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慶應義塾大学大学院経済学研究科の研究計画書の書き方|専攻・カリキュラム・教員の研究分野から逆算する

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慶應義塾大学大学院経済学研究科の研究計画書では、経済学として明確な問いを立て、先行研究との関係、分析方法、入学後の工程を、所定の2枚に一貫して配置することが重要です。単に「社会問題を解決したい」と意欲を述べるのではなく、10研究分野のどこに位置する研究なのか、誰がどの方法で何を明らかにするのかを説明しなければなりません。

慶應義塾大学大学院経済学研究科の研究計画書とは、入学後に取り組む研究テーマについて、意義・問題意識、研究の系譜と背景、方法、期待される成果までを示す出願書類です。2026年度実施入試では修士課程のⅠ期・Ⅱ期とも全員提出で、大学所定用紙は全2枚です。項目ごとの字数指定は公表されていませんが、ページや枠の追加、別紙の添付は認められていません。したがって、内容を増やす前に所定6項目の役割を分ける編集が必要です。

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本記事は、出願資格、試験科目、日程、倍率を網羅する記事ではありません。それらは慶應義塾大学大学院経済学研究科の外部院試解説に譲り、ここでは公式のカリキュラム、修了要件、教員一覧から、研究計画書の設計を逆算します。募集要項・出願書類の様式・教員の配置は年度により変わるため、出願前に必ず最新の公式情報で確認してください。

結論を先に言えば、設計の順番は「関心のある社会現象」から始めるのではなく、研究上の問い、先行研究の不足、検証可能な仮説または分析視角、利用できる資料・データ、研究科の分野と教員、修士論文までの工程へと落とすことです。テーマ・方法・指導可能性を一本につなぐことが、本記事全体の軸になります。

読み進める際は、完成した題名を最初から用意する必要はありません。仮の問いを一つ置き、各章の確認項目に照らして、対象範囲や方法を少しずつ修正してください。経済学では、同じ現象でも理論、実証、歴史、思想のどこから接近するかで必要な文献と資料が変わります。最初の関心を守りながら、審査可能な研究単位まで問いを小さくすることが、所定2枚に収めるための準備になります。

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目次

慶應義塾大学大学院経済学研究科の研究計画書で最初に押さえること

所定2枚に6つの項目を書く

大学公式の入試ページによると、研究計画書は所定用紙2枚です。様式には、研究テーマ、この研究の意義・問題意識、この研究の系譜と背景、研究計画、期待される成果と展望、卒業論文・修士論文・その他の発表論文・未発表論文という6項目があります。研究計画欄には、研究のアプローチ、分析方法、研究計画などを書くよう明示されています。自由作文ではなく項目別の審査資料だと理解しましょう。

所定項目書く中心避けたい重複
研究テーマ対象・問い・範囲長い背景説明
意義・問題意識なぜ研究するのか個人的体験だけの志望動機
系譜と背景先行研究の到達点と不足社会情勢の一般論
研究計画資料・データ・方法・工程期待成果の先取り
期待成果と展望学術的貢献と射程検証前の断定
既発表論文等これまでの研究実績研究歴と無関係な活動

項目別の字数は公式には示されていません。この点は「好きなだけ書ける」という意味ではなく、枠に合わせて優先順位をつける必要があるという意味です。タイトルと問題意識で同じ説明を繰り返すと、方法や先行研究を書く場所がなくなります。まず各欄を一文で要約し、一つの情報を置く欄は一つに決めると密度が上がります。

提出時期と入試区分を混同しない

研究計画書はⅠ期・Ⅱ期のいずれでも出願書類として提出します。一度提出した書類は変更できないため、口頭試問直前に研究テーマを入れ替える前提では準備できません。Ⅰ期は経済学の筆記試験と口頭試問、Ⅱ期は提出論文を含む書類・論文審査と口頭試問という違いがありますが、研究計画書自体は両区分で必要です。試験制度の詳細は既存記事で確認し、この記事では書類の設計に集中してください。

公式要項は、口頭試問で研究計画書をどのように使うかまでは明記していません。そのため「計画書の全項目が必ず質問される」と断定することはできません。ただし、出願内容と口頭で説明する内容が矛盾しないよう、問い、先行研究、方法、データの入手可能性、希望指導分野を自分の言葉で説明できる状態にすることは必要です。書類に書いた判断の根拠を説明できるところまで準備しましょう。

二つの出願書類を役割分担させる

Ⅱ期では入学審査論文も評価対象になりますが、研究計画書を論文の要約だけにしてはいけません。提出論文が「これまでに何を調べ、どのような結果を得たか」を示す成果物だとすれば、研究計画書は「その蓄積を踏まえ、入学後に何をどのように研究するか」を示す設計図です。卒業論文を発展させる場合は、残された課題、新たに追加する資料、変更する分析方法を明確にします。

Ⅰ期でも、卒業論文やゼミ論文があるなら、その経験を研究能力の根拠として利用できます。ただし、過去の成果を長く紹介しすぎると入学後の計画が薄くなります。所定様式には既発表論文等の欄が別にあるため、過去の成果と将来の計画を分けるのが合理的です。過去の研究から得た課題意識を一文で示し、新しい問いへ橋を架けましょう。

