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多摩美術大学の編入試験を徹底解説|学科別の募集人員・試験科目・日程・倍率と対策【2027年度】

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多摩美術大学の3年次編入学選抜は、美術学部の1学部制でありながら、絵画学科(日本画・油画・版画専攻)から演劇舞踊デザイン学科まで、実施しているすべての学科・専攻・コース(15区分)が対象です。ただし中身は学科ごとにまったく違います。小論文と面接だけで審査する学科がある一方、鉛筆デッサンや身体表現といった実技試験を課す学科もあり、対策の始め方がまるで別物になります。
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この記事では、多摩美術大学が公表している2027年度の学生募集要項と、2023〜2026年度の入試データ(外国人留学生選抜・帰国生選抜とは別に集計された「3年次編入」のみの実績)、さらに大学が公式に公開している「専門試験・小論文の出題の狙い・意図・採点のポイント」をもとに、学科別の募集人員・出願資格・試験科目・倍率・過去問の出題テーマまでを整理します。一次情報として確認できなかった項目(各年度の学科別の詳細な志望動機分布や、非公開年度の過去問資料など)は推測で埋めず、「非公表」として明示しています。
多摩美術大学の3年次編入学選抜は「美術学部」1学部・15区分がすべて対象
多摩美術大学は美術学部の1学部制で、学部内に9学科・15の専攻/コースがあります。3年次編入学選抜(一般募集)は、このすべての区分で実施されています。学科によって出願できないという制限はなく、「全学科・専攻・コースにおいて若干名」を募集する形です。ただし複数の学科・専攻・コースへの同時出願はできません。
キャンパスも学科によって異なります。絵画学科・彫刻学科・工芸学科・グラフィックデザイン学科・生産デザイン学科・建築&環境デザイン学科・情報デザイン学科・芸術学科は八王子キャンパス(東京都八王子市鑓水2-1723)、統合デザイン学科・演劇舞踊デザイン学科は上野毛キャンパス(東京都世田谷区上野毛3-15-34)で試験が実施されます。
大学が公表している「入試コンセプト」では、試験科目の位置づけを次のように説明しています。試験科目としては『美術に対する考え方』および『大学の教養課程修了程度の学力』をはかるための「小論文」「面接」を課し、これに加えてデザイン系学科(情報デザイン学科・統合デザイン学科を除く)においては実技の力を見るための「専門試験」を、芸術学科においては学科独自の専門試験として「小論文」を課すとしています。つまり「小論文+面接」がすべての学科に共通する土台で、そこに学科の性格に応じて実技または追加の小論文が積み増される構造です。
実施している学科・専攻・コースと募集人員【2027年度】
募集人員はどの区分も「若干名」で、大学は具体的な人数を公表していません。まずは実施区分の全体像を一覧にします。
| キャンパス | 学科・専攻・コース | 専門試験(実技) | 募集人員 |
|---|---|---|---|
| 八王子 | 絵画学科 日本画専攻 | なし | 若干名 |
| 絵画学科 油画専攻 | なし | 若干名 | |
| 絵画学科 版画専攻 | なし | 若干名 | |
| 彫刻学科 | なし | 若干名 | |
| 工芸学科(陶・ガラス・金属) | なし | 若干名 | |
| グラフィックデザイン学科 | 鉛筆デッサン | 若干名 | |
| 生産デザイン学科 プロダクトデザイン専攻 | デザイン | 若干名 | |
| 生産デザイン学科 テキスタイルデザイン専攻 | デザイン | 若干名 | |
| 建築・環境デザイン学科 | 鉛筆デッサン | 若干名 | |
| 情報デザイン学科 メディア芸術コース | なし | 若干名 | |
| 情報デザイン学科 情報デザインコース | なし | 若干名 | |
| 芸術学科 | 小論文(芸術学科専門試験) | 若干名 | |
| 上野毛 | 統合デザイン学科 | なし | 若干名 |
| 演劇舞踊デザイン学科 演劇舞踊コース | 身体表現 | 若干名 | |
| 演劇舞踊デザイン学科 劇場美術デザインコース | 鉛筆デッサン | 若干名 |
この表から読み取れる最初のポイントは、実技試験の有無が学科によってはっきり分かれていることです。デザイン系のうちグラフィックデザイン学科・生産デザイン学科(両専攻)・建築&環境デザイン学科・演劇舞踊デザイン学科(劇場美術デザインコース)は実技試験があります。一方、情報デザイン学科と統合デザイン学科はデザイン系でありながら実技試験がありません。絵画・彫刻・工芸は専門試験そのものがなく、提出作品と面接で評価します。「デザイン系だから実技があるはず」という思い込みで対策を始めると、情報デザイン学科や統合デザイン学科の受験生は準備の方向を誤ります。
出願資格|自分が出願できるかを先に確かめる
出願資格は全区分共通です。次のいずれかに該当する者、または2027年3月31日までに該当する見込みの者とされています。
| 区分 | 資格の内容 |
|---|---|
| 1 | 日本国内の大学を卒業した者 |
| 2 | 日本国内の大学に2年次以上在学(休学期間を除く)し、62単位以上を修得した者(修得単位は卒業要件に限る) |
| 3 | 日本国内の短期大学を卒業した者 |
| 4 | 日本国内の高等専門学校を卒業した者 |
| 5 | 日本国内の専修学校の専門課程(修業年限2年以上・総授業時間数1,700時間以上。学校教育法第90条の大学入学資格を有する者に限る)を修了した者 |
