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公認心理師試験の合格率を徹底分析

公認心理師試験の合格率を徹底分析を示すアイキャッチ画像
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公認心理師試験の合格率は、直近の第9回(令和8年3月1日実施)で60.0%でした。公認心理師とは、公認心理師法に基づいて創設された、心理職としては唯一の国家資格です。その合格率は、第1回の79.6%から第2回の46.4%まで33ポイント以上も急落し、その後も第3回53.4%、第4回58.6%、第5回48.3%と、回によって大きく上下してきた歴史があります。

単に「難しい」「簡単」と一言で語れる試験ではなく、受験者の構成そのものが回ごとに大きく変わってきたことが、数字の変動の裏側にあります。この記事のタイトルにもある「合格率」という数字は、実は一つの母集団を指しているのではなく、少なくとも二つの性質が異なる集団が混ざり合った結果として公表されてきました。

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特に見落とされがちなのが、大学院修了などを経て受験する標準的なルートと、法律の施行前から心理職として働いていた人が実務経験で受験資格を得る現任者ルート(通称Gルート)とでは、同じ回であっても合格率に大きな開きが出ていたという事実です。Gルートは令和4年7月の第5回試験を最後に経過措置が終了し、その後は受験者の構成そのものが様変わりしました。

この記事では、一般財団法人公認心理師試験研修センター(旧・一般財団法人日本心理研修センター)が公式に公表している第1回から第9回までのデータを一次情報として、回別の合格率の推移、受験区分(ルート)別の合格率の違い、そして直近2回で合格率が下がった理由を数字で確認していきます。すべての数値には出典となる公式PDFのURLを明記しており、憶測や未確認の情報は含めていません。

心理系大学院への進学を考えている方にとって、合格率の推移を正しく読み解くことは、対策のスケジュールを立てるうえでも欠かせない視点です。数字の背景にある制度の変化まで理解しておくことで、これから受験する回の位置づけをより正確に捉えられるようになります。

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目次

公認心理師試験の合格率は何%?最新第9回の結果

公認心理師試験は年1回実施される国家試験で、公認心理師法(平成27年法律第68号)に基づき、文部科学大臣及び厚生労働大臣が指定する一般財団法人公認心理師試験研修センターが試験の実施及び登録に関する事務を行っています。公認心理師とは、保健医療・福祉・教育などの分野で、心理に関する支援を要する人の心理状態の観察や相談、助言、心の健康に関する知識の普及などを行う専門職として、この試験に合格し登録を受けた人を指します。

最新の第9回試験(令和8年3月1日実施、東京都及び大阪府で実施)の合格発表は令和8年3月27日に行われ、受験者数2,400人に対して合格者数1,441人、合格率は60.0%でした。この数値は一般財団法人公認心理師試験研修センターの公式サイトで公開されている合格発表資料に基づくもので、厚生労働省が第8回試験について公表した内容とも整合しています。

センターが公表している業務の定義によれば、公認心理師は①心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること、②その心理に関する相談に応じ、助言・指導その他の援助を行うこと、③支援を要する者の関係者に対しても相談・助言・指導その他の援助を行うこと、④心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うことの4つを業とする専門職と定義されています。本人への直接支援だけでなく、周囲への助言や社会への知識普及までを含む点が、この資格の特徴です。

この60.0%という数字だけを見ると「思ったより低い」と感じるかもしれません。実際、直近3回の合格率は第7回76.2%、第8回66.9%、第9回60.0%と2回連続で低下しており、下降トレンドにあるのは事実です。ただしこの数字を正しく理解するには、公認心理師試験がこれまでどのような受験者構成の変化を経てきたかを知る必要があります。

試験地についても補足すると、第9回試験は東京都及び大阪府の2都府で実施されました。受験者数が2,000人台という規模に落ち着いている現在は、全国各地に試験会場を設ける必要がなくなり、この2都府での実施が定着しています。制度創設期には北海道から福岡県まで全国7地区前後で実施されていたことを踏まえると、試験の規模感そのものが大きく変わったことが分かります。

公認心理師試験には、4年制大学と大学院で法定科目を修めて受験する標準的なルート(区分A)のほかに、大学院に進学せず一定の実務経験を積むルート(区分B・C)、そして法律の施行前から心理職として働いていた人向けの経過措置ルート(区分D1・D2・E・F・G)が存在します。どのルートの受験者が多いかによって、その回の合格率は大きく変わってきました。次の章では、第1回から第9回までの合格率の推移を一覧で確認します。

試験そのものの形式についても触れておきます。第9回試験の場合、午前・午後にわたって合計154問が出題され、配点は一般問題が1問1点、事例問題が1問3点でした。マークシート形式で心理学の全分野を横断的に問う出題構成のため、特定の分野に偏った学習では対応しづらい試験だと言えます。

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公認心理師試験 合格率の推移一覧|第1回〜第9回を表で比較

