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法学編入の専門科目の勉強法|憲法・民法・刑法の全体像と対策の順番

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法学部への大学編入を目指すと決めたとき、多くの受験生が最初に戸惑うのが専門科目(法律科目)の対策です。出題範囲が広いうえに、憲法・民法・刑法という科目ごとに性格がまったく異なるため、「何から、どの順番で勉強すればいいのか」がわかりにくいからです。法学編入の専門科目の勉強法は、まず各科目の全体像をつかむことから始まります。本記事は、スプリング・オンライン家庭教師の公式YouTubeチャンネルで公開している、法学科目を担当するプロ講師の解説動画3本(憲法・民法・刑法の全体像)をもとに、編集部が1本の解説記事として再構成したものです。

法律の学習には「まず全体の見取り図を描き、それから細部に入る」という鉄則があります。見取り図がないまま個々の論点に飛び込むと、いま自分が学んでいる知識が科目のどこに位置づくのかがわからなくなり、暗記が空回りしてしまうからです。3本の動画で講師が共通して強調しているのも、基本概念の確認・条文の文言の解釈・判例の学習という3つのステップです。この記事では、その枠組みに沿って3科目の中身を整理します。

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構成は、憲法→民法→刑法の順に各科目の全体像と勉強のポイントを解説し、最後に3科目に共通する勉強法と学習の順番をまとめる流れです。なお、法学部編入の実施大学・出願資格・倍率・過去問といった制度面は法学部編入の徹底解説(実施大学・出願資格・倍率・試験科目)で、法学小論文・英語・面接を含めた試験科目全体の戦略は法学部の大学編入対策(法学小論文・英語・面接)で扱っています。本記事は「専門科目3科目の中身と勉強法」に絞って解説します。

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目次

法学編入の専門科目とは|憲法・民法・刑法が学習の3本柱

法学部の編入試験は、多くの大学で外国語(英語)と専門科目(法学)の組み合わせを出題の中心としています。専門科目の出題形式は大学によってさまざまで、「法学に関する論述問題」という形で出題する大学もあれば、憲法・民法など科目を指定して出題する大学もあります。出題科目や形式は年度によって変わることがあるため、必ず志望校の最新の募集要項で確認してください。

もっとも、形式がどうであれ、出題の土台になっているのは基本三法と呼ばれる憲法・民法・刑法です。法学の論述問題も、その多くは三法の基本概念や考え方を素材にしています。つまり、どの大学を受けるにしても、この3科目の全体像と基本を押さえることが法学編入の専門科目対策の出発点になります。

3科目の性格を一言で対比すると、憲法は「国家と個人の関係を定める法」、民法は「私人同士の生活関係を定める法」、刑法は「犯罪と刑罰を定める法」です。守備範囲がまったく違うからこそ、科目ごとに勉強の力点も変わります。以下、講師の解説動画に沿って1科目ずつ見ていきましょう。

憲法の全体像と勉強法|「人権の保障」から出発する

まずは憲法です。上の動画「【憲法の全体像】法学編入 プロ講師が解説!」(11分45秒)の内容を、動画を見る時間がない方のために整理します。

憲法の目的は「人権の保障」

講師が最初に示すのは、憲法の目的です。憲法の目的は、日本にいるすべての国民の個々の人権を保障することにあります。その根拠となるのが憲法13条で、「すべて国民は、個人として尊重される」という規定が置かれています。

ここから憲法の性格が導かれます。すなわち、憲法は国家に向けられたルールであり、私人と国家との関係を定めている、ということです。そしてこの性質から、憲法98条1項は憲法の最高法規性を定めています。憲法に反する法律や命令などの法規は、すべて効力を有しません。せっかく憲法が人権を保障しても、法律などで簡単にその人権を制限できてしまうのでは、保障した意味がなくなってしまうからです。

憲法の構造は「人権」と「統治」の2本柱

憲法の構造は、大きく分けると「人権」と「統治」の2つです。人権の単元では、憲法上どのような権利が国民の権利として認められるのかを扱います。統治の単元では、国の仕組みについて定めています。

条文の数でいえば統治のほうがかなり多いのですが、講師によれば、編入試験に向けた勉強の中心になるのは第3章の「人権」の単元です。まず人権を軸に学習を組み立て、統治は仕組みの理解を固める、という力点の置き方が全体像として示されています。

