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東京都立大学大学院経営学研究科の研究計画書の書き方|専攻・カリキュラム・教員の研究分野から逆算する

東京都立大学大学院 経営学研究科の研究計画書を作るときは、一般的な「問題意識・先行研究・方法」の型に当てはめるだけでは足りません。経営学プログラム(MBA)、経済学プログラム(MEc)、ファイナンスプログラム(MF)で、書類の名称、枚数、記載項目、入学後の研究プロセスが異なるからです。
この記事でいう研究計画書とは、修士課程で検証する問いと実行手順を示す設計図です。出願者の熱意を伝える作文ではなく、そのテーマが研究科の射程に入り、公開されている教員の研究分野と接続し、修了までに遂行できることを説明する文書と考えましょう。
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2027年度募集要項では、MBAは志望理由A4用紙1枚と研究計画4枚以内、MEcは志望理由書3枚以内、MFは志望理由書2枚以内と研究計画書2枚以内です。別プログラム用の文章を名称だけ変えて流用できません。本記事では、入試日程や試験科目の詳細は東京都立大学大学院経営学研究科の外部院試解説に譲り、研究テーマとプログラム、カリキュラム、教員の研究分野をどう一本の線にするかを解説します。
注記:募集要項・出願書類の様式・教員の配置は年度により変わるため、出願前に必ず最新の公式情報で確認してください。
読み進める際は、まず自分が志望するプログラムの欄を確認し、次にカリキュラムと教員分野の欄へ進んでください。その後で、テーマ適合性の判定手順とプログラム別の書き方を使って、自分のメモを作ります。「研究したいこと」「学術的に未解明のこと」「入手できる証拠」「本研究科で学ぶ必要」の4点がつながれば、初稿の土台ができます。書き始める前に、テーマの適合性を判定することが、最終的な修正を減らします。
東京都立大学大学院経営学研究科で研究計画書がどう扱われるか
3プログラムで提出書類の形が異なる
まず「経営学研究科の研究計画書は何字か」という問いに、一つの数字では答えられません。公式は字数ではなくA4の枚数で上限を示しています。さらにMEcの書類名は「志望理由書」ですが、その中に修士論文のテーマ、背景、方法、準備を書くため、実質的に研究計画の説明が含まれます。
| プログラム | 提出書類と上限 | 中心となる記載項目 |
|---|---|---|
| 経営学(MBA) | 志望理由A4・1枚+研究計画A4・4枚以内 | 研究テーマ、研究の意義、既習内容、今後の研究計画 |
| 経済学(MEc) | 志望理由書A4・3枚以内 | 志望理由、研究テーマ、入学のための準備、入学後の学習計画 |
| ファイナンス(MF) | 志望理由書A4・2枚以内+研究計画書A4・2枚以内 | 修士論文のテーマ、動機、研究内容 |
MBAでは、テーマはリサーチ・クエスチョンの形が望ましいと明記されています。たとえば「中小企業のDXについて研究する」は分野の宣言でしかありません。対象、概念間の関係、条件を絞り「どのような条件で何が何に影響するのか」と問える状態にします。テーマとは話題ではなく、答えを探せる問いです。
研究計画書は口頭試問と切り離さない
公式のアドミッション・ポリシーは、提出書類、筆答試問、口頭試問で能力や専門性を総合判定すると示しています。MFは筆答試問がなく、口頭試問でファイナンスや数学に関する質問も行われます。したがって、文章として美しいだけでは足りず、口頭で根拠と手順を説明できる必要があります。
作成中は、各段落に対して「その先行研究をなぜ選んだか」「そのデータは実際に入手できるか」「その方法を使う基礎はあるか」と自問します。面接で説明できない一文は、計画書にも残さないという基準が有効です。入試方式の全体像と口頭試問の位置は、対応する外部院試の解説記事で確認できます。
経営学専攻の3プログラムと研究領域
MBA・MEc・MFの違いを方法から見る
経営学研究科の博士前期課程は、経営学専攻の中に3プログラムを置いています。同じ専攻であっても、適合する問いの形と必要な準備は同じではありません。「企業を扱うからMBA」「金融機関で働くからMF」と職業名だけで決めるのではなく、問いに答えるための理論と方法がどこにあるかで判断します。
| プログラム | 公式が示す主な領域 | 計画書で確認したい軸 |
|---|---|---|
| MBA | 経営戦略、マーケティング、経営組織、会計学、データサイエンス | 企業・組織の現象を概念化し、事例・調査・データで検証できるか |
| MEc | 経済学、経済史 | 理論・実証・歴史分析のどれで問いに答えるか |
| MF | 投資運用、デリバティブ、リスク管理、金融経済学 | 数学・統計・プログラミングとデータの準備が研究に対応するか |
MBAの5プロジェクトは、題材の業界ではなく、研究上の焦点で分かれます。例えば、同じ小売企業のデジタル化でも、競争優位の形成なら経営戦略、顧客行動ならマーケティング、従業員の受容なら経営組織、投資の業績効果なら会計学、予測や最適化ならデータサイエンスというように、同じ対象から異なる問いが生まれます。
MEcの経済学と経済史を分ける
MEcでは、経済学プロジェクと経済史プロジェクのいずれかを選びます。経済学プロジェクはミクロ経済学、マクロ経済学、計量経済学とそれを支える経済数学をコアとします。計画書で政策効果を扱うなら、結論の期待を書く前に、比較対象、変数、識別の考え方、利用可能なデータを整理すべきです。
経済史プロジェクは、経済史の視角・方法論と史料への理解を重視します。「過去の事例を調べる」だけでは研究計画になりません。どの史料を、どの研究史に位置づけて読むかを示す必要があります。経済学と経済史では、同じ経済現象を扱っても証拠の作り方が異なると理解しましょう。
MFは実務課題と数理的実行可能性をつなぐ
MFでは、研究計画書とは別に、数学、統計学、プログラミング技術、ファイナンス・経済学、英語などの知識・技術を記す自己申告書も求められます。つまり、研究計画書に高度な手法名を並べても、自己申告書が示す準備と一致しなければ、計画全体の説得力が下がります。現在の力を過大に見せるより、入学前と入学後に埋める技能差を具体化するほうが整合的です。