第1回から第9回までの受験者数・合格者数・合格率を、一般財団法人公認心理師試験研修センターの公式合格発表資料に基づいて一覧表にまとめました。合格率は回によって最大30ポイント以上の差があり、単純な右肩上がり・右肩下がりではなく、大きく波打っていることが分かります。第1回だけは特殊な事情があり、平成30年北海道胆振東部地震の影響で北海道会場の試験が延期され、平成30年9月9日実施分と同年12月16日実施分の2回に分けて実施・合格発表が行われました。

試験実施日合格発表日受験者数合格者数合格率
第1回(9月試験)2018年9月9日2018年11月30日35,020人27,876人79.6%
第1回追加試験2018年12月16日2019年1月31日1,083人698人64.5%
第1回合計36,103人28,574人79.1%
第2回2019年8月4日2019年9月13日16,949人7,864人46.4%
第3回2020年12月20日2021年2月12日13,629人7,282人53.4%
第4回2021年9月19日2021年10月29日21,055人12,329人58.6%
第5回2022年7月17日2022年8月26日33,296人16,084人48.3%
第6回2023年5月14日2023年6月9日2,020人1,491人73.8%
第7回2024年3月3日2024年3月29日2,089人1,592人76.2%
第8回2025年3月2日2025年3月28日2,174人1,454人66.9%
第9回(最新)2026年3月1日2026年3月27日2,400人1,441人60.0%

出典はすべて一般財団法人公認心理師試験研修センターの公式サイト内、各回の合格発表ページに掲載されているPDF資料です(第1回はhttps://www.jccpp.or.jp/shiken/shikenjoho/dai1.html、以降第9回はhttps://www.jccpp.or.jp/shiken/shikenjoho/dai9.htmlまで、回ごとにURLの末尾の数字が変わります)。第8回については厚生労働省の発表ページでも同一の数値が確認できます。

この表を見ると、第1回の79.6%から第2回の46.4%へ33.2ポイントもの急落があったことがまず目に留まります。さらに第5回までは40〜60%台で推移していたのに対し、第6回以降は73〜76%台まで回復し、直近2回で再び60%台へと下がってきています。受験者数の推移にも注目すると、第1回から第5回までは1万人台から3万人台と非常に多かったのに対し、第6回以降は2,000〜2,400人台へと一気に縮小しています。この波の正体を理解するために、次の章では受験者の構成という切り口から数字を読み解きます。

参考までに、第1回から第9回までの合格者数を単純に合計すると28,574+7,864+7,282+12,329+16,084+1,491+1,592+1,454+1,441で、延べ78,111人がこれまでに公認心理師試験に合格しています。これは登録者の実数と完全に一致するものではありませんが(登録を行わない合格者や、複数回にまたがる集計上の重複がない前提の単純合計であるため)、この資格がどの程度の規模で広がってきたかを大まかにつかむ目安にはなります。特に第1回・第5回という2回の試験だけで、合計の半分以上にあたる約44,658人が合格しており、制度創設期に集中して有資格者が生まれたことが数字からも読み取れます。

もう一点、見落とされがちなのが試験地の広がりです。第1回は8都府県、第3回から第5回にかけては北海道・宮城県・東京都・愛知県・大阪府・岡山県・福岡県を中心とする7地区前後で実施されていました。ところが第6回以降は東京都及び大阪府の2都府のみに固定されています。受験者数が数千人規模から2,000人規模へと縮小したことと、試験地が全国7地区前後から2都府に絞り込まれたことは、同じ現象の裏表と見ることができます。

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合格率が年によって大きく変動してきた理由

受験区分(ルート)にはどんな種類があるか

公認心理師試験には、大きく分けて標準ルートと経過措置ルートがあります。標準ルートは区分Aと呼ばれ、4年制大学及び大学院で、施行規則で定める科目を修めて卒業及び修了した人が対象です。区分Bは大学で法定科目を修めて卒業し、施行規則で定める施設で2年以上の実務経験を積んだ人、区分Cは文部科学大臣及び厚生労働大臣が区分A・Bと同等以上の知識・技能を有すると認定した人が対象です

これらとは別に、法律の施行日である平成29年9月15日をまたぐ形で大学・大学院に在学していた人向けの経過措置として、区分D1・D2・E・Fが設けられています。おおまかに言えば、これらはいずれも大学院で心理学の専門科目を修めたことを前提とする区分です。そしてもう一つ、平成29年9月15日の時点ですでに心理職として業務を行っていた人向けの区分Gがあり、こちらは文部科学大臣及び厚生労働大臣指定の現任者講習会を修了し、かつ施行規則で定める施設で5年以上の実務を経験した人が対象でした。これがいわゆる現任者ルートです。区分Eは、法律の施行前に大学に入学し法定科目を修めて卒業(または履修中)した後、施行後に大学院で法定科目を修めて修了した人が対象で、区分Fはこれに加えて2年以上の実務経験を積んだ人が対象という位置づけです。経過措置の区分だけでも5種類に細分化されていたことからも、法律の施行という一つの出来事をまたいで、様々な立場の人が受験資格を得られるよう配慮された制度設計だったことがうかがえます。

