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慶應義塾大学大学院 社会学研究科の外部院試を徹底解説|出願資格・試験科目・研究計画書・面接対策まで

慶應義塾大学大学院社会学研究科は、社会学専攻・心理学専攻・教育学専攻の3専攻からなる大学院で、他大学出身者も出願できる一般入試を毎年実施しています。試験は三田キャンパスで行われ、英語と専門科目からなる第1次試験(筆記試験)と、口頭試問による第2次試験の二段階選考が特徴です。出願資格や試験科目は専攻ごとに細かく異なり、研究計画書の様式も社会学専攻とそれ以外の専攻で別のフォーマットが用意されています。専門科目・英語という筆記試験の得点だけでなく、出願時に提出する研究計画書と第2次試験(口頭試問)まで含めた総合評価という選考方式であるため、対策すべき範囲は一般的な院試よりも広くなりがちです。本記事では、慶應義塾大学が公開する2027年度入学試験要項(一般入試)と、社会学研究科が公開する過去問題・出題の意図をもとに、募集人員・出願資格・試験科目・研究計画書・日程・倍率・過去問分析までを、公式情報だけを根拠に整理します。数値や制度は年度によって変更される可能性があるため、出願前には必ず最新の募集要項をご確認ください。
社会学研究科・3専攻の概要と外部院試の位置づけ
慶應義塾大学大学院社会学研究科は、社会学専攻・心理学専攻・教育学専攻という3つの専攻で構成される研究科です。3専攻はいずれも修士課程と後期博士課程を設置しており、学部段階で慶應義塾大学に在籍していなかった受験者も、一般入試を通じて出願できます。研究科の母体は文学部人間関係学系にあたりますが、指導教員は文学部だけでなく法学部・経済学部・教職課程センター・メディア・コミュニケーション研究所など複数の学部・研究所から参加しており、学際的な体制を取っていることが特徴です。
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社会学専攻は、文化人類学・民俗学・コミュニケーション論(マスコミュニケーション研究)・社会心理学など幅広い分野を扱う専攻です。マクロな社会構造の分析からミクロな相互行為の分析まで、質的調査と量的調査の双方を用いる研究者・実務家を育成することを掲げています。心理学専攻は実験的手法に基づく実証科学としての心理学を志向しており、基礎的な実験心理学から認知心理学・発達心理学・神経心理学まで、データに基づく検証を重視した教育を行っています。教育学専攻は、教育哲学・教育史・比較教育学・教育心理学・学校教育学という5つの領域を横断的に扱い、人間形成に関わる営みを理論的・歴史的・実験的・実証的なアプローチで研究する場と位置づけられています。
外部院試という観点では、社会学研究科の一般入試そのものに出身大学による制限は設けられていません。大学を卒業した者(卒業見込みを含む)であれば、慶應義塾大学の学部出身でなくても同じ土俵で出願できます。ただし後述するとおり、慶應義塾大学に在学する成績優秀者向けの推薦制度(第1次試験免除)が別途用意されており、この制度は塾内生を対象としたものです。外部から一般入試で受験する場合は、この推薦制度の対象外として、通常どおり第1次試験(筆記試験)から受けることになる点を押さえておく必要があります。
社会学研究科が公表するアドミッション・ポリシーによると、社会学専攻は「社会学に関する基礎的な専門に関する学力」「明確な問題意識をもとに主体的に研究に取り組む態度」「学術研究の遂行に適した日本語及び外国語運用能力」「研究倫理を尊重できること」「学術研究成果を専門性が求められる職業を通じて広く社会に還元する意欲」という5点を求める学生像として掲げています。カリキュラムは社会学・文化人類学民俗学・コミュニケーション研究・社会心理学の4分野から構成され、講義や文献講読に基づく討論に加えて、フィールドワークを組み込んだ研究指導が行われる点が特徴です。ディプロマ・ポリシーでは、修士課程修了までに社会学に関する専門的知識、質的・量的社会調査に関する調査・分析能力、学際的に周辺領域へ接続できる幅広い知識の運用能力を身につけることが掲げられています。
心理学専攻のアドミッション・ポリシーも、基礎的専門学力・明確な問題意識と動機・日本語及び外国語運用能力・専門的職業人としての研究活動への意欲・社会貢献意欲という5点で構成されています。教育は演習・実習・フィールドワーク・PBL・インターンシップなどを組み合わせた実践的な手法で行われ、ディプロマ・ポリシーでは基礎的かつ包括的な知識と高度な専門的知識の獲得に加えて、心理学に関する実験的・応用的研究を主体的に遂行できる専門的技法の獲得が到達目標として示されています。
教育学専攻は、教育哲学・教育史・教育心理学・比較教育学・学校教育学という5分野から教育課程が構成されています。選抜は一般入試と現職教員枠入試の2種類が設けられており、現職教員に対しては大学院設置基準第14条の特例を適用し、夜間や特定の時間帯での柔軟な履修を可能にしている点が、他の2専攻にはない特徴です。アドミッション・ポリシーでは基礎的専門学力や問題意識に加えて、現職教員によるリカレント教育への意欲や研究成果を社会に還元する志向が求める学生像として挙げられています。
3専攻ともアドミッション・ポリシーに「学術研究の遂行に適した日本語及び外国語運用能力」を掲げている点は共通しています。出願前に自分の志望専攻のカリキュラム・ポリシーとディプロマ・ポリシーを読み込み、修士課程で身につけるべき資質・能力として何が掲げられているかを確認しておくと、研究計画書(調書B・調書C)で何を強調すべきかの手がかりになります。専攻ごとのポリシーは研究科ウェブサイトで公開されているため、志望理由書や口頭試問の準備を始める前に一度目を通しておくことをおすすめします。