| 6 | 日本国内の高等学校専攻科の課程(修業年限2年以上等の基準を満たすもの。学校教育法第90条の大学入学資格を有する者に限る)を修了した者 |
| 7 | 外国の4年制大学を卒業し、学士号(Bachelor’s degree等)を取得した者 |
| 8 | 外国の4年制大学(卒業時に学士号取得可)に2年次以上在学(休学期間を除く)し、卒業に必要な単位数の半分以上を修得した者 |
| 9 | 外国の短期大学を卒業し、短期大学士(Associate degree等)を取得した者 |
注意点が3つあります。本学の学部在学生は2027年3月卒業見込者しか出願できず、それ以外の在籍者は出願できません。中国の専科課程は修了・修了見込みの場合のみ出願資格が認められ、外国の専門学校修了生には出願資格そのものが認められません。単位数の要件(62単位以上、卒業要件の半分以上)は「見込み」ではなく実際の修得状況で判定されるため、成績証明書を早めに取り寄せて自分の修得単位数を確認しておく必要があります。
外国籍で出願する場合は、日本の永住許可(特別永住者を含む)を得ている者を除き、日本語能力を証明する試験のいずれかが追加で必要です。日本留学試験(EJU)で「日本語」の読解+聴解・聴読解(各200点・合計400点)で220点以上、または日本語能力試験(JLPT)でN2以上の合格が求められます。本学または国内の大学・短期大学の卒業(見込み)者、国内の大学に2年次以上在学している者などは、この日本語試験が免除されます。
選考方法・試験科目は学科によってまったく違う【2027年度】
全学科・専攻・コース共通の科目は小論文(日本語出題・日本語記述、辞書使用不可)と面接です。これに加えて、学科によっては専門試験(実技)が課されます。2026年12月17日(木)・18日(金)を軸に、次のように分かれます。
| 学科・専攻・コース | 試験会場 | 12/17(木)10:00〜11:30 | 12/17(木)13:00〜16:00 | 12/18(金)試験初日に指示 |
|---|---|---|---|---|
| 絵画学科 日本画専攻 | 八王子 | 小論文 | — | 面接 |
| 絵画学科 油画専攻 | 小論文 | — | 面接 | |
| 絵画学科 版画専攻 | 小論文 | 面接(注) | 面接(注) | |
| 彫刻学科 | 小論文 | — | 面接 | |
| 工芸学科 | 小論文 | — | 面接 | |
| 生産デザイン学科 プロダクトデザイン専攻 | 小論文 | デザイン | 面接 | |
| 生産デザイン学科 テキスタイルデザイン専攻 | 小論文 | デザイン | 面接 | |
| 建築・環境デザイン学科 | 小論文 | 鉛筆デッサン | 面接 | |
| 情報デザイン学科(両コース) | 小論文 | — | 面接 | |
| 芸術学科 | 八王子 | 小論文 | 小論文[芸術学科専門試験](13:00〜14:30) | 面接 |
| 演劇舞踊デザイン学科 演劇舞踊コース | 上野毛 | 小論文 | — | 身体表現(18日10:00〜12:00)→面接 |
| 演劇舞踊デザイン学科 劇場美術デザインコース | 小論文 | 鉛筆デッサン | 面接 |
版画専攻は面接が17日・18日のいずれかに割り振られます。演劇舞踊デザイン学科演劇舞踊コースだけは試験が3日間(17〜19日)にまたがり、身体表現の実技は18日に実施されます。志願者数が多い場合は12月19日(土)にも試験が追加される可能性があると大学は注記しています。
1次・2次の2段階選抜がある学科
グラフィックデザイン学科と統合デザイン学科は、他の学科と選考の組み方が異なります。17日の小論文と(グラフィックデザイン学科のみ)鉛筆デッサンが1次選考で、全員が受験します。1次選考の合格発表は17日20:30以降にWEB出願サイトのマイページで行われ、1次合格者だけが18日・19日の面接(2次選考)に進めます。統合デザイン学科には鉛筆デッサンの実技はありません。
芸術学科は小論文が二段階になる
芸術学科は全学科共通の小論文に加えて、学科独自の「芸術学科専門試験」として、13:00〜14:30の75分でもう1本の小論文を課します。試験科目の名称上は「専門試験」ですが実技ではなく、大学は採点基準として「論述の着眼点が出題内容に対して適切か、論旨は明確で説得力があるか、卒業論文を書き上げるのにふさわしい能力があるか」を挙げています。実技がない代わりに、文章力そのものが問われる学科です。
提出作品等|学科によって求められる物がまったく違う
面接や専門試験と並んで合否を左右するのが提出作品です。学科ごとの内容と提出タイミングを整理します。
| 学科・専攻・コース | 提出物・点数等 | 提出タイミング |
|---|---|---|
| 絵画学科 日本画専攻 | 作品50号以上2点以内 | 面接日 |
| 絵画学科 油画専攻 | 平面作品S100号(162cm×162cm)以内、立体作品200cm×200cm×200cm以内、または映像作品などから計2点まで | 12月16日(水) |
| 絵画学科 版画専攻 | ①ポートフォリオ1冊 ②作品写真5点 ③作品5点以上10点以内(版画・写真・映像・絵画・ドローイング・立体など自由) | ①②出願時 ③面接日 |
| 彫刻学科 | ①作品2点 ②ポートフォリオ1冊(動画がある場合は1作品5分以内でURL提示) | 面接日 |
| 工芸学科 | 作品2点およびポートフォリオ(A3サイズ以下のファイルで持参) | 面接日 |
| グラフィックデザイン学科 | 作品またはポートフォリオ(映像の場合は再生1分30秒以内・DVD等で持参) | 面接日 |
| 生産デザイン学科 プロダクトデザイン専攻 | 作品およびポートフォリオ(持参できる大きさ) | 面接日 |