受験者数の推移が示す規模の変化

受験者数そのものの推移を改めて確認すると、第1回36,103人(9月・追加試験の合計)→第2回16,949人→第3回13,629人→第4回21,055人→第5回33,296人→第6回2,020人→第7回2,089人→第8回2,174人→第9回2,400人という流れになります。第1回から第5回までは1万人台から3万人台の間で大きく上下していたのに対し、第6回以降は2,000人台前半でほぼ横ばいに推移しています。

この横ばいの水準は、区分Aを中心とする「その年に大学院を修了した新規の受験者」がおおむね一定数で推移していることを示しています。Gルートのような大規模な経過措置の受験者層が存在しなくなった今、受験者数の急激な変動は起こりにくくなったと考えられますが、これも今後数回分のデータを見ないと確定的には言えません。

公認心理師法の施行が平成29年9月15日であることを踏まえると、4年制大学に入学してから区分Aの要件を満たして大学院を修了するまでには、通常であれば6年前後の年月がかかります。法律の施行から一定の年数が経過して初めて、区分Aで受験する人がまとまった人数になってきた、という時間的な経緯も、受験者数・受験区分の構成が第6回以降に大きく変化した背景として押さえておくとよいでしょう。

受験者の大半を占めていた現任者ルート(Gルート)

心理職の国家資格化にあたって、すでに現場で働いている人を資格制度に円滑に組み込むための移行措置という位置づけで設けられたのが区分Gです。この区分Gの受験者は、第1回から第5回まで毎回、全受験者の中でかなりの割合を占めていました。特に第5回では受験者33,296人のうち31,154人(93.5%)が区分Gでの受験者だったことが、公式の合格者内訳資料から確認できます。区分Gの受験者数がそのまま全体の受験者数を左右していたため、Gルートでの受験者が多い年ほど全体の母集団が大きく膨らむ構造になっていました。

区分Gの受験者数の推移を回ごとに見ると、第1回12,531人→第2回4,728人→第3回10,406人→第4回18,075人→第5回31,154人と、第2回でいったん減少した後、経過措置の終了が近づく第3回から第5回にかけて再び大きく増加しています。経過措置が終わる前に受験しておこうとする、いわゆる駆け込みの動きがあったことが、この受験者数の推移からもうかがえます。結果として、経過措置の最終盤である第5回に受験者数・区分Gのシェアともに過去最大規模となりました。

母集団の性質が合格率を動かす

大学院で心理学を専門的に学んだ人と、すでに現場で実務経験を積んでいる社会人とでは、国家試験の出題形式に対する慣れ方が異なります。区分Gの受験者は実務知識には長けていても、マークシート形式の網羅的な出題に体系立てて準備する時間を確保しづらいケースが多かったと考えられます。母集団に占めるGルートの割合が高い回ほど、全体の合格率が押し下げられる傾向があったことは、次の章で示す区分別の実データからも読み取れます。

つまり、公認心理師試験の合格率が年によって大きく上下してきた最大の要因は、試験問題の難易度そのものが激変したというより、受験者に占める各ルートの構成比が回ごとに違っていたことにあります。この点を押さえておくと、単年の合格率だけで「試験が急に難しくなった・易しくなった」と判断するのが早計だと分かります。

この構造は、他の国家資格試験を見るうえでも参考になる視点です。経過措置ルートを伴う新設の国家資格では、制度創設から数年間は複数の異なる背景を持つ受験者層が混在し、合格率が大きく変動しやすい傾向があります。公認心理師試験の場合も、区分Gという大規模な経過措置が終了して初めて、受験者の構成が比較的均質な状態に落ち着いてきたと整理できます。

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現任者ルート(Gルート)と大学院ルートで合格率はどう違ったか

それでは実際に、標準的な大学院ルート系の区分(D1・D2・Eなど)と、現任者ルートの区分Gとで、合格率にどれくらいの差があったのかを見てみましょう。以下は、Gルートが実施されていた第1回から第5回まで全ての回について、公式の「合格者の内訳」資料から区分Gと、その回で最も合格率が高かった非Gルートの区分を抜き出して比較したものです。

区分G 合格率(シェア)非Gルートで最も高い合格率の区分
第1回(合計)72.9%(34.8%)D1 85.8%12.9pt
第2回41.8%(60.1%)D2 58.8%17.0pt
第3回50.0%(76.4%)E 81.0%31.0pt
第4回55.7%(85.8%)F 94.7%(受験19人)/E 85.5%39.0pt
第5回47.1%(93.5%)E 74.5%27.4pt

第1回の合計データでは、大学院で法定科目を修めた区分D1の合格率が85.8%だったのに対し、現任者ルートの区分Gは72.9%と、13ポイント近く低くなっています。第2回でも同じ構図が見られ、区分D1(53.6%)・D2(58.8%)に対し区分Gは41.8%にとどまりました。区分Gの受験者は第2回の全受験者16,949人のうち60.1%を占めており、この回の合格率46.4%が低く出た主因のひとつと考えられます。