また、社会学研究科は修士課程だけでなく後期博士課程も同時に募集しており、2027年度の後期博士課程入試は社会学専攻6名・心理学専攻2名・教育学専攻3名、計11名を募集人員としています。出願期間は2026年12月21日から24日、第1次試験(筆記試験および論文審査)は2027年2月19日、第2次試験(口頭試問)は2027年2月20日に設定されており、本研究科修士課程修了者・修了見込者は英語の筆記試験が免除されます。本記事では、外部院試として志願者が多い修士課程一般入試を中心に解説します。
募集人員・出願資格(語学要件を含む)
2027年度社会学研究科修士課程の一般入試における募集人員は、以下のとおりです。教育学専攻の募集人員には現職教員枠(若干名)が含まれており、現職教員枠の受験者は英語の筆記試験が免除されるなど、通常の受験者とは異なる取り扱いになります。
| 専攻 | 学位 | 募集人員 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 社会学専攻 | 社会学 | 25名 | 一般入試 |
| 心理学専攻 | 心理学 | 5名 | 一般入試 |
| 教育学専攻 | 教育学 | 10名 | 現職教員枠(若干名)を含む |
出願資格は、大学を卒業した者および2027年3月31日までに卒業見込みの者を基本としつつ、次のようなケースを個別に定めています。自分がどの号に該当するかを早い段階で確認しておくと、出願直前になって書類が揃わないという事態を避けられます。
- 日本国内の大学を卒業した者、または2027年3月31日までに卒業見込みの者
- 大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者(見込みを含む)
- 外国において学校教育における16年以上の課程を修了した者(見込みを含む)
- 修業年限4年以上等の要件を満たす専修学校の専門課程・専攻科で、文部科学大臣が別に指定するものを修了した者(見込みを含む)
- 文部科学大臣の指定した者
- 日本国内の大学に3年以上在学し、大学院が定める単位を優れた成績で修得したと認められた者(出願前に「出願資格認定申請」が必要)
- 外国の大学等で修業年限3年以上の課程を修了し、学士相当の学位を授与された者(見込みを含む)
- 大学を卒業した者と同等以上の学力があると認められ、入学までに22歳に達する者(出願前に「出願資格認定申請」が必要)
- 現職教員枠で教育学専攻に出願する場合は、上記いずれかに加えて、専修免許状の取得を目的とすること・基礎となる免許状を入学時に有すること・学校教育法第1条校での3年以上の教職経験・原則1年以上の大学院修学休業制度等の利用という条件を満たすこと
出願資格の6号・8号に該当する者は、出願登録に先立って「出願資格認定申請」を行う必要があります。2027年度入試では申請受付期間が2026年6月16日から18日に設定されており、出願資格認定申請書・履歴書・最終学歴を証明する書類・出願資格認定申請理由書をメールで提出し、審査結果は2週間を目処に通知される仕組みです。この申請を忘れると出願自体ができなくなるため、学歴が一般的な4年制大学卒業のルートに当てはまらない場合は、早めにスケジュールを確認しておく必要があります。出願資格に関する疑問は自己判断で進めず、学生部大学院入試担当(電話03-5427-1067、メールgrad_admissions@info.keio.ac.jp)へ問い合わせることができる窓口も用意されています。
出願にあたって提出する書類は多岐にわたります。出願書類チェックリストと入学志願者調書(顔写真つき)を土台に、社会学専攻志願者以外は入学志願者調書B、社会学専攻志願者は調書Bと調書Cの両方を作成します。これに加えて、学部成績証明書、卒業証明書または卒業見込証明書、海外の大学出身で学位の記載がない場合は学位取得(見込)証明書が必要です。後期博士課程志願者はさらに修士成績証明書、修了証明書または修了見込証明書、修士論文またはこれに準ずる論文とその要約(いずれもPDFでアップロード提出)が求められ、現職教員枠での出願者は「教員としての実践をまとめたレポート(8,000字程度)」と在職(休業)証明書を追加で提出します。
入学志願者調書に添付する顔写真にも細かい条件があります。鮮明なカラー画像で肩から上の正面・無帽、背景は白・青・グレーを基調とした無地であることが求められ、画像に加工や修正を施したもの(証明写真作成用アプリでの撮影を含む)は使用できません。試験当日に本人照合ができない写真は受験自体が認められないという注意書きもあり、合格者についてはこの写真がそのまま学生証用写真として使用される仕組みです。データはJPEG形式で100KB以上5MB以下という条件も定められているため、出願登録の直前に慌てて撮影するのではなく、早めに条件を満たす写真を準備しておくと安心です。
証明書類の多くは出身大学の教務窓口でしか発行できず、発行までに数日から数週間かかることもあります。出願書類の郵送は速達(簡易)書留に限られ、窓口への持参は受け付けられません。証明書の氏名が出願時と異なる場合(旧姓など)は戸籍抄本の追加提出が必要になるなど、細かな条件も定められているため、出願登録が始まる前の段階から必要書類を洗い出し、余裕を持って準備を進めることが重要です。
