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北海道大学大学院理学院の研究計画書の書き方|専攻・カリキュラム・教員の研究分野から逆算する

北海道大学大学院理学院の研究計画書対策で最初にすべきことは、自分の選択区分と志望専攻で実際に求められる書類を確定することです。令和9年度夏期募集の一般選択では、4専攻に共通する「研究計画書」は提出書類に指定されていません。一方、外国人留学生特別選択で自然史科学専攻の指定3講座を志望する場合は、所定用紙の「入学後の研究計画書」が必要です。選択区分と専攻で提出書類が異なります。
それでも一般選択の志願者が研究構想を言語化する意味は大きいといえます。物性物理学専攻と宇宙理学専攻では、志望研究室の担当教員に事前連絡し、受入れと調査票への記載許可を得るよう募集要項で求めています。数学専攻では、入学後に研究したい分野と興味を持った定理または理論をA4判7〜10頁で説明する数学レポートが求められます。書類名よりも研究構想の整合性が重要です。
書き上げた研究計画書、そのまま出して大丈夫ですか?
研究職キャリアを持つ講師が、テーマ設定・先行研究の位置づけ・研究方法まで、出願レベルに届いているかを個別に確認します。
- 研究職の講師が研究計画書を添削し、改善点を明確化
- 相談後に、志望校の出題傾向と学習ロードマップをまとめた個別フィードバックレポートをお渡し
- 志望校が決まっていなくてもOK
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(費用は一切かかりません)
本記事でいう研究構想とは、問い、先行研究上の位置、方法、志望専攻と教員への接続、修士課程内の実行可能性をひとつの論理で結んだ設計図です。所定の研究計画書を提出する人だけでなく、志望理由書、数学レポート、志望研究室の選択、口頭試問の回答を一貫させる土台になります。ここでは、出願資格・試験科目・日程・倍率は詳述しません。それらは北海道大学大学院理学院の外部院試を解説した既存記事で確認できます。
注意:募集要項・出願書類の様式・教員の配置は年度により変わるため、出願前に必ず最新の公式情報で確認してください。本記事は令和9年度夏期募集要項と理学院公式ページを基準に整理しています。
この区別を踏まえ、本記事は「提出用の所定研究計画書を作る人」と「一般選択のために研究構想を作る人」の両方が使えるように構成しています。前者は最新の所定様式に合わせて圧縮し、後者は志望理由、研究室選択、教員への事前説明、口頭試問に必要な部分を取り出して使います。まず自分の提出書類と本記事の対応を決めてください。
北海道大学大学院理学院で研究計画書はどう扱われるか
一般選択は全専攻共通の研究計画書を求めていない
令和9年度夏期募集の一般選択では、「北海道大学大学院理学院の受験生は全員が同じ研究計画書を出す」という仕組みではありません。数学専攻は志望理由書と数学レポート、物性物理学専攻と宇宙理学専攻は志望研究室調査票を中心に、自然史科学専攻は志望講座に応じた調査票や志望理由書を提出します。最初に出願書類の正式名称を確認しましょう。
| 専攻・区分 | 研究構想に関わる主な書類 | 設計上の重点 |
|---|---|---|
| 数学専攻・一般選択 | 志望理由書、数学レポートと概要 | 理論の正確な理解と入学後の分野 |
| 物性物理学・宇宙理学 | 志望研究室調査票 | 事前連絡と志望研究室の整合 |
| 自然史科学・一般選択 | 講座ごとの調査票、一部は志望理由書 | 幅の広い5講座のどこに属するか |
| 外国人留学生特別選択・指定3講座 | 入学後の研究計画書(所定用紙) | 問い、方法、受入教員との適合 |
所定研究計画書が必要な対象
外国人留学生特別選択で、自然史科学専攻の地球惑星ダイナミクス講座、地球惑星システム科学講座、地震学火山学講座を志望する人は、所定用紙の「入学後の研究計画書」を提出します。募集要項では、用紙をインターネット出願サイトから取得し、A4判で印刷して作成することが示されています。公開募集要項に字数の明記はありません。実際の欄名、枚数、追記の可否は、出願時に取得した最新様式を正としてください。
この点は「理学院の研究計画書は何字か」と一律に尋ねても答えが出ない理由です。所定欄が狭い場合は、背景の細部を減らし、問い・対象・方法・意義の因果関係を優先します。反対に欄に余裕があっても、検証したい問いが不明確なまま用語を列挙してはいけません。所定様式は情報の器であり、計画の論理そのものではないからです。
一般選択でも研究構想を作る具体的な利点
一般選択で共通の研究計画書がないことは、研究テーマの検討が不要という意味ではありません。志望研究室調査票に研究室名を書くとき、候補間の順位をどう決めたかを自分で説明できる必要があります。志望理由書でも、理学院一般の魅力より、自分の学術的関心と専攻の研究領域がどうつながるかが中心になります。そのつながりを事前に文章化しておくと、書類ごとに別の志望理由を作って齟齬を生むことを防げます。
口頭試問では、予定した質問と同じ表現で聞かれるとは限りません。「なぜその対象か」「なぜその手法か」「希望する結果が出ない場合は何が分かるか」と角度を変えて問われても、研究構想の軸ができていれば回答はぶれにくくなります。研究構想は複数の出願準備をつなぐ共通ノートです。
理学院4専攻の構造と研究テーマの射程
専攻名ではなく研究対象と方法で選ぶ
