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金沢大学の編入学試験を徹底解説|学域別の募集人員・試験科目・日程・倍率と対策【令和9年度】

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金沢大学の編入学試験は、学域によって実施の有無・試験科目・出願資格がまったく異なります。3年次編入学を実施しているのは融合学域・理工学域・医薬保健学域保健学類の3つだけで、事前に「実施している」と言われがちな人間社会学域は、実は編入学試験を実施していません。さらに医薬保健学域には、3年次編入学とは別に医学類の学士編入学(2年次編入)という制度もあり、この2つを混同すると出願そのものを誤ります。学域が違えば募集人員も試験科目も日程も別物になるため、「金沢大学に編入したい」という段階でまず志望学域・学類を確定させることが、対策を始める前の最初の関門になります。
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この記事では、金沢大学が公表している令和9(2027)年度の学生募集要項と、令和8・9年度の志願・合格者数の実績をもとに、学域・学類別の募集人員・試験科目・日程・倍率を整理します。あわせて、理工学域が公式に公開している過去問題(解答例つき)から読み取れる出題テーマ、学域ごとに何から対策を始めるべきかまで踏み込んで解説します。
金沢大学の編入学試験には5つの選抜区分がある
まず前提として、金沢大学の「編入学試験」と呼ばれるものには、性格の違う選抜区分が複数あります。自分がどれに該当するのかを最初に確定させてください。
一般選抜
短期大学・高等専門学校・専修学校専門課程・高等学校専攻科の卒業(修了)者や、大学に2年以上在学し62単位以上を修得した者などを対象とする、もっとも中心的な3年次編入学試験です。融合学域・理工学域・医薬保健学域保健学類のすべてで実施されています。本記事で中心的に扱うのはこの制度です。
外国人留学生選抜・社会人選抜(融合学域のみ)
融合学域は一般選抜に加えて、外国人留学生選抜・社会人選抜も実施しています。社会人選抜は「社会人経験3年以上・満23歳以上」が条件で、優秀な成績で合格すると入学料・授業料の全額免除制度の対象にもなります。理工学域・保健学類にはこれらの独立した選抜区分はありません。
特別選抜(推薦)・特別選抜(高専推薦枠)(理工学域のみ)
理工学域は学類によって選抜方式が分かれています。物質化学類・機械工学類・フロンティア工学類・地球社会基盤学類土木防災コース/環境都市コースは「特別選抜(推薦)」で、出身学(校)長が人物・学業成績ともに優れていると認めた者が対象です。電子情報通信学類だけは、これに加えて「特別選抜(高専推薦枠)」があり、3・4年次の学年成績順位が上位25%以内であることが条件になります。この特別選抜(高専推薦枠)は口述試験で専門科目試験が免除されます。
さらに理工学域電子情報通信学類情報通信コースには、石川工業高等専門学校専攻科との連携教育プログラムに基づく「特別選抜(高専専攻科との連携教育プログラム)」という、対象を石川工業高等専門学校電子情報工学科の推薦者に限定した別枠の選抜も設けられています。書類審査のみで、令和9年度は3名が合格しています。
医学類の学士編入学は別制度(本記事では扱いません)
医薬保健学域医学類にも「編入学」という名称の試験がありますが、これは学士の学位を持つ者を対象とした2年次編入学(学士編入学)で、短期大学・高等専門学校からの3年次編入学とは出願資格も試験の性格もまったく異なります。医学類の学士編入学については、当サイトの金沢大学医学部の学士編入を徹底解説|出願資格・試験科目・倍率・対策までで別途詳しく解説していますので、そちらを確認してください。本記事では、短大・高専等からの3年次編入学(融合学域・理工学域・医薬保健学域保健学類)を対象とします。
人間社会学域は編入学を実施していない
金沢大学公式サイトの「編入学(学士課程)」一覧には、融合学域・理工学域・医学類・保健学類の4つのリンクのみが掲載されており、人間社会学域へのリンクはありません。人間社会学域(法学類・地域創造学類・国際学類・経済学類・学校教育学類)を卒業後の進路として検討している場合、3年次編入学というルートはそもそも存在しない点に注意してください。
なお金沢大学は「学域」「学類」という名称を使っていますが、他大学でいう「学部」「学科」にほぼ相当する組織です。「〇〇大学 編入」という検索では学部・学科名で情報を探すことが多いため、金沢大学の場合は「学域」「学類」という単位で情報が整理されている点を先に押さえておくと、要項を読み進めやすくなります。
学域・学類別の募集人員と実施年次【令和9年度】
金沢大学の3年次編入学は、融合学域3学類・理工学域7学類・医薬保健学域保健学類2専攻の、合計12の枠で実施されています。
| 学域 | 学類・専攻 | 選抜区分 | 募集人員 |
|---|---|---|---|
| 融合学域 | 先導学類 | 一般選抜15名/外国人留学生選抜・社会人選抜計10名 | 25名 |
| 観光デザイン学類 | 一般選抜15名/外国人留学生選抜・社会人選抜若干名 | 15名+若干名 | |
| スマート創成科学類 | 一般選抜20名/外国人留学生選抜・社会人選抜若干名 | 20名+若干名 | |
| 理工学域 | 数物科学類 | 一般選抜 | 5名 |
| 物質化学類 | 一般選抜/特別選抜(推薦) | 4名 | |
| 機械工学類(3コース) | 特別選抜(推薦) | 10名 | |
| フロンティア工学類 | 特別選抜(推薦) | 5名 | |