人権は無制限ではない――公共の福祉による制約

人権の単元の出発点として、動画では2つの条文が例に挙げられます。19条の「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」と、21条1項の「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」です。

ただし、これらの自由がすべて無制限に保障されるわけではありません。講師が挙げるのは、夜中に家の周りで誰かが拡声器を使って大声で自分の主張を表現し続ける、という例です。近隣の住民は夜眠れないのでやめてほしいのに、「これは憲法上の表現の自由だ」という主張がすべて通ってしまうなら、安心した社会生活は送れなくなります。このように人権と人権が衝突する場面を考えると、憲法上の自由をすべて無制限に認めることはできません。そこで、憲法上の自由は「公共の福祉」による制約を受けることになります。

制約が許されるかどうかの判断枠組みも示されています。すなわち、ある行為を保障して得られる利益と、制約して失われる利益とを比較衡量したうえで、どちらを優先すべきか、保障すべきかどうかを判断していくという考え方です。

答案の型は「保障→制約→正当化」の3段階

この考え方は、そのまま論述答案の型になります。講師が示す検討の流れは次のとおりです。

  1. 保障: 設問の事案で問題となっている行為が、そもそも憲法上の権利として保障されているかを検討する。保障されていなければ、そこで答案は終わってしまう
  2. 制約: その権利に対する制約があるか(問題の法律が本当にその行為を制約しているか)を確認する。制約がなければ、やはりそこで検討は終わる
  3. 正当化: 保障と制約の両方が認められたとき、その制約を正当化する根拠があるのかを検討する

実際の事例問題で「保障されていない」「制約がない」で切れることは多くありませんが、答案の流れとしては保障と制約をまず前提として書いたうえで、中心的に論じるのは3つ目の「正当化」の部分になります。憲法の答案では、この保障・制約・正当化の3つを常に意識して検討することが求められます。

統治は三権分立の仕組みを条文で押さえる

統治の単元は、国の仕組みを定める部分です。動画では、中学・高校の公民でも学ぶ三権分立の図を使って説明されています。一つの権力に立法・行政・司法のすべてを集中させると権力の濫用が起こってしまうため、日本では3つの権力を分け、互いに均衡を保つ仕組みがとられています。

憲法上の根拠を挙げると、国会は41条で「唯一の立法機関」と定められ、内閣については65条で「行政権は、内閣に属する」、裁判所については76条で「司法権は裁判所に属する」と定められています。そのうえで、内閣から国会に対しては衆議院の解散の決定、国会から内閣に対しては内閣総理大臣の指名や内閣不信任の決議、国会から裁判所に対しては裁判官の弾劾裁判、裁判所から国会に対しては立法が憲法に反しないかを審査する権限、というように相互に力が働いています。三権が双方向に抑制し合うことで権力の濫用を防ぐ仕組みになっているわけです。

憲法の勉強法――判例を「型」で読む

憲法の勉強で講師がまず挙げるのは、特に人権の単元における判例学習です。その判例がどんな事案だったのか、どんな権利が問題となったのか、裁判所がどう判断したのか。そして、その権利は憲法上の権利として認められるのか、どのような形で制約されているのか、制約の正当化はどんな審査基準を用いて判断されたのか。判例を「保障・制約・正当化」の枠組みに当てはめながら読むことで、試験で同じような事案が出たときに、きれいな答案が書けるようになります。

統治については、条文の素読、つまり条文をひたすら読むことが挙げられています。統治の単元が論文式の問題で出ることは想定しにくいものの、勉強するのであれば、条文が国の仕組みについてどのような定めを置いているのかに注目して読むことが大切です。

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民法の全体像と勉強法|パンデクテン体系と物権・債権

続いて民法です。上の動画「【民法の全体像】法学編入 プロ講師が解説!」(11分2秒)の内容を整理します。

民法は「私人の生活に関わる法」

民法の規律対象は、個人の財産、親族・相続の関係、そして法人の財産です。つまり、民法は私人の生活に関わる法と説明することができます。国家と個人の関係を定める憲法に対して、民法は私人と私人の関係を定める法である、という対比を押さえておくと、両科目の位置づけが明確になります。

