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東京都立大学大学院 人文科学研究科の外部院試を徹底解説|出願資格・試験科目・研究計画書・面接対策まで

東京都立大学大学院人文科学研究科は、南大沢キャンパスを拠点とする社会行動学専攻・人間科学専攻・文化基礎論専攻・文化関係論専攻の4専攻17教室からなる人文社会系大学院です。外部院試とは、都立大学の学部以外の大学・短期大学・専門学校などの出身者が、募集要項に定める出願資格を満たしたうえで「一般学生」として博士前期課程(修士)または博士後期課程(博士)を受験することを指します。教室単位で募集人員・提出書類・試験科目が大きく異なることが、この研究科の外部院試を理解するうえでの出発点です。
本記事は、2027年度東京都立大学大学院人文科学研究科博士前期課程学生募集要項(2026年7月1日発行)と博士後期課程学生募集要項(同日発行)、および研究科公式サイトで確認できた過去問公開状況にもとづき、募集人員・出願資格・試験科目・研究計画書の要否・日程を教室ごとに整理します。倍率や志願者数など公式に公表されていない数値は創作せず、確認できた事実とヘッジを付けた出題予測に限定して解説しますので、最新の要項は必ず研究科公式サイトでご確認ください。
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この研究科の外部院試は、専攻という大きな枠組みではなく「教室(募集単位)」という細かい単位で募集人員・出願書類・試験科目・実施時期が個別に定められている点が最大の特徴です。同じ研究科の中でも、社会学教室のように研究計画書が不要な教室と、表象文化論教室のように20,000字以上の論文提出が選択肢に入る教室が同居しており、志望教室によって準備量そのものが大きく変わります。以降の章では、この教室単位の違いを一つずつ確認していきます。研究科全体としては人文・社会諸科学の広い視野を求めつつも、実際の選考は教室という専門分野の単位で完結しているため、大きな研究科名にとらわれず教室の情報から準備を組み立てることが遠回りに見えて最短の対策になります。
東京都立大学大学院人文科学研究科とは|4専攻17教室と外部院試の位置づけ
人文科学研究科のアドミッションポリシーには「広い視野に立って人文・社会諸科学の知見をひろげ、専攻分野における研究能力または高度の専門性を要する職業などに必要な力を養うことを目的としています」と記されています。求める学生像としては、自ら選択した専門分野の研究に必要な能力を持ち、その分野の諸問題に強い関心と旺盛な研究意欲を持つ人、専門分野だけに閉じこもらず人間や社会に広い視野を持とうと努力する人が挙げられており、研究者や高度専門職業人をめざす人を求める姿勢が4専攻共通で示されています。
4専攻それぞれの理念も、募集要項には専攻単位で個別に書き分けられています。社会行動学専攻は「社会学・社会人類学・社会福祉学の各分野における高度な専門的研究を行うために必要な理論・学説および方法論における研究能力」を養うことを目的とし、人間科学専攻は「心理学・臨床心理学・教育学・言語科学・日本語教育学の各分野における研究能力、または高度の専門性を要する職業等に必要な高度の能力」を掲げています。文化基礎論専攻は「哲学(哲学・西洋古典学)、歴史学・考古学、表象文化論の各分野における研究能力」、文化関係論専攻は「日本および海外諸地域の言語、文学、文化一般に関する研究能力」を養成方針としており、専攻名だけでは見えない教育内容の違いが、この4つの理念文からうかがえます。
研究科は社会行動学専攻(社会学・社会人類学・社会福祉学)、人間科学専攻(心理学・臨床心理学・教育学・言語科学・日本語教育学)、文化基礎論専攻(哲学〈哲学・西洋古典学〉・歴史学・考古学・表象文化論)、文化関係論専攻(日本・中国文化論〈日本文学・中国文学〉、欧米文化論〈英文学・ドイツ文学・フランス文学〉)の4専攻で構成されます。募集要項が定める実際の募集単位は「教室」であり、専攻の下に17の教室が置かれています。出願先を選ぶ実務上の単位は専攻ではなく教室である点をまず押さえておく必要があります。
| 専攻 | 教室(募集単位) | 博士前期課程の実施時期(2027年度) |
|---|---|---|
| 社会行動学 | 社会学 | 9月・2月 |
| 社会行動学 | 社会人類学 | 9月・2月 |
| 社会行動学 | 社会福祉学 | 9月・2月 |
| 人間科学 | 心理学 | 9月・2月 |
| 人間科学 | 臨床心理学 | 9月・2月 |
| 人間科学 | 教育学 | 9月・2月 |
| 人間科学 | 言語科学 | 9月・2月 |
| 人間科学 | 日本語教育学 | 9月・2月 |
| 文化基礎論 | 哲学 | 9月・2月 |
| 文化基礎論 | 西洋古典学 | 9月・2月 |
| 文化基礎論 | 歴史学・考古学 | 2月のみ |
| 文化基礎論 | 表象文化論 | 2月のみ |
| 文化関係論 | 日本文学 | 9月・2月 |
| 文化関係論 | 中国文学 | 2月のみ |
| 文化関係論 | 英文学 | 9月・2月 |
| 文化関係論 | ドイツ文学 | 2月のみ |
| 文化関係論 | フランス文学 | 2月のみ |
この表からわかるとおり、歴史学・考古学、表象文化論、中国文学、フランス文学の4教室は、博士前期課程の一般選抜を2月入試だけで実施しています。2027年度はドイツ文学教室も2月入試のみの募集となりました。前年度の2026年度募集要項ではドイツ文学教室に9月・2月両方の枠がありましたので、実施時期は年度によって変わり得る情報です。9月入試での受験を考えている場合は、まず志望教室がそもそも9月に実施されるのかどうかを、出願年度の最新募集要項で確認する必要があります。