第3回・第4回では、区分Gの受験者シェアがそれぞれ76.4%・85.8%まで拡大し、区分G以外の受験者数はごくわずかになりました。それでも区分Gの合格率(50.0%・55.7%)は、少数派だった区分E(81.0%・85.5%)や区分F(第4回94.7%、ただし受験者19人と少数)を大きく下回っています。区分Gと非Gルートとの合格率の差は、第3回で31.0ポイント、第4回で39.0ポイントに達しており、Gルート後期になるほど差が広がる傾向すら見て取れます。

この差が広がった背景として、区分Gの受験者数自体が第2回4,728人から第4回18,075人へと急増したことも一因として考えられます。受験者数が増えるほど、事前の対策に十分な時間を割けなかった人の割合が相対的に増える可能性があり、これも合格率を押し下げる方向に働いたと推測されます。ただし、この点についてセンターや厚生労働省による公式な分析は公表されておらず、あくまで数値の傾向から読み取れる推測にとどまります。

Gルートで受験できた最後の回となった第5回でも、この傾向は変わりません。区分Gの合格率は47.1%だった一方、区分E(大学卒業後に大学院で科目を修めたルート)の合格率は74.5%と、27ポイント以上の差がついています。区分Gの受験者が31,154人と全体の93.5%を占めていたため、区分G単体の合格率47.1%が全体合格率48.3%とほぼ同水準になりました。区分Gが母集団のほぼ全てを占めた回では、全体の数字と区分Gの数字がイコールに近づく、という構造がよく分かる例です。第1回から第5回まで、区分Gの合格率がその回の非Gルートの合格率を上回った例は一度もありませんでした。出典はいずれも一般財団法人公認心理師試験研修センターの各回合格発表ページ内「合格者の内訳」資料です。

なお、区分Gの合格率が一貫して低かったからといって、現任者ルートで受験した人たちの実務能力が低かったということにはなりません。区分Gの対象者は5年以上の実務経験と現任者講習会の修了という、実務面での要件を先にクリアした人たちです。国家試験は知識を体系的に問うマークシート形式の一発勝負であり、日々の実務経験の蓄積とは異なる種類の準備が求められます。この点を踏まえると、合格率の差は「実務者としての力量」ではなく、「網羅的な出題形式への準備時間の確保しやすさ」に起因していた可能性が高いと考えられます。

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現任者ルート(Gルート)終了とその後の合格率の変化

区分Gの経過措置は、第5回試験(令和4年7月17日実施)をもって受験の機会が終了したとされています。これは受験対策メディアのagaroot.jp(公認心理師試験コラム)などが解説している内容であり、厚生労働省・センターの公式PDFに「これが最後の回である」という直接的な一文が明記されているわけではありません。ただし、第6回以降の全ての合格発表資料の受験区分表には区分Gの行そのものが存在しなくなっており、この一次データの変化は経過措置の終了と符合しています。

実際、第6回試験の受験者数は2,020人と、第5回の33,296人から94%近く減少しました。区分Gという最大の受験者母集団が消えたことで、受験者の総数自体が一気に縮小したのです。そして肝心の合格率は、第6回73.8%、第7回76.2%と、それまでの40〜60%台から一段高い水準に回復しました。

第6回試験の受験区分別内訳を見ると、受験者2,020人のうち区分E(大学卒業後に大学院で法定科目を修めた人)が1,516人と全体の75.0%を占め、合格率80.5%という高い数字を記録しています。区分D1は310人・合格率44.5%、区分D2は95人・合格率45.3%と、こちらは引き続き低めの水準でした。区分C(27人・合格率85.2%)や区分F(12人・合格率83.3%)も少数ながら高い合格率です。つまりGルート終了後も、受験区分によって合格率にはばらつきが残っていたことになります。

第6回時点で区分Eが受験者の4分の3を占めていたのは、法律の施行(平成29年9月15日)より前に大学に入学していた世代がちょうどこの時期に大学院を修了するタイミングと重なっていたためと考えられます。経過措置の対象者が世代を追って入れ替わっていく過程で、受験区分の主役も区分Gから区分E、そして区分Aへと段階的に移り変わってきたことが、第6回から第9回までの一連のデータから読み取れます。

この時期に心理系大学院への進学を検討していた方にとっては、公認心理師になるにはどんなルートがあるかという制度理解と、大学院修了というルートで受験する場合の合格率の水準感を、あわせて押さえておく価値がありました。

第7回試験(令和6年3月3日実施)になると、受験者2,089人のうち区分Aが1,357人と65.0%を占めるまでに拡大し、合格率も90.1%という高い水準を記録しています。区分Aの受験者が先行して合格していった第6回・第7回の時期は、標準ルートで受験する人にとって比較的合格率が高い時期だったと言えます。この時期に区分D1(第7回36.1%)・D2(同25.5%)の合格率が引き続き低い水準にとどまっていた点も、区分による差がGルート終了後も残り続けていたことを示しています。区分D1・D2は法律の施行日をまたいで大学院に在学していた人向けの経過措置であり、区分A(法施行後に入学し一貫して新カリキュラムで学んだ人)とはカリキュラムの適用条件が異なります。こうした制度上の違いが、合格率の差として表れ続けていたと考えられます。

