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広島大学大学院人間社会科学研究科の研究計画書の書き方|専攻・カリキュラム・教員の研究分野から逆算する

広島大学大学院人間社会科学研究科の研究計画書では、興味のある社会問題を述べるだけでなく、志望プログラムの研究領域、指導可能な教員、入学後の教育課程が一本の線でつながっていることを示す必要があります。研究科は人文・社会・教育の幅広い領域を含みますが、どのテーマでも同じ書類で出願できるわけではありません。人文学プログラムの2027年4月入学では所定様式の研究計画書が3000字程度である一方、法学・政治学プログラムでは「修学計画書」と「志望理由書」が案内されています。まず志望プログラム固有の様式を確認することが設計の出発点です。
研究計画書とは、入学後に何を、なぜ、どの先行研究を踏まえ、どの方法で明らかにするかを示す文書です。広島大学の場合は、さらに大学院共通科目、研究科共通科目、プログラム専門科目、特別研究という教育課程と、主指導教員および複数の副指導教員による指導に耐えられる計画かを考える必要があります。テーマ名よりも問い・方法・指導可能性の整合が重要です。本記事では入試日程や倍率の反復を避け、公式情報から研究計画書の組み立て方を逆算します。
書き上げた研究計画書、そのまま出して大丈夫ですか?
研究職キャリアを持つ講師が、テーマ設定・先行研究の位置づけ・研究方法まで、出願レベルに届いているかを個別に確認します。
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なお、2027年度から人間社会科学研究科は教育人文社会科学研究科へ名称変更されます。プログラム構成、募集要項、出願書類の様式、教員配置は更新される可能性があります。募集要項・出願書類の様式・教員の配置は年度により変わるため、出願前に必ず最新の公式情報で確認してください。入試全般は広島大学大学院人間社会科学研究科の外部院試解説にまとめられているため、本記事と使い分けてください。本記事の目的は自分のテーマとの適合判定です。
読み進める前に、手元に三つのメモを用意してください。一つ目は「明らかにしたい問い」、二つ目は「その問いに答えるために使える資料・データ」、三つ目は「公式ページで確認した候補プログラムと教員分野」です。本記事の各章を読むたびに、この三つを書き換えます。最後に三者が矛盾なくつながれば、研究計画書の骨格になります。反対に、大学名をほかの大学へ変えても成立する文章のままなら、広島大学の教育研究組織を十分に調べられていません。固有性は大学名ではなく接続の具体性に表れます。
広島大学大学院人間社会科学研究科で研究計画書はどう扱われるか
研究科共通ではなくプログラム別に確認する
広島大学大学院人間社会科学研究科を志望するときに最も避けたいのは、「研究科の研究計画書は一種類」と思い込むことです。公式の博士課程前期入試ページはプログラム別に分かれ、書類名も分量も選抜区分も異なります。人文学プログラムの一般選抜・社会人特別選抜Iでは、2027年4月入学用として「研究計画書(3000字程度)」が公開されています。外国人留学生特別選抜IIでは、卒業論文等の要旨3000字程度と入学後の研究計画書2000字程度が別書類です。同じ人文学でも選抜区分で分量が異なります。
法学・政治学プログラムの博士課程前期では、2027年4月入学用に修学計画書と志望理由書が案内されています。ソーシャルデータサイエンスプログラムと人間総合科学プログラムでは、それぞれ研究計画書の所定様式が公開されています。この違いは単なるファイル名の差ではありません。志望理由を別紙に書く場合、研究計画書側では研究上の問い、先行研究、方法、計画に多くの紙幅を使えます。反対に一枚の書類に志望理由まで含める様式なら、研究内容との接続を保ちながら配分する必要があります。
| プログラム・選抜例 | 公式に確認できる書類 | 設計上の注意 |
|---|---|---|
| 人文学・一般選抜等 | 研究計画書3000字程度 | 人文学の分野と研究方法を具体化する |
| 人文学・外国人留学生特別選抜II | 論文要旨3000字程度、研究計画書2000字程度 | 過去研究と入学後の計画を分ける |
| 法学・政治学 | 修学計画書、志望理由書 | 二つの書類の役割を重複させない |
| ソーシャルデータサイエンス | 研究計画書 | 問いとデータ、分析方法を対応させる |
| 人間総合科学 | M研究計画書 | 学際性と主たる専門軸を両立する |
提出時点で完成研究ではなく実行可能な設計を示す
研究計画書は、結果を先に決めて説得する作文ではありません。現時点で確認できる先行研究から未解決の問いを導き、利用できる資料やデータに合わせて方法を選び、修士課程の期間内に検証できる範囲へ絞る文書です。結論を予言するより検証の道筋を示します。たとえば「地方創生を研究したい」では、対象、時期、概念、比較単位、資料が不明です。「人口減少地域の政策文書を比較し、若者定着施策がどの問題を政策課題として構成しているかを分析する」とすれば、問いと資料の関係が見えます。
口述試験がある場合、面接官は計画書を手がかりに、概念の理解、文献の選び方、方法の妥当性、修正可能性を確認します。提出後に一字一句を守ることより、なぜその問いと方法を選んだかを説明できることが大切です。研究計画書に書いた主要文献は読み直し、調査協力が得られない場合の代替案、比較対象を選んだ理由、研究倫理への配慮も言葉にしておきましょう。試験科目や日程の詳細は既存記事に譲り、ここでは計画書を口頭で再構成できる状態を到達点とします。