パンデクテン体系――勉強の中心は第1編〜第3編

民法は、他の法典と比べても条文数が非常に多い法律です。そこで民法では「パンデクテン体系」と呼ばれる構造がとられています。これは、共通する部分をくくり出して前に置くことで、条文を読みやすくする構造です。

具体的には、第1編に民法全体についての一般的な規定である「総則」が置かれ、その後に第2編「物権」、第3編「債権」、第4編「親族」、第5編「相続」と続き、各編の中でさらに細かい内容が展開されていきます。講師によれば、編入試験に向けた勉強の中心は第1編から第3編まで(総則・物権・債権)です。膨大な民法のどこにヤマがあるのかがわかるだけでも、学習計画は立てやすくなります。

指導原理は「私的自治の原則」とその修正

民法の指導原理として挙げられるのが私的自治の原則です。すなわち、私人間の法律関係は個人の自主的な決定に委ねられるというのが民法の原則です。ただし、すべてを個人の自主的な決定に委ねてしまうと、争いが起きたときに解決する方法がなくなってしまいます。そこで民法は、私的自治の原則に対する修正を随所で行っています。原則と修正という視点は、民法の個々の制度を理解するときの軸になります。

民法総則の主な内容――権利能力・法律行為・代理・時効

総則で最初に登場するのが権利能力、すなわち権利義務の主体となる地位です。権利能力を有するのは「人」ですが、民法上の「人」には、私たちのような生身の人間である自然人だけでなく、会社などの法人も含まれます。権利能力は自然人だけでなく法人にも認められるのです。もし自然人にしか権利能力が認められないとすると、会社名義で財産を持つことも、会社名義で契約を締結することもできないという不都合が生じてしまうからです。

あわせて重要なのが法律行為です。法律行為とは、意思表示によって法律効果を発生させる行為のことで、代表例が契約です。総則にはほかにも、代理や時効といった単元があります。

  • 代理: ある人の行った法律行為の効果を、別の人に帰属させることができるかを扱う単元。たとえば、契約に詳しくないAさんが、詳しいCさんに「代わりに契約してほしい」と頼み、CさんがBさんと契約を結んだとき、その契約の効果をAさんに帰属させられるか、という問題です
  • 時効: 長期間継続した事実関係を、法律関係にまで高めることができるかを扱う単元。たとえば、AさんがBさんに対して代金の支払いを求める権利を持っているのに、長期間その権利を行使しなかったとき、権利を失うことがある、という制度です

物権と債権の違い――「物への権利」と「人への権利」

第2編・第3編の主役である物権と債権は、対比して理解するのが効果的です。物権とは物に対する権利のことで、代表例は所有権です。物権には排他性という性質があり、物権は万人に対して主張することができます。講師は、動画を収録しているパソコンを例に、「このパソコンへの所有権は誰に対しても主張できる」と説明しています。

これに対して債権は人に対する権利で、代表例は代金の支払いを求める代金債権です。物権と違い、債権は債務者に対してのみ主張することができます。売買契約を例にとると、契約の締結によって、買主から売主に対しては「目的物を引き渡せ」という債権が発生し、売主には引き渡す債務が発生します。同時に、売主から買主に対しては「代金を支払え」という代金債権が発生し、買主には支払う債務が発生します。このとき買主の引渡債権は売主に対してしか主張できず、売主の代金債権も買主以外の第三者には主張できません。ここに物権と債権の性質の大きな違いが表れています。

民法の勉強法――概念・条文の解釈・判例の3点セット

試験に向けた民法の勉強について、講師は3つのポイントを挙げています。

1つ目は、基本的な概念や用語の確認です。たとえば「売買は賃貸借を破る」という有名な原則について、その言葉がどんな意味なのか、実際に具体例を挙げて説明できるか。こうした基本概念の確認を問う一行問題が試験で出題される場合もあるため、教科書を使ってしっかり確認しておく必要があります。

2つ目は、条文の文言の定義や解釈です。条文がすべて字面どおりに読めれば簡単ですが、そうはいきません。たとえば94条2項や177条に出てくる「第三者」という文言は、契約当事者以外のすべての者を指すのか、それとも範囲が制限されるのか、制限されるとしてどんな範囲か、という解釈問題があります。条文の文言の定義と解釈まで踏み込んで学習することで、事案問題を見たときに「何が問題になっているのか」に気づけるようになります。

