ご質問やお問い合わせはお気軽に
研究計画書の例文・テンプレート集【文系・理系別】|そのまま使える構成と NG例

「研究計画書の例文を見て、まず構成のイメージをつかみたい」という方に向けて、この記事では大学院入試の研究計画書について、そのまま使える基本テンプレートと、文系・理系・心理系・経営系(MBA)ごとの構成例、そしてありがちなNG例と改善のポイントをまとめました。結論から言うと、研究計画書は「白紙から独創的な文章を生み出す」ものではなく、決まった型に自分の問題意識を落とし込んでいく書類です。型さえ理解すれば、どの分野でも書き進めやすくなります。
ただし最初にお伝えしておきたいのは、この記事で紹介する例文はあくまで「構成の見本」であり、内容をそのまま丸写ししてよいものではないという点です。大学院によっては、提出書類における剽窃や虚偽記載を不正行為とみなし、入試結果そのものを無効とする場合があると募集要項に明記しています。例文は「論理の流れ」と「表現の型」を学ぶために使い、中身は自分自身の問題意識から組み立てることが前提になります。
研究計画書という書類の位置づけや、書き方の考え方そのものを一から丁寧に知りたい方は、姉妹記事の研究計画書の書き方を徹底解説もあわせてご覧ください。本記事はその内容を踏まえたうえで、文系・理系・心理系・経営系(MBA)別の具体的な構成例とテンプレートに特化して解説していきます。
研究計画書の例文を見る前に知っておきたい、大学院入試で評価されるポイント
研究計画書は、いわば大学院に提出する「研究の企画書」です。審査する側は、この書類を通じて出願者が修士(あるいは博士)レベルの研究を遂行できる力を持っているか、そして志望テーマが受け入れ先の研究科・研究室の専門性と合っているかを見ています。北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の敷田麻実教授は、研究計画書には「What(何を研究するか)」「Why(なぜその研究をするのか)」「How(どのように研究するか)」の3要素が欠かせず、特にWhyが最も重視されると述べています。何を研究したいかだけでなく、なぜそれを今、その研究科で明らかにする必要があるのかという問いの必然性が、審査で最初に見られるポイントだということです。
もう一つ押さえておきたいのは、研究計画書は提出して終わりの書類ではないという点です。多くの大学院で、面接試験は研究計画書の内容に基づいて行われます。実際に神戸大学大学院経営学研究科(MBA)の令和8年度学生募集要項では、第2次選考が「提出された研究計画書等を中心とした口述試験」であると明記されています。つまり、研究計画書に書いたことはすべて、面接の場で自分の言葉で説明できる状態になっている必要があります。ここで例文の正しい使い方が重要になってきます。例文から学ぶべきは、①論理の流れ(構成)を真似ること、②接続表現や言い回しの「型」を借りること、の2点であり、③内容そのものは必ず自分の問題意識から作ることが前提です。他人の計画書や例文をそのまま流用すると、面接で深掘りされた瞬間に説明ができず破綻します。加えて、一橋大学大学院経営管理研究科の募集要項のように、提出書類の偽造・虚偽記載・剽窃等を不正行為とみなし、入試結果を無効とすることがあると明記する大学院も存在します。例文はあくまで「参考にする地図」であり、「そのまま歩く道」ではないと理解しておきましょう。研究計画書を書き始める前の基礎知識は研究計画書の基本事項の解説記事でも整理していますので、あわせて参考にしてください。
研究計画書のテンプレート|そのまま使える基本構成8項目
研究計画書には、分野を問わず活用できる基本のテンプレートがあります。中央大学大学院の公式メディアFocusでは、研究計画書の基本構成として「①研究テーマ、②研究の背景・目的(先行研究を含む)、③研究内容、④研究方法、⑤期待される効果、⑥参考文献」の6項目を挙げています。またJAIST敷田教授は、構成要素として「タイトル・目的・背景(社会的/学術的)・方法・予想される結果・研究の特色」を提示しています。本記事では、この2つの一次情報を統合し、より書きやすい形に細分化した8項目のテンプレートを提案します。
- ①タイトル(研究テーマ):40字程度を目安にし、必要に応じてサブタイトルを付ける
- ②研究の背景:社会的背景と学術的背景の両面から書く
- ③問題意識・研究目的:なぜこの研究をしたいのかを明確にする