理学院は数学、物性物理学、宇宙理学、自然史科学の4専攻で構成されます。この分け方は、単なる学部学科の延長ではありません。たとえば、理論を用いる研究でも、抽象的な数学構造そのものを対象にするのか、物質の性質を説明するのか、宇宙の現象を解明するのかで接続先が変わります。対象・時空間スケール・方法の3軸で判定します。
| 専攻 | 主な射程 | 構想で明示したいこと |
|---|---|---|
| 数学 | 代数、幾何、解析、数理科学 | 定義、仮定、先行する定理と未解明点 |
| 物性物理学 | 理論物理、実験物理、先端機能物質、物質科学 | 対象物質、測定量、理論・実験手法 |
| 宇宙理学 | 観測天文、素粒子・宇宙論、惑星宇宙など | 観測・実験・理論のどの証拠で問うか |
| 自然史科学 | 地球惑星、地震火山、生物多様性、科学コミュニケーション | 5講座のどこに問いと方法が属するか |
自然史科学専攻は5講座の差を細かく読む
自然史科学専攻には、地球惑星ダイナミクス、地球惑星システム科学、地震学火山学、多様性生物学、科学コミュニケーションの5講座があります。この幅は理学院の特徴である一方、「環境問題に興味がある」という大きな言葉だけでは志望先を決められない理由にもなります。大気・海洋の変動を物理的に問うのか、岩石や地層から地球史を復元するのか、地震・火山の観測を行うのか、生物群の分類と進化を問うのか、科学と社会の対話を研究するのかを分けます。
そのうえで、自分の問いを1文で書き、必要なデータと解析手法をそれぞれ書き出します。問いは地球惑星システム科学に見えるのに、方法は気象学の観測に強く依存するなど、複数講座にまたがることもあります。その場合は無理に一つのラベルに押し込めず、中心となる問いと主たる方法を優先します。志望先の教員一覧と研究内容を往復して、主とする講座を絞りましょう。
各専攻でテーマを絞るときの問いかけ
数学専攻では、研究対象を表す用語だけでなく、どの定義と仮定のもとで何を示したいのかを問います。学部で読んだ定理を起点にする場合は、定理の主張、前提、証明の中核、関連する理論を自分で説明できるかを確認します。「高度で難しい理論」を選ぶことより、理解した範囲とその先に学びたい問題を誠実に分けることが大切です。
物性物理学専攻では、対象物質、着目する物性、外部条件、測定量、理論と実験の関係を順に確認します。新物質探索と、既知物質に現れる現象のメカニズム解明では、計画の論理が異なります。前者なら候補の選定原理と評価指標、後者なら競合する説明とそれらを区別する観測結果を明確にします。現象名だけでなく識別に必要な測定を書きます。
宇宙理学専攻では、観測、実験、理論のどこに研究の主軸を置くかを決めます。観測では対象天体、波長域、必要な感度と解像度、得られる物理量を対応させます。理論ではモデルの仮定と観測可能な予言を分けます。大きな「宇宙の謎」から始めるのではなく、限られたデータでどの仮説を検討できるかへ絞ります。
自然史科学専攻では、対象の空間・時間スケールと証拠の種類を先に確認します。大気・海洋の時系列、地質試料、地震波や地殻変動、標本と分子情報、人の理解や対話の記録では、方法も研究倫理上の検討も異なります。「自然史」という名称に広く合わせるのではなく、どの証拠から何を推定する計画かを示してください。
カリキュラムと修士論文から逆算する「研究の型」
専門の深さと分野を越える視野を両立させる
理学院のカリキュラムポリシーは、各分野の高度な専門教育に加え、理学院共通科目群を設け、大学院共通科目や他専攻・他研究科の科目を修了要件に含めることも認めています。研究構想に置き換えると、これは主戦場となる専門分野を明確にしながら、必要な知識や方法を周辺分野から取り入れる構成と読めます。学際性は主軸を曖昧にすることではありません。
数学専攻の修士課程では、第1・第2選択科目群と必修科目が設けられ、必修科目は「数学研究」です。修士論文のテーマを研究し、論文を作成する過程が教育の中核に位置づけられています。したがって数学レポートでは、将来の大きな目標だけでなく、自分が現時点で正確に説明できる定理・理論と、そこからどの分野へ進みたいかを分けて示すことが重要です。
修士論文の評価基準を計画段階に置き換える
理学院の修士論文評価基準は、題目、背景と目的、必要に応じた方法、考察、結論、文献引用、章立てを検討します。内容面では、新たな研究成果または十分な修学成果を含むこと、先行研究を踏まえて課題が設定されていることが示されています。研究計画書は完成した修士論文ではありませんが、完成時の評価軸に至る道筋は示せます。
たとえば、「新奇性を示す」と書く前に、何がどこまで分かっているか、何が未解明か、本研究はどの差分を検証するかを書きます。実験研究なら対象試料、操作する条件、測定量、比較対象を分けます。観測研究ならデータ源、時間・空間解像度、予定する解析、判定指標を書きます。理論研究なら仮定、扱う構造、用いる手法、得られると予想する命題の範囲を整理します。こうした記述が、修士論文の背景・目的・方法へつながります。
講義・セミナー・修士論文の関係を書き分ける
カリキュラムに触れるとき、科目名を列挙するだけでは研究計画との関係は伝わりません。講義では何の理論や手法を補い、セミナーではどの文献群を読み、研究指導ではどの分析や証明を進め、修士論文ではどの問いに答えるかを分けます。入学後にすべてを学び始める計画ではなく、現在の基礎からどの順番で研究に必要な能力を獲得するかを示します。
理学院共通科目や他専攻の科目は、主専門の代わりにするものではなく、主専門の問いを解くために必要な視点を補うものとして位置づけられます。例えば、観測データの解析に必要な数理的方法、実験結果を理論モデルと比較するための物理学、科学的成果の社会的文脈を検討するための知識などです。周辺分野の履修は主たる研究課題に引き戻します。