カリキュラムと修了要件から研究の型を逆算する
MBAはプロジェクトと論文の接続を書く
MBAでは、出願時に希望する教育研究プロジェクを1つ選び、2年次にその担当教員から指導教員が決定される構造です。修士論文または課題研究論文の指導が行われるため、研究計画には「なぜそのプロジェクでなければならないか」を、領域と手法の両面から書きます。
例えばマーケティング・プロジェクトは、マーケティング論の研究蓄積とリサーチメソッドを学び、事例研究や実証研究を進める設計です。そこに接続する計画なら、「顧客理解を深めたい」ではなく、どの理論の未解明点を、どの対象と資料で検討するのかを示します。履修したい科目名は、研究手順のどこで必要かまで書くと、志望理由との重複を避けられます。
MEcは1年次の基礎と2年次の論文をつなぐ
MEcのカリキュラムは、研究計画の実現可能性を考える手がかりになります。経済学プロジェクでは1年前期にミクロ、マクロ、計量、経済数学のコア科目を学びます。1年後期の経済学特別演習では、複数教員の集団指導の下、論文の読解・再現・仮定やデータを変えた分析に取り組みます。
2年次は基本的に指導教員と副指導教員の2人から指導を受け、中間審査会と最終発表・審査へ進みます。この流れから逆算すると、志望理由書の「入学のための準備」は単なる勉強履歴ではありません。コア科目と演習に入れる基礎がどこまであるかを示す部分です。不足がある場合は隠さず、何をどの順番で補うかを書きます。
経済史プロジェクでは、経済史概論、日本経済史、経済史演習をコアとし、史料の理解や研究史の整理を進めます。そのため、計画書には対象時期と地域だけでなく、利用を想定する史料群、閲覧可能性、先行研究に対する疑問を書くと、入学後の学習計画と一貫します。
MFは30単位と修士論文への工程を示す
MFの修了要件は具体的です。基礎科目12単位以上、ファイナンス演習2単位、ファイナンス考究2単位、特別研究4単位を含む合30単位以上を取得し、修士論文審査に合格すると修士(ファイナンス)が授与されます。M1のスクーリングで知識を体系的に学び、ファイナンス演習で研究に入り、M2の考究・特別研究で論文に仕上げる流れです。
研究計画書の2枚は短いため、履修科目を羅列する余裕はありません。「データの取得と整形」「モデルの定式化」「推定またはシミュレーション」「頑健性の確認」など、研究の工程に必要な知識を明確にし、関連知識・技術の自己申告書と役割分担させます。計画書は何をするか、自己申告書は何ができるかを担います。
教員の研究分野マップとテーマの接続
教員情報は、大学公式の現行HTMLで氏名と研究分野を確認できた人だけを扱います。以下は全員の列挙ではなく、プログラムの幅を見るための代表例です。教員の所属や研究分野は年度により変わるため、出願前にMBA教員一覧、MEc教員一覧、MF教員一覧で最新情報を確認してください。
MBAの教員と研究分野
| 領域 | 教員の代表例 | 公式掲載の研究分野 |
|---|---|---|
| 経営戦略 | 松田千恵子教授。 | 経営・財務戦略、資本市場論。 |
| マーケティング | 中山厚穂教授。 | マーケティング・サイエンス。 |
| 経営組織 | 佐藤佑樹准教授。 | 組織行動論、人的資源管理論。 |
| 会計学 | 細海昌一郎教授。 | 管理会計、知的資本の実証的研究。 |
| データサイエンス | 森口聡子教授。 | 数理計画法、組合せ最適化、離散凸解析。 |
この表の使い方は「有名な教員を探す」ことではありません。まず自分の問いを一文にし、中心概念と方法を抜き出し、公式の研究分野と完全一致するかではなく、学術的な会話が成立するかを確認します。例えば、組織における従業員の行動や人材管理のテーマなら、佐藤佑樹准教授の公式掲載分野である「組織行動論、人的資源管理論」との接点を確かめられます。
ただし、接点があることと指導が約束されることは別です。教員名は「その教員でなければならない」と断定する材料ではないと理解しましょう。計画書では、公式の研究分野とプロジェクのカリキュラムを根拠に、研究環境との整合を控えめに示すのが安全です。
MEcの教員と研究分野
| 系統 | 教員の代表例 | 公式掲載の研究分野 |
|---|---|---|
| ミクロ経済学 | 渡辺隆裕教授。 | ゲーム理論。 |
| マクロ経済学 | 荒戸寛樹准教授。 | マクロ経済学、国際金融論。 |
| 計量経済学 | 暮石渉教授。 | 応用計量経済学、ミクロ計量経済学。 |
| 経済史 | 岩間俊彦教授。 | イギリス社会史、経済史、都市史、企業者史。 |
| 経済史 | 小林延人准教授。 | 日本経済史。 |
MEcでは、研究対象より先に方法の不一致を点検します。国際資本移動を理論・実証で検討するのであれば、荒戸寛樹准教授の公式掲載分野は「マクロ経済学、国際金融論」です。その接続を確認し、マクロ理論と計量手法の準備を書きます。一方、特定時期の企業者活動を史料で解明するなら、岩間俊彦教授。公式掲載分野との接点を見つつ、史料の所在と研究史を点検します。
MFの教員と研究分野
| 教員の代表例 | 公式掲載の研究分野 | テーマ点検の視点 |
|---|---|---|
| 内山朋規教授。 | 資産価格理論、投資運用理論、ポートフォリオ理論。 | 価格形成や運用問題を理論・実証のどちらで扱うか |
| 室町幸雄教授。 | 金融リスク管理、デリバティブの価格付け、期間構造モデル。 | リスクの定義、価格付けモデル、検証対象が明確か |
| 吉羽要直教授。 | 金融データサイエンス、金融リスク管理、計量ファイナンス、金融における最適化。 | データ、推定、最適化の目的が結びつくか |
| 八木恭子准教授。 | 金融工学、コーポレートファイナンス、コンピュテーショナルファイナンス。 | 数値解法と研究対象の関係を説明できるか |
MFの教員マップを使うときは、分野名の一致だけでなく、データと数理手法の対応を見ます。「AIで株価を予測したい」という発想は、目的変数、入力情報、比較基準、時系列の分割、取引費用などが未定のままです。使いたい手法から始めず、金融上の問いから設計することが大切です。
書き上げた研究計画書、そのまま出して大丈夫ですか?