提出前には、6項目だけを順に読み、「だから何を調べるのか」「その方法で答えられるのか」「成果が何を更新するのか」という三つのつながりを点検します。欄ごとには正しくても、全体で対象地域や分析単位が変わっていることがあります。表記の統一より先に、研究対象と問いの一貫性を直してください。

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経済学専攻の5領域・10研究分野を理解する

単一専攻だからこそ分野の位置づけが重要

経済学研究科は、修士課程も後期博士課程も経済学専攻の単一専攻です。複数の専攻やコースから出願先を選ぶ構造ではありません。その代わり、カリキュラムは5領域・10研究分野に整理されています。研究計画書では「経済学専攻を志望する」だけでは粗く、どの研究分野の議論に参加するのかを示す必要があります。

領域研究分野計画書で確認する焦点
第I領域経済理論、計量・統計モデル、仮説、識別、推定方法
第II領域学史・思想史、経済史史料、時期区分、概念の系譜
第III領域産業・労働、制度・政策市場・制度・政策の作用経路
第IV領域現代経済、国際経済対象経済、国・地域、時系列
第V領域環境関連、社会関連外部性、空間、人口、社会構造

この表はテーマを一つの箱に固定するためのものではありません。たとえば人口移動を扱う研究でも、都市経済学として立地選択を推定するのか、人口学として死亡や出生を分析するのか、経済史として長期変化を史料から描くのかで、問いと方法が変わります。対象ではなく問いと方法で分野を選ぶのが基本です。

隣接分野との接続を説明する

現実の研究テーマは複数分野にまたがります。医療を扱うから医療経済学、企業を扱うから経営学と、名詞だけで分類してはいけません。医療サービス利用の因果効果を推定するなら応用ミクロ・計量との接続が生まれます。金融政策の国際波及を扱うならマクロ経済学、国際金融、計量分析が重なります。研究計画書では中心分野を一つ決め、隣接分野を補助線として示すと読みやすくなります。

中心分野を決める基準は、最も多く参照する先行研究がどの学術領域に属するか、主要な分析方法をどの科目で学ぶか、研究成果をどの研究者共同体に届けたいかです。「幅広く学びたい」という表現だけでは、修士論文の焦点が見えません。中心一分野と隣接一〜二分野程度に整理すると、指導可能性も確認しやすくなります。

研究科固有の分類を本文に使う

志望理由の説得力は、大学名への憧れではなく、研究科の教育構造と自分の計画が対応していることで生まれます。公式ページにある「経済理論」「計量・統計」「産業・労働」などの表現を使い、自分の研究がどこに位置するかを説明してください。ただし、分野名を並べるだけでは不十分です。どの先行研究、どの方法、どの資料を通して接続するのかまで書くことで、固有性が出ます。

10研究分野をテーマの境界線として使う

分野分類には、書く内容を増やす働きだけでなく、書かない内容を決める働きがあります。たとえば地域の衰退を扱う場合、人口移動、企業立地、地方財政、社会史をすべて一つの修士論文で扱うのは現実的ではありません。都市経済学の枠組みで企業立地に焦点を置くなら、地方財政や人口変動は統制要因や背景として扱い、中心的な問いから外れる議論を抑えます。

反対に、複数分野の接続自体が研究上の貢献になる場合もあります。財政史の史料を用いて現代の制度を理解する、人口学の推計と年金制度の分析を結ぶ、といった研究です。その場合も「学際的だから新しい」と述べるだけでは足りません。どの分野の概念をどの分野の資料に適用し、それによって従来見えなかった何が見えるのかを説明します。

分野を選ぶときは、研究対象、理論枠組み、分析方法、成果の読者という四つの観点で候補を比較します。四つのうち三つ以上が同じ分野を指すなら、そこを中心に置きやすいでしょう。ばらばらなら、問いが広すぎるか、方法が対象に合っていない可能性があります。分類はテーマを削るためにも使えると考えてください。

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カリキュラムと修了要件から研究の型を逆算する

学術大学院として修士論文を完成させる

公式カリキュラムは、経済学研究科が学術大学院を基本とし、専門職大学院ではないことを示しています。目的は、特定職務の技能だけでなく、経済現象を適切に分析し深く考察できる高度な研究能力を養うことです。したがって研究計画書も、政策提言や事業案だけで終わらず、検証可能な学術上の問いへ変換する必要があります。

修士課程の目的は、経済学の上級基礎知識を学び、幅広い視点を得ることと、一つのテーマを専門的に学んで修士論文を作成することです。修了には合計30単位以上が必要で、その内訳には専攻科目10単位以上、演習科目8単位以上が含まれます。さらに、修士論文の審査と最終試験に合格しなければなりません。入学後の学習と論文執筆を両方描く計画が整合的です。

専攻科目と演習科目を計画に結びつける

計画書で授業名を大量に列挙する必要はありません。重要なのは、現在不足している知識や技能を特定し、それをカリキュラムで補ったうえで研究に適用する流れです。理論モデルを扱うなら上級のミクロ・マクロ理論、観察データを扱うなら計量経済学や統計、歴史研究なら史料批判や当該分野の専門科目が必要になります。履修は目的ではなく、問いを解くための手段として書きます。

