ご質問やお問い合わせはお気軽に
九州大学大学院 人文科学府の外部院試を徹底解説|出願資格・試験科目・研究計画書・面接対策まで

九州大学大学院人文科学府は、人文基礎専攻・歴史空間論専攻・言語・文学専攻の3専攻18専修と、英語による授業のみで修了できる広人文学コースからなる、伊都キャンパスの人文系大学院です。外部院試とは、九州大学以外の出身者が、一般選抜・社会人特別選抜・外国人留学生特別選抜・人社系副専攻プログラム入試のいずれかの区分で修士課程に出願するルートを指します。
本記事は、九州大学大学院人文科学府が公開している令和9年度学生募集要項(令和8年5月18日公開版)にもとづき、専攻・専修別の募集人員、出願資格、試験科目、研究計画書と指導教員への事前連絡の扱い、出願・試験の日程、過去問の公開状況を整理したものです。年度によって内容は更新されるため、出願前には必ず最新の募集要項を人文科学府公式サイトで確認してください。倍率のように募集要項に記載のない情報については、大学が公表している範囲の資料を示したうえで、数値を断定しない形で記載しています。
まずは無料相談で、合格までの最短ルートを確認しませんか?
スプリング・オンライン家庭教師のプロ講師が、現在の学力・志望校・残り期間に合わせて、必要な対策を個別に整理します。
- 大学院入試のプロ講師が最適な受験戦略を提案
- 今後の大学院入試の勝ち筋が見える。
- 志望校が決まっていなくてもOK
\ 合格がグッと近づく/
(費用は一切かかりません)
九州大学大学院人文科学府の概要と外部院試
人文科学府は、人文基礎専攻・歴史空間論専攻・言語・文学専攻の3専攻からなり、その下に18の専修が置かれています。人文基礎専攻は哲学・倫理学・インド哲学史・中国哲学史・芸術学の5専修、歴史空間論専攻は日本史学・東洋史学・朝鮮史学・考古学・西洋史学・イスラム文明史学・地理学の7専修、言語・文学専攻は国語学・国文学・中国文学・英語学・英文学・独文学・仏文学・言語学の6専修という構成です。募集要項ではこれらの専修が「分野」という中間区分でまとめられて示されており、たとえば人文基礎専攻の哲学専修と倫理学専修は「哲学・倫理学」分野、歴史空間論専攻の東洋史学・朝鮮史学・考古学の3専修は「アジア史学」分野に属します。
人文基礎専攻には、これとは別枠で募集される「広人文学コース」が設けられています。広人文学コースは英語による授業の履修だけで修了が可能な国際コースで、一般選抜・社会人特別選抜・外国人留学生特別選抜のいずれの募集要項にも「人文基礎専攻の広人文学コースは、別に募集する」という注記があります。歴史空間論専攻には、これとは別に「歴史学拠点コース」という枠組みも置かれており、日本史学・東洋史学・朝鮮史学・考古学・西洋史学・イスラム文明史学の各専修に関わる形で運用されています。本記事では、18専修の一般的な出願区分を中心に扱い、広人文学コースと歴史学拠点コースの詳細は専用の案内で個別に確認することをおすすめします。
九州大学大学院には、修士課程に加えて博士後期課程も設置されています。博士後期課程の学生募集要項は修士課程とは別冊で公開されており、令和9年度からは博士後期課程に「人文情報学コース(仮称)」が新設される予定であることが人文科学府公式サイトで案内されています。修士課程修了後に博士後期課程への進学を視野に入れている場合は、修士課程の募集要項だけでなく博士後期課程の募集要項もあわせて確認しておくと、研究計画の全体像を組み立てやすくなります。
「外部院試」という言葉は、九州大学文学部以外の出身者が、学内進学者と同じ一般選抜の枠組みの中で受験することを指す場合が多い言葉です。人文科学府の一般選抜の出願資格には、九州大学文学部の学生と他大学出身者を区別する記載は見当たらず、大学卒業(見込)者であれば出身大学を問わず一般選抜に出願できる建て付けになっています。ただし、人社系副専攻プログラム入試だけは、九州大学文学部・教育学部・法学部・経済学部・工学部建築学科の卒業(見込)者で、人社系副専攻プログラムを修了(見込み)していることが出願資格そのものになる、学内進学者向けに近い性質の入試区分です。
専修ごとに研究対象と評価される能力は大きく異なります。人文科学府が公表している学生受け入れ方針では、人文基礎専攻は「人間文化の根本原理を究める」ことを教育理念とし、入学選抜では研究計画書または論文の提出に加えて専門知識・語学力を問い、口頭試問を課す方針が示されています。歴史空間論専攻は史資料を自ら収集・解析し、特定の地域や時代における社会の特質を実証的かつ理論的に解明する能力を、言語・文学専攻は古典を含む文献を厳密かつ正確に読解する能力を、それぞれ重視するとされています。志望専修を決める際は、大学名や専攻名だけでなく、この3つの教育理念のどれに自分の研究関心が近いかを確認しておくと、後述する研究計画書の方向性を定めやすくなります。
| 専攻 | 分野・専修構成 | 学生受け入れ方針の要点 |
|---|---|---|
| 人文基礎専攻 | 哲学、倫理学、インド哲学史、中国哲学史、芸術学の5専修。広人文学コースを別募集 | 人間文化の根本原理を究める。専門知識・語学力・口頭試問を重視 |
| 歴史空間論専攻 | 日本史学、東洋史学、朝鮮史学、考古学、西洋史学、イスラム文明史学、地理学の7専修 | 史資料の収集・解析による実証的・理論的な社会解明能力を重視 |
| 言語・文学専攻 | 国語学・国文学、中国文学、英語学・英文学、独文学、仏文学、言語学の6専修 | 古典を含む文献の厳密かつ正確な読解能力を重視 |
人文科学府は伊都キャンパス(福岡市西区元岡744、九大イーストゾーン イースト1号館)に置かれています。出願や入試制度に関する問い合わせ窓口は、人文社会科学系事務部学務課(人文科学府担当)で、電話番号は092-802-6365です。募集要項の記載内容で分からない点がある場合、大学案内やインターネット上の情報だけで判断せず、この窓口に直接確認することが、出願資格や提出書類の解釈違いを防ぐ最も確実な方法になります。