研究職キャリアを持つ講師が、テーマ設定・先行研究の位置づけ・研究方法まで、出願レベルに届いているかを個別に確認します。
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自分の研究テーマが経営学研究科に合うか判定する手順
ステップ1:問題意識を研究上の問いに変える
職場や社会で感じた違和感は、良い出発点です。しかし、「若手が定着しない」「新商品が売れない」「市場リスクが高い」は、経営上の課題であって研究上の問いではありません。対象を限定し、説明したい結果と原因候補を整理し、どのような条件で関係が変わるかを問います。
この段階では、結論を決めないことも重要です。「リモートワークは生産性を上げる」という文は主張ですが、「どの職務・組織条件で、リモートワークは個人またはチームの成果にどのように関係するか」なら、反証可能な問いに近づきます。研究前に答えを固定しない問いに変えるのが第一歩です。
ステップ2:先行研究の地図を作る
次に、主要概念、理論、代表的な実証研究、対立する結果を整理します。論文を1本ずつ要約するだけでは、どこが未解明かは見えません。「何を説明したか」「対象は誰・何か」「方法は何か」「限界は何か」の4列で比較表を作ると、自分の問いの位置が見えます。
MBAの募集要項は読んだ文献やアクセスした情報のリストを求め、MEcも専門書と論文の学習を記すよう求めています。書誌情報や発行年を正確に管理し、引用候補の文章と自分の解釈を分けてメモしましょう。探し方がわからない場合は、研究計画書のための先行研究の探し方も参考になります。
ステップ3:データ・史料・調査対象へのアクセスを確認する
研究の実行可能性は、方法名ではなく証拠へのアクセスで決まります。社内データを使うなら利用許可、匿名化、欠測、比較群を点検します。インタビューなら対象者の募集経路、人数の見通し、記録と分析方法を考えます。公開統計なら変数定義、期間、改定の有無を確認します。
「入学後にデータを探す」という計画は危険です。現時点で候補を複数持ち、第一候補が使えないときの代替案も考えます。「入手できるはず」ではなく、入手条件まで確認することが、方法の信頼性を上げます。
ステップ4:プログラム・プロジェクト・教員を三重に照合する
最後に、自分の問いを3段階で照合します。第一にMBA・MEc・MFのどこに属するか、第二にMBAの5プロジェクトまたはMEcの2プロジェクトのどこに入るか、第三に公式教員一覧の研究分野と接点があるかを見ます。3つのうち2つ以上で説明が苦しいなら、テーマか志望プログラムを再検討します。
ここでのゴールは、教員の研究と自分のテーマを同一にすることではありません。同じテーマの完全な一致は、むしろ独自性を説明しにくくする場合があります。重ねるのは研究対象そのものより、理論・方法・分野です。その上で、自分は何を新しく問うのかを明らかにします。
3プログラム別・研究計画書と志望理由書の構成
MBA:志望理由1枚と研究計画4枚を分ける
MBAでは、志望理由と研究計画が別の分量で指定されています。志望理由には、なぜ経営学を学ぶのか、なぜ東京都立大学の経営学プログラムなのかを書きます。職務経験を長く説明するのではなく、現在の課題、学術的に考える必要、プログラムの教育資源、修了後の活用を一本にします。
研究計画4枚は公式の4項目に従います。研究テーマで問いと対象を示し、研究の意義で先行研究上の余地と実務上の価値を分けて書きます。「これまで学んだこと」では、文献の羅列でなく、何が分かり何が残ったかを整理します。今後の研究計画では、履修科目、追加文献、研究手法、情報源の順に工程を示します。
| MBAの項目 | 推奨する役割 | 点検質問 |
|---|---|---|
| 研究テーマ | 問い、対象、主要概念を定義 | 結果が未知の問いになっているか |
| 研究の意義 | 学術上と実務上の意義を分離 | 誰の何の理解が進むか |
| これまで学んだこと | 文献、調査、職務経験を研究課題に変換 | 感想でなく研究蓄積を示しているか |
| 今後の研究計画 | 学習・データ・分析・執筆の工程 | 2年間で実行可能か |
分量配分は公式指定ではありませんが、作成時の目安として、テーマ10〜15%、意義20〜25%、既習内容30〜35%、今後の計画30〜35%程度から始めると整えやすいでしょう。ただし、研究蓄積や方法によって調整します。枚数を埋めることより、各項目の役割を重複させないことを優先してください。
MEc:3枚で準備と学習計画を証明する
MEcは志望理由、研究テーマ、入学のための準備、入学後の学習計画を3枚以内に収めます。研究テーマ欄では、テーマ、選んだ理由と背景、方法、関係分野、自分が準備したことをまとめます。短いため、一般的な社会背景を長く書かず、先行研究との差が見える情報に絞ります。
入学のための準備では、経済学の学習、専門書・論文の読書に加え、英語、数学、統計学、データ分析、コンピュータ利用、文献調査の学習水準を具体化します。「統計学を学んだ」ではなく、何を教科書で学び、どのような分析を行ったかを書くと、入学後の学習計画と接続できます。
MF:2枚でテーマ・動機・研究内容を絞る