| 生産デザイン学科 テキスタイルデザイン専攻 | 作品3点およびポートフォリオ(持参できる大きさ) | 面接日 |
| 建築・環境デザイン学科 | 作品またはポートフォリオ(持参可能な大きさ・形態) | 面接日 |
| 情報デザイン学科(両コース) | ポートフォリオ(作品集)および論文等の自己アピール(映像・画像はノートPC等で持参) | 面接日 |
| 芸術学科 | 研究計画レポート(3・4年次の研究計画を小論文形式、A4で4,000字以内) | 出願時 |
| 統合デザイン学科 | ポートフォリオ(PDF形式・URL提出フォームで提出、実物持参不可) | 出願時 |
| 演劇舞踊デザイン学科 演劇舞踊コース | これまでの作品・活動記録等をまとめた書面(書式自由) | 出願時 |
| 演劇舞踊デザイン学科 劇場美術デザインコース | 作品およびポートフォリオ(出身校の課題を含む) | ポートフォリオは出願時、作品は面接日 |
とくに注意が必要なのが芸術学科と統合デザイン学科です。芸術学科の研究計画レポートは出願時提出のため、出願準備の段階で「3・4年次に何を研究したいか」を4,000字でまとめておく必要があります。大学は生成AIの利用を許容しつつ、テーマ設定と執筆を生成AIに頼らないことを原則とし、利用した場合はどの生成AIをどの段階でどう使ったかをレポート末尾に明記するよう求めています。生成AIが答えた内容そのものは出典として認められず、内容に誤りがあれば提出者本人の責任として減点対象になるとも明記されています。統合デザイン学科はポートフォリオの実物・データ・PCの持ち込みを一切受け付けず、URL提出フォームからのオンライン提出のみで審査する点が他学科と大きく異なります。
提出物の返却についても学科で扱いが違います。出願時に提出した書類・作品は事由を問わず返却されないのが原則ですが、版画専攻が出願時に提出するポートフォリオだけは例外的に返却されます。それ以外の学科・専攻・コースで出願時に提出した作品・書類は返却されないため、原本ではなく提出用に複製・プリントしたものを用意しておくと安全です。
採点基準|大学が公開している評価軸
多摩美術大学は学科・専攻・コースごとの採点基準を募集要項の中で公開しています。抜粋します。
| 学科・専攻・コース | 試験科目 | 採点基準(大学公表) |
|---|---|---|
| 全学科・専攻 | 小論文 | 文の構成/美術・デザインへの興味関心/3年次相当の教養教育の能力/出題への真摯さ/独創性・創造性 |
| 絵画学科 油画専攻 | 面接 | 大学・学部の志望理由/制作意欲/制作意図/入学以降の展望/作家としての可能性 |
| 彫刻学科 | 面接 | 進学目的の明確さ/課題への適応力/具体的な志望研究領域/将来展望/自分の意志を明瞭に述べられるか |
| グラフィックデザイン学科 | 鉛筆デッサン | 理解力=問題の把握が正しいか/伝達力/発想力/描写力/個性=デッサンからうかがえる品格・感性 |
| 建築・環境デザイン学科 | 鉛筆デッサン | 理解力=出題の意図と与条件の理解/想定力=モチーフによる立体構成の意図/構成力/観察力/表現力 |
| 芸術学科 | 小論文(専門試験) | 思考力/読解力/理解力/表現力/独創性/構成力 |
| 演劇舞踊デザイン学科 演劇舞踊コース | 身体表現 | 理解力/意欲性/独創性=自らの身体表現の創造性/観察力/協力性 |
共通しているのは、どの学科も「3年次に相当する能力・学力を有しているか」を明文化している点です。編入学は新入生とは違い、すでに1・2年次相当のスキルが身についていることが前提で審査されます。実技がある学科では「理解力」「表現力」がほぼ共通して評価軸に含まれており、出題の意図を正確に読み取ったうえで自分の技術を当てはめる力が問われています。
倍率・難易度|2023〜2026年度の3年次編入実績
多摩美術大学は「外国人留学生選抜」「帰国生選抜」「3年次編入」を別の表で公表しています。編入学の実態を知るには、この3年次編入の表だけを見る必要があります(外国人留学生選抜は3年次編入よりはるかに志願者数が多く、まとめて読むと倍率を見誤ります)。
| 年度 | 志願者 | 受験者 | 合格者 | 入学者 | 倍率(受験者÷合格者) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年度 | 103 | 70 | 24 | 20 | 約2.9倍 |
| 2024年度 | 98 | 67 | 21 | 19 | 約3.2倍 |
| 2025年度 | 141 | 108 | 19 | 19 | 約5.7倍 |
| 2026年度 | 134 | 100 | 20 | 19 | 約5.0倍 |
全体の倍率は2023年度の2.9倍から2025年度の5.7倍まで上昇し、2026年度も5.0倍と高い水準が続いています。志願者数が103〜141名の間で推移する一方、合格者数は19〜24名とほぼ変わらないため、志願者が増えた年ほど倍率が跳ね上がる構造です。
学科別に見ると母数はかなり小さい
合計の倍率だけでなく、学科別の内訳を見ておく必要があります。2026年度の学科別実績(志願者/受験者/合格者/入学者)は次のとおりです。
| 学科・専攻・コース | 2026 | 2025 | 2024 | 2023 |
|---|---|---|---|---|
| 絵画学科 日本画専攻 | 10/8/1/1 | 13/12/1/1 | 2/2/1/1 | 3/2/1/0 |
| 絵画学科 油画専攻 | 17/13/2/2 | 19/11/1/1 | 15/11/2/2 | 19/12/2/2 |
| 絵画学科 版画専攻 | 4/3/2/2 | 9/8/0/0 | 2/2/1/1 | 4/3/2/2 |