実施専攻・募集人員・出願資格(語学スコア含む)
人文科学府修士課程は、第1期と第2期の2回に分けて募集を行い、志願者は第1期・第2期のいずれか、または両方を受験できます。一般選抜の募集人員は56名で、これは3専攻18専修の合計を第1期と第2期あわせて示した数です。専修別の内訳は募集要項に記載がなく、特定の専修に何名という人数配分は公表されていません。
選抜区分ごとの募集人員
社会人特別選抜は、一般社会人コースが10名程度、高校教員等特別コースおよび文化財学特別コースが若干名です。外国人留学生特別選抜と人社系副専攻プログラム入試は、いずれも若干名という表記にとどまり、具体的な人数は示されていません。56名という一般選抜の募集人員は3専攻18専修+広人文学コースで分け合う数であるため、1つの専修あたりの実質的な枠は決して大きくないと考えられます。
| 選抜区分 | 募集人員 | 回数 |
|---|---|---|
| 一般選抜 | 56名(第1期・第2期合計、全専攻通算) | 第1期・第2期 |
| 社会人特別選抜(一般社会人コース) | 10名程度 | 第1期・第2期 |
| 社会人特別選抜(高校教員等特別コース・文化財学特別コース) | 若干名 | 第1期・第2期 |
| 外国人留学生特別選抜 | 若干名 | 第1期・第2期 |
| 人社系副専攻プログラム入試 | 若干名 | 第1期・第2期 |
一般選抜の出願資格
一般選抜の出願資格は、⑴大学卒業(見込)者から⑾個別の入学資格審査による認定者まで、11のパターンが列挙されています。留学の目的で日本に入国した外国人、または入国しようとする外国人は一般選抜には出願できないという注記があり、外国籍であっても留学目的での入国者は後述する外国人留学生特別選抜を検討する必要があります。有職者が一般選抜に出願する場合は、願書提出前に人文社会科学系事務部学務課(人文科学府担当)へその旨を申し出ることが求められています。
11パターンの内訳を大きく分けると、次の4つのグループになります。多くの受験者が該当するのは、大学を卒業した者・卒業見込みの者という⑴⑵の区分です。
- 大学卒業(見込)者、または学校教育法第104条第7項の規定により学士の学位を授与された(される見込みの)者(⑴⑵)
- 外国の学校教育における16年の課程を修了した(見込みの)者。通信教育での履修や、文部科学大臣が指定する教育施設での課程修了を含む(⑶〜⑸)
- 修業年限3年以上の外国の学校を修了し、学士の学位に相当する学位を授与された者(⑹)
- 修業年限4年以上の専修学校の専門課程を、文部科学大臣が指定する日以後に修了した(見込みの)者(⑺⑻)
- 学校教育法第102条第2項による大学院入学者、または個別の入学資格審査により大学卒業者と同等以上の学力があると認められた者(⑼⑽⑾)
⑼⑽⑾の資格、つまり学校教育法第102条第2項による大学院入学者、個別の入学資格審査により大学卒業者と同等以上の学力があると認められた者(令和9年3月31日までに22歳に達する者)、大学卒業者と同等以上の学力があると認められた者で出願しようとする場合は、事前に入学資格審査を受ける必要があります。事前審査申請書・入学願書・成績証明書・卒業証明書・研究事項報告書(A4判4,000字以内)・参考資料を、第1期は令和8年6月26日(金)、第2期は令和8年10月30日(金)までに人文科学府へ提出することが求められ、本学府が個別の入学資格審査を実施する場合があるとされています。高専・短大・専門学校出身者など、通常の卒業見込みルートに当てはまらない場合は、この事前審査の期限を出願期間よりもかなり早い段階で意識しておく必要があります。
社会人特別選抜・外国人留学生特別選抜・人社系副専攻プログラム入試の出願資格
社会人特別選抜のうち一般社会人コースは、大学卒業等の資格を得たうえで3年以上の社会人としての経験を有する者が対象です。高校教員等特別コースと文化財学特別コースは、出願時に高校教員や学芸員等の職に在職していることが条件で、この2つのコースに出願しようとする者は、表に示された専攻・分野・専修を考慮したうえで、希望する指導教員(予定)と内容等について事前に相談することが募集要項に明記されています。一般社会人コースにはこの事前相談の明記がなく、コースによって指導教員への接触の要否が異なる点は、出願前に見落としやすいポイントです。
外国人留学生特別選抜は、留学の目的をもって日本に入国した外国人、または入国しようとする外国人のうち、外国において16年の学校教育課程を修了した者などに加え、⑸として「日本の大学を卒業した者又は令和9年3月までに卒業見込みの者」も出願資格に含まれています。日本の大学出身であっても留学の目的で入国した外国人であれば外国人留学生特別選抜に出願できる建て付けで、一般選抜とは対象者の切り分け方が異なります。人社系副専攻プログラム入試は、九州大学文学部・教育学部・法学部・経済学部または工学部建築学科を卒業(見込み)し、人社系副専攻プログラムを修了(見込み)している者が対象です。ただし文学部を卒業した者・卒業見込みの者は、自分の所属していた専門分野の専修には出願できないという制限が付されています。
語学スコア(TOEIC・TOEFL等)の扱い
人文科学府の一般選抜・社会人特別選抜では、TOEICやTOEFLなど外部の語学資格・検定試験のスコア提出は出願書類として求められていません。外国語の能力は、後述する筆記試験の外国語科目によって選抜区分ごとに判定される仕組みです。外国語科目は英語・独語・仏語・中国語・朝鮮語の中から1言語を選択する形式が基本で、専修によっては選択できない言語がある点や、インド哲学史専修のように関連する語学(サンスクリット、古典チベット語)が追加される場合がある点は、後の章で専修別に整理します。
