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公認心理師はやめとけと言われる理由|資格の実態を解説

「公認心理師 やめとけ」と検索する方の多くは、心理職としてのキャリアに関心を持ちながらも、年収の低さや雇用の不安定さ、資格取得にかかる時間とお金への不安を抱えているのではないでしょうか。結論から言うと、公認心理師は誰にでも無条件に勧められる資格ではありませんが、「やめとけ」の一言だけで判断してしまうには惜しい選択肢でもあります。ネット上で語られる「やめとけ」論の多くは、個人の体験談や伝聞にもとづくもので、数字の裏づけを持たないまま広まっている点にも注意が必要です。
公認心理師とは、2017年9月15日に施行された公認心理師法にもとづく、日本で初めての心理職の国家資格です。医療・保健、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働という5つの分野を横断して心の健康支援に携わることができ、名称独占資格として法的な裏づけを持ちます。それまで心理職の資格といえば臨床心理士をはじめとする民間資格が中心だったため、国家資格の誕生は業界にとって大きな転換点でした。一方で、国家資格化から日が浅いこともあり、待遇や雇用の面では発展途上の部分が残っているのも事実です。
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この記事では、「公認心理師はやめとけ」と言われる代表的な5つの理由を、公的な調査で実際に公表されている数値だけを使って検証します。具体的には、厚生労働省の障害者総合福祉推進事業として実施された年収分布の調査、一般財団法人日本心理研修センターが登録者全員を対象に行った令和5年度公認心理師活動状況等調査(回答38,827人)、公認心理師試験研修センターが公表する都道府県別登録者数、厚生労働省の国家試験合格発表、そして診療報酬改定と文部科学省のスクールカウンセラー関連予算という一次資料が中心です。そのうえで、それでも公認心理師を目指す価値がある人の特徴や、後悔しないための進路の選び方まで整理します。
なお、公認心理師とよく似た民間資格に臨床心理士があります。両者の違いやダブル取得のメリットについては、別記事の公認心理師と臨床心理士の違いを徹底比較で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。「やめとけ」という言葉の裏側にある事実を、一つずつ数字で確認していきましょう。
本記事は、心理系の大学院進学をこれから検討する受験生と、キャリアチェンジとして公認心理師を目指したい社会人の両方を想定して書いています。SNSや知恵袋の体験談だけに頼るのではなく、公的機関と職能団体が公表している資料にあたり、数値が確認できない部分は「公表されていません」と明記したうえで整理しました。時間とお金をかけて資格取得を目指す以上、進路選択の判断材料はできるだけ根拠のあるものにしたいというのが、この記事のスタンスです。読み終えたあとに「やめとけ」という言葉を鵜呑みにするのでも、根拠なく楽観視するのでもなく、自分自身の状況に照らして判断できる状態を目指します。
公認心理師とは|国家資格としての位置づけと「やめとけ」論が生まれる背景
公認心理師は、2015年9月9日に成立し2017年9月15日に施行された公認心理師法にもとづく国家資格です。それまで心理職の資格といえば臨床心理士をはじめとする民間資格が中心でしたが、公認心理師の誕生によって、日本で初めて法律に根拠を持つ心理職の資格が生まれました。医療・保健、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働という5つの分野を横断して活動できる汎用性の高さが特徴で、病院やクリニックのほか、学校のスクールカウンセラー、児童相談所、企業の健康管理室、刑事施設など、活躍の場は多岐にわたります。医療分野ではうつ病や依存症、認知症といった幅広い疾患の支援に関わることがあり、教育分野では不登校やいじめ、発達の課題を抱える子どもとその保護者を支える役割を担います。分野ごとに求められる知識や関わり方が大きく異なる点も、この資格の特徴であり、進路選びの難しさにもつながっています。
公認心理師法と名称独占の意味
公認心理師法第44条では、公認心理師でない者が「公認心理師」という名称を使用することを禁じています。これはいわゆる名称独占資格であり、医師や弁護士のような業務独占資格ではありません。つまり、公認心理師の資格を持っていなくても、カウンセリングや心理相談といった業務そのものを行うこと自体は法律上可能です。この「名称独占にとどまる」という制度上の性質が、後述する雇用や待遇の課題とも無関係ではないと考えられています。業務独占資格であれば「その業務は有資格者にしか任せられない」という前提が待遇に反映されやすいのに対し、名称独占資格ではその圧力が弱まりやすいためです。
ただし、この理解にも修正が必要になりつつあります。後の章で詳しく見るとおり、診療報酬の世界では「専任の常勤公認心理師の配置」を施設基準に組み込んだ加算がすでに登場しています。名称独占資格でありながら、特定の点数を算定するためには公認心理師を雇用していなければならないという構造が、部分的に生まれてきているということです。この変化は「やめとけ」論が前提としてきた制度理解を、少しずつ古いものにしつつあります。
登録者数は76,547人|推移で見る資格の広がりと伸びの鈍化
公認心理師の登録者数は、一般財団法人公認心理師試験研修センターが都道府県別に公表しています(公認心理師の都道府県別登録者数)。この資料によると、2019年3月末の24,056人から2026年6月末には76,547人へと、7年あまりで3倍を超える規模に拡大しました。国家資格としての社会的認知が急速に広がった裏づけと言えます。
| 時点 | 登録者数 | 前の時点からの増加数 |
|---|---|---|
| 2019年3月末 | 24,056人 | — |
| 2023年3月末 | 69,875人 | +45,819人(4年間) |
| 2025年3月末 | 73,743人 | +3,868人(2年間) |
| 2026年6月末 | 76,547人 | +2,804人(1年3か月) |
この表で注目したいのは、2023年以降、登録者の増え方が明らかに鈍化している点です。2019年から2023年までの4年間で45,819人が増えたのに対し、2023年から2025年までの2年間の増加は3,868人にとどまりました。これは、制度開始当初に設けられた経過措置(実務経験にもとづく受験資格区分)が終了し、新規登録者が学部・大学院ルートの修了者中心に切り替わったためです。「有資格者が際限なく増え続けて飽和する」というイメージは、少なくとも直近の実数からは読み取れません。この点は、後の章で扱う需給の議論を考えるうえで重要な前提になります。
なぜ「公認心理師 やめとけ」と検索されるのか
国家資格として社会的な認知が広がる一方で、SNSや掲示板、Q&Aサイトでは「年収が低い」「食えない」「非常勤ばかりで不安定」といった声も目立つようになりました。心理学部や心理系大学院への進学を検討する受験生や社会人が、時間とお金をかけて資格を取ったあとに後悔したくないという思いから、進路選択の前に不安を解消しようとして検索するのが「公認心理師 やめとけ」というクエリの実態だと考えられます。
