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東京大学大学院経済学研究科の研究計画書の書き方|専攻・カリキュラム・教員の研究分野から逆算する

東京大学大学院経済学研究科の研究計画書で最初に押さえるべきことは、同じ研究科でも志望コースによって要求される分量と構成が大きく異なる点です。経済学コースは日本語5,000字程度、経営学コースは10,000字程度である一方、統計学・地域研究・経済史では研究計画に加えてエッセーや小論文が求められます。したがって、一般的なテンプレートを埋める前に、志望コース、修士論文の主題、学びたい方法、研究分野が近い教員を一つの線で結ぶ必要があります。
研究計画書とは、入学後に何を、なぜ、どの資料と方法で明らかにするのかを示し、その計画が志望先の教育・指導環境で実行できることを説明する書類です。東京大学大学院経済学研究科の公式作成見本は、研究計画書を選考の重要な資料と位置づけています。テーマの目新しさだけでなく、問いの限定、先行研究との関係、方法の妥当性、コースとの整合、準備状況までが一体として読まれると考えて準備しましょう。
書き上げた研究計画書、そのまま出して大丈夫ですか?
研究職キャリアを持つ講師が、テーマ設定・先行研究の位置づけ・研究方法まで、出願レベルに届いているかを個別に確認します。
- 研究職の講師が研究計画書を添削し、改善点を明確化
- 相談後に、志望校の出題傾向と学習ロードマップをまとめた個別フィードバックレポートをお渡し
- 志望校が決まっていなくてもOK
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LINE登録でもらえる4大特典 : ①プロ講師の映像授業 ②合格までのロードマップシート ③受験校検索サイト ④「今から間に合うか」の判断材料
(費用は一切かかりません)
この記事では、2027年度の公式募集要項補足説明書、コース構成、授業科目表、修士論文の基準、専攻別教員一覧をもとに、研究計画書の設計方法だけを解説します。出願資格・日程・外国語・倍率・試験科目は東京大学大学院経済学研究科の外部院試を解説した既存記事にまとめています。本記事では、それらを繰り返さず、自分のテーマがどのコースに適合するかを判断し、コース固有の様式に落とし込む手順に集中します。
読み進める際は、自分のテーマを「対象」「問い」「証拠」「方法」の四つに分けてメモしてください。たとえば対象が企業でも、競争政策を計量的に分析する研究と、組織内の意思決定を事例研究する計画では、接続するコースと教員分野が変わります。この記事の表を眺めて近い単語を探すだけでなく、どの証拠で何を論証する研究なのかを言える状態にすることが目的です。なお、以下は2027年度入試と2026年度時点の教育情報を基準にしています。募集要項・出願書類の様式・教員の配置は年度により変わるため、出願前に必ず最新の公式情報で確認してください。
東京大学大学院経済学研究科で研究計画書がどう扱われるか
全コースで提出するが要求は共通ではない
東京大学大学院経済学研究科には2専攻6コースがあり、2027年度はいずれも研究計画書を提出します。ただし、研究科共通の一枚の様式に短文を書けばよいわけではありません。経済学コースには別の募集要項補足説明書があり、他の5コースもそれぞれ異なる指示を受けます。志望コースを決めずに本文を書き始めることはできません。まず公式の修士入試ページから自分が受ける入試区分の最新資料を開き、年度とコース名を確認してください。
| コース | 研究計画書の中心的な要求 | 分量 |
|---|---|---|
| 経済学 | 研究テーマ・研究目的・研究方法 | 日本語5,000字程度 |
| 統計学 | 志望理由・動機・研究計画+統計学または計量経済学のエッセー | 合計10ページ以内、計画は最初の3ページ |
| 地域研究 | 研究テーマ・目的・方法+専門分野の小論文 | 計画3ページ以内+小論文7ページ以内 |
| 経済史 | 入学後の研究計画+経済史の小論文 | 計画3ページ以内+小論文7ページ以内 |
| 経営学 | 研究テーマ・目的・方法、これまでの準備状況 | 日本語6ページ程度、10,000字程度 |
| 数量ファイナンス | 研究テーマ・目的・方法+関連して学習していること | 前半3,000字程度+後半7,000字程度 |
この表から分かるのは、コースによって確認したい能力が違うことです。統計学では数式に基づく論理的なエッセーが明記され、地域研究と経済史では専門分野の小論文が計画部分より長く設定されています。数量ファイナンスも学習内容の説明に大きな比重があります。つまり、研究の予定だけでなく現在の専門的準備を示すコースが多いのです。
冒頭の研究テーマは30字以内に絞る
日本語で提出する場合、冒頭に記す研究テーマは30字以内です。他の5コースでは氏名、志望コース、研究テーマを置き、経済学コースでは氏名と研究テーマを置きます。30字という制約は、研究全体を30字で説明せよという意味ではありません。対象、現象、必要なら方法や範囲を短く組み合わせ、本文の問いを予告する題名にします。
「日本経済について」のような題名は広すぎます。「最低賃金が若年雇用に与える影響」のように、説明対象と関係を明らかにすると論点が見えます。一方、因果関係を検証できる設計がない段階で「影響」と断定するのも危険です。データや識別方法が定まっていなければ「関連」「変化」「形成過程」など、本文で実際に答えられる語を選びましょう。
口述試験まで一貫する設計にする
経済学コースでは、研究計画書の内容に最も近い志望分野を、ミクロ経済理論、マクロ経済学、労働経済学、財政・公共・都市経済学、産業組織、開発・国際経済学から一つ選びます。経営学コースでも経営か会計かを選びます。研究テーマ、本文で用いる理論、志望分野の選択が食い違うと、口述で説明しにくくなります。出願画面の選択肢も計画書の一部と考えてください。