専攻・プログラム構造から出願先を絞る
研究科名の広さと指導単位の狭さを区別する
人間社会科学研究科は、人文学、心理学、法学・政治学、経済学、ソーシャルデータサイエンスなど多様なプログラムを含みます。教育科学系にも教師教育デザイン学、教育データサイエンス、教育学、日本語教育学などがあります。研究科全体の理念に合うだけでは、出願先の説明として不十分です。実際の指導単位はプログラムと教育研究分野だからです。最初に自分の問いが依拠する学問領域を一つ決め、そのうえで学際的な接続先を考えます。
たとえば学校現場のデジタル化を扱う場合でも、教師の授業設計を研究するのか、学習データを統計的に分析するのか、制度や教育行政を検討するのかで候補が変わります。「教育に関係するから教育系」と括るのではなく、説明したい現象、主要な理論、収集するデータ、分析単位を並べてください。同様に、移民を扱うテーマも、言語、文学、文化人類学、政治制度、経済行動、教育のどこに焦点を置くかで研究の型が変わります。
| プログラム例 | 公式情報から見える主な射程 | 計画書で前面に出すもの |
|---|---|---|
| 人文学 | 思想、歴史、文学、言語、地理、考古、文化財等 | 資料・テクスト・史料と解釈手続 |
| 法学・政治学 | 法制度、法解釈、政治、外交、政策等 | 法的論点、制度、先行学説、比較枠組み |
| 経済学 | 理論、計量、経済史、政策、応用経済等 | 仮説、データ、識別・推定の考え方 |
| 国際平和共生 | 平和学、文化人類学、政治、法、倫理、地域・記憶研究 | 地域文脈と複数分野の接続 |
| 人間総合科学 | 心身・言語、文化、社会等を横断する課題 | 主軸となる専門と学際性の役割分担 |
| 教育学 | 教育経営、行政、哲学、歴史、高等教育等 | 教育現象を説明する理論と資料 |
| 教師教育デザイン学 | 教科教育、教師教育、授業・カリキュラム等 | 教科固有の内容と教育方法 |
名称変更を踏まえて最新ページへ戻る
2027年度から研究科名が教育人文社会科学研究科へ変わるため、検索結果には旧名称と新名称の資料が混在します。過年度のPDFだけを保存して準備を続けると、様式やプログラム名の変更を見落とすおそれがあります。検索結果ではなく入試情報の親ページを起点にし、出願年度、課程、選抜区分の順にたどってください。ファイル名が似ていても博士課程前期と後期、一般選抜と外国人留学生選抜では要求が違います。
出願先を絞る際は、候補を一つに決める前に二つか三つのプログラムを比較します。それぞれについて「扱う対象」「主な方法」「指導候補」「必要な基礎知識」「研究計画書の様式」を一行ずつ書き、最も自然に説明できる候補を残します。知名度や入試科目だけで選ぶと、計画書で指導可能性を示せません。テーマと教育組織の接点が最も具体的な先が有力候補です。
カリキュラムと複数指導体制から研究の型を逆算する
共通科目・専門科目・特別研究を一つの成長計画にする
公式の教育課程編成・実施の方針によると、研究科では大学院共通科目、研究科共通科目、プログラム専門科目、特別研究が開設されています。これは研究計画書に科目名を大量に並べるよう求めているのではありません。入学時点の自分に不足している知識や技能を示し、それをどの教育機会で補い、特別研究と論文へつなげるかを説明する材料になります。履修計画は研究上の弱点を補う設計図として書きます。
たとえば計量分析を使いたいものの統計の訓練が不足しているなら、「高度な分析を行う」と背伸びするより、基礎的な研究方法を履修し、予備分析で変数とデータ品質を確認してから本分析へ進む流れのほうが実行可能です。歴史資料を扱うなら、史料批判、言語、資料所在の確認が必要です。インタビューを用いるなら、対象者へのアクセス、同意取得、匿名化、記録方法、分析手順まで考えます。研究方法は格好よさではなく、問いに答えるための妥当性で選びます。
主指導と副指導を想定して計画を立体化する
研究科の方針には、主指導教員と、主指導教員とは専門の異なる教員を含む二人以上の副指導教員による複数指導が示されています。心理学プログラムについても同様の方針が明記されています。この体制から逆算すると、計画書には中心となる専門領域が必要である一方、隣接領域から検討されても崩れない概念定義と方法が求められます。学際性は専門の曖昧さではなく役割分担です。
主軸を「教育行政」に置き、副次的に計量分析を使うなら、制度上の問いと分析技術の役割を分けます。文化人類学を主軸に法制度を参照するなら、民族誌的な問いと法解釈上の問いを混同しません。複数の領域名を並べるだけでは、誰がどの部分を指導できるのか不明です。「中心となる問い」「主要方法」「補助的視点」の三段に分けると、複数指導との接続が見えます。
修了時の成果から逆算して問いを絞る
学位授与の方針は、所定の単位を修得し、所定の審査に合格することを前提に、プログラム別の能力を定めています。したがって計画書は、関心の紹介ではなく、修了時に学術的な成果として審査できる形を目指す必要があります。修士論文で検証可能な一つの問いへ絞ることが重要です。「日本の教育格差」のような大きな主題は、地域、学校段階、制度、期間、データを限定しなければ扱えません。
問いを絞るときは、対象を小さくするだけでなく、何と何の関係を説明するかを明確にします。「Aはどのように変化したか」「AとBの違いは何によって説明できるか」「制度Cは当事者の実践にどう受け止められているか」といった疑問文に変換してください。仮の答えを置き、その答えを支持または反証できる資料があるかを確認します。資料が存在しないなら問いを変え、資料はあるが期間内に処理できないなら範囲を縮めます。