専攻別の教員・研究分野マップ
公式教員一覧の文言をそのまま確認する
教員を調べる目的は、有名な研究者を探すことではなく、自分の問いを指導できる専門と研究環境が存在するかを確認することです。以下は理学院のHTML教員一覧で確認できる代表例です。専門分野は公式ページの表記に合わせており、そこにない分野を推測で追加していません。氏名と専門は同じ公式ページで照合します。
| 専攻・研究室等 | 教員 | 公式掲載の研究分野 | 構想との照合点 |
|---|---|---|---|
| 数学専攻・代数系 | 朝倉政典教授 | 数論幾何学。 | 問いが数論幾何学の対象と方法に接続するか |
| 数学専攻・代数系 | 澡川陽一教授 | 代数学, 量子群, ホップ代数, 圏, ガーサイド理論。 | 扱う代数構造と説明できる基礎理論 |
| 物性物理学専攻・固体電子物性研究室 | 吉田紘行教授 | 新物質科学, 物性物理学, 強相関電子系。 | 対象物質と観測したい物性が具体的か |
| 宇宙理学専攻・観測天文学研究室 | 徂徉和夫教授 | 銀河天文学。 | 銀河に関する問いと観測データの対応 |
| 自然史科学専攻・気象学 | 稲津將教授 | 気象力学, 応用気象学, 雪氷気象学。 | 気象現象の問いとスケール、解析方法 |
| 自然史科学専攻・気象学 | 和田有希准教授 | 高エネルギー大気物理学,レーダー気象学,大気電気学,放射線計測学。 | 観測対象と計測手法が研究の問いに合うか |
教員の所属や研究分野は年度により変わるため、出願前に最新の教員一覧で確認してください。一覧は数学専攻、物性物理学専攻、宇宙理学専攻、自然史科学専攻の各公式ページにあります。この表は全員の列挙ではありません。代表例を起点に必ず専攻全体を見渡しましょう。
教員一覧を読むための比較シート
教員候補を比べるときは、氏名、所属専攻・研究室、公式の研究分野、研究テーマ、キーワード、自分の問いとの共通点、方法の共通点を表の列にします。そして、公式文言を転記した列と、自分が考えた接続を書く列を分けます。この分離によって、大学が公開した事実と、志願者が行った解釈を混同しにくくなります。
キーワードが一つ一致しても、それだけで指導可能とは判断できません。自分のテーマを「対象」「問い」「証拠」「方法」に分け、4要素のうちどこまでが公式情報と一致するかを見ます。一致しない要素がある場合は、共同指導や周辺分野の知識で補えると自分で決めつけず、事前連絡が求められる専攻ならその段階で確認します。公式情報の範囲を超える指導可能性は推測しません。
教員名を志望理由に貼り付けない
志望教員の研究分野と自分のテーマをつなぐときは、「〇〇教授がいるから」で終えないことが大切です。まず先行研究の整理から自分の問いを導き、次にその問いを検証する方法を示し、最後にその分野・方法を扱う教員と教育環境が理学院にあることを確認します。この順番なら、教員の名前を権威として借りるのではなく、指導可能性の根拠として使えます。
専門分野の名称が一致するだけでは十分ではありません。同じ「気象学」でも、理論・シミュレーションを主とする計画と、レーダー等の観測を主とする計画では、必要な指導と設備が異なります。同じ「代数」でも、対象とする構造、前提とする理論、使う手法で専門の接続は変わります。分野名の一致の次に対象と方法を照合します。
書き上げた研究計画書、そのまま出して大丈夫ですか?
研究職キャリアを持つ講師が、テーマ設定・先行研究の位置づけ・研究方法まで、出願レベルに届いているかを個別に確認します。
- 研究職の講師が研究計画書を添削し、改善点を明確化
- 相談後に、志望校の出題傾向と学習ロードマップをまとめた個別フィードバックレポートをお渡し
- 志望校が決まっていなくてもOK
\ 合格がグッと近づく/
LINE登録でもらえる4大特典 : ①プロ講師の映像授業 ②合格までのロードマップシート ③受験校検索サイト ④「今から間に合うか」の判断材料
(費用は一切かかりません)
自分の研究テーマが理学院に合うか判定する5手順
問いから専攻へたどる
- 問いを1文にする。「何を明らかにするか」を、対象と変数が見える形で書きます。
- 先行研究の差分を書く。分かっていること、分かっていないこと、自分が検証することを3行に分けます。
- データと方法を分ける。観測、実験、計算、証明、資料分析のどれが主かを定めます。
- 専攻・講座・研究室を照合する。公式の紹介文と教員一覧で、問いと方法の双方を探します。
- 修士課程の規模に絞る。2年間で資料・設備・技能を確保できる範囲に対象を限定します。
この順番のポイントは、最初から教員名に合わせてテーマを作らないことです。自分の関心が先にあり、先行研究を読むことで問いが絞られ、その後に指導可能性を確認するという流れが自然です。ただし、指導できる教員が見つからない場合は、志望先を変えるか、自分の問いの射程を見直す必要があります。テーマと指導可能性は往復して調整します。
「合っている」を3層で証明する
第1層は学問分野の一致です。たとえば銀河の観測的研究なら宇宙理学専攻の射程に入るかを確認します。第2層は方法の一致です。観測であれば用いたい波長域、データ、解析手法が研究室の専門と接続するかを見ます。第3層は教育過程の一致です。不足する知識を講義・セミナー・研究指導で補い、修士論文へ発展させられるかを考えます。
この3層を「理学院は研究環境が整っている」という抽象的な1文で済ませないことが大切です。どの分野に属する問いか、どのような方法と研究分野が接続するか、修士課程でどのように成果へ進むかを書き分けます。そうすると、志望理由と研究計画が同じ論理でつながります。