語学スコアの提出が明確に義務づけられているのは、外国人留学生特別選抜の言語学専修志願者のみです。言語学専修を外国人留学生特別選抜で志望する場合、TOEFL-iBTのOfficial Score Report(またはTOEFL-ITPのスコアレポート)を、出願締切日から遡って2年以内に受験したものに限りpdfまたはjpg等で提出することが求められています。それ以外の専修・選抜区分では、TOEICやTOEFLのスコアが出願条件として直接使われる記載は見当たりません。この違いは、外部の英語資格試験対策にどれだけ時間を割くべきかを判断するうえで重要な材料になります。
出願手続と提出書類
出願手続きは、出願登録フォームの送信、自動返信メールの受信確認、指定URLへの出願書類アップロードという3ステップでオンラインにより行われます。Internet Explorerには対応しておらず、Microsoft Edge、Firefox、Opera、Google Chrome、Safariの最新版のいずれかを利用することが指定されています。アップロードするファイル名は「書類名_氏名_専修名」、フォルダ名は「氏名_専修名」という形式に統一するよう指示されており、この命名規則を守らないと受理の確認作業が遅れる可能性があります。
共通して必要になる書類は、入学願書・受験票・照合票(Word)、出身大学の成績証明書、卒業(見込)証明書、検定料30,000円の支払いを証明する書類です。九州大学文学部卒業予定者は成績証明書・卒業証明書の提出が不要という例外があり、これは学内での成績・卒業情報を大学側が把握できるためと考えられます。これに加えて、一般選抜と外国人留学生特別選抜では研究計画書・論文等、社会人特別選抜と人社系副専攻プログラム入試では入学志願理由書または研究計画書・論文等が必要です。外国人留学生特別選抜ではさらに日本語能力についての証明書と在留カードの写しが求められます。
試験科目(専門科目・外国語・研究計画書・口述試験)
人文科学府修士課程の入学者選抜方法は、選抜区分ごとに組み立てが異なります。一般選抜は外国語科目・専修科目の筆記試験に加えて口頭試問を課し、提出された研究計画書・論文等の審査もあわせて行う方式です。社会人特別選抜と人社系副専攻プログラム入試は小論文と専修科目(外国語を課すこともある)の筆記試験と口頭試問、外国人留学生特別選抜は外国語科目・専修科目・日本語の筆記試験と口頭試問という構成です。
一般選抜の外国語科目・専修科目
一般選抜の外国語科目は、英語・独語・仏語・中国語・朝鮮語のうちから1言語を選択する筆記試験です。英語学・英文学専修は英語を、独文学専修は独語を、仏文学専修は仏語を、中国文学専修は中国語をそれぞれ選ぶことができないという専修別の制限が募集要項に明記されています。自分が専攻する言語そのものを外国語科目として選ぶことができない仕組みのため、たとえば英語学・英文学専修の志願者は独語・仏語・中国語・朝鮮語のいずれかで受験することになります。
専修科目についても、専修ごとに固有の条件が付されている場合があります。インド哲学史専修は、インド哲学史に加えて関連する語学(サンスクリット、古典チベット語のうちから1選択)の試験を課すことがあるとされ、中国哲学史専修は専修科目そのものに「中国哲学史(漢文読解を含む)」という指定があります。これら2専修は、外国語科目に加えてさらに専門領域の言語運用力が問われる可能性がある点で、他の専修と対策の重み付けが異なります。
一般選抜の入学者選抜方法は専修ごとに1枚の表として募集要項に掲載されており、18専修すべてで外国語科目と専修科目の組み合わせが個別に指定されています。以下は、その表を専修別に整理したものです。「同上」とある専修は、英語・独語・仏語・中国語・朝鮮語のうちから1言語を選択する基本形がそのまま適用されることを示しています。
| 専攻 | 専修 | 外国語科目の選択肢 | 専修科目の特記事項 |
|---|---|---|---|
| 人文基礎 | 哲学 | 英・独・仏・中・朝から1選択 | 特記事項なし |
| 人文基礎 | 倫理学 | 英・独・仏・中・朝から1選択 | 特記事項なし |
| 人文基礎 | インド哲学史 | 英・独・仏・中・朝から1選択 | 関連語学(サンスクリット/古典チベット語)を課すことがある |
| 人文基礎 | 中国哲学史 | 英・独・仏・中・朝から1選択 | 漢文読解を含む |
| 人文基礎 | 芸術学 | 英・独・仏・中・朝から1選択 | 特記事項なし |
| 歴史空間論 | 日本史学 | 英・独・仏・中・朝から1選択 | 特記事項なし |
| 歴史空間論 | 東洋史学 | 英・独・仏・中・朝から1選択 | 特記事項なし |
| 歴史空間論 | 朝鮮史学 | 英・独・仏・中・朝から1選択 | 特記事項なし |
| 歴史空間論 | 考古学 | 英・独・仏・中・朝から1選択 | 特記事項なし |
| 歴史空間論 | 西洋史学 | 英・独・仏・中・朝から1選択 | 特記事項なし |
| 歴史空間論 | イスラム文明史学 | 英・独・仏・中・朝から1選択 | 特記事項なし |
| 歴史空間論 | 地理学 | 英・独・仏・中・朝から1選択 | 特記事項なし |
| 言語・文学 | 国語学・国文学 | 英・独・仏・中・朝から1選択 | 特記事項なし |
| 言語・文学 | 中国文学 | 英・独・仏・朝から1選択 | 中国語は選択不可 |
| 言語・文学 | 英語学・英文学 | 独・仏・中・朝から1選択 | 英語は選択不可 |
| 言語・文学 | 独文学 | 英・仏・中・朝から1選択 | 独語は選択不可 |
| 言語・文学 | 仏文学 | 英・独・中・朝から1選択 | 仏語は選択不可 |
| 言語・文学 | 言語学 | 英・独・仏・中・朝から1選択 | 特記事項なし |
この表を見ると、18専修のうち特記事項があるのはインド哲学史・中国哲学史・中国文学・英語学英文学・独文学・仏文学の6専修で、残る12専修は専修科目そのものに追加の指定がありません。ただし特記事項がないからといって専修科目の難易度が低いという意味ではなく、単に募集要項の書式として言語面の追加条件がないことを示しているにすぎない点には注意してください。専門科目の出題範囲そのものは、後述する過去問と教員一覧をあわせて確認する必要があります。