研究計画書はオンライン提出版と郵送版を同じ内容にし、所定部数を提出します。提出後に口述対策用の別ストーリーを作るのではなく、提出版の各主張について「なぜこの問いか」「何が未解明か」「この方法で何が分かるか」「代替方法はあるか」を答えられるようにします。入試全体の選抜方法は既存記事に譲りますが、書類を完成させる時点から口頭説明を想定することが重要です。
2専攻6コースの構造と研究テーマの対応
専攻名よりコースの研究領域を見る
研究科は、経済専攻とマネジメント専攻から構成されます。経済専攻には経済学、統計学、地域研究、経済史の4コース、マネジメント専攻には経営学、数量ファイナンスの2コースがあります。公式の教育研究目的では、経済専攻は理論・統計・政策・歴史を超えた総合的知識、マネジメント専攻は現場の力に根ざした企業経営に関わる人材養成を掲げています。
| 専攻・コース | 研究計画で中心に置く領域 | 適合を確かめる観点 |
|---|---|---|
| 経済専攻・経済学 | 理論、政策、実証分析を含む幅広い経済学 | 6つの志望分野のどこに問いが入るか |
| 経済専攻・統計学 | 統計学、計量経済学 | 数理的基礎と方法論上の問いがあるか |
| 経済専攻・地域研究 | 地域研究、経済学史、社会・経済思想など | 対象地域と専門的文脈を具体化できるか |
| 経済専攻・経済史 | 日本・欧米・アジア等の経済史 | 時期、地域、史料、歴史的問いが定まるか |
| マネジメント専攻・経営学 | 組織、戦略、会計、経営史等 | 経営か会計か、組織・企業現象をどう分析するか |
| マネジメント専攻・数量ファイナンス | 金融・ファイナンス理論 | 数理・統計・金融の準備とモデルが対応するか |
たとえば「企業」を対象にしていても、自動的に経営学コースになるわけではありません。企業間競争を産業組織論で分析するなら経済学コース、組織行動や経営戦略を扱うなら経営学コース、企業価値や金融商品のモデルを扱うなら数量ファイナンスコースが候補になります。対象ではなく問いと方法でコースを選ぶのが基本です。
入学後のコース変更を前提にしない
2027年度補足説明書は、志望コースを修士論文の主題に則して選ぶよう求め、入学後のコース変更は原則認めないとしています。「入ってから詳しく考える」という書き方は制度と整合しません。出願時点で仮説や資料が完全に確定している必要はありませんが、少なくともどの学問領域の問いとして研究し、修士論文へどう育てるのかは明示しましょう。
境界領域のテーマでは、複数コースに関連しうることがあります。その場合は、テーマの背景を広く書くのではなく、主たる問いを一つに決めます。たとえば歴史資料を使う研究でも、制度変化の因果効果を計量的に推定するのか、史料から企業行動の形成過程を論証するのかで計画の型は変わります。最終的に何を根拠として結論を出すかを言語化すると、コース選択が明確になります。
学位と修士論文の位置づけを確認する
経済専攻では修士(経済学)、マネジメント専攻では修士(経営学)が授与されます。課程修了には所定単位、研究指導、論文執筆、最終試験が必要です。研究計画書は短期の授業レポート案ではなく、修士論文へ至る入口です。そのため「関心があるので学びたい」で終わらず、研究課題の発見と論証にどう進むかを示す必要があります。
東京大学の修士論文案内は、専門分野において意義ある研究課題の発見と論証が行われていることを基準として示しています。ここから逆算すると、研究計画書にも「社会的に重要」だけではなく、学術的に何が未解明で、どの証拠によってどの主張を論証するのかが必要です。問題意識を検証可能な研究課題へ変換することが、コース適合の中心になります。
カリキュラムと修了要件から逆算する研究の型
共通科目と専門科目を方法の準備に結びつける
2027年度の授業科目表には、ミクロ経済学、マクロ経済学、計量経済学、数理統計、世界経済、財政、経済史などの共通科目と、各コースの専門科目が並びます。研究計画書で科目名を羅列する必要はありませんが、自分の計画に不足する知識をどの教育環境で補うかを考える材料になります。
経済学コースなら理論モデルと実証分析のどちらを主軸にするか、統計学コースなら推測理論や計量経済の何を深めるか、経営学コースなら経営学研究法やフィールドリサーチ方法論をどう研究設計へ接続するかを考えます。数量ファイナンスでは確率、デリバティブ、実証ファイナンス等の科目群と、出願時に示す学習準備との関係が重要です。不足を隠すのではなく修士課程で補う順序を示すと、計画の現実性が高まります。
演習・ワークショップ・論文指導を成果物に結ぶ
科目表には、経済学演習、統計学演習、経済史演習、経営学演習、会計学演習のほか、各種ワークショップ、論文指導(修士)、特別論文指導があります。これは授業を受けるだけで修了する課程ではなく、報告、批判、修正を繰り返して論文を作る教育構造だと読み取れます。
研究計画には、最初から完成した結論を書く必要はありません。むしろ、先行研究レビュー、資料収集、モデル設定、予備分析、報告と修正、本文執筆という工程を置きます。研究上のリスクも示せます。予定したデータが使えないときの代替資料、推定が難しいときの記述的分析、史料が偏る場合の相互検証などです。指導を受けて改善できる計画にしておくことが、教育課程との自然な整合になります。
30単位と修士論文提出条件から時間を見積もる
2026年度の履修情報では、修了に30単位以上が必要で、修士論文を提出するには1年以上在学し16単位以上を修得していることが示されています。教員によっては論文指導を引き受ける際に特定科目の修得等を条件とする場合もあります。つまり、2年間を研究だけに使えるわけではありません。授業履修と研究を並行できる規模に問いを絞る必要があります。
全国規模の独自調査、入手が不確実な企業内部データ、習得に長期間を要する高度な手法を同時に置くと、計画の実行可能性が弱くなります。研究計画書では、対象期間、分析単位、主要変数、史料群、インタビュー対象などを限定しましょう。修士課程の時間内に答えられる問いであることは、テーマの大きさよりも重要です。