語学要件について、確認できた2027年度入学試験要項の出願書類一覧には、TOEICやTOEFLなど外部語学試験のスコア提出を求める規定は見当たりませんでした。英語力は募集要項が定める提出書類としてではなく、一般入試の第1次筆記試験に設けられた「英語」科目(社会学専攻・心理学専攻・教育学専攻(現職教員枠以外)が対象)によって測定される方式が取られています。この点は、外部スコアの提出を必須とする研究科も少なくない中で、社会学研究科ならではの特徴といえます。ただし出願要件は年度によって変更される可能性があるため、この点も含めて最新の募集要項で必ず確認してください。
試験科目(専門科目・英語・研究計画書・口述試問)
社会学研究科修士課程一般入試の第1次試験(筆記試験)は、2026年9月9日(水)8:40集合で三田キャンパスにて実施されます。1時限に英語、2時限に専攻ごとの専門科目という構成で、時間割は次のとおりです。
| 時限 | 時間 | 社会学専攻 | 心理学専攻 | 教育学専攻(現職教員枠以外) | 教育学専攻(現職教員枠) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1時限 | 9:00〜10:30 | 英語 | 英語 | 英語 | − |
| 2時限 | 11:15〜13:15 | 社会学 | 心理学 | 教育学 | 教育学 |
会場となる三田キャンパスへは、田町駅(JR山手線・京浜東北線)徒歩8分、三田駅(都営浅草線・三田線)徒歩7分、赤羽橋駅(都営大江戸線)徒歩8分でアクセスできます。試験会場への入室は集合時刻(8:40)の30分前にあたる8:10から可能で、具体的な教室は試験当日に掲示で案内される仕組みです。
英語の試験時間は90分、専門科目は120分です。英語では一般的な語学辞典の持ち込みが認められており、英和辞典・和英辞典、あるいは母国語と英語・母国語と日本語の辞書などの組み合わせは自由とされています。ただし書き込みのある辞書や付箋を付した辞書、電子辞書は使用できません。専門用語集や慣用句辞典、社会学辞典といった語学辞書以外の書籍の持ち込みも認められていない点に注意が必要です。設問で指示がない限り、答案は原則として日本語で作成することになっています。
専門科目は専攻ごとに独立しており、社会学専攻は「社会学」、心理学専攻は「心理学」、教育学専攻は「教育学」という科目名で実施されます。各専攻の専門科目がどのような論述構成になっているかは、後述する過去問分析の章で2026年度の出題の意図をもとに詳しく解説します。専門科目は暗記した用語を並べるだけでは対応できず、専門知識を現代の社会現象や具体的な研究テーマに応用して論述する力が求められる設計になっています。
研究計画書に相当する書類は、試験当日の筆記科目としてではなく、出願書類の一部として事前に提出する形式です。社会学専攻志願者は「入学志願者調書C」という専用様式で研究計画を記述し、心理学専攻・教育学専攻志願者は「入学志願者調書B」の3ページ目にある「入学後の研究について(テーマ・問題意識・研究計画)」欄に記載します。この違いについては次の章で詳しく解説します。
試験当日の注意事項も細かく定められています。時計は各自持参する必要があり、試験会場に時計は用意されていません。翻訳機能や計算機能など一般的な時刻表示以外の機能を持つ時計や、携帯電話・スマートフォンを時計代わりに使うことも認められておらず、アラーム機能の使用も禁止されています。解答に使用できる筆記用具は鉛筆(黒のHBまたはB)、シャープペンシル(黒のHBまたはB)、ペン(黒か青のインク、ボールペン可)に指定されているため、当日焦らないよう事前に用意しておくとよいでしょう。カンニングや使用が認められていない用具の使用、試験監督者の指示に従わない行為などは不正行為とみなされ、発覚した場合はその年度の本大学すべての入学試験結果が無効になるという厳しい規定が設けられています。基本的な受験マナーではありますが、事前に規定を読んでおくことで当日の不安を減らせます。
第2次試験は口頭試問です。集合時刻・場所などの詳細は、第1次試験の合格発表時に案内される仕組みで、第1次試験を免除された受験者(塾内推薦対象者など)も必ず合格発表を確認する必要があります。合否は出願書類・筆記試験・口頭試問の結果を総合的に評価したうえで研究科委員会が決定するとされており、各評価項目の比重は専攻の特性に応じて設定され、受験者の学問的能力・研究遂行の可能性・志望理由の妥当性が多角的に審査される、と募集要項に明記されています。特定の科目の得点だけで合否が決まるわけではなく、出願書類の完成度と口頭試問での受け答えが最後まで合否に影響する設計です。
合否結果はオンライン合格発表で確認する方式で、受験番号とセキュリティコードが必要です。電話等での合否に関する問い合わせには一切応じないと明記されているため、発表当日はオンラインでの確認を前提にスケジュールを組んでおく必要があります。第1次試験合格発表は2026年9月10日18:00、第2次試験(口頭試問)を経た最終合格発表は2026年9月11日19:00と、1次発表から最終発表までわずか1日というタイトな日程になっている点も特徴です。
研究計画書(入学志願者調書B・C)と研究室訪問
社会学研究科の研究計画書は、志望する専攻によって様式がはっきり分かれています。社会学専攻志願者だけが提出する「入学志願者調書C」は、通常の調書Bにある研究計画欄を空欄にしたうえで、代わりに提出する専用書式です。フォントサイズ10pt以上、各項目とも与えられた記入欄の8割以上を埋めることが求められ、別紙の添付はできません。
| 項目 | 社会学専攻志願者(調書C) | 心理学専攻・教育学専攻志願者(調書B) |
|---|---|---|
| 研究計画の提出様式 | 入学志願者調書C(専用9項目) | 調書B 3ページ「入学後の研究について」 |