社会人特別選抜・人社系副専攻プログラム入試の試験科目
社会人特別選抜と人社系副専攻プログラム入試の筆記試験は、小論文と専修科目(外国語を課すこともある)という組み合わせです。一般選抜のように外国語科目が独立した試験時間として固定されておらず、専修科目の中で外国語が課される場合があるという位置づけになっています。試験時間は、小論文が9:30〜12:30、専修科目が13:30〜16:30、翌日に口頭試問という日程で、一般選抜よりも小論文の時間が長く確保されています。
入学者選抜方法としては、筆記試験・口頭試問に加えて、提出された入学志願理由書等(人社系副専攻プログラム入試の場合は研究計画書・論文等)の審査も行われます。社会人特別選抜と人社系副専攻プログラム入試は、大学院設置基準第14条による特例の適用を希望できる点が一般選抜と異なる特徴です。この特例は、有職者の勤務条件や通学時間を考慮して、通常の授業時間帯以外に授業を設けるもので、合格発表後に指導教員(予定)から今後の研究・学習計画について指導を受けることが前提となり、入学後2年目以降に適用されます。
外国人留学生特別選抜の試験科目
外国人留学生特別選抜は、外国語科目・専修科目に加えて日本語の試験、そして口頭試問という4段階の構成です。外国語科目は一般選抜と同じく英語・独語・仏語・中国語・朝鮮語のうちから1言語を選ぶ形式ですが、外国語科目では母国語を選ぶことができないという、外国人留学生特別選抜に固有の制限が付されています。日本語の試験は全専修に共通して課され、試験時間は17:00〜18:00に設定されています。
言語学専修の外国人留学生特別選抜のみ、専修科目にアスタリスク付きの注記があり、TOEFL-iBTまたはTOEFL-ITPのスコア提出が専修科目の一部として求められます。日本史学専修と国語学・国文学専修を志望する外国人留学生については、提出する研究計画書・研究概要・論文が日本語のものに限られるという指定もあります。専門分野を日本語でどこまで扱えるかが、これら2専修では出願段階から問われる形です。
選抜区分別の試験構成の違い
ここまでの内容を選抜区分ごとに並べると、4区分の違いが整理しやすくなります。共通しているのは口頭試問と、提出書類(研究計画書・論文等または入学志願理由書)の審査が必ず組み込まれている点で、異なっているのは筆記試験の構成です。
| 選抜区分 | 筆記試験の構成 | 口頭試問 | 提出書類の審査 |
|---|---|---|---|
| 一般選抜 | 外国語科目+専修科目 | あり | 研究計画書・論文等 |
| 社会人特別選抜 | 小論文+専修科目(外国語を課すこともある) | あり | 入学志願理由書 |
| 外国人留学生特別選抜 | 外国語科目+専修科目+日本語 | あり | 研究計画書・論文等(日本史学・国語学国文学は日本語限定) |
| 人社系副専攻プログラム入試 | 小論文+専修科目(外国語を課すこともある) | あり | 研究計画書・論文等 |
研究計画書・研究室訪問
研究計画書・研究事項報告書の書式
一般選抜と外国人留学生特別選抜では、出願書類として「研究計画書・論文等」の提出が求められ、志望専修に関わる研究計画書または研究概要(A4判6,000字以内)を提出するか、志望専修に関わる卒業論文またはそれに代わる論文がある場合はその論文を提出するか、いずれかを選ぶ選択制になっています。研究計画書を選ぶ場合の上限は6,000字以内で、下限の字数は募集要項に明記されていません。社会人特別選抜と人社系副専攻プログラム入試では、これに相当する書類が「入学志願理由書(研究計画を含む。A4判6,000字以内)」または「研究計画書・論文等(6,000字以内)」という名称で求められます。
個別の入学資格審査を申請する場合に提出する「研究事項報告書」は、これまでの研究概要等をA4判4,000字以内でまとめる書類で、出願書類本体の研究計画書とは提出のタイミングも上限字数も異なります。研究事項報告書は入学資格審査のための書類、研究計画書・論文等は出願書類そのものという位置づけの違いを混同しないよう注意が必要です。両方の提出が必要になる志願者(個別審査対象かつ研究計画書提出が必要な区分)は、字数制限の異なる2種類の文章を準備することになります。
教員一覧を研究計画書に生かす
令和9年度学生募集要項には、25頁から38頁にわたって専修別の教員一覧および主な研究事項が掲載されています。教員一覧には専門分野・研究テーマ・主要業績が専修ごとにまとめられており、志望する専修の教員がどのような研究領域を扱っているかを、研究計画書を書く前に具体的に把握できる資料です。たとえば人文基礎専攻の哲学専修には現代英語圏の分析形而上学を専門とする教員と西洋哲学史を専門とする教員が、歴史空間論専攻の日本史学専修には日本近世史・日本中世史・日本近現代史・日本古代史それぞれを専門とする複数の教員が在籍していることが、この一覧から確認できます。
他の専修でも、教員ごとの専門領域は細分化されています。歴史空間論専攻の東洋史学専修には中国社会史・東アジア海域史を専門とする教員が、地理学専修には人文地理学を専門としつつ都市研究・アフリカ地域研究・経済地理学といった異なる切り口を持つ複数の教員がそれぞれ在籍しています。同じ専修名であっても、教員によって時代・地域・方法論の重心が異なるため、研究計画書の「志望先との接続」を書く際は、専修名だけでなく、どの教員の研究事項と自分のテーマが近いのかまで具体的に書き込めるかどうかが、内容の説得力を左右すると考えられます。
人文基礎専攻の芸術学専修についても同様の傾向が見られます。美学・音楽学を専門とする教員、西洋美術史(ルネサンス期)を専門とする教員、シュルレアリスム美術を専門とする教員が併存しており、「芸術学」という1つの専修名の中に、時代も対象領域も異なる複数の研究テーマが含まれていることが分かります。志望理由書やオープンキャンパス・進学説明会などの機会で得た情報をもとに、自分の関心がどの教員の研究領域に近いかを事前に絞り込んでおくと、研究計画書の記述に具体性を持たせやすくなります。