| 電子情報通信学類(2コース) | 一般選抜/特別選抜(高専推薦枠) | 7名 | |
| 地球社会基盤学類(3コース) | 一般選抜/特別選抜(推薦) | 7名 | |
| 生命理工学類(2コース) | 一般選抜 | 2名 | |
| 医薬保健学域保健学類 | 理学療法学専攻 | 一般選抜(PT・OT免許保有者対象) | 5名 |
| 作業療法学専攻 | 一般選抜(PT・OT免許保有者対象) | 5名 |
この表から読み取れる重要な点を整理します。
理工学域は40名という、3学域の中でもっとも大きい募集枠です。ただし7学類に分散しており、生命理工学類は2名、物質化学類は4名と、学類単位では小さな枠になります。
理工学域は学類ごとに選抜方式が固定されています。数物科学類・生命理工学類は一般選抜のみ、機械工学類・フロンティア工学類は特別選抜(推薦)のみで、一般選抜としては受験できません。志望する学類によって、そもそも出願できる選抜区分が違う点に注意してください。
保健学類は理学療法学専攻・作業療法学専攻の2専攻のみで、いずれもPT・OT免許保有(または取得見込み)が出願の前提です。高専卒業直後の学生がそのまま出願できる枠ではありません。
融合学域は3学類とも「外国人留学生選抜」「社会人選抜」という独立区分を持ちますが、募集人員は一般選抜と合算されているか若干名という表記です。実質的な募集の中心は一般選抜であることを踏まえて準備の優先順位を組んでください。
受験資格|自分が出願できるかを先に確かめる
試験科目や倍率を調べる前に、まず自分に受験資格があるかを確定させてください。融合学域と理工学域は共通資格がほぼ同じですが、保健学類だけはまったく別の条件になっています。
融合学域・理工学域に共通する受験資格
- 短期大学を卒業した者(卒業見込みを含む)
- 高等専門学校を卒業した者(卒業見込みを含む)
- 専修学校の専門課程(修業年限2年以上・総授業時間数1,700時間以上)を修了した者
- 高等学校・中等教育学校後期課程・特別支援学校高等部の専攻科(修業年限2年以上)を修了した者
- 大学を卒業した者(卒業見込みを含む)
- 大学に2年以上在学し62単位以上を修得した者(修得見込みを含む)
- 外国において14年以上の学校教育課程を修了した者(見込みを含む)
理工学域はこれに加えて「独立行政法人大学改革支援・学位授与機構から学士の学位を授与された者」も対象に含めています。融合学域の要項にはこの区分の明記はありません。
保健学類だけは受験資格がまったく別
保健学類の3年次編入学は、出願資格そのものが「理学療法士または作業療法士の免許を保有している、あるいは令和9年中に取得見込みであること」を前提としています。具体的には次のいずれかです。
- 短期大学で理学療法(または作業療法)関係学科を卒業し、当該免許を保有・取得見込みの者
- 専修学校の専門課程(修業年限2年以上・1,700時間以上)で理学療法(または作業療法)関係学科を修了した者
- 大学で作業療法(または理学療法)関係学科を卒業し、免許を保有・取得見込みの者(「ダブルプロ」枠)
3つ目の「ダブルプロ」は、すでに大学で作業療法士(または理学療法士)の資格を取得した人が、もう一方の資格を2年間で追加取得するための特別なルートです。出願時にWeb出願システムで「理学療法学専攻(ダブルプロ)」「作業療法学専攻(ダブルプロ)」を選択します。高専卒業者がそのまま保健学類に出願できる資格はありません。PT・OTいずれかの国家資格を持っていることが大前提です。
融合学域の社会人選抜だけの追加条件
融合学域の社会人選抜は、一般選抜の受験資格を満たしたうえで、さらに「令和9年4月1日現在で社会人経験3年以上・満23歳以上」であることが必要です。定時制・通信制・夜間部以外の学校(大学を含む)の在学期間は社会人経験年数に算入されません。
試験科目【融合学域】
融合学域は先導学類・観光デザイン学類・スマート創成科学類の3学類とも、試験科目と配点が共通です。
| 選抜区分 | 英語外部試験 | 小論文 | 口述試験 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 一般選抜 | 100点 | 100点 | 100点 | 300点 |
| 外国人留学生選抜 | 100点 | 100点 | 100点 | 300点 |
| 社会人選抜 | 100点 | 100点 | 100点(プレゼンテーション含む) | 300点 |
英語外部試験はTOEIC L&RまたはTOEFL-iBT(Home Editionを含む)のスコアを100点満点に換算します。試験当日にスコアを持参・提示できないと失格になるため、出願前にスコアを確定させておく必要があります。
小論文は「自身のこれまでの学修経歴等から解決を見据える未来課題について論述させる」という共通形式です。口述試験はアドミッション・ポリシーを念頭に置いた質疑応答で、学類ごとに次の観点が加わります。
- 先導学類・観光デザイン学類:1〜2年次に学ぶ内容に準じた基礎的な学力・能力を問う内容を含む
- スマート創成科学類:数理・データサイエンスの学びに必要な数学の基礎的な学力・能力を問う内容を含む
社会人選抜では、口述試験にプレゼンテーションが加わります。事前に提示される課題について5分程度の口頭発表を、PC機器や資料を用いず口頭のみで行います(先導学類・観光デザイン学類・スマート創成科学類とも共通)。過去の具体的な小論文・口述試験のテーマは大学から公表されていないため、本記事では公開されている試験科目・配点・形式のみを扱います。
試験科目【理工学域】
理工学域は学類・コースによって試験科目がまったく異なります。学力検査は「4年制大学の2年次修了程度」の水準で実施されます。