MFの研究計画書は、修士論文のテーマ(標題)、動機、研究内容の3項目です。動機では、テーマを選んだ理由、検討が必要な背景、実務経験との関係や重要性を書きます。ただし、職務で困った経験をそのまま書くのではなく、他の場面にも適用できる研究問題へ変換します。
研究内容では、テーマの内容と方法を具体的に書き、関連する既存研究があれば簡潔に要約します。2枚では先行研究の細かな羅列はできないため、問いに直結する研究を選び、それでは説明されていない点を一文で示します。独自性は「誰もやっていない」ではなく、既存研究との差として書きましょう。
研究計画書の汎用的な構成、リサーチ・クエスチョンの作り方、推敲の視点は研究計画書の書き方を徹底解説でも確認できます。その汎用型を本研究科の指定項目に並べ替え、各プログラムのカリキュラムと照合するのが実践的です。
通らない研究計画書に共通する型と修正法
研究科の射程外になっている
よくある失敗は、社会的に重要なテーマならどこでも研究できると考えることです。社会課題の重要性と、経営学・経済学・ファイナンスの研究問題として扱えることは別です。法制度の解釈そのもの、心理臨床上の介入、工学装置の開発が中心なら、本研究科での問いとして再構成できるかを検討します。
修正するときは、研究対象は保ったまま、従属変数、説明概念、分析単位を経営学等の理論に引きつけられるかを見ます。それでも自然な問いにならない場合は、志望先の再検討も必要です。志望校にテーマを無理に寄せると、方法にひずみが出ます。
指導可能性を教員名だけで説明する
「○○教授がいるから志望する」だけでは、研究の接続は分かりません。教員の公式掲載分野、希望プロジェクト、必要な科目、自分の問いと方法を一組で説明します。その教員の最新論文を確認する場合も、タイトルだけで判断せず、研究目的、方法、対象、結果の範囲を読みます。
逆に、研究分野が部分的に重なるだけで「指導を受けられる」と断定しないことも大切です。担当可否、配置、受入状況は変わり得ます。計画書では研究科との学術的整合を示し、最新の受入情報は公式に確認します。
方法が実行不能または過大である
「国内企業全社を対象にインタビューする」「非公開の取引データを用いる」「数学的準備なしに複雑な確率モデルを新規開発する」などは、2年間の修士研究として過大になりがちです。対象を絞る、公開データに切り替える、既存モデルの比較検証にするなど、問いを壊さず工程を縮小します。
方法の段落には、対象、資料・データ、収集方法、分析手法、得られる結果の範囲を書きます。「分析する」の一語で終わせず、証拠が結論に変わる手順を示すことが必要です。方法を完璧に固定できない場合でも、候補と選択条件は書けます。
先行研究が装飾になっている
文献を多く並べても、そこから研究上の空白が導かれなければ、計画書の核にはなりません。先行研究Aは何を明らかにし、Bはどの条件で異なる結果を示し、Cはどの方法の限界を指摘したのかを比較します。その後に、自分の対象・条件・方法が何を追加するかを書きます。
「日本では研究が少ない」という主張は、検索不足でも生じるため注意が必要です。日本語キーワードだけでなく英語の概念名、類義語、上位概念で探し、レビュー論文の参考文献と引用文献を追います。見つからないことを独自性にせず、見つけた研究の限界から独自性を組み立てます。
出願から逆算する研究計画書作成スケジュール
6か月で作る基本プラン
作成期間は、文章を書く時間より、テーマを絞り先行研究を読む時間を長く取ります。以下は6か月の例です。実際の出願日は最新の募集要項で確認し、証明書や語学スコアの準備と並行してください。入試日程・試験科目・出願書類全体は東京都立大学大学院経営学研究科の院試対策で整理しています。
| 出願まで | 主な作業 | 完了条件 |
|---|---|---|
| 6か月前 | 3プログラム、プロジェクト、教員分野の調査 | 候補テーマを3つ以内に絞る |
| 5か月前 | レビュー論文、基本文献、最新研究を収集 | 先行研究比較表と文献リストを作る |
| 4か月前 | 問い、対象、方法、データの確定 | 1枚のコンセプトメモにまとめる |
| 3か月前 | 指定項目に沿った初稿を作成 | 方法と実行可能性を第三者に説明できる |
| 2か月前 | 論理・出典・プログラム適合性の推敲 | 各主張に根拠があり、重複段落がない |
| 1か月前 | 様式、枚数、氏名、印刷、口頭試問の確認 | 1分・3分・10分の3長さで計画を説明できる |
6か月前の段階では、タイトルを確定する必要はありません。候補ごとに「学術的な問いへ変換できるか」「主要文献が見つかるか」「証拠を入手できるか」「教員分野と接続するか」の4点を採点します。ここで一つに絞れば、後半の書き直しが減ります。
初稿の前に1枚メモを作る
いきなり4枚または3枚を書き始めると、問題意識の説明が長くなり、方法が後付けになります。まず1枚に、仮タイトル、問い、先行研究の到達点と空白、資料、方法、予想される貢献、志望プログラムとの接続を1〜2文ずつで書きます。
このメモの項目間に矛盾がなければ、指定様式へ展開します。例えば、問いは因果効果を求めているのに、方法は少数の事例紹介だけであるなら、そのままでは答えられません。長文にする前に、問いと証拠の対応を1枚で確かめると、修正コストを抑えられます。
推敲は内容・論理・表現の3周に分ける