カリキュラムとの接続を書くときは、「高度な授業があるから志望する」では不十分です。「計量経済学の基礎を固めたうえでパネルデータを用いた分析へ進む」「経済史演習で史料批判を受け、複数史料の照合を行う」のように、学習と研究工程の対応を示します。ただし、実際に開講される科目や担当は年度で変わり得るため、最新の授業情報を確認してください。
コース別に研究工程を組み替える
同じ「1年目に先行研究を読み、2年目に論文を書く」という予定でも、コースによって中身は変わります。経済学コースの実証研究なら、理論的予測を整理し、データを整備し、主要な推定と頑健性確認を行う順序が考えられます。理論研究なら、基準モデルの再現、仮定の変更、命題の導出、経済的含意の検討へ進みます。研究計画書には、どの段階で問いを修正し、どの段階で結果を報告するかまで置くと、演習やワークショップとの関係が見えます。
統計学コースでは、既存手法の仮定と性質を理解し、理論的検討、シミュレーション、実データへの適用を区別します。新しい推定法を提案すると書く場合も、何を改善するのか、評価指標は何か、比較対象となる既存手法は何かを明示します。新規性を手法名だけで表さないことが重要です。修士段階で扱える範囲へ限定し、理論証明と数値検証のどちらを中心にするかも示します。
地域研究と経済史では、文献・史料の収集と読解が研究工程の中心になります。対象地域や時期を決めたら、利用できる史料群、言語、所蔵状況、デジタル公開の有無を確かめます。史料を集めること自体を目的にせず、どの学説や歴史像を検討する証拠になるかを決めます。経営学の質的研究では、理論的サンプリング、事例アクセス、記録、コーディング、事例間比較などを分けます。数量ファイナンスでは、数理的導出、実装、金融データによる評価の順序と、必要な基礎学習を対応させます。
このように工程を具体化すると、計画の弱点も早く見つかります。データ利用申請に時間がかかる、史料の言語能力が不足する、インタビュー先が確保できない、モデルの前提知識が足りないと分かったら、出願前に準備する部分と入学後に学ぶ部分を分けます。課題を把握して代替案を持つ計画は、無理のない研究規模を示します。
教員の研究分野マップと指導可能性の確かめ方
公式表記を使い、近さを自分で論証する
教員名は、指導可能性を確認するための手掛かりです。氏名が近いから選ぶのではなく、公式教員一覧に掲載された研究分野を起点に、自分の問い、理論、方法との接点を確かめます。以下は専攻別教員一覧から、各コースの代表例を抜粋したものです。全員の列挙ではありません。
| コース | 教員の代表例 | 公式掲載の現在の研究分野 |
|---|---|---|
| 経済学 | 青木浩介 | マクロ経済学 |
| 経済学 | 飯塚敏晃 | 医療経済学、産業組織論 |
| 経済学 | 小島武仁 | マーケットデザイン、マッチング理論、ゲーム理論 |
| 経済学 | 澤田康幸 | 開発経済学、国際経済学、ミクロ実証分析、アジア経済論 |
| 統計学 | 明石郁哉 | 数理統計学、時系列解析 |
| 統計学 | 大森裕浩 | 計量経済学、ベイズ分析、確率的ボラティリティ変動モデル |
| 統計学 | 栗栖大輔 | 数理統計学、計量経済学、統計的機械学習 |
| 地域研究 | 野原慎司 | 経済学史(イギリス、ヨーロッパ、日本)、社会思想史、イギリスの文化、アダム・スミス、経済哲学 |
| 経済史 | 石原俊時 | 西洋経済史 |
| 経済史 | 今泉飛鳥 | 日本経済史 |
| 経済史 | 城山智子 | 中国経済史、アジア社会経済史 |
| 経営学 | 稲水伸行 | 経営科学、経営組織論、組織行動論 |
| 経営学 | 大木清弘 | 国際経営論、国際人的資源管理論、ものづくり経営論 |
| 経営学 | 首藤昭信 | 財務会計 |
| 経営学 | 桑嶋健一 | 技術経営、経営戦略 |
| 数量ファイナンス | 佐藤整尚 | 計量ファイナンス |
| 数量ファイナンス | 白谷健一郎 | ファイナンス |
| 数量ファイナンス | 藤井優成 | 金融における非線形問題 |
たとえば医療市場に関心があり、規制や企業行動を分析するなら、飯塚敏晃教授の公式分野である医療経済学、産業組織論との接点を検討できます。ただし、ここから「そのテーマを指導してもらえる」と断定はできません。分野の一致は指導受入れの保証ではないため、教員の公式プロフィール、近年の研究成果、授業題目も確認し、自分の問いとの近さを説明します。
コースごとに確認すべき接続が違う
統計学コースでは、対象となる社会問題より、推定、時系列、ベイズ分析、統計的機械学習など方法上の課題が研究の中心になっているかを見ます。経済史コースでは、日本、西洋、中国・アジア等の地域と時代、利用する史料、歴史学上の論点を照合します。経営学コースでは、組織行動、国際経営、財務会計、技術経営などのうち、どの理論的会話に参加する研究かを定めます。
地域研究コースは、公式の専攻別一覧で掲載される教員構成を確認し、経済学史、社会思想史、地域の文脈などと自分の研究がどう接続するかを慎重に見ます。数量ファイナンスでは、計量ファイナンス、ファイナンス、金融における非線形問題と、計画の数学的・統計的準備が噛み合うかが重要です。教員名より先に接続する研究分野を一語で言うと、志望理由が安定します。
教員確認の三段階
- 専攻別教員一覧で、志望コースに所属する教員と公式研究分野を確認する
- 各教員の公式プロフィールや研究成果を読み、自分の問い・方法と重なる点を一つか二つ特定する
- 授業科目表と開講情報を確認し、入学後に必要な訓練を受けられるかを確かめる
本文に教員名を書く場合は、「有名だから」「指導を希望するから」だけで終わらず、公式分野との接続を示してください。複数名を無理に列挙すると、計画の焦点がぼやけます。主たる接続と、方法面で関連する分野を分けて考えるとよいでしょう。教員の所属や研究分野は年度により変わるため、出願前に最新の専攻別教員一覧で確認してください。
なお、修士入試公式ページは、出願にあたり事前に研究科教員と連絡を取る必要はないと明記しています。連絡しなければ出願できない制度ではありません。事前連絡を前提に計画を止めないで、公開情報から適合性を検証し、募集要項の指示を優先しましょう。
書き上げた研究計画書、そのまま出して大丈夫ですか?