候補テーマを点数化せず反証する
テーマの適合性を検討するとき、興味、社会的意義、専攻との近さに点数を付けるだけでは、重大な欠陥を見逃すことがあります。代わりに、「この問いは既に解決されていないか」「方法で得られるデータは問いに答えられるか」「別の専攻のほうが直接的ではないか」「2年間で最小限の結果が得られるか」と反証を試みます。
反証を試みて弱点が見つかったら、直ちにテーマ全体を捨てる必要はありません。問いの粒度、対象範囲、比較条件、データ源のうちどれを変えれば解決するかを考えます。例えば、全地球規模の現象を対象にしてデータが不足するなら、地域と期間を限定します。複数の物理機構を一度に識別できないなら、二つの説を区別する指標に絞ります。弱点の発見はテーマを小さく強くする機会です。
理学院向け研究構想の項目別の書き方
文字数は最新様式に合わせ、比率で設計する
所定の研究計画書の公開募集要項本文からは、字数や個別の欄名を確認できません。そこで、実際に取得した所定様式の欄名と上限を優先し、下の比率を初稿の目安にします。独立した欄がある場合は、同じ内容を重複させず、その欄の問いに直接答えます。先に論理を作り、後から様式に圧縮します。
| 項目 | 初稿の分量比 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 背景・先行研究 | 25% | 分かっていることと未解明点を分ける |
| 目的・問い | 15% | 誰が読んでも検証対象が同じになる文にする |
| 方法・データ | 30% | 対象、手順、解析、判定基準を示す |
| 予想される意義 | 10% | 学術的に何が前進するかを示す |
| 理学院との適合 | 10% | 専攻、研究分野、教育過程への接続 |
| 実施計画・倫理・安全 | 10% | 修士課程内の実行可能性を示す |
理系の方法は「できる」ではなく判定まで書く
方法の欄で「実験を行う」「シミュレーションで分析する」と書くだけでは、目的に答えられるかを評価できません。実験なら、どの条件を変え、何を測定し、どの比較で仮説を判定するかまで書きます。観測なら、何のデータを使い、どの指標を算出し、どのような差を検出するかを書きます。数学なら、対象と仮定、使う定理や理論、検討する命題の関係を明確にします。
設備名を書く場合も、存在を確認していない装置を推測で挿入してはいけません。まず志望研究室の公式ページや事前連絡で、利用可能性と研究室の主な手法を確認します。確認前なら、特定機種を断定するより、必要な測定性能やデータの種類を書くほうが安全です。設備は研究目的に必要な理由と組みにします。
汎用的な構成と理系の例は研究計画書の例文・テンプレートや理系大学院の研究計画書例文で確認できます。ただし、例文の研究対象や方法を差し替えるだけでは、理学院の専攻構造と指導可能性は説明できません。テンプレートは項目の抜けを防ぐために使い、内容は志望専攻の一次情報から作りましょう。
項目間のつながりを1文ずつ点検する
背景から目的へは「先行研究の何が不足するため、この問いが必要か」を確認します。目的から方法へは「このデータと分析で、目的のどの語を検証できるか」を確認します。方法から結果の見通しへは「何が観測されれば仮説を支持し、何が観測されれば修正が必要か」を確認します。意義では、結果が出た場合に先行研究の理解がどう更新されるかを書きます。
この点検で「有用である」「貢献する」という語に根拠がないことが分かったら、形容詞を強くするのではなく、どの知見とどの空白をつなぐのかを追記します。理学の研究計画では、結果を予告するより、仮説が支持されない場合にも何が分かるかを示すことが計画の強さになります。予定した結果ではなく判定の論理を約束します。
通りにくい研究構想の共通点と修正法
研究科の射程外、または専攻内で位置が決まっていない
最初の失敗は、社会的に重要な課題を掲げながら、理学の問いに分解できていないことです。たとえば気候変動の解決を掲げるだけでは、どの現象のどのメカニズムを、何のデータと方法で解明するのかが分かりません。科学コミュニケーションを志望するなら、自然現象そのものではなく、情報の伝達、理解、対話のどこを研究対象にするかを示す必要があります。
修正するには、「社会的な目標」「学術的な問い」「今回検証する範囲」を別々の文にします。大きな目標は導入と意義に置き、研究目的は修士課程で検証できる問いに絞ります。社会課題の大きさと研究の粒度は分けます。
指導可能な教員がいない、または方法が実行できない
二つ目の失敗は、専攻名は合っていても、対象と方法の組合せを指導できる教員を確認できないことです。三つ目は、必要な試料、観測時間、許可、計算資源、技能の取得にかかる期間を考えていないことです。「入学後に学ぶ」という姿勢は必要ですが、基礎知識が大幅に不足し、データ入手の見通しもない計画では実行可能性を示せません。
修正では、テーマを捕らえ直すか、範囲を絞ります。例えば複数の観測手法を全て新規に習得する計画なら、主たるデータ源を1つに決め、比較を限定します。広大な地域・長期間を対象にするなら、仮説を判定できる代表期間と地域を選びます。理論的な課題なら、一般的な場合の全解決を目指すのではなく、仮定を限定した命題から始めます。範囲を絞ることは研究価値を下げることではありません。
先行研究が紹介の羅列になっている
先行研究の段落で、論文A、論文B、論文Cの結果を順に紹介するだけでは、研究目的は導かれません。各研究がどの対象、条件、手法を扱い、一致している点と残る争点は何かを比較します。その後、残った空白の中で自分が検証できる範囲を示します。