教員の研究分野マップとテーマの接続例
公式の研究キーワードをそのまま照合する
教員を探す際は、検索エンジンの古いプロフィールや第三者サイトではなく、大学公式の教員一覧を使います。本文では2026年8月時点でHTML取得できたページに掲載された氏名と研究キーワードだけを挙げます。教員の所属や研究分野は年度により変わるため、出願前に必ず最新の教員一覧で確認してください。教員名より公式掲載の研究キーワードを照合するのが安全です。
人文学プログラムの公式一覧では、中村平教授の研究キーワードは「日本学、人類学、日本植民主義、台湾先住民、歴史経験」です。溝渕園子教授は「比較文学、翻訳文学、文化表象、日本近代文学、ロシア近現代文学」、根本裕史教授は「仏教思想、チベット、中観、時間論、ツォンカパ」と掲載されています。これらは同じ人文学の中でも、扱う資料、概念、研究方法が異なることを示します。
法学・政治学プログラムの公式一覧では、手塚貴大教授は「行政法,租税法,租税政策論」、松原正至教授は「会社法・金融商品取引法,特に資金調達とディスクロージャーの研究」、湯川勇人准教授は「戦前・戦後の日本外交史,外交思想史,対外政策」と掲載されています。制度を扱うという共通点だけでなく、法解釈、政策、歴史資料のどれを中心にするかを分けて考えます。
教育学プログラムの公式一覧では、曽余田浩史教授は「学校の組織開発, スクールリーダー教育, 教育経営」、滝沢潤教授は「教育行政, 教育制度, 教育統治, 学校選択, 言語マイノリティ」、白石崇人准教授は「日本教育史、教育学史、教員史、教育会史」と掲載されています。教師教育デザイン学プログラムでは、岡崎正和教授は「数学教育学デザイン論、理解論、カリキュラム論、授業・単元構成論」、草薙邦広准教授は「英語教育学、数理モデリング、心理統計、研究方法論」です。
人文学・法学政治学では資料と論点を対応させる
人文学プログラムでは、同じ「文化」を扱っていても、比較文学、人類学、仏教思想では主要資料と方法が異なります。溝渕園子教授の公式キーワードに接続する計画なら、作品名や翻訳テクスト、比較軸、文化表象を分析する手続を明確にします。中村平教授のキーワードに接続するなら、対象地域や歴史経験をどの資料・調査から捉えるかが必要です。キーワード一致だけでなく資料と方法も一致させます。
法学・政治学では、政策への賛否だけでなく、法的論点、制度、学説、判例、政策文書、外交史料などのどれを用いるかを示します。手塚貴大教授の「行政法,租税法,租税政策論」、松原正至教授の「会社法・金融商品取引法,特に資金調達とディスクロージャーの研究」、湯川勇人准教授の「戦前・戦後の日本外交史,外交思想史,対外政策」は射程が異なります。社会問題が同じでも、研究上の問いをどの学問の言葉で立てるかが出願先を分けます。
経済・教育・人間総合科学では分析単位を明示する
経済学分野では、早川和彦氏の「計量経済学、パネルデータ分析」、大内田康徳氏の「産業組織論、競争政策、規制の経済学」、安武公一氏の「教育工学、ネットワーク分析、計算社会科学、国際経済学」が公式ページに掲載されています。経済現象を扱うなら、理論上の仮説、観察単位、利用データ、推定の考え方を結びます。データがあることと問いに答えられることは別なので、変数が概念を適切に測るかも検討してください。
教育学プログラムでは、曽余田浩史教授の「学校の組織開発, スクールリーダー教育, 教育経営」、滝沢潤教授の「教育行政, 教育制度, 教育統治, 学校選択, 言語マイノリティ」、白石崇人准教授の「日本教育史、教育学史、教員史、教育会史」が確認できます。学校を扱う計画でも、組織、制度、歴史のどの水準を説明するかで資料が変わります。教師教育デザイン学では、教科内容と授業設計の両方を示し、単なる授業アイデアではなく研究可能な問いにします。
人間総合科学プログラムでは、坂田桐子教授の「ジェンダー、集団、リーダーシップ」や樫原潤准教授の「心理ネットワークアプローチ、精神病理研究、スティグマ研究、臨床心理学」などが掲載されています。学際的な名称に頼って何でも扱えると考えず、中心となる理論と分析単位を定めます。代表教員は候補探索の入口であり推奨ではありません。全員の最新情報は各公式教員一覧で確認してください。
テーマから教員を探す実践例
仮に「地方自治体の外国人児童生徒支援」を研究したいとします。最初から教育学プログラムに決めず、問いを三つに分けます。教育制度が支援の地域差をどう生むかを問うなら、教育行政や教育制度が中心です。教師が教室で支援をどう設計するかを問うなら、教師教育や授業研究が中心になります。子どもや保護者が制度をどう経験するかを問うなら、質的調査や文化的・社会的な視点が重要です。同じ対象でも説明したい仕組みで所属先が変わることが分かります。
次に資料を置きます。自治体の教育振興計画、支援事業の実施要領、議会会議録を比較するのか、教員への半構造化インタビューを行うのか、公開統計から配置と成果の関連を見るのかを選びます。制度文書の分析とインタビューを併用する場合も、それぞれが問いのどの部分に答えるかを分けます。方法を増やすほど立派になるのではなく、必要な証拠を過不足なく集められることが大切です。
最後に公式教員一覧へ戻ります。「言語マイノリティ」「教育制度」「教師教育」「質的研究」など、問いと方法から導いた語で確認します。完全一致する教員が見つからない場合は、用語を一般化して無理に一致させず、問いを修正するか別プログラムも比較します。この作業を記録した適合表は、志望理由や口述試験で「なぜこのプログラムか」を説明する根拠になります。
書き上げた研究計画書、そのまま出して大丈夫ですか?