博士前期課程は年2回(9月・2月)、博士後期課程は年1回(2月)の実施です。博士後期課程の出願資格は修士の学位を有する者、または研究科が個別審査により同等以上の学力を認めた者で、外部院試という文脈では、他大学院で修士を取得した人が博士後期課程から人文科学研究科へ進学するケースを指します。加えて、上記の学生募集とは別枠で外国人特別学生(留学生)の募集も行われています。一般学生と外国人特別学生は別要項・別選考で運用され、出願資格や提出書類の一部も異なります。
| 教室(募集単位) | 外国人特別学生 9月入試 | 外国人特別学生 2月入試 |
|---|---|---|
| 社会学/社会人類学/社会福祉学 | 若干名 | − |
| 心理学/臨床心理学 | − | 若干名 |
| 教育学/言語科学/日本語教育学 | 若干名 | 若干名 |
| 哲学/西洋古典学 | 若干名 | 若干名 |
| 歴史学・考古学/表象文化論/中国文学/フランス文学 | − | 若干名 |
| 日本文学/英文学/ドイツ文学 | 若干名 | 若干名 |
外国人特別学生の募集人員表を一般学生の表と見比べると、実施回が一般学生と食い違う教室があることがわかります。たとえば社会学・社会人類学・社会福祉学は一般学生が9月・2月の両方で実施される一方、外国人特別学生の募集は9月入試のみです。反対に心理学・臨床心理学は外国人特別学生の募集が2月入試のみとなっています。留学生として出願を検討する場合は、一般学生向けの日程だけを見て判断せず、外国人特別学生募集要項の該当ページを個別に確認する必要があります。
募集人員・出願資格|語学スコアの扱いも含めて確認する
2027年度学生募集要項(一般学生)に示された博士前期課程の募集人員は、次のとおりです。「約○名」と具体的な目安が示されている教室と、「若干名」としか示されていない教室があり、後者は年度によって変動しやすい傾向があります。
| 教室(募集単位) | 9月入試 | 2月入試 |
|---|---|---|
| 社会学 | 約4名 | 約2名 |
| 社会人類学 | 約4名 | 若干名 |
| 社会福祉学 | 約4名 | 若干名 |
| 心理学 | 約4名 | 若干名 |
| 臨床心理学 | 約4名 | 若干名 |
| 教育学 | 約2名 | 約2名 |
| 言語科学 | 若干名 | 若干名 |
| 日本語教育学 | 約4名 | 若干名 |
| 哲学 | 約3名 | 若干名 |
| 西洋古典学 | 非公表(哲学教室の欄に含む) | 非公表(哲学教室の欄に含む) |
| 歴史学・考古学 | − | 約6名 |
| 表象文化論 | − | 若干名 |
| 日本文学 | 若干名 | 若干名 |
| 中国文学 | − | 若干名 |
| 英文学 | 若干名 | 若干名 |
| ドイツ文学 | − | 若干名 |
| フランス文学 | − | 若干名 |
募集人員表を見ると、西洋古典学の人数欄は空欄になっており、公式表では哲学と同じ列にまとめられた形で示されています。西洋古典学分野を単独で志望する場合の具体的な人数は募集要項の記載からは読み取れないため、出願を検討する段階で人文社会学部教務係に確認しておくと安心です。2月入試の歴史学・考古学は約6名と、公表されている中では最大級の目安人数になっています。
出願資格は全10号で構成されています。出願資格の号数によって手続きの重さが変わるため、自分がどの号に該当するかを最初に特定しましょう。
- (1号)日本の大学(4年制)を卒業した者、または卒業見込みの者
- (2号)学士の学位を授与された者、または授与される見込みの者(大学改革支援・学位授与機構によるものを含む)
- (3号)外国において学校教育における16年の課程を修了した者、または修了見込みの者
- (4号)外国の学校の通信教育を我が国で履修し、16年の課程を修了した者(事前認定の対象)
- (5号)外国の大学の課程を有すると文部科学大臣が指定する教育施設の課程を修了した者
- (6号)修業年限3年以上の外国の大学等を修了し、学士相当の学位を授与された者(事前認定の対象)
- (7号)修業年限4年以上の専修学校専門課程で文部科学大臣が指定するものを修了した者
- (8号)文部科学大臣が個別に指定した者
- (9号)大学に3年以上在学し、優れた成績で必要単位を修得したと研究科が認めた者(事前認定の対象)
- (10号)研究科の個別審査により大学卒業者と同等以上の学力があると認められた22歳以上の者(事前認定の対象)
このうち4号・6号・9号・10号に該当する場合は「出願資格の事前認定」を受ける必要があり、2027年度9月入試では2026年7月21日〜24日、2月入試では2026年12月7日〜10日の期間に来学して手続きを行う決まりです。事前認定は郵送受付不可で来学が必須という運用のため、該当する可能性がある人は出願期間よりかなり前から準備する必要があります。自分の経歴がどの号に当てはまるか判断がつかない場合は、自己判断で出願準備を進めず、早めに人文社会学部教務係へ問い合わせることをおすすめします。海外在住者が9月入試に出願する場合は、出願期間より前に人文社会学部教務係へメールで連絡することも案内されています。
事前認定とは別に、受験上・修学上の配慮を希望する場合の「出願にかかる事前協議」という制度もあり、受付期間は事前認定と同じ日程です。障害等により試験時間の延長や別室受験などの配慮が必要な場合は、この期間内に原則来学して相談する必要があります。配慮の申請は出願より前の指定期間に限られるため、当日になって相談できるものではない点に注意してください。