一文ごとに役割を与えると整えやすくなります。1文目は分野全体の問題、2文目は代表的な知見、3文目は先行研究の限界、4文目は未解明点、5文目は本研究の問いとします。引用する文献は、名前を並べるためではなく、問いを導く論理に必要なものを選びましょう。
断定、引用、用語の三つの誤差を減らす
研究計画で「この現象は未解明である」と書くときは、何が未解明かを限定します。現象の存在自体は知られていて、特定条件下の機構や定量的な寄与が不明なのであれば、その範囲まで書きます。引用は、著者の結論を自分の主張に拡張しないよう、対象、条件、方法を原文で確認します。
用語は専門的であれば良いわけではありません。同じ用語が分野によって異なる意味で使われる場合は、本計画での対象と操作的な意味を示します。一方、志望教員が公式ページで使っている言葉を、理解しないまま大量に貼り付けてはいけません。口頭試問で例、反例、測定方法を聞かれたときに自分で説明できる語を使います。専門用語の数より用語間の論理を優先します。
出願までの逆算スケジュール
テーマ、教員確認、初稿を同時に進めすぎない
理学院向けの準備は、募集要項が公表されてからテーマを考え始めるのでは遅くなりがちです。特に物性物理学専攻と宇宙理学専攻は、令和9年度一般選択で志望研究室の担当教員への事前連絡と受入れの許可が求められています。連絡前に研究構想を1頁で説明できる状態を作ります。
| 時期の目安 | 主な作業 | 完了条件 |
|---|---|---|
| 出願9〜12か月前 | 4専攻・講座の比較、基礎文献の収集 | 関心を3テーマ以内に絞る |
| 6〜9か月前 | 先行研究表の作成、問いの仮置き | 未解明点と自分の差分を1文で説明 |
| 4〜6か月前 | 公式教員一覧と研究室ページの照合 | 問いと方法が合う志望先を絞る |
| 3〜4か月前 | 必要な事前連絡、研究構想1頁版の作成 | 受入れ条件とテーマの齟齬を確認 |
| 2〜3か月前 | 初稿、方法と実行可能性の点検 | 全項目が因果関係でつながる |
| 1〜2か月前 | 所定様式への圧縮、第三者のチェック | 用語、引用、文字数、整合性を確認 |
| 出願直前 | 募集要項・様式・教員配置の再確認 | 提出版と口頭試問用の要約を確定 |
推敲は内容、論理、表現の順に行う
初稿の直後に語尾や誤字だけを直すと、根本的な問いのずれを見逃します。第1回は内容の推敲とし、先行研究から問いが導かれているか、方法が問いに答えるか、指導可能性があるかを見ます。第2回は論理の推敲とし、主語、因果関係、用語の定義、断定の根拠を確認します。第3回で表現を整え、重複、長文、表記ゆれ、引用形式を直します。
完成後は、計画書を見ずに1分、3分、10分の3種類で説明する練習をします。1分版は問い・方法・意義、3分版は先行研究と志望先への適合を追加し、10分版は方法の選択理由と代替案まで説明します。書けたことと口頭で説明できることを一致させます。
事前連絡の前に準備する研究構想1頁版
事前連絡が求められる専攻では、連絡の目的を明確にし、返答に必要な情報を簡潔に提示します。1頁版には、現在の所属と学習・研究背景、問いの仮案、主な先行研究、予定する対象と方法、志望研究室と接続すると考えた根拠、確認したい事項を入れます。完成度を装うために方法や設備を断定せず、現在の仮案と確認事項を分けて書きます。
教員から指摘を得た場合は、そのまま文言を追加するのではなく、研究計画のどの前提が変わったかを確認します。対象が変わったのか、利用できるデータが変わったのか、問いが広すぎたのかを分け、背景から方法まで必要な範囲を修正します。事前連絡は推薦を求める場ではなく齟齬を確認する場です。
専攻別に口頭説明の中心を変える
数学専攻の数学レポートは、レポートの内容を参考に面接委員からの試問に答える形で口頭試問が行われます。そのため、書いた定理や理論について、定義、具体例、反例、仮定の役割、証明の要点を分けて説明します。証明全体を暗記するのではなく、各段階で何を示し、なぜその補題や定理が必要かを説明できるようにします。入学後に研究したい分野と、現時点で説明できる範囲を混同しないことも重要です。
物性物理学専攻の構想を説明するときは、物質名や現象名の列挙ではなく、対象にどの条件を与え、何の応答を測り、どのモデルと比較するかを中心にします。理論を主とする場合でも、どの観測量に予言が現れるかを考えると、研究の判定可能性が見えやすくなります。実験を主とする場合は、試料作製、特性評価、測定、解析のどの工程が主になるかを示します。物性研究では操作・測定・判定を一組で説明します。
宇宙理学専攻の構想では、研究対象へ直接触れられない場合に、どの観測量からどの物理量を推定するかを説明します。データの入手可能性、観測選択効果、他の解釈の可能性を考え、一つの観測結果から結論を飛躍させないことが大切です。理論研究なら、モデル間で共通する予言と、区別に使える予言を分けます。「観測・実験・理論を統合する」と書くだけでなく、どの段階でどの証拠を使うかまで落とし込みます。
自然史科学専攻は5講座の幅が大きいため、口頭説明の中心も一律ではありません。地球惑星系では、現場・観測・実験・数値計算のどの証拠を用いるか、時間・空間スケールはどれくらいかを示します。多様性生物学では、対象群、標本やデータの入手、分類・系統の判定に用いる証拠を整理します。科学コミュニケーションでは、対象とする人・媒体・場面、収集する資料、分析の単位を明確にします。
研究計画書のための文献管理を作る