- ④先行研究の整理と本研究の位置づけ:何が明らかにされ、何が未解明かを示す
- ⑤研究の問い(リサーチクエスチョン):明らかにしたいことを一文で言い切る
- ⑥研究方法:どのようなデータ・手法で明らかにするかを具体的に書く
- ⑦期待される成果・意義:研究がもたらす学術的・社会的な意義
- ⑧参考文献:引用・参照した文献のリスト
このテンプレートの妥当性は、放送大学大学院が公式に示す研究計画の必須項目「目的」「背景・先行研究」「研究方法」「研究成果として期待されること・もの」の4項目とも対応しています。上記8項目は、この4項目をより実務的に細分化したものと考えると理解しやすいでしょう。全体を2,000字で書く場合の配分の目安は、背景2割・先行研究2.5割・問い1割・方法2.5割・意義1割・その他1割程度です(この比率はあくまで編集部の目安であり、絶対の基準ではありません)。書き出しに使える定型文としては、「本研究の目的は、〜という問いを、〜の手法を用いて明らかにすることである」「先行研究では〜が明らかにされている一方、〜の観点からの検討は十分になされていない」といった型を持っておくと、文章を組み立てやすくなります。なお、大学院によっては構成項目や字数を指定した所定様式が用意されている場合があります。その際は様式の指定が最優先であり、上記テンプレートの各項目を様式の設問に振り分けて対応させる形で活用してください。タイトルの付け方をより詳しく知りたい方はタイトルの付け方の解説記事も参考になります。
【文系・理系別】研究計画書の例文と書き方のポイント
文系(社会学・教育学系)の例文と書き方
文系、特に人文社会系の研究計画書では、問題意識の深さと先行研究の読み込みの丁寧さが重視される傾向があります。概念の定義を明確にすること、先行研究を「誰が・何を明らかにし・何がまだ明らかにされていないか」という形で整理すること、そして研究方法を文献研究・質的調査(インタビューやフィールドワーク)・量的調査(質問紙調査)のいずれかに具体化することがポイントです。
以下は、社会学系のテーマ(地域コミュニティとSNS利用の関係)を想定した構成例です。実在する論文の内容ではなく、構成の見本として作成したものです。
- タイトル:地域コミュニティにおけるSNS利用が住民間の互助意識に与える影響
- 背景:都市部における地域コミュニティの希薄化という社会的背景を述べたうえで、SNSを活用した地域活動の広がりという学術的背景に絞り込む
- 問題意識:SNS利用が住民の互助意識をどう変化させるかは十分に検討されていないという問いを提示
- 先行研究:地域コミュニティ研究とSNS利用研究それぞれの到達点を整理し、両者を接続した研究が少ないという「穴」を示す
- 研究の問い:SNSでの情報共有頻度と住民の互助意識にはどのような関連があるか
- 研究方法:対象地域を選定し、質問紙調査とインタビュー調査を組み合わせる
- 期待される成果:地域活性化施策への示唆を提供できる
この例文では、社会的背景から学術的背景へと視野を絞り込む流れ、先行研究の中に「未解明の部分」を意識的に位置づける構成が要点です。教育学系であれば、これに加えて教育現場の実践課題との接続を意識すると、より説得力のある構成になります。問題意識や研究テーマの立て方をさらに深めたい方は問題意識・研究テーマ・研究上の問いの解説記事をご参照ください。
理系(工学・情報系)の例文と書き方
理系の研究計画書は文系と異なり、卒業研究や志望研究室の研究テーマとの連続性が問われやすく、手法・データ・評価指標の具体性がより重視されます。なお、理系では研究計画書の要否や分量が研究科によって大きく異なり、志望理由書のみを求める研究科もあります。実際に京都大学大学院工学研究科の2026年度修士課程入試では、出願書類が専攻ごとに異なり、電気系専攻では「研究計画説明書」の提出が求められています。同じ工学研究科であっても専攻単位で必要書類が変わるため、志望する専攻の最新の募集要項を必ず確認してください。
以下は情報系のテーマ(機械学習を用いた需要予測)を想定した構成例です。
- タイトル:機械学習を用いた小売店舗における需要予測モデルの構築
- 背景:需要予測の重要性という社会的背景と、既存手法の精度上の課題という学術的背景
- 研究の問い:どのような特徴量・モデル構造が予測精度向上に寄与するか
- 研究方法:公開データセットまたは協力先から得るデータを用い、複数のモデルを比較検証する