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直近2回(第8回→第9回)の合格率低下が示すもの

Gルート終了後、受験者の中心は4年制大学と大学院で法定科目を修めて受験する区分A(標準ルート)へと徐々に移っていきました。ここで注目したいのが、区分Aそのものの合格率が回を追うごとに変化しているという事実です。以下は第6回から第9回までの区分Aのデータです。

区分A受験者数区分A合格者数区分A合格率全受験者に占める区分Aの割合
第6回59人56人94.9%2.9%
第7回1,357人1,223人90.1%65.0%
第8回1,639人1,266人77.2%75.4%
第9回1,937人1,311人67.7%80.7%

この表からは、区分Aが全受験者に占める割合が2.9%→65.0%→75.4%→80.7%と拡大していくのと歩調を合わせるように、区分A自体の合格率が94.9%から67.7%まで一貫して下がり続けていることが分かります。第6回時点では区分Aの受験者はごく少数(59人)で、いわば先行して大学院を修了した一部の人に限られていました。回を重ねるごとに区分Aが「特別な少数派」から「受験者の大多数」へと変わり、母集団の性質そのものが変化してきたと考えられます。

第8回から第9回にかけての合格率低下(66.9%→60.0%)についても、その内実は区分Aの合格率が77.2%から67.7%へと約9.5ポイント下がったことに直結しています。区分Aが受験者の80.7%を占める現在、区分Aの合格率の変動が、そのまま試験全体の合格率の変動として表面化する状態になっているのです。なお、この低下の背景にある出題傾向の変化などについて、センターや厚生労働省による公式なコメントは確認できませんでした。この記事では確認できた一次データの事実のみを述べ、理由の推測は行いません。

区分Aの受験者数自体は第6回59人→第7回1,357人→第8回1,639人→第9回1,937人と、毎回着実に増加を続けています。受験者の母数が増えるにつれて合格率が下がっていくという現象は、母集団の中に含まれる学習到達度の分布が広がってきたことの表れとも解釈できます。少数精鋭だった第6回・第7回から、より幅広い層が受験するようになった第8回・第9回へと、区分Aという同じ枠組みの中でも実質的な受験者像が変化してきていると考えられます。

参考までに、区分D1・D2は第8回でそれぞれ合格率30.2%・14.9%、第9回で19.4%・12.2%と、区分Aと比べてかなり低い水準にとどまっています。同じ大学院修了という条件でも受験区分によって数字に差がある点は、合格率を読み解くうえで見落としやすいポイントです。区分D1・D2は、法律の施行日をまたいで大学院に在学していた人を対象とした経過措置であり、標準ルートである区分Aとは科目の読替えなど適用されるルールが異なります。区分の呼び方だけを見て「大学院ルートなら合格率が高い」と単純化してしまうと、実態を見誤るおそれがあります。

年齢層の変化も注目に値します。第9回試験の合格者のうち91.6%が30歳以下という結果になっており、Gルートが主流だった時期に比べて受験者・合格者の年齢層が大きく若返っています。4年制大学から大学院へとストレートに進学し受験する層が中心になったことが、この年齢構成の変化にも表れています。第1回試験の合格者は61歳以上が5.4%を占めるなど幅広い年齢層に及んでいましたが、直近の回では30歳以下が9割超を占める、より均質な年齢構成へと変化しています。

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合格率だけで公認心理師試験の難易度を判断できない理由

ここまで見てきたように、公認心理師試験の合格率は「試験問題そのものの難しさ」だけでなく、「その回にどの受験区分の人がどれくらいの割合で受験したか」によって大きく左右されてきました。同じ60%台の合格率でも、第4回(区分Gが多数を占める中での58.6%)と第9回(区分Aがほぼ全てを占める中での60.0%)とでは、数字の意味合いがまったく異なります。

特に第6回以降は、受験者のほとんどが大学院で心理学を専門的に学んだ人に固定化されつつあります。母集団が均質化してきたということは、合格率が試験問題そのものの客観的な難易度をより直接的に反映しやすくなってきたとも言えます。逆に言えば、今後受験者の構成が大きく変わらない限り、合格率の変動は出題内容や採点基準の変化そのものを映す指標としての性格を強めていく可能性があります。

もう一つ押さえておきたいのが、公認心理師試験が受験者同士の順位を競う相対評価の試験ではなく、あらかじめ定められた得点基準で合否を判定している点です。第9回試験を例にとると、総得点230点に対して136点以上(総得点のおおむね60%以上)を獲得した人が合格者となります。配点は一般問題が1問1点、事例問題が1問3点で、この基準は総得点の60%程度以上を目安としつつ、その回の問題の難易度に応じて補正するという考え方に基づいて決定されています。周囲の受験者のレベルに左右されず、自分自身が基準点を超える実力をつけられるかどうかが合否を分けます。この意味で、合格率の数字に一喜一憂するよりも、出題範囲を網羅的に学習することの方が本質的な対策になります。総得点230点・136点以上という基準は毎回固定ではなく、その回の問題の難易度によって補正される可能性がある点にも留意が必要です。実際の合格基準点は回によって変動しうるため、過去の基準点をそのまま次回に当てはめて考えるのではなく、常に最新の公式発表を確認する姿勢が欠かせません。