研究計画書では、自分の研究テーマが人文科学府のどの専修・どの教員の研究領域と接続するのかを具体的に書けるほど、選考側に伝わりやすくなると考えられます。大学名や専修名を挙げるだけでなく、教員一覧に記載された研究事項と自分の問題意識を結びつける作業が、口頭試問での説明にもそのままつながります。教員一覧は年度ごとに更新されるため、実際に出願する年度の募集要項に掲載された最新版で確認してください。
研究計画書・研究事項報告書・入学志願理由書の違い
人文科学府の出願書類には、名称の似た3種類の文章が登場します。研究計画書・論文等(一般選抜・外国人留学生特別選抜)は6,000字以内で研究テーマそのものを説明する出願書類本体、入学志願理由書(社会人特別選抜)も同じく6,000字以内で研究計画を含めて志望理由を説明する書類、研究事項報告書(個別の入学資格審査を申請する場合)は4,000字以内でこれまでの研究概要を説明する審査用の書類です。3つとも字数の上限があり、下限は明記されていません。
| 書類名 | 対象となる選抜区分 | 上限字数 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| 研究計画書・論文等 | 一般選抜、外国人留学生特別選抜 | A4判6,000字以内 | 出願書類本体(卒業論文等との選択制) |
| 入学志願理由書 | 社会人特別選抜 | A4判6,000字以内 | 出願書類本体(研究計画を含む) |
| 研究計画書・論文等 | 人社系副専攻プログラム入試 | A4判6,000字以内 | 出願書類本体(卒業論文等との選択制) |
| 研究事項報告書 | 個別の入学資格審査を申請する者 | A4判4,000字以内 | 資格審査用の書類(出願書類本体とは別) |
指導教員への事前連絡・研究室訪問
一般選抜の募集要項本文には、出願前に指導教員へ事前連絡することや研究室訪問をすることについての案内は見当たりません。明記されているのは、有職者が一般選抜に出願する場合に、願書提出前に学務課へその旨を申し出ることという注記のみです。研究室訪問が必須とも不要とも明言されていないため、志望専修の教員研究室訪問を希望する場合は、募集要項の記載に頼らず、人文社会科学系事務部学務課(人文科学府担当)に個別に問い合わせて手順を確認することになります。
これに対し、社会人特別選抜の高校教員等特別コースと文化財学特別コースだけは、扱いが明確に異なります。「希望する指導教員(予定)と、内容等について事前に相談すること」という一文が募集要項に明記されており、この2コースを志望する場合は出願前の指導教員への相談が事実上の前提条件になっています。一般社会人コースや一般選抜にはこの明記がないため、同じ人文科学府の中でも選抜区分によって指導教員への接触の要否が異なる点は、出願準備の初期段階で見落としやすいポイントです。
個別の指導教員訪問とは別に、九州大学文学部・人文科学府は例年、大学院進学説明会を実施しています。令和8年度は6月に大学院進学説明会が開催されたことが公式サイトの新着情報で案内されており、こうした説明会は、指導教員に直接連絡する前段階として、専修全体の教育内容や研究室の雰囲気を把握する機会になります。開催の有無・日程・参加方法は年度によって変わるため、出願を検討し始めた時点で人文科学府公式サイトの新着情報を確認しておくことをおすすめします。
まずは無料相談で、合格までの最短ルートを確認しませんか?
スプリング・オンライン家庭教師のプロ講師が、現在の学力・志望校・残り期間に合わせて、必要な対策を個別に整理します。
- 大学院入試のプロ講師が最適な受験戦略を提案
- 今後の大学院入試の勝ち筋が見える。
- 志望校が決まっていなくてもOK
\ 合格がグッと近づく/
(費用は一切かかりません)
日程・スケジュール
令和9年度入試(令和9年4月入学)は、第1期と第2期の2回に分けて実施されます。第1期の願書受付期間は令和8年7月1日(水)から令和8年7月31日(金)17時まで、第2期は令和8年12月1日(火)から令和9年1月4日(月)17時までです。志願者はどちらか一方、または両方の期を受験できます。
試験日・合格発表・入学時期
一般選抜・外国人留学生特別選抜の第1期試験は、令和8年8月27日(木)に外国語科目(9:30〜11:00)と専修科目(13:30〜16:30)、翌8月28日(金)に口頭試問という日程です。第2期試験は令和9年2月3日(水)に外国語科目・専修科目、翌2月4日(木)に口頭試問という同じ流れで実施されます。社会人特別選抜・人社系副専攻プログラム入試は、外国語科目の代わりに小論文(9:30〜12:30)が置かれ、専修科目・口頭試問の日程は他区分と共通です。試験場は受験票送付時に通知されるとされており、募集要項の時点では具体的な会場名は明らかにされていません。
合格者発表は、第1期が令和8年9月9日(水)、第2期が令和9年2月17日(水)で、いずれも午前9時に人文科学府ウェブサイトに掲載されると同時に郵送で通知されます。電話による合否の問い合わせには応じないと明記されているため、発表当日はウェブサイトでの確認が唯一の手段になります。入学手続書類は第1期・第2期とも令和9年2月下旬に送付され、入学時期は第1期・第2期とも令和9年4月1日です。台風や大雪等の自然災害で試験実施が困難になった場合は、試験日程を変更して実施するという注記もあります。
| 時期 | 第1期 | 第2期 |
|---|---|---|
| 願書受付期間 | 令和8年7月1日〜7月31日17時 | 令和8年12月1日〜令和9年1月4日17時 |
| 筆記試験(一般・外国人留学生) | 令和8年8月27日 | 令和9年2月3日 |