- 予想される結果:既存手法に対する精度改善の度合いを検証する
- 年次計画:M1でデータ収集とモデル構築、M2で検証と論文執筆
理系の例文で特に意識したいのは、実現可能性の示し方です。使用する装置・データ・解析環境が入学後に実際に利用できるかどうかを踏まえて書くことが求められます。また「予想される結果」を書く際は、結果を断定するのではなく、仮説として提示する書き方にとどめるのが基本です。文系と理系では、重視される観点・方法の書き方・参考文献の性質がそれぞれ異なるため、志望先の分野に合わせて型を使い分けることが重要です。
【心理系】臨床心理士・公認心理師をめざす大学院の研究計画書の例文
心理系の大学院入試では、研究計画書が書類審査・面接の中心的な役割を果たしやすい傾向があります。臨床への関心だけでなく、「研究」としての設計、すなわち仮説・変数・測定方法が明確に組み立てられているかが問われます。心理系で大学院進学がほぼ前提となる背景には制度的な理由もあります。公認心理師の受験資格には、大学で必要な科目を履修したうえで大学院において必要な科目を修了するルートがあることが公認心理師法第7条に定められています。また臨床心理士についても、原則として指定大学院の修了が受験資格とされていますが、第1種・第2種の区分など制度の詳細は、必ず日本臨床心理士資格認定協会の最新の公式情報で確認するようにしてください。
心理系の研究計画書に必要な字数や様式は大学院によって大きく異なるため、一律の目安を示すことは難しく、志望校の最新の学生募集要項を必ず確認する必要があります。以下は臨床心理学系のテーマ(大学生の援助要請行動)を想定した構成例です。
- タイトル:大学生の心理的要因が援助要請行動に与える影響
- 背景・問題意識:相談行動を取らない学生の存在という社会的背景と、援助要請研究の到達点という学術的背景
- 仮説:自己開示への抵抗感が強いほど援助要請行動が抑制される
- 対象・測定:大学生を対象に、援助要請尺度と自己開示尺度を用いた質問紙調査を実施
- 分析方法:相関分析および重回帰分析を用いて要因間の関係を検討
- 倫理的配慮:調査協力にあたり対象者に趣旨を説明し同意を得ることを明記
心理系では、量的研究(質問紙・尺度・統計分析)と質的研究(面接調査・分析法)のどちらの方法を取るかによって「研究方法」セクションの書き方が変わります。量的研究であれば使用する尺度名と分析手法を、質的研究であれば面接の対象者選定基準と分析手法(質的分析の方法など)を具体的に示すことが必要です。また、対象者への説明と同意といった倫理的配慮への言及は、心理系の研究計画書で特に見られやすい観点です。ありがちなつまずきとしては、「困っている人を支援したい」という気持ちだけが先行し、研究としての問いが立てられていないケースや、使用する尺度名・分析手法が不明確なケースが挙げられます。研究として成立する形に問題意識を落とし込むことを意識してください。
【経営系・MBA】研究計画書・将来計画書の例文と構成例
経営系の大学院入試では、研究者養成を目的とするアカデミックなプログラムと、実務家向けのMBAプログラムとで、求められる書類の性質が異なります。特にMBAでは「研究計画書」という名称ではなく「将来計画書」といった形式で、これまでのキャリアと今後の学習・研究計画を問う書類が用いられることが少なくありません。
実例として、一橋大学大学院経営管理研究科・経営管理プログラムの2026年度学生募集要項(公式PDF)では、出願書類として「職務・学習に関する経歴書」(日本語2,000字程度)と「将来計画書」(これまで行ってきたこと、本研究科で学びたいこと、その進め方・方法、修了後の計画等を日本語2,000字程度)の提出が全員に求められています。出願資格は出願期間開始日において実務経験3年以上、募集人員は53名(第1期・第2期合計)、選考は書類選考に加えて筆記試験(小論文90分)と口述試験(20分)という構成です。また神戸大学大学院経営学研究科(MBA・現代経営学専攻)の令和8年度募集要項では、募集人員69人、在職中かつ入学時点で実務経験1年以上が出願資格とされ、研究科所定様式の研究計画書の提出が求められています。第1次選考は筆記試験(時事問題に関する小論文500字程度・60分)と書類審査、第2次選考は提出された研究計画書等を中心とした口述試験です。両校の実例からわかるとおり、MBA系の研究計画書・将来計画書は、そのまま面接の台本になるという性質を持っています。なお、これらの募集人員・日程・出願資格は年度により変更される可能性があるため、必ず最新の学生募集要項を確認してください。