| 学類 | コース等 | 科目 | 英語 | 専門 |
|---|---|---|---|---|
| 数物科学類 | 数学・応用数理・計算科学・物理学の4分野 | 専門科目(数学:微分積分・線形代数/物理学:力学・電磁気学)+口述試験 | 不要(口述試験で評価) | 300点 |
| 物質化学類 | 一般選抜/特別選抜(推薦)とも | 口述試験のみ | 100点 | 400点 |
| 機械工学類 | 機械創造/機械数理/エネルギー機械 | 口述試験(出願書類総合評価) | 持参・提示要 | 非公表 |
| フロンティア工学類 | 機械工学分野/マテリアル・プロセス工学分野 | 口述試験(出願書類総合評価) | 持参・提示要 | 非公表 |
| 電子情報通信学類 | 電気電子/情報通信コース(一般選抜) | 数学+(電気回路・電磁気学・計算機基礎・情報基礎から2科目選択)計3科目+口述試験 | 100点 | 300点 |
| 電子情報通信学類 | 特別選抜(高専推薦枠) | 口述試験(専門科目試験免除) | 持参・提示要 | ― |
| 地球社会基盤学類 | 地球惑星科学コース(一般選抜) | 専門科目「地学」+口述試験 | 100点 | 200点 |
| 地球社会基盤学類 | 土木防災/環境都市コース(特別選抜推薦) | 口述試験 | 持参・提示要 | 非公表 |
| 生命理工学類 | 生物科学/海洋生物資源コース | 専門科目「生物」+口述試験 | 100点 | 100点 |
数物科学類だけは、学力検査に「筆記試験」の要素がある唯一の学類です。専門科目(数学または物理学)の試験があり、選択した分野(数学/応用数理/計算科学/物理学)によって出題科目が数学系か物理学系かに分かれます。他の学類はいずれも「口述試験」中心で、物質化学類・電子情報通信学類・地球社会基盤学類地球惑星科学コース・生命理工学類は専門科目に関する口述試験、機械工学類・フロンティア工学類・地球社会基盤学類土木防災/環境都市コースは出願書類(成績証明書・志願理由書等)と口述試験で評価されます。
数物科学類の志願者は出願時に「数学」「応用数理」「計算科学」「物理学」のいずれか1分野を選択します。機械工学類も第1志望コースを選択しますが、希望に偏りがある場合は入試成績で調整され、希望どおりのコースにならないことがあります。
地球社会基盤学類はコースによって選抜方式が違う
地球社会基盤学類も、電子情報通信学類と同じく学類内でコースによって選抜方式が分かれます。地球惑星科学コースだけが一般選抜(専門科目「地学」+口述試験)で、土木防災コース・環境都市コースは特別選抜(推薦)のみです。地球惑星科学コースは出身校の推薦がなくても出願できますが、土木防災コース・環境都市コースを志望する場合は出身校長の推薦が前提になるため、まず推薦を得られるかどうかを在学中に確認してください。同学類は3コース合計で7名の募集人員を共有しています。
電子情報通信学類は出願ルートが3つある
理工学域の中でも電子情報通信学類は、出願できるルートが3つに分かれている点で特殊です。志望する経緯によってどのルートが使えるかが変わります。
| 選抜区分 | 対象 | 試験科目 | 令和9年度募集人員 |
|---|---|---|---|
| 一般選抜 | 共通受験資格を満たす者(高専卒・短大卒・大学2年以上62単位以上など) | 数学+(電気回路・電磁気学・計算機基礎・情報基礎から2科目選択)計3科目+口述試験 | 7名(電気電子・情報通信の2コース合計) |
| 特別選抜(高専推薦枠) | 高専出身で3・4年次の学年成績順位が上位25%以内、出身学校長の推薦がある者 | 口述試験(専門科目試験免除) | |
| 特別選抜(高専専攻科との連携教育プログラム) | 石川工業高等専門学校電子情報工学科に在籍し、同校専攻科電子機械工学専攻への進学を確約できる者のみ | 書類審査のみ | 若干名(情報通信コースのみ) |
一般選抜と特別選抜(高専推薦枠)は同じ7名の募集枠を共有しますが、特別選抜(高専専攻科との連携教育プログラム)は石川工業高等専門学校の特定学科に限定した別枠で、他の高専・大学からは出願できません。電子情報通信学類を志望する高専生は、自分がどのルートに該当するかを在学中に確認しておく必要があります。
理工学域は学類ごとに「求める人材」がまったく違う
理工学域の学生募集要項には、学類ごとに「入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)」「求める人材」「入学までに身につけて欲しい教科・科目等」が個別に明記されています。試験科目の一覧だけでは見えない、学類ごとの学力要求の違いがここに出ています。
| 学類 | 入学までに身につけておくべき教科・科目(大学公表) |
|---|---|
| 数物科学類 | 選択分野により異なる。数学分野=数学(微分積分・線形代数)/応用数理分野=数学(微分積分・線形代数)とプログラミング/計算科学分野=物理学(力学・電磁気学)・数学(微分積分・線形代数)とプログラミング/物理学分野=物理学(力学・電磁気学)・数学(微分積分・線形代数) |
| 物質化学類 | 化学を含む理系基礎科目全般。教養的科目(言語・社会系科目)と化学実験科目の履修 |
| 機械工学類 | 数学・物理学・材料力学・熱力学・流れ学・機械力学 |
| フロンティア工学類 | 分野選択時に応じた機械工学(数学・物理学・材料力学・機械力学)またはマテリアル・プロセス工学の基礎科目 |
| 電子情報通信学類 | 理数系基礎科目(数学・物理学)と英語。電子情報通信分野の座学・実験科目 |
| 地球社会基盤学類 | 数学・物理学・英語(応用力を含む)に加え、自然科学全般および人文社会系科目 |