| 口頭試問 | 令和8年8月28日 | 令和9年2月4日 |
| 合格発表 | 令和8年9月9日 | 令和9年2月17日 |
| 入学時期 | 令和9年4月1日 | 令和9年4月1日 |
検定料・納付金・長期履修学生制度
入学検定料は30,000円で、コンビニエンスストアまたはクレジットカードでの払込方法が案内されています。出願手続後の書類変更、検定料の払戻しは一切行われません。ただし、検定料納付後に出願しなかった者、受理できなかった者については検定料が返還されるという例外があります。虚偽の書類や内容を提出した場合は、入学後であっても入学取り消しの対象になり得ることも明記されています。
入学料は282,000円(予定)、授業料は前期分267,900円または前・後期分535,800円(予定)です。これらの納付金額はいずれも予定額であり、在学中に学生納付金改定が行われた場合は改定時から新しい金額が適用されるという注記があります。やむを得ない理由がある場合は、申請により標準修業年限(2年)を超えて計画的に履修する長期履修学生制度も用意されており、この制度を利用する場合の年間授業料は、標準修業年限分の授業料を認められた履修年数で除した額になります。障害等のある入学志願者への配慮についても常時相談を受け付けている旨が案内されており、配慮を希望する場合は出願前のなるべく早い時期に学務課へ相談するよう求められています。
出願前に準備しておきたい書類チェックリスト
出願直前になって不足に気づかないよう、選抜区分別に準備すべき書類を一覧にしておきます。証明書は発行までに数日から数週間かかる場合があるため、出願期間が始まる前の時点で発行手続きに着手しておくと安心です。
- 入学願書・受験票・照合票(Word形式、指定様式に必要事項を入力し顔写真データを貼付)
- 出身大学の成績証明書、卒業(見込)証明書(九州大学文学部卒業予定者は提出不要)
- 研究計画書・論文等、または入学志願理由書(選抜区分により様式・名称が異なる、いずれも上限6,000字)
- 検定料30,000円の支払いを証明する書類
- (該当者のみ)学位授与証明書、在職証明書・所属長の出願同意書、日本語能力についての証明書、在留カードの写し
- (個別の入学資格審査対象者のみ)事前審査申請書、研究事項報告書(4,000字以内)、参考資料
倍率・難易度
令和9年度学生募集要項には、専攻別・専修別の志願者数、受験者数、合格者数、倍率は掲載されていません。要項に記載されている数値は、募集人員(56名など)にとどまり、実際に何人が受験し何人が合格したかという実績データは、募集要項という資料の性質上、公開対象になっていません。専修単位の倍率を正確な数値として示すことはできないため、本記事では大学が別途公表している資料から参考になる範囲の情報を示します。
九州大学が公表している大学概要(令和4年度版、令和4年4月1日現在のデータ)には、学府別の入学状況の一覧表があり、人文科学府の修士課程(博士前期課程)は入学定員56名に対し、志願者数が本学23名・他大学28名・その他17名の合計68名、入学者数が本学19名・他大学8名・その他4名の合計31名と記載されています。この数値から志願者数を入学者数で単純に割ると約2.2倍になりますが、これは受験者数や合格者数を用いた一般的な「実質倍率」とは算出方法が異なり、専攻・専修別の内訳も示されていません。あくまで人文科学府修士課程全体・特定年度の参考値として捉え、直近年度の最新の状況は大学の情報公開資料や入試担当窓口で確認することをおすすめします。
募集人員の構造から難易度を考えると、56名という一般選抜の枠を18専修と広人文学コースで分け合う建て付けである以上、専修単位で見た募集枠は決して大きくないと考えられます。加えて、外国語科目で選択できない言語が専修ごとに指定されていたり、インド哲学史・中国哲学史のように専門科目に語学面の追加要素が課されたりする専修では、対策すべき範囲が他の専修より広がる可能性があります。研究計画書・論文等の審査が合否の一要素として明記されている以上、筆記試験の得点だけでなく、志望する教員の研究領域と自分の研究テーマがどれだけ具体的に接続しているかも、選考の実質を左右する要素になり得ます。
先に挙げた大学概要(令和4年度版)には、人文科学府以外の学府についても同じ形式で入学状況が掲載されています。参考として、規模の近い学府の同年度の数値を並べると、次のようになります。専攻構成も選抜方法も異なる学府どうしの単純比較はできませんが、九州大学の大学院全体の中で人文科学府がどの程度の規模かをつかむ材料にはなります。
| 学府(修士課程) | 入学定員 | 志願者数 | 入学者数 |
|---|---|---|---|
| 人文科学府 | 56名 | 68名 | 31名 |
| 人間環境学府 | 95名 | 156名 | 104名 |
| 地球社会統合科学府 | 60名 | 134名 | 41名 |
| 法学府 | 72名 | 31名 | 11名 |
この4学府を比べると、人文科学府は入学定員に対する志願者数の比率が特に高いわけでも低いわけでもなく、中間的な位置にあることがうかがえます。ただしこの数値は令和4年度・学府全体の集計であり、人文科学府を構成する18専修の中でどの専修に志願が集中していたかまでは分かりません。専修単位の実態を知りたい場合は、過去問の公開年数や教員一覧の教員数といった、募集要項側から読み取れる別の手がかりとあわせて総合的に判断する必要があります。
過去問分析・出題予測、面接(口頭試問)対策
専修別の過去問公開状況
人文科学府は、公式サイトの「過去の入試問題」ページで、過去問をPDF形式で公開しています。公開の単位は18専修それぞれの専用フォルダと、外国語科目を言語別にまとめた英語・独語・仏語・中国語・朝鮮語・日本語の6フォルダに分かれており、専修科目は専修ごと、外国語科目は言語ごとに探す形式になっています。本記事執筆時点の確認では、これら合計24フォルダの中に600件近いPDFファイルが整理されており、専修による蓄積量の差はあるものの、多くの専修で複数年度分をさかのぼって確認できます。