将来計画書型の構成では、「職務上の問題意識」→「なぜこの研究科で学ぶ必要があるのか」→「何をどのように学ぶ・研究するか」→「修了後にどう活かすか」という一貫したストーリーを描くことが重要です。以下は構成例です。
- 職務経験からの課題設定:自身の業務で直面した経営上の課題を具体的に述べる
- 研究科を選ぶ理由:その課題を解決するために、なぜこの研究科・プログラムでの学びが必要かを説明
- 学習・研究の進め方:履修したい科目群や、取り組みたい研究テーマ・方法を具体化
- 修了後の計画:学んだ内容を自身のキャリア・所属組織にどう還元するか
社会人が将来計画書を書く際に陥りやすいのは、単なる「業務報告」になってしまうことです。職務経験を土台にしつつも、そこから普遍的な問題意識・研究テーマへと昇華させる視点を持つことが求められます。社会人の大学院受験全般については社会人からの大学院入試の対策・勉強法の記事で詳しく解説しています。
研究計画書のNG例と改善のポイント
研究計画書には、審査する側から見て「弱い」と判断されやすい典型的なNGパターンがあります。ここでは代表的なものを、NG例から改善の方向性とあわせて整理します。
| NGパターン | 具体例・改善の方向性 |
|---|---|
| テーマが大きすぎる | 「日本経済について研究する」のような漠然とした表現は避け、問いのレベルまで絞り込む。JAIST敷田教授も「○○を研究する」という表現は避けるべきと指摘している |
| 問いがなく感想文になっている | 熱意だけを語り、論理的な問いが立てられていない状態。「なぜ」「何を明らかにするか」を明確な一文にする |
| 先行研究が名前の羅列にとどまる | 研究者名や論文タイトルを並べるだけでは不十分。何が明らかにされ、何が未解明かという「穴」を示す必要がある |
| 研究方法が書かれていない | 実現可能性を欠いた計画書は評価されにくい。使用するデータ・手法・分析方法を具体的に書く |
| 曖昧表現・二重否定の多用 | 「〜ないわけではない」といった回りくどい表現は避け、簡潔で明確な文章を心がける |
| 字数指定を守っていない | 「〇〇字以内」は超過不可、「〇〇字程度」は前後10%程度が目安。まず募集要項の指定を確認する |
| 例文・他人の計画書の丸写し | 剽窃は不正行為とみなされ入試結果が無効になる規定を設ける大学院がある。内容は必ず自分の言葉で組み立てる |
これらのNGパターンに共通するのは、突き詰めれば「What・Why・Howのいずれかが欠けている」という一点に集約できるということです。テーマが大きすぎる、問いがない、先行研究の整理が浅いといった問題はWhatとWhyの弱さに、方法が書かれていないという問題はHowの弱さに直結します。例文を見比べる際は、この3要素がそれぞれ具体的に書けているかという観点でセルフチェックすると、改善点が見えやすくなります。
例文・テンプレートを自分の研究テーマに落とし込む手順と字数別の調整方法
テンプレートと例文を眺めるだけでは、実際に自分の研究計画書を書き上げることはできません。ここでは、例文を自分のテーマに落とし込むための実務的な手順を紹介します。まず、経験・授業・仕事の中から「気になること」を書き出し、問題意識を言語化するところから始めます。この段階の考え方は問題意識・研究テーマの立て方の記事が参考になります。次に、関連する先行研究を3〜5本程度読み、何が明らかにされていて何が未解明かをメモしていきます。そのうえで、本記事のテンプレート8項目を箇条書きで埋めていき、文系・理系・心理系・経営系の例文と見比べながら、背景から問い、方法へと論理が自然に接続しているかを確認します。最後に、実際に音読してみる、あるいは第三者に読んでもらうことで、誤字脱字や論理の飛躍がないかをチェックします。JAIST敷田教授も、提出前に他者に読んでもらうことの重要性を指摘しています。志望研究科の様式や字数指定を最初に確認しておくことが、すべての土台になります。
研究計画書の分量は、一般的にA4用紙1〜2枚程度が目安とされますが、大学院によってはA4用紙4〜5枚程度を求める場合もあります。字数指定に応じて、書く内容の厚みを調整する必要があります。
- 1,000字程度の場合:背景と先行研究の記述を圧縮し、研究の問いと方法に紙幅を割く。背景と先行研究を1つの段落にまとめるなど、項目を統合する工夫が有効