| 記載する主な内容 | 研究タイトル・研究目的(RQ)・先行研究の位置づけ・仮説・研究方法・意義・研究倫理 | テーマ・問題意識・研究計画+将来の希望 |
| 希望指導教員の記入 | 第1希望・第2希望まで2名記入可 | 希望指導教員欄に1名記入 |
希望指導教員の記入欄も、社会学専攻とそれ以外の専攻で扱いが異なります。社会学専攻は第1希望・第2希望まで最大2名を挙げられるのに対し、心理学専攻・教育学専攻は調書B内の「希望指導教員」欄に1名を記入する形式です。第1希望の教員が留学など個別の事情で指導できない場合に備え、社会学専攻志願者は第2希望まで検討しておくと安心です。いずれの専攻でも、記載できるのは研究科ウェブサイトの「希望指導教員一覧」に掲載されている教員に限られるため、一覧に載っていない教員を挙げることはできません。
調書Cで求められる9項目は、次のとおりです。単なる研究テーマの紹介にとどまらず、修士論文レベルの研究計画として組み立てる必要があります。
- 希望指導教員名(社会学研究科に入学後、指導を希望する教員を第1希望・第2希望まで、研究テーマに関連する教員を挙げて記入)
- 研究タイトル(研究の主要概念・目的が分かるように記述。副題も可)
- 修士論文の概要と博士論文研究との関連性(後期博士課程志願者のみ)
- 研究目的・研究課題(リサーチ・クエスチョン)
- 研究テーマに関する主要な先行研究や理論の紹介、および自分の研究の位置づけ
- 期待される成果(仮説)やその根拠
- 具体的な研究方法(データ収集方法、文献研究における文献収集方法など)
- 研究の意義(研究上・社会的な意義)
- 研究倫理(倫理的な観点からの議論)
この9項目は、リサーチ・クエスチョンの設定から先行研究のレビュー、仮説、方法論、研究倫理までを一通り書かせる構成になっており、卒業論文レベルの研究計画ではやや不足しやすい「研究の位置づけ」と「研究倫理」まで独立した項目として求めている点が特徴です。特に5番目の項目では、自分の研究テーマに関連する先行研究の流れを俯瞰したうえで、自分の研究がその中でどこに位置づけられるのかを明示する必要があり、単著論文や教科書のまとめではなく、研究史の中での自分の立ち位置を語る力が問われます。
3番目の「修士論文の概要と博士論文研究との関連性」は後期博士課程志願者だけが記入する項目ですが、修士課程志願者にとっても研究の一貫性を意識する上で参考になります。修士課程で扱う研究テーマが、その先にどのような問いへとつながっていくのかを漠然とでもイメージできていると、4番目以降の研究目的・研究方法・研究の意義を一貫した論理で記述しやすくなります。逆に、研究テーマが行き当たりばったりで一貫性を欠いていると、口頭試問で研究の全体像を問われた際に説明に窮しやすくなる点にも注意が必要です。
調書Bの1ページ目には、中学校卒業から大学卒業までの学歴、職歴、海外居住歴、研究歴、所属団体(所属学会等)、その他特記事項(賞罰や特殊技能等)を記入する欄が設けられています。4ページ目には既発表論文・学会報告等を記入する欄があり、実績がない場合は「なし」と明記するよう指示されています。学部生時代に学会発表や論文投稿の経験がない受験者が大多数である一方、社会人経験者や研究職を経て出願する受験者にとっては、これまでの研究歴を整理して示す重要な項目になります。
一方、心理学専攻・教育学専攻の志願者は、調書Bの学歴・職歴・研究歴に続くページで、大学卒業論文(または主たる関心を持って研究したテーマ)の指導教員名と内容概要を記入したうえで、「入学後の研究について(テーマ・問題意識・研究計画)」と「希望指導教員」を記入します。卒業論文を作成しなかった場合は、大学で関心を持って研究したテーマとその内容を記入するよう指示されており、研究会(ゼミ)に所属していなかった場合は特に指導を仰いだ教員名を記載する扱いです。
調書Bには、心理学専攻・教育学専攻の志願者全員が記入する「将来の希望」欄も設けられています。研究計画そのものだけでなく、修了後にその研究をどう活かしたいのかまで問われる項目で、研究者志望なのか、専門性を活かした職業人としての活躍を志向するのかによって記述の方向性は変わります。いずれの場合も、アドミッション・ポリシーが掲げる「学術研究成果を専門性が求められる職業を通じて広く社会に還元する意欲」と矛盾しない形で、研究計画と将来像を一貫させて書くことが評価につながりやすいと考えられます。
指導教員に関しては、研究科ウェブサイトに「希望指導教員一覧」が掲載されており、そこに記載されていない教員を指導教員として選ぶことはできません。一覧には文学部人間関係学系を中心に、法学部・経済学部・教職課程センター・メディア・コミュニケーション研究所など複数の学部・研究所に所属する教員が名を連ねています。記載されている教員であっても、留学など個別の事情により指導教員になれない場合があるとも案内されています。
研究室訪問そのものは出願の必須要件ではありませんが、希望する研究分野が指導を希望する教員の指導できる範囲にあるかどうかについては、研究科ウェブサイトに記載された連絡先から事前に問い合わせることができる、という公式のルートが用意されています。ただし、それ以外の相談(研究計画の添削や合否に関する相談など)は受け付けていないと明記されており、問い合わせへの対応についても希望に添えない場合があるとされています。事前連絡を行う際は、この趣旨を踏まえ、自分の研究テーマと指導教員の専門分野が合っているかどうかを確認する目的に絞って、簡潔に問い合わせることが望ましいといえます。
まずは無料相談で、合格までの最短ルートを確認しませんか?