1回の読み直しですべてを直そうとすると、誤字を直しながら研究設計の欠陥を見落とします。1周目は内容だけを見て、問い、先行研究、方法、実行可能性、プログラム適合性を点検します。2周目は論理だけを見て、主張と根拠、段落間のつながり、用語の定義を確認します。3周目で誤字、文の長さ、書誌形式、枚数を整えます。
最後に紙で印刷し、欄外へのはみ出し、ページ右上の氏名、片面印刷、ホチキス止め不可など、最新要項の指定を確認します。デジタル画面では見えた表や文献リストが印刷時に崩れることもあります。仕上げの日と発送の日を同じにせず、修正の余白を残しましょう。
プログラム別に初稿の完成条件を変える
MBAの初稿は、指定された4項目がそれぞれ独立した役割を果たしているかで完成を判断します。研究テーマに背景を書きすぎ、研究の意義で同じ背景を繰り返し、これまで学んだことでも再び一般論を書くと、4枚あっても研究方法の紙幅がなくなります。テーマは問いの定義、意義は研究蓄積と実務への貢献、既習内容は現在地、今後の計画は実行工程と役割を分けます。
MBAで職務経験を書くときは、業績の自己紹介にしません。何を観察し、どのような既存の説明では理解できず、どの問いに変換したのかを示します。たとえば、新規事業の失敗を経験したという事実だけでは、一社の回顧です。意思決定の過程、組織内の情報配分、経営資源の組み合わせなど、経営学の概念に変換することで、他の組織にも開かれた問いになります。経験の珍しさではなく、概念化の精度で研究に変えるのがポイントです。
MEcの初稿は、研究テーマと「入学のための準備」の間に飛躍がないことが完成条件です。理論分析を計画するのに必要な数学を何も示さない、実証分析を計画するのに統計・計量の学習とデータ操作の記述がない、経済史を志望するのに史料調査と研究史の確認がないと、計画の実現性を説明できません。すべてを習得済みである必要はありませんが、学んだ範囲と残る課題を分ける必要があります。
MEcの入学後の学習計画は、科目名の希望リストではありません。1年前期のコア科目が研究のどの基礎を作り、後期の特別演習でどの論文をどの方法で読み、2年次の研究指導と中間審査に向けてどの分析を完了させるかを時系列で書きます。学習計画を履修案内で終わせず、修士論文の工程表にすることで、3枚の中に一貫性が生まれます。
MFの初稿は、研究計画書、志望理由書、関連知識・技術等に関する自己申告書の間で矛盾がないことが完成条件です。研究計画では高頻度データの高度な分析を予定しながら、自己申告書では統計とプログラミングの学習がほぼないという状態なら、入学後の補完計画が必要です。手法をより基礎的なものにする、入学前に行う学習を示す、研究を段階化するなど、一貫性を回復させます。
研究方法を「対象・証拠・分析・判定」に分解する
研究方法の記述は、方法名を一つ挙げて終えず、4つの要素に分解します。第一は研究対象で、企業、従業員、消費者、市場、政策、歴史資料などのどの単位を見るかを定めます。第二は証拠で、財務データ、質問紙、インタビュー、公開統計、史料など、何を観察するかを定めます。第三は分析で、証拠をどの概念やモデルで整理するかを示します。第四は判定で、どの結果が得られたら仮説を支持または見直すのかを書きます。
例えば、従業員の働き方と組織への定着を扱う場合、「質的研究を行う」だけでは不十分です。どの種類の組織で、どの層の人を対象とし、どの経路で協力を得て、何を質問し、記録をどの単位で分析し、先行研究のどの概念と対応させるかを書きます。そこまで分解すると、対象者を確保できないリスク、一社の特殊性、回顧の偏りなど、計画の限界も見えます。
定量研究では、「回帰分析を行う」だけではなく、分析単位、目的変数、主な説明変数、比較の考え方、利用期間、データ入手先を書きます。因果を主張したいなら、単なる相関とどう区別するかが必要です。現時点で細部が固まらないときは、候補とその選択基準を示します。方法名の高度さより、問いに答えられる設計かを優先しましょう。
経済史研究では、対象とする時期・地域・主体の範囲に加え、史料の性格を書きます。公文書、企業資料、新聞、個人記録では、作成目的も残り方も異なります。史料から読み取れることと読み取れないことを分け、異なる種類の史料を突き合わせるかを検討します。アーカイブや図書館での閲覧条件も、実行可能性の一部です。資料の名称を書くだけでなく、どの問いに対する証拠になるかを対応させます。
ファイナンス研究では、モデルの数学的な記述だけでなく、経済的な意味と検証手順を書きます。何をリスクと定義し、どの市場・資産・期間を対象にし、モデルの性能を何と比べ、実務での意味をどの指標で判断するかを示します。実務で用いられている方法を改良したい場合も、現行方法の限界を文献とデータで示し、改良案の評価基準を事前に定めます。
文献リストと本文を往復させる
MBAとMEcの要項は、論文の場合は著者名・発行年・表題・誌名、書籍の場合は著者名・発行年・表題・出版社名を明記するよう求めています。文献リストは読書量を誇示する付録ではありません。本文で重要な根拠に使った文献がリストにあり、リストに載せた主要文献が本文の論理に役立っている状態を作ります。
文献を読むときは、「自分の主張を支持する部分」だけを探さないようにします。反対の結果、適用できない条件、測定上の限界を読むことで、自分の問いはより精密になります。同じ概念に異なる定義がある場合は、どの定義を採用するかと理由をメモします。文献は権威付けではなく、問いの境界を決める材料です。