- 2,000字程度の場合:標準的な分量。背景2割・先行研究2.5割・問い1割・方法2.5割・意義1割程度の配分を目安に、各項目を1〜2段落で展開する
- 4,000字程度以上の場合:先行研究レビューに厚みを持たせ、研究方法(調査設計・分析手順)を詳細に書き、年次計画を加える。ただし内容の水増しは避け、密度を保つことが重要
「〇〇字以内」という指定は必ず範囲内に収め、「〇〇字程度」という指定は前後10%程度(例えば1,000字程度であれば900〜1,100字)を目安にするのが一般的な考え方です。経歴書や志望理由書など複数の書類を同時に提出する場合は、内容が重複しないよう役割分担を意識して設計することも大切です。一橋大学経営管理プログラムのように、経歴書と将来計画書のように書類ごとに問われる内容が明確に分かれているケースもあるため、複数書類がある場合は各書類の設問をよく読み分けてから執筆を始めてください。
先行研究の探し方と参考文献の書き方
説得力のある研究計画書を書くには、先行研究を的確に探し、整理する力が欠かせません。日本語論文を探すにはCiNii Research(国立情報学研究所)、オープンアクセスの学術誌を探すにはJ-STAGE(科学技術振興機構)、国内外の幅広い文献を探すにはGoogle Scholarといった無料の検索ツールが役立ちます。検索の際は、キーワードを複数組み合わせる、気になる論文の引用文献をたどる、レビュー論文から関連分野の全体像をつかむ、といった工夫をすると効率的に先行研究を収集できます。
先行研究を計画書に落とし込む際は、「〜については、〇〇の研究により〜が明らかにされている。しかし、〜の観点からの検討は少ない」という型を使うと、先行研究の到達点と未解明な部分(穴)を明確に示すことができます。この「穴」を示す構造こそが、研究の問いにつながる説得力の源になります。なお、出典を明記せずに他者の文章や研究成果を用いることは剽窃にあたります。一橋大学の募集要項にあるように、剽窃等の不正行為が発覚した場合に入試結果が無効とされる規定を設ける大学院もあるため、引用のルールは厳格に守る必要があります。参考文献リストの書式は、文系では著者名・発行年・題名・掲載誌名などを記載する形式が一般的で、理系でも著者名・発行年・題名・誌名・巻号・頁といった要素を含む形式が使われます。研究科によって指定の書式がある場合は、そちらに従ってください。先行研究の探し方や、独自性・研究方法の詰め方についてさらに詳しく知りたい方は、先行研究の探し方・入手の仕方の記事や先行研究・研究の独自性・研究の方法の記事もあわせてご覧ください。
研究計画書を仕上げる添削・ブラッシュアップの方法
例文を参考にテンプレートを埋め終えたら、最後に必要なのが第三者の目を通したブラッシュアップです。まず自分自身で確認したいセルフチェックの観点として、次のような項目が挙げられます。
- What・Why・Howの3要素がそれぞれ具体的に書かれているか
- 指定の字数・様式を守っているか
- タイトルは40字程度に収まっているか
- 背景は社会的背景と学術的背景の両面から書かれているか
- 先行研究の「穴」(未解明な部分)が明確に示されているか
- 研究方法に実現可能性があるか(データ・環境・スケジュール)
- 曖昧表現・二重否定を使っていないか
- 誤字脱字がないか
これらを自分だけで完璧にチェックするのは難しいため、第三者に読んでもらうことが強く勧められます。専門外の人が読んでも論旨が伝わるかどうかは、面接での説明のしやすさにも直結します。添削を依頼する相手としては、出身大学の教員やゼミの指導教員がまず候補になりますが、頼れる相手が身近にいない場合は、大学院入試を専門に扱う予備校やオンライン指導の添削サービスを利用するという選択肢もあります。それぞれに利点と限界があるため、自分の状況に合わせて選ぶとよいでしょう。なお、志望する研究科の教員に事前相談ができるかどうかは研究科によって方針が異なり、一橋大学経営管理プログラムのように事前相談を認めていないケースもあるため、必ず募集要項や研究科サイトで確認してください。仕上げの段階では、面接で聞かれやすい質問(なぜこのテーマなのか、なぜこの方法が妥当なのか、入学後どう進めるのか)を想定し、口頭で説明できるように準備しておくことも欠かせません。
よくある質問(FAQ)
研究計画書の例文はそのまま使ってもいいですか?