文献は読んだ順に要約するだけでなく、研究計画のどの主張を支えるかで管理します。文献表には、書誌情報、研究対象、研究設計、主な結果、著者が述べる限界、自分の問いとの関係を記録します。特に、結果だけでなく対象と条件を記録することが重要です。別の対象や条件に結論を拡張すると、未解明点の設定自体が誤るからです。
レビュー論文は分野の用語、主な論点、代表的な先行研究を把握する入口として有用です。ただし、研究計画の中核となる主張については、レビューが引用した原著論文に戻り、方法と結果の範囲を確認します。志望教員の研究に触れる場合も、タイトルやキーワードの一致だけでなく、問いと方法を読みます。文献は著者名ではなく論証の役割で配置します。
実行可能性は最小成果と発展を分けて示す
研究計画は大きな発展可能性を持ちつつ、修士課程で完了できる最小限の単位を示すと具体的になります。例えば、第1段階で既存データの再解析と手法の検証を行い、第2段階で対象を限定した比較を行い、時間があれば対象範囲を拡張するという設計です。最後の拡張ができなくても、最小成果で研究の問いに部分的に答えられるようにします。
リスクには、データが得られない、試料作製が安定しない、観測条件が整わない、予定した差が検出できない、証明の方針が成立しないなどがあります。それぞれに対し、代替データ、条件の絞り込み、別の判定指標、限定した命題などを考えます。すべてのリスクを解消済みと書く必要はなく、何が不確実で、どの時点で判断するかを示します。実行可能性とは不確実性を消すことではありません。
提出直前の整合性チェック
提出版ができたら、題目に含まれる対象と関係が目的と一致するかを確認します。次に、目的文の各語に対応する方法があるか、方法で得られる結果が意義の主張を支えられるかを見ます。さらに、志望専攻と教員の公式研究分野が、計画の問いだけでなく方法とも接続しているかを確認します。どれかがつながらない場合は、文章の接続語で隠さず、問いか方法を見直します。
最後に、本文で使った全ての固有名詞、教員名、所属、研究分野、科目名、数値を、最新の公式情報と照合します。過去に保存したメモと公式ページが異なる場合は、最新情報を優先します。所定様式の欄名と指示文に対しては、一般的なテンプレートより所定様式を優先します。内容の良さと最新の指定への適合は両方必要です。
初稿を書く前の7枚のメモ
白紙の所定様式から書き始めると、欄の順番に引っ張られ、先行研究と目的のつながりを考えにくくなります。そこで、初稿の前に「問題の背景」「先行研究の比較」「未解明点」「本研究の問い」「データと方法」「志望先との適合」「実施順序とリスク」の7枚のメモを作ります。1枚に一つの役割だけを与えると、論点の重複と抜けを発見しやすくなります。
背景メモには、なぜその現象や数学的対象が問題になるのかを書きます。政策や産業上の関心がきっかけであっても、そこから研究で扱う学術的な問いへ降ります。先行研究メモには、研究ごとの紹介ではなく、対象、条件、方法、結果の比較を書きます。未解明点メモには、どの範囲で証拠が不足し、どの条件間の比較が残っているかを書きます。未解明点は「知られていない」より狭く定義します。
問いメモは、疑問文と「本研究は、…を明らかにする」という目的文の両方で書きます。両者の対象、条件、関係が一致するかを見ます。方法メモでは、各手順の左側に作業、右側に得られる証拠を書き、どの証拠が目的文のどの部分に答えるかを線で結びます。結べない手順は、目的に不要か、中間の論理が抜けている可能性があります。
適合メモでは、大学名の魅力を書くのではなく、「自分の問いの中核となる分野」「必要な方法」「公式ページで確認した志望先の研究分野」を並べます。三者がつながらないなら、教員名を追加しても適合性は高まりません。実施メモでは、学習、データや試料の確保、予備分析、本分析、解釈、論文作成を時間軸に置き、各段階で次に進む条件を決めます。7枚を1本の論理に並べた後に所定様式へ編集します。
修正履歴を残して論理の後戻りを防ぐ
推敲ごとにファイルを上書きすると、なぜ修正したかが分からなくなり、後の文章を直したときに古い前提へ戻ることがあります。修正履歴には、修正日、指摘または発見した問題、変えた箇所、変更の理由、他の項目への影響を書きます。たとえば、データ入手の制約から対象期間を絞った場合は、題目、目的、意義、スケジュールの全てに影響がないかを確認します。
第三者から指摘を受けたときも、表現上の読みにくさなのか、論理が抜けているのか、研究設計そのものに問題があるのかを分類します。読みにくさは文の分割や用語の定義で直せますが、論理の抜けは根拠の追加が必要です。研究設計の問題は、対象、比較、データ、判定基準まで戻ります。指摘の言葉ではなく原因に応じて修正します。
数学レポートの7〜10頁を論理的に使う
数学専攻の数学レポートはA4判7頁以上10頁以下であり、単に文章を長くするのではなく、理論の理解を段階的に示すことが必要です。導入で対象と問題意識を説明し、必要な定義と記号を整理し、中心となる定理を正確に述べ、具体例とともに意味を説明し、証明の要点を示します。その後、関連する結果と今後研究したい分野へのつながりを述べます。
定義や定理は、参考文献から転記するだけではなく、後の論証でどのように使うかを意識します。例は定義の各条件を満たすことを確認し、反例はどの条件を外すと結論が成立しないかを示すものを選びます。口頭試問を想定し、主な定義には自分で作った例、主な定理には仮定が必要な理由を用意します。ページ数は知識の羅列ではなく理解の段階に使います。
所定用紙の研究計画書へ圧縮する