3つ目は判例です。全文を読む必要はなく、判例集で簡単な事案と要旨を確認し、どんな事案でどのような判断が下されたのかを学ぶことが、事例問題を解くための勉強になります。

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刑法の全体像と勉強法|犯罪論の体系をつかむ

最後に刑法です。上の動画「【刑法の全体像】法学編入 プロ講師が解説!」(10分2秒)の内容を整理します。

刑法の目的は「法益の保護」

刑法の目的は、法益、すなわち法的な保護に値するだけの利益を保護することです。法益を保護するために、犯罪を犯した人に対して刑罰を科す。これが刑法の基本的な発想です。

では、刑罰を科す意味はどこにあるのか。動画によれば、ここには議論があります。犯罪を犯したことに対する償いとして刑罰を科すという考え方が応報刑論、一般人の犯罪を予防したり犯人を更生させたりするために刑罰を科すという考え方が目的刑論です。目的刑論の中でも、一般人の犯罪予防を目的とするのが一般予防、犯人の更生を目的とするのが特別予防と呼ばれます。こうした基礎理論の対立も、刑法という科目の特徴のひとつです。

罪刑法定主義と自由保障機能

もっとも、刑罰は人権の侵害という側面を持ちます。懲役刑であれば自由に行動するという人権を、死刑であれば生命という最も保護に値する人権を侵害することになります。そこで、人権侵害をなるべく最小限にするために、刑法では罪刑法定主義という考え方がとられています。何をしたら罪になるのかを刑法典などの法律で明確に示すことで、国民はどんな行為をすれば罪になるのかを予測でき、安心して自由に行動できるようになります。これを自由保障機能といいます。

犯罪成立の3要素――構成要件該当性・違法性・責任

犯罪はどんなときに成立するのか。動画では、犯罪の成立要件が3つに整理されています。すなわち、構成要件該当性・違法性・責任の3つを満たして初めて犯罪が成立します。法律が禁止した行為の型(構成要件)に該当し、その行為に処罰に値するだけの違法性があり、さらに行為者に責任があると言えて、はじめて犯罪となるのです。

構成要件の中身――客観面と主観面

構成要件は、客観的構成要件と主観的構成要件の2つに分けられます。客観的構成要件の中身は、実行行為・結果・因果関係の3つです。

  • 実行行為: 処罰に値する行為といえるかを判断する要素。たとえば刑法199条は「人を殺した」者を処罰する旨を定めていますが、事案の中の行為が「人を殺した」と言えるのかを判断するのが実行行為の検討です
  • 結果: 実行行為があったとして、結果が発生したか。殺人罪であれば人の死亡という結果、傷害罪であれば人がケガをしたという結果が生じているかを見ます
  • 因果関係: 実行行為と結果があるだけでは足りず、両者の間に処罰に値する程度の関係があるかを検討します

実行行為・結果・因果関係がそろって初めて客観的構成要件を満たすことになります。そのうえで、主観的構成要件として故意または過失、つまり「わざとやったのか、うっかりやってしまったのか」という主観面も満たす必要があり、客観と主観の両方がそろって構成要件該当性が認められます。

違法性・責任を書くのは「特別な事情」がある場合

答案作成上、重要な注意点が示されています。学説上の争いはあるものの、多数説の考え方では、構成要件は違法・有責な行為の類型(違法有責行為類型)だとされています。つまり、構成要件に該当する行為は、通常は違法性も責任も備えていると考えられるわけです。

したがって、答案で毎回、違法性と責任について長々と書かなければならないわけではありません。基本的には構成要件該当性をまず検討し、違法性や責任は、それを阻却する特別な事情がある場合に限って論じることになります。たとえば正当防衛の状況にあれば違法性が阻却される、といった場面です。この整理を知っているかどうかで、答案のメリハリが大きく変わります。

刑法各論と答案の流れ

刑法の第2編「罪」には、どのような行為が罪に当たるのか、つまり個々の犯罪の構成要件が示されています。動画で挙げられている例は、「人を殺した者」を処罰する199条(殺人罪)と、「他人の財物を窃取した者」を処罰する235条(窃盗罪)です。