この不安には、実は公的な裏づけがあります。日本心理研修センターの令和5年度公認心理師活動状況等調査では、自由回答40,772件のうち「待遇」に関する課題を挙げた回答が8,511件で最多でした。つまり、待遇への不満は一部の声ではなく、有資格者自身が最も多く指摘している論点だということです。「やめとけ」という言葉は感情的に見えて、実際には有資格者の実感と矛盾していません。だからこそ、その中身を数字で分解して理解する意味があります。
興味深いのは、公認心理師とセットで語られる資格の多くが「なるのは難しいが、なったあとの生活は安定している」というタイプではなく、「なるまでに時間がかかるうえ、なったあとの生活も楽ではない」という声が目立つ点です。看護師や薬剤師のように資格取得直後からある程度の待遇が見込める職種と比較されやすいことも、公認心理師の「割に合わなさ」が強調される一因になっていると考えられます。ただし、これは公認心理師という資格自体の欠陥というより、心理職全体が置かれてきた歴史的な経緯(国家資格化が2017年と比較的最近であること)に由来する面も大きく、制度の成熟とともに変わっていく可能性がある点も押さえておきたいところです。
公認心理師の受験資格をめぐっては、制度開始当初に実務経験だけで受験できた区分G(現任者ルート)の是非が議論になったことも知られています。令和5年度公認心理師活動状況等調査では、回答者の67.0%が区分Gでの取得者でした。登録者の3分の2が大学院での専門的訓練を経ていないという構成は、資格の質を懸念する声が上がった背景を数字で裏づけています。区分Gは2022年7月17日で受験対象が終了し、現在は学部・大学院で指定科目を履修したルートが基本になっています。こうした制度上の紆余曲折も、公認心理師という資格の評価が定まりきっていない一因になっていると考えられます。
あわせて誤解されやすいのが、公認心理師が「医師の指示なしに独立して診断・治療を行える資格」ではないという点です。主治医がいる場合はその指示に従う義務が法律で定められており、医療機関との連携を前提とした働き方が基本になります。この位置づけを正しく理解しておくことも、就職後のギャップを防ぐうえで役立ちます。医療機関以外の教育・産業・福祉分野では主治医の指示が直接関わらない場面も多く、分野によって連携の仕組みが異なる点も理解しておくとよいでしょう。いずれの分野でも、公認心理師は単独で完結する専門職ではなく、医師や教員、企業の人事担当者など他職種と連携しながら支援を組み立てていく職種だという認識を持っておくことが大切です。
「公認心理師はやめとけ」と言われる理由1|年収が伸び悩んでいるという実態
公認心理師がやめとけと言われる最大の理由として挙げられるのが、年収の伸び悩みです。まず前提として、公認心理師を単独の職種として集計した公的な賃金統計は公表されていません。厚生労働省の賃金構造基本統計調査にも公認心理師という職種区分は設けられておらず、「平均年収は◯◯万円」と一つの数字で言い切ることはできない状態です。ネット上で頻繁に引用される平均額の多くは、この事情を踏まえずに算出された推計値です。
公的調査が示す年収分布の実数
一方で、階級ごとの分布であれば公的調査の実数が存在します。厚生労働省の令和2年度障害者総合福祉推進事業として日本公認心理師協会が実施した「公認心理師の活動状況等に関する調査」の報告書には、2019年度の総支給額をもとにした年収分布(有効回答8,990人)が掲載されています。「300万円台が多いと言われる」という伝聞ではなく、実際の階級別の割合を見てみましょう。
| 年収帯(2019年度・総支給額) | 割合 |
|---|---|
| 100万円未満 | 4.2% |
| 100万円以上200万円未満 | 8.1% |
| 200万円以上300万円未満 | 16.4% |
| 300万円以上400万円未満 | 21.3% |
| 400万円以上500万円未満 | 17.7% |
| 500万円以上600万円未満 | 11.1% |
| 600万円以上700万円未満 | 6.9% |
| 700万円以上800万円未満 | 4.6% |
| 800万円以上900万円未満 | 2.7% |
| 900万円以上1,000万円未満 | 1.5% |
| 1,000万円以上 | 2.9% |
この分布から読み取れることは3つあります。第一に、最も人数が多い階級は300万円台(21.3%)で、次いで400万円台(17.7%)、200万円台(16.4%)と続きます。300万円未満が28.7%、400万円未満が49.9%という累積割合になり、およそ半数が400万円未満の水準に位置していることになります。「年収が低い」という指摘は、この点では事実に即しています。
第二に、それでも分布は上にも広く伸びています。600万円以上が合計18.6%、1,000万円以上も2.9%を占めます。「公認心理師は食えない」という表現が想像させるほど、収入の天井が低いわけではありません。第三に、この分布は雇用形態や経験年数、分野によって形が大きく変わります。平均値を1つ知るよりも、自分がどの層に入りうるかを条件別に把握するほうが、進路判断には役立ちます。
雇用形態・経験年数・分野で変わる年収の形
同じ調査は、条件別の最頻値も公表しています。常勤では300万円台が20.7%、400万円台が20.6%とほぼ並ぶのに対し、非常勤のみで働く人では200万円台が25.1%で最多となります。「非常勤が多いから年収が低い」という説明は、ここで数字として裏づけられます。裏を返せば、常勤の職を得られるかどうかが年収を大きく左右するということでもあります。
| 条件 | 最も多い年収帯 | 補足 |
|---|---|---|
| 常勤 | 300〜400万円 20.7% / 400〜500万円 20.6% | 2つの階級がほぼ並ぶ |
| 非常勤のみ | 200〜300万円 25.1% | 常勤より1階級下にピーク |
| 実務経験10年未満 | 300〜400万円 29.7% | キャリア初期のボリュームゾーン |
| 実務経験10年以上 | 400〜500万円 18.2% | 1,000万円以上も4.4% |
経験年数による変化も見逃せません。実務10年未満では300万円台が29.7%と突出しているのに対し、10年以上になると400万円台が18.2%で最多となり、1,000万円以上の割合も4.4%まで上がります。資格取得直後の水準だけを見て将来性を判断するのは早計だという主張には、この数字が根拠になります。
分野による差も明確です。最頻値で比較すると、保健医療・福祉・教育の3分野は300万円台がボリュームゾーンである一方、産業・労働は400万円台、司法・犯罪は500万円台が最頻値となっています。「公認心理師の年収」を一つの数字で語ると、この分野差が完全に消えてしまいます。志望分野を決める段階で、この違いを知っているかどうかは、10年後の収入に直結する情報です。
| 分野 | 最も多い年収帯 |
|---|---|
| 保健医療 | 300〜400万円 |
| 福祉 | 300〜400万円 |
| 教育 | 300〜400万円 |
| 産業・労働 | 400〜500万円 |
| 司法・犯罪 | 500〜600万円 |
他の医療・福祉系国家資格との比較で見える構造
公認心理師と並んで語られやすい看護師や理学療法士、作業療法士などの医療系国家資格は、診療報酬制度のなかで業務が評価される仕組みが早くから整っていました。心理職が診療報酬上で単独に評価されるようになったのは、後述するとおり令和2年度改定が最初です。医療機関が人件費を回収する裏づけが薄い期間が長かったことが、年収が伸びにくい構造の背景にあると考えられます。ただしこの構造は令和2年度以降、改定のたびに変化しています。年収の議論を過去の前提のまま続けると、実態を見誤ることになります。