演習科目には、ミクロ経済学、マクロ経済学、計量経済学、応用経済学の4つのワークショップがあります。国内外の研究者による最新の報告に触れる場であるため、計画書では、自分の研究を専門的な議論の中で更新していく姿勢を示せます。ただし「ワークショップに参加したい」だけでは弱く、どの論点や方法を検討したいかまで具体化しましょう。

論文審査の工程から実行可能性を見る

入学後は指導教授を選び、第2学年の7月までに修士論文の予定題目と、主査1名・副査2名を決定します。その後、秋の予備審査、1月の論文提出、論文審査と最終面接試問へ進むのが公式に示された標準的な流れです。これは、修士2年目になってからテーマを探し始める設計では遅いことを意味します。

研究計画書の方法欄では、1年目前半に基礎理論と方法を補強し、同時に文献レビューとデータ・史料の確保を進め、後半に予備分析、2年目に本分析と執筆へ進む工程を示すと整合します。データ利用申請や史料調査に時間がかかる場合は、その準備期間も含めます。修士論文提出日から逆算できる計画になっているか確認してください。

修士論文の評価像から文章を点検する

経済学研究科の学位方針は、経済学の幅広い基礎知識と分析技能に加え、専門分野の既存研究を十分に理解し、独自の視点と分析を提案する修士論文を求めています。この表現から、研究計画書には少なくとも「基礎」「専門」「独自性」「分析」の四要素が必要だと読めます。関心の新しさだけでは、既存研究の理解や分析技能を代替できません。

基礎とは、ミクロ、マクロ、統計などを形式的に列挙することではありません。自分の問いを扱うために、どの理論的前提と方法上の知識が必要かを認識していることです。専門とは、対象分野の主要な論点と文献を理解することです。独自性は、未分析の対象を加えるだけでなく、既存の仮説を別のデータで検証する、異なる解釈を比較することでも成立します。

分析は、データ処理だけを意味しません。理論研究なら仮定から命題を導く過程、思想史なら概念と文脈を比較する過程、経済史なら史料から解釈を構築する過程も含みます。自分の分野に即して、何を根拠にどのような推論を行うのかを書きましょう。成果ではなく推論の手順を見せることで、研究能力の見通しが伝わります。

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教員の研究分野マップから指導可能性を確認する

公式HTMLに掲載された専門を起点にする

出願時には入試要項の希望指導教員一覧から教員を選びますが、正式な指導教授の決定は入学後です。教員一覧に載っていても、留学などにより指導教授になれない場合があります。そのため、研究計画書では特定教員への期待だけに依存せず、研究分野と方法の適合を先に固めることが大切です。

理論・産業分野の例として、石橋孝次教授の専門はミクロ経済学・産業組織です。

産業・労働分野の例として、赤林英夫教授の専門は教育経済学、家族の経済学、労働経済学です。

同じく産業・労働分野の例として、井深陽子教授の専門は医療経済学です。

制度・政策分野の例として、新井拓児教授の専門は数理ファイナンスです。

国際・金融との接続例として、一上響教授の専門はマクロ経済学、ファイナンス、国際金融、金融政策です。

経済史分野の例として、飯田恭教授の専門はヨーロッパ社会経済史、近世・近代ドイツ農村・林野史、比較経済史です。

環境関連分野の例として、阿部景太教授の専門は資源経済学・応用ミクロ経済学・水産資源管理です。

社会関連分野の例として、石井太教授の専門は人口学(死亡分析・数理人口学)、年金数理です。

制度・社会との接続例として、井手英策教授の専門は財政社会学、財政史、地方財政論です。

以上は出願先を推薦するものではなく、公式HTMLで専門を確認できた代表例です。たとえば教育格差を扱う場合、教員の専門と名詞が一致するだけで適合と判断してはいけません。対象となる家計行動、用いるデータ、識別する関係、先行研究との差を整理し、そのうえで研究分野の接続を確認します。名前の一致より研究課題の一致を見てください。

方法の違いまで比較する

同じ社会課題でも方法は異なります。教育、医療、資源など対象を示す専門分野だけでなく、ミクロ経済学、応用計量、理論、歴史といった接近方法まで比較してください。対象が一致しても、研究で用いる推論の方法が異なれば、必要な指導や科目は変わります。

専門分野が近くても、利用するデータや理論枠組みが大きく違うことがあります。教員一覧から詳細ページへ進み、研究概要、担当科目、研究キーワードを確認し、近年の論文も自分で調べましょう。研究計画書には、教員の経歴を紹介するのではなく、自分の問いがどの学術的議論に入り、どの方法を必要とするのかを書きます。

教員情報は出願直前に更新する

教員の所属や研究分野は年度により変わるため、出願前に必ず最新の経済学研究科教員一覧で確認してください。さらに、出願年度の希望指導教員一覧に氏名があるかを確認します。研究分野が指導範囲に入るか不明な場合、公式要項では所定フォームによる任意の事前照会が案内されています。遅くとも出願登録開始2週間前までとされ、回答は保証されません。