研究職キャリアを持つ講師が、テーマ設定・先行研究の位置づけ・研究方法まで、出願レベルに届いているかを個別に確認します。
- 研究職の講師が研究計画書を添削し、改善点を明確化
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自分のテーマが経済学研究科に合うか判定する手順
関心を研究質問へ変える
最初に、「格差に関心がある」「企業の海外進出を研究したい」といった関心文を、答えを検証できる質問へ変えます。誰または何を対象に、どの期間・地域で、どの現象の関係または形成過程を明らかにするのかを書きます。問いが広ければ、対象、時期、制度、産業、データ単位のいずれかで絞ります。
次に、問いがどの先行研究の議論に属するかを確認します。論文を集めるだけでなく、各研究の問い、データ、方法、結論、限界を表にします。既存研究が扱っていない対象を見つけても、それだけでは学術的な空白とは限りません。対象を変えることで理論上どんな予測を検討できるのか、制度差によって何が分かるのかを説明してください。未研究の対象と重要な研究課題は同じではありません。
問い・証拠・方法を一対一で結ぶ
研究質問が決まったら、結論を支える証拠を定めます。実証経済学ならデータの出所、観測単位、期間、主要変数、比較の考え方を置きます。理論研究なら主体、選好、情報、戦略、均衡概念を明らかにします。経済史なら史料の種類、所蔵・公開状況、史料批判の方法を示します。経営学の質的研究ならケース選択、インタビューや文書資料、分析手順を具体化します。
「回帰分析を行う」「インタビューを行う」だけでは方法になりません。何と何を比較し、どの説明を支持または退けるのかまで書きます。因果関係を述べるなら内生性や選択バイアスへの対応を考えます。質的研究でも、事例選択の理由、証拠の三角測量、反証例の扱いが必要です。方法名ではなく推論の道筋を書くことが大切です。
方法を決める前には、問いの種類を判定します。記述を目的とするのか、二つの変数の関連を調べるのか、介入や制度変更の因果効果を推定するのか、理論モデルで条件と結果の関係を導くのか、歴史的過程を史料から再構成するのかによって、必要な証拠は異なります。問いと方法が一致していれば、高度な手法を多数並べる必要はありません。むしろ一つの主要方法と、その弱点を補う頑健性確認や補助資料を示す方が、計画の見通しが伝わります。
データを使う研究では、公開統計、個票、企業データ、実験・調査データのどれを使うかを区別し、利用申請の要否も確認します。歴史研究では、一次史料と二次文献を区別し、史料が誰によって何の目的で作られたかを考えます。経営学のケース研究では、代表性だけでなく、理論を精緻化するうえでその事例を選ぶ理由が必要です。資料の性質が主張できる範囲を決めるため、入手後の分析だけでなく資料の限界も書きましょう。
コース適合を五つの質問で点検する
- 修士論文で答えたい問いを一文で言えるか
- その問いは志望コースの研究領域に入るか
- 必要な理論・方法を扱う教員または教育分野が確認できるか
- 資料やデータを入手でき、2年間の履修と並行して実施できるか
- コース固有の小論文・エッセー・学習内容で準備を証明できるか
一つでも答えられない場合は、文章表現より先に設計を見直します。とくに「教員がいない」と「テーマを少し修正すれば接続できる」を区別してください。問いの中心を変えずに対象や方法を調整できるなら修正可能です。一方、指導可能な分野が研究科の射程から外れる場合は、志望先自体の再検討が必要です。
テーマ選びで止まった場合は、研究計画書の書き方7ステップで問いと先行研究の基本を整理し、東京大学固有のコース要件へ戻ると進めやすくなります。汎用の型を先に作り、公式様式で再設計するという二段階が有効です。
テーマ案を比較表で評価する
候補が複数ある場合は、思い入れだけで一案を選ばず、同じ基準で比較します。各案について、研究質問の明確さ、先行研究との差、資料の入手可能性、方法の習得状況、教員分野との接続、2年間での実行可能性を5段階で仮評価します。点数は合否予測ではなく、準備不足の場所を見つける道具です。
| 評価軸 | 確認する質問 | 弱い場合の修正 |
|---|---|---|
| 問い | 一文で答える対象と関係を示せるか | 期間・地域・制度・分析単位を絞る |
| 先行研究 | 何が既知で何が未解決か説明できるか | 主要論文を理論・方法別に比較する |
| 証拠 | 必要なデータや史料を入手できるか | 公開状況を確認し代替資料を探す |
| 方法 | 問いに答える推論の道筋があるか | 方法を減らし主要分析を一つ決める |
| 適合 | コースと教員分野に接続するか | 対象名ではなく理論・方法で照合する |
| 規模 | 履修と並行して2年間で進められるか | 対象数、期間、成果物の範囲を縮める |
比較するときは、最も新奇な案より、先行研究と証拠の両方が揃う案を優先します。研究は進行中に修正されますが、出願時に根拠のない可能性だけを並べるのは避けます。第一案が実施できない場合の縮小版を考え、「このデータが得られなければ公開統計で対象を限定する」のように代替案を用意すると、計画の核がどこにあるかも明確になります。
コース別のテーマ例を設計要素に分解する