年収を左右する要素としては、勤務先の分野に加えて経験年数と専門資格の重ね取りが大きいと考えられています。勤続年数を重ねて管理職やスーパーバイザーの立場に進んだ人と、非常勤の掛け持ちを続けている人とでは、年収に数百万円単位の差が生まれることも珍しくありません。転職や独立のタイミングで年収が大きく変わるケースも報告されており、長期的なキャリア設計を前提に年収の推移をイメージしておくことが大切です。
地域差も無視できない要素です。都市部は求人数そのものは多いものの、心理系大学院の修了者が集中するため競争が激しくなりやすい傾向があります。一方で地方は求人数自体が少ないものの、競合が少なく常勤採用につながりやすいという声もあり、一概に都市部が有利とは言えません。勤務地の希望と収入面の希望をどう優先順位付けするかも、進路選択の重要な論点になります。公認心理師のなかには本業に加えてオンラインカウンセリングや執筆・講演といった活動を組み合わせ、収入を補っている人もいます。一つの収入源に依存しない働き方は、雇用の不安定さへの実務的な対策として選ばれることがあります。
臨床心理士との単純比較についても、両資格を併せ持つ人が多いため厳密な切り分けは難しいのが実情です。「公認心理師だから低い」「臨床心理士だから高い」といった図式は成り立ちにくく、実際には勤務先の分野や雇用形態の違いのほうが年収への影響が大きいと考えられます。年収の情報を集める際は、一つの記事や口コミだけで判断せず、公的機関や職能団体が公表している資料、実際の求人票に記載された給与レンジなど、複数の情報源を突き合わせて確認する姿勢が大切です。心理系大学院への進学を具体的に検討している段階であれば、心理系大学院入試の専門指導で志望分野の実情も含めて相談してみるのも一つの方法です。
理由2|非常勤・掛け持ちなど雇用形態が不安定になりやすい
年収の問題と表裏一体なのが、雇用形態の不安定さです。前掲の厚生労働省令和2年度障害者総合福祉推進事業の調査(有効回答13,688人)では、常勤7,572人(55.3%)、非常勤5,237人(38.3%)という結果が報告されています。その他が191人(1.4%)、就労なしが688人(5.0%)です。この数字だけを見ると常勤が過半数を占めているように見えますが、非常勤を選んでいる理由まで踏み込むと、別の姿が見えてきます。
| 就業形態 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 常勤 | 7,572人 | 55.3% |
| 非常勤 | 5,237人 | 38.3% |
| その他 | 191人 | 1.4% |
| 就労していない | 688人 | 5.0% |
非常勤である理由の内訳が示すもの
非常勤である5,237人に理由を尋ねた結果(複数回答)では、「常勤の求人がない」が54.0%で最多でした。非常勤を選んでいる人の半数以上が、望んでそうしているのではなく、常勤の選択肢自体が少ないために非常勤にとどまっているということです。「やめとけ」論のなかで最も実態に即した指摘は、おそらくこの部分です。
| 非常勤である理由(複数回答) | 割合 |
|---|---|
| 希望する分野・機関で常勤の求人がない | 54.0% |
| 自分の都合のよい時間に働ける | 40.8% |
| 専門的な技能を活かせる | 38.8% |
| 家事・育児・介護と両立しやすい | 33.3% |
| 複数の勤務先で実務経験を積める | 30.5% |
| 時間のゆとりがある | 30.1% |
| ライフスタイルとして常勤を望まない | 19.6% |
ただし、この表は同時に別のことも示しています。「都合のよい時間に働ける」40.8%、「専門的な技能を活かせる」38.8%という積極的な理由も高い割合で選ばれており、「常勤を望まない」と明言した人も19.6%います。非常勤という働き方が、一律に不本意なものとして受け止められているわけではないことも読み取れます。複数回答であるため合計は100%を超えますが、不本意型と選択型が混在している構造は押さえておく価値があります。
令和5年度調査が示す最新の雇用実態
より新しいデータとして、一般財団法人日本心理研修センターが実施した令和5年度公認心理師活動状況等調査(2024年3月公表)があります。令和5年10月末時点の登録者71,732人全員を対象とし、38,827人が回答(回答率54.4%)という大規模な調査です。有資格者のおよそ半数が回答しているという点で、心理職の実態を示す資料としては現時点で最も網羅性が高いものと言えます。
| 就業状況 | 割合 |
|---|---|
| 心理職として雇用されている | 57.5% |
| 心理職以外の職だが心理業務に一部従事 | 24.8% |
| 心理業務に従事していない | 12.5% |
| 休職中など | 5.2% |
心理職として雇用されているのは57.5%です。ここだけを切り取れば「4割以上が心理職として働けていない」と読めますが、心理職以外の職に就きながら心理業務に一部従事している人が24.8%いる点を見落としてはいけません。両者を合わせると82.3%が何らかの形で心理業務に関わっていることになります。区分Gで資格を取った現任者が多数を占める構成を考えれば、教員や看護師、企業の人事担当者などが本務を持ちながら心理業務を担っている姿が浮かびます。
心理業務に従事している人の雇用形態の内訳は、常勤の心理職32.6%、非常勤の心理職35.6%、常勤で心理職以外26.3%、非常勤で心理職以外5.5%でした。心理職に限れば非常勤35.6%が常勤32.6%をわずかに上回っています。令和2年度調査の常勤55.3%という数字と印象が異なるのは、調査対象の広さの違い(回答者数が2.8倍)によるところが大きいと考えられます。数字を引用する際は、どちらの調査のものかを意識しておくことが大切です。
教育分野で非常勤が多いのは制度上の理由がある
分野別に見ると、教育分野は非常勤の割合が高い分野として語られます。これは求人が不人気だからではなく、制度設計そのものに理由があります。文部科学省のスクールカウンセラー等活用事業では、基礎配置が「全公立小中学校に週4時間」と定められています。1校あたり週4時間という設計である以上、その配置を常勤の職として設計することは構造的に困難です。教育分野で非常勤が多いのは、心理職の評価が低いからではなく、配置の単位が時間で定義されているためです。
この点を理解しておくと、「教育分野=不安定」という短絡を避けられます。週4時間の枠を複数校で組み合わせる働き方が前提であり、実際に多くのスクールカウンセラーが複数校を担当しています。スクールカウンセラーという職業そのものの詳細はスクールカウンセラーになるにはで整理していますので、教育分野を志望する方はあわせて確認してください。なお、この配置基準は近年見直しが進んでおり、後の章で触れるとおり常勤化を促す方向の記述が予算資料に明記されています。
複数の勤務先を掛け持ちしながら生計を立てる働き方は、収入を確保するための現実的な選択肢である反面、移動の負担や勤務先ごとの人間関係の構築コスト、有給休暇や社会保険といった福利厚生面での不利がかかる点も見逃せません。分野選びの段階で雇用の安定度を意識しておくことが、入職後のミスマッチを避けるうえで重要です。志望する分野が定まっていない段階では、複数分野の求人動向を比較しながら、自分が優先したい条件(収入・安定性・専門性・働き方の柔軟さ)を整理しておくとよいでしょう。
雇用の不安定さへの対策として、複数の勤務先を意図的に組み合わせるポートフォリオ型の働き方を選ぶ公認心理師もいます。病院での勤務と学校でのスクールカウンセラー業務を並行するなど、分野を分散させることで、特定の職場の求人状況に収入全体が左右されるリスクを抑える考え方です。移動時間や事務手続きの負担は増えますが、経験を積める分野が広がるというメリットもあります。就職・転職活動の段階で、こうした働き方の選択肢があることを知っておくと、非常勤という言葉だけで不安になりすぎずに済みます。