出願書類は、(1)入学志願票一式、(2)受験者個人調査票、(3)入学考査料の振込証明書または収納証明書、(4)出身大学の成績証明書、(5)出身大学の卒業(卒業見込)証明書、(6)住民票(外国籍の者のみ)、(7)在留カードのコピー(外国籍の者のみ)、(8)教室別提出書類(研究計画書・卒業論文の写し等)、(9)研究計画書(該当する場合)、(10)受験票送付用封筒の10点です。角形2号封筒に入れ書留速達郵便で送付することが指定されており、直接持参しても受け付けてもらえません。証明書の発行には時間がかかることがあるため、出願期間の直前ではなく早めの準備が欠かせません。写真も出願3か月以内に撮影したもので、脱帽・上半身・正面向き(縦5cm×横4cm)と細かく指定されており、加工アプリで修正した写真は試験当日の本人確認に支障が出るおそれがあるとして使用しないよう案内されています。
語学スコアの扱いについては、2027年度博士前期課程・博士後期課程の学生募集要項を確認した範囲で、TOEICやTOEFLなど外部英語検定試験のスコア提出を出願資格・提出書類として求める記載は見当たりませんでした。外部スコアではなく当日の言語科目筆記試験で英語力(教室によってはドイツ語・フランス語・中国語なども選択可)を測る設計になっています。この方針は年度によって見直される可能性があるため、出願前には必ず最新の募集要項で語学試験の扱いを確認してください。
費用面では、入学考査料は一律30,000円、入学料は東京都の住民が141,000円、それ以外の者が282,000円(いずれも予定額)、年額授業料は520,800円(予定額)です。入学考査料はWebサイト(E−支払いサイト)または金融機関の窓口振込みで納付でき、出願書類自体は書留速達郵便での郵送のみ受け付けられます。検定料はWeb決済できても出願書類は郵送必須という点は見落としやすいので注意しましょう。授業料には減額・免除の制度があるほか、都立大学は東京都独自の授業料実質無償化の対象校でもあるため、経済的な事情がある場合は出願前に大学の学生支援窓口へ相談する価値があります。E−支払いサイトではコンビニエンスストア、ペイジー対応ATM、ネットバンキング、クレジットカード、銀聯ネット決済から選べますが、日本国外からの支払いはクレジットカードまたは銀聯ネット決済に限られる点も覚えておきましょう。
入学料の「東京都の住民」区分は、本人または配偶者・一親等の親族が、入学日の1年前から引き続き都内に住所を有する場合に適用されます。都内在住かどうかで入学料が14万円ほど変わるため、進学のタイミングで住民票を移す予定がある場合は、認定基準となる1年前の時点を意識しておく必要があります。自然災害の被災者に対しては入学考査料を免除する制度もあり、該当する場合は支払い前に人文社会学部教務係へ問い合わせることが案内されています。
試験科目|言語科目・専門分野基礎・論文・口述試験の教室別構成
募集要項の選考方法には「学力試験は、筆記試験(言語科目、専門分野基礎、論文)及び面接による口述試験によって行います」と明記されています。ただしこの4要素をすべて課す教室ばかりではなく、教室ごとに組み合わせと出題順が異なります。別表に示された2027年度一般学生の試験科目を教室単位で整理すると、次のようになります。
| 教室 | 実施時期 | 試験の流れ(科目構成) |
|---|---|---|
| 社会学 | 9月・2月 | 言語科目(英・独・仏から1)→専門分野基礎知識→論文→口述試験 |
| 社会人類学 | 9月・2月 | 英語Ⅰ+言語科目(英語Ⅱ・中国語から1)→専門分野基礎知識→論文→口述試験 |
| 社会福祉学 | 9月・2月 | 英語→専門分野基礎知識→論文→口述試験 |
| 心理学 | 9月・2月 | 専門分野基礎知識→論文→英語(心理学の知識を問う場合あり)→口述試験 |
| 臨床心理学 | 9月・2月 | 心理学と同型の構成(専門分野基礎知識→論文→英語→口述試験) |
| 教育学 | 9月・2月 | 専門分野基礎知識→論文→英語Ⅰ+言語科目(英語Ⅱ・朝鮮語)→口述試験 |
| 言語科学 | 9月・2月 | 専門分野基礎知識→専門英語→口述試験 |
| 日本語教育学 | 9月・2月 | 言語科目(英・中・朝・仏・西・露・ポルトガルから1)→専門分野基礎知識→論文→口述試験 |
| 哲学 | 9月・2月 | 言語科目(2か国語選択)→〔9月:論文/2月:専門分野基礎知識〕→口述試験 |
| 西洋古典学 | 9月・2月 | 言語科目(1か国語)+専門分野基礎知識→ギリシア語及びラテン語→口述試験 |
| 歴史学・考古学 | 2月のみ | 言語科目(6言語から1)→論文→口述試験(史料読解を問う場合あり) |
| 表象文化論 | 2月のみ | 言語科目(英・仏から1)→専門知識→口述試験 |
| 日本文学 | 9月・2月 | 英語及び中国古典〔漢文〕→専門分野基礎知識→論文→口述試験 |
| 中国文学 | 2月のみ | 英語(辞書貸与)→中国語(古典を含む)→専門分野基礎知識→口述試験 |
| 英文学 | 9月・2月 | 英語→論文及び専門分野基礎知識→口述試験 |
| ドイツ文学 | 2月のみ | ドイツ語及び英語→専門知識→口述試験 |
| フランス文学 | 2月のみ | フランス語及び言語科目(英・羅・希から1)→専門知識→口述試験 |
この表で目を引くのは、哲学教室だけが9月と2月で科目構成が異なる点です。9月入試では言語科目のあとに「論文」が置かれますが、2月入試では同じ位置に「専門分野基礎知識」が置かれ、論文は課されません。加えて哲学教室は言語科目を2か国語選択する必要があり、古代哲学志望者はギリシア語、中世哲学志望者はラテン語を選択に含めることが指定されています。語学負荷という点では哲学教室が最も重い設計といえます。
社会学系の3教室(社会学・社会人類学・社会福祉学)と心理学系の2教室(心理学・臨床心理学)、日本語教育学、哲学の合計7教室では、学力試験当日に一次合格者発表が行われます。募集要項には「*印の付いている教室は、一次合格者発表を行います」と明記されており、これらの教室では初日の筆記試験結果で一次選考が行われ、二次選考として論文や口述試験に進む仕組みです。一次合格者発表がある7教室は選考段階がより多いため、初日の出来が翌日以降の受験可否に直結します。反対に、教育学・言語科学・西洋古典学・歴史学考古学・表象文化論・文化関係論の各教室は一次合格者発表を行わず、日程を通して一括で合否が判定される設計です。