参考文献の書誌情報は、二次資料の孫引きで済ませず、原文献で確認します。同じ著者の同じ年の文献が複数ある場合、論文名や誌名の誤りは、口頭試問での説明にも影響します。文献管理表には書誌情報とともに、研究問題、データ、方法、主な結果、限界、自分の計画での役割を記録します。この表があると、推敲時に根拠のない一文を見つけやすくなります。
口頭試問用の「計画書カルテ」を作る
提出後は、研究計画書を読み返すだけでなく、一文ごとの根拠と弱点をまとめた「カルテ」を作ります。左側に計画書の主要主張、中央に根拠文献やデータ、右側に想定反論と回答を置きます。たとえば「この対象を選ぶ」と書いたなら、他の対象ではない理由、一般化の範囲、データが得られない場合の代替案を準備します。
説明は、1分で問いと意義を述べる版、3分で先行研究と方法を加える版、10分で実行計画と志望先との整合まで説明する版を作ります。どの長さでも、同じ問いと同じ根拠に戻れることが大切です。「研究の意義は何か」と聞かれたとき、社会的に大きな話に広げず、先行研究のどの理解をどう進めるかを答えられるようにします。
反論を受けたときは、すぐに計画を守ることより、指摘が何に向けられているかを分けます。問いそのもの、先行研究の読み、データの利用可能性、手法の適切さ、結論の一般化のどれなのかを確認し、必要なら修正可能性を示します。批判に耐えることは、計画を一字も変えないことではありません。根拠を保ちながら適切に見直せることも、研究遂行に必要な力です。
公式情報の最終確認リスト
出願直前は、過去に保存したPDFだけでなく、研究科の公式入試ページから当年度の募集要項を開き直します。プログラム名、入試区分、書類名、枚数、用紙方向、印刷方法、氏名の記載位置、提出方法をチェックします。文章の内容が良くても、別年度や別プログラムの様式では、指定を満たせません。
教員情報も同じ日に確認します。教員名の漢字、職位、所属プログラム、研究分野を公式ページの表記に合わせます。自分の解釈で研究分野を追加したり、他のサイトの紹介文を公式情報のように書いたりしてはいけません。受入れや指導の可否も推測せず、公式に確認できる範囲と自分の希望を分けます。
最後に、研究計画書、志望理由書、面接票、自己申告書など複数の書類を横断し、研究テーマ、希望プロジェクト、志望理由、学習履歴、将来計画に矛盾がないかを確認します。書類ごとに良い文章を作るだけでなく、出願書類全体を一つの計画にすることが大切です。必要書類の種類と試験の詳細は、当年度の公式募集要項を最終的な正としてください。
MBAのテーマ例を5プロジェクトで切り分ける
同じ企業現象でも、どのプロジェクトに接続するかで問いの形は変わります。例えば「サブスクリプション型サービスの継続利用」という対象に興味があるとします。経営戦略では、サービスを支える資源や組織能力が持続的な競争優位とどう関わるかを問えます。マーケティングでは、顧客の知覚価値、関係性、解約行動の関係を問えます。対象が同じでも、何を説明するかによって必要な理論とデータは変わります。
経営組織では、サービスを担うチームの協働、従業員の態度・行動、人材の育成などを問えます。会計学では、収益認識や管理会計情報、無形資産のマネジメントなどから問いを組み立てられます。データサイエンスでは、需要予測、顧客セグメント、推奨、価格や資源配分の最適化など、意思決定を支援する数理的課題に変換できます。テーマの対象ではなく、説明したい現象でプロジェクを選ぶと、プロジェク名を後付けする失敗を防げます。
プロジェクを選んだ後は、公式カリキュラムの紹介文と教員一覧を別々に読みます。プロジェクト紹介はその領域がどのような理論や方法を重視するかを知る資料であり、教員一覧は現在配置されている分野の幅を知る資料です。両方に共通する用語と、自分の先行研究で使われる用語を対応させると、志望先との接続を過剰に飾らず説明できます。
MEcでは問いの種類から経済学と経済史を選ぶ
経済学プロジェクに適しやすいのは、個人・企業・政府などの選択、市場の均衡、景気変動、政策効果、国際取引などを、理論モデルまたは統計的証拠で説明する問いです。ただし、「政策を評価したい」だけでは範囲が広すぎます。対象政策、影響を受ける主体、結果指標、比較対象、期間を定め、理論上どの経路を予想するかを明らかにします。
経済史プロジェクに適しやすいのは、特定の経済制度、市場、企業、企業者、労働、思想などの変化を、歴史的文脈と史料から解明する問いです。現在の制度の起源を探るだけではなく、先行する研究史がどの史料をどの視角で読んできたかを整理し、別の史料・時期・主体を検討する意義を示します。過去を扱うから経済史なのではなく、史料と研究史で問うから経済史です。
判断が難しいのは、長期時系列データを使って歴史的な変化を扱う場合です。その場合は、時期の古さではなく、主たる証拠と論証の形で判断します。統計モデルで仮説を検証するのが中心なのか、史料批判と文脈的読解で過程を解明するのが中心なのかを分けます。両方の方法を使う計画でも、どちらが問いの中心かを明らかにすると、希望プロジェクトを説明しやすくなります。
MFでは数理的な準備と研究の難度を合わせる