蓄積されている年度数は専修によって幅があります。国語学・国文学専修は40件を超えるPDFが確認でき、芸術学専修も40件前後、日本史学専修は30件台という蓄積量です。一方で東洋史学専修は20件台後半、イスラム文明史学専修や仏文学専修は10件台、西洋史学専修は10件未満と、専修による差が大きく、これは実施年度そのものが少ないのか、公開範囲が限定されているのかまでは募集要項からは判別できません。志望専修のフォルダを実際に開き、直近何年度分が確認できるかを自分の目で数えておくことをおすすめします。
公開されているファイルの中には、専門科目・外国語科目の問題そのものに加えて、論述関連のファイルが別途用意されている専修もあります。ただし公開されているのは試験問題のPDFであり、模範解答や配点、出題の意図までは公表されていません。過去問を確認する際は、年度ごとの出題形式・問題数・必要な答案の分量を自分で表にまとめ、頻出のテーマと単発で出題されたテーマを見分けていく作業が必要になります。本記事では過去問本文の転載は行わず、公開状況と読み方の整理にとどめます。
募集要項から見た出題予測
ここからは、募集要項とアドミッションポリシーの記載にもとづく出題傾向の推測であり、実際の出題内容を保証するものではない点をあらかじめお断りします。人文基礎専攻は学生受け入れ方針で専門知識・語学力・口頭試問を重視すると明記されているため、専修科目の筆記試験では暗記した用語の再生だけでなく、その用語を専門的な文脈で説明し直す力が問われやすいと考えられます。とりわけ中国哲学史専修は専修科目に漢文読解を含むと明記されているため、対策の一部として漢文の読解練習を組み込む必要性が高い専修です。
歴史空間論専攻は学生受け入れ方針で史資料の収集・解析による実証的・理論的な社会解明能力を重視するとされており、単に歴史的事実を暗記するだけでなく、史資料をどう読み解いたかを説明できる答案が評価されやすいと推測されます。言語・文学専攻は古典を含む文献の厳密な読解能力を重視する方針が示されているため、国語学・国文学専修や中国文学専修では、原典に近い形の資料を正確に読み解く練習を、過去問演習と並行して積み重ねておくことが有効と考えられます。
インド哲学史専修のように、専修科目に加えてサンスクリットまたは古典チベット語の試験が課されることがある専修では、英語・独語・仏語・中国語・朝鮮語のいずれかを選ぶ外国語科目とは別に、関連語学の基礎力も準備範囲に含めておく必要があると考えられます。「課すことがある」という表現は、必ず課されるとは限らないものの、課された場合に無対策では対応が難しいことを意味しているため、出願前に最新の募集要項でこの一文の有無を確認し、不明な点は学務課に問い合わせておくと安心です。
口頭試問(面接)対策
一般選抜・外国人留学生特別選抜の口頭試問は、「提出された研究計画書・論文等及び専修科目等について」行われると募集要項に明記されています。出願書類として提出した研究計画書または卒業論文の内容と、筆記試験で扱った専修科目の知識との整合性が問われる可能性が高いと考えられます。提出書類の控えを見返しながら、自分がなぜそのテーマを扱いたいのか、どの教員の研究領域と接続するのかを、短い説明と詳しい説明の両方で準備しておくと安心です。
社会人特別選抜の高校教員等特別コース・文化財学特別コースのように事前の指導教員相談が前提となっている区分では、口頭試問の場で初めて研究テーマを説明するのではなく、事前相談の内容と口頭試問での説明が一貫しているかどうかも意識しておく必要があります。口頭試問の配点や具体的な質問内容は公表されていないため、本記事では推測の域を出ない点を踏まえたうえで、提出書類との一貫性を確保する準備を優先することをおすすめします。
併願・内部リンク
人文科学府の募集要項には、九州大学内の他学府との併願や、人文科学府内での複数専修への同時出願についての規定は明記されていません。専修を1つに絞って出願する前提で書類一式(研究計画書・論文等を含む)が構成されているため、複数専修にまたがる研究テーマを持つ場合は、どちらの専修の教員一覧・研究事項により近いかを研究計画書の段階で整理し、不明な点は人文社会科学系事務部学務課(人文科学府担当)に個別に確認することをおすすめします。
第1期と第2期という2回の出願機会がある点も、九州大学大学院人文科学府の併願戦略を考えるうえで押さえておきたい特徴です。第1期(8月試験・9月発表)で不合格だった場合でも、第2期(2月試験・2月発表)に再度出願できる建て付けのため、他大学の秋季入試の結果を見てから九州大学の第2期に出願する、あるいは第1期で九州大学を受けたうえで他大学の入試にも備えるといった時期の組み方が考えられます。ただし検定料は期ごとに30,000円が必要になるため、両方の期を受験する場合は費用面もあわせて計画しておく必要があります。
他大学の人文系研究科と併願する場合は、出願期間・試験日が人文科学府の日程(第1期は8月27日・28日、第2期は2月3日・4日)と重複しないかを早い段階で確認することが欠かせません。同じ人文科学分野の外部院試として、法政大学大学院 人文科学研究科の外部院試を徹底解説や東京都立大学大学院 人文科学研究科の外部院試を徹底解説では、それぞれの大学の募集人員・出願資格・試験科目を同じ形式で整理しているため、国立・私立・公立という設置形態が異なる大学院を比較検討する際の参考になります。
研究計画書の書き方や指導教員への事前連絡の進め方は、大学をまたいで共通する部分が多い準備です。高校教員等特別コース・文化財学特別コースのように事前相談が前提となる区分を検討している場合は、研究室訪問のメール例文集もあわせて確認しておくと、学務課を経由した事前連絡や指導教員への相談メールを作成する際の文面イメージを持ちやすくなります。