| 選考パターン | 該当教室 |
|---|---|
| 一次合格者発表あり(複数段階選考) | 社会学・社会人類学・社会福祉学・心理学・臨床心理学・日本語教育学・哲学 |
| 一次合格者発表なし(一括判定) | 教育学・言語科学・西洋古典学・歴史学考古学・表象文化論・日本文学・中国文学・英文学・ドイツ文学・フランス文学 |
辞書の持ち込みルールも教室によって異なります。社会学・社会人類学・社会福祉学・日本語教育学・表象文化論の各教室では言語科目で辞書1冊の持ち込みが認められる一方、特に記載のない教室は辞書持込不可が原則です。辞書持込の可否は教室ごとに明記された例外であり、自己判断で持ち込むことはできません。中国文学教室に限っては英語の試験時間に辞書が貸与される運用で、試験開始前に試験教室で受け取る仕組みになっています。日本文学教室では英語と中国古典(漢文)が同一の試験時間にまとめて出題されるため、漢文読解の準備が避けて通れない教室であることも、科目名だけを見ていては気づきにくい特徴です。
科目名の表記にも注意が必要です。表象文化論・ドイツ文学・フランス文学の3教室は「専門知識」という科目名を使い、社会学系や日本文学などの教室は「専門分野基礎知識」という科目名を使っています。似た名称でも教室ごとに定義された別の科目として運用されているため、他教室の対策情報をそのまま流用すると出題傾向を読み違えるおそれがあります。西洋古典学教室では、言語科目と専門分野基礎知識に加えて、ギリシア語及びラテン語という言語そのものを問う科目が独立して設けられている点も、他の教室にはない特徴です。
試験の拘束時間も教室によって幅があります。たとえば社会学教室の1日目は9時30分から12時30分に言語科目、13時30分から15時30分に専門分野基礎知識という日程で、2日目は10時から12時に論文、13時30分以降に口述試験という時間割です。哲学教室の1日目は9時30分から12時30分の言語科目(2か国語選択)に続けて13時30分から16時まで論文が組まれており、1日目だけで6時間以上を要する拘束時間の長さが他教室と比べて際立ちます。時間割の長さも、教室ごとの負荷を見積もる材料になります。
専門分野基礎知識の出題範囲は公表されていませんが、専攻ごとのアドミッションポリシーから推測できる部分もあります。社会行動学専攻は「理論・学説および方法論における研究能力」を求めており、社会学・社会人類学・社会福祉学の専門分野基礎知識は、各分野の基礎理論の理解を問う出題になっていると考えられます。人間科学専攻の各教室では、心理学・臨床心理学が実験心理学や発達心理学など複数の下位分野をまたぐ基礎知識を、言語科学が理論言語学や心理言語学に関わる専門英語を、それぞれ出題する可能性があります。断定はできませんが、志望教室の教員一覧に並ぶ専門分野の幅を確認しておくことは、専門分野基礎知識の対策範囲を絞り込む手がかりになります。
当日の運営ルールも把握しておく必要があります。募集要項には「指定された試験科目を1科目でも受験しなかった場合、それ以降の科目の受験は認めません」と明記されており、途中棄権は以降の科目すべての受験資格を失うという厳格な運用です。体調不良などやむを得ない事情で試験の一部または全部が実施できない場合に備え、試験日の翌日が試験予備日として設定されています。予備日の実施有無は研究科ウェブサイトで周知されるため、試験期間中はサイトの更新も確認しておくと安心です。
研究計画書・研究室訪問|提出要否と文字数は教室ごとに違う
出願書類のうち研究計画書は、募集要項に「本研究科所定の表紙(様式1)を付けること」と定められた指定様式があります。ただし全教室が提出必須というわけではなく、社会学・社会人類学・社会福祉学・日本語教育学の4教室は提出不要とされています。それ以外の教室は研究計画書の提出が必須で、字数の目安は教室ごとに異なります。
| 教室 | 研究計画書の要否・分量 | 卒業論文等の扱い |
|---|---|---|
| 社会学/社会人類学/社会福祉学/日本語教育学 | 提出不要(社会学のみ2月試験で卒論写しと概要2,000字程度を求める) | 教室により異なる |
| 心理学/臨床心理学 | 必須・3,000字程度 | 卒論提出済みの場合のみ写し(日本語・英語以外は概要4,000字程度) |
| 教育学 | 必須・4,000字以内 | 卒業論文の写しが必要 |
| 言語科学 | 必須・英語で1,000語程度、参考文献一覧を添付 | 卒論写しまたは準ずるものと概要1,000字程度 |
| 哲学 | 必須・哲学志願者4,000字程度/西洋古典学志願者2,000字程度 | 2月入試は卒業論文またはこれに準ずるものの写しが必要 |
| 歴史学・考古学 | 必須・2,000字程度 | 卒業論文(改訂可)の写しが必要 |
| 表象文化論 | 必須・2,000字以上 | 表象文化論に関わる日本語論文20,000字以上の提出可(卒業論文で代替可) |
| 日本文学 | 必須・1,000字程度 | 特記なし |
| 中国文学 | 必須・2,000字程度 | 卒論写しと要旨2,000字程度が必要 |
| 英文学 | 必須・1,000字以内 | 卒論要旨1,000字程度が必要 |
| ドイツ文学 | 必須・1,000字程度 | 卒論写しが必要 |
| フランス文学 | 必須・2,000字程度 | 卒論写しが必要 |