| 彫刻学科 | 5/2/0/0 | 4/0/0/0 | 1/1/0/0 | 2/1/0/0 |
| 工芸学科 | 5/4/1/1 | 2/1/0/0 | 3/3/1/1 | 1/1/1/1 |
| グラフィックデザイン学科 | 19/18/4/4 | 30/27/5/5 | 22/8/6/5 | 15/9/5/4 |
| 生産デザイン学科 プロダクトデザイン専攻 | 3/2/0/0 | 10/5/2/2 | 4/0/0/0 | 3/2/2/2 |
| 生産デザイン学科 テキスタイルデザイン専攻 | 1/1/0/0 | 1/1/0/0 | 3/2/0/0 | 5/2/0/0 |
| 建築・環境デザイン学科 | 4/2/0/0 | 0/0/0/0 | 2/2/0/0 | 2/1/0/0 |
| 情報デザイン学科 メディア芸術コース | 25/20/2/2 | 18/14/2/2 | 17/13/4/3 | 9/8/2/2 |
| 情報デザイン学科 情報デザインコース | 22/12/4/4 | 11/9/2/2 | 18/15/3/4 | 17/10/4/2 |
| 芸術学科 | 4/4/1/1 | 7/5/2/2 | 1/1/1/1 | 2/2/1/1 |
| 統合デザイン学科 | 13/11/3/2 | 13/12/1/1 | 7/6/1/0 | 16/13/2/2 |
| 演劇舞踊デザイン学科 演劇舞踊コース | 0/0/0/0 | 2/2/2/2 | 0/0/0/0 | 3/2/1/1 |
| 演劇舞踊デザイン学科 劇場美術デザインコース | 2/0/0/0 | 2/1/1/1 | 1/1/1/1 | 2/2/1/1 |
(各セルは「志願者/受験者/合格者/入学者」の順)
この表を読むうえで最も重要なのは、ほとんどの学科で合格者数が年間1〜5名しかいないという点です。彫刻学科は2023〜2026年度の4年間で合格者が0〜1名、建築・環境デザイン学科は2025年度に志願者0名という年もありました。母数がこれだけ小さいと、1名増えるか減るかで倍率が数倍単位で変わります。「◯◯学科の倍率は◯倍」という数字を単年度だけで判断せず、複数年の傾向として見る必要があります。
相対的に安定して倍率が高いのはグラフィックデザイン学科と情報デザイン学科メディア芸術コースです。グラフィックデザイン学科は4年間で受験者数が8〜27名と幅がありながら合格者は4〜6名で推移し、1次選考(小論文・鉛筆デッサン)で相当数がふるい落とされる構造がうかがえます。
グラフィックデザイン学科は「受験者」の数字自体が1次選考通過者
入試データの脚注には見落としやすい注記があります。グラフィックデザイン学科の「受験者」欄は、大学が明記しているとおり1次選考を通過した受験者の数です。つまり2023年度は志願15名に対して1次選考を通過できたのは9名、2024年度は志願22名に対して1次通過は8名にとどまっています。倍率の分母となる「受験者」がすでに1段階ふるい落とされた後の数字だという点は、他の学科と単純比較するときに見落としがちなポイントです。統合デザイン学科も同じく1次選考(小論文)→2次選考(面接)の2段階選抜ですが、こちらの入試データは志願者数と受験者数がほぼ一致しており、1次選考での欠席・辞退以外の大きなふるい落としは目立ちません。
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(費用は一切かかりません)
学科別に、何から手をつけるべきか
ここまで見てきたとおり、多摩美術大学の3年次編入学選抜は「全学科共通の小論文・面接」を土台に、学科ごとに専門試験の有無・提出作品の内容・出願時提出物の有無が積み増される構造です。志望学科を決めたら、まず自分の学科が実技試験の対象かどうかを確認し、そのうえで次の対策に取り組んでください。
絵画学科(日本画・油画・版画専攻)
専門試験(実技)がなく、小論文と面接、そして持参する作品そのもので評価されます。油画専攻は12月16日に作品を郵送・搬入する必要があり、面接日に提出する他学科より準備の締め切りが早い点に注意してください。版画専攻はポートフォリオと作品写真を出願時に、実作品は面接日にと二段階で提出物があるため、出願前からポートフォリオの構成を詰めておく必要があります。面接では「大学・学部の志望理由」「制作意欲」「制作意図」「入学以降の展望」が油画専攻で明示されており、口頭で自分の制作を説明する練習が欠かせません。
彫刻学科・工芸学科
両学科とも専門試験はなく、作品とポートフォリオ、面接で審査します。彫刻学科は動画作品がある場合、1作品5分以内にまとめてURLで提示する形式が指定されています。工芸学科は陶・ガラス・金属の3領域がありますが、募集要項上は「工芸学科」として一体で扱われ、採点基準としては学科・志望プログラムの特色への理解、将来展望、学業への熱意が挙げられています。志望する領域(陶・ガラス・金属)を面接で具体的に語れる準備が必要です。
グラフィックデザイン学科
1次選考(小論文・鉛筆デッサン)→1次合格者のみ2次選考(面接)という2段階選抜です。鉛筆デッサンの持参用具はデッサン用具一式とフィクサティフ(定着液)で、カルトン・パネルは不要とされています。採点基準は理解力・伝達力・発想力・描写力・個性の5項目に加えて「3年次に相当する能力を有するか」が明示されており、単に上手いデッサンではなく、出題の意図を正確に汲み取った上での表現力が求められます。
生産デザイン学科(プロダクトデザイン・テキスタイルデザイン専攻)