答案を書く際の流れは、まずどの構成要件を検討する必要があるのかを考え、次に客観的構成要件・主観的構成要件を満たすかを検討し、特別な事情がある場合には違法性を阻却する事由や責任を阻却する事由があるかを検討する、という順序になります。犯罪論の体系がそのまま答案の設計図になるのが刑法という科目の特徴です。

刑法の勉強法――基本概念・条文の文言・判例

試験に向けた刑法の勉強も、3つのポイントで整理されています。1つ目は基本的な概念の確認です。たとえば「刑法の補充性とは何ですか」と問われたときに答えられるか。こうした基本概念は一行問題として出題されてもおかしくないため、教科書で確実に押さえておきます。

2つ目は条文の文言の解釈です。たとえば正当防衛を定める36条1項には「防衛するため」というフレーズがありますが、これが何を指すのかという解釈まで勉強しておかないと、答案で書くべき論点をまるごと落としてしまいます。条文の文言が何を意味するのかに気づけるかどうかが答案の分かれ目になるのです。

3つ目は判例学習です。判例の事案と裁判所の判断をしっかり学習しておくと、事案問題を読んだときに何が問題になっているのかに気づきやすくなります。また、判例の中には条文の文言の意味を説明してくれているものもあるため、事案問題を解く練習も兼ねて、判例を丁寧に読むことが推奨されています。

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専門科目の勉強の順番と進め方(編集部による補足)

ここからは、動画3本の内容を土台にした編集部による補足です。3科目を横に並べたときに見えてくる共通点と、学習の順番の考え方を整理します。

3科目に共通する勉強法は「概念→条文→判例」の3ステップ

憲法・民法・刑法の解説を並べると、講師が挙げる勉強法がきれいに重なっていることがわかります。すなわち、3科目に共通する勉強法は「基本概念→条文の解釈→判例」の3ステップです。

ステップやること動画で挙げられた例
①基本概念の確認用語の意味を具体例つきで説明できるようにする「売買は賃貸借を破る」(民法)、刑法の補充性(刑法)
②条文の文言の解釈文言の定義・射程まで踏み込んで理解する94条2項・177条の「第三者」(民法)、36条1項の「防衛するため」(刑法)
③判例の学習事案・問題となった論点・裁判所の判断を確認する「保障・制約・正当化」の枠組みで判例を読む(憲法)

基本概念は一行問題に、条文解釈と判例は事例問題に、それぞれ直結します。どの科目でも、この3ステップを一周させることが「全体像をつかんだ」状態のゴールと考えてよいでしょう。

勉強の順番は志望校の出題科目から逆算する

3科目をどの順番で勉強するかは、まず志望校の募集要項と過去問で出題科目・出題形式を確認することから決まります。大学によって出題される科目や形式が異なるため、出題されない科目に時間をかけるのは得策ではないからです。

そのうえで一般的な進め方としては、国家と個人の関係という大きな枠組みを扱い、答案の型(保障・制約・正当化)が明確な憲法から入ると、法律科目の考え方に慣れやすい傾向があります。民法は条文数が多く範囲が広いため、早めに着手して総則・物権・債権を軸に継続的に回すこと、刑法は犯罪論の体系(構成要件該当性・違法性・責任)を最初に固めることが、それぞれ効率化のポイントです。いずれの科目でも、細部の暗記より先に本記事で紹介した全体像を頭に入れることが先決です。

専門科目とあわせて英語・小論文・面接の対策も

法学部編入の合否は、専門科目だけでは決まりません。多くの大学でTOEICなどの英語資格や英語試験が課され、法学小論文や面接を課す大学もあります。科目全体のバランスの取り方は法学部の大学編入対策(法学小論文・英語・面接)で、編入試験全般の勉強法は大学編入対策完全ガイド(英語・小論文・面接の勉強法)で詳しく解説しています。独学での対策に不安がある場合は、大学編入予備校・塾・家庭教師おすすめ18選で、サポートを受けられるサービスの選び方も確認しておくとよいでしょう。

よくある質問(FAQ)

法学部編入の専門科目では何が出題されますか?

大学によって「法学に関する論述問題」の形をとる場合と、憲法・民法など科目を指定する場合があります。いずれも土台になるのは基本三法(憲法・民法・刑法)の基本概念と考え方です。出題科目・形式は年度によって変わることがあるため、必ず志望校の最新の募集要項をご確認ください。

憲法はどこを中心に勉強すればよいですか?