特に目を引くのは表象文化論教室です。研究計画書2,000字以上に加え、20,000字以上の日本語論文提出という選択肢が用意されており、卒業論文でこの条件を満たせば代用も可能とされています。言語科学教室は研究計画書を英語で1,000語程度作成する必要があり、参考文献一覧を別に添付する指定もあるため、日本語での構成を先に固めてから英訳するといった準備期間の確保が欠かせません。
研究室訪問については、2027年度の学生募集要項に義務や事前連絡の要否を直接定めた記載は見当たりませんでした。募集要項に研究室訪問の規定がないため、必須かどうかは断定できませんが、研究計画書を教室の研究内容と接続させるうえでは、募集要項巻末に掲載される「専攻別教員及び研究分野一覧」を確認する価値があります。この一覧には教員名と専門分野が教室単位で列挙されており、たとえば社会学教室には理論社会学、労働社会学、都市社会学、家族社会学、教育社会学など複数の専門分野を持つ教員が並び、社会人類学教室にはエスニシティ研究、法人類学、都市人類学、先住民研究など地域や方法論の異なる教員が在籍しています。
募集要項巻末の教員一覧には、定年退職予定の教員に「**(2027年3月に定年退職予定)」「*(2028年3月に定年退職予定)」という注記が付されている点も見逃せません。指導を希望する教員の在職期間は入学前に確認しておくべき情報で、2年間の博士前期課程を通して同じ教員から一貫した指導を受けたい場合、この注記の有無は志望教室・志望テーマを決めるうえでの実務的な判断材料になります。
他の専攻でも教員の専門分野は幅広く分かれています。人間科学専攻の教育学教室には障害者教育学、社会教育・生涯学習、教育行政学、教育哲学など複数の下位分野があり、文化基礎論専攻の哲学教室には近現代フランス哲学、西洋古代哲学・倫理学、西洋古典学、近現代ドイツ哲学、言語哲学の教員が在籍しています。歴史学・考古学教室は東洋古代史、日本近代史、考古学、西洋中世史、日本古代・中世史、西アジア史など時代・地域が細分化されており、歴史学・考古学という一つの教室名の中に多様な専門地域が同居しています。表象文化論教室には映像文化論・比較文学、舞台芸術研究・身体論、ジェンダー論、映画研究、聴覚文化論・音楽文化論などの教員が並び、研究計画書のテーマ設定の幅広さを裏づけています。
文化関係論専攻の各教室も同様です。英文学教室には19世紀アメリカ文学、17世紀英文学、現代詩研究、日米比較文学など時代・地域の異なる専門分野の教員が並び、中国文学教室には中国語法史・語彙史、現代中国語文法・方言学、中国近現代文学、中国古典文学・幻想文学といった言語学と文学の両系統の教員が在籍しています。ドイツ文学教室にはドイツ・ロマン派の詩学から現代ドイツ語圏文学、文芸翻訳まで、フランス文学教室には西洋古典学・古代哲学史から19〜20世紀フランス文学、現代フランス思想までの教員がそろっており、同じ教室内でも指導教員によって専門領域が大きく異なります。指導を希望する教員の研究テーマと自分の研究計画がどうつながるかを、この一覧とシラバス等で事前に確認しておくと、研究計画書と口述試験の内容に一貫性を持たせやすくなります。研究室への連絡方法に迷う場合は、事前準備の流れを解説した研究室訪問のメール例文集も参考になります。
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日程・スケジュール|9月入試・2月入試・博士後期課程を時系列で整理
2027年度一般学生(博士前期課程)の日程は、9月入試と2月入試で次のように定められています。出願は郵送のみで期間内必着という条件は両入試共通です。学力試験の会場は東京都立大学南大沢キャンパスで、京王相模原線南大沢駅から徒歩約5分の立地です。遠方から受験する場合は、前泊の要否も含めて早めに移動計画を立てておくと安心です。
| 項目 | 9月入試 | 2月入試 |
|---|---|---|
| 事前認定受付 | 2026年7月21日〜24日 | 2026年12月7日〜10日 |
| 入学考査料支払期間 | 2026年8月3日〜13日 | 2026年12月15日〜2027年1月8日 |
| 出願期間 | 2026年8月7日〜13日必着 | 2027年1月4日〜8日必着 |
| 受験票交付 | 9月11日までに通知 | 2月5日までに通知 |
| 試験日 | 2026年9月24日・25日 | 2027年2月14日・15日 |
| 一次合格者発表(該当7教室) | 9月24日19時以降 | 2月14日19時以降 |
| 合格発表 | 2026年10月5日10時以降 | 2027年2月26日10時以降 |
| 入学確約書 | 2027年1月8日までに提出 | 該当なし |
| 入学手続 | 2027年3月9日まで | 2027年3月9日まで |
9月入試の合格者だけに課される「入学確約書」の提出は見落としやすい手続きです。9月入試合格者は2027年1月8日までに入学確約書を提出しないと、2月中旬発送予定の入学手続案内を受け取れず、結果的に入学手続そのものができなくなるおそれがあります。9月入試で合格した場合は、年明けの提出期限をカレンダーに登録しておくことをおすすめします。事前認定・入学考査料の支払い・出願・受験票交付・試験・一次合格者発表・合格発表・入学確約書・入学手続という一連の流れは、9月入試では約7か月、2月入試では約3か月の期間に収まっており、2月入試のほうが準備から合格発表までの期間が短い点も踏まえてスケジュールを組む必要があります。
博士後期課程は2月入試のみで、出願資格7号・8号に該当する場合の事前認定と受験上の配慮に関する事前協議は2026年12月7日〜10日、出願期間は2027年1月4日〜8日必着、試験日は2027年2月16日、合格発表は2027年2月26日10時以降です。入学考査料は一般学生と同じ30,000円ですが、本学大学院博士前期課程を2026年9月に修了した者、または2027年3月修了見込みの者は入学考査料が免除されます。内部進学者向けの検定料免除は外部受験生には適用されませんので、他大学院から博士後期課程を受ける場合は通常どおり納付が必要です。