どちらの専攻も専門試験は「デザイン」で、プロダクトデザイン専攻は鉛筆(黒各種)・消具・コンパス・三角定規・物差しを、テキスタイルデザイン専攻は鉛筆デッサン用具一式に加えて水彩用具一式(ガッシュ・ポスターカラーなど不透明水性絵具に限る)を持参します。テキスタイルデザイン専攻は年度によって「縞模様をベースにした配色」「インテリアまたはファッションの選択」など出題テーマが変わっており、色彩計画を言語化して説明する力が採点基準に明記されています。
建築・環境デザイン学科
専門試験は鉛筆デッサンで、実物のモチーフを「想定で立体構成」して描く出題が続いています。大学は「机や背景は描かないこと」という指示の意図を「空間の奥行きや広がりを伝えやすい背景に頼らず、作者の純粋な立体構成力(空間表現力)を評価するため」と公式に説明しています。単なる観察力だけでなく、モチーフから空間を想定して構成し直す力が問われる学科です。
情報デザイン学科(メディア芸術コース・情報デザインコース)
デザイン系学科の中で数少ない「専門試験(実技)がない」学科です。小論文と面接、そしてポートフォリオ(作品集)と論文等の自己アピールで審査します。映像や画像を使う作品はノート型PCやタブレット端末を持参してのプレゼンテーションが原則で、外部ディスプレイに接続する場合はHDMI出力対応のアダプタを持参する必要があります。面接では「編入の意図や目標が明確であるか」「デザイン・アートに関した表現力と知識」「コンピュータや表現に関する基本的なスキル」が評価軸として公開されています。
芸術学科
唯一、専門試験として実技ではなく「小論文」を課す学科です。全学科共通小論文に加えて75分の専門小論文があり、さらに出願時提出の研究計画レポート(4,000字以内)が加わります。実技力ではなく、論述力と研究テーマの構想力で評価される学科という位置づけです。
統合デザイン学科
専門試験(デッサン等の実技)はなく、小論文・面接・ポートフォリオで審査します。ポートフォリオはPDF形式でURL提出フォームからのオンライン提出に限られ、実物やデータ入りのPC等の持ち込みは一切受け付けません。グラフィックデザイン学科と同じく1次選考(小論文)→1次合格者のみ2次選考(面接)の2段階です。
演劇舞踊デザイン学科(演劇舞踊コース・劇場美術デザインコース)
上野毛キャンパスで実施される学科で、2つのコースで試験内容がまったく違います。演劇舞踊コースは「身体表現」という実技があり、動きやすい服装・靴(上履き)・水分補給用の飲み物を持参します。採点基準として理解力・意欲性・独創性・観察力・協力性が公開されており、集団での課題にどう向き合うかが見られます。劇場美術デザインコースは鉛筆デッサンが専門試験で、面接では「編入学志望理由と目的が明確でゼミ選択が決定しているか」まで問われます。
公開されている出題の「狙い・意図・採点のポイント」から読み取れる出題テーマ
多摩美術大学は、問題そのものではなく「出題の狙い・意図・採点のポイント」を学科別・年度別に公式サイトで公開しています(2018年度〜2026年度分)。本節では2023〜2026年度分のうち、内容が具体的に公開されている学科を中心に、出題テーマと大学の説明を紹介します。問題文そのものの引用は行いません。
全学科共通小論文|「美術史・デザイン史」を軸にした出題
2024年度の共通小論文について、大学は「受験生が2年次であると設定し、約2年間の学習・経験を見越して、そこにレベルを合わせた出題」と説明しています。「美術史」という言葉を使っていても、デザイン史・建築史など独立した分野を含めてもよく、置き換えて考えてよいとされます。問われているのは「これまでの制作において、美術史などで学んだことをどのように自分のものとしてきたか」「実際の制作にどう生かしてきたか」であり、単なる知識の暗記ではなく、自分の制作と結びつけて論じられるかが評価の中心です。大学は「美術史からは何も得るものがない」といった回答についても、その意図が十分に記述されているかどうかを慎重に判断するとしています。2023年度の共通小論文では「作品と題名(タイトル)の関係」をテーマにした約800字の出題があり、創作におけるタイトルの意味を、具体例を挙げながら自分の考えとして述べさせる形式でした。
生産デザイン学科 テキスタイルデザイン専攻|配色計画を言語化させる出題
2026年度は「縞模様をベースに計画的な配色による解答」を出題テーマとし、受験生が自分の構想を具体的に示せるよう、解答(作品)のタイトルを別紙に記述させています。大学は「色彩計画が具体的に伝わるように、解答の中で選んだ色それぞれがどのような役割を演じているかも言葉で記入してもらった」と説明しており、色を選んだ理由を言語化する力まで評価対象になっています。2025年度は「インテリアまたはファッションのいずれかを選択することから始める試験問題」、2024年度は「オーストラリア産のユーカリ種テトラゴナのアートフィシャル(人工植物)」をモチーフに、自然物を模した人工物から特徴を見出す観察力や、リピートによる空間表現力を問う出題でした。
建築・環境デザイン学科|「机や背景を描かない」指示の意図
2024〜2026年度と連続して、実物のモチーフを「想定で立体構成」してデッサンする出題が続いています。大学は「建築・環境デザイン学科が対象とする領域は、身の周りの小さなスケールから、都市のような大きなスケールまで様々。あるモノ単体だけではなく、複数の関係を空間的に思考することが重要で、それを伝えるためにスケッチや図面といった『想定表現』が必要になる」と出題意図を説明しています。「机や背景は描かないこと」という指示についても、「空間の奥行きや広がりを伝えやすい背景に頼らずに、作者の純粋な立体構成力(空間表現力)を評価出来るから」と、あえて手がかりを減らす理由まで公開しています。
芸術学科|「常識的にまとめた文章」より「テーマに踏み込んだ独自の発想」を評価