動画の講師によれば、勉強の中心は第3章の「人権」の単元です。統治は条文数こそ多いものの、論文式で出題されることは想定しにくく、条文の素読で国の仕組みを押さえるのが基本とされています。

憲法の答案はどう組み立てればよいですか?

「保障→制約→正当化」の3段階です。問題となる行為が憲法上の権利として保障されているか、その権利への制約があるかをまず確認し、中心的には制約を正当化する根拠があるのかを論じます。

民法は範囲が広すぎます。どこから手をつければよいですか?

民法はパンデクテン体系で総則・物権・債権・親族・相続の5編に分かれていますが、編入試験に向けた勉強の中心は第1編から第3編(総則・物権・債権)です。まずこの3編の基本概念から固めるのが定石です。

物権と債権の違いは何ですか?

物権は物に対する権利(例: 所有権)で、排他性があり万人に対して主張できます。債権は人に対する権利(例: 代金債権)で、債務者に対してのみ主張できます。売買契約では、買主に目的物の引渡債権が、売主に代金債権が発生するという形で両者が登場します。

刑法の答案では違法性と責任を毎回書く必要がありますか?

毎回書く必要はありません。多数説では構成要件は違法有責行為類型とされており、基本は構成要件該当性の検討です。正当防衛の状況など、違法性や責任を阻却する特別な事情がある場合に限って論じます。

3科目に共通する勉強法はありますか?

あります。①基本概念を具体例つきで説明できるようにする、②条文の文言の定義・解釈まで踏み込む、③判例の事案と裁判所の判断を確認する、の3ステップです。基本概念は一行問題、条文解釈と判例は事例問題の対策に直結します。

判例はどのように読めばよいですか?

全文を読み込む必要はなく、判例集で事案と要旨を確認する方法が動画では推奨されています。どんな事案で、何が問題となり、裁判所がどう判断したのかを押さえます。憲法の人権分野では「保障・制約・正当化」の枠組みに当てはめながら読むと答案に直結します。

まとめ|専門科目は「全体像→細部」の順で得点源にする

法学編入の専門科目対策の要点を整理します。憲法は「人権の保障」を目的とする国家へのルールであり、答案は保障・制約・正当化の3段階で組み立てる。民法は私人の生活に関わる法であり、パンデクテン体系のうち総則・物権・債権が学習の中心になる。刑法は法益保護を目的とし、構成要件該当性・違法性・責任という犯罪論の体系がそのまま答案の設計図になる。そして3科目とも、基本概念・条文の解釈・判例という3ステップで勉強を進めます。

全体像をつかんでから細部に進むことが、専門科目攻略のいちばんの近道です。まず本記事と解説動画で各科目の見取り図を頭に入れ、志望校の募集要項と過去問で出題科目を確認したうえで、教科書と判例集を使った学習に進んでください。

スプリング・オンライン家庭教師では、法学部編入を目指す方に向けて、専門科目の学習から英語・小論文・面接まで一貫したサポートを行っています。詳しくは大学編入コースのご案内をご覧ください。学習計画の立て方に迷ったら、無料相談で現在の状況をお聞かせいただければ、志望校に合わせた進め方をご提案します。

この記事の制作方針について

本記事は、スプリング・オンライン家庭教師の公式YouTubeチャンネルで公開している講師の解説動画3本(憲法・民法・刑法の全体像、いずれも2023年8月〜9月公開)をもとに、編集部が1本の記事として構成したものです。各科目の解説は動画内で講師が語った内容に基づき、「編集部による補足」と明示した章および一般的な学習アドバイスのみ編集部が加筆しています。試験制度・募集要項は変更される場合があるため、受験の際は必ず各大学の最新の公式情報をご確認ください。

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この記事を書いた人

株式会社Spring Knowledge 代表取締役社長。筑波大学 社会・国際学群 社会学類へ編入学し、都内国公立大学大学院 法学政治学研究科 修士課程を修了。大学編入・大学院進学を自ら経験した立場から、スプリング・オンライン家庭教師の大学編入・大学院入試分野の指導および記事監修を担当。

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