博士後期課程の出願書類には、成績証明書・修了証明書に加えて修士論文または研究論文の写しと論文概要の提出が求められます。字数の目安は教室によって異なり、社会学・社会福祉学・心理学・教育学・日本語教育学・哲学・歴史学考古学は日本語2,000字〜4,000字程度、社会人類学は日本語2,000〜4,000字または英語1,000〜2,000語、英文学・ドイツ文学・フランス文学はそれぞれの言語で1,000語程度と定められています。外国語で書かれた論文には日本語要旨の添付が求められる教室もある点も特徴です。表象文化論は外国語論文の場合40,000字程度、日本文学は20,000字程度、中国文学は12,000字程度の日本語要旨が必要とされています。都立大学の博士前期課程を同じ教室で修了した(見込みを含む)場合は、修士論文の写し自体は提出不要で概要のみでよいとされる教室が複数あり、内部進学と外部進学とで提出負担が変わる点も押さえておきましょう。
職業を持っている、あるいは出産・育児・介護を行う必要があるといった事情で標準修業年限(博士前期課程2年、博士後期課程3年)内での修了が難しい場合は、長期履修制度を利用できます。博士前期課程は3年間または4年間、博士後期課程は4年間・5年間・6年間のいずれかで学修する計画を立てられ、標準修業年限分の授業料総額を長期在学期間に分割して納付できる仕組みです。申請書は他の出願書類と一緒に提出する必要があるため、該当しそうな場合は出願前に申請手続案内を確認しておきましょう。長期履修の期間は延長できず、短縮は1回のみ認められる決まりです。
出願時に提供した個人情報は、入学者選抜や入学手続のほか、教務・学生支援・授業料徴収といった業務、そして今後の入学者選抜方法を検討するための資料としても利用される旨が募集要項に明記されています。試験成績は合否判定だけでなく将来の選抜方法の検討にも使われるという位置づけも、あわせて理解しておくとよいでしょう。
倍率・難易度|公表データがない中で何を手がかりにするか
2027年度学生募集要項および研究科公式サイトの入試案内ページを確認した範囲では、志願者数・合格者数・倍率は公表されていません。具体的な倍率の数値をお示しすることはできませんので、志望教室の最新の実施状況については人文社会学部教務係に直接問い合わせることをおすすめします。
公表データがない以上、難易度を推測する手がかりは間接的な情報に限られます。ひとつは募集人員の表記です。「約4名」のように具体的な目安人数が示されている社会学・社会人類学・社会福祉学・心理学・臨床心理学・日本語教育学の6教室は、ある程度の受け入れ枠が見込める一方、「若干名」としか示されていない言語科学・西洋古典学・表象文化論・日本文学・中国文学・英文学・ドイツ文学・フランス文学の各教室は、年度によって募集枠自体が変動しやすいと考えられます。
もうひとつの手がかりは選考プロセスの長さです。一次合格者発表を行う社会学・社会人類学・社会福祉学・心理学・臨床心理学・日本語教育学・哲学の7教室は、書類審査、初日の筆記試験による一次選考、2日目の論文・口述試験という複数段階の選考を経る設計です。選考段階が多い教室ほど各段階での絞り込みが行われていると推測できますが、これは選考構造からの推測であり、実際の競争率を示すものではない点にご留意ください。反対に一次合格者発表のない10教室は、2日間の試験結果を通して一括で判定される分、当日の総合力で合否が決まりやすい構造とも捉えられます。
試験科目の負荷も体感難易度に影響します。2か国語選択を課す哲学教室、史料読解の可能性がある歴史学・考古学教室のように、言語や読解の負担が大きい教室は準備に必要な時間も長くなりがちです。加えて、研究計画書が20,000字以上の論文提出という選択肢を含む表象文化論教室や、英語1,000語での研究計画書作成を求める言語科学教室のように、提出書類そのものの作成負荷が高い教室も存在します。倍率という単一の数字だけでなく、試験科目・提出書類・実施回数を総合して自分にとっての難易度を見積もることが現実的です。
実施時期が2月のみに限られる歴史学・考古学、表象文化論、中国文学、フランス文学、2027年度のドイツ文学の5教室は、年に1回しか受験機会がないという構造そのものが、準備期間の圧縮という形で難易度に影響します。年1回しか受験機会がない教室は失敗できる回数が少ないため、9月・2月の両方が実施される教室以上に、出願前の準備を綿密に組み立てる必要があります。大学院入試全体の難易度の考え方を整理したい場合は、大学院入試の難易度ランキングもあわせて参考にしてください。
過去問分析・出題予測と面接(口述試験)対策
人文科学研究科の公式サイトには「院入試過去問」のページがあり、2025年度・2026年度の過去問がPDFで公開されています。過去問は教室・9月/2月・一般学生/外国人特別学生の単位で個別に分かれて掲載されており、2026年度分では社会学、社会人類学、社会福祉学、心理学、臨床心理学、教育学、言語科学、日本語教育学、哲学、歴史学・考古学、表象文化論、日本文学、中国文学、英文学、ドイツ文学、フランス文学といった教室のPDFが確認できました。募集要項には著作権法に抵触するおそれがある問題は非公開とする旨の記載があり、非公開分は人文社会学部教務係の窓口で閲覧できます。
過去問が公開されている教室でも、単に年度分を解くだけでは対策として不十分です。試験科目の並び(言語科目→専門分野基礎知識→論文→口述試験、または専門分野基礎知識→論文→英語→口述試験など)を教室ごとに把握したうえで、出題順と時間配分を過去問演習に反映させることが、本番での時間切れを防ぐポイントになります。日本文学教室のように英語と中国古典(漢文)が同一時間帯にまとめて出題される教室では、漢文単独の演習だけでなく、英語と漢文を同じ制限時間内で処理する練習が必要です。歴史学・考古学教室では言語科目を英語・ドイツ語・フランス語・ロシア語・中国語・朝鮮語の6言語から選択でき、選べる言語の幅が広い分どれを選ぶか自体が戦略になります。