非常勤契約は多くの場合、1年ごとなど有期での契約更新が前提になります。契約更新のタイミングで雇い止めになるリスクがゼロではないことも、不安定さの一因として語られます。非常勤の掛け持ちでは交通費や税務処理を自分で管理する必要があり、正社員的な働き方に比べて事務的な負担が増える点も見落とされがちです。就職先を選ぶ際には、契約形態や更新の実績を面接時に確認しておくと安心材料になります。勤務先によって社会保険の適用条件が異なり、加入できないケースもあります。産休・育休制度の対象になるかどうかも、常勤・非常勤で差が出やすいポイントです。ライフイベントを見据えたキャリア設計をする場合は、こうした制度面の違いも事前に確認しておくと安心です。もっとも、非常勤からキャリアをスタートし、経験を積んだうえで常勤ポジションに移る人も少なくありません。最初の職場が非常勤だからといって、その働き方が続くとは限らないという点も、あわせて知っておくと不安が和らぐはずです。
理由3|資格取得までの時間とコストが大きい
公認心理師の受験資格を得る標準的なルートは、心理学系の学部で4年、大学院で2年学ぶ計6年です。医師や薬剤師ほどではないにせよ、他の対人援助職の資格と比べても取得までの年数が長い部類に入ります。学費・生活費を合わせると総額で数百万円規模の投資が必要になるケースも珍しくなく、この負担の大きさが「やめとけ」と言われる理由の一つになっています。特に社会人からのキャリアチェンジを考える場合、時間的なコストは金銭的なコスト以上に重くのしかかることがあります。
区分Gの終了で、大学院入試が事実上の入口になった
この負担が近年重くなった直接の原因は、受験資格の経過措置が終わったことにあります。令和5年度公認心理師活動状況等調査で回答者の67.0%を占めた区分G(現任者ルート)は、2022年7月17日をもって受験対象が終了しました。つまり、現在の登録者の3分の2が使った入口は、これから目指す人には開かれていません。実務経験だけで受験できる道がなくなった以上、学部・大学院で指定科目を履修するルートが基本になります。
この事実は、「やめとけ」論を読むときの重要な補正材料になります。ネット上の体験談の多くは、大学院を経ずに資格を取得した現任者によるものである可能性が高く、その待遇や職域の感覚が、これから大学院で専門訓練を受けて資格を取る人にそのまま当てはまるとは限らないためです。同じ資格でも、取得ルートによって前提が大きく異なる時期にあることを踏まえて情報を読む必要があります。
学部+大学院で最短6年、社会人はさらに長期化しやすい
社会人から目指す場合は、働きながら心理学系の学部・大学院で学び直す必要があり、実質的にはさらに長い期間がかかることも珍しくありません。すでに他学部を卒業している社会人であれば、大学に編入学して心理学を学び直すルートや、科目等履修生制度などを活用して必要科目を補うルートなど、複数の選択肢を比較検討する必要があります。ルートごとの詳細な要件や、社会人が最短で資格取得を目指す進め方については、公認心理師になるには?大学・大学院ルートと社会人からの目指し方を完全解説と社会人が心理系大学院を目指す方法で具体的に整理しています。
学費・生活費を含めた投資額の考え方
心理系の学部・大学院は国公立か私立かによって学費の差が大きく、私立の大学院では年間100万円を超える学費がかかることもあります。具体的な金額の比較は公認心理師の大学院の学費で整理していますので、資金計画を立てる段階で確認してください。社会人が退職して大学院に進学する場合は、学費に加えて数年分の生活費や機会費用(その間に得られたはずの給与)も実質的なコストとして考える必要があります。資格取得後の年収分布を踏まえたうえで投資回収のイメージを持っておくことが、後悔を避ける第一歩になります。前章で見たとおり、400万円未満が49.9%という分布を前提に計算しておけば、想定外の落胆は避けられます。
時間とコストの負担を減らす工夫としては、奨学金制度や大学院の授業料減免制度を早い段階から調べておくことが挙げられます。日本学生支援機構の貸与型・給付型奨学金や、大学独自の授業料免除制度を組み合わせることで、自己負担を抑えながら進学するケースも少なくありません。社会人であれば、在職中に科目等履修生として必要科目を先取りしておき、大学院進学後の在学期間そのものを短縮する工夫も検討する価値があります。時間的・金銭的な負担は「減らせる部分」と「減らせない部分」に分けて考えると、計画が立てやすくなります。
見落とされがちなのが、大学院入試そのものに複数年かかる可能性です。心理系大学院は倍率が高い研究科・研究室も珍しくなく、1年目の受験で合格できず、翌年に再挑戦する人も一定数います。浪人期間が延びるほど、時間的・金銭的なコストはさらに積み上がります。志望校の選択肢を広く把握しておくことも遠回りを避ける手段の一つで、公認心理師の指定大学院一覧で候補を洗い出しておくと計画が立てやすくなります。研究計画書のテーマ設定や志望する研究室とのマッチングを早い段階から丁寧に詰めておくことも重要で、書き方の手順は心理系大学院の研究計画書の書き方で解説しています。
近年は働きながら学べる通信制大学院や、夜間・土日開講のコースを設ける大学院も増えており、社会人が通学の負担を抑えながら学び続けられる選択肢も広がっています。志望校を検討する際は、通学形態やスクーリングの頻度も比較材料に加えるとよいでしょう。大学院によってはティーチングアシスタント(TA)やリサーチアシスタント(RA)として在学中に報酬を得られる制度を設けているところもあり、学費・生活費の負担を多少なりとも軽減できる仕組みとして活用されています。奨学金だけでなく、こうした在学中の収入源も含めて資金計画を立てると、負担感を減らしやすくなります。
理由4|資格保有者の増加と需要のミスマッチへの懸念
公認心理師試験は2018年の第1回から実施されており、回を重ねるごとに登録者数が積み上がっています。ただし、試験の規模と性格は途中で大きく変わりました。第1回は受験者35,020人という突出した規模でしたが、直近の第9回は2,400人です。この変化を理解しないまま合格率だけを比べると、試験の難易度を読み違えることになります。
第9回試験(2026年3月)までの推移
厚生労働省が公表した合格発表をもとに、直近の推移を整理します。最新の第9回試験は2026年3月1日に実施され、結果は2026年3月27日に公表されました。
| 試験回・実施日 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第1回(2018年9月9日) | 35,020人 | 27,876人 | 79.6% |
| 第7回(2024年3月3日) | 2,089人 | 1,592人 | 76.2% |
| 第8回(2025年3月2日) | 2,174人 | 1,454人 | 66.9% |
| 第9回(2026年3月1日) | 2,400人 | 1,441人 | 60.0% |
注目すべきは、合格率が第7回76.2%、第8回66.9%、第9回60.0%と3年連続で低下している点です。受験者数は2,089人から2,400人へと増えているのに、合格者数は1,592人から1,441人へと減りました。試験そのものが易しくなっているわけではないということです。合格率の詳細な分析や、区分別の内訳については公認心理師試験の合格率で扱っていますので、受験を具体的に検討している方はそちらを参照してください。