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出願から合格発表までの日程・スケジュール
2027年度社会学研究科修士課程一般入試の日程は、次のとおり公表されています。
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 出願資格認定申請(該当者のみ) | 2026年6月16日(火)〜6月18日(木) |
| 出願登録(インターネット) | 2026年6月30日(火)10:00〜7月10日(金)15:00 |
| 入学検定料の支払期間 | 2026年6月30日(火)10:00〜7月10日(金)23:00 |
| 出願書類の郵送期間 | 2026年7月7日(火)〜7月10日(金)(締切日消印有効) |
| 第1次試験(筆記試験) | 2026年9月9日(水) 8:40集合・三田キャンパス |
| 第1次試験合格発表 | 2026年9月10日(木)18:00・オンライン合格発表 |
| 第2次試験(口頭試問) | 2026年9月11日(金)・三田キャンパス |
| 最終合格発表 | 2026年9月11日(金)19:00・オンライン合格発表 |
| 入学手続期間 | 2027年3月1日(月)〜5日(金) |
出願登録(インターネット)は、一度完了すると受験生本人が登録内容を変更できない仕組みになっています。誤った情報を登録してしまった場合、検定料の支払い前であれば改めて入力し直せますが、支払い後に誤りに気づいた場合は再登録ではなく大学院入試担当への問い合わせが必要になります。専攻名や希望指導教員名など、登録画面で選択・入力する項目に誤りがないか、送信前に必ず見直す習慣をつけておくとよいでしょう。
出願は郵送のみで受け付けられ、窓口への持参は認められていません。出願書類一式は市販の封筒に封入し、指定の宛名ラベルを貼付したうえで「速達(簡易)書留」で送付する必要があります。日本国外からの発送は追跡可能な国際郵便サービスの利用が求められ、いかなる理由があっても締切後の書類は受理されないと明記されています。余裕を持ったスケジュールで郵送準備を進めることが重要です。
入学検定料は35,000円で、これに別途サービス利用料1,100円がかかります。検定料を納入したものの結果的に出願しなかった場合や、誤って二重に納入してしまった場合を除き、いかなる理由があっても返金されません。返金請求を行う場合は、各出願期間最終日から1週間以内に大学院入試担当へ連絡する必要があります。
出願資格認定申請(出願資格6号・8号該当者向け)では、出願資格認定申請書、出願資格認定申請用履歴書(小学校から記入)、最終学歴を証明する書類、出願資格認定申請理由書(研究歴・業績等があれば記述、様式自由)の4点をメールで提出します。審査結果は2週間を目処に通知されるため、6月中旬の申請期間を逃すと出願登録そのものができなくなる点に注意が必要です。出願登録と検定料の支払いが完了すると受験票がオンラインで公開され、白色のA4用紙に印刷して試験当日に持参する仕組みになっており、大学から受験票が郵送されることはありません。
学費についても参考として触れておきます。2027年度入学者の学費は本記事作成時点で未定とされていますが、2026年度の社会学研究科修士課程の初年度納付金は、在籍基本料70,000円、授業料1,070,000円、その他の費用4,200円を合わせて合計1,144,200円でした。入学手続期間は2027年3月1日から5日で、入学に必要な費用の振込み・必要事項の入力・手続書類の郵送という3つの手続をすべて期限内に終える必要があります。
他研究科と比較すると、社会学研究科の初年度納付金(1,144,200円)は文学研究科と同額です。法学研究科は論文刊行費36,000円を含むため1,190,200円、商学研究科は1,150,700円と、社会学研究科よりやや高く設定されています。経済的な負担を軽減する制度としては、慶應義塾大学大学院奨学金(給付、年額50万円または60万円)、研究のすゝめ奨学金(給付、年額30万円・50万円・70万円で研究科により異なる)、修学支援奨学金(給付、学費の範囲内で平均支給額は年額約30万円)などが用意されており、出願前に対象要件を確認しておくと安心です。
出願登録は2026年6月30日から7月10日までの約10日間、出願書類の郵送期間はさらに短い7月7日から10日までしかありません。成績証明書や卒業見込証明書は発行に数日から数週間かかることがあるため、出願資格認定申請が必要な場合は6月中旬の申請期間、それ以外の場合も出願登録が始まる6月30日より前の段階から、証明書の請求や研究計画書(調書B・調書C)の下書きに着手しておくことをおすすめします。第1次試験(9月9日)から最終合格発表(9月11日)までは3日間、入学手続は翌年3月とかなり間が空くため、合格後の資金準備や引っ越しなどの計画も並行して立てておくと安心です。
なお、社会学研究科では慶應義塾大学に在学する成績優秀な学生を対象とした推薦制度があり、この制度を利用すると修士課程入試の第1次試験(筆記試験)が免除されます。この推薦制度はあくまで塾内生向けの仕組みであり、他大学出身者が一般入試で外部から受験する場合は対象になりません。外部院試として社会学研究科を志望する場合は、第1次試験からの受験を前提にスケジュールを組む必要があります。
出願前に確認しておきたい項目を、専攻共通の観点でまとめると次のとおりです。抜け漏れがあると出願自体ができなくなる項目も含まれるため、出願登録が始まる前の段階でひととおり目を通しておくことをおすすめします。
- 自分の学歴がどの出願資格の号に該当するか、出願資格認定申請が必要かどうか
- 成績証明書・卒業(見込)証明書など、発行に時間がかかる証明書の準備状況
- 志望する専攻(社会学・心理学・教育学)と、それに応じた研究計画書の様式(調書Cまたは調書B)
- 希望指導教員が「希望指導教員一覧」に掲載されているか、研究テーマと専門分野が合っているか
- 第1次試験(英語・専門科目)の時間割と、辞書持ち込みなど当日の注意事項
- 出願登録・検定料支払い・出願書類郵送それぞれの締切日
倍率・難易度(過去5年間の入試結果)