教員一覧を調べる実務的な手順

まず、自分の研究計画から検索語を五つほど抜き出します。対象だけでなく、理論、方法、データ、制度を含めてください。次に公式教員一覧で検索し、専門欄と研究概要を読みます。候補者が見つかったら、その教員が入試要項の希望指導教員一覧に含まれるかを確認します。この二段階を省くと、研究分野は近いが出願年度には希望できない教員を選ぶおそれがあります。

続いて、候補教員の最近の研究と自分の計画を比較します。比較項目は、中心となる問い、分析単位、理論、方法、資料です。五項目のうち対象だけが一致するなら、接続は弱い可能性があります。方法と理論が一致し、先行研究上の議論も共有していれば、研究上の接点を具体的に説明しやすくなります。

計画書本文で教員名に触れる場合でも、「この教員がいるから学びたい」で終えず、その専門分野に接続するために必要な先行研究と技能を書きます。複数の候補を比較した記録は、本文に全て載せる必要はありませんが、テーマ適合を判断する資料になります。教員検索はテーマ検証の工程として使ってください。

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自分の研究テーマが研究科に合うか判定する

社会問題を研究上の問いに変える

最初に「関心のある問題」と「研究上の問い」を分けます。少子化、物価上昇、地域格差、脱炭素といった語は対象領域であって、まだ研究テーマではありません。誰のどの行動や制度に注目し、何と何の関係を、どの範囲で明らかにするのかを疑問文にします。一文の問いにできなければ範囲が広い可能性があります。

  1. 関心のある経済現象を一つ書く
  2. 分析単位を家計、企業、政府、地域などから決める
  3. 結果変数と主要な要因を仮置きする
  4. 対象時期・地域・制度を限定する
  5. なぜ既存研究だけでは答えられないかを書く

歴史・思想系では、結果変数や因果推論だけが唯一の形ではありません。概念がどの文脈で形成されたか、制度がどの史料からどう理解できるか、先行解釈のどこを再検討するかを問いにします。重要なのは、方法をテーマに合わせることであり、定量分析を形式的に付け足さないことです。

先行研究の不足を一文で示す

テーマ適合を判断するには、代表的な先行研究を読み、何が分かり、何が残っているかを整理します。「研究が少ない」だけでは不十分です。対象国が限定されている、制度変更後のデータがない、内生性への対処が弱い、異なる理論の予測が未比較、未利用史料があるなど、不足の種類を特定します。

先行研究との差は、大きさより明確さが重要です。修士論文で学問分野全体を覆す必要はありません。既存研究の対象、データ、時期、方法のいずれかを適切に広げ、なぜその追加が知見を更新するのかを説明します。公式の学位方針が示す既存研究の理解と独自の視点・分析の両方を満たす形です。

データ・史料・方法の実行可能性を点検する

計画段階で最も見落とされやすいのが、資料へのアクセスです。政府統計なら利用単位と期間、個票なら申請条件、企業データなら費用、アンケートなら対象者確保と倫理的配慮、歴史史料なら所蔵先・言語・閲覧条件を確認します。「入学後にデータを探す」だけでは、研究計画になりません。

  • 必要な変数または史料が存在するか
  • 修士課程の期間内に取得できるか
  • 必要な数学・統計・言語能力を補えるか
  • 分析結果が出ない場合にも学術的に解釈できるか
  • 指導可能な研究分野が研究科内にあるか

五つに答えられれば、テーマはかなり具体化しています。答えられない項目があれば、対象範囲を狭める、公開データへ切り替える、比較対象を減らすなどの修正を行います。面白さと実行可能性の交点が、修士研究に適したテーマです。

テーマ判定表を作って候補を比較する

候補が複数ある場合は、頭の中で決めず、同じ基準で比較します。基準には、問いの明確さ、先行研究へのアクセス、独自性、データ・史料の取得可能性、必要技能、10研究分野との接続、教員の専門との接続を置きます。各項目を三段階で評価し、低い項目の改善可能性を考えます。

点数が高いテーマを機械的に採用する必要はありません。たとえば独自性は高いがデータがないテーマは、公開資料を使う別の問いへ変更できるかもしれません。教員との接続が弱いテーマは、中心分野を変えるのではなく、先行研究の読み方を修正すれば適合が見える場合があります。比較の目的は、弱点を早く発見することです。

最後に、候補テーマごとに200字程度の要旨を書きます。背景、問い、方法、期待成果が一段落でつながるかを確認してください。説明に長い前提が必要な候補、方法を書けない候補、成果だけが大きい候補は再検討します。短い要旨は計画の圧縮テストになります。

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所定2枚・6項目に合わせた研究計画書の書き方

研究テーマは対象・問い・方法が見える形にする

研究テーマ欄は、短くても本文全体の設計図になります。「日本の少子化について」のような題名では、問いも方法も見えません。「自治体の保育所整備が既婚女性の就業行動に与える影響」のように、対象、説明したい関係、分析の方向が伝わる表現を目指します。結論を題名に書くのではなく、何を検証する研究かが分かる題名にします。