| 生命理工学類 | 数学・物理学・化学・生物学・英語(応用能力を含む)と自然科学全般 |
この表からわかるとおり、数物科学類は選択する分野によって必要科目が数学系と物理学系に分かれます。応用数理・計算科学分野を選ぶ場合はプログラミングの基礎も求められるため、令和5年度実施分から専門科目にプログラミング(C言語)が加わったことと符合します。電子情報通信学類・生命理工学類・地球社会基盤学類は「自然科学全般」「人文社会系科目」まで幅広く言及されており、専門科目だけを深掘りするのではなく、教養的な基礎学力も評価対象になっていることがうかがえます。
試験科目【医薬保健学域保健学類】
保健学類は理学療法学専攻・作業療法学専攻とも共通の試験構成です。
| 科目 | 配点 |
|---|---|
| 外国語(英語外部試験スコア) | 100点 |
| 専門科目(学力検査) | 100点 |
| 口述試験 | 100点 |
専門科目の出題範囲は、出願資格のどれで出願するかによって変わります。理学療法学専攻を出願資格⑴⑵(理学療法関係学科出身)で受ける場合は「基礎理学療法学,理学療法評価・技術学,臨床理学療法」、出願資格⑶(ダブルプロ・作業療法関係学科出身)で受ける場合は「作業療法原理,作業療法評価・技術学,臨床作業療法」が出題されます。作業療法学専攻はこの逆です。つまり、志望専攻と出身学科の組み合わせによって、勉強すべき専門科目の中身が入れ替わります。
英語は学域によって扱いがまったく違う
金沢大学の編入学試験を理解するうえで実務上重要なのが、英語外部試験スコアの位置づけが学域・学類で異なる点です。
融合学域・保健学類は、全区分でTOEIC L&RまたはTOEFL-iBTのスコアが100点満点に換算され、配点の3分の1を占めます。選抜試験当日にスコアを持参・提示する必要があり、提示できなければ失格です。
理工学域は学類によって扱いが割れます。物質化学類・電子情報通信学類・地球社会基盤学類地球惑星科学コース・生命理工学類は英語スコアが100点として配点に加算されますが、数物科学類は英語スコアの提出そのものが求められていません(口述試験で専門科目のみ評価)。一方、特別選抜(推薦)の対象学類(機械工学類・フロンティア工学類・地球社会基盤学類土木防災/環境都市コース)は、英語スコアの提示自体は必要ですが、配点表に独立した点数としては明記されていません。
いずれの学域・学類でも、英語の得点は出願・試験当日の時点で確定していることが前提です。試験直前に英語を伸ばして逆転する戦い方は成立しないため、TOEICやTOEFL-iBTのスコアづくりは出願期間の前に終わらせておく必要があります。
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日程・スケジュール【令和9年度/2027年度】
3つの学域・学類群で、出願期間・試験日がすべて異なります。併願を考える場合はこの時期のズレが前提になります。
| 学域・学類 | 出願期間 | 試験日 | 合格者発表 |
|---|---|---|---|
| 理工学域 | 2026年5月25日(月)〜29日(金) | 2026年6月13日(土) | 2026年6月25日(木) |
| 融合学域 | 2026年6月1日(月)〜5日(金) | 2026年6月20日(土) | 2026年7月13日(月) |
| 医薬保健学域保健学類 | 2026年7月6日(月)〜10日(金) | 2026年8月25日(火) | 2026年9月4日(金) |
理工学域がもっとも早く、保健学類がもっとも遅い日程です。理工学域と融合学域の出願期間は3週間ほどしか離れておらず、試験日も1週間差なので、両方に出願資格があり併願を考える場合は理工学域の対策を先に仕上げるスケジュールが現実的です。保健学類は8月の試験なので、時期的には理工学域・融合学域と重複しません。
3学域とも出願方法はWeb出願限定で、検定料は30,000円(+Web出願システム利用料990円)で共通しています。出願書類の郵送(書留速達またはEMS)が必着となるため、Web上の登録だけでは出願は完了しません。基本的な出願書類も、成績証明書・卒業(見込)証明書・志願理由書(志願理由書が不要な理工学域の一部学類を除く)・英語外部試験スコアという組み合わせが3学域共通です。検定料は出願書類受理後はいかなる理由でも返還されませんが、自然災害の被災者に対する検定料免除の特別措置は3学域共通で用意されています。該当する可能性がある場合は、出願前に金沢大学入試課へ問い合わせてください。
倍率・難易度【令和8・9年度の実績】
ここからが、金沢大学の編入を考えるうえでもっとも重要なパートです。融合学域・理工学域は志願者数・合格者数を学類単位で公表しており、そこから実際の倍率を計算できます。保健学類については、志願者数・合格者数の実績が公式サイト上で公開されていないため、本節では扱いません。
融合学域の実績(令和8年度・令和9年度)
いずれも一般選抜の実績です(外国人留学生選抜・社会人選抜は両年度とも志願者0名)。
| 学類 | 年度 | 募集人員 | 志願者 | 合格者 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 先導学類 | 令和8年度 | 15名 | 9 | 6 | 1.5倍 |
| 令和9年度 | 15名 | 15 | 14 | 1.07倍 | |
| 観光デザイン学類 | 令和8年度 | 15名 | 24 | 17 | 1.41倍 |
| 令和9年度 | 15名 | 25 | 15 | 1.67倍 | |
| スマート創成科学類 | 令和8年度 | 20名 | 13 | 11 | 1.18倍 |
| 令和9年度 | 20名 | 25 | 19 | 1.32倍 |