この数字は需給の議論にも影響します。第1回で27,876人が一度に資格を得た時期と異なり、現在の新規有資格者は年間1,400〜1,600人規模にとどまっています。登録者数の伸びが鈍化していることは前章の表で見たとおりで、「有資格者が爆発的に増えて仕事がなくなる」という懸念は、少なくとも現在の供給ペースからは支持されにくいと言えます。
都市部集中の実数|東京都だけで全体の16.8%
一方で、地域の偏りははっきりしています。公認心理師試験研修センターの都道府県別登録者数(2026年6月末時点、全国76,547人)を見ると、東京都が12,831人で全体の16.8%を占めます。さらに登録者数の多い上位8都府県を合計すると43,793人となり、全体の57.2%に達します。都道府県は47ありますが、そのうち8つに有資格者の6割近くが集まっている計算です。
| 区分 | 登録者数 | 全国に占める割合 |
|---|---|---|
| 全国 | 76,547人 | 100% |
| 東京都 | 12,831人 | 16.8% |
| 上位8都府県の合計 | 43,793人 | 57.2% |
| 秋田県(最少) | 270人 | — |
| 鳥取県 | 336人 | — |
| 高知県 | 387人 | — |
最も少ない秋田県は270人、次いで鳥取県336人、高知県387人です。東京都の12,831人は秋田県の47倍を超える規模で、「都市部に集中している」という定性的な表現が、実際にはこれほどの開きを意味していることがわかります。心理系の大学院が都市部に集中していることが主因と考えられ、修了後もその地域で就職する人が多いため偏りが固定化しやすい構造です。
この偏りは、志望地域によって意味が正反対になります。都市部を志望するなら、同じ地域に1万人規模の有資格者がいる前提で差別化を考える必要があります。一方、有資格者が300人前後しかいない県では、求人の数は少なくても競合はさらに少ないという状況が生まれます。「資格保有者が増えている」ことと「特定の地域・分野で需要が満たされている」ことは必ずしもイコールではなく、この需給のねじれが「やめとけ」論の背景にある構造的な問題だと言えます。進路を決める前に、自分が活動したい地域・分野での求人動向を具体的に調べておくことが、想定と現実のギャップを減らすうえで役立ちます。
需給のミスマッチを解消する動きとして、資格取得後も継続的に専門性を高めていく研修制度の整備が進んでいる点も押さえておきましょう。特定の疾患・年代・領域に強い公認心理師は、供給が増えても相対的に選ばれやすい傾向があるとされ、資格を取ったあとにどの専門性を伸ばしていくかが、需給のミスマッチの影響を受けにくくするための鍵になります。汎用的な資格だからこそ、取得後の専門性の磨き方でキャリアの明暗が分かれやすいとも言えるでしょう。公認心理師には資格更新制度はありませんが、実務のなかで最新の知見をアップデートし続けることが事実上求められます。学会や研修会への参加を通じて専門性を継続的に磨いている人ほど、需給のミスマッチの影響を受けにくい傾向があると考えられます。
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理由5|クライアントと深く向き合う精神的負荷の大きさ
年収や雇用の話とは別次元の理由として語られるのが、仕事そのものが持つ精神的な負荷の大きさです。公認心理師は、うつ病や不安障害、発達特性、虐待やDVの被害、希死念慮など、深刻な悩みを抱えるクライアントと向き合う仕事です。相手の人生に関わる重い責任を背負い続けることになるため、業務内容そのものが「やめとけ」と言われる理由の一つに数えられています。年収や雇用形態のような制度面の課題とは異なり、この負荷は資格制度が今後どう変わっても本質的には残り続ける部分でもあります。
クライアントの深刻な悩みに向き合う責任の重さ
心理職の面談では、クライアントの秘密を守りながら、時には自殺のリスク評価や関係機関との連携判断といった重い意思決定を求められる場面もあります。一件一件の面談に高い集中力と責任感を要するため、身体的な疲労以上に精神的なエネルギーを消耗しやすい仕事だと言われています。経験の浅いうちは、判断に迷う場面でスーパービジョン(先輩・指導者からの助言)を受けられる環境かどうかも、働きやすさを大きく左右する要素です。スーパービジョン体制が整っていない職場では、一人で重い判断を抱え込みやすく、負荷がさらに大きくなる傾向があります。
バーンアウト・自己ケアの必要性
対人援助職全般に共通する課題として、燃え尽き症候群(バーンアウト)のリスクが指摘されています。公認心理師として長く働き続けるためには、自分自身のメンタルヘルスを維持するセルフケアの技術や、同僚・指導者に相談できる職場環境を選ぶ視点が欠かせません。「人の役に立ちたい」という動機だけで飛び込むと、燃え尽きるリスクがあるという点は、進路を決める前に理解しておく価値があります。就職・転職の際には、給与や勤務時間だけでなく、スーパービジョンの有無や職場内でのケース検討会の頻度といった、精神的な負荷をケアする仕組みが整っているかどうかも確認しておくとよいでしょう。
この負荷の重さは、令和5年度公認心理師活動状況等調査の数字にも一部あらわれています。心理業務に従事していない人の理由として「休職中」が11.5%挙げられており、心理職として働きながら健康上の理由で離れている人が一定数存在することがわかります。負荷への備えは精神論ではなく、キャリアを継続するための実務的な条件だと考えたほうが実態に近いと言えます。
精神的な負荷は、経験を積むことである程度コントロールできるようになるとも言われています。最初のうちは重いケースに圧倒されやすくても、面談の進め方や自分自身の感情との付き合い方を学んでいくなかで、負荷を管理しながら働けるようになっていく人が多いという指摘もあります。大学院での実習や、資格取得後の初期キャリアでどれだけ丁寧な指導を受けられるかが、この負荷への耐性を育てるうえで重要な意味を持ちます。
クライアントの深刻な体験談を繰り返し聞き続けることで、支援者自身が間接的に心理的なダメージを受ける「二次受傷」と呼ばれる現象も知られています。これは意志の弱さや適性の欠如ではなく、対人援助職に共通する職業的なリスクとして理解されているものです。多くの心理系大学院や職能団体では、こうしたリスクへの対処法を学ぶ研修や、定期的なスーパービジョンを受けられる仕組みを用意しています。入職前に、こうしたサポート体制の有無を確認しておくことも、長く働き続けるための備えになります。具体的なセルフケアの方法としては、定期的に自分自身がカウンセリングを受ける「教育分析」や、業務外の時間で意識的にリフレッシュする習慣づくりなどが挙げられます。支援する側にもケアが必要だという認識を持つこと自体が、長く働き続けるための土台になります。心理系の大学院や養成課程では、こうした自己理解を深める演習が用意されていることも多く、資格取得の過程そのものが精神的な負荷への耐性を養う機会にもなっています。
「やめとけ」への反証|公的データが示す5つの追い風
ここまで5つの理由を数字で確認してきましたが、同じ公的資料は逆方向の事実も示しています。「やめとけ」論が前提としている制度環境は、この数年で確実に動いています。ここでは、公的資料から確認できる5つの追い風を整理します。課題と追い風の両方を並べて初めて、進路の判断材料として使える情報になります。
追い風1|診療報酬での評価は改定のたびに拡大している
「公認心理師の業務は診療報酬で評価されない」という説明は、現在では正確ではありません。日本公認心理師協会の保健医療分野委員会が公表している解説資料によれば、令和2年度改定で小児特定疾患カウンセリング料に公認心理師が位置づけられました。これは心理職が単独で行うカウンセリングが初めて点数化された出来事です。その後も改定のたびに評価は拡大しています。
