサイトと最新の学生募集要項をご確認ください。
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