理工学域の実績(令和8年度・令和9年度)
全選抜区分(一般選抜・特別選抜推薦・特別選抜高専推薦枠)を合算した学類単位の実績です。
| 学類 | 年度 | 募集人員 | 志願者 | 合格者 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 数物科学類 | 令和8年度 | 5名 | 20 | 8 | 2.5倍 |
| 令和9年度 | 5名 | 22 | 7 | 3.14倍 | |
| 物質化学類 | 令和8年度 | 4名 | 6 | 4 | 1.5倍 |
| 令和9年度 | 4名 | 15 | 6 | 2.5倍 | |
| 機械工学類 | 令和8年度 | 10名 | 7 | 6 | 1.17倍 |
| 令和9年度 | 10名 | 11 | 10 | 1.1倍 | |
| フロンティア工学類 | 令和8年度 | 5名 | 6 | 6 | 1.0倍 |
| 令和9年度 | 5名 | 10 | 6 | 1.67倍 | |
| 電子情報通信学類 | 令和8年度 | 7名 | 20 | 10 | 2.0倍 |
| 令和9年度 | 7名 | 26 | 11 | 2.36倍 | |
| 地球社会基盤学類 | 令和8年度 | 7名 | 8 | 8 | 1.0倍 |
| 令和9年度 | 7名 | 12 | 8 | 1.5倍 | |
| 生命理工学類 | 令和8年度 | 2名 | 6 | 3 | 2.0倍 |
| 令和9年度 | 2名 | 6 | 4 | 1.5倍 |
令和9年度の理工学域全体は、募集40名に対して志願102名・合格52名(倍率1.96倍)でした。これとは別に、電子情報通信学類情報通信コースの特別選抜(高専専攻科との連携教育プログラム、石川工業高等専門学校専攻科生限定)で3名が合格しています。この別枠は上表の一般集計には含めていません。
どの学域・学類が入りやすいのか
2年度分の数字を並べると、いくつかの傾向が見えます。
倍率がもっとも高いのは理工学域数物科学類です。令和8年度2.5倍、令和9年度3.14倍と、2年連続で理工学域の中でもっとも高い倍率になっています。募集人員が5名と小さいうえ、専門科目(数学または物理学)の筆記試験がある唯一の学類であることが要因と考えられます。
融合学域は3学類とも倍率が1倍台前半〜半ばに収まっています。先導学類は令和8年度1.5倍から令和9年度1.07倍へ低下し、観光デザイン学類・スマート創成科学類はやや上昇するなど、学類・年度で振れがありますが、理工学域の数物科学類・電子情報通信学類ほどの高倍率にはなっていません。
電子情報通信学類・物質化学類は年度による変動が大きい学類です。電子情報通信学類は志願者数が令和8年度20名から令和9年度26名へ増加し、倍率も2.0倍から2.36倍に上昇しました。物質化学類も志願6名から15名へと倍率以上に応募が増えています。
倍率の数字を読むときの注意
この倍率をそのまま「合格しやすさ」と読むのは危険です。母数が小さい学類が多く、生命理工学類・地球社会基盤学類のように募集人員が2〜7名程度の枠では、1〜2名の志願者数の増減で倍率が大きく変わります。単年度の倍率は参考値として扱い、複数年度の傾向で見るべきです。また、融合学域は外国人留学生選抜・社会人選抜の枠が用意されていても、両年度とも志願者が0名という実績が続いています。制度としてはあっても、実際に活用されているとは限りません。
学域ごとに、何から手をつけるべきか
融合学域を志望する場合
融合学域はどの学類も試験構成が共通(英語外部試験+小論文+口述試験)なので、まず英語外部試験(TOEIC L&RまたはTOEFL-iBT)のスコアを確定させることが最優先です。出願時点でスコアが100点満点に換算されるため、直前の対策では取り返せません。次に、小論文が「自身のこれまでの学修経歴等から解決を見据える未来課題について論述させる」形式である点を踏まえ、自分の学修・活動歴と社会課題を結びつけて語れるように準備します。
アドミッション・ポリシーは3学類で明確に書き分けられています。先導学類は「人文科学・社会科学・自然科学等の多様な知見を活用しながら解決に取り組み、新たな『知』を社会へ展開する意欲と素養」を求める人材としており、特定分野の専門性よりも複層的な課題への関心の広さが評価軸です。観光デザイン学類は「観光DXの推進や持続可能な観光地域づくり」への関心、スマート創成科学類は「仮想と現実の高度な融合を活用したスマートシティ」への関心が、それぞれ志望理由書・口述試験で問われる方向性になります。口述試験ではアドミッション・ポリシーに沿った質疑応答に加え、スマート創成科学類志望者だけは数学の基礎学力も問われるため、微分積分・線形代数の基礎を落とさないようにしてください。
理工学域を志望する場合
理工学域は学類によって対策がまったく別物になります。数物科学類志望なら、専門科目(数学または物理学)の筆記対策が中心です。数学分野は微分積分・線形代数、物理学分野は力学・電磁気学が範囲になります。物質化学類・電子情報通信学類・地球社会基盤学類地球惑星科学コース・生命理工学類は口述試験が中心で、英語外部試験のスコアも配点に入るため、専門知識を口頭で説明できる状態に仕上げつつ、英語スコアも並行して用意します。機械工学類・フロンティア工学類は特別選抜(推薦)のみの実施なので、出身校からの推薦(人物・学業成績が優れていると認められること)が前提です。出願前に出身校の担当窓口へ推薦の可否を相談してください。