題名は初稿で固定しません。先行研究を読み、使えるデータを確認すると、対象や方法が変わります。本文を書いた後、最終的な問いと一致するように題名を更新してください。壮大な社会的価値を詰め込むより、研究対象を正確に表す方が有効です。

意義・問題意識は社会的意義と学術的意義を分ける

問題意識では、現象の重要性を簡潔に示した後、なぜ経済学で分析する必要があるかへ進みます。ニュースや個人的経験から始めても構いませんが、それだけで欄を埋めないようにします。政策上重要であることと、研究上未解決であることは別です。社会的意義の次に学術的な空白を置くと、研究としての必要性が伝わります。

たとえば価格高騰が生活を圧迫しているという事実だけでは、研究の独自性は示せません。既存研究が平均的影響を示している一方、所得階層や地域別の調整行動が十分に分からない、と論点を絞ります。その不足を明らかにすると、次の「系譜と背景」へ自然につながります。

系譜と背景は文献リストではなく論争の地図にする

先行研究は、著者名と結論を順番に並べるだけでは弱くなります。理論的な立場、使われたデータ、分析方法、主要な知見でグループ化し、研究の流れを説明します。各グループの到達点と限界を比較し、最後に自分の問いが埋める空白を一文で示します。

所定用紙は限られているため、関連文献をすべて紹介することはできません。研究の根拠になる代表文献を選び、主要な対立や不足が分かるようにします。引用情報は表記を統一し、実際に読んだ文献だけを扱います。汎用的な構成例は研究計画書の例文・テンプレート集も参考になりますが、慶應の6項目へ再配置する必要があります。

研究計画は再現可能な手順として書く

研究計画欄には、研究のアプローチ、分析方法、計画を書くことが公式様式に示されています。定量研究なら、データの出所、対象期間、分析単位、主要変数、推定方法、想定する識別上の課題を書きます。理論研究なら、モデルの主体、選好や制約、比較する均衡や命題を示します。歴史研究なら、一次史料、対象時期、比較枠組み、史料批判の手順を示します。

方法名だけを書くのではなく、なぜその方法が問いに答えられるかを説明します。「回帰分析を行う」だけでは、変数選択や因果解釈が不明です。自然実験を利用するなら、制度変更がどの集団にどう異なる影響を与えるかを説明します。問いから方法が選ばれた因果関係を文章で示してください。

期待成果は予想と貢献を区別する

期待される成果は、都合のよい結論を宣言する欄ではありません。仮説が支持された場合と支持されなかった場合の双方で、どの議論を更新できるかを考えます。既存研究への貢献、方法上の貢献、対象地域や期間を拡張する貢献を分けると整理しやすくなります。

展望では、修士論文の成果が政策、実務、後続研究にどう接続し得るかを慎重に示します。研究だけで社会問題を解決すると断定せず、意思決定に必要な知見を提供する、既存の理解を再検討する、追加検証の基盤を作るといった範囲に留めます。

2枚に収める編集は優先順位で行う

初稿は枠を気にせず書き、その後で所定項目へ移す方法が有効です。最初から短く書こうとすると、先行研究や方法の検討が不足したまま、抽象語でまとめてしまいがちです。長い初稿を作ったら、各文に「背景」「問い」「先行研究」「方法」「成果」のラベルを付け、置き場所を決めます。

削る順番は、一般論、重複、形容、詳細例です。社会問題が重要だという説明が複数段落あるなら一段落にし、大学の理念の引用は自分の研究との接続がなければ削ります。一方、先行研究との差、データの出所、方法を選ぶ理由は残します。審査に必要な根拠から文字数を配ることが大切です。

文章を短くする際は、名詞を重ねた抽象表現より、主語と動詞を明確にします。「多角的かつ総合的な観点から検討を行う」では、何をするのか分かりません。「自治体別パネルデータを用いて制度導入前後の就業率を比較する」とすれば、文字数が近くても情報量が増えます。固有の対象と操作を残してください。

研究アプローチ別に必要情報をそろえる

実証研究では、母集団、観測単位、対象期間、データの入手元、主要変数、比較の設計をそろえます。政策導入の前後を比較する場合、同時期に生じた別の変化をどう区別するかも考えます。公開データを使うなら、集計単位が問いに合うかを確認してください。都道府県単位のデータしかないのに個人の行動を説明しようとすると、分析単位がずれます。

理論研究では、経済主体、選択肢、制約、情報、時間構造を明示します。既存モデルのどの仮定を変更し、その変更が均衡や厚生にどのような予測をもたらすかを書きます。現実の複雑さをすべてモデルに入れるのではなく、問いに必要な仕組みを抽象化します。仮定を置く理由と検証可能な含意が見えると、計画の役割が明確になります。

歴史研究では、対象時期と地域、使用する一次史料、史料が作成された主体と目的、既存解釈との違いを示します。史料が残っていることと、問いに答えられることは同じではありません。複数種類の史料を照合するのか、数量化するのか、事例比較を行うのかを説明します。思想史では、概念を現在の意味で一括せず、当時の語用と論争の文脈をたどります。