| 改定年度 | 公認心理師に関する主な内容 |
|---|---|
| 令和2年度 | 小児特定疾患カウンセリング料に公認心理師を位置づけ。心理職が単独で行うカウンセリングの初の点数化 |
| 令和4年度 | 患者初期支援充実加算等を新設。がん患者指導管理料等に算定職種として追加 |
| 令和6年度 | 心理支援加算を新設。精神科養育支援体制加算300点(施設基準に専任の常勤公認心理師)、児童思春期支援指導加算、精神科地域包括ケア病棟入院料1,535点 |
| 令和8年度(2026年度) | 認知療法・認知行動療法、心理支援加算等で変更・新設。2026年6月施行 |
とりわけ重要なのが令和6年度改定の精神科養育支援体制加算300点です。この加算は施設基準に「専任の常勤公認心理師」の配置を求めています。医療機関がこの点数を算定するには、公認心理師を常勤で雇用していなければならないということです。名称独占資格でありながら、報酬上の要件を通じて常勤雇用の必要性が生まれる仕組みができつつあります。「常勤の求人がない」という現状の裏側で、常勤採用のインセンティブが制度側に組み込まれ始めているのは見逃せない変化です。
令和8年度(2026年度)改定でも認知療法・認知行動療法や心理支援加算等に変更・新設があり、2026年6月から施行されています。令和2年度から令和8年度まで、4回連続で評価が広がってきたという事実は、単年度の偶然ではなく方向性として読み取ってよいものです。医療分野を志望する場合は、志望先の医療機関がこれらの加算を算定しているかどうかを調べておくと、常勤採用の可能性を見積もる材料になります。
追い風2|スクールカウンセラー予算は増額され、常勤化が明記された
教育分野でも制度が動いています。文部科学省の令和8年度予算資料によると、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの体制充実に令和8年度は88億円(前年度86億円)が計上され、うちスクールカウンセラー等活用事業は63.5億円(前年度62.12億円)となっています。いずれも前年度から増額です。
| 項目 | 令和8年度 | 前年度 |
|---|---|---|
| SC・SSW体制充実 | 88億円 | 86億円 |
| スクールカウンセラー等活用事業 | 63.5億円 | 62.12億円 |
| 基礎配置 | 全公立小中学校に週4時間 | — |
| 重点配置 | 11,300校 | — |
| スーパーバイザー | 101人 | 67人 |
特筆すべきは2点です。第一に、スーパーバイザーが67人から101人へと大幅に増えています。経験を積んだ心理職が指導的な立場に進むポストが増えているということであり、キャリアパスの上限が広がる動きです。第二に、この予算資料には「フルタイム等の任用も促し」という記述が明記されています。週4時間の基礎配置という制度上の制約を前提としつつも、常勤的な任用を推進する方向が政策文書に書き込まれた意味は小さくありません。
加えて、スクールカウンセラー等活用事業実施要領(令和8年2月17日改正)では、選考要件の第1号に公認心理師が挙げられています。国家資格化以前は臨床心理士が事実上の要件でしたが、現在は公認心理師が筆頭に位置づけられているということです。教育分野を志望する場合、この位置づけの変化は資格取得の実利に直結します。
追い風3|従事していない人の88.0%が「機会があれば従事したい」
令和5年度公認心理師活動状況等調査では、心理業務に従事していない12.5%の人に対しても意向が尋ねられています。その結果、88.0%が「機会があれば心理業務に従事したい」と回答しました。心理職から離れている人の大多数が、離職を望んでいるわけではなく、条件が合えば戻る意思を持っているということです。
従事していない理由の内訳を見ると、心理職以外の職を希望30.0%、働き方の条件が合わない25.0%、給与の条件が合わない21.9%、休職中11.5%、キャリアアップのため8.6%となっています。給与と働き方を合わせた46.9%が条件面を理由に挙げていることがわかります。この構図は、待遇の課題が深刻であることを示すと同時に、条件が改善すれば復帰しうる人材の層が厚いことも示しています。「資格を取っても働けない」ではなく「条件が合わないから今は働いていない」という状態が、数字の実像です。
| 心理業務に従事していない理由 | 割合 |
|---|---|
| 心理職以外の職を希望している | 30.0% |
| 働き方の条件が合わない | 25.0% |
| 給与の条件が合わない | 21.9% |
| 休職中 | 11.5% |
| キャリアアップのため | 8.6% |
追い風4|分野を選べば心理職としての雇用率は7割を超える
同じ調査は、分野ごとの心理職としての雇用率も公表しています。司法・犯罪分野は84.5%、保健医療分野は72.1%が心理職として雇用されており、教育69.7%、福祉65.2%、産業・労働64.4%と続きます。全体平均の57.5%と比べると、分野の選び方によって心理職として働ける確率がかなり変わることがわかります。
| 分野 | 心理職としての雇用率 |
|---|---|
| 司法・犯罪 | 84.5% |
| 保健医療 | 72.1% |
| 教育 | 69.7% |
| 福祉 | 65.2% |
| 産業・労働 | 64.4% |
| 全体 | 57.5% |
前章で見た年収の分野別最頻値と重ねると、より立体的な判断ができます。司法・犯罪分野は心理職としての雇用率84.5%かつ年収の最頻値が500万円台、産業・労働分野は雇用率64.4%で最頻値400万円台です。「公認心理師は稼げない」という一般論は、分野を指定した瞬間に崩れます。志望分野を早めに絞り込み、その分野に強い大学院・研究室を選ぶことが、待遇面のリスクを下げる最も現実的な方法だと言えます。
追い風5|区分Gの終了で、有資格者の質と希少性が上がる局面に入った
5つ目は、これまで課題として語られてきた事実の裏面です。登録者の67.0%を占めた区分Gが終了したことで、今後の新規有資格者は全員が学部・大学院で指定科目を履修した人材になります。年間の新規合格者は1,400〜1,600人規模で、登録者数の伸びも鈍化しています。
供給が絞られ、かつ専門訓練を受けた人材だけが供給されるという構造は、中長期的には有資格者の相対的な価値を高める方向に働きます。診療報酬とスクールカウンセラー予算の両方で需要側の裏づけが拡大している時期に供給が絞られるという組み合わせは、これから大学院ルートで資格を取る人にとっては追い風です。制度が整っていく過渡期にある今だからこそ、早い段階で専門性を確立した人が将来的に有利なポジションを得やすいという見方もできます。「今は課題が多いから」という理由だけで選択肢から外してしまうのは、もったいない判断かもしれません。
それでも公認心理師を目指す価値がある人の特徴
ここまで「やめとけ」と言われる5つの理由と、公的データが示す5つの追い風を見てきました。課題は実在しますが、それらは公認心理師という資格そのものの価値を否定するものではありません。課題を理解したうえで、それでも目指す価値がある人には共通した特徴があります。逆に言えば、これらの特徴に当てはまらない場合は、他のキャリアと比較検討する余地が大きいということでもあります。
向いている人の特徴
- 人の話をじっくり聞き、すぐに答えを出さずに寄り添うことが苦にならない
- 資格取得までの6年前後という期間を、長期的な自己投資として納得できる