なお電子情報通信学類情報通信コースには、石川工業高等専門学校専攻科との連携教育プログラムに基づく特別選抜もあります。これは石川工業高等専門学校電子情報工学科に在籍し、同校専攻科電子機械工学専攻への進学を確約できる者だけが対象の書類選考枠で、他の高専・学校からは出願できません。石川工業高等専門学校の在学生で該当する場合は、通常の一般選抜・特別選抜(高専推薦枠)とあわせて、この連携プログラムの利用可否を学校の進路担当に確認してください。
医薬保健学域保健学類を志望する場合
保健学類は、まず自分がPT・OTいずれの免許を保有・取得見込みか、そしてどちらの専攻に出願するのが自分の資格と合致するかを確認することが出発点です。専門科目の出題範囲は出願資格の区分(同分野出身か、ダブルプロとして他分野から出願するか)で変わるため、要項の「専攻別試験実施科目」を必ず自分のケースに当てはめて確認してください。英語外部試験のスコアも配点の3分の1を占めるため、早期に準備を始めます。
この3年次編入学は、大学が「理学・作業療法ダブルプロフェッショナルプログラム」として令和4年度に新設した比較的新しい制度です。大学を卒業して理学療法士または作業療法士のいずれかの資格をすでに保有する人が、2年間でもう一方の資格取得を目指す枠として設計されています。大学は、令和3年度からの新カリキュラムで在学中に他専攻の専門科目を最大20単位まで先取り履修できるようにしたうえで、卒業後にこの編入学枠でもう一方の資格取得を目指す流れを想定しています。すでに大学の理学療法学専攻・作業療法学専攻に在学中で、卒業後にもう一方の資格も取りたいと考えている場合は、在学中にどこまで他専攻科目を履修しておけるかが編入後の負担を左右します。
学域ごとの制度に落とし穴がある
融合学域:単位認定は上限60単位
融合学域は編入学時に審査のうえ、出身校で修得した単位を上限60単位として認定します。文理医融合という学域の性質上、出身校での学修内容によっては専門科目が認定されにくい場合もあるため、進学後にどの科目が認定されるかは出願前に問い合わせておくと安心です。
理工学域:コース振り分けは希望どおりにならないことがある
理工学域では、数物科学類(4分野)・機械工学類(3コース)・フロンティア工学類(2分野)の志願者は、出願時に第1志望の分野・コースを選択します。希望に偏りがある場合は入試成績による調整が行われ、希望どおりのコース・分野に配属されないことがあります。機械工学類は口述試験時に第2・第3志望のコースについても確認されるため、複数コースについて説明できる準備をしておくべきです。
保健学類:ダブルプロは検定料の一部返還制度がある
作業療法関係学科出身者がダブルプロ枠で理学療法学専攻に合格・入学した場合、および理学療法関係学科出身者がダブルプロ枠で作業療法学専攻に合格・入学した場合、5名を上限として検定料の全額が返還される制度があります。該当する可能性がある場合は、要項の該当箇所を確認してください。
過去問はどこで手に入るか
金沢大学の過去問の公開状況は、学域によって大きく異なります。
理工学域は、数物科学類・物質化学類・地球社会基盤学類地球惑星科学コースについて、直近3年分の筆記試験問題と解答例をWeb上で公開しています。ただし著作権の関係で一部掲載していない問題もあり、機械工学類・フロンティア工学類・電子情報通信学類・生命理工学類については、この理工系事務部のページに過去問の掲載はありません。
医薬保健学域保健学類は、Web上に問題そのものは公開していませんが、郵送による請求制度があります。大学宛てに返信用封筒(角形2号・140円切手)と希望する専攻・入試年度を記載したメモを送ると、指定された年度の専門科目の過去問題が送付される仕組みです。令和8年度・令和7年度分について、専攻・ダブルプロの別に送付可否が案内されています(例:令和8年度は作業療法学専攻の問題は送付対象外)。
融合学域は、小論文・口述試験の過去のテーマを大学が公表していません。試験科目・配点・形式は要項で確認できますが、具体的な出題内容についての公式資料が見つからないため、本記事では推測での記載を避けています。
公開されている過去問から読み取れる出題テーマ
ここでは、理工学域が公式に公開している直近の過去問題(解答例つき)をもとに、学類ごとの出題テーマと形式を整理します。問題文そのものは掲載できないため、テーマと形式、そこから導ける対策の方向を中心に解説します。
数物科学類|微分積分・線形代数・力学・電磁気学の4系統
数物科学類の専門科目は、令和5・6年度実施分では大問4つで構成され、「微分積分」「代数(線形代数)」「力学」「電磁気学」の4系統から出題されています。令和5年度実施分からは、これに加えて「プログラミング」(C言語による数値計算のプログラムを完成させる形式)も出題されるようになりました。
微分積分では多変数関数の極値問題や定積分の計算、代数では行列のトレースの性質や固有値・固有ベクトル、内積空間の直交補空間といったテーマが扱われています。力学は極座標を用いた運動方程式の導出(中心力ポテンシャル下の軌道)、電磁気学は点電荷・線電荷がつくる電場・電位の計算が中心です。令和4年度実施分は、数学・応用数理・計算科学・物理学の分野ごとに問題が分かれており、計算科学分野では常微分方程式の数値解法を扱う問題が出題されています。令和5年度実施分のプログラミング科目では、二分法を用いて方程式の解を求めるC言語プログラムの空欄を埋める形式の出題が確認できます。応用数理・計算科学分野を志望するなら、数学・物理学の理論だけでなく、C言語で数値計算の基本アルゴリズム(二分法、反復計算など)を実装できるレベルまで仕上げておく必要があります。
4分野とも大学教養課程レベルの微分積分・線形代数・力学・電磁気学が土台になっているため、まずこの4分野の基礎公式・定理を人に説明できるレベルまで固めることが対策の出発点になります。
物質化学類|無機化学・分析化学・有機化学の理論と計算