実験研究では、参加者、処置、比較条件、測定する行動、仮説を具体化します。対象者の募集、謝礼、倫理的配慮、実施環境など、実行面の条件も考えなければなりません。研究計画書の段階で全手続きを確定できなくても、必要な準備を認識し、入学後の指導のもとで調整する範囲を区別しておきます。

引用と用語を統一する

所定用紙の限られた枠でも、先行研究の出所が分かる表記は必要です。本文中の著者年方式などを一つ決め、表記揺れをなくします。参考文献一覧の置き方は様式の枠との兼ね合いがあるため、最新様式を確認したうえで読み手が追跡できる情報を残します。存在しない文献や未読文献を生成ツールから転記してはいけません。

経済学用語も統一します。「影響」「効果」「関係」を無差別に使うと、因果関係を推定するのか相関を記述するのかが曖昧になります。因果効果を主張するなら識別戦略が必要です。記述研究なら、その価値と限界を正確に示します。用語の精度は方法の精度を映すと考えましょう。

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評価されにくい研究計画書の共通点と改善法

研究科の射程外または経済学の問いになっていない

企業の新規事業案、自治体への提言、社会問題への感想だけで構成された計画は、学術大学院の修士論文へつながりにくくなります。改善するには、意思決定主体、制度、資源配分、インセンティブ、因果関係、歴史的変化など、経済学で分析できる問いへ変換します。提言の前に説明と検証を置くことがポイントです。

指導可能な分野との接続が見えない

テーマが魅力的でも、研究科の10分野、カリキュラム、教員の専門との接続が説明されていなければ、入学後の研究環境が見えません。教員名だけを挙げるのも不十分です。先行研究と方法を整理し、その研究がどの分野の議論に属するかを説明した後、最新の教員一覧と希望指導教員一覧を照合します。

一人の教員に合わせてテーマを無理に作ることも避けましょう。正式な指導教授は入学後に決まり、出願時の一覧に載る教員でも指導できない場合があります。分野全体への適合を土台にすることで、計画の安定性が上がります。

方法が実行不能または問いと合っていない

非公開個票を当然に使える前提にする、全国調査を一人で短期間に実施する、必要な言語能力や数学的準備を無視する、といった計画は実行可能性に疑問が残ります。データや史料の入手経路を確認し、代替案も準備します。分析手法は高度さを競うものではなく、問いに適したものを選びます。

因果効果を論じるのに単純な相関だけを示す、歴史的概念を現代の定義だけで読む、理論モデルの仮定と現実の対応を説明しないなど、問いと方法のずれにも注意が必要です。方法を一文で説明した後、「この方法により、問いのどの部分が明らかになるか」を続けて書くと点検できます。

先行研究の位置づけがない

「このテーマの研究はない」と簡単に断定する計画は危険です。日本語の論文だけでなく、関連する英語文献、隣接分野、類似制度を扱う研究まで検索します。完全に同じ対象がなくても、理論や方法を共有する研究は存在することが多いからです。

改善の手順は、レビュー論文や主要誌から基礎文献を見つけ、引用・被引用をたどり、論点別に表へ整理することです。そのうえで、自分の研究が継承する点と変更する点を分けます。独自性は先行研究との比較で示すものであり、自己申告ではありません。

壮大な成果を約束している

「日本経済を活性化する」「格差問題を解決する」といった成果は、修士論文一つで直接達成できる範囲を超えています。社会的関心が大きいテーマほど、研究で明らかにできる部分を限定する必要があります。特定政策の効果推定、制度形成過程の再解釈、ある理論予測の検証など、成果を学術的な単位へ戻します。

期待成果は、仮説どおりの結果が出ることを前提にしないようにします。有意な効果が確認されない場合でも、対象期間では理論予測が支持されない、異質性がある、データの限界が明らかになるといった知見が得られます。結論を約束せず検証の価値を示すことが研究計画の書き方です。

慶應である理由が施設名の列挙になっている

志望先固有性を出そうとして、大学の歴史、知名度、立地、施設を並べても、研究計画との関係は強くなりません。10研究分野、必要な専攻科目、ワークショップ、修士論文指導の工程と、自分の研究上の不足を対応させます。たとえば計量手法を補い、応用経済学ワークショップで研究報告に触れ、予備分析を更新するという流れなら、教育環境との接続が見えます。

ただし、履修できる科目や担当教員は年度によって変わります。過年度のシラバスだけを根拠に受講を断定せず、最新情報を確認してください。大学に自分を合わせるために問いを曲げるのではなく、研究上必要な環境が研究科にあるかを検証する姿勢が重要です。

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出願までの逆算スケジュール

完成日ではなく検証日を複数置く

研究計画書は、最後の一週間で文章を整えるだけでは完成しません。問いを作り、先行研究を読み、資料を確認し、教員の専門と照合する反復が必要です。Ⅰ期とⅡ期で具体的な出願日は異なるため、最新の公式入試ページを基準に、自分の締切から逆算してください。

出願まで主な作業完了基準
6〜8か月前関心領域と基礎文献の探索問いの候補が3つある
5か月前先行研究の分類到達点と不足を一文で説明できる
4か月前データ・史料と方法の確認取得経路と代替案がある
3か月前10分野・教員一覧との照合中心分野と隣接分野が決まる
2か月前所定6項目の初稿全欄が論理的につながる
1か月前第三者の確認と改稿根拠、用語、引用が検証済み
2週間前様式・口頭説明の最終確認枠内に収まり、要旨を説明できる