2023〜2026年度を通じて、大学は一貫して「論述の着眼点が出題内容に対して適切であるか、論旨は明確で説得力があるか、卒業論文を書き上げるのにふさわしい能力があるかという点が判断基準になる」と説明しています。そのうえで「常識的にまとめあげた文章より、テーマに踏み込んだ独自の発想を期待しています」と明記しており、無難にまとめるだけの答案よりも、出題テーマに対して自分なりの切り口を示す答案を高く評価する姿勢が読み取れます。
演劇舞踊デザイン学科 劇場美術デザインコース|「光と空間を意識した構成」
2024〜2026年度、「『手』は全ての造形・創造を生み出す中心的役割を担っている」としたうえで、演劇や舞踊での感情表現の手段としての手を意識させ、モチーフから物語を創造してドラマチックな世界観を作り出す出題が続いています。演劇舞踊デザイン学科の特色でもある「光と空間を意識した構成」を表現するよう求め、光の表現・捉え方(陰影の表現)が重要な採点ポイントとされています。用紙のレイアウトは自由ですが、画面構図は大きな採点ポイントとなり、情景を想定するということは実空間の形を捉えるだけでなく、ドラマチックな設定を思い浮かべ、心の中の情景を描くことも可能だと大学は説明しています。
グラフィックデザイン学科・生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻|共通する5つの評価軸
両学科とも、専門試験(鉛筆デッサン・デザイン)の採点基準として「理解力=問題の把握・理解が正しいか」「発想力=アイデアが優れているか」「表現力(描写力)=構図・形・動き・量感などを描写する技術」「独創性・個性」「3年次に相当する能力を有するか」という共通した評価軸を公開しています。単に絵が上手いかどうかではなく、出題文をどう解釈し、それをどうアイデアに変換したかという思考のプロセス全体が評価対象になっている点が特徴です。
彫刻学科|「入学後にどれだけ伸びるか」を面接の基準に明言
彫刻学科は専門試験(実技)を行わず、持参作品と作品ファイルによる審査が中心です。大学は面接の狙いについて「作品と作品ファイルのみで審査するため、用意された質問(美術以外の関心・最近見た展覧会について・多摩美を選んだ理由・将来の展望)などに加え、気がついた教員が適宜作品について追加質問をした」としたうえで、「基本的には『入学後にどれだけ伸びるか?』が審査の基準である」と明言しています。技術的な完成度そのものより、面接でのやり取りを通じて伸びしろを見せられるかが評価の中心になる学科です。
情報デザイン学科 情報デザインコース|面接で問われる5つの観点
情報デザインコースは専門試験がなく、面接で「①作品が学部2年次修了レベルの品質であるか ②作品のプレゼンテーション力、対話・コミュニケーション力があるか ③入学後の具体的な学習・研究イメージがあるか ④卒業後のデザイン活動に対するヴィジョンがあるか ⑤情報デザイン分野の専門性を理解しているか」という5つの観点が年度を通じて一貫して公開されています。ポートフォリオの完成度だけでなく、それを自分の言葉でどう説明できるかまで含めて評価される点は、実技試験がある学科との大きな違いです。
統合デザイン学科|「日常の気付き」からアイデアを導く発想力を評価
統合デザイン学科の小論文は、2025年度の採点基準として「理解力=問題の把握・理解が正しいか」「観察力=日常の気付きからアイデアを導きだしているか」「発想力=イメージを具体化するアイデアが優れているか」「描写力=構図、形、光、量感などを描写することに必要な技術が優れているか」「視点=事象を捉える感覚とその表現が適正で感性に優れているか」の5項目を公開しています。実技試験がない学科ですが、小論文の中でも「観察力」「描写力」といった、通常はデッサンで評価されるような観点が明記されている点が特徴的です。
本節で扱った出題テーマ・出題意図・採点のポイントは、いずれも多摩美術大学が公開している2023〜2026年度の「専門試験・小論文の出題の狙い・意図・採点のポイント」資料に基づいています。出題内容は年度によって変わるため、最新の公開資料をご自身で確認してください。
過去問から導ける対策の順番
- 自分の学科・専攻・コースに専門試験(実技)があるかどうかを、まず募集要項の「選考方法」欄で確認する。
- 実技がある学科は、大学が公開している「採点のポイント」を過去4年分さかのぼって読み、共通して評価されている軸(理解力・発想力・表現力・独創性など)を先に把握する。
- 全学科共通小論文は、自分の制作や研究とどう結びつけて論じるかを軸に、美術史・デザイン史の知識を「自分の言葉」で語れるように準備する。
- ポートフォリオ・提出作品が必要な学科は、出願時提出(芸術学科の研究計画レポート、統合デザイン学科のPDFポートフォリオなど)と面接日提出の締め切りが違う点を早めにカレンダー化する。
- 面接で問われる項目(志望理由・制作意図・入学後の展望)を、学科別の採点基準に沿って言語化しておく。
学費・出願の流れ・入学手続
2027年度の学費は本記事執筆時点で未定のため、大学は2026年度の学費を参考値として公開しています。学科によって初年度納入金は約194万円〜約203万円の幅があります。
| 学科・専攻 | 初年度納入金合計(参考・2026年度) |
|---|---|
| 彫刻学科 | 2,025,000円 |
| 絵画学科 日本画専攻 | 2,015,000円 |
| 絵画学科 油画専攻 | 2,010,000円 |
| 工芸学科(陶・ガラス・金属) | 2,005,000円 |
| 生産デザイン学科 プロダクトデザイン専攻 | 1,995,000円 |
| 絵画学科 版画専攻 | 1,988,000円 |
| 生産デザイン学科 テキスタイルデザイン専攻/建築・環境デザイン学科 | 1,985,000円 |