MFのテーマを考えるときは、理論、実証、計算のどの要素が中心かを分けます。資産価格理論やポートフォリオ理論の仮定を拡張するのか、市場データで価格形成やリスクを検証するのか、価格付けや最適化を数値計算で実装するのかによって、必要な基礎知識が異なります。研究計画書の方法と、自己申告書の数学・統計・プログラミングの準備を横に並べて点検します。
学習中の手法を使いたいときは、現在理解できている範囲、実装した経験、今後必要な基礎科目、代替可能なより単純な方法を書き出します。これにより、最先端の手法名だけが先行することを防げます。挑戦的な計画には、段階的な実行手順と代替案を付けることで、意欲と実行可能性を両立させられます。
データの選択では、取得可能性だけでなく、ライセンス、利用期間、サンプルの偏り、取引されていない時間や銘柄の扱い、企業行動による調整、欠測の処理を考えます。理論上の変数を実データのどの指標で測るかも、結果の解釈を左右します。データ名と手法名の間に、変数の定義と前処理を置くと、研究内容は現実的になります。
文章の完成度を上げる段落単位の点検
各段落の冒頭には、その段落で伝える結論を置きます。続く文で根拠、具体例、限定条件を示し、最後に次の段落への接続を作ります。一つの段落に志望理由、先行研究、方法、将来像を全部詰め込むと、主張が見えなくなります。段落ごとに一つの質問に答えると考え、見出しの指定項目へ積み上げます。
主語と対象も点検します。「これ」「それ」「この問題」が多いと、先行研究の主張なのか、自分の仮説なのか、実務上の課題なのかが曖昧になります。「先行研究は」「本研究では」「対象企業では」のように、必要な箇所で主体を明示します。論理が難しい文ほど、指示語ではなく具体的な名詞でつなぐと、読み手の誤解を減らせます。
専門用語は、難しい言葉を使うためではなく、概念の範囲を正確にするために使います。同じ用語が文献ごとに異なる意味で使われるときは、本計画での定義を簡潔に示します。一方で、方法論の用語を理解せずに並べると、口頭試問で仮定や限界を聞かれた際に説明できません。自分の言葉で短く定義できない用語は、使用する前に学び直します。
最終稿では、各項目の最初の一文だけを抜き出して並べます。それだけを読んで、志望理由から研究テーマ、先行研究、方法、入学後の計画への流れが分かるかを確認します。流れが切れるときは、接続詞を足すのではなく、前の項目から次の項目が導かれる論理になっているかを見直します。読みやすさは文体だけでなく、論理の順番から生まれます。
調査協力者・企業データ・機密情報の扱いを考える
経営学研究では、職場の人、顧客、企業の内部資料などを対象にしたいことがあります。その場合、「自分は社員だからアクセスできる」という見通しだけでは足りません。調査協力は業務命令ではなく自由意思で得られるか、回答しないことで不利益が生じないか、個人や企業を推定できる情報をどう保護するか、学術利用と公表の許可を得られるかを考えます。
計画書の限られた紙幅で倫理手続のすべてを詳述する必要はありませんが、対象者の同意、匿名化、データ管理、利害関係の処理が必要になることは把握しておきます。企業の内部データに依存する場合は、使用できないときに公開データや別の対象で問いを検討できるかも考えます。アクセスの強みと研究倫理上の許可は分けて確認することが必要です。
インタビューや質問紙を計画するなら、対象者をどの基準で選ぶかを書きます。便利だから身近な同僚だけを選ぶと、役職、職種、雇用形態、企業文化が偏る可能性があります。何人に協力を依頼するかを断定する前に、問いに答えるためにどのような差を持つ対象者が必要かを考えます。予定人数は、分析方法と募集可能性の両方から検討します。
研究の限界を書いて計画の信頼性を上げる
研究計画書では、計画の良さだけを説明したくなります。しかし、どの方法にも答えられる範囲と答えられない範囲があります。特定業界の数社を調べるなら、他業界への一般化には注意が必要です。一時点の質問紙では、時間的な前後関係や因果の方向を強く主張しにくいことがあります。モデルの仮定が強いなら、その仮定が成り立つ範囲での結論になります。
限界を書くことは、研究を弱く見せることではありません。主張の範囲を正確に定め、追加データ、別の方法、比較対象でどこまで補えるかを示す行為です。限界を理解した上で方法を選んでいることが、計画の現実性を支えると考えましょう。枚数が限られる場合は、最も重要な限界と対応策に絞って書きます。
出願前にプログラム選択を最終判定する
初稿と先行研究リストができた段階で、MBA・MEc・MFの選択をもう一度見直します。最初の選択は志望者の経歴や興味に引っ張られやすいのに対し、初稿完成後は、実際の問い、主要文献、証拠、方法という具体的な材料で判断できます。「経営者だからMBA」「金融業界だからMF」という属性ではなく、どの学術分野の概念と方法が問いに必要かを改めて確認します。
判定には、テーマの射程、カリキュラムの必要性、教員分野との接続、修了研究の形という4つの軸を使います。どれか一つだけが強くても、他の軸が空白なら再検討します。例えば、公式教員一覧に近い分野名があっても、カリキュラムで必要な基礎と自分の研究方法が大きくずれるなら、教員名の一致だけで適合とは言えません。
四軸が揃ったら、「この問いを明らかにするには、この理論と方法を学ぶ必要がある。本プログラムのカリキュラムと教員分野にその接続があり、所定の修了過程で論文にできる」と短く説明します。志望プログラムの理由を、立地や名称ではなく研究遂行の必然性で語ることができれば、計画書と志望理由書の一貫性も確認できます。