研究職キャリアを持つ講師が、テーマ設定・先行研究の位置づけ・研究方法まで、出願レベルに届いているかを個別に確認します。
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(費用は一切かかりません)
自分の研究テーマが合うかを判定する5段階
問い・対象・方法・教員・教育課程を順に照合する
テーマ適合は「似たキーワードの教員がいる」という一段階だけでは判定できません。次の五段階で確認します。途中で説明できない項目があれば、出願先を変える前に問いや方法を修正してください。五つの接続が一文ずつ説明できれば骨格ができる状態です。
- 研究上の問いを疑問文で一つ書く
- 対象、地域、期間、資料またはデータを限定する
- 問いに答える分析方法を一つ選ぶ
- 公式教員一覧で中心領域と隣接領域を照合する
- 共通科目、専門科目、特別研究で不足を補えるか確認する
第一段階では「何を研究したいか」ではなく「何がまだ分かっていないか」を書きます。第二段階では、対象を収集可能な大きさにします。第三段階では、インタビュー、質問紙、統計分析、史料分析、テクスト分析、法解釈、比較研究などから、問いに適した方法を選びます。方法名だけでなく、誰または何を、どの手順で分析するかまで説明します。問いと証拠の対応が判定の中心です。
候補教員の論文を読み、違いも記録する
教員一覧で候補を見つけたら、大学公式の研究者総覧から最近の研究題目や論文を確認します。自分のテーマと共通する点だけでなく、対象、理論、方法の違いを表にしてください。完全一致を探す必要はありませんが、共通点が一般語だけなら指導可能性の根拠として弱いでしょう。「ジェンダー」という語が同じでも、組織心理、文学表象、法制度では研究の作法が違います。
計画書に教員名を書く場合は、「この先生がいるから合格できる」という表現を避け、研究分野との学術的な接点を簡潔に示します。公式に事前連絡が必須と書かれていない場合、独自判断で必須とは断定しません。連絡するなら、募集要項と教員プロフィールを読んだうえで、自己紹介、研究テーマ、問い、方法、確認したい事項を簡潔にまとめます。連絡は指導内諾を推測する場ではなく適合確認の機会です。
赤・黄・緑の三段階で自己評価する
各項目を赤・黄・緑で評価すると修正箇所が見えます。問いが大きすぎる、資料の入手経路がない、方法の訓練がない、公式一覧で接続する教員が見つからない場合は赤です。文献調査や予備調査で改善できるなら黄、根拠を伴って説明できるなら緑とします。一つでも赤が残る状態で文章表現だけを磨いても、計画の弱点は消えません。推敲前に研究設計の赤信号を解消することが効率的です。
| 判定項目 | 赤 | 黄 | 緑 |
|---|---|---|---|
| 問い | 主題だけ | 疑問文だが広い | 未解決点が限定される |
| 資料・データ | 所在不明 | 候補あり | 入手経路と範囲を確認 |
| 方法 | 名称だけ | 手順が一部不明 | 問いとの対応を説明可能 |
| 教員 | 該当なし | 隣接分野のみ | 中心・副次領域を確認 |
| 教育課程 | 調べていない | 科目を列挙 | 不足と履修目的が対応 |
問いを小さくするための四つの操作
研究テーマが大きすぎるときは、対象、時期、場所、関係の四つを順に限定します。「SNSが若者の政治参加に与える影響」を例にすると、若者の年齢範囲、対象とするSNS上の行動、選挙期間などの時期、国または自治体、政治参加の指標を決めます。そのうえで「閲覧」と「投稿」を同じ利用として扱ってよいか、投票と署名活動を同じ参加として扱ってよいかを検討します。概念を観察できる指標へ置き換えると、資料と方法を選びやすくなります。
人文学では、作品群を一つの作家、一つの時期、一つの翻訳や版へ限定できます。歴史研究では、広い時代区分を特定の出来事の前後に絞り、利用する史料群を明記します。教育学では、学校段階、教科、制度、実践主体を限定します。法学では、論点となる条文、判例群、制度改正、比較対象国を選びます。経済学では、分析単位、期間、母集団、政策変更を定めます。分野ごとに「小さくする単位」が異なる点を意識してください。
ただし、対象を狭くしただけでは研究上の意義は生まれません。一校だけ、一作品だけ、一自治体だけを扱うなら、その事例からどの理論的・制度的な問いを検討できるかを説明します。事例の珍しさではなく、先行研究の説明を検討するうえでなぜ有効かを示します。小さな対象から大きな論点へ戻る道筋が独自性と意義になります。
先行研究表を作って研究の空白を検証する
文献を読み始める前に、著者・年、対象、問い、理論、方法、結論、限界、自分の研究との関係という列を持つ表を作ります。十本程度を入力すると、同じ結論が異なる方法で支持されているのか、特定地域だけが調べられていないのか、理論と実証が分断しているのかが見えてきます。「日本では研究がない」と断定する前に、類義語や英語キーワードでも検索してください。
研究の空白には複数の型があります。対象の空白は、既存研究が扱っていない集団や地域を調べる型です。方法の空白は、従来とは異なる資料や分析方法で検討する型です。理論の空白は、既存説明では捉えにくい現象を別の概念から考える型です。時期の空白は、制度変更や社会変化の後を再検討する型です。どの空白を埋めるかを一つ選ぶと、目的が明確になります。