西洋古典学教室は、言語科目に加えてギリシア語及びラテン語という独立科目が設けられている点が過去問分析の出発点になります。この2言語は西洋古典学という分野の性質上、専門分野基礎知識と切り離せない位置づけにあると考えられ、出願前から時間をかけて学習しておく必要があります。表象文化論教室は言語科目のあとに「専門知識」、続けて口述試験という2段階の構成で、研究計画書に書いた広義の表象文化論のテーマと専門知識の出題がどう関わるかを、過去問と募集要項の理念文(「多様な知識を授け」「研究能力または高度の専門性を要する職業等に必要とされる能力を養う」)から読み解く姿勢が求められます。
過去問の公開有無にかかわらず出題内容を予測する場合は、アドミッションポリシーと試験科目の並びから逆算する方法が現実的です。たとえば人間科学専攻のアドミッションポリシーには「大学卒業生としての十分な基礎学力」「みずから選択した専門分野における研究のために必要な能力」が入学者に求める能力として掲げられており、専門分野基礎知識の出題は在学中に学んだ基礎概念の理解度を問う可能性が高いと考えられます。心理学・臨床心理学教室では「英語(心理学に関する知識を出題することがある。)」と募集要項に明記されており、語学と専門知識を切り離さずに出題される可能性があることが読み取れます。断定はできませんが、専門用語の英語表現も含めて準備しておくと安心です。フランス文学教室のように、フランス語に加えて英語・ラテン語・ギリシア語のいずれかを選ぶ言語科目が課される教室もあり、文化関係論専攻内でも語学の組み合わせは教室ごとに異なります。
口述試験(面接)は、ほぼ全ての教室で試験2日目の午後から夕方にかけて実施されるという共通パターンが確認できます。研究計画書の提出が必須の教室では、提出した計画書の研究テーマや方法論について踏み込んだ質問がなされると考えられ、卒業論文の写しを求める教室では、その論文内容についての質疑が中心になると推測されます。研究計画書と口述試験の内容は一枚の設計図として準備する意識を持ち、書いた内容と口頭で説明する内容にずれがない状態を作っておくことが重要です。歴史学・考古学教室のように「研究に求められる史料読解能力を試す場合がある」と募集要項に明記されている教室では、口述試験の場で史料の読解を求められる可能性も想定しておく必要があります。
一次合格者発表がある社会学・社会人類学・社会福祉学・心理学・臨床心理学・日本語教育学・哲学の7教室では、初日の筆記試験を通過した受験者だけが2日目の論文・口述試験に進みます。一次選考を通過した前提で口述試験に臨めるため、口述試験当日は専門知識の再確認よりも、研究計画や志望理由の説明力に比重を置いた準備がしやすくなります。一方、一次合格者発表のない教室では、2日間の試験結果が通しで評価されるため、口述試験の時点でも専門分野基礎知識や論文の出来を意識し続ける必要があります。
併願・内部リンク|研究科内の複数教室と学内他研究科をどう組み合わせるか
人文科学研究科の博士前期課程は年2回の入試機会がありますが、すべての教室が両方の回に出願できるわけではありません。歴史学・考古学、表象文化論、中国文学、フランス文学、そして2027年度のドイツ文学の5教室は2月入試のみの実施のため、9月に不合格でも同一年度内に再挑戦する機会がない点に注意が必要です。一方、社会学系や心理学系など9月・2月双方で実施される教室では、9月入試の結果を踏まえて2月入試に出願し直すという選択肢が制度上は存在します。出願資格の事前認定が必要な人は、9月入試ですでに事前認定を受けていれば2月入試で省略できる場合があるとも案内されているため、該当する人は人文社会学部教務係に確認してください。
都立大学の大学院には人文科学研究科のほかにも複数の研究科があり、学内で複数の研究科・専攻を併願する受験生もいます。たとえば東京都立大学大学院経営学研究科の外部院試を整理した記事もあわせて確認すると、同じキャンパス内での併願パターンや出願資格の違いを比較しやすくなります。研究科をまたいだ併願を検討する場合は、出願期間や試験日が重複しないか、証明書の準備が二重に必要にならないかを、早い段階で表にまとめておくことをおすすめします。特に9月入試は8月上旬という出願期間の短さに対して証明書の発行が追いつかないケースもあるため、複数校の証明書を同時期に手配する場合は特に余裕を持つ必要があります。
同じ人文科学研究科の中で複数教室を併願することも制度上は可能ですが、教室ごとに研究計画書・卒業論文の写し・過去問対策が異なるため、準備の分散には限界があります。併願先を増やすほど1教室あたりの準備密度は下がるため、第一志望の教室に照準を絞ったうえで、日程が許す範囲で2月入試の別教室や他大学院を組み合わせる考え方が現実的です。出願資格の事前認定が必要な人は、この併願計画と事前認定の受付期間を重ねて確認しておきましょう。
院試対策の全体的な進め方やスケジュールの立て方を体系的に押さえたい場合は、大学院入試対策の完全ガイドも参考になります。教室ごとの出願資格・試験科目・研究計画書の要否といった一次情報の読み解きに加えて、自分の学習状況や残り期間に合わせた対策の優先順位づけに不安がある場合は、大学院入試を専門とするコースで個別に相談する方法もあります。
出願直前に見落としがちな項目を、教室単位で確認する形でチェックリストにまとめました。
- 志望教室の実施時期(9月・2月、または2月のみ)と募集人員の表記(約○名/若干名)を最新募集要項で確認する
- 自分の出願資格が何号に該当するか、事前認定が必要かどうかを確認する