所定用紙を取得したら、それぞれの欄の指示語を確認します。「背景」「目的」「方法」のように分かれているなら、各欄に同じ導入を繰り返さず、前の欄を受けて直接答えます。一つの大きな欄だけなら、小見出しを使えるかを様式で確認し、使えない場合は段落の第1文で役割が分かるようにします。圧縮では、まず重複する一般論、次に目的に直接必要ではない技術的な細部を減らします。
一方で、未解明点を示す一文、研究目的の一文、方法が目的に答える核心の一文、志望先との適合を示す一文は、短くしても削除しないようにします。図表を使えるか、参考文献欄が別にあるか、用紙の追加が認められるかは、一般的な習慣で判断せず所定様式の指示に従います。圧縮で残すのは問いと方法をつなぐ核心文です。
模擬質問で研究構想の弱点を発見する
模擬質問は、流暢に話す練習の前に、計画の論理が質問に耐えるかを検証するために行います。「なぜこの問いは未解明といえるのか」「先行研究と同じ方法ではなぜ足りないのか」「別のデータではだめか」「予想と逆の結果なら何が分かるか」を問います。これらに答えられない場合、回答文を暗記するのではなく、本文の先行研究、方法、判定基準へ戻って修正します。
志望適合については、「なぜ理学院なのか」だけでなく、「なぜその専攻か」「自然史科学専攻ならなぜその講座か」「なぜその研究室・教員か」を別々に問います。各回答には、大学の評判や一般的な教育環境ではなく、自分の問いと方法が公式に掲載された研究領域にどう接続するかを含めます。適合性は大学・専攻・研究室の3段階で説明します。
実行可能性については、「必要なデータはどこから得るか」「現時点で身についていない手法は何か」「予備的な検証はいつ完了するか」「主な手法が使えないときの代替案はあるか」を問います。入学前に全ての手法を習得している必要はありませんが、学習にかかる期間と研究を進める期間を同じ時間軸で考える必要があります。
予備案は主計画の論理を保つ
予備案を作るとき、主計画と無関係な別テーマを用意すると、限られた修士課程内で研究を進める見通しはかえって弱くなります。予備案は、主計画と同じ問いに答える別のデータ源、同じデータから得られるより基礎的な指標、より狭い対象範囲のいずれかとして設計します。実験条件を広く走査できないなら理論上重要な条件に絞る、観測データの新規取得が難しいなら公開データで手法を検証するという形です。
数学的な課題で一般的な命題の証明が難しい場合は、仮定を強めた場合、低次元の場合、特定の例の分類などへ絞ります。その限定によって何が失われ、何が分かるかを明示すれば、予備案は単なる妥協ではなく、一般的な問題へ進む基礎となります。予備案は問いを捨てず対象または方法を狭めます。
研究倫理・安全・法令への配慮を必要に応じて組み込む
研究対象と方法によっては、研究倫理、野外調査の許可、試料の取得・輸送・保管、実験安全、個人に関するデータの取扱いを検討する必要があります。これらを一般的な「倫理を遵守する」という一文で済ませず、自分の対象と手順のどこで確認が必要かを洗い出します。現時点で具体的な手続を確認できていない場合は、許可済みと断定せず、入学後の確認と予備期間をスケジュールに入れます。
特に科学コミュニケーションの研究で人の発言、行動、理解に関わるデータを扱う可能性があるなら、対象者の募集、説明と同意、記録、匿名化、保管、公表の流れを検討します。地球惑星科学や多様性生物学で野外調査や標本を扱うなら、調査地へのアクセス、季節、取得の制約、試料の劣化を考えます。倫理と安全は実行可能性の外側ではなく中心です。
最終版から1頁要約と質問リストを作る
提出用の長い版が完成したら、別に1頁要約を作ります。要約は、背景の一般論を削り、先行研究が残した一つの空白、研究目的、主なデータまたは対象、中核となる方法、仮説を判定する指標、志望先との適合を含めます。要約だけを読んだ人が、何をどう調べる研究かを再現できるかを確認します。再現できない場合は、本文が長すぎるのではなく、問いの設定自体がまだ広い可能性があります。
次に、要約の各文から想定質問を作ります。先行研究の文からは「その空白を示す根拠は何か」、目的からは「その語をどう測定するか」、方法からは「他の方法と比べた利点と限界は何か」、意義からは「仮説が支持されない場合に何が分かるか」を作ります。質問に対する根拠が本文のどこにあるかも併記し、回答を新しい設定で補わないようにします。1頁要約は口頭試問の地図としても使えます。
書類間で事実と志望順位を一致させる
研究構想、志望理由書、志望研究室調査票、履歴書等を個別に作ると、研究対象の名称、志望研究室の順位、現在の学習・研究経験の説明がずれることがあります。提出前に、固有名詞、期間、所属、研究テーマ、志望順位を横断的に照合します。第1志望と第2志望で研究方法が大きく異なる場合は、単に両方に興味があるとするのではなく、共通する問いと、それぞれの方法で得られる異なる証拠を整理します。
書類間の表現を一字一句同じにする必要はありませんが、同じ事実について異なる説明をしてはいけません。志望理由書では問いと志望先の接続を中心にし、研究計画書では先行研究と方法を厚くし、調査票では正式な研究室名と志望順位を正確にするというように、同じ軸を書類の役割に応じて編集します。書類ごとに分量は変えても中心となる問いは変えません。
よくある質問(FAQ)
以下の回答は、令和9年度夏期募集と現行の理学院公式ページを前提にしています。特に「研究計画書が必要か」という質問は、大学院名だけでは答えられず、課程、選択区分、専攻、講座、募集時期まで確認して初めて確定できます。冬期募集や次年度の出願では、夏期募集と同じ書類構成が続くと想定せず、対象となる募集要項を改めて読んでください。教員への連絡や志望研究室の記載についても、「他専攻ではこうだった」という経験を横滑りさせず、自分の区分に対する指示文を正確に確認することが、以下のFAQを使う前提です。FAQの結論より志願区分の最新指示を優先します。