空白を見つけても、それだけで研究価値があるとは限りません。なぜ調べられてこなかったか、資料が存在するか、調べることで何が変わるかを確認します。単に未研究の地域へ対象を移すだけなら、先行研究と同じ結論になる可能性があります。その地域を選ぶ理論上・制度上の理由、比較によって見える差、従来の説明を修正する可能性を示してください。
所定様式に合わせた研究計画書の構成と分量配分
3000字程度の人文学をモデルに配分する
所定様式に項目指定がある場合は、その順序と欄を優先してください。自由に構成できる場合の基本は、背景、先行研究と課題、研究目的・問い、方法、独自性・意義、入学後の計画、参考文献です。人文学プログラムの3000字程度をモデルにするなら、背景に一割、先行研究と課題に二割五分、目的・問いに一割五分、方法に二割五分、独自性・意義に一割、計画に一割五分ほどを目安にできます。指定欄があるときは大学の様式が最優先です。
| 項目 | 3000字モデル | 確認する内容 |
|---|---|---|
| 背景・問題設定 | 約300字 | 社会的背景から学術的問題へ絞る |
| 先行研究と課題 | 約750字 | 到達点と未解決点を整理する |
| 目的・問い | 約450字 | 疑問文と主要概念を示す |
| 資料・方法 | 約750字 | 対象、手順、分析、倫理を示す |
| 独自性・意義 | 約300字 | 何を付け加えるかを書く |
| 入学後の計画 | 約450字 | 履修、予備調査、論文までつなぐ |
分量配分は機械的な正解ではありません。史料の性質を説明する必要がある人文学、識別戦略が重要な計量研究、倫理と対象者募集が重要な調査研究では、方法の説明量が変わります。2000字程度なら各項目を均等に縮めるのではなく、背景の一般論を削り、問いと方法を残してください。削る順番は一般論、形容詞、重複説明です。
背景から先行研究へ論理を狭める
冒頭で社会問題の重要性を長く語ると、研究の空白が見えません。「近年注目されている」「重要な課題である」だけでは、なぜ学術研究が必要かを説明できないからです。背景は、対象となる現象、既存研究が用いてきた説明、まだ検討されていない点へ順に狭めます。統計や制度変更を挙げる場合は、出典と年度を確認し、研究計画書の問いに直接関係するものだけを使います。
先行研究は文献の感想文ではなく、論点別に整理します。「Aは制度要因を指摘した。Bは当事者の実践を示した。しかし両者の関係を同じ対象で検討した研究は限られる」のように、複数研究の関係を示します。先行研究の最後の一文が自分の問いにつながるように書けば、目的が唐突になりません。汎用的な整理方法は研究計画書の書き方7ステップも参照してください。
方法は対象・収集・分析・倫理の四点を書く
方法欄では「質的研究を行う」「統計分析をする」だけで終えません。対象は誰または何か、どの範囲からどう選ぶか、どの資料やデータをどう集めるか、どの分析手続で問いに答えるかを記します。人を対象とする場合は、説明と同意、匿名化、データ保管などの倫理的配慮にも触れます。方法の具体性は実行可能性の根拠になります。
インタビューなら人数を根拠なく多く設定するより、選定基準、質問の柱、逐語化、分析方法を示します。計量研究なら公開データ名だけでなく、観察単位、目的変数、主要な説明変数、交絡への対応を考えます。文学・思想研究なら対象テクストの版、選定理由、比較対象、概念の用い方を示します。法学なら対象法令、判例、学説、比較法の範囲を明らかにします。
志望理由書や修学計画書と役割を分ける
法学・政治学プログラムのように修学計画書と志望理由書が別の場合、同じ文章を二回書かないようにします。志望理由書では、問題関心の形成、なぜ当該プログラムか、将来像を中心にし、修学計画書では入学後の学修と研究の具体的な道筋を中心にします。共通する核はあっても、各書類が答える問いを分けてください。書類間の整合と非重複を同時に満たすことが必要です。
テンプレートを使う場合も、見出しだけ借りて内容は志望プログラムに合わせます。完成例の固有名詞を置換する方法では、問いと方法の対応が崩れます。構成の比較には研究計画書の例文とテンプレートを使い、最終版は公式様式へ転記してください。大学院対策全般で第三者の添削が必要なら、広島大学大学院の研究計画書対策を含む大学院入試コースも選択肢です。
段落ごとに主張・根拠・接続をそろえる
研究計画書の一段落は、原則として一つの役割に絞ります。最初の文でその段落の主張を示し、続く文で文献や資料を根拠として説明し、最後の文で次の段落へつなぎます。背景の段落に突然研究方法を入れたり、先行研究の途中で志望理由を挟んだりすると、読み手は論理を追いにくくなります。一段落一役割にすると字数調整もしやすいという利点があります。
主語が曖昧な文にも注意します。「これにより明らかになる」「その必要性がある」と書いたとき、「これ」「その」がどの文を指すかを確認してください。専門用語は初出で簡潔に定義し、似た語を混用しません。「目的」「課題」「問い」「仮説」を同じ意味で使うと、何を検証するのかがぼやけます。目的は研究で達成すること、問いは答える疑問、仮説は検証される仮の答えとして使い分けます。
文献への言及では、権威ある研究者の名前を並べることより、どの主張をどの研究が支えているかを明確にします。「多くの研究がある」「ほとんど研究されていない」という量的な表現は、検索範囲を示せないなら慎重に使います。先行研究の批判も、単に古い、対象が狭いと評するのではなく、自分の問いに照らして何が説明されていないかを書きます。
分野別に研究計画の骨格を点検する