- 研究計画書の要否・分量・様式、卒業論文の写しや要旨の要否を教室別提出書類一覧で確認する
- 成績証明書・卒業(見込)証明書など、発行に時間がかかる書類を早めに手配する
- 入学考査料の納付方法(振込依頼書またはE−支払いサイト)と支払期間を確認する
- 出願書類一式を書留速達郵便で送付できるよう、余裕を持った発送日を設定する
よくある質問(FAQ)
東京都立大学大学院人文科学研究科の募集人員は何名ですか。
教室によって幅があり、2027年度一般学生募集要項では社会学・社会人類学・社会福祉学・心理学・臨床心理学・日本語教育学が9月約4名、歴史学・考古学が2月約6名と目安が示される一方、言語科学・西洋古典学・表象文化論・日本文学・中国文学・英文学・ドイツ文学・フランス文学は「若干名」とされています。志望教室の最新の数字は必ず募集要項でご確認ください。
出願にTOEICやTOEFLのスコア提出は必要ですか。
2027年度の博士前期課程・博士後期課程の学生募集要項を確認した範囲では、外部英語検定試験のスコア提出を求める記載は見当たりませんでした。英語力は当日の言語科目筆記試験(教室によってはドイツ語・フランス語・中国語なども選択可)で測る設計です。方針は変更される可能性があるため、出願前に最新の要項でご確認ください。
研究計画書はすべての教室で必要ですか。
いいえ。社会学・社会人類学・社会福祉学・日本語教育学の4教室は研究計画書の提出が不要です。それ以外の教室は必須で、字数の目安は1,000字程度から4,000字程度まで教室ごとに異なり、言語科学教室のように英語1,000語程度での作成を求める教室や、表象文化論教室のように20,000字以上の論文提出を選べる教室もあります。
過去問はどこで確認できますか。
研究科公式サイトの「院入試過去問」ページに、2025年度・2026年度分が教室・9月/2月・一般学生/外国人特別学生の単位でPDF公開されています。著作権法に抵触するおそれがある問題は非公開とされており、その場合は著作権法に抵触するおそれがある問題は非公開とされており、人文社会学部教務係の窓口で閲覧できます。窓口の電話番号は研究科公式サイトの問い合わせ先ページに掲載されているため、閲覧を希望する場合は事前に確認のうえ、対象年度と教室を伝えておくとスムーズです。
9月入試に不合格でも2月入試に出願し直せますか。
9月・2月の両方で実施される教室であれば、制度上は2月入試に再度出願できます。ただし歴史学・考古学、表象文化論、中国文学、フランス文学、2027年度のドイツ文学の5教室は2月入試のみの実施のため、この場合は再挑戦の機会自体がありません。志望教室の実施回数を事前に確認しておきましょう。
社会人ですが受験できますか。
2027年度の学生募集要項には、社会人向けの別枠選抜(推薦入試や社会人特別選抜など)は設けられておらず、出願資格を満たせば一般学生として受験する形になります。受験上・修学上の配慮を希望する場合は、出願前の指定期間内に人文社会学部教務係へ連絡して事前協議を行う制度があります。就労しながらの通学が難しい場合は、標準修業年限を延ばして学べる長期履修制度も検討できます。
博士後期課程から外部で入学することはできますか。
可能です。出願資格は修士の学位を有する者、または専門職学位を有する者、研究科の個別審査で同等以上の学力があると認められた者などです。2027年度は2月入試のみで、出願期間は2027年1月4日〜8日、試験日は2月16日、合格発表は2月26日です。本学博士前期課程修了見込みの者は入学考査料が免除されますが、外部の大学院から出願する場合は通常どおり30,000円が必要です。
倍率はどのくらいですか。
2027年度学生募集要項および研究科公式サイトを確認した範囲では、志願者数・合格者数・倍率は公表されていません。募集人員の表記(約○名か若干名か)や、一次合格者発表の有無といった選考構造を手がかりに準備状況を判断しつつ、最新の状況は人文社会学部教務係にお問い合わせください。
まとめ|東京都立大学大学院人文科学研究科の外部院試は「教室単位」で準備する
東京都立大学大学院人文科学研究科の外部院試は、専攻という大枠ではなく17の教室ごとに募集人員、研究計画書の要否、試験科目の並び、実施時期が異なる点が最大の特徴です。2027年度学生募集要項からは、外部英語スコアではなく独自の言語科目筆記試験で語学力を測る設計であること、歴史学・考古学や中国文学など5教室は2月入試のみの実施であること、社会学系・心理学系など7教室では一次合格者発表を伴う複数段階の選考が行われることなど、教室ごとに具体的な違いが確認できました。出願資格・提出書類・試験科目のいずれも、同じ人文科学研究科という名称のもとで教室ごとに個別設計されているため、他教室や他大学の情報をそのまま転用しない姿勢が、この研究科の外部院試を攻略する土台になります。
倍率や志願者数のように公式に公表されていない情報については、断定的な数字を示すのではなく、募集要項の記載から読み取れる範囲で準備の優先順位を組み立てることが大切です。志望教室が固まったら、募集要項の該当ページ、過去問、専攻別教員及び研究分野一覧を突き合わせ、研究計画書と口述試験の内容に一貫性を持たせる準備を進めてください。出願資格の事前認定や受験上の配慮に関する事前協議は出願期間よりかなり前の指定期間に限られるため、志望教室と実施時期(9月・2月、あるいは2月のみ)を早めに確定し、証明書の準備や研究計画書の執筆から逆算したスケジュールを組むことが、教室単位で準備が分かれるこの研究科の外部院試に対応する基本になります。教室ごとの読み解き方や学習計画に不安がある場合は、大学院入試を専門とする大学院入試対策コースで、現在の状況に合わせた対策の優先順位を相談することもできます。
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