物質化学類(化学コース)の専門科目「化学」は、大問Ⅰ〜Ⅳで構成されています。大問Ⅰは元素の周期性・電子配置、ハロゲン元素の性質と結合エネルギーの比較、オキソ酸の酸性度の強弱とその理由。大問Ⅱは酸塩基平衡(弱酸・強塩基の中和滴定曲線上の各点のpH計算)、酸塩基指示薬の変色域と当量点のpHの関係から適切な指示薬を選ばせる設問、溶媒抽出における分配平衡(ヨウ素とヨウ化カリウム水溶液系の分配比の理論式)。大問Ⅲは有機化合物の酸性度の比較(共鳴安定化・電気陰性度・混成軌道のs性による説明)。大問Ⅳはアルミニウムイオンの反応(水酸化物の生成と両性による溶解)といったテーマが扱われています。
単なる知識の暗記ではなく、「なぜその順になるのか」を電子配置・共鳴構造・軌道の性質といった理論から説明させる設問が多い点が特徴です。pH計算や分配比の導出のように数値を求める問題も含まれるため、無機化学・分析化学・有機化学の理論と定量計算の両方を対策する必要があります。
地球社会基盤学類(地球惑星科学コース)|地学5分野の総合問題
地球社会基盤学類地球惑星科学コースの専門科目「地学」は、大問Ⅰ〜Ⅴで構成され、変成岩(結晶片岩と片麻岩の違い、プレート沈み込み帯での低温高圧型変成作用)、気象・海洋循環(貿易風・偏西風、黒潮の大蛇行と冷水塊、高緯度での海水の沈み込みによる深層循環)、地震波の伝播(2層構造における地震波速度の不連続面と屈折波の到達時間)、年代測定・古気候(隕石を用いた年代測定法、堆積物や氷床コアを用いた気温変動の推定)、火山(SiO2濃度と溶岩の粘性の関係、複数の火山の比較)という、地学のほぼ全分野を横断する構成になっています。
特定分野に絞った対策では対応しきれない範囲なので、高校地学・大学教養レベルの地学各分野(岩石・気象海洋・地震・年代測定・火山)を満遍なく押さえておく必要があります。
過去問から導ける学習の順番
ここまでの情報をまとめると、理工学域の過去問公開学類(数物科学類・物質化学類・地球社会基盤学類地球惑星科学コース)を志望する場合、次の順番で対策を進めるのが合理的です。
- 志望学類の直近3年分の過去問題・解答例を入手し、時間を計って解く
- 解答例と自分の答案を照合し、知識が不足している論点を洗い出す
- 数物科学類なら微分積分・線形代数・力学・電磁気学、令和5年度以降はプログラミングも含めて基礎から積み上げる
- 物質化学類なら無機化学の理論と酸塩基・酸化還元の定量計算を並行して固める
- 地球社会基盤学類なら岩石・気象海洋・地震・年代測定・火山を分野ごとに一巡し、抜けがある分野を重点的に補う
本節で扱った出題テーマは、いずれも金沢大学理工系事務部が公開している令和4〜6年度実施分の過去問題・解答例に基づいています。出題内容は年度によって変わるため、必ず最新の公開資料をご自身で確認してください。過去問の掲載がない機械工学類・フロンティア工学類・電子情報通信学類・生命理工学類、および保健学類・融合学域については、大学が公表する試験科目・出題範囲(例:数学・物理学・材料力学・熱力学など)から準備範囲を組み立てることになります。
併願をどう組むか
金沢大学の理工学域・融合学域・保健学類は試験日がそれぞれ6月中旬・6月下旬・8月下旬に分かれているため、この3つの間では日程上の併願がしやすい構造になっています。ただし他大学との併願を考える場合は、それぞれの試験日と重ならない大学を選ぶ必要があります。
併願校を選ぶときの実務的なコツは、出題範囲が重なる大学を組み合わせることです。理工学域数物科学類のように微分積分・線形代数・力学・電磁気学が範囲の大学は他大学にも多く、範囲が重なる大学を選べば1つの準備が複数校に効きます。英語についても、融合学域・保健学類・理工学域の一部学類はTOEIC L&RまたはTOEFL-iBTのスコアで判定されるため、同じスコアを複数校の出願に使い回せる可能性があります。
金沢大学編入の小論文対策・志望理由書の書き方については、当サイトの金沢大学編入の小論文対策|出題傾向と書き方のコツと金沢大学編入の志望理由書の書き方|例文と評価されるポイントで詳しく解説しています。TOEIC対策は金沢大学編入のTOEIC対策|必要スコアの目安と学習法を、社会人として受験を検討している場合は社会人が金沢大学に編入する方法|両立スケジュールと出願準備をあわせて参照してください。
よくある質問
金沢大学の編入は難しいですか。
学域・学類によって大きく異なります。令和9年度の実績では、理工学域数物科学類が志願22名に対して合格7名(3.14倍)ともっとも高く、理工学域機械工学類は志願11名に対して合格10名(1.1倍)と、同じ理工学域内でも差があります。「金沢大学の編入」とひとくくりにできる難易度は存在しません。
金沢大学の編入の倍率はどれくらいですか。
令和9年度の実績で、理工学域全体は志願102名・合格52名(倍率1.96倍)、融合学域は3学類合計で志願65名・合格48名でした。学類別の内訳は本文の表を参照してください。保健学類については志願者数・合格者数が公式サイト上で公開されていません。
金沢大学は何学域が編入学試験を実施していますか。
3年次編入学を実施しているのは融合学域・理工学域・医薬保健学域保健学類(理学療法学専攻・作業療法学専攻)の3つです。人間社会学域は編入学試験を実施していません。医薬保健学域医学類には別途、学士の学位保有者を対象とした2年次編入学(学士編入学)があります。
高専から金沢大学に編入できますか。
融合学域・理工学域とも高等専門学校卒業者(卒業見込みを含む)は共通受験資格に含まれています。理工学域は学類によって一般選抜(数物科学類・物質化学類・電子情報通信学類・地球社会基盤学類地球惑星科学コース・生命理工学類)と特別選抜推薦(機械工学類・フロンティア工学類など、出身校長の推薦が必要)に分かれるため、志望学類がどちらの選抜区分かを確認してください。保健学類は理学療法士・作業療法士の免許保有(取得見込み)が前提のため、免許を持たない高専卒業者は出願できません。