人文学系の計画では、対象資料を示しただけで研究方法が伝わったと思わないことが大切です。同じ小説でも、語りの構造を分析するのか、翻訳の差を比較するのか、出版や受容の歴史を調べるのかで必要な文献が変わります。史料を使う研究なら、誰が、いつ、どの目的で作成した資料かを吟味し、資料の沈黙や偏りも考えます。資料の内容と資料が作られた条件を区別することで、方法の説明が具体的になります。
法学系では、政策提言を先に書くのではなく、現行法上の論点、対立する学説、判例の位置づけ、解釈によって生じる帰結を整理します。比較法を使う場合、外国制度が優れているという前提を置かず、制度背景と比較可能性を検討します。政治学系では、規範的に望ましい状態と、現実の政治過程を説明する問いを分けます。外交史なら、後世の評価ではなく、当時の文書や言説から意思決定の条件を再構成します。
経済学系では、相関を確認する計画と因果効果を推定する計画を区別します。政策導入後に数値が変わっただけでは、その政策が原因とは限りません。比較対象、政策導入前の傾向、同時期の別要因を検討し、利用できるデータでどこまで言えるかを限定します。理論研究の場合も、前提、モデルの主体、選択、均衡、得られる含意を整理し、現実のどの現象を理解するためのモデルかを説明します。
教育学系では、実践を改善したいという思いと、研究として明らかにする問いを分けます。新しい授業を実施して感想を集めるだけでは、何がどの仕組みで変化したかを説明しにくいでしょう。学習成果の定義、授業設計の理論、比較の方法、観察や発話の分析手順を置きます。制度研究なら政策文書と現場実践を混同せず、制度がどの主体を通じて実施されるかを考えます。改善案の前に現象を説明する研究上の問いを立ててください。
人間総合科学や国際平和共生のような学際的なプログラムでは、一つの問題を複数の尺度で見る意義を示します。たとえば紛争後の記憶を扱う場合、国際政治上の制度、地域社会の実践、個人の語りを同時に扱うと範囲が膨らみます。主たる分析単位を一つ決め、別の尺度は背景または考察で用いる設計にします。全講義が英語で実施される国際平和共生プログラムを検討するなら、研究テーマだけでなく、授業参加と文献読解を行う学修環境との適合も考えます。
研究倫理とデータ管理を計画段階で考える
人を対象とする研究では、協力者をどう募集し、研究目的をどう説明し、同意をどう得るかを考えます。未成年者、患者、組織内で立場の弱い人などを対象とする場合は、自由意思が損なわれない手続がより重要です。個人が特定される情報をどこまで収集するか、匿名化したデータをどこに保管するか、いつ廃棄するかも検討します。倫理は提出後に足す注意書きではなく方法の一部です。
インターネット上で公開されている投稿も、無条件に自由利用できるとは限りません。引用による本人特定、利用規約、センシティブな内容、投稿者が想定した公開範囲を考えます。学校や企業の内部資料を使う計画では、許可を得られる見込みを確認し、得られない場合に公開資料へ切り替える案を用意します。データ入手の確実性は研究全体の実行可能性に直結します。
歴史資料や公文書でも、利用条件、撮影可否、複製の掲載可否、開館日、整理状況を確認します。海外資料を使う場合は、渡航費や言語能力だけでなく、デジタル公開や国内所蔵の代替資料も調べます。計画書ではすべての細則を書く必要はありませんが、主要なリスクを把握し、対応可能であることが伝わる一文を置くとよいでしょう。
評価されにくい研究計画書の共通点と直し方
研究科の射程内でもプログラムの射程外になっている
「人間や社会を扱うから人間社会科学研究科に合う」という説明は広すぎます。研究科の理念に合っていても、プログラムの学問領域、教員、方法と接続しなければ指導可能性が見えません。直すときは、問いに含まれる主要概念を三つ選び、各概念がどの分野の先行研究で議論されているかを確認します。研究科への適合をプログラム単位へ具体化してください。
学際研究で起こりやすいのは、複数の分野を同じ重さで並べ、中心が消えることです。主たる問いを一つ、主要方法を一つ決め、他分野は補助的視点として位置づけます。国際平和共生プログラムのように複数分野を基盤とする場合でも、平和、文化人類、政治、法、倫理、地域、記憶の全てを一つの修士研究で扱うわけではありません。対象と問いに必要な組み合わせだけを選びます。
教員キーワードを貼り付けただけになっている
公式教員一覧の研究キーワードを計画書に並べても、自分の研究との接点は自動的に伝わりません。教員の研究を尊重しつつ、自分の問い、対象、方法のどこが接続するかを書きます。反対に、教員の公開情報にない専門を推測したり、指導を受けられると断定したりしないでください。公開情報と自分の計画の境界を明確にすることが大切です。
教員名を一人だけ挙げ、その人が異動すれば成立しない計画も不安定です。複数指導体制を踏まえ、中心となる分野と隣接する分野を整理します。ただし、候補教員を数多く列挙する必要はありません。最新版の一覧で所属を確認し、研究上の接点が強い教員について、なぜ接続するかを一文で説明できる状態にします。
方法が問いに答えない、または期間内に実行できない
全国の学校を調査する、複数国で長期フィールドワークをする、入手困難な機密データを使うなど、アクセスの裏づけがない計画は実行可能性が低く見えます。対象を一地域、一制度、一資料群に絞り、予備調査から本調査へ段階化してください。代替資料を一つ用意すると計画の耐久性が上がるため、第一候補が使えない場合も考えます。