合格率という指標は、あくまで「その回に何が起きたか」を事後的に示す集計値です。来年以降の受験者にとって重要なのは、過去の合格率の水準そのものよりも、区分Aという同じ土俵に立つ受験者がどのような対策をして臨んでいるかを知ることだと言えます。

また、合格率の推移を見るときに陥りやすいのが、直近1〜2回の数字だけを取り出して傾向を断定してしまうことです。第9回の60.0%という数字だけを切り取れば「難化している」という印象を持ちやすいですが、第7回76.2%・第8回66.9%・第9回60.0%という3点の推移を見比べると、下げ幅にも変化があることが分かります(第7回→第8回は9.3ポイント減、第8回→第9回は6.9ポイント減)。単年の増減率だけでなく、複数回にわたる推移を継続的に追う視点が、今後の対策を考えるうえでは欠かせません。

受験生の立場からすると、「今年の合格率は何%になりそうか」を事前に予測することよりも、出題範囲全体を漏れなく学習し、得点基準である6割程度を安定して超えられる実力を養うことの方が、コントロール可能で本質的な取り組みです。合格率という結果指標は、あくまで対策の進め方を考えるための参考情報として活用するのが現実的な向き合い方だと言えるでしょう。

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心理系大学院ルートを選ぶことの意味と対策の方向性

Gルートを含む経過措置の受験機会がほぼ終了した現在、公認心理師を新たに目指す場合の主要なルートは、4年制大学の心理学部・学科を卒業したうえで、指定された科目を扱う大学院に進学して修了する区分Aです。この標準ルートを選ぶ以上、大学院入試そのものが最初の関門になります。心理系大学院は、心理学系の学部出身者だけでなく、他学部出身者や社会人からの挑戦も少なくない領域です。

区分Aで受験する場合、一般的な流れとしては4年制大学(4年間)の後に大学院(修士課程2年間が一般的)へ進学し、修了後に国家試験を受けることになります。大学卒業から国家資格の取得まで最短でも6年程度を見込む必要があるため、大学院入試の時点でつまずいてしまうと、資格取得までの計画全体が後ろ倒しになってしまいます。だからこそ、大学院入試の対策は「その先の国家試験」まで見据えて早めに始めることが重要です。

大学院進学後は、指定された科目の履修や実習に加え、修士論文または課題研究への取り組みも並行して進める必要があります。国家試験の対策だけを切り離して直前期に始めるのではなく、大学院での2年間を通じて専門知識を積み上げていく姿勢が、結果的に合格率の高い区分Aとしての受験につながります。大学院選びの段階で、どのような研究テーマ・実習先が用意されているかを確認しておくことも、この積み上げを左右する要素です。修士論文の執筆と国家試験対策の時期が重なる大学院も多いため、2年間のスケジュールをあらかじめ見通しておくことも欠かせません。

大学院選びでは、指定科目のカリキュラムが組まれているか、実習環境が整っているかといった点に加え、公認心理師の大学院選びで押さえておくべき実務的な観点(専門科目の学習法、研究計画書のテーマ選び、出願スケジュールの逆算、面接での想定問答、併願戦略など)を早い段階から把握しておくことが、合格までの遠回りを防ぐことにつながります。社会人から挑戦する場合は特に、仕事と両立しながらの学習計画が鍵になるため、社会人から公認心理師になるにはどのようなスケジュール感で動くべきかを、早めに知っておくことが重要です。

心理系大学院の入試は、大学によって専門科目の出題範囲や研究計画書の重視度、面接の形式が大きく異なります。併願する大学院ごとに対策の的が変わってくるため、志望校を1校に絞らず複数校を比較検討したうえで、優先順位をつけて出願スケジュールを組み立てることが現実的な進め方です。特に社会人の場合は、限られた学習時間の中でどの大学院にどれだけの対策時間を配分するかという判断そのものが、合否を左右する要素になります。

また、公認心理師とよく比較される民間資格に臨床心理士があります。臨床心理士は公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する資格で、公認心理師とは受験資格のルートや資格の性質が異なります。公認心理師と臨床心理士の違いを理解したうえで、どちらか一方、あるいは両方の資格取得を目指すのかを早めに決めておくと、大学院選びの軸がぶれにくくなります。臨床心理士側の指定大学院にも第1種・第2種といった区分があり、臨床心理士の受験資格のページであわせて確認しておくとよいでしょう。

公認心理師のみを目指す場合と、公認心理師・臨床心理士の両方を目指す場合とでは、対応が必要な指定大学院の区分や、実習・研究計画の組み方が変わってきます。両資格に対応した大学院を選んでおけば、進学後に選択肢を狭めずに済むというメリットもあります。反対に、公認心理師のみに絞って対策を進める場合は、区分Aの要件を満たす大学院であれば選択肢の幅がより広がります。自分がどちらの方針で進むのかを、大学院選びの初期段階で明確にしておくことが遠回りを防ぐ第一歩です。