社会学研究科が公表している入試統計から、修士課程一般入試(2022年度〜2023年度は外国人留学生入学試験を含む)の志願者数・合格者数・倍率を専攻別にまとめると、次のとおりです。倍率は志願者数÷合格者数で算出した概算値であり、年度や選考方法によって実際の合否判定基準は異なります。
| 専攻 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | 2026年度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 社会学専攻(志願者/合格者/倍率) | 84/21/約4.0倍 | 81/19/約4.3倍 | 137/22/約6.2倍 | 110/20/約5.5倍 | 112/24/約4.7倍 |
| 心理学専攻(志願者/合格者/倍率) | 11/6/約1.8倍 | 13/7/約1.9倍 | 16/8/2.0倍 | 16/8/2.0倍 | 12/6/2.0倍 |
| 教育学専攻(志願者/合格者/倍率) | 9/3/3.0倍 | 10/4/2.5倍 | 17/4/約4.3倍 | 10/4/2.5倍 | 16/7/約2.3倍 |
専攻別に見ると、社会学専攻はほかの2専攻と比べて志願者数の絶対数が多く、倍率も年度によって約4.0倍から約6.2倍まで変動が大きいことが分かります。なお、2022年度・2023年度の数値には外国人留学生入学試験の志願者・合格者が含まれる一方、2024年度以降は一般入試の数値のみとなっているため、単純な年度間比較には幅を持たせて見る必要があります。2024年度は志願者137名に対し合格者22名と、5年間で最も倍率が高くなった年度でした。心理学専攻は志願者数自体が11名から16名程度と少人数で推移しており、倍率はおおむね1.8倍から2.0倍の範囲で比較的安定しています。教育学専攻は志願者9名から17名の間で推移し、倍率は2.3倍から4.3倍とばらつきがあり、現職教員枠を含む募集人員の構成が年度ごとの合格者数に影響している可能性があります。
3専攻を比較すると、社会学専攻は志願者の母数が大きい分だけ倍率も相対的に高く出やすい一方、心理学専攻は志願者・合格者ともに少人数のため倍率の値だけで難易度を単純比較しにくい面があります。いずれの専攻も倍率が2倍台から6倍台で推移しており、「余裕を持って合格できる入試」ではないことは共通しています。専門科目・英語の筆記試験に加えて出願書類(研究計画書)と口頭試問まで総合的に評価される選考である以上、倍率の数字だけでなく、研究計画の完成度と指導教員候補との適合性を高めることが、実質的な合格可能性を左右します。
参考として、後期博士課程の入試統計も公表されています。修士課程に比べて志願者・合格者ともに少人数であるため、年度による倍率の振れ幅が大きくなる傾向があります。
| 専攻 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | 2026年度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 社会学専攻(志願者/合格者/倍率) | 7/3/約2.3倍 | 7/3/約2.3倍 | 3/2/1.5倍 | 7/5/1.4倍 | 8/5/1.6倍 |
| 心理学専攻(志願者/合格者/倍率) | 2/2/1.0倍 | 2/1/2.0倍 | 4/2/2.0倍 | 6/6/1.0倍 | 8/7/約1.1倍 |
| 教育学専攻(志願者/合格者/倍率) | 1/1/1.0倍 | 3/1/3.0倍 | 1/1/1.0倍 | 4/1/4.0倍 | 3/1/3.0倍 |
後期博士課程は募集人員自体が2027年度で合計11名(社会学専攻6名・心理学専攻2名・教育学専攻3名)と少なく、修士課程からの内部進学者と外部からの受験者が同じ枠で競うことになります。本研究科修士課程修了者・修了見込者は英語の筆記試験が免除される一方、外部から後期博士課程に挑戦する場合は英語試験に加えて論文審査(修士論文またはこれに準ずる論文とその要約の提出)も課されるため、修士課程一般入試とは準備の重点が異なる点に留意してください。
年度による志願者数の変動が大きい理由を断定することはできませんが、社会学専攻は志願者の母数自体が心理学専攻・教育学専攻より一桁多く、社会的な関心が高まったテーマ(メディア論、文化人類学、社会調査法など)を扱う年度に志願者が集まりやすい傾向があると推測されます。心理学専攻・教育学専攻は募集人員自体が少人数であるため、1〜2名の合格者数の増減が倍率に大きく反映されやすいという構造的な特徴も押さえておく必要があります。いずれにしても、倍率の高低だけで出願を諦めたり油断したりせず、募集要項が求める5つの学生像(専門学力・問題意識・語学運用能力・研究倫理・社会還元意欲)を出願書類全体で示せているかを基準に準備を進めることが大切です。
過去問分析・出題予測と口頭試問(面接)対策
社会学研究科の過去問題は、慶應義塾大学大学院入学案内サイトの「過去問題(修士課程)」ページで公開されています。確認できた範囲では2024年度・2025年度・2026年度の3年分について、英語と専門科目(いずれも一般入試)の問題冊子が公開されており、著作権処理が完了した設問のみの公開で、受験者がいなかった科目の過去問題は掲載されない扱いです。2026年度分については、問題冊子に加えて「解答例・出題の意図等」という出題者側の解説資料も公開されています。
| 年度 | 公開科目 | 公開資料 |
|---|---|---|
| 2026年度 | 英語・専門科目 | 問題冊子+解答例・出題の意図等 |
| 2025年度 | 英語・専門科目 | 問題冊子 |
| 2024年度 | 英語・専門科目 | 問題冊子 |
2026年度の「出題の意図」から、専門科目がどのような力を測ろうとしているかを専攻別に見ていきます。長文の転載は避け、公式資料が示す出題の狙いを要約します。社会学専攻の専門科目は大問2題構成で、問題1は(1)社会学理論の基本的な考え方の理解と現代の社会現象への応用力、(2)沈黙の螺旋理論などメディア研究の基本学説の理解と、マスメディア・ソーシャルメディアが混在する現代のメディア環境における世論形成の理解、(3)文化人類学の理論的知識と社会の変化に伴う新たな問題意識、をそれぞれ問う内容でした。問題2は(1)社会調査論の基本(調査者のポジショナリティやリフレクシビティといった方法論的問題)、(2)頻度主義に基づく統計分析の基礎(サンプリング計画・変数選択・多重検定によるタイプ1エラー率のインフレーション・相関と因果の区別など)、(3)エスノグラフィという方法論の基礎知識と現代社会における応用力、を問う構成でした。