テーマ例は、そのまま借りるものではなく、設計の粒度を知るために使います。経済学コースで政策変更を扱うなら、「制度変更の前後で誰の行動がどう変わるか」を問いにし、比較対象とデータを置きます。理論研究なら、「情報構造や制度の条件を変えると均衡がどう変わるか」を問いにし、モデルの主体と仮定を示します。題名だけで計量研究か理論研究か分からない状態を避け、問いを見れば必要な方法が推測できるところまで具体化します。
統計学コースでは、「ある社会問題を分析したい」だけでなく、既存の推定や予測のどの条件が問題になるかを中心に置きます。欠測、時系列依存、高次元性、分布の仮定など、統計的課題を明示し、その性質を理論・シミュレーション・実データのどの組み合わせで評価するかを決めます。応用例は方法の価値を示しますが、応用対象の説明が大半にならないようにします。
地域研究なら、国名や地域名だけではなく、制度、思想、交易、産業、社会集団などの焦点と時期を定めます。複数地域を比較する場合は、なぜその組み合わせでなければ問いに答えられないかを説明します。経済史なら、出来事を年代順に紹介するのではなく、既存の歴史解釈に対する問いを置き、どの史料で再検討するかを示します。地域や時代は背景ではなく分析条件として扱います。
経営学コースでは、企業の成功事例紹介にならないよう、組織、戦略、会計、技術経営等の理論的概念を置きます。ケースを選ぶ場合は「有名だから」ではなく、理論上重要な条件を観察できるから選ぶと説明します。質問紙やインタビューを使うなら、概念をどう観測し、回答の偏りへどう対応するかも考えます。数量ファイナンスでは、金融商品の価格付け、リスク、時系列変動等の問いと、数理モデル、推定、実装に必要な準備を一つの流れにします。
どのコースでも、題材の大きさと研究上の貢献は別です。日本全体を扱う計画より、一つの制度変更や限定した史料群を精密に分析する計画の方が、修士論文として論証可能な場合があります。最初の案から対象を半分に、問いを一つに、主要方法を一つに減らし、それでも意義が残るかを確認してください。残るなら、その核が研究計画書の中心です。
研究の意義を三段階で書き分ける
意義は、社会的重要性、学術的貢献、研究を実施する具体的価値の三つを混同しないようにします。物価、雇用、企業統治などが社会的に重要でも、それだけでは研究上の貢献になりません。既存理論の予測を新しい制度環境で検討する、利用されていない史料から歴史像を修正する、既存手法の制約を緩和するなど、先行研究との関係で学術的意義を述べます。
そのうえで、なぜ自分の対象・資料・方法がその貢献を可能にするかを示します。「日本を対象とする研究が少ない」なら、日本の制度差が理論上どの点を識別できるのかまで書きます。「最新データを使う」なら、新しい期間にどの制度変化があり、既存結論を再検討する理由になるかを説明します。重要性から貢献へ一段論理を足すことで、研究目的が具体化します。
コース別様式に合わせた研究計画書の構成と分量
経済学コースは5,000字で問いと方法を絞る
経済学コースは、研究テーマ、研究目的、研究方法を日本語5,000字程度でまとめます。構成例は、背景と問題設定10%、先行研究と空白25%、研究質問・仮説15%、データ・理論・方法30%、期待される意義10%、実施計画と志望先との接続10%です。これは公式の指定比率ではなく、漏れを防ぐための執筆目安です。
6つの志望分野の一つを選ぶため、その分野の理論と先行研究を中心に据えます。たとえば労働経済学なら、労働供給、賃金、雇用、教育等のどの議論に入り、どのデータで識別するかを示します。産業組織なら市場構造、企業行動、競争政策等の関係を明確にします。5,000字では背景を広げすぎないことが完成度を左右します。
統計学は研究計画と数理的エッセーを分離する
統計学コースは10ページ以内で、最初の3ページに志望理由・動機と入学後の研究計画、残りに統計学または計量経済学のエッセーを書きます。エッセーは卒論内容でも、現在取り組む課題の小論文でもよい一方、数式に基づく論理的記述が必要です。
計画部分では研究課題、既存手法の限界、新しい検討、評価方法を簡潔に示します。エッセーでは定義、仮定、命題や推定量、導出、結果の解釈を筋道立てます。二つを混ぜて全体を長い志望理由にすると、指定された能力を示せません。計画は将来、エッセーは現在の力量を示す役割分担を意識しましょう。
地域研究・経済史は3ページの計画と7ページの小論文
地域研究コースでは研究テーマ・目的・方法を3ページ以内、地域研究や経済学史などの小論文を7ページ以内にまとめます。経済史コースも、入学後の研究計画3ページ以内と経済史小論文7ページ以内です。小論文が研究計画と同じ題材である必要があるとは公式指示から断定できませんが、専門的準備が一貫して伝わる題材を選ぶと説明しやすくなります。
研究計画は、地域・時期・対象・資料・問いを圧縮して示します。小論文は、先行研究を踏まえた論点、史料や文献の読解、根拠に基づく議論を展開します。感想文や地域紹介にせず、反対説や限界にも触れます。小論文が本文の7割を占めるため、計画書だけを推敲して準備を終えないでください。
経営学は10,000字で準備状況まで示す
経営学コースは、日本語6ページ程度、10,000字程度で、研究テーマ、目的、方法を書き、入学後の研究計画についてこれまでの準備状況が分かるようにします。先行研究の読解、卒論・ゼミ、データ収集の予備調査、方法論の学習など、計画を実行する根拠を示します。