英語の勉強はどれくらい必要ですか。
学域・学類によります。融合学域と保健学類は全区分でTOEIC L&RまたはTOEFL-iBTのスコアが100点満点で配点に加算されます。理工学域は物質化学類・電子情報通信学類・地球社会基盤学類地球惑星科学コース・生命理工学類でスコアが配点に入りますが、数物科学類はスコアの提出自体が求められていません。いずれもスコアは出願・試験当日の時点で確定させておく必要があり、直前の対策では間に合いません。
過去問はどこで手に入りますか。
理工学域は数物科学類・物質化学類・地球社会基盤学類地球惑星科学コースについて、理工系事務部のWebサイトで直近3年分の問題・解答例を公開しています。保健学類は郵送で過去問題を請求する制度があります。融合学域は小論文・口述試験の過去テーマを公表していません。
社会人でも受けられますか。
融合学域には社会人選抜が用意されています。社会人経験3年以上・満23歳以上が条件で、優秀な成績で合格すると入学料・授業料の全額免除制度の対象にもなります。ただし令和8・9年度とも社会人選抜の志願者は0名という実績が続いています。理工学域・保健学類には独立した社会人選抜はなく、一般選抜(または特別選抜推薦)を他の受験生と同じ条件で受けることになります。
出願はいつからですか。
令和9年度は理工学域が2026年5月25日〜29日(試験6月13日)、融合学域が2026年6月1日〜5日(試験6月20日)、保健学類が2026年7月6日〜10日(試験8月25日)です。3つとも出願期間は1週間前後と短く、この間に英語外部試験のスコア提出まで完了させる必要があります。
編入学の単位認定はどうなりますか。
融合学域は編入学時に審査のうえ上限60単位を認定します。理工学域・保健学類についても、出身校で修得した単位を各学類・専攻の定めるところにより認定することがあると要項に記載されていますが、具体的な認定単位数は出願前に各事務部へ確認する必要があります。
理工学域はどの学類が対策しやすいですか。
「対策しやすさ」は出願資格・試験形式で変わります。専門科目の筆記対策に自信があるなら数物科学類、口述試験と英語外部試験スコアの組み合わせで勝負したいなら物質化学類・電子情報通信学類・地球社会基盤学類地球惑星科学コース・生命理工学類が候補になります。機械工学類・フロンティア工学類は出身校の推薦が前提となる特別選抜(推薦)のみの実施なので、まず推薦を得られるかどうかが出発点です。倍率だけで選ぶのではなく、自分の得意分野と選抜方式が噛み合っているかを優先してください。
専門学校(専修学校)卒業でも出願できますか。
融合学域・理工学域とも、専修学校の専門課程(修業年限2年以上・総授業時間数1,700時間以上)を修了した者は共通の受験資格に含まれています。保健学類は専修学校の専門課程で理学療法(または作業療法)関係学科を修了した者が対象です。いずれも出願時に専修学校専門課程の修業年限・総授業時間数を証明する書類の提出が必要です。
電子情報通信学類の出願ルートはいくつありますか。
3つあります。共通受験資格を満たせば誰でも出願できる一般選抜、高専出身で3・4年次の学年成績順位が上位25%以内かつ出身学校長の推薦がある者向けの特別選抜(高専推薦枠)、そして石川工業高等専門学校電子情報工学科の在籍者で同校専攻科への進学を確約できる者だけが対象の特別選抜(高専専攻科との連携教育プログラム)です。3つ目は石川工業高等専門学校の特定学科限定の別枠で、他の高専・大学からは出願できません。
まとめ
金沢大学の編入試験について、要項と実績データから確認できることを整理します。
まず、3年次編入学を実施しているのは融合学域(先導・観光デザイン・スマート創成の3学類)・理工学域(7学類)・医薬保健学域保健学類(理学療法学専攻・作業療法学専攻)の3つだけです。事前に語られがちな「人間社会学域」は実施しておらず、医薬保健学域医学類の「編入学」は学士の学位保有者向けの2年次編入学という別制度です。志望先を決める前に、まずこの制度上の位置づけを確定させる必要があります。
次に、試験科目・英語の扱いは学域・学類でまったく異なります。融合学域と保健学類は英語外部試験+論述・専門科目+口述試験という共通構成ですが、理工学域は数物科学類だけが専門科目の筆記試験を課し、他の学類は口述試験中心と、学類単位で対策の中身が変わります。
そして倍率については、令和9年度の実績で理工学域数物科学類が3.14倍ともっとも高く、募集人員が小さい学類ほど年度による振れが大きいことが確認できました。融合学域は1倍台前半〜半ばで推移しています。
最後に、過去問は理工学域の一部学類(数物科学類・物質化学類・地球社会基盤学類地球惑星科学コース)が解答例つきで公開しており、ここが対策の質を大きく左右します。保健学類は郵送請求、融合学域は非公開という違いも押さえておいてください。同じ理工学域でも、電子情報通信学類・地球社会基盤学類のように学類内でコースごとに選抜方式(一般選抜か特別選抜推薦か)が分かれる学類もあるため、志望するコースがどの選抜区分に属するかを取り違えないことが、出願準備の最初の一歩になります。
本記事の数値は金沢大学が公表する令和9年度学生募集要項および令和8・9年度の志願・合格者数一覧に基づいています。制度・日程・募集人員・試験科目は年度によって変更されるため、出願前には必ず金沢大学が公表する最新の学生募集要項をご確認ください。
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