- 年収400万円未満が49.9%という分布を知ったうえで、専門性を活かすことに動機を持てる
- 一つの職場に依存せず、複数分野で経験を積むキャリアの築き方に前向きになれる
- 継続的に学び続けること(研修・スーパービジョン・関連分野の勉強)に抵抗がない
- 志望分野を早めに絞り、その分野の雇用率・年収水準を踏まえて準備できる
逆に、短期間で高収入を得たい、安定した終身雇用を最優先したいという価値観が強い場合は、公認心理師以外のキャリアと比較検討する余地があります。心理学の知識を活かせる仕事は公認心理師以外にも、産業カウンセラーやキャリアコンサルタント、企業の人事・人材開発職など複数あり、公認心理師の資格取得だけがゴールではありません。資格を取ったあとにどう働き、どう生計を立てていくかまで具体的にイメージできるかが、後悔しない選択の分かれ目になります。
適性を見極める方法として、大学の心理学科での実習や、ボランティアとして相談援助の現場に触れてみることも有効です。実際の現場を体験してから進路を決めた人は、入学後・資格取得後のギャップに悩みにくい傾向があります。心理学部への進学や編入を検討している段階であれば、オープンキャンパスや研究室訪問を通じて、教員や先輩から現場のリアルな声を聞いておくことをおすすめします。分野によって求められる資質にも違いがあり、子どもと関わることに喜びを感じる人は教育分野、組織の課題解決に関心がある人は産業分野というように、自分の興味・関心と親和性の高い分野を早めに見つけておくことも、長く続けられるキャリアにするためのポイントです。完璧な適性チェックリストは存在しませんが、「困っている人の話を最後まで聞ける」「答えを急がず一緒に考える姿勢を持てる」といった資質は、多くの心理職養成課程で重視される傾向があります。
年収・キャリアを伸ばしている人がしていること
公認心理師のなかでも収入やキャリアを伸ばしている人には、いくつかの共通点があります。一つは、公認心理師と臨床心理士など複数の資格を組み合わせるダブルライセンスです。両資格の違いや取得のメリットは公認心理師と臨床心理士の違いを徹底比較で解説しています。もう一つは、産業領域で企業のメンタルヘルス対策や人材育成に携わったり、独立してオンラインカウンセリングを展開したりと、医療機関以外のフィールドにも活動の幅を広げているケースです。前章のデータが示すとおり、実務経験10年以上では1,000万円以上が4.4%を占めており、専門分野を確立して評価を得ることが収入に反映される構造は確かに存在します。心理学部からのキャリアを検討している方は、心理学部 編入を徹底解説もあわせて確認しておくと、進路の選択肢を広げやすくなります。
もう一つの共通点として、就職・転職の情報収集を怠らないことが挙げられます。求人情報だけでなく、実際にその職場で働く先輩や指導者から話を聞くことで、給与水準だけでは見えない働きやすさ(スーパービジョン体制、残業の実態、キャリアパスの選択肢)を把握している人が多い傾向があります。大学院在学中から実習先や指導教員のネットワークを活用し、修了後のキャリアを見据えて情報を集めておくことが、資格取得後のミスマッチを防ぐことにつながります。
後悔しないための進路の決め方・大学院選びのポイント
「公認心理師はやめとけ」という言葉に振り回されず、後悔のない進路選択をするためには、事前の情報収集と自己分析が欠かせません。ここでは、進路を決める前に確認しておきたいポイントを整理します。感情的な不安や周囲の意見だけで判断せず、具体的な情報にもとづいて一つずつ確認していくことが重要です。
目指す前に確認すべきチェックリスト
- 希望する分野の心理職雇用率(司法犯罪84.5%〜産業労働64.4%)を踏まえて志望分野を検討したか
- 学費・生活費を含めた総投資額と、年収400万円未満が49.9%という分布を比較したか
- 志望地域の登録者数(東京都12,831人〜秋田県270人)を調べ、競合の多さを把握したか
- 非常勤の掛け持ちも視野に入れたキャリアプランを描けているか
- 精神的な負荷が大きい業務内容に、長期的に向き合える見込みがあるか
- 臨床心理士など関連資格との違い・併用の可能性を理解しているか
これらを一つずつ具体的に確認していくことで、「なんとなく不安」な状態から「納得したうえで選ぶ」状態に進むことができます。特に、希望する分野の求人状況は地域差が大きいため、志望する勤務地の求人サイトや自治体の採用情報を実際に調べてみることをおすすめします。実際に働いている公認心理師の話を聞ける機会(大学のOB・OG訪問、職能団体のイベントなど)があれば積極的に参加し、求人票だけではわからない働き方のリアルな情報を集めておくと、入職後のイメージのズレを防ぎやすくなります。
大学院入試が事実上唯一の入口になった今、対策の重みが増している
区分Gが2022年に終了した現在、公認心理師を新たに目指すルートは学部・大学院での指定科目履修に一本化されています。つまり、大学院入試の合否が、資格取得の可否をほぼそのまま決める構造になったということです。かつては実務経験で回避できた関門が、いまは避けられない関門になっています。この変化は、大学院入試対策の重要性が以前より高まっていることを意味します。
大学院選びでは、指定科目のカリキュラム、実習先の実績、修了後の進路実績を確認することが重要です。候補校の洗い出しには公認心理師の指定大学院一覧が使えます。そのうえで、研究計画書の完成度や面接対策の質が合否を左右するため、独学だけで対策を進めるのが不安な場合は、専門の指導を受けることも有効な選択肢です。第1区分の大学院選びに特化した情報は公認心理師の大学院(第1区分)とはでも詳しく解説していますので、あわせて確認しておくと大学院選びの精度を上げることができます。
予備校や個別指導を選ぶ際は、心理系大学院入試に特化した実績があるかどうかも確認しておきたいポイントです。研究計画書のテーマ設定や先行研究の整理は独学ではつまずきやすい工程であり、専門的な添削指導を受けることで完成度が大きく変わることがあります。志望校ごとに出題傾向や面接で問われやすい内容も異なるため、自分の志望分野に合わせた対策を早い時期から始めておくことが、限られた準備期間を有効に使うコツです。心理系大学院入試の専門指導では、研究計画書の作成から面接対策まで、志望分野に合わせたサポートを行っています。
一人で抱え込まず複数の相談先を持つ
進路選びに迷ったときは、一人で抱え込まずに複数の相談先を持っておくことも大切です。大学のキャリアセンターや心理学科の教員、実際に心理職として働く先輩、資格取得支援を行う予備校など、立場の異なる複数の相談先から意見を集めることで、偏った情報に流されにくくなります。特に大学院入試は情報戦の側面もあるため、志望する研究科の入試情報や過去の出題傾向に詳しい専門家のサポートを受けられると、準備の効率が大きく変わります。周囲に相談できる人がいない場合は、オンラインで受講できる講座や、心理系大学院入試に特化した個別指導サービスを利用する方法もあります。情報を集めれば集めるほど、漠然とした不安は具体的な検討事項に変わっていきます。
公認心理師 やめとけに関するよくある質問(FAQ)
公認心理師はやめとけと言われる一番の理由は何ですか?
待遇面が最大の理由です。日本心理研修センターの令和5年度公認心理師活動状況等調査では、自由回答40,772件のうち「待遇」の課題を挙げた回答が8,511件で最も多くなりました。厚生労働省の令和2年度障害者総合福祉推進事業による調査でも、年収400万円未満が49.9%、非常勤である理由の54.0%が「常勤の求人がない」という結果です。資格取得までの期間の長さや精神的な負荷の大きさも、あわせて語られることが多い理由です。
公認心理師の年収は本当に低いのですか?