問いが因果関係を求めているのに記述的なインタビューだけを行う、当事者の意味づけを知りたいのに集計データだけを見る、といった不一致にも注意が必要です。「この証拠が得られたら問いにどう答えられるか」を逆向きに確認します。答えられないなら、問いを変えるか方法を変えます。高度な方法を複数盛り込むより、一つの方法を妥当な手順で使うほうが伝わりやすいでしょう。
先行研究が要約の羅列になっている
文献A、文献B、文献Cを順に紹介するだけでは、自分の研究が何を追加するか分かりません。概念、対象、方法、結論の違いでグループ化し、到達点と限界を整理します。古典的研究だけでなく、最近の研究も確認し、すでに解決された問いを新規性として掲げないようにします。文献数より論点間の関係を示すことが重要です。
引用した文献は参考文献欄と対応させ、著者名、年、題名、媒体を統一した形式で記します。読んでいない文献を題名だけで並べると、口述試験で説明できません。主要文献は、問い、方法、結論、自分の研究との違いを各一文で要約できるようにしてください。
出願までの逆算スケジュール
六か月前からテーマと教員を往復する
人文学プログラムの公式ページも、卒業論文等の要旨や入学後の研究計画書は作成に時間がかかるため、早めに準備するよう案内しています。理想は出願六か月前に着手し、テーマ、先行研究、教員、方法を往復しながら更新することです。最初から文章を書くより設計表を先に作ると、大幅な書き直しを減らせます。
| 時期の目安 | 作業 | 成果物 |
|---|---|---|
| 出願6か月前 | 候補プログラムと問いを比較 | 問いの候補3本、比較表 |
| 5か月前 | 先行研究を論点別に収集 | 文献表、研究の空白 |
| 4か月前 | 教員一覧と教育課程を照合 | 適合表、履修上の課題 |
| 3か月前 | 資料・データと方法を確認 | 予備調査、方法メモ |
| 2か月前 | 初稿を作成して内容添削 | 全項目を含む初稿 |
| 1か月前 | 公式様式へ転記し口述対策 | 提出版、想定問答 |
| 提出直前 | 年度・課程・区分を再確認 | 提出書類チェック表 |
六か月前には、広すぎてもよいので問いを三本作り、資料があるかを調べます。五か月前には文献を論点別に整理し、研究の空白を仮置きします。四か月前には公式教員一覧とカリキュラム方針を読み、候補プログラムを一つに絞ります。三か月前には予備的に資料を読み、データを取得し、方法が機能するか試します。予備調査で実行不能を早期に発見することが狙いです。
初稿・内容推敲・表現推敲を分ける
二か月前までに、字数を気にしすぎず全項目を含む初稿を作ります。最初の推敲では問いと方法、先行研究との関係、指導可能性だけを確認します。次に段落の順序と重複を直し、最後に字数、誤字、表記を整えます。内容と表現を同時に直すと、文章は滑らかでも研究上の穴が残りやすくなります。
提出一か月前には公式様式へ転記し、欄から文字があふれないか、書式が崩れていないかを確認します。研究計画書、志望理由書、修学計画書の内容に矛盾がないかも照合します。口述試験に向け、研究目的、先行研究との差、方法、資料入手、倫理、広島大学で行う理由を一分と三分の二種類で説明してください。提出版を基準に想定問答を作ると説明がぶれません。
口述試験で確認されやすい論点を準備する
想定問答は、文章を暗記するのではなく、計画の弱い箇所を見つけるために使います。「その概念をどう定義しますか」「なぜその対象を選びましたか」「主要な先行研究は何ですか」「その方法で問いに答えられますか」「資料は入手できますか」「結果が仮説と異なったらどう考えますか」と問われたとき、計画書の該当箇所へ戻って説明できるようにします。質問に答えにくい箇所は提出前の修正候補です。
「なぜ広島大学か」という質問には、大学の知名度や環境だけで答えず、プログラムの教育領域、公式に確認した教員分野、複数指導体制、自分が補うべき能力を関連づけます。ただし、履修予定の科目や教員配置は変更される可能性があるため、断定を避けます。「公式方針で示される特別研究と複数指導の下で、中心領域と隣接領域の両面から検討したい」のように、制度と研究課題の関係を説明します。
方法への質問には、専門用語の定義だけでなく、具体的な作業順序で答えます。インタビューなら対象者選定、依頼、同意、実施、文字化、分析です。計量分析ならデータ入手、変数作成、記述統計、モデル、頑健性確認です。史料研究なら所在確認、史料批判、読解、比較、解釈です。手順を説明できない方法は、計画書でも名称だけになっている可能性があります。
限界を問われたら、欠点を隠そうとせず、計画の射程を示します。一地域の事例から全国へ単純に一般化できない、自己申告データには偏りがある、史料には作成者の視点が反映されるなど、想定される限界と対応を述べます。限界を認識することは計画の弱さではなく、何が言えて何が言えないかを管理する力の表れです。
提出前の整合チェックを三方向から行う
最終確認では、縦方向、横方向、外部情報との三方向から読みます。縦方向の確認とは、背景、先行研究、問い、方法、意義が順につながるかを見ることです。先行研究で示した空白に問いが答えているか、その問いに方法が答えられるか、得られる知見が意義につながるかを矢印で結びます。矢印が引けない段落は、配置を変えるか根拠を補います。
横方向の確認とは、研究計画書、志望理由書、修学計画書、口述試験用メモの間で内容が一致するかを見ることです。書類ごとに研究題目、対象期間、利用資料、志望プログラムの説明が微妙に違うと、準備不足に見えます。文章を同一にする必要はありませんが、中心となる問いと方法はそろえます。複数書類を一つの研究設計から派生させると矛盾を防げます。