心理学専攻の専門科目は7題構成で、実験心理学の基礎知識と心理学測定、知覚心理学における感覚機能の統合的理解、認知心理学・感情心理学・社会認知科学の複合的な知識、認知心理学・発達心理学・臨床心理学にまたがる複合問題、神経科学に関する方法論の理解、認知心理学・心理計測法・発達心理学の複合問題、発達心理学における社会認知発達の理解、という幅広い出題範囲でした。いずれの設問も「専門用語が正しく理解され、正しく使用され、論理的に説明されていること」が繰り返し求められており、単一分野の丸暗記ではなく、心理学の主要領域を横断した知識の運用力が問われる構成になっています。
なお、2026年度の問題冊子は英語が5ページ、専門科目が4ページ構成となっており、いずれも複数の大問・小問から構成される論述式であることがうかがえます。マークシート形式のような選択式の設問は想定しにくく、限られた試験時間の中で自分の考えを論理立てて文章化する練習を積んでおくことが欠かせません。
教育学専攻の専門科目は、教育学研究を遂行するうえで必要な視座に基づいて論理的に論述する力を問う問題Ⅰと、複数の小問からなる問題Ⅱで構成されていました。問題Ⅱでは教育概念の違いを説明する力、教育史・教育思想史の基礎理解と自分の研究課題をその研究史に位置づける力、比較教育研究の目的や研究倫理、教育心理学の基礎知識とその学術的背景の説明力、学校教育現場の課題を学校教育学・教育方法学の知見に基づいて論述する力、といった多面的な出題がなされています。教育学専攻の専門科目は、教育哲学・教育史・比較教育・教育心理学・学校教育学という5領域を横断する構成そのものを反映した出題だといえます。
英語についても2026年度の出題の意図が公開されており、専攻ごとに求められる力に違いがあります。社会学専攻は学術的な英文の日本語訳と要約を中心とした構成で、比較的長文の文章を制限時間内に理解し、日本語で的確に要約する力が問われています。心理学専攻は心理学・認知科学に関する英語の学術文書を論理的に理解し、正確な日本語で表現する力に加え、読解した内容を自分の思考につなげて論述する力までを問う構成でした。教育学専攻は教育学分野の英語学術論文を読解するための語彙力・構文把握力・適切な訳語の選択力を問うとともに、著者の主張を正確に理解したうえで論点を整理し、教育学の基礎知識と日本語力を反映した訳文としてまとめる力が求められています。
過去問が非公開の年度・科目については、募集要項に示された募集人員・出願資格・アドミッション・ポリシーの構成から出題傾向を推測することになりますが、断定はできません。確認できた3年分の傾向を踏まえると、専門科目は各専攻の主要領域(社会学専攻なら理論・調査法・文化人類学、心理学専攻なら実験・知覚・認知・発達・臨床、教育学専攻なら教育史・比較教育・教育心理・学校教育)を横断的にカバーする形で出題される可能性が高いと考えられます。過去問演習では、正解を丸暗記するのではなく、公式解説が繰り返し強調する「専門用語を正しく理解し、論理的に説明する力」「具体的な事例や自分の研究テーマに引きつけて論じる応用力」を意識した答案練習が有効です。
口頭試問(第2次試験)の内容そのものは公式には公開されていませんが、合否判定が出願書類・筆記試験・口頭試問を総合評価する仕組みである以上、提出した研究計画書(調書B・調書Cの記載内容)との整合性を問われる可能性が高いと考えられます。研究目的・先行研究の位置づけ・研究方法・研究倫理といった調書Cの各項目、あるいは調書Bの「入学後の研究について」で書いた内容について、なぜその研究テーマを選んだのか、どのような方法で研究を進めるのか、指導を希望する教員の専門とどう接続するのかを、自分の言葉で説明できるように準備しておくことが重要です。
専攻別の対策の重点も整理しておきます。社会学専攻は理論・調査法・文化人類学という3領域を横断して出題される傾向があるため、社会学理論の基本テキストと社会調査法(量的・質的の双方)の教科書を並行して復習し、自分の研究テーマに関連する時事的な社会問題と理論を結びつけて論述する練習が有効です。心理学専攻は7題という出題数の多さが示すとおり出題範囲が広いため、実験・知覚・認知・発達・臨床・神経科学という主要領域を満遍なく復習し、専門用語を正確な定義とともに説明できるようにしておく必要があります。教育学専攻は教育史・教育思想史のような理論的な設問と、学校教育現場の課題という実践的な設問の両方が出るため、教育学の基礎理論を押さえつつ、現職教員でない受験者も学校教育に関する時事的な話題に日頃から目を通しておくことが望まれます。
2025年度・2024年度分については問題冊子のみの公開で、解答例・出題の意図は公開されていません。出題形式や大問構成が年度によって変わる可能性があるため、複数年度の問題冊子を横断的に見比べ、出題形式が固定的なのか、年度ごとに変化しているのかを自分の目で確認しておくことをおすすめします。
併願の考え方と関連する社会学系大学院
社会学研究科は社会学専攻・心理学専攻・教育学専攻を擁する大学院ですが、外部院試として社会学系の大学院を目指す場合、慶應義塾大学だけに絞らず、同じ社会学系の研究科を複数併願する受験者も少なくありません。併願を検討する際は、まず試験日程が重複しないかを確認することが大前提になります。社会学研究科の第1次試験は9月上旬に設定されているため、同時期に試験を行う他大学の研究科がある場合は、出願段階で優先順位を決めておく必要があります。
社会学系の大学院としては、たとえば立教大学大学院社会学研究科や法政大学大学院社会学研究科なども、外部からの出願を受け付ける一般入試を実施しています。研究科ごとに専門科目の出題形式・研究計画書の様式・面接の重視度合いは異なるため、それぞれの募集要項を確認しながら、自分の研究テーマに合った指導教員がいるかどうかを軸に併願先を検討するとよいでしょう。関連記事として、立教大学大学院社会学研究科の外部院試を徹底解説と法政大学大学院社会学研究科の外部院試を徹底解説もあわせてご覧ください。