専門的な対策を自分の状況に合わせて個別に組み立てたい場合は、大学院入試対策コースで、現在の学習状況と志望専修に合わせた対策を相談できます。院試対策全体の流れを俯瞰したい場合は、大学院入試対策の完全ガイドもあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
九州大学大学院人文科学府には、どのような専攻・専修がありますか。
人文基礎専攻(哲学・倫理学・インド哲学史・中国哲学史・芸術学の5専修)、歴史空間論専攻(日本史学・東洋史学・朝鮮史学・考古学・西洋史学・イスラム文明史学・地理学の7専修)、言語・文学専攻(国語学・国文学・中国文学・英語学・英文学・独文学・仏文学・言語学の6専修)の3専攻18専修に加え、人文基礎専攻には別募集の広人文学コースがあります。
出願資格の「個別の入学資格審査」とは何ですか。
学校教育法第102条第2項による大学院入学者や、大学を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者(令和9年3月31日までに22歳に達する者を含む)などが対象の審査です。事前審査申請書・入学願書・成績証明書・卒業証明書・研究事項報告書(A4判4,000字以内)・参考資料を、第1期は令和8年6月26日、第2期は令和8年10月30日までに人文科学府へ提出する必要があります。
TOEICやTOEFLのスコア提出は必要ですか。
一般選抜・社会人特別選抜では外部スコアの提出は求められておらず、外国語の能力は筆記試験の外国語科目で判定されます。TOEFL-iBT(またはTOEFL-ITP)のスコア提出が明確に必要になるのは、外国人留学生特別選抜で言語学専修を志望する場合のみです。
研究計画書は必ず提出しなければなりませんか。
一般選抜・外国人留学生特別選抜では、研究計画書または研究概要(A4判6,000字以内)を提出するか、志望専修に関わる卒業論文等を提出するかの選択制です。社会人特別選抜・人社系副専攻プログラム入試では、入学志願理由書または研究計画書・論文等として同様に6,000字以内での提出が求められます。
指導教員への事前連絡や研究室訪問は必要ですか。
一般選抜の募集要項には事前連絡や研究室訪問についての案内はありません。社会人特別選抜の高校教員等特別コース・文化財学特別コースのみ、希望する指導教員(予定)への事前相談が募集要項に明記されています。それ以外の区分で相談を希望する場合は、学務課へ個別に問い合わせることをおすすめします。
過去問はどこで確認できますか。
人文科学府公式サイトの「過去の入試問題」ページで、専修別・年度別にPDF形式で公開されています。哲学専修など複数の専修で、令和8年度から過去の年度にさかのぼる問題が確認できますが、模範解答や配点、出題の意図までは公表されていません。
倍率はどれくらいですか。
令和9年度学生募集要項には専攻・専修別の倍率は記載されていません。九州大学が公表している大学概要(令和4年度版)によれば、人文科学府修士課程全体で入学定員56名に対し志願者数68名・入学者数31名という数値が確認できますが、専修別の内訳や直近年度の最新値は公表資料や入試担当窓口で確認する必要があります。
広人文学コースとはどのような制度ですか。
人文基礎専攻に設けられた、英語による授業の履修のみで修了できる国際コースです。一般選抜・社会人特別選抜・外国人留学生特別選抜のいずれの募集要項にも「別に募集する」と明記されており、通常の専修とは別枠の出願区分になるため、志望する場合は専用の募集要項で出願資格・試験科目を確認する必要があります。
まとめ
九州大学大学院人文科学府の外部院試は、人文基礎・歴史空間論・言語・文学の3専攻18専修それぞれで、外国語科目の選択制限や専修科目の追加要素、研究計画書の位置づけが異なります。特に、専修によって選べない外国語が指定されている点、インド哲学史・中国哲学史専修の語学面での追加要素、外国人留学生特別選抜の言語学専修のみTOEFL-iBTスコアが必要な点、社会人特別選抜の一部コースだけ指導教員への事前相談が明記されている点は、他専修や他大学の人文系大学院と混同しやすい人文科学府固有のルールです。
倍率のように募集要項に掲載されていない情報については、大学が公表している別の資料を確認したうえで、専修別の正確な数値を推測で埋めないことが出願準備の精度を高めます。募集要項は年度ごとに更新されるため、この記事で示した令和9年度入試の内容も、出願時には必ず最新版で再確認したうえで、専修ごとの試験科目と研究計画書の準備を進めてください。
出願資格・試験科目・提出書類の組み合わせを専修ごとに正しく把握できれば、次に取り組むべきは研究計画書の中身と、口頭試問での説明の一貫性です。志望専修の教員一覧に記載された研究事項と自分の研究テーマを、募集要項が求める字数と形式に沿って言語化する作業が、出願書類の完成度と口頭試問での受け答えの両方を支えます。志望専修が固まっている場合は該当する教員一覧のページを、まだ検討段階の場合は本記事の専修別の違いを手がかりに、早めに準備を始めてください。
第1期は令和8年7月末、第2期は令和9年1月上旬という出願締切から逆算すると、証明書の発行や研究計画書の推敲には数か月単位の時間が必要になります。個別の入学資格審査に該当する場合は、出願期間よりさらに早い6月末・10月末が実質的な締切になる点も見落とせません。専修ごとの試験科目・研究計画書の要否・指導教員への相談の要否という3つの軸を早い段階で表にまとめ、自分がどの選抜区分・どの専修で出願するのかを固めることが、九州大学大学院人文科学府の外部院試対策の出発点になります。
まずは無料相談で、合格までの最短ルートを確認しませんか?
スプリング・オンライン家庭教師のプロ講師が、現在の学力・志望校・残り期間に合わせて、必要な対策を個別に整理します。
- 大学院入試のプロ講師が最適な受験戦略を提案
- 今後の大学院入試の勝ち筋が見える。
- 志望校が決まっていなくてもOK
\ 合格がグッと近づく/
(費用は一切かかりません)