外部情報との確認では、出願年度、課程、選抜区分、研究科名、プログラム名、教員所属、様式の版を公式ページと照合します。ブラウザに保存した古いファイルではなく、提出直前に入試情報ページから開き直してください。引用文献の書誌、制度名、資料名も原典で再確認します。読み上げ校正を行うと、主語と述語の不一致や一文の長さにも気づきやすくなります。
最後に、初めて読む人へ計画書だけを渡し、「何を明らかにする研究か」「何を材料にするか」「どう分析するか」「なぜ広島大学か」を答えてもらいます。自分の意図と読み手の回答が異なる部分は、説明を足す前に構成を見直します。限られた字数では、情報量を増やすより誤読の余地を減らすほうが有効です。読み手が再現できる設計になっているかを最終基準にしてください。
よくある質問(FAQ)
広島大学大学院人間社会科学研究科の研究計画書は何字ですか
プログラムと選抜区分によって異なります。人文学プログラムの2027年4月入学一般選抜・社会人特別選抜Iでは3000字程度、外国人留学生特別選抜IIでは入学後の研究計画書2000字程度が公式ページで確認できます。自分の年度・課程・選抜区分の様式をダウンロードして確認してください。
全プログラムで研究計画書の提出が必要ですか
同じ名称の書類が全プログラムで一律に求められるわけではありません。法学・政治学プログラムでは修学計画書と志望理由書が案内されています。研究計画に相当する内容が別名称の書類に含まれる場合があるため、募集要項の出願書類一覧を一つずつ確認しましょう。
指導希望教員への事前連絡は必要ですか
必要性はプログラムと選抜区分の最新公式案内で判断してください。研究科全体について一律に必須とは断定できません。連絡する場合は、公式教員一覧と研究者総覧を読み、研究上の問い、方法、接点、確認事項を短く整理します。返信の有無を合否の予測材料にはしません。
研究計画書に教員名を書くべきですか
様式が指導希望教員名を求める場合は記載します。自由記述では、名前の羅列より、公式に公開された研究分野と自分の問いの接点を示すことが大切です。所属や研究分野は変わり得るため、提出直前に最新の教員一覧を再確認してください。
学部と異なる分野でも出願できますか
出願資格を満たすかは募集要項で確認する必要があります。そのうえで研究計画書では、異分野へ移る理由、すでに学んだ基礎、入学までに補う内容、入学後の履修計画を説明します。分野変更の弱点を学修計画へ変換すると説得力が増します。
研究方法はどこまで具体化すればよいですか
少なくとも対象、資料・データの入手方法、収集手順、分析手順、研究倫理を説明できるところまで具体化します。入学後に変更する可能性があっても構いませんが、現時点で実行可能と考える根拠と、利用できない場合の代替案を用意してください。
2027年度の名称変更で研究計画書の様式も変わりますか
名称変更は公式に案内されていますが、それだけから各様式の変更を推測することはできません。旧名称の保存資料を使い続けず、2027年度入学の各プログラム入試ページから最新ファイルを取得してください。研究科名だけでなく様式の更新日も確認します。
研究計画書はいつから準備すべきですか
出願六か月前を目安に始めると、先行研究、教員、方法を照合する時間を確保しやすくなります。遅くとも初稿、内容推敲、公式様式への転記、口述対策を別工程にできる日程を組んでください。証明書など他の出願書類の準備も並行します。
まとめ|広島大学に合う研究計画書は三つの整合から作る
広島大学大学院人間社会科学研究科の研究計画書は、研究科名の広さに合わせて抽象的に書くのではなく、志望プログラムの様式、教育課程、教員の研究分野へ具体的に接続して設計します。2027年度からの名称変更にも注意し、過年度資料ではなく志望年度の公式ページを起点にしてください。様式・研究設計・指導可能性の三つを整えることが要点です。
- 研究計画書の名称と字数はプログラム・選抜区分ごとに確認する
- 研究科ではなくプログラムと教育研究分野の単位で適合を考える
- 問い、資料・データ、方法を一対一で対応させる
- 主指導と複数の副指導を想定し、中心領域と隣接領域を分ける
- 教員名と研究キーワードはHTMLで取得できる最新公式一覧で検証する
- 先行研究の到達点と未解決点から自分の問いを導く
- 六か月前から予備調査を行い、内容推敲と表現推敲を分ける
完成後は、各段落が「なぜこの問いか」「なぜこの方法か」「なぜこのプログラムか」のいずれかに答えているか確認します。答えない一般論は削り、根拠と接続を補ってください。入試制度全般は対応する既存記事で確認し、本記事の手順で研究計画書を深めると情報の重複を避けられます。独学での対策に不安がある場合は、専門の指導を活用するのも一つの方法です。
提出用ファイルを完成させた後も、元の編集可能な版、提出版、参照した募集要項を分けて保存し、更新日が分かる名前を付けておくと安心です。口述試験の準備では、提出版を唯一の基準にし、修正前の数値や題目を混ぜないようにしてください。
書き上げた研究計画書、そのまま出して大丈夫ですか?
研究職キャリアを持つ講師が、テーマ設定・先行研究の位置づけ・研究方法まで、出願レベルに届いているかを個別に確認します。
- 研究職の講師が研究計画書を添削し、改善点を明確化
- 相談後に、志望校の出題傾向と学習ロードマップをまとめた個別フィードバックレポートをお渡し
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