心理系大学院の入試は、専門科目の学習だけでなく、研究計画書の作成や面接対策まで含めた総合力が問われます。独学だけで情報や対策の型を集めきるのが難しいと感じる場合は心理系大学院受験対策コースのように、大学院入試そのものに特化した専門的なサポートを活用する方法もあります。国家試験の合格率という結果は、突き詰めれば大学院での学びの質と、そこに至るまでの入試対策の積み重ねに支えられているからです。

大学院入試の段階で押さえておきたい視点

公認心理師試験の合格率を見据えて大学院を選ぶ際には、入試の合否だけでなく、その先にある国家試験までを見通した準備が求められます。具体的には次のような観点を早い段階から確認しておくとよいでしょう。

  • 志望する大学院が公認心理師の受験資格に対応した指定科目のカリキュラムを備えているか
  • 実習(学内・学外)の環境がどの程度整っており、実務的な学びを積める体制があるか
  • 研究指導教員の専門領域が、自分が将来携わりたい分野と合っているか
  • 院試の出題科目・配点・面接の形式が、自分の得意分野と噛み合っているか
  • 社会人の場合、仕事と両立できる通学形態(平日夜間・土日開講など)があるか

これらは大学院ごとに大きく異なるため、募集要項や説明会で早めに確認しておくことが、入試対策の的を絞るうえでも重要になります。

特に社会人受験生の場合、心理学部出身でないケースも多く、専門科目の学習を一からスタートさせる必要があります。限られた学習時間を効率よく配分するためにも、志望する大学院の出題傾向や配点を早期に把握し、優先順位をつけて対策を進めることが合格への近道になります。学部時代の専攻を問わず挑戦できる領域だからこそ、情報収集の質が結果を左右しやすい分野でもあります。

心理系大学院を修了した後の進路も、あわせて意識しておきたいポイントです。公認心理師は保健医療・福祉・教育・司法・産業など幅広い分野で活躍できる資格ですが、どの分野を志すかによって大学院で重視すべき実習・研究テーマも変わってきます。国家試験の合格はあくまで通過点であり、その先にどのような現場で働きたいかを見据えて大学院選びを進めることが、結果的に学習のモチベーションを保つことにもつながります。

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公認心理師 合格率に関するよくある質問

公認心理師試験の最新の合格率は何%ですか?

最新の第9回試験(令和8年3月1日実施)の合格率は60.0%です。受験者数2,400人に対して合格者数は1,441人でした。出典は一般財団法人公認心理師試験研修センターの公式合格発表資料です。過去の回の数値は本記事の「合格率の推移一覧」で表にまとめています。あわせて、区分ごとの内訳まで確認したい場合は「現任者ルートと大学院ルートで合格率はどう違ったか」の章もご覧ください。

なぜ第2回試験は合格率が46.4%まで下がったのですか?

第2回試験では、受験者16,949人のうち60.1%にあたる4,728人が現任者ルート(区分G)での受験で、その合格率は41.8%と他の区分より低めでした。標準ルート系の区分D1(53.6%)・D2(58.8%)と比べても差があり、区分Gが受験者の過半数を占めたことが、全体の合格率を押し下げた主な要因と考えられます。第1回と比べて受験者数自体も35,020人から16,949人へと半減しており、母集団の規模と構成の両方が変化した回だったと言えます。

現任者ルート(Gルート)はもう受験できませんか?

区分Gでの受験機会は、第5回試験(令和4年7月17日実施)を最後に終了したとされています。第6回以降の公式な合格発表資料の受験区分表には、区分Gの項目自体が掲載されなくなっています。現時点で新たに区分Gの資格で受験する道は用意されていません。今後、公認心理師を目指す場合は、4年制大学と大学院を経る区分Aをはじめとする標準的なルートで受験資格を得ることになります。

大学院ルート(区分A)の合格率は毎年安定していますか?

安定していません。区分Aの合格率は第6回94.9%、第7回90.1%、第8回77.2%、第9回67.7%と、受験者数の増加にともなって低下を続けています。区分Aが全受験者に占める割合も2.9%から80.7%へと同時に拡大しており、この2つは連動して動いています。今後、区分Aのシェアがさらに高まっていくのか、あるいは高止まりするのかによって、合格率の水準も変わってくる可能性があります。

合格率が下がっている=試験が難化しているということですか?

一概にそうとは言えません。公式データからは、区分A自体の合格率が低下しているという事実は確認できますが、その背景にある出題傾向の変化などについてセンターや厚生労働省からの公式な説明は見当たりません。母集団の変化と出題内容の変化のどちらがどの程度影響しているかは、現時点の公開情報だけでは断定できません。受験者数が2,000人台とまだ少ない年が続いていることもあり、今後数回分のデータが蓄積されるまでは慎重に見る必要があります。

公認心理師試験と臨床心理士試験はどちらが難しいですか?