| 演劇舞踊デザイン学科(両コース) | 1,975,000円 |
| 芸術学科 | 1,949,000円 |
| グラフィックデザイン学科/情報デザイン学科/統合デザイン学科 | 1,945,000円 |
出願はWEB出願サイトからの登録後、検定料の支払い(クレジットカード・コンビニ払い等)、出願書類の郵送という3ステップです。2026年度日程では、WEB登録は11月1日(日)13:00〜11月10日(火)18:00、書類の郵送は11月1日から11月10日必着(消印ではなく必着)とされています。入学手続期限は2027年1月12日(火)で、補欠繰り上がりの連絡は1月14日(木)から3月31日(水)まで随時行われます。
単位認定と外国語要件も確認しておく
合格後の負担を左右するのが既修得単位の認定と、編入学時点で求められる外国語の単位です。多摩美術大学は、編入学前に修得した単位について原則62単位を一括認定するとしています(建築・環境デザイン学科に限り、62単位を上限とした科目毎の認定)。さらに、個人の学修成果に応じて62単位の一括認定に加えて12単位までの個別認定を実施しますが、この個別認定の対象は日本国内の大学・短期大学で修得した単位に限られます。海外の大学からの編入者は、この12単位の個別認定を受けられない点に注意してください。
もう一つ見落としやすいのが、学科によって編入学時点までに外国語を一定単位数修得していることが「推奨」または「必須」とされている点です。
| 学科・専攻 | 外国語の単位要件 |
|---|---|
| 工芸学科/生産デザイン学科/建築・環境デザイン学科 | 編入学時に同一語種(英・仏・独・伊・中・韓語等)で4単位修得を推奨 |
| グラフィックデザイン学科 | 編入学時に英語4単位修得を推奨 |
| 情報デザイン学科 | 編入学時に英語6単位修得を推奨 |
| 芸術学科 | 編入学時に外国語6単位修得を推奨、うち4単位は必須要件(修得見込可) |
| 統合デザイン学科/演劇舞踊デザイン学科 | 編入学時に同一語種(英・仏・独・伊語)で4単位以上修得を推奨 |
いずれも卒業要件にカウントされる単位のため、「推奨」であっても不足している場合は入学後の3・4年次に補う必要があります。とくに芸術学科は外国語4単位が明確に「必須要件」とされている唯一の学科で、修得見込みでの出願は可能ですが、前籍校で外国語科目をどれだけ履修してきたかを出願前に必ず確認してください。絵画学科・彫刻学科・情報デザイン学科メディア芸術コース・演劇舞踊デザイン学科演劇舞踊コースについては、募集要項に外国語の単位要件の明記がありません。
併願をどう組むか
実技試験の有無で学科が二分されるという多摩美術大学の特性は、併願校を選ぶときの軸にもなります。鉛筆デッサンやデザインの実技がある学科(グラフィックデザイン学科・生産デザイン学科・建築&環境デザイン学科・演劇舞踊デザイン学科劇場美術デザインコース)を志望する場合、同様に実技系の編入学試験を課す他の美術大学・デザイン系学科と試験時期が近いことが多く、日程が重ならないかを早めに確認してください。一方、情報デザイン学科・統合デザイン学科・芸術学科のように実技を課さない学科を志望する場合は、小論文・面接・ポートフォリオで評価する編入学試験を実施している大学と併願しやすくなります。
提出物の準備期間にも注意が必要です。芸術学科の研究計画レポート(出願時提出・4,000字)や統合デザイン学科のオンラインポートフォリオは、出願締切と同時に完成させておく必要があり、面接日に持参すればよい他学科より前倒しでの準備が必須です。併願校を検討する際は、出願書類の提出タイミングが重ならないよう、あわせてスケジュールを組んでください。
編入学の対策全体を独学だけで進めるか、家庭教師や予備校を併用するかで迷う場合は、大学編入に特化した予備校・家庭教師の選び方を整理した記事もあわせて参考にしてください。
受験当日に見落としやすい注意事項
募集要項には「受験上の注意」として19項目が明記されています。他大学の入試と共通する内容も多いですが、見落とすと失格につながりかねない項目を紹介します。
- 遅刻は試験開始後30分以内のみ受験可能で、時間の延長は一切ありません。小論文試験場には試験開始45分前から入場でき、開始30分前までの着席が求められます。
- 1科目でも受験しないと、その時点で失格となり以降の試験を受けられません。小論文を欠席すれば、専門試験や面接が残っていても受験資格を失います。
- 試験場内に時計は設置されません。私物の時計は持参できますが、計算・辞書・通信・撮影・アラーム機能付きの時計やスマートウォッチは使用禁止です。
- 試験棟内・試験中の通信機器(携帯電話・スマートフォン・PC・スマートウォッチ・スマートグラス等)の使用は不正行為とみなされ、ただちに退場・失格(不合格)となります。
- 午後にわたる試験では昼食の持参が必要です。キャンパス内で食べ物を購入することはできず、キャンパス外に出ることも認められません。
- インフルエンザ・麻疹・新型コロナウイルス感染症など学校保健安全法上出席停止となる感染症に罹患した場合、原則として受験できません。
- 不正行為(カンニング、身代わり受験、他の受験生の解答を見る・模倣する等)が認定された場合、当該年度の全学科・専攻・コースの入学試験が受験不可・全結果が失格となり、警察への被害届が提出されることもあります。出願書類の偽造・虚偽記載も不正行為に含まれます。
よくある質問
多摩美術大学の3年次編入は難しいですか。
学科によって大きく異なりますが、全体としては易しくありません。2026年度の3年次編入実績は志願134名・受験100名・合格20名で、受験者に対する倍率は約5.0倍でした。2025年度は約5.7倍とさらに厳しく、2023年度の約2.9倍から4年間で上昇傾向にあります。