公式要項の事前照会を使う場合は、遅くとも出願登録開始2週間前までとされています。これは回答の期限ではなく、照会する側の期限であり、回答があるとは限りません。事前照会を待って初稿を書くのではなく、自力で研究計画を具体化した後に確認する順番が適切です。

週単位で成果物を決める

「今週は文献を読む」では進捗を測れません。「主要文献5本の問い・方法・結論・限界を表にする」「利用候補データの変数表を作る」「研究テーマを40字以内で3案作る」のように成果物を決めます。毎週、問い、先行研究、方法の整合が崩れていないか確認します。

初稿後は、内容、構成、表現を別々に直します。最初に事実関係と論理、次に所定欄への配置、最後に日本語と字数を整えます。一度にすべてを直そうとすると、表現だけが滑らかで根拠の弱い文章になりがちです。一般的な作成手順は研究計画書の書き方も参照できます。

口頭で3段階の説明を用意する

計画書が完成したら、30秒、2分、5分の三つの長さで説明を作ります。30秒では問いと意義、2分では先行研究との差と方法、5分ではデータ、実行可能性、研究科との接続まで話します。時間を変えても主張が変わらないことが、一貫性の確認になります。

質問への準備では、なぜその対象か、なぜその方法か、データは入手できるか、別の説明可能性は何か、結果が仮説と異なったらどう解釈するかを検討します。弱点を隠すより代替案を示す方が、研究計画として誠実です。

提出直前の品質確認を分担する

第三者に読んでもらう場合は、「感想をください」と頼むより確認項目を分けます。経済学を学ぶ人には先行研究と方法の妥当性、専門外の人には問いと文章の明瞭さ、指導経験のある人には所定項目の配分を見てもらいます。指摘が異なる場合は、研究上の正確さを保ちながら説明を平易にする方法を探します。

最終版では、固有名詞、教員名、専門分野、制度、URLを公式情報と再照合します。誤字だけでなく、引用した文献の著者、年、題名、データ名称、対象期間も確認します。研究計画の核心に関わる数値は、出典をたどれる状態にしてください。最終確認は文章より事実から行うと重大な誤りを減らせます。

印刷後の見え方も確認します。Word上で枠内に収まっていても、PDF化や印刷で改ページ、文字切れ、フォント置換が起きることがあります。大学が指定する方法に従い、ページ数、余白、氏名欄、整理番号欄、片面印刷などを点検します。提出後は変更できないため、内容版と提出版が一致しているかも確認しましょう。

先行研究ノートを研究計画書へ変換する

文献を読んだら、要約だけでなく、研究の問い、理論、データ・史料、方法、結論、限界、自分の計画との関係を一行ずつ記録します。同じ項目で記録すると、文献同士を比較できます。読んだ順にメモを並べるだけでは、所定様式の「研究の系譜と背景」に変換しにくいため、論点別に再分類してください。

文献の分類軸は、理論の違い、方法の違い、対象時期の違い、結論の違いから選べます。たとえば最低賃金の雇用効果を扱うなら、理論予測、国や制度、識別方法、対象労働者によって研究群を分けられます。分類後、各群で一致していることと対立していることを書き、自分の研究が動かす比較軸を一つ選びます。

自分の主張に都合のよい研究だけを選ばないことも大切です。反対の結果を示す研究や、異なる方法による研究を含めると、仮説の条件が明確になります。研究計画は結論を補強する資料集ではなく、まだ答えが確定していない問いを検証する設計です。反証可能性がなければ、分析結果にかかわらず同じ結論へ進む文章になってしまいます。

文献探索には終了条件を置きます。新しく読む論文から重要な理論、方法、代表研究がほとんど増えなくなり、主要な引用関係を説明できる段階が一つの目安です。その後も更新は続きますが、出願書類では研究領域の地図を示せればよく、全論文の網羅が目的ではありません。

データ入手前に分析設計を仮登録する

定量研究では、データを眺めてから都合のよい仮説を作ることを避けるため、先に問い、主要仮説、結果変数、説明変数、比較方法を書きます。これは正式な事前登録を求めるという意味ではなく、研究計画書の論理を自分で固定して点検する作業です。追加分析と主要分析を区別しやすくなります。

同時に、想定する限界も書き出します。測定誤差、欠測、サンプルの偏り、制度選択の内生性、外的妥当性など、結果の解釈を左右する条件です。限界があるから研究できないのではなく、どこまで言えるかを限定する材料になります。弱点への対処と残る限界を分けると、過度な主張を防げます。

歴史資料や質的資料でも同じ発想が使えます。どの史料がどの問いに答え、何を代表できず、欠落がどの方向の偏りを生むかを事前に考えます。単一事例を扱うなら、事例選択の理由と、そこから一般化できる範囲を示します。分析後に研究目的を広げず、資料が支える範囲に結論を置きます。