準備状況は経歴の自慢ではありません。「学部ゼミで組織行動論を学んだ」だけでなく、どの理論を読み、どの問いへつなげ、現在どこまで資料を確保したかを述べます。経営または会計という志望分野の選択と整合させ、組織、戦略、マーケティング、イノベーション、経営史、会計等の位置づけを明確にします。経験を研究能力の証拠へ翻訳することがポイントです。
数量ファイナンスは3,000字と7,000字の二部構成
数量ファイナンスコースは、前半に研究テーマ、目的、方法を3,000字程度、後半に数量ファイナンスに関連して学習していることを7,000字程度で書きます。後半では、確率、統計、数理ファイナンス、金融工学等の学習を、定義、モデル、数式、分析経験を通じて具体的に示します。
履修科目名だけを並べても理解の深さは伝わりません。どのモデルをどの仮定の下で扱い、何を計算・実装・検証したかを書きます。研究計画と学習内容の橋渡しも必要です。たとえば時系列モデルを学んだ経験が、どの金融データの問いに必要なのかを説明します。学習歴を研究方法へ接続することで二部が一つの計画になります。
汎用的な見出しや例文は研究計画書の例文とテンプレートも参考になります。ただし、そのまま移植せず、東京大学の各コースが指定する順序と分量を優先してください。
評価されにくい研究計画書の共通点と直し方
研究科の射程外になっている
「経済を良くしたい」「企業を成長させたい」という実務目標だけで、研究質問がない計画は、修士論文の設計として読みにくくなります。政策提言や経営施策を最終的に考える場合でも、その前にどの因果関係、制度、行動、歴史的過程を明らかにするのかを置きます。
修正するには、テーマを「対象」「問い」「理論」「証拠」「方法」の五要素に分解します。その上で公式のコース紹介、科目表、教員分野に照らし、どの学問的議論へ接続するかを一文で示します。社会課題の大きさより研究上の問いの明確さを優先してください。
指導可能な分野との接続が見えない
大学名への憧れや授業の豊富さだけを志望理由にしても、なぜこのコースかは伝わりません。反対に教員名を多数並べても、研究分野との接点が説明されなければ有効ではありません。公式一覧の表記を確認し、自分の計画のどの部分がその分野と重なるかを書きます。
一人の教員に全面依存する表現も避けます。教員配置は変わり得るため、主たる研究分野、関連する方法分野、カリキュラムという複数の根拠で適合性を示します。個人名と教育環境の両方で適合を説明すると、志望理由が安定します。
教員との接続を文章にする場合は、「公式一覧では〇〇を研究分野としている。自分の計画では△△をその理論または方法で検討するため接点がある」という二文で試作します。その後、教員個人への期待を述べるだけになっていないか確認し、関連科目、演習、ワークショップへ広げます。自分のテーマ名と教員の分野名が完全一致しなくても、問いを支える理論や方法が重なる場合があります。逆に対象語が一致しても、研究の方法論が遠ければ適合性は弱い可能性があります。
表に示した職位は省略していますが、氏名と研究分野は取得時点の公式一覧に基づきます。出願時には氏名、職位、所属コースを同じページで再確認し、過去年度の情報と混在させないようにしてください。
方法が実行不能または問いに答えていない
利用できるか分からないデータを前提にする、標本数を考えず大規模調査を置く、因果推論と相関分析を混同する、史料の所在を確認していないといった問題は、実行可能性を損ないます。方法の専門用語を増やしても解決しません。
データの公開元、期間、単位、アクセス条件を確認し、予備的に数件を閲覧します。質的調査なら対象へのアクセス、倫理的配慮、記録方法を考えます。代替データや問いの縮小案も用意します。入手可能性を確認した証拠を書くことで、計画は具体的になります。
先行研究の位置づけがない
先行研究を著者順に要約するだけでは、自分の問いが生まれません。研究群を理論、方法、対象、結論の違いで整理し、何が合意され、何が対立し、何が未解決かを示します。その空白が自分の資料と方法で埋められる理由を書きます。
「国内では研究が少ない」だけでは弱いことがあります。少ない理由がデータ不足なら、自分も同じ問題に直面します。新しいデータ、制度変更、方法の改善、比較対象の追加など、研究可能になった根拠が必要です。先行研究の限界と自分の方法を対応させるのが修正の核心です。
先行研究との差を誇張するのも避けます。「先行研究は存在しない」と書く前に、隣接概念、異なる用語、英語文献まで検索します。完全な空白を主張するより、既存研究Aは対象を扱うが方法に制約があり、研究Bは方法を改善したが別制度を対象としているため、自分は両者を接続する、と整理する方が検証しやすくなります。研究上の貢献は、理論、データ、方法、対象、歴史的解釈のどこにあるかを一つに絞ると明瞭です。
コース固有の二部構成を無視している
統計学、地域研究、経済史、数量ファイナンスでは、研究計画以外のエッセー、小論文、学習内容が明示されています。全ページを研究計画に使ったり、逆に小論文を添付資料のように軽く扱ったりすると、指示に適合しません。ページ上限と各部分の役割を最初に固定し、別々にアウトラインを作ってから接続を確認します。
提出前には、年度、入試区分、言語、用紙、冒頭情報、文字数・ページ数、参考文献の扱い、オンライン版と郵送版の一致をチェックします。内容が良くても形式ミスは避けるべきです。公式指示をチェックリスト化することが最後の品質管理になります。