丸写しは避けるべきです。募集要項の中には、剽窃や虚偽記載を不正行為とみなし、合格を無効にする場合があると明記している大学院もあります(一橋大学経営管理プログラムの例)。例文からは構成と表現の型だけを参考にし、内容は自分自身の問題意識から書くようにしてください。面接で内容を深掘りされた際、借り物の内容ではすぐに矛盾が生じてしまいます。
研究計画書は何文字くらい書けばいいですか?
一般的にはA4用紙1〜2枚程度が目安とされますが、大学院によっては4〜5枚程度を求める場合もあります。「〇〇字以内」という指定は超過しないこと、「〇〇字程度」という指定は前後10%程度を目安にすることが基本的な考え方です。まずは志望する研究科の最新の学生募集要項で、指定される字数・様式を確認してください。
文系と理系で研究計画書の書き方はどう違いますか?
文系では問題意識の深さ・先行研究の整理・理論枠組みの明示が重視される傾向があり、理系では研究手法・データ・評価指標の具体性や、志望研究室のテーマとの整合性が問われやすい傾向があります。ただし、そもそも求められる出願書類自体が研究科によって異なるため(理系でも研究計画書に類する書類を課す専攻もあります)、必ず志望先の募集要項で確認するようにしてください。
研究計画書のテンプレートに参考文献は必須ですか?
様式に明確な指定がなくても、参考文献を付けるのが基本の考え方です。中央大学大学院が示す研究計画書の構成にも参考文献が含まれています。参考文献を示すことは、先行研究を踏まえたうえで計画が立てられていることの裏付けになります。書式について研究科の指定がある場合は、その指定に従ってください。
卒論のテーマと研究計画書のテーマは同じでもいいですか?
同じテーマ、あるいはその発展形でも問題ありません。むしろ卒業研究からの連続性は、研究の実現可能性を示す根拠になり得ます。特に理系ではこの傾向が強いといえます。ただし、単なる「卒論の要約」にとどめず、大学院で新たに明らかにしたい問いを立てることが重要です。
研究計画書の添削は誰に頼むべきですか?
まずは出身大学の教員やゼミの指導教員に相談するのが第一の候補です。身近に頼れる相手がいない場合は、大学院入試を専門とする予備校やオンライン指導の添削サービスを利用するという方法もあります。なお、志望先の教員へ事前に相談できるかどうかは研究科によって方針が異なり、一橋大学経営管理プログラムのように事前相談を認めていない例もあるため、必ず募集要項で確認してください。
まとめ|研究計画書の例文は「構成の型」を学ぶために使う
研究計画書の例文・テンプレートについて、分野別の構成例やNG例とあわせて解説してきました。最後に、この記事の要点を整理します。
- 研究計画書はWhat(何を)・Why(なぜ)・Howの3要素、特にWhyの明確さが審査で重視される
- 基本テンプレートは、タイトル・背景・問題意識・先行研究・研究の問い・研究方法・期待される成果・参考文献の8項目
- 文系は問題意識と先行研究の深さ、理系は手法・データの具体性と実現可能性が重視されやすい
- 心理系は研究計画書が面接の中心になりやすく、量的・質的研究それぞれの方法の書き分けが必要
- 経営系・MBAでは「将来計画書」型が用いられることが多く、職務経験と研究計画を一貫したストーリーでつなぐ
- 字数指定は「以内」なら厳守、「程度」なら前後10%が目安。分量に応じて内容の厚みを調整する
- 例文は構成と表現の型を学ぶためのものであり、内容の丸写しは剽窃として合格無効のリスクがある
研究計画書は、テンプレートという型に自分自身の問題意識を落とし込み、先行研究の中に「穴」を見出し、実現可能な方法で答えを出そうとする一連の論理を組み立てる作業です。一度に完璧な文章を書き上げようとせず、まず箇条書きでテンプレートの各項目を埋め、例文と見比べながら論理の飛躍がないかを確認し、最後に第三者の目でチェックしてもらうという手順を踏めば、着実に完成度を高めていくことができます。志望する研究科・専攻によって求められる書類や字数、評価の重点は異なりますので、最新の学生募集要項を必ず確認しながら準備を進めてください。それでも独学での対策に不安がある場合は、専門の指導を活用するのも一つの方法です。
専門講師による個別指導をご希望の方は、大学院入試対策コースの詳細をご覧ください。