こうした準備は所定2枚に全て書くためではありません。短い本文の背後に、質問されたとき説明できる設計を持つためです。枠内には問いを判断するうえで重要な情報を残し、詳細な変数候補や文献表は自分の準備資料として管理しましょう。

準備資料には版の日付を付け、テーマを変更した理由も残します。先行研究を読んで問いを狭めたのか、データ制約で対象を変更したのかが分かれば、最終版の判断根拠を説明できます。共同で添削を受ける場合も、どの指摘を採用し、なぜ採用しなかったかを記録すると、文章の一貫性を保ちやすくなります。研究計画書は他人の修正を集めた文書ではなく、出願者自身が研究判断を説明する文書です。最終的な用語、仮説、方法の意味を自分で理解しているか、一文ずつ確認してください。

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よくある質問(FAQ)

研究計画書に字数指定はありますか

公式様式には項目別の字数指定はありません。ただし、全2枚の所定ページ・枠内に収める必要があり、ページ追加や別紙添付はできません。文字を極端に小さくするのではなく、6項目の重複を削り、問い、先行研究、方法を優先して配置してください。

希望指導教員への事前連絡は必要ですか

事前照会は任意です。公式要項では、研究分野が教員の指導範囲にあるかを所定フォームで問い合わせられ、遅くとも出願登録開始2週間前までとされています。回答は保証されず、照会が合格を保証するものでもありません。研究計画を整えてから適合だけを確認するのがよいでしょう。

経済学部以外の出身でも研究計画書を書けますか

出身学部だけで計画の可否は決まりません。ただし、公式のアドミッション・ポリシーは学部レベルの経済学の基礎知識と学術論文を読み解く力を求めています。非経済系出身者は、関心の説明だけでなく、理論、統計、数学、英語文献など不足する基礎をどう補うか示してください。

Ⅰ期とⅡ期で研究計画書は変えるべきですか

所定様式の基本項目は共通ですが、Ⅰ期とⅡ期では選抜方法が異なります。Ⅱ期は提出論文の審査もあるため、研究計画書と提出論文の問題意識、方法、今後の発展が矛盾しないよう点検が必要です。制度の詳細は最新要項と既存の外部院試記事で確認してください。

希望指導教員は出願時に確定しますか

確定しません。出願時には希望指導教員一覧から選びますが、正式な指導教授は入学後に決定します。掲載教員でも留学などにより指導できない場合があります。教員一人への依存ではなく、研究分野とカリキュラムへの適合を説明しましょう。

定量分析でないテーマでも出願できますか

研究科には学史・思想史、経済史、社会関連などを含む10研究分野があります。したがって、すべての計画が計量分析である必要はありません。重要なのは、問いに合う史料、理論、比較枠組み、分析手順を示し、その分野の先行研究に位置づけることです。

卒業論文が未完成でも研究計画書は書けますか

書けますが、これまでの学習と入学後の計画の接続を説明してください。所定様式には卒業論文や発表論文等を書く欄があります。未完成なら現時点の題目、問い、進捗を正確に整理し、成果を誇張しないことが大切です。

研究計画書は口頭試問で使われますか

公式要項は、口頭試問における研究計画書の具体的な使用方法までは明記していません。そのため質問内容を断定はできません。ただし、提出書類の内容について、問い、先行研究、方法、実行可能性、希望分野を自分の言葉で説明できるよう準備するのが安全です。

まとめ

慶應義塾大学大学院経済学研究科の研究計画書は、所定2枚に情報を詰め込む作業ではありません。単一の経済学専攻の中にある5領域・10研究分野、専攻科目と演習科目、修士論文の審査工程、教員の専門を読み取り、自分の問いを入学後に実行できる計画へ変換する作業です。

  • 2026年度実施入試ではⅠ期・Ⅱ期とも研究計画書を提出する
  • 所定用紙は2枚で、ページ追加・別紙添付はできない
  • 6項目の役割を分け、同じ説明の重複を削る
  • 10研究分野のうち中心分野と隣接分野を特定する
  • 30単位と修士論文の工程から方法・日程を逆算する
  • 教員名ではなく、問い・先行研究・方法の接続を確認する
  • 教員配置と希望指導教員一覧は出願年度に更新確認する

最初に取り組むべきことは、関心のある社会問題を一文の研究上の問いへ変えることです。次に、先行研究の到達点と不足を整理し、利用できるデータや史料、分析方法を確認します。その後で研究科の10分野と最新の教員一覧を照合すれば、志望先に合わせるためだけの文章ではなく、修士論文まで一貫した研究計画になります。

募集要項・出願書類の様式・教員の配置は年度により変わるため、出願前に必ず最新の公式情報で確認してください。独学で問いの絞り込み、先行研究の整理、方法の選択を同時に進めることに不安がある場合は、慶應義塾大学大学院の研究計画書対策を含む大学院入試コースなど、専門の指導を活用するのも一つの方法です。

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この記事を書いた人

千葉大学 法政経学部を首席で卒業後、都内国公立大学の法科大学院(ロースクール)を修了し、司法試験に合格。法律・政治・経済分野の専門知識をもとに、スプリング・オンライン家庭教師の大学編入・大学院入試分野の指導および記事監修を担当。

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