文章は一段落一役にする
設計が正しくても、一段落に背景、先行研究、方法、志望理由を詰め込むと論理が追いにくくなります。各段落の冒頭に、その段落で示す結論を置き、続けて根拠と具体例を書きます。背景の段落は問題の所在、先行研究の段落は既知と限界、研究質問の段落は答える問い、方法の段落は証拠と推論、意義の段落は貢献を担当させます。
「しかし」「そのため」「本研究では」といった接続が本当に成立するかも確認します。先行研究の限界がデータの古さなら、新しい理論モデルを作るだけでは直接の解決にならないかもしれません。方法が差の差法なら、介入群と比較群、時点、平行トレンドを検討する必要があります。限界と解決策を同じ軸で対応させると、段落間の論理が通ります。
専門用語は必要ですが、定義せずに多用しないようにします。口述で「その概念をどう測るか」と聞かれたときに答えられる表現を使います。抽象概念なら操作化を示し、複数の測定法があるなら選択理由を説明します。歴史概念なら当時の用法と分析上の用法を区別します。読みやすさは内容を単純化することではなく、判断に必要な前提を順番に提示することです。
引用と参考文献の精度を上げる
研究計画書では、先行研究の主張を自分の言葉で正確に要約し、出典を対応させます。孫引きは避け、可能な限り原典を確認します。理論や推定結果を紹介するときは、研究が対象とした国、期間、データ、方法を落としすぎないようにします。条件の違いを無視して結論だけを一般化すると、自分の研究との差も誤って設定してしまいます。
参考文献表は表記方式を統一し、本文で触れた文献がすべて入り、表にある文献が本文で役割を持つかを確認します。ウェブ情報と学術論文も区別します。公式制度情報は制度の根拠、査読論文や専門書は学術的議論の根拠として使い分けます。出典の役割を混同しないことが、研究計画書の信頼性につながります。
出願までの逆算スケジュール
半年前から設計し、提出前は内容を変えすぎない
研究計画書は、短期間に文章だけ整えても、先行研究、資料確認、方法の検討が浅いままになります。以下は出願の約6か月前から進める目安です。実際の締切は受験年度と入試区分で異なるため、最新の募集要項を基準に日付へ置き換えてください。
| 時期 | 主な作業 | 到達点 |
|---|---|---|
| 6か月前 | 関心領域、2専攻6コース、教員分野を確認 | 候補コースと問いを3案に絞る |
| 5か月前 | 主要先行研究を収集し比較表を作る | 研究上の空白と主要概念を説明できる |
| 4か月前 | データ・史料・方法を予備確認 | 実行可能な問いを1案に決める |
| 3か月前 | 教員、科目、修論基準との接続を確認 | 詳細アウトラインと参考文献表を作る |
| 2か月前 | 初稿とコース固有の小論文等を作成 | 指定分量の全体稿を完成する |
| 1か月前 | 論理、事実、引用、形式を推敲 | 第三者が問いと方法を再説明できる |
| 2週間前 | 口述想定問答、提出版の一致確認 | 根拠と限界を口頭で説明できる |
先行研究レビューに最も時間を配分する
早い段階で文章を書き始めるより、主要論文を正確に読み比べる方が結果的に近道です。検索語を日本語だけに限定せず、主要概念の英語表現も使います。各論文について、研究質問、理論、データ、方法、結果、限界、自分との関係を一行ずつ記録します。
引用する文献は実際に読み、書誌情報を確認します。要旨だけで結論を決めず、方法と限界まで読みます。研究計画書の参考文献は字数・ページ制限に含まれない扱いが公式に示されていますが、本文と対応しない文献を大量に載せる必要はありません。本文で役割を持つ文献だけを残すと論点が明確になります。
推敲は三つの視点で分ける
- 研究内容: 問い、先行研究、方法、意義が論理的につながるか
- 志望先適合: コース、教員分野、カリキュラム、修士論文へつながるか
- 提出形式: 指定項目、分量、用紙、言語、部数、オンラインと郵送の一致を満たすか
一度にすべて直そうとすると、表現だけの推敲になりやすいので、内容、適合、形式の順に読みます。最後に各段落の最初の一文だけを並べ、論理の流れを確認します。口述対策では、各段落を一問一答に変換します。書けた内容だけでなく説明できる内容にすることが提出版の基準です。
独力でコース選択や方法の妥当性を判断しにくい場合は、大学院入試対策コースで第三者の視点を入れる方法もあります。添削を受ける場合も、公式要項と一次情報を手元に置き、代筆ではなく自分が口述で説明できる形へ直すことが大切です。
研究計画書から口述想定問答を作る
初稿ができたら、文章を短く要約するだけでなく、反論される可能性のある箇所を質問に変えます。「なぜその期間か」「そのデータで観測できない要因は何か」「その史料にはどんな偏りがあるか」「別の理論で説明できないか」「結果が予想と反対なら何が分かるか」といった問いです。答えが本文にない場合は、重要度を判断して追記します。
口述の回答は、結論、理由、研究計画との関係の順に30秒程度で答える短い版と、追加質問に応じる長い版を用意します。暗記した文章を読むのではなく、研究質問、先行研究、方法、限界の関係図を頭に入れます。弱点を説明し対応策を示せることは、弱点がないと装うことより現実的です。