階級分布で見ると、低い層と高い層の両方が存在します。厚生労働省の令和2年度障害者総合福祉推進事業として実施された調査(2019年度の総支給額・有効回答8,990人)では、最頻値は300万円台の21.3%、400万円未満の累積が49.9%でした。一方で600万円以上が18.6%、1,000万円以上も2.9%を占めます。なお、公認心理師を単独の職種として集計した公的な賃金統計は公表されていないため、平均年収を一つの数字で示すことはできません。
公認心理師は非常勤ばかりというのは本当ですか?
分野と調査によって数字が変わります。厚生労働省の令和2年度の調査(有効回答13,688人)では常勤55.3%・非常勤38.3%でした。より対象の広い令和5年度公認心理師活動状況等調査では、心理業務従事者のうち常勤の心理職32.6%・非常勤の心理職35.6%となっています。教育分野で非常勤が多いのは、スクールカウンセラーの基礎配置が「全公立小中学校に週4時間」と定められている制度上の理由によるものです。
公認心理師の資格は診療報酬で評価されていないのですか?
令和2年度以降、改定のたびに評価は拡大しています。令和2年度改定で小児特定疾患カウンセリング料に公認心理師が位置づけられ、心理職が単独で行うカウンセリングが初めて点数化されました。令和6年度改定では心理支援加算が新設され、精神科養育支援体制加算300点は施設基準に専任の常勤公認心理師の配置を求めています。令和8年度改定でも認知療法・認知行動療法や心理支援加算等で変更・新設があり、2026年6月に施行されています。
公認心理師の需要は今後減っていくのですか?
公的資料からは、需要が縮小していることを示すデータは確認できません。文部科学省の令和8年度予算では、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの体制充実に88億円(前年度86億円)が計上され、スーパーバイザーも67人から101人に増員されています。一方で登録者数の伸びは鈍化しており、2023年3月末の69,875人から2025年3月末は73,743人と、2年間で3,868人の増加にとどまりました。ただし地域・分野による求人の偏りは続く可能性があるため、希望する分野の動向は継続して確認することをおすすめします。
公認心理師試験は難しくなっているのですか?
合格率は近年低下傾向にあります。厚生労働省の合格発表によれば、第7回(2024年3月3日)は受験者2,089人・合格者1,592人で合格率76.2%、第8回(2025年3月2日)は受験者2,174人・合格者1,454人で66.9%、第9回(2026年3月1日)は受験者2,400人・合格者1,441人で60.0%でした。受験者は増えているのに合格者が減っているため、実質的な難度は上がっていると考えられます。詳細は公認心理師試験の合格率で解説しています。
社会人から公認心理師を目指すのは無謀ですか?
無謀とは言えませんが、実務経験のみで受験できた区分Gが2022年7月17日で終了しているため、学部・大学院で指定科目を履修するルートが基本になります。働きながら学び直す方法や、退職して大学院進学に専念する方法など、いくつかの選択肢があります。社会人ルートの具体的な進め方は社会人が心理系大学院を目指す方法で詳しく紹介しています。仕事を続けながら目指すか、退職して集中するかは、家族構成や貯蓄状況も踏まえて慎重に検討することをおすすめします。
公認心理師の資格を取って後悔しないためにはどうすればいいですか?
志望分野を早めに絞り、その分野の雇用率と年収水準を確認したうえで決めることが有効です。心理職としての雇用率は司法・犯罪84.5%、保健医療72.1%、教育69.7%、福祉65.2%、産業・労働64.4%と分野差が大きく、年収の最頻値も分野によって300万円台から500万円台まで開きがあります。そのうえで、大学院入試の対策段階から専門家のサポートを受けることも、遠回りを避ける有効な手段になります。
まとめ|公認心理師は「やめとけ」なのか、結論と次の一歩
「公認心理師はやめとけ」と言われる背景には、年収の伸び悩み、雇用形態の不安定さ、資格取得までの時間とコスト、需要と供給のミスマッチ、そして精神的な負荷の大きさという、それぞれに根拠のある課題が存在します。これらの課題を軽視して勧めることは誠実ではありませんが、同時にこれらは「向き合い方次第で対応できる課題」でもあります。診療報酬とスクールカウンセラー予算という需要側の裏づけが拡大し、区分Gの終了で供給が絞られた今は、資格の価値が動いている局面でもあります。ここまでの内容を、進路選択の判断材料として次のように整理できます。
- 年収は300万円台が最頻値(21.3%)で400万円未満が49.9%。一方で600万円以上も18.6%を占める(厚生労働省令和2年度障害者総合福祉推進事業・2019年度総支給額)
- 公認心理師を単独の職種として集計した公的な賃金統計は公表されておらず、平均年収を一つの数字で示すことはできない
- 就業形態は常勤55.3%・非常勤38.3%。非常勤である理由の54.0%が「常勤の求人がない」
- 心理職としての雇用率は司法・犯罪84.5%〜産業・労働64.4%と分野差が大きい(令和5年度公認心理師活動状況等調査・回答38,827人)
- 登録者数は2026年6月末で76,547人。東京都が16.8%、上位8都府県で57.2%を占める一方、秋田県は270人
- 試験の合格率は第7回76.2%→第8回66.9%→第9回60.0%と3年連続で低下している
- 診療報酬は令和2・4・6・8年度と4回連続で評価が拡大し、常勤配置を施設基準に求める加算も登場した
- 心理業務に従事していない人の88.0%が「機会があれば従事したい」と回答している
大切なのは、「やめとけ」という言葉を鵜呑みにすることでも、逆に楽観視しすぎることでもなく、事実にもとづいて自分に合った進路かどうかを見極めることです。上位に並ぶ「やめとけ」記事の多くは体感や伝聞にもとづくものですが、公的調査の実数を見れば、課題も追い風も分野と働き方によって大きく変わることがわかります。一律の「やめとけ」は、進路判断の材料としては粗すぎるのです。
そのうえで実務的な結論を述べると、これから公認心理師を目指す人にとっての関門は大学院入試に集約されています。区分Gが終了した今、指定大学院に進学できるかどうかが資格取得の可否をほぼ決めます。特に大学院入試は研究計画書の完成度や面接対策が合否を左右するため、独学での対策に不安がある場合は、専門の指導を活用するのも一つの方法です。心理系大学院入試の専門指導では、心理系大学院を志望する方に向けて、研究計画書の作成から面接対策まで一人ひとりに合わせたサポートを行っています。
「公認心理師 やめとけ」という検索結果にたどり着いたということは、それだけ真剣に自分のキャリアと向き合っている証でもあります。年収や雇用の課題を正しく理解したうえで、それでも挑戦したいと思えるなら、その気持ちを大切にして次の準備を進めていきましょう。反対に、調べていくなかで「自分には合わないかもしれない」と感じたのであれば、それも一つの大切な発見です。無理に進むのではなく、心理学の知識を活かせる他の道(産業カウンセラーやキャリアコンサルタントなど)を検討する選択肢もあります。どちらの結論に至るにせよ、数字にもとづいて決めたという経験は、その後のキャリア選択においても役立つはずです。この記事で紹介した課題やデータは、進路選択の判断材料の一つです。制度は改定のたびに動いていますので、最新の情報は各機関の公式発表であらためてご確認ください。最終的には、自分自身の価値観や生活設計、学びたいという意欲の強さを踏まえて、納得のいく結論を出してください。
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