複数の研究科を併願する場合、研究計画書はコピー&ペーストで使い回すのではなく、各研究科の様式・字数・求める記載項目に合わせて作り直す必要があります。慶應義塾大学社会学研究科(社会学専攻)の調書Cのように、先行研究の位置づけや研究倫理まで独立した項目として求める様式もあれば、テーマ・問題意識・研究計画をまとめて自由記述させる様式もあり、研究の核となるリサーチ・クエスチョンや先行研究の理解は共通させつつ、様式ごとに構成や強調点を調整する作業が必要になります。試験日程が近接している場合は、この作り直しにかかる時間も逆算してスケジュールを組んでおくことをおすすめします。
研究計画書の作成や指導教員への事前問い合わせを検討している場合は、研究室訪問の完全ガイド|進め方・当日の流れ・質問リスト・服装マナーを徹底解説で、一般的な研究室訪問の進め方や質問の組み立て方を確認しておくと、慶應義塾大学社会学研究科が案内する「指導教員への事前問い合わせ」を利用する際にも役立ちます。大学院入試全体のスケジュールや科目別の対策を体系的に確認したい場合は、大学院入試対策の完全ガイド|院試の全体像・スケジュール・科目別対策を徹底解説もあわせて参照してください。
社会学研究科の一般入試は、専門科目・英語・研究計画書・口頭試問のすべてで一定水準の準備が求められる選考です。出願資格の確認から書類作成、専門科目・英語の対策、口頭試問の想定問答まで、独学で網羅するには相応の時間がかかります。研究テーマの精緻化や過去問演習の進め方、調書C・調書Bの書き方に不安がある場合は、大学院入試対策コースのように大学院入試に特化した対策で相談することも選択肢のひとつです。
よくある質問(FAQ)
慶應義塾大学出身でなくても社会学研究科を受験できますか。
受験できます。出願資格は大学を卒業した者(卒業見込みを含む)などを基本とする一般的な要件であり、出身大学による制限は設けられていません。ただし慶應義塾大学在学生向けの推薦制度(第1次試験免除)は塾内生対象のため、外部から出願する場合は第1次試験からの受験が前提になります。専門学校・高専・短大出身者や社会人など、一般的な4年制大学卒業のルートに当てはまらない場合は、出願資格の該当号を確認し、必要に応じて出願資格認定申請の手続を行ってください。
TOEICやTOEFLのスコア提出は必要ですか。
確認できた2027年度入学試験要項の出願書類一覧には、外部語学試験スコアの提出を求める規定は見当たりませんでした。英語力は一般入試の第1次筆記試験にある「英語」科目(90分)で測定される方式です。この扱いは年度によって変更される可能性があるため、出願前に最新の募集要項で必ず確認してください。
研究計画書はどの書類で提出しますか。
社会学専攻志願者は「入学志願者調書C」という専用様式で、希望指導教員・研究タイトル・研究目的(リサーチ・クエスチョン)・先行研究の位置づけ・仮説・研究方法・研究の意義・研究倫理という8項目(後期博士課程志願者はこれに修士論文概要との関連性を加えた9項目)を記述します。心理学専攻・教育学専攻志願者は入学志願者調書Bの3ページ目にある「入学後の研究について(テーマ・問題意識・研究計画)」欄に記載する形式です。
過去問はどこで入手できますか。
慶應義塾大学大学院入学案内サイトの「過去問題(修士課程)」ページで、社会学研究科の英語・専門科目の問題冊子が公開されています。確認できた範囲では2024年度から2026年度までの3年分が公開されており、2026年度分は「解答例・出題の意図等」という解説資料もあわせて公開されています。著作権処理が完了していない設問は内容が公開されず、引用文献名のみが示される扱いになっている点にも留意してください。
社会学研究科の倍率はどのくらいですか。
2026年度は社会学専攻が志願者112名に対し合格者24名(約4.7倍)、心理学専攻が志願者12名に対し合格者6名(2.0倍)、教育学専攻が志願者16名に対し合格者7名(約2.3倍)でした。過去5年間で見ると社会学専攻は約4.0倍から約6.2倍の間で変動しており、心理学専攻はおおむね1.8倍から2.0倍、教育学専攻は2.3倍から4.3倍の範囲で推移しています。詳細は本文の倍率一覧表をご覧ください。
研究室訪問や指導教員への事前連絡は必須ですか。
研究室訪問自体は出願の必須要件ではありません。ただし、希望する研究分野が指導教員の指導できる範囲にあるかどうかについては、研究科ウェブサイトに記載の連絡先から事前に問い合わせることができる公式のルートが用意されています。それ以外の相談(研究計画の添削や合否に関する相談など)は受け付けていないとされているため、問い合わせの範囲には注意が必要です。
教育学専攻の現職教員枠とはどのような制度ですか。
教育学専攻の募集人員(10名)には現職教員枠(若干名)が含まれています。専修免許状の取得を目的とすること、その基礎となる免許状を入学時に有すること、学校教育法第1条校での3年以上の教職経験、原則1年以上の大学院修学休業制度等の利用という条件を満たす必要があり、出願時には「教員としての実践をまとめたレポート(8,000字程度)」と在職(休業)証明書の提出が求められます。現職教員枠の受験者は筆記試験で英語が免除され、専門科目(教育学)のみが課されます。
他の大学院と併願することはできますか。
併願は可能です。社会学研究科の第1次試験は9月上旬に設定されているため、同時期に試験日を設定している他大学の研究科と併願する場合は、出願段階でスケジュールの重複を確認しておく必要があります。併願先を検討する際は倍率だけでなく、自分の研究テーマに合った指導教員がいるかどうかを軸に選ぶことをおすすめします。
まとめ
慶應義塾大学大学院社会学研究科の外部院試は、社会学専攻・心理学専攻・教育学専攻という3専攻それぞれで専門科目が独立しており、研究計画書の様式も社会学専攻とそれ以外で異なるという、他の研究科にはない構造を持っています。2027年度は募集人員40名に対し、過去5年の倍率は専攻によって約2倍から約6倍まで幅がある選考です。出願資格・出願資格認定申請の要否、研究計画書(調書B・調書C)の項目、過去問が示す専門科目の出題傾向を早い段階で押さえたうえで、指導を希望する教員の研究分野と自分の研究テーマの接続を、出願書類と口頭試問の両方で一貫して説明できるように準備を進めてください。
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