とくに志望コースについては、隣接コースではなくなぜそのコースなのかを説明します。企業を扱う経済学研究と経営学研究、経済の歴史を扱う地域研究と経済史、応用データ分析を行う経済学と統計学など、境界を自分の問いと方法で説明できるようにします。教員名を挙げる場合も、公式研究分野との接点を簡潔に述べ、受入れを前提とした言い方は避けます。
よくある質問(FAQ)
東京大学大学院経済学研究科の研究計画書は何字ですか
コースにより異なります。2027年度は経済学が日本語5,000字程度、経営学が10,000字程度です。数量ファイナンスは研究計画3,000字程度と学習内容7,000字程度に分かれます。統計学、地域研究、経済史はページ指定なので、最新の補足説明書で内訳まで確認してください。
経済学部以外の出身でも研究計画書を書けますか
出身学部だけでテーマの適否は決まりません。ただし、研究質問に必要な経済学、統計学、経営学、歴史研究等の基礎を示す必要があります。不足分は準備状況と入学後の学習順序を具体化し、異分野の経験を研究上の強みに変換することが重要です。
指導希望教員への事前連絡は必要ですか
修士入試公式ページは、出願にあたり事前に研究科教員と連絡を取る必要はないと明記しています。まず公式教員一覧、プロフィール、授業科目から適合性を確認してください。年度により案内が変わる可能性があるため、出願時の公式ページを確認します。
研究計画書に教員名を書くべきですか
教員名を書くこと自体が目的ではありません。書くなら、公式に掲載された研究分野と自分の問い・方法の接続を説明します。受入れを断定したり、複数名を根拠なく列挙したりせず、カリキュラムとの接続も併記するとよいでしょう。
卒業論文と同じテーマを使ってもよいですか
統計学コースのエッセーは、卒論内容を用いる例が公式に示されています。研究計画本体でも、卒論を出発点にすることは考えられますが、修士課程で何を新たに問うかを示してください。対象追加だけでなく、理論、データ、方法、比較のどこを発展させるかを明確にします。
統計学・地域研究・経済史の小論文は研究計画と分けますか
はい。公式指示では、統計学は最初の3ページの志望理由・研究計画と残りのエッセー、地域研究と経済史は3ページ以内の計画と7ページ以内の小論文という内訳です。見出しとページ配分を明確にし、両者の役割を混同しないようにします。
口述試験では研究計画書から何を聞かれますか
具体的な質問一覧は公式に固定されていません。問いの重要性、先行研究との差、方法の妥当性、データ入手、志望分野、実行可能性、限界を自分の言葉で説明できるようにします。経済学コースでは研究計画書に近い志望分野を一つ選ぶため、その整合も点検しましょう。
入学後にコースを変更できますか
2027年度補足説明書は、入学後のコース変更を原則として認めないとしています。修士論文の主題、方法、教員分野を照合して出願前に決めてください。複数コースに見えるテーマは、最終的な問いと証拠の型を基準に選びます。
まとめ|6コース固有の要件から研究計画を設計する
東京大学大学院経済学研究科の研究計画書は、研究科共通のテンプレートを埋める書類ではありません。2専攻6コースそれぞれの研究領域、提出形式、カリキュラム、教員分野、修士論文の基準をつなぎ、自分の計画がその教育環境で実行できることを示す書類です。
- 経済学、統計学、地域研究、経済史、経営学、数量ファイナンスで様式が異なる
- コースは対象名ではなく、問い、理論、証拠、方法で選ぶ
- 修士論文の「意義ある研究課題の発見と論証」から逆算する
- 公式教員一覧の研究分野と自分の計画の接点を確認する
- 授業、演習、論文指導と研究工程を対応させる
- 小論文やエッセーは現在の専門的準備を示す別の重要部分と考える
- 提出版の内容を口述で根拠と限界まで説明できるようにする
最初に行うべき作業は、文章を書くことではなく、最新の募集要項で志望コースの要求を一行ずつ抜き出すことです。その次に先行研究、データ・史料、方法、教員分野を照合し、実行可能な問いへ絞ります。公式要件から逆算した設計ができれば、長い研究計画書でも各段落の役割が明確になります。
完成後は、研究テーマだけを見た第三者が、志望コース、主要な問い、用いる証拠、期待する結論の範囲を説明できるか確かめてください。説明できない箇所は、情報不足か論理の飛躍が残っている可能性があります。
さらに、要旨を200字程度で作り、本文の各節がその要旨のどの主張を支えるか確認します。要旨にない論点が本文で長く続くなら削る候補です。反対に要旨で重要なのに本文の根拠が薄いなら、先行研究か方法の説明を補ってください。題名との一致も最後に点検します。
募集要項・出願書類の様式・教員の配置は年度により変わるため、出願前に必ず最新の公式情報で確認してください。独学での対策に不安がある場合は、専門の指導を活用するのも一つの方法です。その場合も、最終的には自分自身が研究の問い、方法、志望先との接続を説明できる状態を目指しましょう。
書き上げた研究計画書、そのまま出して大丈夫ですか?
研究職キャリアを持つ講師が、テーマ設定・先行研究の位置づけ・研究方法まで、出願レベルに届いているかを個別に確認します。
- 研究職の講師が研究計画書を添削し、改善点を明確化
- 相談後に、志望校の出題傾向と学習ロードマップをまとめた個別フィードバックレポートをお渡し
- 志望校が決まっていなくてもOK
\ 合格がグッと近づく/
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