北海道大学大学院理学院は全員に研究計画書の提出を求めますか。
いいえ。令和9年度夏期募集の一般選択では、4専攻共通の研究計画書は指定されていません。一方、外国人留学生特別選択で自然史科学専攻の指定3講座を志望する場合は、所定の「入学後の研究計画書」を提出します。志望専攻と選択区分の両方を確認してください。
所定の研究計画書は何字ですか。
令和9年度夏期募集要項の公開本文では、字数と個別の記載項目を確認できません。インターネット出顛サイトから所定用紙を取得し、A4判で印刷して作成することは明記されています。最新様式に書かれた欄名、ページ数、字数指定を優先してください。
数学レポートと研究計画書は何が違いますか。
数学専攻の一般選択で求められる数学レポートは、入学後に研究したい分野に加え、特に興味を持った定理または理論について自分が十分に理解し説明できることをA4判7〜10頁にまとめる書類です。新規の研究計画だけを書く書類ではありません。その内容を参考に口頭試問が行われるため、引用した定理と論理を自分の言葉で説明します。
志望教員への事前連絡は必要ですか。
令和9年度一般選択では、物性物理学専攻と宇宙理学専攻の志願者は、志望研究室の担当教員に事前に連絡し、研究室への受入れと調査票への記載許可を得ることが求められます。他の専攻や選択区分に同じルールがあるとは限らないため、最新の募集要項と専攻の案内を確認してください。
志望教員はどう選べばよいですか。
公式教員一覧の研究分野とキーワードを起点に、自分の問い、研究対象、方法の3点を照合します。分野名が似ているだけで決めず、最近の研究テーマや研究室の方法も公式ページで確認します。連絡が必要な専攻では、受入れ可能性と計画の齟齬を確認しましょう。
研究計画書に実験設備名を書くべきですか。
研究目的と方法を説明するのに必要で、実際に利用可能であることを確認できた場合は記載候補になります。ただし、装置名の列挙だけでは計画の具体性にはなりません。何を測定し、どのデータで仮説を判定するのかを先に書いてください。
学部と異なる分野でも研究構想を作れますか。
作れますが、関心の近さだけでなく、必要な基礎知識、研究方法、修士課程での実行可能性を説明する必要があります。不足分野を列挙し、出願前に学ぶことと入学後に履修・研究指導で補うことを分けます。異分野の経験は方法と研究課題に翻訳します。
最新の募集要項と教員情報はどこで確認できますか。
北海道大学大学院理学院の募集要項ページで最新年度の公表状況を確認できます。教員は理学院の各専攻ページで確認し、研究室独自ページがある場合は併せて最新の研究内容を読みます。検索結果の要約や古いPDFだけで決めず、出顙年度の公式情報を正としてください。
まとめ|提出書類の名称より前に研究構想の整合性を作る
北海道大学大学院理学院の研究計画書対策では、全員が同じ書類を提出すると思い込まないことが出発点です。令和9年度夏期募集の一般選択では共通の研究計画書はなく、数学専攻の数学レポート、物性物理学・宇宙理学専攻の志望研究室調査票など、専攻別の書類が使われます。外国人留学生特別選択の自然史科学専攻では、指定3講座の志願者が所定の研究計画書を提出します。
- 自分の専攻と選択区分で求められる正式な書類名を確認する
- 数学、物性物理学、宇宙理学、自然史科学の射程を対象と方法で比べる
- 修士論文の評価基準から背景、目的、方法、先行研究の必要性を逆算する
- 教員の氏名と研究分野は最新の公式HTML一覧で確認する
- 問い、方法、指導可能性、修士課程内の実行可能性を一つの論理で結ぶ
- 募集要項の公表後に所定様式、教員配置、事前連絡の条件を再確認する
良い研究構想は「ここで、この方法で問う理由」が見えます。募集要項の要件を守ることはもちろん、専攻の構造、教員の公閏された研究分野、入学後のカリキュラムと修士論文までを一続きに考えてください。出顙書類が研究計画書という名称でない場合でも、この構想は志望研究室の選択、志望理由、口頭試問を一貫させる軸になります。
なお、出願後も提出版を保存し、参考文献、用語の定義、方法を選んだ理由、代替案を見直してください。提出が終わった後に文章を書き換えるのではなく、提出した内容を基準に、どの質問にどの根拠で答えるかを整理します。予備案を説明する場合も、新しい研究テーマのように話すのではなく、提出した問いに対する別の検証経路として位置づけます。この準備によって、細部の言い回しに引っ張られず、研究の問いと判定の論理を軸に説明しやすくなります。志望先の公式情報に更新があった場合は、計画の根拠と提出書類の両方を再点検し、必要な範囲だけを修正してください。
独学での対策に不安がある場合は、専門の指導を活用するのも一つの方法です。北海道大学大学院理学院の研究構想も相談できる大学院入試対策コースでは、テーマの絞り込み、先行研究の位置づけ、方法の実行可能性を個別に点検できます。相談する場合も、まずは自分の問い、読んだ文献、志望専攻の候補を持ち寄ると、より具体的な検討ができます。
書き上げた研究計画書、そのまま出して大丈夫ですか?
研究職キャリアを持つ講師が、テーマ設定・先行研究の位置づけ・研究方法まで、出願レベルに届いているかを個別に確認します。
- 研究職の講師が研究計画書を添削し、改善点を明確化
- 相談後に、志望校の出題傾向と学習ロードマップをまとめた個別フィードバックレポートをお渡し
- 志望校が決まっていなくてもOK
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