実技試験(専門試験)はどの学科にありますか。
グラフィックデザイン学科(鉛筆デッサン)、生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻・テキスタイルデザイン専攻(デザイン)、建築・環境デザイン学科(鉛筆デッサン)、演劇舞踊デザイン学科演劇舞踊コース(身体表現)・劇場美術デザインコース(鉛筆デッサン)です。絵画・彫刻・工芸・情報デザイン・統合デザイン・芸術学科には実技の専門試験がなく、小論文・面接・提出作品(芸術学科は専門小論文)で評価されます。
美大出身でなくても3年次編入学選抜を受けられますか。
受けられます。大学は公式FAQで「美術系大学などの出身でなくても3年次編入学選抜や大学院を受験できますか」という質問に対し、一部の学科・専攻・コースでは出身校の教育課程・修得単位等の事前確認が必要になるとしたうえで、出願資格自体は満たしていれば出願できると回答しています。事前確認が必要かどうかは募集要項の出願資格欄で学科ごとに確認してください。
短期大学や高等専門学校を卒業していれば出願できますか。
出願できます。出願資格には日本国内の短期大学卒業者、高等専門学校卒業者が明記されています。専修学校の専門課程(修業年限2年以上・総授業時間数1,700時間以上)や高等学校専攻科の課程の修了者も、学校教育法第90条の大学入学資格を有していれば出願資格があります。
複数の学科・専攻・コースに同時に出願できますか。
できません。募集要項に「複数の学科・専攻・コースに出願できません」と明記されています。志望する1区分に絞って出願する必要があります。
過去問はどこで手に入りますか。
多摩美術大学は入試情報サイトの「過去問題(参考作品集)」ページで、2018年度〜2026年度の3年次編入学選抜について、デジタルパンフレット(参考作品集)と、専門試験・小論文の「出題の狙い・意図、採点のポイント」をまとめたPDFを公開しています。問題そのものではなく大学が公開している出題意図・採点基準を読み込むことが、対策の出発点になります。
提出作品はいつまでに用意すればよいですか。
学科によって提出タイミングが違います。絵画学科油画専攻は面接日より前の12月16日(水)に作品を郵送・搬入する必要があり、芸術学科の研究計画レポートと統合デザイン学科のオンラインポートフォリオは出願時提出です。それ以外の多くの学科は面接当日の持参で構いません。自分の志望学科の提出タイミングを募集要項で必ず確認してください。
外国籍ですが日本語試験は必要ですか。
日本の永住許可(特別永住者を含む)を得ている場合は不要です。それ以外の場合は、日本留学試験(EJU)の「日本語」で220点以上(読解+聴解・聴読解、各200点・合計400点)、または日本語能力試験(JLPT)でN2以上の合格が必要です。ただし本学または国内の大学・短期大学の卒業(見込み)者、国内の大学に2年次以上在学している者などは免除されます。
編入後の学費は入学時と変わりますか。
在学中の学費は入学時の額による一定方式です。2027年度の学費は本記事執筆時点で未定のため、大学は2026年度の学費を参考値として公開しています。学科によって初年度納入金は約194万円〜約203万円の幅があります。
提出した作品やポートフォリオは返却されますか。
版画専攻が出願時に提出するポートフォリオを除き、出願時に提出した作品・書類は事由を問わず返却されません。面接日に持参する作品は試験終了後にその場で持ち帰ります。原本を提出する場合は、事前に複製やプリントを用意しておくと安全です。
試験当日にスマートウォッチや電子辞書は使えますか。
使えません。試験場内に時計は設置されず私物の時計は持参できますが、計算・辞書・通信・撮影・アラーム機能付きの時計やスマートウォッチは使用が禁止されています。試験中の携帯電話・スマートフォン・PC・スマートグラス等の使用も不正行為とみなされ、発覚した場合はただちに退場・失格となります。
まとめ
多摩美術大学の3年次編入学選抜は、美術学部1学部の中にある15の学科・専攻・コースすべてが対象という点で、他の総合大学のように「実施学部が限られる」構造ではありません。その代わり、実技試験の有無・提出作品の内容・提出タイミングが学科ごとにまったく違うため、「多摩美に編入する」ではなく「どの学科に編入するか」で対策の中身がまるごと変わります。
倍率は2023年度の約2.9倍から2026年度の約5.0倍まで上昇傾向にありますが、学科別に見ると合格者数が年1〜5名という小さな母数の学科がほとんどで、単年度の数字だけで難易度を判断するのは危険です。複数年度の実績を横断して自分の志望学科の傾向をつかんでください。
もう一つの武器になるのが、大学が公式に公開している「出題の狙い・意図・採点のポイント」です。問題文そのものは公開されていませんが、大学がどんな力を測ろうとしているかは学科別・年度別に読み取れます。実技がある学科は技術力だけでなく「出題の意図をどう解釈したか」が、実技がない学科は「志望理由や研究テーマをどれだけ具体的に語れるか」が評価の軸になっています。彫刻学科の面接で大学が明言している「入学後にどれだけ伸びるか」という基準は、実技の有無にかかわらず多摩美術大学の編入学選抜全体に通底する視点だと言えます。
本記事の数値は多摩美術大学が公表する2027年度学生募集要項(3年次編入学選抜)、および2023〜2026年度の入試データ・専門試験出題の狙い・意図・採点のポイント資料に基づいています。制度・日程・募集人員・試験科目・学費は年度によって変更されるため、出願前には必ず多摩美術大学が公表する最新の学生募集要項をご確認ください。
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