試験の目的・出題範囲・実施団体が異なるため単純比較はできません。公認心理師は国家資格、臨床心理士は日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格です。両資格の違いは公認心理師と臨床心理士の違いで詳しく解説しています。両資格をあわせて取得を目指す人も多く、その場合は指定大学院選びの段階から双方の受験資格を意識しておくことが大切です。試験の実施時期や出題形式も異なるため、ダブル取得を目指す場合はそれぞれの試験日程を早めに確認しておくとよいでしょう。

公認心理師試験の合格率を上げるために大学院選びで意識すべきことは?

区分Aで受験する以上、大学院での学びの質が国家試験対策の土台になります。指定科目のカリキュラムや実習環境に加え、入試そのものの対策(専門科目・研究計画書・面接)を早期から進めておくことが遠回りを防ぎます。詳しくは公認心理師の大学院選びを参照してください。大学院に入学してからの2年間をどう過ごすかも、最終的な国家試験対策の質に直結します。

第10回試験の合格率はどうなりますか?

現時点(この記事の公開時点)では第10回試験は未実施のため、合格率は確定していません。次回以降も区分Aの受験者が引き続き大多数を占めると見込まれる中で、直近2回の低下傾向が続くのか反転するのかは、実際の合格発表を待つ必要があります。本記事は今後の合格発表を踏まえて随時更新を検討していきます。過去の推移を踏まえると、受験者数自体は2,000人台前半で大きく変わらない可能性が高いですが、合格率の水準は実際の発表を待たなければ分かりません。

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まとめ|公認心理師試験の合格率を正しく読み解く

公認心理師試験の合格率は、第1回79.6%から第2回46.4%への急落、Gルート終了前後での回復、そして直近2回の低下と、一見すると不規則に見える動きを繰り返してきました。しかしその背景には、受験区分(ルート)の構成比という一貫した要因が存在していたことが、公式データの検証から明らかになりました。

この記事のポイントを整理します。区分ごとの詳しい数値や試験地・年齢構成の推移まで振り返りたい場合は、本記事の各章をあわせてご確認ください。

  • 最新の第9回試験(令和8年3月1日実施)の合格率は60.0%(受験者2,400人・合格者1,441人)
  • 第1回から第9回までの合格率は46.4%〜79.6%の範囲で大きく変動している
  • 現任者ルート(区分G)の合格率は、確認できた第1回・第2回・第5回のいずれでも標準ルート系の区分より低い水準だった
  • 区分Gの受験機会は第5回(令和4年7月17日実施)を最後に終了したとみられる
  • Gルート終了後は受験者数が大幅に減少し、合格率は一時70%台まで回復した
  • 直近では標準ルート(区分A)自体の合格率が94.9%→67.7%へと低下しており、これが直近2回の全体合格率低下に直結している
  • 試験は相対評価ではなく得点基準による判定のため、他の受験者との比較よりも自分自身の学習の網羅性が合否を分ける
  • 合格基準は総得点(230点満点)の60%程度以上(136点以上)を目安とし、問題の難易度で補正する方式が採られている
  • 第1回から第9回までの合格者数を単純合計すると78,111人にのぼり、資格制度創設期の第1回・第5回に多くの合格者が生まれている

公認心理師試験は、受験者の構成が今後も変化していく可能性がある試験です。最新の合格率という一時点の数字だけでなく、どのルートで、どのような準備をして臨むのかという視点を持つことが、遠回りのない対策につながります。大学院進学というルートを選ぶのであれば、入試の段階から専門的な対策を積み重ねておくことが、結果として国家試験の合格にもつながっていきます。

今回確認した第1回から第9回までの一次データは、いずれも一般財団法人公認心理師試験研修センターが公式に公開している合格発表資料に基づくものです。合格率の変動要因については確認できた事実のみを記載し、出題傾向の変化のような一次情報で裏付けられない推測は含めていません。今後、第10回以降の合格発表が公表された際には、区分Aの合格率とそのシェアがどのように推移していくかを、あわせて注視していく価値があります。

制度創設から9回分のデータを振り返ると、公認心理師試験は「経過措置による多様な受験者層の混在」から「区分Aを中心とする均質な受験者層」へと、静かに、しかし確実に姿を変えてきました。この変化のただ中にいる今の受験者にとっては、過去の合格率をそのまま将来にあてはめるのではなく、区分Aという枠組みの中で自分がどう対策を積み上げていくかという視点こそが、これからの合格率をつくっていく側の当事者としての向き合い方だと言えるでしょう。

独学での情報収集や計画立てに不安がある場合は、心理系大学院受験に特化した指導を活用するのも一つの方法です。合格率という結果指標の背後にある、受験区分・受験者数・大学院での学びの積み重ねという構造を理解したうえで、自分に合った対策の進め方を選んでいきましょう。関連して、臨床心理士の受験資格もあわせて確認しておくと、心理系の資格取得全体を見据えた進路選びがしやすくなります。

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この記事を書いた人

千葉大学 法政経学部を首席で卒業後、都内国公立大学の法科大学院(ロースクール)を修了し、司法試験に合格。法律・政治・経済分野の専門知識をもとに、スプリング・オンライン家庭教師の大学編入・大学院入試分野の指導および記事監修を担当。

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