この最終判定は、一度で終えず、推敲によって問いや方法が変わったときにも行います。テーマを絞った結果、別のプロジェクトの理論が中心になることもあります。早い段階の選択に固執せず、最新の計画と公式情報の組み合わせで判断し直してください。
よくある質問(FAQ)
東京都立大学大学院経営学研究科の研究計画書は何枚ですか。
2027年度要項では、MBAは志望理由A4用紙1枚と研究計画4枚以内、MFは志望理由書2枚以内と研究計画書2枚以内です。MEcは研究テーマを含む志望理由書3枚以内です。字数の共通指定ではなく、プログラム別の枚数指定である点に注意してください。
MEcは研究計画書を提出しますか。
書類名は「志望理由書」です。ただし、修士論文のテーマ、その理由と背景、方法、関係分野、準備に加え、入学後の学習計画を書くため、研究計画の内容を含みます。「研究計画書という名称ではないから研究設計は不要」と考えないようにしましょう。
MBAでは修士論文と課題研究のどちらを想定すべきですか。
公式の研究計画は、「修士論文若しくは課題研究のテーマとして考えていること」を求めています。どちらであっても、問い、意義、既習内容、今後の計画の4項目を書く必要があります。現時点で判断に迷う場合は、どちらにも必要な研究上の問いと証拠の設計を先に固めてください。
指導希望教員の氏名を本文に書くべきですか。
指定項目に教員名が明記されていない場合、氏名を書くこと自体を目的にする必要はありません。書くなら、最新の公式教員一覧で所属と研究分野を確認し、自分の問い・理論・方法との具体的な接点を示します。「この教員なら指導可能」と自分で断定する表現は避けましょう。
社会人の職務上の問題意識はそのまま研究テーマにできますか。
出発点にはできますが、そのままでは業務改善案になりがちです。職場の固有事情を分解し、他の組織や時期にも問える概念間の関係に変え、先行研究に位置づけます。実務経験は結論の証明ではなく、問いを生む観察として使うと、学術的な計画に近づきます。
研究方法はどこまで具体的に書きますか。
少なくとも、対象、使う資料・データ、収集方法、分析方法、問いへの答え方がつながる程度に書きます。未習の高度な手法を完全に説明することより、なぜその方法が問いに必要か、現在の準備はどこまでか、入学後に何を学ぶかを正確に書くほうが整合性を保てます。
出願前の教員への連絡は必要ですか。
確認した2027年度の3プログラムの募集要項には、出願前の指導希望教員への連絡を必須とする記載は確認できません。ただし、運用は年度により変わる可能性があります。個人連絡先を非公式に探すのではなく、最新の募集要項と研究科の公式案内を確認し、不明点は公式窓口に照会してください。
口頭試問に向けて研究計画書をどう使いますか。
計画書の各項目を「なぜ」「何を」「どうやって」「なぜこのプログラムで」の4種類の質問に変換して答えます。特に、先行研究の選択理由、データの入手可能性、方法の限界、テーマが予定通り進まないときの代替案を説明できるようにします。暗記するのではなく、根拠を短く説明する練習を重ねましょう。
まとめ|3プログラムの構造から研究計画書を設計する
東京都立大学大学院経営学研究科の研究計画書では、テーマの面白さだけでなく、志望プログラムの研究領域、カリキュラムの進行、教員の公式研究分野、修了要件に至る工程を一貫させる必要があります。「何を研究したいか」と「どこで実行できるか」を同時に示すのが核です。
- MBAは志望理由1枚と研究計画4枚以内で、4つの指定項目に従う
- MEcは志望理由書3枚以内に、研究テーマと基礎学力・入学後の学習計画を統合する
- MFは志望理由書と研究計画書を各2枚以内で作り、自己申告書とも整合させる
- カリキュラムから、入学後に学ぶ理論・方法と論文完成までの工程を逆算する
- 教員名は現行の公式HTMLで確認し、公式表記の研究分野と自分の問いの接点を説明する
- 先行研究は羅列せず、到達点・限界・自分が埋める差の順で整理する
- データ、史料、調査対象へのアクセスを確認し、2年間で実行できる範囲に絞る
作成の出発点は、プログラムを選ぶことではなく、自分が本当に答えたい問いを一文にすることです。その問いを先行研究に置き、証拠と方法を与え、最後に研究科の構造と照合します。合わないときは、志望先に合わせて言葉だけを変えるのではなく、問いや志望先の選択に戻ってください。
最新の募集要項と教員一覧を確認した上でも、問いの絞り込み、先行研究の位置づけ、方法の選択を一人で判断するのが難しいことはあります。その場合は、東京都立大学大学院の研究計画書対策に対応する大学院入試コースなど、専門の指導を活用するのも一つの方法です。
書き上げた研究計画書、そのまま出して大丈夫ですか?
研究職キャリアを持つ講師が、テーマ設定・先行研究の位置づけ・研究方法まで、出願レベルに届いているかを個別に確認します。
- 研究職の講師が研究計画書を添削し、改善点を明確化
- 相談後に、志望校の出題傾向と学習ロードマップをまとめた個別フィードバックレポートをお渡し
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